004.stcm2 0xf28 今日はなにして
004.stcm2 0xf88 遊ぶの？
004.stcm2 0xfe4 ボク、まちくたび
004.stcm2 0x1048 れちゃった！
004.stcm2 0x10a8 遊ぼうよ！
004.stcm2 0x1104 今日はなにをする
004.stcm2 0x11c0 この中から、
004.stcm2 0x1220 項目を選んでね
004.stcm2 0x1280 今日はどうする
004.stcm2 0x12e0 ですかぁ？
004.stcm2 0x133c サバトになんでも
004.stcm2 0x13a0 言ってくださいで
004.stcm2 0x145c 今日はどういたし
004.stcm2 0x14c0 ましょう？
004.stcm2 0x151c どうぞ、なんでも
004.stcm2 0x1580 お申し付けくださ
004.stcm2 0x1638 今日はどうするで
004.stcm2 0x169c ありますか？
004.stcm2 0x16fc お好きな項目を選
004.stcm2 0x1760 んでいただきたい
004.stcm2 0x17c4 であります
005.stcm2 0x21c プロローグ〜草壁桜の日常〜
005.stcm2 0x330 僕の名前は草壁桜（くさかべさくら）。
005.stcm2 0x394 この際なので言ってしまいますが、
005.stcm2 0x3e4 僕は頭脳も外見も性格も、人より優れた男です。
005.stcm2 0x450 １４歳にしてこれほどの力を発揮する僕は、
005.stcm2 0x4a8 その将来が自分でも恐ろしいです。
005.stcm2 0x508 そんな僕は、なにがあっても動じないココロと
005.stcm2 0x560 カラダを持った中学二年生。
005.stcm2 0x5b8 ……になりたいです。
005.stcm2 0x60c というのも、僕の部屋にトンデモナイものが
005.stcm2 0x664 住み着いてしまったからです。
005.stcm2 0x6c0 そして、僕は今も【それ】から逃げ出してきた
005.stcm2 0x718 ところなのです。
005.stcm2 0x768 それは……。
005.stcm2 0xba4 ドクロちゃん
005.stcm2 0xbe0 「桜く〜ん、み〜っけ！」
005.stcm2 0xcb8 「うあああッ！！　ドクロちゃん、ギブギブ！！
005.stcm2 0xd14 ピンチ！　僕はいきなりピンチからですか！？」
005.stcm2 0xf54 ご紹介しましょう！　ドクロちゃんです！　今
005.stcm2 0xfac にも僕をシめ殺さんばかりの勢いの女の子です。
005.stcm2 0x1008 僕の足なんか、地面から浮いちゃってますよ！
005.stcm2 0x10f0 そんな中、背中に押し当てられる感触が主に２
005.stcm2 0x1148 つ。ドクロちゃんはいつも僕のハートをいろい
005.stcm2 0x11a0 ろな意味で直撃します。
005.stcm2 0x12b4 恐るべきと言う他はない成長を見せるその柔ら
005.stcm2 0x130c かさは、小学生のような身長しか持たない彼女
005.stcm2 0x1364 にアンバランスな危険さを持たせています。
005.stcm2 0x13cc さらには僕の名前を呼ぶ、砂糖よりも甘く、く
005.stcm2 0x1424 りくりした声。男ならこんな声で名前を呼ばれ
005.stcm2 0x147c てみたいものだと思うでしょうか？
005.stcm2 0x14dc でも、そんな考えはドクロちゃんの声よりも甘
005.stcm2 0x1534 いのです。
005.stcm2 0x15d4 「ドド、ドクロちゃん……？　その、なんと言
005.stcm2 0x162c うか……」
005.stcm2 0x1674 物理的にも、精神的にも追い込まれた僕は精一
005.stcm2 0x16cc 杯の平静を保って答えます。大丈夫、僕ならで
005.stcm2 0x1724 きるさ。
005.stcm2 0x17c4 「ま、まだ利き牛乳やるの？　もうおなかガブ
005.stcm2 0x181c ガブだよゥォアアア！！　それに全然当たらな
005.stcm2 0x1874 いしィヌゥゥゥ……！！（びくびくっ！）」
005.stcm2 0x1ab0 話している間にもドクロちゃんはその手をゆる
005.stcm2 0x1b08 めません。いえ、ときどき力を強くして僕の反
005.stcm2 0x1b60 応を楽しんでいる疑いさえあります。
005.stcm2 0x1bc0 ちなみに利き牛乳とは牛乳を飲んで、それがど
005.stcm2 0x1c18 このメーカーの牛乳かを当てるゲームです。
005.stcm2 0x1c80 ドクロちゃんルールのキビしいところは、産地
005.stcm2 0x1cd8 まで当てなくては正解にならないところです。
005.stcm2 0x1d40 当然、正解するまでゲームは続き、そのあまり
005.stcm2 0x1d98 のカコクさに僕のおなかは戦闘続行を拒否。気
005.stcm2 0x1df0 が付けば、自分の部屋まで逃げていました。
005.stcm2 0x1e80 ドクロちゃん
005.stcm2 0x1ebc 「違うよ？　次は利きイチゴ牛乳だもん」
005.stcm2 0x1f78 「どこが違うの！？　修飾語ひとつで僕のおな
005.stcm2 0x1fd0 かはごまかせないよ？」
005.stcm2 0x204c ドクロちゃん
005.stcm2 0x2088 「桜くん！　声大きい。……おクチ、ピーだよ」
005.stcm2 0x214c 「ピー、じゃないよ！　しー、だよそれは！！
005.stcm2 0x21a4 今の会話は、誰に聞かれちゃいけないの！？」
005.stcm2 0x2234 ドクロちゃん
005.stcm2 0x2270 「１２歳の女の子？」
005.stcm2 0x231c 「じゃあ、今この部屋のどこに１２歳の女の子
005.stcm2 0x2374 がいるの？」
005.stcm2 0x23e8 ドクロちゃん
005.stcm2 0x2424 「きゃっ、桜くんがまたすごい目で１２歳の女
005.stcm2 0x247c の子をさがしてるっ！」
005.stcm2 0x2610 「うはァッッ！！　さがしてないさがしてない！
005.stcm2 0x266c ドクロちゃん、あぁ……やめぶふァッ！！」
005.stcm2 0x299c ここに来てドクロちゃんは、最大パワーで僕を
005.stcm2 0x29f4 引きちぎりにかかったようです。出ちゃう！
005.stcm2 0x2a4c 中身、出ちゃう！！
005.stcm2 0x2a9c 最大パワーで抱きしめられれば、自然と背中の
005.stcm2 0x2af4 感触もピークを迎えます。
005.stcm2 0x2b4c つまり極限までイタキモチイイこの地獄は、い
005.stcm2 0x2ba4 つ終わるとも知れず僕を責めたてるということ
005.stcm2 0x2d80 「ぅぉッ！　ぅおおおオオゥアアアッッ！！」
005.stcm2 0x2e10 ドクロちゃん
005.stcm2 0x2e4c 「やめて！　桜くんもうやめて！」
005.stcm2 0x2f04 「く……やめるのはドクロちゃん！！　ダメ、
005.stcm2 0x2f5c ダメなの！！　これ、すごいから！！　む、胸
005.stcm2 0x2fb4 が！　ドクロちゃんの胸が！」
005.stcm2 0x3010 そして、僕の胸は今にもつまりそうです。
005.stcm2 0x3208 ドクロちゃん
005.stcm2 0x3244 「え……あ？　……きゃぅぅぅぅッ！！」
005.stcm2 0x3488 かわいらしい悲鳴と共に手がほどかれ、代わっ
005.stcm2 0x34e0 てその手に握られるのは、僕を一撃するための
005.stcm2 0x3538 とげバット。
005.stcm2 0x35e0 抱きしめられ、足が浮いていた僕はそのまま着
005.stcm2 0x3638 地を試み、
005.stcm2 0x3ac4 「……え？　ちょ、ちょ、ま、まっぶるふぁッ
005.stcm2 0x3ebc バットスイングで吹き飛びました！！
005.stcm2 0x3f1c その瞬間、僕の身体は【ぼぐじゃああ】という、
005.stcm2 0x3f78 長い人生でも僕くらいしか聞く機会がなさそう
005.stcm2 0x3fd0 な音を立てたのです。
005.stcm2 0x4228 それを行ったのは、ドクロちゃんの手に握られ
005.stcm2 0x4280 たとげとげ付きの鋼鉄のカタマリ。
005.stcm2 0x4388 これが、かの有名な
005.stcm2 0x43c8 【撲殺バット　エスカリボルグ】です。
005.stcm2 0x442c 鋼鉄でできているコレをドクロちゃんは
005.stcm2 0x4480 いとも簡単に振り回すから困りものです。
005.stcm2 0x465c ドクロちゃん
005.stcm2 0x4698 「ああっ！　ごめんなさいっ！　カラダが勝手
005.stcm2 0x4738 彼女はそう言うと、その凶器を握りなおし、
005.stcm2 0x4790 魔法のステッキのように軽快に振り回します。
005.stcm2 0x4948 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
005.stcm2 0x4bf8 するとあら不思議。部屋中を赤く彩った僕は、
005.stcm2 0x4c50 一瞬で超回復。
005.stcm2 0x4d44 あらかじめ完成品を用意してある料理番組のよ
005.stcm2 0x4d9c うな手際のよさで、僕は見事に復活を果たしま
005.stcm2 0x4f98 これがエスカリボルグ、そして天使の力。
005.stcm2 0x4fec このバットで撲殺しても、彼女ならば復活させ
005.stcm2 0x5044 ることができるのです。
005.stcm2 0x5098 天使たちはみんな、このエスカリボルグのよう
005.stcm2 0x50f0 な魔法のアイテムを持っているのです。
005.stcm2 0x5144 便利ですね。
005.stcm2 0x51e8 「もう撲殺はやめようよ……。
005.stcm2 0x5234 僕たちはそろそろ大人への階段をのぼるべきだ
005.stcm2 0x528c と思うよ、ドクロちゃん」
005.stcm2 0x53cc ドクロちゃん
005.stcm2 0x5408 「だって、桜くんがボクにオトナの階段をのぼ
005.stcm2 0x5460 らせようと……」
005.stcm2 0x5530 「してないよそんなの！　だいたい、ドクロちゃ
005.stcm2 0x558c んは僕の味方をするために未来から来たんじゃ
005.stcm2 0x55e4 ないの！？」
005.stcm2 0x56cc そうなのです。このめちゃくちゃキュートで、
005.stcm2 0x5724 僕に対してはとってもシビアな女の子は、何を
005.stcm2 0x577c 隠そう未来の世界からやって来た天使なのです。
005.stcm2 0x57e8 未来から来たというだけでもびっくりなのに、
005.stcm2 0x5840 さらに天使だなんて！　信じられないヒトはド
005.stcm2 0x5898 クロちゃんの頭の上を見てください。
005.stcm2 0x598c 見ればほら、天使のわっかがぷかぷかと浮いて
005.stcm2 0x59e4 いるではありませんか。
005.stcm2 0x5ab8 そんな天使である彼女の話によれば、僕は未来
005.stcm2 0x5b10 で不老不死の薬を完成させてしまうらしいので
005.stcm2 0x5bac しかし、その話には続きがあって、その薬は僕
005.stcm2 0x5c04 が自分の願望をかなえるための研究中に偶然で
005.stcm2 0x5c5c きてしまったのだとか。
005.stcm2 0x5cf0 その願望とは、女性がずっと幼いままの姿でい
005.stcm2 0x5d48 る世界の実現。
005.stcm2 0x5d94 そう、未来の僕は世界中の女性の姿を、すべて
005.stcm2 0x5dec １２歳にしてしまうのですっ！
005.stcm2 0x5e48 しかし、不老不死の実現はカミサマの領域に近
005.stcm2 0x5ea0 づく行為。天使たちがそれを見過ごすことはあ
005.stcm2 0x5ef8 りません。
005.stcm2 0x5f40 そして、天使たちにより僕の抹殺が決定され、
005.stcm2 0x5f98 それに反対したドクロちゃんは僕を守るために
005.stcm2 0x5ff0 やって来ました。
005.stcm2 0x6040 ……本当でしょうか？　ちなみに僕は今でも信
005.stcm2 0x6098 じていません。なぜなら、この僕がそんなこと
005.stcm2 0x60f0 をするはずが無いからです。
005.stcm2 0x6148 ドクロちゃんが天使なのもあまり信じたくはな
005.stcm2 0x61a0 いですが、さすがにこれは信じようにも僕のタ
005.stcm2 0x61f8 マシイが否定します。断じて、ない！
005.stcm2 0x6258 ……さて、話を現実に戻しましょう。
005.stcm2 0x6378 「……ドクロちゃんはどうしていつも、僕につ
005.stcm2 0x63d0 らく当たるの？」
005.stcm2 0x6530 ドクロちゃん
005.stcm2 0x656c 「ボクはいつでも桜くんの味方だよっ！」
005.stcm2 0x6628 「そう言えば、ドクロちゃんはすっごい素敵な
005.stcm2 0x6680 笑顔でウソつけるコなんだもんね……」
005.stcm2 0x66e4 ドクロちゃんは、味方にするにはちょっとキビ
005.stcm2 0x673c し過ぎるのです。
005.stcm2 0x678c ドクロちゃんが味方だと言うのなら、どうして
005.stcm2 0x67e4 僕は味方からの爆撃をこんなにも受けているの
005.stcm2 0x683c でしょうか。
005.stcm2 0x6970 ドクロちゃん
005.stcm2 0x69ac 「知らないの？　ライオンは、わが子を地獄の
005.stcm2 0x6a04 底にたたき落すんだよ？」
005.stcm2 0x6ab4 「どんな動物なのそれ！？　なにライオン？
005.stcm2 0x6b0c 落とすなら谷底だよ、谷底！　子どもたち、ま
005.stcm2 0x6b64 ず生き残れないじゃん！！」
005.stcm2 0x6ca0 ドクロちゃん
005.stcm2 0x6cdc 「桜くんっておもしろい（くすくす）」
005.stcm2 0x6d98 「ああ――もうッ！　言葉とはこんなにも無力
005.stcm2 0x6df0 なものでしたっけ！？」
005.stcm2 0x6e44 誰に向けてのものなのかも定かではない僕の
005.stcm2 0x6e9c 疑問には、やっぱり誰も答えてはくれません。
005.stcm2 0x6f04 ドクロちゃんは聞く耳など持っていないのです。
005.stcm2 0x6f60 持っていてもそれは、都合の悪いことが聞こえ
005.stcm2 0x6fb8 ない仕組みになっているに違いありません。
005.stcm2 0x7020 このように、いつも僕の日常は彼女によって
005.stcm2 0x7078 コナゴナに打ち砕かれてしまいます。
005.stcm2 0x7178 ――これは日常も僕もまとめてコナゴナにして
005.stcm2 0x71d0 しまう天使の女の子と、ごく普通の中学二年生
005.stcm2 0x7228 が共に生きた証となり得る愛と友情の物語です。
006.stcm2 0x1c0 第１話　はじまったですぅ
006.stcm2 0x420 利き牛乳から一夜明けて、昼過ぎのゆるやかな
006.stcm2 0x478 時間。外は太陽がさんさんと輝き、さわやかな
006.stcm2 0x4d0 午後です。
006.stcm2 0x518 学校から帰った僕は部屋でくつろぎ、ドクロちゃ
006.stcm2 0x574 んはすぐそこの押し入れの中で昼寝の真っ最中。
006.stcm2 0x5e0 彼女は学校から帰ると着替えもせずに、陸に打
006.stcm2 0x638 ち揚げられたゴマフアザラシのような動きで押
006.stcm2 0x690 し入れの中へと入っていきました。
006.stcm2 0x6f0 僕の部屋にある押し入れの上段が彼女の寝床な
006.stcm2 0x748 のですから、もう大変。僕は毎日、彼女の寝息
006.stcm2 0x7a0 を聞いているのです。
006.stcm2 0x7f4 耐えられますか？　いえ、耐えて見せましょう！
006.stcm2 0x860 耐えガタキを耐え、忍びガタキを忍ぶ。僕はな
006.stcm2 0x8b8 んとも男らしく成長したものです。
006.stcm2 0x918 だから、押し入れから悩ましげな声が聞こえた
006.stcm2 0x970 としても、決して動揺などしないのですっ！
006.stcm2 0xa1c ドクロちゃん
006.stcm2 0xa58 「ん、はぁ……うッ……んぁッ！」
006.stcm2 0xae0 こ、これはなんの攻撃でしょうか！？　僕は、
006.stcm2 0xb38 僕は動揺なんてシテマセンヨ？（心の声、裏返
006.stcm2 0xb90 りがちに）
006.stcm2 0xcc0 僕の手は震えていますが、それは夏も終わり涼
006.stcm2 0xd18 しげな日が増えてきたせいであって、ドクロちゃ
006.stcm2 0xd74 んの声のせいなどではありません。
006.stcm2 0xdd4 僕は汗をかいていますが、それは夏が終わって
006.stcm2 0xe2c もまだまだ暑い日が続いているせいであって、
006.stcm2 0xe84 ドクロちゃんの声のせいなどでは――ッ！
006.stcm2 0xf8c 僕は無言で立ち上がると、勇者のように押し入
006.stcm2 0xfe4 れを調べてみることにしました。
006.stcm2 0x14dc 僕の足は押し入れに近づいていきます。耳の奥
006.stcm2 0x1534 ではドクンドクンと迫力のあるＢＧＭが聞こえ
006.stcm2 0x158c ていました。
006.stcm2 0x15d8 そして押し入れの戸に、その震えながら汗ばん
006.stcm2 0x1630 だ手をかけ、一息に、
006.stcm2 0x1764 スパァン！
006.stcm2 0x1804 「ドクロちゃん！？　僕もう……！」
006.stcm2 0x1be4 ドクロちゃん
006.stcm2 0x1c20 「きゃぅぅぅぅぅ……」
006.stcm2 0x1c74 我慢できない……、と言いかけて、僕は言葉を
006.stcm2 0x1ccc つまらせました。
006.stcm2 0x1e04 そこにいたのは、足を押さえて小刻みに震えて
006.stcm2 0x1e5c いるドクロちゃんでした。
006.stcm2 0x1eb4 足だけでなく声まで震えています。いつもは僕
006.stcm2 0x1f0c を震え上がらせる彼女に、いったいナニが襲い
006.stcm2 0x1f64 かかったというのでしょう。
006.stcm2 0x2014 「ちょっと、どうしたの……？」
006.stcm2 0x2098 ドクロちゃん
006.stcm2 0x20d4 「あっ、きゃぅ！　見ちゃだめええええ！！」
006.stcm2 0x248c その声が聞こえると同時に、僕は押し入れから
006.stcm2 0x24e4 突き飛ばされていました。急いで上体を起こす
006.stcm2 0x253c と、目の前にはエスカリボルグが……！
006.stcm2 0x2a40 「あ、ごめん！　ドクロちゃっごはぁ！」
006.stcm2 0x2dfc ソレは僕のみぞおちのあたりに直撃。後方に赤
006.stcm2 0x2e54 い染みを展開します。
006.stcm2 0x2ea8 ドクロちゃんは【ドーナツの真ん中の部分が食
006.stcm2 0x2f00 べたい】といつも言っていますが、その気持ち
006.stcm2 0x2f58 も今ならわかる気がします。
006.stcm2 0x2fb0 それはぽっかりと穴があいたような気分。
006.stcm2 0x3004 真ん中って重要だよね。
006.stcm2 0x3284 ドクロちゃん
006.stcm2 0x32c0 「あっ、ごめんなさい！　桜くん痛かった！？」
006.stcm2 0x332c ドクロちゃんはエスカリボルグを握りなおすと、
006.stcm2 0x3388 即座に魔法の儀式に取りかかります。
006.stcm2 0x3578 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
006.stcm2 0x3828 バットを振ってきらめき一閃、僕の後方の赤い
006.stcm2 0x3880 染みはみるみるうちに集まって、僕は失ったも
006.stcm2 0x38d8 のを取り戻していきます。おかえり！
006.stcm2 0x3b18 そう言えば、以前にもドクロちゃんの寝起きの
006.stcm2 0x3b70 悪さのせいでひどい目にあった気がします。
006.stcm2 0x3c44 ああ……思い出されるだけでも痛々しい。
006.stcm2 0x3ca8 僕は元通りになったおなかをさすりながら、ド
006.stcm2 0x3d00 クロちゃんに恨めしげな視線を送ります。
006.stcm2 0x3dbc 「……ドクロちゃん、さっきのうめき声はなん
006.stcm2 0x3e14 だったの？」
006.stcm2 0x3f48 ドクロちゃん
006.stcm2 0x3f84 「肉離れしちゃったの！」
006.stcm2 0x3fdc 肉離れ？　というとスポーツ選手が競技中になっ
006.stcm2 0x4038 たりするアレのことでしょうか？
006.stcm2 0x40ec 「ドクロちゃん、よくそんな言葉知ってるね……
006.stcm2 0x4148 でも、寝てて肉離れはあんまりないと思うよ」
006.stcm2 0x41b0 恐らくは足をつってしまったとか、その辺の事
006.stcm2 0x4208 情でしょう。っていうか、もう治ってるっぽい
006.stcm2 0x4260 ですし。
006.stcm2 0x42ec ぴ〜んぽ〜ん♪
006.stcm2 0x4478 「あれ？」
006.stcm2 0x44c0 今の音は草壁家の呼び鈴の音。どうやらお客さ
006.stcm2 0x4518 んのようです。
006.stcm2 0x4564 お父さんもお母さんも家にはいませんし、誰か
006.stcm2 0x45bc 来るとも聞いていないので、宅配便かなにかで
006.stcm2 0x4614 しょうか？
006.stcm2 0x46b4 「ちょっと行ってくるね」
006.stcm2 0x470c ここは僕がきちんと応対をするのがスジっても
006.stcm2 0x4764 のです。なぜならお父さんお母さんは僕に留守
006.stcm2 0x47bc を任せて行ったのですから！
006.stcm2 0x4870 僕はいくらか立派になった自分の背中をドクロ
006.stcm2 0x48c8 ちゃんに見せながら、１階へと下りていくこと
006.stcm2 0x4920 にしました。
006.stcm2 0x4d14 階段を下りると、そこには真っ白な軍服をパリッ
006.stcm2 0x4d70 と着こなしたザクロちゃんがいました。
006.stcm2 0x4e2c 「あ、ザクロちゃん大丈夫、僕が出るから」
006.stcm2 0x4f7c ザクロちゃん
006.stcm2 0x4fb8 「桜さん……そうですか。それではお任せしま
006.stcm2 0x5054 長身のザクロちゃんが、やわらかなほほえみを
006.stcm2 0x50ac 浮かべて半歩下がりました。
006.stcm2 0x5104 ザクロちゃんは一言で言って、しっかり者です。
006.stcm2 0x5160 彼女は気配りのできる子で、家事などもお手の
006.stcm2 0x51fc 彼女によってピカピカにされたお皿の数は、両
006.stcm2 0x5254 手の指では足りません。もちろん料理も上手で、
006.stcm2 0x52b0 言うことナシです。
006.stcm2 0x5300 もし天使などというものがこの世にいるとした
006.stcm2 0x5358 ら、それは彼女のような人（天使）に違いあり
006.stcm2 0x53b0 ません。実際、そうですし。
006.stcm2 0x549c ほら、ザクロちゃんの頭の上にはドクロちゃん
006.stcm2 0x54f4 とおそろいの天使のわっか。
006.stcm2 0x55cc 実はこのザクロちゃん、ドクロちゃんの妹です。
006.stcm2 0x5628 つまり、ドクロちゃんよりも年下なわけです。
006.stcm2 0x5690 聞いて驚くなかれ、彼女はまだ９歳だと言うの
006.stcm2 0x572c ９歳にしてこの身長、スタイル。外見は９歳と
006.stcm2 0x5784 言うより１９歳ですが、やっぱり純真無垢な９
006.stcm2 0x57dc 歳の心の持ち主なのです。
006.stcm2 0x5a24 ドクロちゃん
006.stcm2 0x5a60 「あ、ザクロちゃん！　おはよ〜」
006.stcm2 0x5ba4 ザクロちゃん
006.stcm2 0x5be0 「おはようございます、おねえさま」
006.stcm2 0x5c40 ドクロちゃんも階段を下りてきました。
006.stcm2 0x5cfc 「なんだ、ドクロちゃんも下りて来たの？
006.stcm2 0x5d50 別にいいのに」
006.stcm2 0x5d9c ザクロちゃんは、ドクロちゃんにもやさしげな
006.stcm2 0x5df4 マナザシを向けています。
006.stcm2 0x5e4c そこには尊敬や愛情が込められており、本当に
006.stcm2 0x5ea4 ドクロちゃんのことが好きなんだということが
006.stcm2 0x5efc うかがい知れます。
006.stcm2 0x5f4c こんなとき、ほんの少しだけうらやましくなる
006.stcm2 0x5fa4 のは僕が１人っ子だからでしょうか？
006.stcm2 0x60e8 ドクロちゃん
006.stcm2 0x6124 「じゃあ、みんなでお客さんを迎えようよ！」
006.stcm2 0x6274 ザクロちゃん
006.stcm2 0x62b0 「それはいい考えですね」
006.stcm2 0x6360 「えっ？　それっていい考えなの？」
006.stcm2 0x63c0 僕だったら、訪ねた先がパーティ会場でもない
006.stcm2 0x6418 限り、３人もの人に出迎えられたら驚くと思い
006.stcm2 0x6470 ます。しかも２人は天使のわっか付きで。
006.stcm2 0x64d4 でも別にダメではないし、あまりお客さんを待
006.stcm2 0x652c たせるのも何なので、まずは玄関の扉を開ける
006.stcm2 0x6584 ことにしました。
006.stcm2 0x65d4 カチリとカギを外し、声をかけます。
006.stcm2 0x668c 「どうぞ」
006.stcm2 0x6830 果たして運命の扉は開かれました。
006.stcm2 0x68b8 その音があまりに普通なので、誰もそれが新た
006.stcm2 0x6910 な展開を呼び込むものだとは思いもしなかった
006.stcm2 0x6968 のです。
006.stcm2 0x6c34 「失礼いたします！」
006.stcm2 0x6cb0 大きく、はっきりした声と口調。それは映画な
006.stcm2 0x6d08 どで見た軍人を思わせるものでした。
006.stcm2 0x6da8 もしかしたら、ザクロちゃんにはこういう口調
006.stcm2 0x6e00 が似合うかもしれません。
006.stcm2 0x6e58 かつんと音を立てて、玄関から入ってくる
006.stcm2 0x6eac ショートカットの女性。
006.stcm2 0x6fa8 頭上に金色のわっかまで浮かべるその外見は、
006.stcm2 0x7000 【ファッション】という言葉で片づけるにはあ
006.stcm2 0x7058 まりに奇抜で、
006.stcm2 0x70a4 ……まるで、天使のようでした。
006.stcm2 0x7180 びしりとした敬礼と共に一声。
006.stcm2 0x7238 「自分はドクロ殿とザクロ殿、ならびにサバト
006.stcm2 0x7290 殿の点呼、および健康診断を行いに参上した、
006.stcm2 0x72e8 虚ヰ（うつろい）ベノムという者であります！」
006.stcm2 0x737c ベノムちゃん
006.stcm2 0x73b8 「ベノムちゃんと、呼んでいただきたい！」
006.stcm2 0x7420 ここまでを一息に言うと、じっとしたままこち
006.stcm2 0x7478 らの反応をまっているかのようでした。
006.stcm2 0x74dc その声に、その姿に、僕を含む３人は固まって
006.stcm2 0x7534 しまいました。
006.stcm2 0x759c ――これは、誰も予想し得なかった初登場の天
006.stcm2 0x75f4 使による、毒々しいまでに健康的な物語。
006.stcm2 0x7a58 「ええっ！　それどういう意味なんですか！？」
006.stcm2 0x7bac ベノムちゃん
006.stcm2 0x7be8 「はい。毎年、任務で各地に散った天使たちの
006.stcm2 0x7c40 点呼を取り、健康診断を行うのであります」
006.stcm2 0x7d90 ベノムちゃん
006.stcm2 0x7dcc 「それを管理、実行するのが自分の所属します
006.stcm2 0x7e24 【天使による人員点呼および健康保全機構】。
006.stcm2 0x7e7c 通称、スーヴェリージュであります」
006.stcm2 0x7f34 「天使の団体ってルルティエ以外にもあったん
006.stcm2 0x7fd4 僕たちは、突如として現れた新たな天使、ベノ
006.stcm2 0x802c ムちゃんを居間に招き入れ、その話を聞いてい
006.stcm2 0x8084 ました。
006.stcm2 0x80cc ちなみに話に出てきたルルティエというのは、
006.stcm2 0x8124 ドクロちゃんとザクロちゃんが所属する【天使
006.stcm2 0x817c による神域戒厳会議】という組織の通称です。
006.stcm2 0x81e4 実は、そのルルティエが未来で不老不死の技術
006.stcm2 0x823c を開発するという僕を、抹殺しようとしたので
006.stcm2 0x8494 ドクロちゃんはルルティエに所属しながら、僕
006.stcm2 0x84ec を抹殺させまいと、僕の元にやってきた天使で
006.stcm2 0x8588 なんでも、ドクロちゃんは僕を抹殺することな
006.stcm2 0x85e0 く未来を変えるのだとか。ですが、これはウソ
006.stcm2 0x867c 僕はドクロちゃん以外に抹殺されたことがあり
006.stcm2 0x86d4 ませんからねっ！
006.stcm2 0x8724 まあ、抹殺されるたびに、よみがえってますけ
006.stcm2 0x877c ど……。というか、抹殺というよりは撲殺なの
006.stcm2 0x87d4 ですが……。
006.stcm2 0x887c そしていろいろあって、なんとかルルティエは
006.stcm2 0x88d4 僕を抹殺することを保留してくれました。そこ
006.stcm2 0x892c で派遣されたのが、ザクロちゃんです。
006.stcm2 0x8af0 あくまで保留なので、ザクロちゃんは僕を監視
006.stcm2 0x8b48 するためにやってきました。そんなザクロちゃ
006.stcm2 0x8ba0 んも、今では家族同然。
006.stcm2 0x8bf4 僕は監視されてるなんて思ってはいませんし、
006.stcm2 0x8c4c むしろ【僕をもっと見て！】と言いたいくらい
006.stcm2 0x8d9c 「それにしても、いそがしそうな仕事ですね」
006.stcm2 0x8f8c ベノムちゃん
006.stcm2 0x8fc8 「いえ。ルルティエをサポートするのが、我々
006.stcm2 0x9020 スーヴェリージュの職務でありますから。ルル
006.stcm2 0x9078 ティエの方々のご苦労に比べれば……」
006.stcm2 0x92c0 ドクロちゃん
006.stcm2 0x92fc 「へー」
006.stcm2 0x939c 「へー、ってドクロちゃん、知らなかったの？」
006.stcm2 0x9570 ドクロちゃん
006.stcm2 0x95ac 「う、うぅんっ、知ってたよ？　あたりまえで
006.stcm2 0x9604 しょ！？　……ほんとうだよ？　ボク、知って
006.stcm2 0x965c たもん、ボクは天使だもんっ！！」
006.stcm2 0x99f4 「ィイ痛痛痛痛ッ！　や、やめてよドクロちゃ
006.stcm2 0x9a4c ん！　僕はぜんぜん疑ってないよ！？　認めま
006.stcm2 0x9aa4 す！　キミは天使だよ！」
006.stcm2 0x9d70 ザクロちゃん
006.stcm2 0x9dac 「そうですか……もうそんな時期になったので
006.stcm2 0x9e04 すね……」
006.stcm2 0x9e4c 一緒に話を聞いていたザクロちゃんは、ぽつり
006.stcm2 0x9ea4 とこぼしました。
006.stcm2 0x9f4c 「どうしたの、ザクロちゃん？」
006.stcm2 0xa090 ザクロちゃん
006.stcm2 0xa0cc 「いえ……なんでもありません」
006.stcm2 0xa128 どうしたのでしょう。ザクロちゃんの表情は決
006.stcm2 0xa180 して明るくありません。
006.stcm2 0xa1d4 ですが、なんでもないと言うのであれば、きっ
006.stcm2 0xa22c と大丈夫。ザクロちゃんは９歳ですが意外としっ
006.stcm2 0xa288 かり者なのです。
006.stcm2 0xa334 とにかく、今はベノムちゃんの話を聞くことに
006.stcm2 0xa38c しましょう。
006.stcm2 0xa590 「ええと、それでベノムちゃんはドクロちゃん
006.stcm2 0xa5e8 たちの点呼と健康診断を……？」
006.stcm2 0xa72c ベノムちゃん
006.stcm2 0xa768 「はっ！　このたびの自分の担当は三塚井（み
006.stcm2 0xa7c0 つかい）ドクロ殿、ザクロ殿、三橋檎（みはし
006.stcm2 0xa818 ご）サバト殿であります！」
006.stcm2 0xa870 三塚井というのは、ドクロちゃんの苗字です。
006.stcm2 0xa8c8 もっとも、普段あまり使うものではありません。
006.stcm2 0xaa78 ベノムちゃん
006.stcm2 0xaab4 「……ですが、問題はサバト殿であります」
006.stcm2 0xab9c 「サバトちゃんが？」
006.stcm2 0xabf0 サバトちゃんと言うのは、ここにいないもう
006.stcm2 0xac48 １人の天使です。
006.stcm2 0xac98 そのサバトちゃんがどうしたのでしょうか。
006.stcm2 0xacf0 問題なんて言われると、緊張が走ります。
006.stcm2 0xad54 ごくり、とのどを鳴らし、ベノムちゃんの次の
006.stcm2 0xadac 言葉を待ちました。
006.stcm2 0xaee4 ベノムちゃん
006.stcm2 0xaf20 「ルルティエに問い合わせても、サバト殿だけ
006.stcm2 0xaf78 は居場所が特定できませんでした」
006.stcm2 0xb04c 「あ……なるほど」
006.stcm2 0xb350 ベノムちゃんの来訪からすぐあと、僕は近所の
006.stcm2 0xb3a8 公園に来ていました。
006.stcm2 0xb3fc この公園はアバランチ公園といい、僕の知り合
006.stcm2 0xb454 いが住んでいるのです。ベノムちゃんが居場所
006.stcm2 0xb4ac を特定できない、あの子が。
006.stcm2 0xb504 いえ。聞き間違いではないですよ？　僕は今、
006.stcm2 0xb55c 確かに【住んでいる】と言いました。
006.stcm2 0xb5bc 僕は、ここに住んでいる【天使】を迎えに来た
006.stcm2 0xb614 のです。
006.stcm2 0xb6f4 「あ、いたいた。サバトちゃーん！」
006.stcm2 0xb8dc 僕の視線の先には、立派な２本のツノを生やし
006.stcm2 0xb934 たクリーム色の髪の美少女。彼女がサバトちゃ
006.stcm2 0xb98c んです。
006.stcm2 0xba68 さらにそのツノの間には金色に輝くわっか。彼
006.stcm2 0xbac0 女も天使である証明です。
006.stcm2 0xbb98 思えば、この娘との出会いも奇妙なものでした。
006.stcm2 0xbc48 若干、美化されていたような気もしますが……
006.stcm2 0xbca0 まあ、思い出ってそういうものですし。
006.stcm2 0xbd04 彼女は僕を抹殺するためにルルティエから派遣
006.stcm2 0xbd5c された天使。ですが、その任務はドクロちゃん
006.stcm2 0xbdb4 の活躍により失敗に終わりました。
006.stcm2 0xbe14 すると、任務に失敗したせいか、彼女はルルティ
006.stcm2 0xbe70 エからその存在を忘れられてしまったのです。
006.stcm2 0xbed8 生活費の支給はなく、住居の提供もない以上、
006.stcm2 0xbf30 サバトちゃんに残された道は、公園に住み着く
006.stcm2 0xbf88 ことだけでした。
006.stcm2 0xbfd8 そして、ルルティエが僕の抹殺を保留し、サバ
006.stcm2 0xc030 トちゃんが僕を殺す理由がなくなると、彼女は
006.stcm2 0xc088 僕と友だちになってくれたのです。
006.stcm2 0xc1d0 サバトちゃん
006.stcm2 0xc20c 「あ、桜くんですぅ！　こんにちはですぅ、
006.stcm2 0xc264 サバトにご用ですかぁ？」
006.stcm2 0xc314 「うん、ちょっとね」
006.stcm2 0xc368 のんびりとした声は、公園ののどかな雰囲気と
006.stcm2 0xc3c0 ぴったりです。いえいえ、決してバカにしてい
006.stcm2 0xc418 るわけではありません。
006.stcm2 0xc46c ドクロちゃんにザクロちゃん、さらにはサバト
006.stcm2 0xc4c4 ちゃんと僕の周りには美少女ぞろいです。です
006.stcm2 0xc51c が、僕にはもう心に決めた人がいますから！
006.stcm2 0xc66c サバトちゃん
006.stcm2 0xc6a8 「そうなんですかぁ。サバトでお役に立てる
006.stcm2 0xc700 ことなら、なんでも言ってくださいですぅ」
006.stcm2 0xc7c0 「えーとね、ちょっと僕の家まで来てほしいん
006.stcm2 0xc944 サバトちゃん
006.stcm2 0xc980 「ええッ！？　さ、桜くんのおうちに行くんで
006.stcm2 0xc9d8 すかぁ！？　ええと、桜くんのお父さまとお母
006.stcm2 0xca30 さまは……？」
006.stcm2 0xcad4 「いないけど」
006.stcm2 0xcc08 サバトちゃん
006.stcm2 0xcc44 「きゃああ！！　ま、まだはやいですぅ！」
006.stcm2 0xcd6c サバトちゃんは驚いたようにしながら、頬を赤
006.stcm2 0xcdc4 く染めています。これは、恥ずかしがっている
006.stcm2 0xce1c のでしょうか？
006.stcm2 0xcec0 「はやい？　サバトちゃんに会いたいって人が
006.stcm2 0xcf18 うちに来てるんだけど……」
006.stcm2 0xd058 サバトちゃん
006.stcm2 0xd094 「え？　……あ、そうでしたかぁ。
006.stcm2 0xd0e4 サバト、ちょっとはやとちりでしたぁ。
006.stcm2 0xd138 桜くんのおうちに行けばいいんですね？」
006.stcm2 0xd1f4 「うん。僕もサバトちゃんを呼びに来ただけだ
006.stcm2 0xd24c から、一緒に帰るよ」
006.stcm2 0xd384 サバトちゃん
006.stcm2 0xd3c0 「それは、わざわざありがとうですぅ」
006.stcm2 0xd424 笑顔で僕にお礼を言ってくれるサバトちゃん。
006.stcm2 0xd47c 彼女はとっても素直ないい子です。
006.stcm2 0xd4dc それだけに、今現在の不幸がかわいそうでなり
006.stcm2 0xd534 ません。
006.stcm2 0xd5fc サバトちゃんの後ろにはダンボールを主材料と
006.stcm2 0xd654 したあまり大きくはない建築物があります。こ
006.stcm2 0xd6ac れが今のサバトちゃんの家なのです。
006.stcm2 0xd74c まさか、公園のダンボールハウスに天使が住ん
006.stcm2 0xd7a4 でいるなんて誰も思わないでしょう。
006.stcm2 0xd884 彼女は明日の食事のアテもないサバイバル生活
006.stcm2 0xd8dc を営んでいるのです。
006.stcm2 0xd930 だから僕はいつサバトちゃんが【同情するなら
006.stcm2 0xd988 ナニかくれ！】とか言い出さないかとヒヤヒヤ
006.stcm2 0xd9e0 しているのです。
006.stcm2 0xda30 でも、サバトちゃんはそんなこと言う子じゃな
006.stcm2 0xda88 いので一安心といったところでしょう。
006.stcm2 0xdb44 「じゃあ、とりあえず行こうか？」
006.stcm2 0xdc8c サバトちゃん
006.stcm2 0xdcc8 「はいですぅ」
006.stcm2 0xdd14 僕たちは、待ち合わせ場所に到着してひとしき
006.stcm2 0xdd6c り話したあとのカップルみたいな言葉を交わし、
006.stcm2 0xddc8 ベノムちゃんの待つ、僕の家へ向かうのでした。
006.stcm2 0xe2b4 さて、戻って参りました我が家です。
006.stcm2 0xe37c ガチャリとドアを開くと、見慣れた風景です。
006.stcm2 0xe3d4 サバトちゃんを先に家の中に招き入れ、僕はあ
006.stcm2 0xe42c とに続いてドアを閉めます。
006.stcm2 0xe4dc 「ただいまー」
006.stcm2 0xe6b0 ザクロちゃん
006.stcm2 0xe6ec 「おかえりなさい、桜さん。サバトさん、おま
006.stcm2 0xe744 ちしていました」
006.stcm2 0xe984 サバトちゃん
006.stcm2 0xe9c0 「こんにちはですぅ。おじゃましますぅ」
006.stcm2 0xea24 僕が声を上げるやイナや、ザクロちゃんが迎え
006.stcm2 0xea7c に出てきてくれました。本当にできた子です。
006.stcm2 0xec00 「じゃ、どうぞ」
006.stcm2 0xec50 僕はそう言って、サバトちゃんをエスコートし
006.stcm2 0xeca8 ます。サバトちゃんは、そろそろくたびれてき
006.stcm2 0xed00 たクツを脱いで、ウチに上がりました。
006.stcm2 0xf174 ドクロちゃん
006.stcm2 0xf1b0 「さあ、ベノムちゃーん。この牛乳はどこので
006.stcm2 0xf208 しょーう？」
006.stcm2 0xf33c ベノムちゃん
006.stcm2 0xf378 「はっ、む、難しいでありますね……」
006.stcm2 0xf434 「ド、ドクロちゃん！　また初対面の人に利き
006.stcm2 0xf48c 牛乳なんかやらせて！　おもてなしは普通にな
006.stcm2 0xf4e4 さい！」
006.stcm2 0xf5ec 居間に入ると、そこではドクロちゃんがベノム
006.stcm2 0xf644 ちゃんに牛乳を飲ませていました。この子はも
006.stcm2 0xf7fc 「ベノムちゃんも、わざわざこんなのに付き合
006.stcm2 0xf854 わなくていいですから！」
006.stcm2 0xf994 ベノムちゃん
006.stcm2 0xf9d0 「いえ、結構なお手前で……」
006.stcm2 0xfa2c とにかく、ベノムちゃんのおなかがガブガブに
006.stcm2 0xfa84 なる前に戻ってこられて本当に良かったです。
006.stcm2 0xfb08 おなか……？
006.stcm2 0xfbe8 ベノムちゃんのおなかにちらりと視線を移しま
006.stcm2 0xfc40 す。そこにはかわいらしいおへそと、きゅっと
006.stcm2 0xfc98 しまった腰がアラワになっていました。
006.stcm2 0xfda4 よくよく見てみると、ベノムちゃんはすごい出
006.stcm2 0xfdfc で立ちです。
006.stcm2 0xfe48 肩まで外気にさらして、簡単に羽織った白衣。
006.stcm2 0xfea0 白い肌と、首筋にある謎の傷。
006.stcm2 0xfefc なぜか背中にはケモノの骨のようなものを背負っ
006.stcm2 0xff58 ており、肩口からのぞくその頭には赤十字があ
006.stcm2 0xffb0 しらってあります。
006.stcm2 0x10080 特に胸元なんか、もうすごいです！　ああダメ！
006.stcm2 0x100dc これ以上は僕の熱い視線に気付かれてしまいま
006.stcm2 0x10214 ……もうちょっとだけにしておきましょう！
006.stcm2 0x105d0 ベノムちゃん
006.stcm2 0x1060c 「さ、桜殿！？　な、なにやら目から紫色の煙
006.stcm2 0x10664 がもくもくと……！」
006.stcm2 0x10710 「涙です」
006.stcm2 0x10968 僕の涙は空気よりも軽いらしく、天井付近にた
006.stcm2 0x109c0 まっていきます。
006.stcm2 0x10b28 たちまち、天井がまるでヨウ素液をかけたジャ
006.stcm2 0x10b80 ガイモのような色になっていきました。
006.stcm2 0x10e38 ドクロちゃん
006.stcm2 0x10e74 「なにこれー！？」
006.stcm2 0x10ec4 ドクロちゃんは天井付近の気体に興味しんしん。
006.stcm2 0x10f20 でも、ドクロちゃんは背が低いので、手が届き
006.stcm2 0x10f78 ません。
006.stcm2 0x112ec まるで高いところの枝を切るハサミのようにエ
006.stcm2 0x11344 スカリボルグを使い、ゆっくりと紫の煙をかき
006.stcm2 0x1139c 混ぜます。
006.stcm2 0x114cc エスカリボルグはとっても重いのです。それな
006.stcm2 0x11524 のに、上に向けて無造作に振っていたら、どう
006.stcm2 0x1157c なるかと言うと……。
006.stcm2 0x116ac ドクロちゃん
006.stcm2 0x116e8 「あっ！　桜くん、あぶない！」
006.stcm2 0x11a9c ぼぐしゃああ！！
006.stcm2 0x11aec はずみで、それを落としてしまうのです。
006.stcm2 0x11b50 ドクロちゃんが、ぐらりとバランスを崩した瞬
006.stcm2 0x11ba8 間、重量感あふれるバットは激烈な音と共に、
006.stcm2 0x11c00 僕の頭に振り下ろされました。
006.stcm2 0x11c5c 結果、僕の身体は床に跳ね返って宙に舞うわけ
006.stcm2 0x11cf8 そしてそのまま、僕は雨を降らせました。それ
006.stcm2 0x11d50 はあたかも紫色の雲が赤色の雨を降らせている
006.stcm2 0x11da8 かのような光景で……。
006.stcm2 0x12028 ドクロちゃん
006.stcm2 0x12064 「ああっ、いっけなーい！　ボク、桜くんにな
006.stcm2 0x120bc んておわびしたら……」
006.stcm2 0x12110 ドクロちゃんは高枝切りバットを、くるくる。
006.stcm2 0x12168 すると、ドクロちゃんのおわびの心が、光となっ
006.stcm2 0x121c4 て赤い居間を照らしました。
006.stcm2 0x1236c ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
006.stcm2 0x12600 居間に降った恵みの雨は、川を流れ海に出るよ
006.stcm2 0x12658 うな動きを経て一箇所に集まり、再び僕の元へ
006.stcm2 0x126b0 と帰ってくるのです。
006.stcm2 0x12704 その間、わずか３秒半。それはちょっとしたス
006.stcm2 0x1275c ペクタクルでした。
006.stcm2 0x128ac 「ドクロちゃん、結果的に止めてくれたのは助
006.stcm2 0x12904 かったけど……もう少しやさしくお願いできな
006.stcm2 0x1295c いかな？」
006.stcm2 0x12b28 ドクロちゃん
006.stcm2 0x12b64 「うん。ボク、はじめてはやさしくするよっ。
006.stcm2 0x12bbc えへへっ」
006.stcm2 0x12c5c 「……はじめてじゃ、ないでしょ？」
006.stcm2 0x12cbc そこまでの一部始終を見ていたベノムちゃんは、
006.stcm2 0x12d18 目を見開いています。
006.stcm2 0x12f50 ベノムちゃん
006.stcm2 0x12f8c 「これが、ウワサの草壁桜殿……」
006.stcm2 0x1306c 「え、ウソッ！？　僕、こんなことで天使たち
006.stcm2 0x130c4 のウワサになってるの！？　イヤ！　そんなの
006.stcm2 0x1311c ヤだもん！　どんなの？　どんなウワサ！？」
006.stcm2 0x1326c ベノムちゃん
006.stcm2 0x132a8 「はっ！？　そちらにいらっしゃるのは、三橋
006.stcm2 0x13300 檎サバト殿であられますか？」
006.stcm2 0x133b4 「僕の質問は無視！」
006.stcm2 0x13620 サバトちゃん
006.stcm2 0x1365c 「え？　は、はいですぅ……。あ、天使……？」
006.stcm2 0x137b0 ベノムちゃん
006.stcm2 0x137ec 「桜殿、ご協力感謝いたします」
006.stcm2 0x138a0 「う、うん」
006.stcm2 0x138ec ベノムちゃんに僕のウワサを聞こうと思ったら、
006.stcm2 0x13948 話が本題に移ってしまいました。
006.stcm2 0x13a8c サバトちゃん
006.stcm2 0x13ac8 「サバトに、ご用なんですかぁ？」
006.stcm2 0x13c10 ベノムちゃん
006.stcm2 0x13c4c 「お初にお目にかかります、サバト殿。自分は
006.stcm2 0x13ca4 スーヴェリージュより参りました、虚ヰベノム
006.stcm2 0x13cfc という者であります」
006.stcm2 0x13e38 サバトちゃん
006.stcm2 0x13e74 「ええと、スーヴェリージュというと……健康
006.stcm2 0x13ecc 保全機構のですかぁ？」
006.stcm2 0x14008 ベノムちゃん
006.stcm2 0x14044 「はっ、その通りであります」
006.stcm2 0x140f8 「あ、サバトちゃんは知ってるんだ」
006.stcm2 0x14240 サバトちゃん
006.stcm2 0x1427c 「スーヴェリージュの人にお会いするのは初め
006.stcm2 0x142d4 てですけど、機構の存在は知っていたですぅ」
006.stcm2 0x143f4 ザクロちゃんも知っていたようですし、やっぱ
006.stcm2 0x1444c りドクロちゃんが……。
006.stcm2 0x1465c ……あ、ドクロちゃんがコチラを見ています。
006.stcm2 0x146b4 はい、ドクロちゃんももちろん知っていました
006.stcm2 0x1495c ベノムちゃん
006.stcm2 0x14998 「……さて。それでは、そろそろはじめるであ
006.stcm2 0x149f0 ります。まずはドクロ殿から……」
006.stcm2 0x14c3c ドクロちゃん
006.stcm2 0x14c78 「はーい！」
006.stcm2 0x14cc4 おお！　いよいよ、ベノムちゃんがその実力を
006.stcm2 0x14d1c 見せてくれるようです。
006.stcm2 0x14d70 ……と思ったところで、
006.stcm2 0x14fd0 ザクロちゃん
006.stcm2 0x1500c 「あの、ちょっとよろしいでしょうか……？」
006.stcm2 0x15074 ザクロちゃんが、申し訳なさそうに口を開きま
006.stcm2 0x151f8 ベノムちゃん
006.stcm2 0x15234 「……はい、なんでありますか？」
006.stcm2 0x1537c ザクロちゃん
006.stcm2 0x153b8 「わたくしは昨年すませましたので……」
006.stcm2 0x15504 ベノムちゃん
006.stcm2 0x15540 「そうでありましたな。今年は辞退であります
006.stcm2 0x15598 ね？　それでは、ザクロ殿の点呼だけ先にする
006.stcm2 0x155f0 であります」
006.stcm2 0x15724 ザクロちゃん
006.stcm2 0x15760 「お願いいたします」
006.stcm2 0x157d0 ベノムちゃんが立ち方を改めます。きりりとし
006.stcm2 0x15828 た真剣な顔つきになって、その名を呼びました。
006.stcm2 0x1597c ベノムちゃん
006.stcm2 0x159b8 「三塚井ザクロ殿ッ！」
006.stcm2 0x15af4 ザクロちゃん
006.stcm2 0x15b30 「はいッ！」
006.stcm2 0x15cd0 そのやり取りになにがあったのか、ベノムちゃ
006.stcm2 0x15d28 んのカラダが一瞬、強く光を放ちました。それ
006.stcm2 0x15d80 はまるでカメラのストロボのような光です。
006.stcm2 0x15fc0 「ま、まぶしッ！」
006.stcm2 0x16050 音がしそうなくらいの光の洪水は、まぶしいと
006.stcm2 0x160a8 思ったころにはすっかりなくなっていました。
006.stcm2 0x16190 「な、今の……なに？」
006.stcm2 0x162cc ベノムちゃん
006.stcm2 0x16308 「点呼をとった天使の情報を転送したのであり
006.stcm2 0x16360 ます。これで、ザクロ殿は終了です」
006.stcm2 0x164a8 ザクロちゃん
006.stcm2 0x164e4 「ありがとうございました」
006.stcm2 0x16594 「なるほど……出欠簿みたいなものなんだ……」
006.stcm2 0x16600 それなら納得です。確かに、光るくらいのこと
006.stcm2 0x16658 はしてくれた方が天使らしいじゃないですか。
006.stcm2 0x166c0 それにしても情報転送が光とは……しゃれてい
006.stcm2 0x16848 ベノムちゃん
006.stcm2 0x16884 「さて、それでは次はドクロ殿に……」
006.stcm2 0x16a58 かしゃー！　かしゃー！
006.stcm2 0x16b60 「ま、まぶしッ！」
006.stcm2 0x16bb0 なぜでしょう、ドクロちゃんの点呼は行われて
006.stcm2 0x16c08 いないというのに、またもやカメラのストロボ
006.stcm2 0x16c60 のような光が居間に満ちて……。
006.stcm2 0x16cf0 「いいザンス……！　実にいいザンスよ……！」
006.stcm2 0x16ef0 光の中からピンクのモヒカンが！！
006.stcm2 0x16fd0 「また出たな！　ザンスめ！」
006.stcm2 0x1706c この男はザンス。天使ですが、変態です。変な
006.stcm2 0x170c4 服に変なサングラス、変な性格に変な口癖と、
006.stcm2 0x1711c すごくダメな髪型の持ち主です。
006.stcm2 0x17178 もともとは僕の抹殺を阻止するというドクロちゃ
006.stcm2 0x171d4 んを手伝うために来たはずなのですが、彼の本
006.stcm2 0x1722c 当の目的は現在、不明です。
006.stcm2 0x17284 どうやらザンスはベノムちゃんの写真を撮って
006.stcm2 0x172dc いたようです。こういうヤカラとは、関わり合
006.stcm2 0x17334 いにならない方が幸せでしょう。
006.stcm2 0x17390 なので僕は、そのピンク色のモヒカンを追い出
006.stcm2 0x173e8 そうと近寄りました。
006.stcm2 0x17494 「いいかげんにしてください、ザンスさん！」
006.stcm2 0x176dc 「ああ！　桜くん、それはいけないザンス！
006.stcm2 0x17734 登場シーンはこれからザンス！」
006.stcm2 0x177e8 「それなら、３秒待ちましょう」
006.stcm2 0x1789c 僕はなんとジヒ深いのでしょう。一寸のザンス
006.stcm2 0x178f4 にも五分のタマシイです。
006.stcm2 0x17ad4 「そ、その時ザンスー！！　ミィがドクロちゃ
006.stcm2 0x17b2c んたちの健康診断を聞きつけてやってきたのは
006.stcm2 0x17b84 あぁぁぁぁッ！！」
006.stcm2 0x17c2c 「待ちましたから出てってください！！」
006.stcm2 0x17e74 ぐいぐいと押して、玄関の方へ。そもそもこの
006.stcm2 0x17ecc 変態天使はどこから入り込んだのでしょう。
006.stcm2 0x17f34 玄関から入ったのであれば、呼び鈴も鳴らさず
006.stcm2 0x17f8c に……失礼な！
006.stcm2 0x182e8 「ユゥは血も涙もあるくせに、ヒドイザンス！」
006.stcm2 0x183ac 「人間ですから！」
006.stcm2 0x185dc ベノムちゃん
006.stcm2 0x18618 「そちらの方は……」
006.stcm2 0x186c4 「ああ、ベノムちゃん、気にしないで。すぐに
006.stcm2 0x1871c 追い出し……」
006.stcm2 0x18768 ザンスは僕の腕をするりと抜けて、ベノムちゃ
006.stcm2 0x187c0 んに向き合います。
006.stcm2 0x18a00 「ユゥの名はベノムちゃんというザンスか？
006.stcm2 0x18a58 ミィはザンスという者ザンス！」
006.stcm2 0x18ab4 しまった！　僕はこの変態に余計な情報を与え
006.stcm2 0x18b0c てしまったようです。
006.stcm2 0x18b60 だって、こんなにかわいい女の子を前にザンス
006.stcm2 0x18bb8 が調子に乗らないわけはないのです。
006.stcm2 0x18df8 「話は聞いたザンス。ベノムちゃんはスーヴェ
006.stcm2 0x18e50 リージュからドクロちゃんたちの健康診断にやっ
006.stcm2 0x18eac てきたんザンスね」
006.stcm2 0x18f54 「どこで聞いたんですか！」
006.stcm2 0x18fac 健康診断の話は、この居間以外でした覚えがあ
006.stcm2 0x19004 りません。そろそろ、真剣に告訴を考えること
006.stcm2 0x1905c にしましょう。
006.stcm2 0x19198 「ミィは桜くんの周りのことなら、なんでもお
006.stcm2 0x191f0 見通しザンスよ」
006.stcm2 0x19298 「キモチワルイこと言わないでください！　も
006.stcm2 0x192f0 う、僕の生活に立ち入らないで、このピンク！」
006.stcm2 0x1944c 「ついに色で呼ばれたザンス！」
006.stcm2 0x194a8 こんなやり取りも、本来ならしたくないのです。
006.stcm2 0x19504 来てしまったことはあきらめて、無視して進め
006.stcm2 0x1955c ることにしましょう。
006.stcm2 0x196f0 「さあベノムちゃん、コレは無視して続きをど
006.stcm2 0x19874 ベノムちゃん
006.stcm2 0x198b0 「は、はい」
006.stcm2 0x198fc ベノムちゃんがもう一度ドクロちゃんに向き直
006.stcm2 0x19954 ります。すると……。
006.stcm2 0x19c00 「ミィはいつでも診断の準備ができているザン
006.stcm2 0x19c58 ス！　さあ、ベノムちゃん、どこからでも触る
006.stcm2 0x19cb0 ザンスよ！　触診ザンス！」
006.stcm2 0x19d08 ああっ、また邪魔をして！　僕が止めに入ろう
006.stcm2 0x19d60 としたその時、ベノムちゃんはザンスにちらり
006.stcm2 0x19db8 と視線を向けて、
006.stcm2 0x19f0c ベノムちゃん
006.stcm2 0x19f48 「健康です」
006.stcm2 0x1a0ac 「な、なあ！？　エンリョすることないザンス
006.stcm2 0x1a104 よ？　触らなきゃわからないザンス！」
006.stcm2 0x1a168 ベノムちゃんが冷たくあしらいました。これは
006.stcm2 0x1a1c0 すばらしいの一言に尽きます。
006.stcm2 0x1a524 ベノムちゃん
006.stcm2 0x1a560 「それではドクロ殿、準備はよろしいでありま
006.stcm2 0x1a5b8 すか？」
006.stcm2 0x1a6e4 ドクロちゃん
006.stcm2 0x1a720 「うんっ。まちくたびれちゃったよぅ。ベノム
006.stcm2 0x1a778 ちゃん、はやくはやくっ！」
006.stcm2 0x1a8b4 ベノムちゃん
006.stcm2 0x1a8f0 「申し訳ないであります。それでは……」
006.stcm2 0x1a954 か、カンペキです！　ザンスの扱い方がまるで
006.stcm2 0x1a9ac 攻略本を読んできたかのように、大正解なので
006.stcm2 0x1aa48 ……これはドえらい新人を獲得したものです。
006.stcm2 0x1aaa0 今年の天王山はバンジャクか！？
006.stcm2 0x1ad70 「……触ってほしいザンスゥゥゥ！」
006.stcm2 0x1aeb8 ベノムちゃん
006.stcm2 0x1aef4 「な、なんでありますか！？　職務の邪魔をし
006.stcm2 0x1af4c ないでいただきたい！」
006.stcm2 0x1afa0 しかし、ザンスはしつこいくらいベノムちゃん
006.stcm2 0x1aff8 に食い下がります。
006.stcm2 0x1b2d0 どんどんにじり寄って、触られるというより触
006.stcm2 0x1b328 ろうとしているじゃありませんか！
006.stcm2 0x1b4a8 そして、ついにベノムちゃんがザンスを押しの
006.stcm2 0x1b500 けようと、その手をザンスに伸ばし……。
006.stcm2 0x1b7fc ザクロちゃん
006.stcm2 0x1b838 「いけません！　ザンスさん！！」
006.stcm2 0x1baac ザクロちゃんの声と同時に、ベノムちゃんの手
006.stcm2 0x1bb04 がザンスを押しのけました。
006.stcm2 0x1bf20 「へ？　……ふぐっ！　な、なんザンスか！？
006.stcm2 0x1bf78 さ、寒いザンス！　ぐはっ！　あ、頭が！！
006.stcm2 0x1bfd0 ぬおお……世界が……回る、ザン……ス」
006.stcm2 0x1c19c どしゃあッ！！
006.stcm2 0x1c1e8 なにが起こったのでしょうか。盛大な音を立て
006.stcm2 0x1c240 て、その場にザンスが倒れてしまいました。
006.stcm2 0x1c2a8 ベノムちゃんが、ザンスを倒したのです！　も
006.stcm2 0x1c300 しかすると、本当に攻略本を読んできたのかも
006.stcm2 0x1c358 しれません。
006.stcm2 0x1c52c ベノムちゃん
006.stcm2 0x1c568 「え？　ど、どうしたでありますか？　ザ、ザ
006.stcm2 0x1c5c0 ンス殿？」
006.stcm2 0x1c608 と、そこで予想外に困惑したベノムちゃんの声。
006.stcm2 0x1c664 てっきりベノムちゃんがザンスを攻撃したのか
006.stcm2 0x1c6bc と思ったのですが、ちがうようです。
006.stcm2 0x1c900 ザクロちゃん
006.stcm2 0x1c93c 「遅かったようですね……。もっとはやくに止
006.stcm2 0x1c994 めるべきでした」
006.stcm2 0x1ca3c 「ザクロちゃん、なにか知ってるの？」
006.stcm2 0x1cb88 ザクロちゃん
006.stcm2 0x1cbc4 「はい。桜さん、ちょっとお耳をよろしいです
006.stcm2 0x1ccb8 「あ、うん」
006.stcm2 0x1cd04 秘密の話ってやつです。これは聞かれたらまず
006.stcm2 0x1cd5c い話なのでしょうか？
006.stcm2 0x1cdb0 ベノムちゃんはもとより、ドクロちゃんもサバ
006.stcm2 0x1ce08 トちゃんも交えずにひそひそ話、開始です。
006.stcm2 0x1ce70 ベノムちゃんは気を失ったザンスを見て、おろ
006.stcm2 0x1cec8 おろしていました。今ならこちらに注意が向く
006.stcm2 0x1cf20 ことはなさそうです。
006.stcm2 0x1d0c4 ザクロちゃん
006.stcm2 0x1d100 「見てください、ベノムさんが腰にさげた壺の
006.stcm2 0x1d158 中に指先を入れています」
006.stcm2 0x1d3bc 見れば、ベノムちゃんは確かにおろおろしなが
006.stcm2 0x1d414 ら手を壺の中に入れたり出したり……。その動
006.stcm2 0x1d46c きは確かにさっきも見たような気がします。
006.stcm2 0x1d738 「うん。ちょっとだけ気になってたけど、あれ
006.stcm2 0x1d790 はポケットとかカバンの代わりかなにかじゃな
006.stcm2 0x1d7e8 いの？」
006.stcm2 0x1d918 ザクロちゃん
006.stcm2 0x1d954 「あれは……ポイズン蠱毒壺【ミーミング】と
006.stcm2 0x1d9ac いう魔法のアイテムです」
006.stcm2 0x1da5c 「な、名前だけで効果がわかる！」
006.stcm2 0x1dabc だって思い切り【ポイズン】って言ってますも
006.stcm2 0x1dc40 ザクロちゃん
006.stcm2 0x1dc7c 「はい。ミーミングに指先をヒタしているため
006.stcm2 0x1dcd4 に、ベノムさんの手は、触れた者を病にかける
006.stcm2 0x1dd2c 毒手と化しているのです」
006.stcm2 0x1dddc 「うそおおお！　だって、健康診断する人なん
006.stcm2 0x1de34 でしょ？　そ、そんなのダメだよぉぉ！！」
006.stcm2 0x1df38 想像してみてください。あなたの学校にいる、
006.stcm2 0x1df90 保健の先生がほら、触れた者を病にかける毒手
006.stcm2 0x1dfe8 の持ち主だとしたら。
006.stcm2 0x1e03c ……保健室、行けますか？
006.stcm2 0x1e1f4 ザクロちゃん
006.stcm2 0x1e230 「ベノムさんご自身に悪気はありません。まさ
006.stcm2 0x1e288 か、ご自分の手が毒と化しているなんて……」
006.stcm2 0x1e348 「気付いてないの！？　そっちの方がびっくり
006.stcm2 0x1e3a0 だよ！」
006.stcm2 0x1e3e8 そこで気が付きました。ベノムちゃんが来てか
006.stcm2 0x1e440 らザクロちゃんが少しうつむき気味だったこと
006.stcm2 0x1e534 「あ、ザクロちゃんは去年……」
006.stcm2 0x1e678 ザクロちゃん
006.stcm2 0x1e6b4 「……はい。昨年、別の場所で。その際の担当
006.stcm2 0x1e70c もベノムさんでした。規定で、点呼は毎年です
006.stcm2 0x1e764 が、健康診断は２年に１回でも構わないのです」
006.stcm2 0x1e7d0 確かにさっきザクロちゃんは、健康診断をパス
006.stcm2 0x1e828 していました。去年受けた場合は、今年も受け
006.stcm2 0x1e880 るかどうか選べるようです。
006.stcm2 0x1e9c0 ザクロちゃん
006.stcm2 0x1e9fc 「そして、昨年の今ごろ、おねえさまとサバト
006.stcm2 0x1ea54 さんは任務についていませんでしたから、点呼
006.stcm2 0x1eaac も診断も受けていないのです」
006.stcm2 0x1eb08 なるほど、地上に出ていなければ必要はないと
006.stcm2 0x1eb60 いうわけです。でも去年受けていないというこ
006.stcm2 0x1ebb8 とは……。
006.stcm2 0x1ec58 「ドクロちゃんとサバトちゃんは、今年必ず健
006.stcm2 0x1ecb0 康診断を受けなきゃいけないの？」
006.stcm2 0x1edf8 ザクロちゃん
006.stcm2 0x1ee34 「はい……規定によれば、そうなります」
006.stcm2 0x1efc4 #Scale[1.3]ガタタッ！
006.stcm2 0x1f0d8 そのとき、大きな物音がして、僕とザクロちゃ
006.stcm2 0x1f130 んは同時に振り返りました。
006.stcm2 0x1f1e4 見ると、ドクロちゃんとサバトちゃんが壁際に
006.stcm2 0x1f23c 寄っていました。
006.stcm2 0x1f43c ドクロちゃん
006.stcm2 0x1f478 「ボ、ボク……用事を、おもいだした……！！」
006.stcm2 0x1f53c 「ドクロちゃんっ！？」
006.stcm2 0x1f590 大変です！　用事なんてウソに決まっています。
006.stcm2 0x1f5ec ドクロちゃんの地獄耳が今の話を聞いてしまっ
006.stcm2 0x1f644 たのです！　天使なのに地獄とはこれいかにっ！
006.stcm2 0x1f6b0 ドクロちゃんの瞳はおびえにくもり、ふるふる
006.stcm2 0x1f708 と震えています。
006.stcm2 0x1fb98 ずぱんッ！　ずぱぱぱぱぱぱぱぱぱッ！！
006.stcm2 0x1fbfc そしてその近くでは、張り詰めた空気が弾ける
006.stcm2 0x1fc54 ような音と共に、青白い光が放たれました。
006.stcm2 0x1fe44 サバトちゃん
006.stcm2 0x1fe80 「サ、サバトも急用が……！」
006.stcm2 0x1ff1c ああっ、伏兵です！　こんなところにも聞き分
006.stcm2 0x1ff74 けのない子が誕生してしまいました！
006.stcm2 0x1ffd4 しかも、サバトちゃんが構えているのは超電磁
006.stcm2 0x2002c スタンロッド【ドゥリンダルテ】！　天使であ
006.stcm2 0x20084 るサバトちゃんの魔法のアイテムです！
006.stcm2 0x200e8 この大人げないイヤがりようは本気です……。
006.stcm2 0x20140 油断すれば、やられるのはこっちに違いありま
006.stcm2 0x203f8 「お、落ち着いて？　ね？　まずはみんなで話
006.stcm2 0x20450 し合おうよ」
006.stcm2 0x2056c なだめようとするものの、歯医者さんに行きた
006.stcm2 0x205c4 がらない小学生と化した天使たちは、ゆっくり
006.stcm2 0x2061c と後ずさっていきます。
006.stcm2 0x20670 ……そちらには出口が！
006.stcm2 0x207ac サバトちゃん
006.stcm2 0x207e8 「サバトは……サバトは……」
006.stcm2 0x2092c ドクロちゃん
006.stcm2 0x20968 「ボクが行かないと、かの激怒した邪知暴虐な
006.stcm2 0x209c0 王様に、セリヌンティ――」
006.stcm2 0x20a70 「どこまで走っていくつもりなのドクロちゃん
006.stcm2 0x20ac8 は！！　気持ちはわかるけど逃げるコマンド一
006.stcm2 0x20b20 択じゃなくて、落ち着くコトも憶えよう！？」
006.stcm2 0x20ca4 「ファビュウウウウウウウ！！！！」
006.stcm2 0x20dac 僕の声に重ねるように、ザンスの奇声があがり
006.stcm2 0x20e04 ました。
006.stcm2 0x211f8 そちらに視線をやると……ベノムちゃんがまた
006.stcm2 0x21250 ザンスに触っているじゃありませんか！
006.stcm2 0x21690 サバトちゃん
006.stcm2 0x216cc 「今ですぅ！！」
006.stcm2 0x21890 「ああ！　しまった！！」
006.stcm2 0x218e8 一瞬のスキでした。ザンスに気を取られた瞬間
006.stcm2 0x21940 に、ドクロちゃんとサバトちゃんはこの居間か
006.stcm2 0x21998 ら駆け出してしまったのです！
006.stcm2 0x21b04 ２人は、僕の目には残像しか残らないようなス
006.stcm2 0x21b5c ピードで居間を飛び出します。すぐに玄関のド
006.stcm2 0x21bb4 アを体当たりで破るような音が聞こえました。
006.stcm2 0x21c1c ……せめて、普通に開けてほしいものです。
006.stcm2 0x21e0c ザクロちゃん
006.stcm2 0x21e48 「まってください、おねえさま！！」
006.stcm2 0x21ea8 ザクロちゃんの声もむなしく、飛び出していく
006.stcm2 0x21f00 ２匹のケモノ。
006.stcm2 0x21f4c ――これが追跡のはじまりだったのです。
006.stcm2 0x22334 「ああ、もう！　どっちに行ったんだ！？」
006.stcm2 0x2239c 僕たちは逃げ出したドクロちゃんたちを追って、
006.stcm2 0x223f8 外に出ました。こうなってくると、ザンスがう
006.stcm2 0x22450 とましくて仕方がありません。
006.stcm2 0x224ac ザンスは今、玄関のドアの前に転がっています。
006.stcm2 0x22508 気を失っていますが、あの変態１人を家の中に
006.stcm2 0x22560 残すのは不安すぎますから。
006.stcm2 0x225b8 というわけで、外から丸見えの位置に放置して
006.stcm2 0x22610 きました。
006.stcm2 0x22658 ドアに寄りかかって気を失っているピンク色の
006.stcm2 0x226b0 モヒカン男。戻ったとき、これが通報されてい
006.stcm2 0x22708 なければ助けてあげてもいいでしょう。
006.stcm2 0x228f4 ベノムちゃん
006.stcm2 0x22930 「どうして、いなくなってしまったのでありま
006.stcm2 0x22988 すか……？」
006.stcm2 0x22a2c 「えっとその……ドクロちゃんってさ、お医者
006.stcm2 0x22a84 さんとか苦手なんだよ！　だからじゃないかな
006.stcm2 0x22c30 ベノムちゃん
006.stcm2 0x22c6c 「痛いことや怖いことはなにもしないでありま
006.stcm2 0x22cc4 すが……みなさん、自分の健康診断をいやがる
006.stcm2 0x22d1c であります」
006.stcm2 0x22e50 ベノムちゃん
006.stcm2 0x22e8c 「いつも救護しようとしても、先ほどのザンス
006.stcm2 0x22ee4 殿のときのように失敗ばかりで、自分は……」
006.stcm2 0x22fa4 「そ、そうなんだ……」
006.stcm2 0x22ff8 知らないというのは、こんなにも恐ろしいこと
006.stcm2 0x23050 なのです。
006.stcm2 0x23098 肩を落として落ち込む姿を見ると、みんなが真
006.stcm2 0x230f0 実をベノムちゃんに教えられない理由がなんと
006.stcm2 0x23148 なくわかる気がします。
006.stcm2 0x2319c 【こりゃ言えねっすよ！】と目に手を当てて、
006.stcm2 0x231f4 黙り込む天使たちの姿が、頭に浮かびました。
006.stcm2 0x2325c でも、たとえ毒手を持っていたとしてもこんな
006.stcm2 0x232b4 にカレンな女の子。うつむいたままじゃ、瞳は
006.stcm2 0x2330c 輝かないよ？
006.stcm2 0x23358 ザンスまで心配してあげるような、やさしい天
006.stcm2 0x233b0 使の女の子が目の前で落ち込んでいるのです。
006.stcm2 0x23418 日ごろから紳士レベル上げにいそしんでいる僕
006.stcm2 0x23470 としては、ここは腕の見せどころです。
006.stcm2 0x2352c 「大丈夫だから、元気出して？　ザンスならほっ
006.stcm2 0x23588 ておいても大丈夫だし、ドクロちゃんもサバト
006.stcm2 0x235e0 ちゃんもすぐに見つかるって」
006.stcm2 0x2363c いつの間にか、僕はベノムちゃんに親しみのよ
006.stcm2 0x23694 うなものを感じていました。なんと言うか、い
006.stcm2 0x236ec い子なんですよ、この子も。
006.stcm2 0x23934 ザクロちゃん
006.stcm2 0x23970 「そうだと……いいのですが」
006.stcm2 0x23a4c 「そ、そんな不安あおらなくても！　大丈夫！
006.stcm2 0x23aa4 ほら、こっちだよ！！」
006.stcm2 0x23bb0 僕は不安を振り切るように、駆け出しました。
006.stcm2 0x23c08 角をすばやいコーナリングで、通過すると……、
006.stcm2 0x23e24 ドンッ！
006.stcm2 0x23f9c 「きゃっ！？」
006.stcm2 0x24040 「うわあッ！！」
006.stcm2 0x24090 激しい衝撃。これは……ドクロちゃんのしかけ
006.stcm2 0x240e8 たトラップでしょうか！？
006.stcm2 0x24140 不覚にもこんなトラップにかかってしまったと
006.stcm2 0x24198 ころなんか、人様に見せられません。特に、静
006.stcm2 0x241f0 希ちゃんには、
006.stcm2 0x242cc 静希ちゃん
006.stcm2 0x24304 「あれ……桜くん？」
006.stcm2 0x24358 静希ちゃんにはッ！！
006.stcm2 0x24484 「し、静希ちゃん！？　ごめんね！！　だ、大
006.stcm2 0x244dc 丈夫？」
006.stcm2 0x2454c 静希ちゃん
006.stcm2 0x24584 「私は大丈夫だけど、桜くんこそ大丈夫？」
006.stcm2 0x24684 「うん、大丈夫大丈夫。僕が悪いんだし」
006.stcm2 0x246e8 ああ、なんてこと！　僕は静希ちゃんにぶつかっ
006.stcm2 0x24744 てしまったのです！
006.stcm2 0x24794 恋人大原則、ひとつ！　恋人になる前に、曲が
006.stcm2 0x247ec り角でぶつかり合うべし！
006.stcm2 0x24844 しかし、それも程度によります。あんまり激し
006.stcm2 0x2489c くぶつかるのは厳禁です。
006.stcm2 0x248f4 だって、彼女にケガのひとつでもさせようもの
006.stcm2 0x2494c ならば、僕は責任を取らなくてはいけません。
006.stcm2 0x249b4 ……ああっ、責任を取りたいっ！！
006.stcm2 0x24ab0 このすごくかわいらしい女の子は静希ちゃん。
006.stcm2 0x24b08 僕らが通う、聖ゲルニカ学園の制服もよく似合っ
006.stcm2 0x24b64 ている、僕の自慢の幼なじみです。
006.stcm2 0x24bc4 でも、静希ちゃんの魅力を知るのは僕１人で充
006.stcm2 0x24c1c 分なので、自慢はしません。
006.stcm2 0x24c74 もしかして、僕の物言いでわかってしまいます
006.stcm2 0x24ccc か？　えーと、その、僕は静希ちゃんが大好き
006.stcm2 0x24d68 でも、僕の頭がキレすぎるのと、持ち前の冷静
006.stcm2 0x24dc0 さが災いして、僕はこの気持ちを上手く隠しす
006.stcm2 0x24e18 ぎてしまっているのです。
006.stcm2 0x24e70 このあふれる想いを伝えようにも、想いを歌に
006.stcm2 0x24ec8 乗せるのはためらわれます。なぜなら、僕の得
006.stcm2 0x24f20 意曲が口パクだからです！
006.stcm2 0x24f78 くうう、どうしたら……。
006.stcm2 0x2507c はっ！　よく考えてみたら、今はドクロちゃん
006.stcm2 0x250d4 がいません。いつも僕の告白を邪魔してくれた
006.stcm2 0x2512c あの天使がいないのです。
006.stcm2 0x25184 これはカミサマがくれたチャンス？
006.stcm2 0x251d4 してしまいましょうか？
006.stcm2 0x25218 告白、しちまうか！？
006.stcm2 0x2526c それ今です！　静希ちゃん大好きだ！
006.stcm2 0x2542c 「しず……」
006.stcm2 0x256c4 ベノムちゃん
006.stcm2 0x25700 「……どうされました、桜殿。大丈夫でありま
006.stcm2 0x25758 すか？」
006.stcm2 0x259cc 「……きぅおぉぉいしょおッッ！！」
006.stcm2 0x25a2c セリフを急速転回、言葉のドリフト走行です。
006.stcm2 0x25a84 あやうく最後まで口にするところでした！
006.stcm2 0x25cd8 ザクロちゃん
006.stcm2 0x25d14 「桜さん？　なにか言いかけていたような……」
006.stcm2 0x25dd8 「だ、大丈夫！　うん、なんにも言おうとして
006.stcm2 0x25e30 ないよっ！」
006.stcm2 0x25e7c 忘れていました。ドクロちゃん以外にも天使は
006.stcm2 0x25ed4 いたのです。冷静になってみれば、ここは天下
006.stcm2 0x25f2c の往来。告白に向いた場所とは言えません。
006.stcm2 0x25f94 落ち着け、落ち着くんだ草壁桜。キミはもっと、
006.stcm2 0x25ff0 クールなガイのはずだろう？
006.stcm2 0x26064 すぅ……はぁ……（深呼吸）。静かなること、
006.stcm2 0x260bc 林のゴトシ。……よし。
006.stcm2 0x26138 どうやら静希ちゃんとの激突という人生の一大
006.stcm2 0x26190 イベントに、混乱を来した僕の頭脳も落ち着き
006.stcm2 0x261e8 を取り戻したようです。
006.stcm2 0x2647c 静希ちゃん
006.stcm2 0x264b4 「桜くん、ザクロちゃん、その人は……？」
006.stcm2 0x26574 「えっ？　あ、この人？」
006.stcm2 0x265cc いけません、誤解されてしまいます。ベノムちゃ
006.stcm2 0x26628 んはとってもドキドキする格好なのです。この
006.stcm2 0x26680 ままでは静希ちゃんがヤキモチを……！
006.stcm2 0x266e4 これをドクロちゃんのトラップというなら、な
006.stcm2 0x2673c るほどそうでしょう。やってくれたものです。
006.stcm2 0x26994 ベノムちゃん
006.stcm2 0x269d0 「桜殿のお知り合いでありますか？　自分はベ
006.stcm2 0x26a28 ノムと申します。ベノムちゃんと呼んでいただ
006.stcm2 0x26a80 きたい。……以後、お見知りおきを！」
006.stcm2 0x26c0c 静希ちゃん
006.stcm2 0x26c44 「あ、はい。私は、水上静希（みなかみしずき）
006.stcm2 0x26ca0 です。よろしくね、ベノムちゃん」
006.stcm2 0x26d00 ああ、静希ちゃんはなんと心やさしい女の子な
006.stcm2 0x26d58 のでしょう。初対面の子にも、こんなにやさし
006.stcm2 0x26db0 くできるのです。
006.stcm2 0x26f1c 「ところで、静希ちゃんはどうしたの？」
006.stcm2 0x27068 静希ちゃん
006.stcm2 0x270a0 「陸上部の練習があるんだけど、忘れ物しちゃっ
006.stcm2 0x270fc て１回家に帰ったの。それで、これから学校に
006.stcm2 0x27154 戻るところ。……桜くんたちはどうしたの？」
006.stcm2 0x271bc 運動部も大変です。でも、運動している静希ちゃ
006.stcm2 0x27218 んはとっても輝いているよ。
006.stcm2 0x272c8 「う、うん。実はドクロちゃんとサバトちゃん
006.stcm2 0x27320 に用事があったんだけど、２人とも逃げちゃっ
006.stcm2 0x27378 て大変なんだ」
006.stcm2 0x274ac 静希ちゃん
006.stcm2 0x274e4 「そう言えば、今ちょうどそこで、ドクロちゃ
006.stcm2 0x2753c んとサバトちゃんがすごいスピードで走ってい
006.stcm2 0x27594 くのを見たんだけど……」
006.stcm2 0x27644 「え？　ほ、ホント？」
006.stcm2 0x27780 静希ちゃん
006.stcm2 0x277b8 「うん。速すぎてよく見えなかったんだけど、
006.stcm2 0x27810 あれはドクロちゃんとサバトちゃんだったと思
006.stcm2 0x278ac よく見えないほどのスピードで走る人を、僕は
006.stcm2 0x27904 この辺でドクロちゃんくらいしか知りません。
006.stcm2 0x2796c そのドクロちゃんについていくとは……。サバ
006.stcm2 0x279c4 トちゃんも、ここぞというときはやるものです。
006.stcm2 0x27a88 「それで２人はどっちに行ったの？」
006.stcm2 0x27bd0 静希ちゃん
006.stcm2 0x27c08 「飛び上がって、そこのおうちの屋根にのぼっ
006.stcm2 0x27c60 たの。そのあとはぴょーんって、屋根から屋根
006.stcm2 0x27cb8 へ飛び移って行ったから見失っちゃった」
006.stcm2 0x27f00 ザクロちゃん
006.stcm2 0x27f3c 「恐らく、おねえさまです」
006.stcm2 0x27fec 「うん。間違いなくドクロちゃんたちだね……」
006.stcm2 0x28248 ベノムちゃん
006.stcm2 0x28284 「桜殿、急ぐであります！」
006.stcm2 0x2854c 「う、うん。それじゃあ静希ちゃん、ありがと
006.stcm2 0x285e8 僕はもっと静希ちゃんとお話していたいのです
006.stcm2 0x28640 が、それどころじゃないのも事実です。とにか
006.stcm2 0x28698 くドクロちゃんを見つけないといけません。
006.stcm2 0x287e8 静希ちゃん
006.stcm2 0x28820 「まって、桜くん。ドクロちゃんをさがしてい
006.stcm2 0x28878 るなら、私も手伝う」
006.stcm2 0x28924 「え？　ホントに？　でも部活は……」
006.stcm2 0x28a6c 静希ちゃん
006.stcm2 0x28aa4 「部活は大丈夫。任せて」
006.stcm2 0x28afc 僕は心の中でダンスを踊りました。歓迎と歓喜
006.stcm2 0x28b54 のダンスです。ダンスは開始早々ヒートアップ
006.stcm2 0x28bac し、今にも現実に踊りだしそう。
006.stcm2 0x28c60 「ありがとう、静希ちゃん（ヒャッホーイ！）」
006.stcm2 0x28db4 静希ちゃん
006.stcm2 0x28dec 「いいの。桜くんも【ドクロちゃん係】で大変
006.stcm2 0x28e44 でしょ？」
006.stcm2 0x28e8c 僕は静希ちゃんを好きで、本当によかった……。
006.stcm2 0x28ef8 ちなみに【ドクロちゃん係】とは、僕たちのク
006.stcm2 0x28f50 ラスで決められたドクロちゃんの面倒を見る係
006.stcm2 0x28fa8 で、僕の意思とは関係なく任命されました。
006.stcm2 0x29010 それが、僕の苦労の源です。
006.stcm2 0x29258 ザクロちゃん
006.stcm2 0x29294 「静希さん、姉がご迷惑をおかけします。よろ
006.stcm2 0x292ec しくお願いします」
006.stcm2 0x29594 ベノムちゃん
006.stcm2 0x295d0 「かたじけないであります、静希殿！」
006.stcm2 0x29718 静希ちゃん
006.stcm2 0x29750 「ううん、ザクロちゃんもベノムちゃんも気に
006.stcm2 0x297a8 しないで？　さあ、分担してさがしましょう」
006.stcm2 0x29850 心強い仲間が加わり、僕たちはドクロちゃんの
006.stcm2 0x298a8 追跡をはじめました。
007.stcm2 0x310 みんなで分担して、ドクロちゃんをさがすこと
007.stcm2 0x368 にしました。僕は単独行動に出ました。
007.stcm2 0x3cc さて、僕には１つ考えがあります。
007.stcm2 0x42c 犯人は現場に戻るもの。ドクロちゃんも、もし
007.stcm2 0x484 かしたら家に顔を出すかもしれません。
007.stcm2 0x4e8 おなかが減ればおやつを取りにくるでしょう。
007.stcm2 0x540 ドクロちゃんはそういう子です。
007.stcm2 0x59c とにかく家の中に入ってみることにしましょう。
007.stcm2 0x5f8 もしかしたら、ちょうど戻っている最中かもし
007.stcm2 0x650 れないので、物音は立てられません。
007.stcm2 0x6b0 小さな音と共にカギが外れると、少しだけ開け
007.stcm2 0x708 たドアのすき間にそーっと身体をすべり込ませ
007.stcm2 0x7e4 そして、音を出さないようにゆっくりとドアを
007.stcm2 0x83c 閉めました。カンペキです。
007.stcm2 0x894 さて、まずは１階の様子を見てみましょう。
007.stcm2 0x8fc まずは居間からです。ドクロちゃんが食料調達
007.stcm2 0x954 に戻るなら確実に台所。そして台所に入るには、
007.stcm2 0x9b0 食堂か居間を必ず通るのです。
007.stcm2 0xa4c ドアを開け、居間の中の様子を見ます。……特
007.stcm2 0xaa4 に変わったところはありません。
007.stcm2 0xb00 玄関と同じようにドアをするりと抜け、居間か
007.stcm2 0xb58 ら見える食堂と台所を見てみますが、そちらも
007.stcm2 0xbb0 異常ないようです。
007.stcm2 0xc00 お風呂とトイレも音がありません。あとは２階
007.stcm2 0xc58 の様子を見なくては。
007.stcm2 0xcac 階段をふみしめる足もゆっくりと、床板が鳴ら
007.stcm2 0xd04 ないように気を付けます。
007.stcm2 0xd9c 僕の部屋です。この部屋にいなければ、恐らく
007.stcm2 0xdf4 まだ戻ってないということでしょう。
007.stcm2 0xe54 ドアに手をかけ、そのまま一気に開きます。
007.stcm2 0xeac 僕の気分はもう刑事です。
007.stcm2 0x1080 「ドクロちゃん！　おとなしくするんだ！！」
007.stcm2 0x1270 ドクロちゃん
007.stcm2 0x12ac 「……！　さ、桜くん！？」
007.stcm2 0x132c ……ホントにいました。裏をかかれたものです。
007.stcm2 0x1388 でも、僕の目と頭脳はダマせません。
007.stcm2 0x1440 「ドクロちゃん、なにも怖いことはないから健
007.stcm2 0x1498 康診断受けよう？」
007.stcm2 0x15d0 ドクロちゃん
007.stcm2 0x160c 「え、え〜と、……ワタシハドクロチャンジャ
007.stcm2 0x1664 アリマセン」
007.stcm2 0x1708 「機械は【え〜と】とか言いません！　いきな
007.stcm2 0x1760 り他人のふりしてもダメなんだからね！」
007.stcm2 0x18a8 ドクロちゃん
007.stcm2 0x18e4 「チキュウガ、ピンチデス。チキュウガ、ピン
007.stcm2 0x193c チデス」
007.stcm2 0x19dc 「問題がいきなりワールドワイドに！？　ごま
007.stcm2 0x1a34 かし方が下手すぎるよ、ドクロちゃん！」
007.stcm2 0x1a98 こんなもの、どこで覚えたのでしょうか。今ど
007.stcm2 0x1af0 き、こんなロボット像を頭に描いている人も珍
007.stcm2 0x1b48 しいです。
007.stcm2 0x1cdc ドクロちゃん
007.stcm2 0x1d18 「シンニュウシャ、ハッケン。シンニュウシャ、
007.stcm2 0x1d74 ハッケン」
007.stcm2 0x1dbc そのドクロちゃんロボの手には鈍く光る、とげ
007.stcm2 0x1e14 とげ鈍器！
007.stcm2 0x1ef8 ――ビュオンッッ！！
007.stcm2 0x20cc 「ッぅぁッぶないッ！！」
007.stcm2 0x2124 僕は頭をそらしました。その瞬間、チュンと音
007.stcm2 0x217c を立てて、数本の前髪が床に落ちました。
007.stcm2 0x21e0 まるでバリカンで毛先をととのえているみたい
007.stcm2 0x2238 ですが、バリカンにしては殺傷力が強すぎます。
007.stcm2 0x22e4 これはごまかしではありません……隠滅です！
007.stcm2 0x233c ドクロちゃんの得意分野は、そう言えばこれで
007.stcm2 0x245c ガラガラと、ドクロちゃんが窓を開けました。
007.stcm2 0x24b4 彼女は飛び降りる気です！
007.stcm2 0x2564 「ま、まちなさい！　ドクロちゃん！」
007.stcm2 0x2750 ドクロちゃん
007.stcm2 0x278c 「と〜う！　あはははははは！！　また会おう、
007.stcm2 0x27e8 桜くーん！」
007.stcm2 0x28e8 「ああっ！　ここは２階だよ！」
007.stcm2 0x2944 外を見れば、僕の心配をよそに大喜びで走り去っ
007.stcm2 0x29a0 ていくドクロちゃん。どうやら無傷のようで、
007.stcm2 0x29f8 それは安心したのですが……。
007.stcm2 0x2a54 今日のドクロちゃんは行動派です。こんな日の
007.stcm2 0x2aac ドクロちゃんにはできる限り関わりたくないの
007.stcm2 0x2b04 ですが、そうも言ってられません。
007.stcm2 0x2b64 それにしても、ドクロちゃんは楽しそうでした。
007.stcm2 0x2bc0 ドクロちゃんにとってはこれも鬼ごっこと大差
007.stcm2 0x2c18 ないのでしょう。
007.stcm2 0x2c68 開け放たれた窓を閉め、ドクロちゃんを追いか
007.stcm2 0x2cc0 けるために、僕は階段を下りていきました。
007.stcm2 0x2ff0 僕は静希ちゃんと一緒に、聖ゲルニカ学園へと
007.stcm2 0x3048 やってきました。
007.stcm2 0x3098 静希ちゃんと一緒にいたかったっていうのも、
007.stcm2 0x30f0 ちょっとはあります。……結構ある、でしょう
007.stcm2 0x3230 静希ちゃんは今、陸上部の先生と部員に練習参
007.stcm2 0x3288 加が遅れるという連絡に行っています。
007.stcm2 0x32ec 校庭をぼんやりと眺めると、陸上部と野球部の
007.stcm2 0x3344 姿が目に映りました。両部ともにかなり走りこ
007.stcm2 0x339c んでおり、遠目にも汗が見えそうです。
007.stcm2 0x3400 僕は今なにをしているかと言えば、静希ちゃん
007.stcm2 0x3458 の帰りをまっているのです。決してサボってい
007.stcm2 0x34b0 るわけではありません。
007.stcm2 0x3504 相手は２人。ならばこちらも２人で動いた方が
007.stcm2 0x355c いいんじゃないかと思うのです。
007.stcm2 0x35b8 ドクロちゃんを僕１人でつかまえるというのは、
007.stcm2 0x3614 そもそもがムボウすぎます。
007.stcm2 0x37f4 静希ちゃん
007.stcm2 0x382c 「桜くん、おまたせ」
007.stcm2 0x3880 静希ちゃんとの待ち合わせだったら、何分何時
007.stcm2 0x38d8 間、たとえ何日だったとしても待ちましょう。
007.stcm2 0x3998 「もう部活は大丈夫なの？」
007.stcm2 0x3ad4 静希ちゃん
007.stcm2 0x3b0c 「うん、ちゃんと言ってきたから」
007.stcm2 0x3bc4 「じゃあ、行こうか」
007.stcm2 0x3c74 小さくうなずく静希ちゃんとともに、僕は校舎
007.stcm2 0x3ccc に向かいました。
007.stcm2 0x3e10 廊下に鳴るのは、２つの足音。
007.stcm2 0x4024 「ホントにごめんね、こんなこと手伝わせちゃっ
007.stcm2 0x41ac 静希ちゃん
007.stcm2 0x41e4 「もう、さっきからそればっかりなんだから。
007.stcm2 0x423c 大丈夫だって言ってるのに」
007.stcm2 0x42ec 「あ、うん、ごめん。もう言わない」
007.stcm2 0x4430 静希ちゃん
007.stcm2 0x4468 「ホントは私、ちょっと楽しんでるんだ」
007.stcm2 0x4588 まて、まつんだ草壁桜。今の静希ちゃんの言葉、
007.stcm2 0x45e4 きちんと聞いていたか？
007.stcm2 0x4638 そう、静希ちゃんは【楽しい】と言ったのです。
007.stcm2 0x46a4 ……これはもしかして、きちんと解釈すると、
007.stcm2 0x46fc こういうことなんじゃないでしょうか？
007.stcm2 0x49a0 静希ちゃん
007.stcm2 0x49d8 「もう！　あなたと一緒の時間が楽しくないわ
007.stcm2 0x4a30 け……ないじゃない」
007.stcm2 0x4b6c 静希ちゃん
007.stcm2 0x4ba4 「ホントに……鈍感なんだから……ばか」
007.stcm2 0x4e14 これは一大事です！　僕も楽しいです、すごく！
007.stcm2 0x4e70 それを伝えなくてはいけません。それっ！
007.stcm2 0x4f54 「もちろん、僕も楽しいよ！　うん！」
007.stcm2 0x509c 静希ちゃん
007.stcm2 0x50d4 「ふふっ、なんか宝さがししてるみたいだよね」
007.stcm2 0x5198 「うん。はやく見つけなくっちゃ、ってね」
007.stcm2 0x5200 宝さがしとはとてもかわいらしい、たとえ話で、
007.stcm2 0x525c 静希ちゃんはすごくかわいいです（ここ重要）。
007.stcm2 0x52f0 ただ、注意しなくちゃいけないのは、その宝物
007.stcm2 0x5348 が致死量の遊び心を持った天使だということで
007.stcm2 0x53a0 す（ここすごく重要）。
007.stcm2 0x5434 超ド級の危険物をさがしている僕らは、冒険者
007.stcm2 0x548c というよりは爆発物処理班。通称、【ドクロちゃ
007.stcm2 0x54e8 ん係】です。
007.stcm2 0x5534 でも、僕は静希ちゃんだけは守り通してみせま
007.stcm2 0x558c す。指一本、エスカリボルグのトゲ１本かすら
007.stcm2 0x55e4 せはしません。
007.stcm2 0x5688 「それにしても、今日は校舎内に人が全然いな
007.stcm2 0x5724 僕は決意を胸の中にしまいながら、何げない話
007.stcm2 0x577c 題をふりました。
007.stcm2 0x58b4 静希ちゃん
007.stcm2 0x58ec 「今日は活動する文科系の部活は少ないみたい
007.stcm2 0x5944 ね。運動部は着替えたら外か体育館だし」
007.stcm2 0x5a00 「まあ、それはそうだよね……っと、教室見て
007.stcm2 0x5a58 いこうか」
007.stcm2 0x5aa0 話していて通りすぎるところでした。ここが２
007.stcm2 0x5af8 年Ａ組の教室。僕らの学び舎です。
007.stcm2 0x5c80 がらりと引き戸を開くと、ひんやりした空気が
007.stcm2 0x5cd8 流れてきます。人がいない教室というのはこん
007.stcm2 0x5d30 なにも広く、冷たいものなのでしょうか。
007.stcm2 0x5d94 並ぶ机とイスたち。そこに肩を並べるのは僕の
007.stcm2 0x5dec 座席や、静希ちゃんの座席。ドクロちゃんの座
007.stcm2 0x5e44 席もそこにはたたずんでいました。
007.stcm2 0x5ea4 けれど今、僕と静希ちゃんを除いて、この場に
007.stcm2 0x5efc 机の主たちは１人もいません。
007.stcm2 0x5f58 シンと静まりかえった教室はどこか寂しげで、
007.stcm2 0x5fb0 授業の開始を待ちわびるかのようでした。
007.stcm2 0x619c 静希ちゃん
007.stcm2 0x61d4 「……いないね」
007.stcm2 0x6224 静希ちゃんがつぶやくと、その声は誰もいない
007.stcm2 0x627c 教室で、思いのほか大きく聞こえました。
007.stcm2 0x6338 「うん。他をさがそうか」
007.stcm2 0x64f4 僕もつぶやくように答えると、２人で廊下に出
007.stcm2 0x654c ました。
007.stcm2 0x65bc そして再び、がらりと引き戸を閉じ、
007.stcm2 0x6760 もう１回開けてみるのです！！
007.stcm2 0x68cc #Scale[0.7]ガタタッ
007.stcm2 0x699c 「……いないか」
007.stcm2 0x69ec 引き戸を開く瞬間に、物音が聞こえた気もしま
007.stcm2 0x6a44 すが、気のせいでしょう。
007.stcm2 0x6ac4 静希ちゃん
007.stcm2 0x6afc 「桜くん、どうしたの？」
007.stcm2 0x6bac 「ううん、なんでもないんだ。もしかして、と
007.stcm2 0x6c04 思ってさ」
007.stcm2 0x6d18 そう言って今度こそ引き戸を閉めました。
007.stcm2 0x6da4 #Scale[0.7]ガタタッ
007.stcm2 0x6fe4 静希ちゃん
007.stcm2 0x701c 「じゃあ、次はお隣のクラスだね」
007.stcm2 0x70d4 「うん」
007.stcm2 0x711c 僕たちは順番に教室を見ていくことにしました。
007.stcm2 0x7178 廊下は校庭で行われる部活の音が聞こえて、教
007.stcm2 0x71d0 室ほどさみしい感じはしません。
007.stcm2 0x722c そして僕と静希ちゃんは、次の教室へと入って
007.stcm2 0x7284 いきました。
007.stcm2 0x7604 僕は１人でアバランチ公園までやってきました。
007.stcm2 0x7670 こう言うのもなんですが、今のサバトちゃんに
007.stcm2 0x76c8 は結局ここしか行き場所がないんじゃないかと
007.stcm2 0x7720 いう気がしたからです。
007.stcm2 0x7774 どうするか困ったときは、たいてい自分のナワ
007.stcm2 0x77cc バリに帰るものです。
007.stcm2 0x78c4 そう考えた僕は、自然とここに足を運んだとい
007.stcm2 0x791c うワケです。
007.stcm2 0x79f8 そして、現在に至るわけで……。
007.stcm2 0x7d0c このあまりにも素直な天使の女の子をつかまえ
007.stcm2 0x7d64 るのは、忍びないです。
007.stcm2 0x7ef8 「ぃ、１名確保ォォォォッッ！！」
007.stcm2 0x7fa8 サバトちゃん
007.stcm2 0x7fe4 「ああっ！　さ、桜くん！　どうしてここがわ
007.stcm2 0x803c かったですぅ！？」
007.stcm2 0x808c 僕は心を鬼神にしました。かわいそうですが、
007.stcm2 0x80e4 仕方ありません。
007.stcm2 0x818c 「サバトちゃん素直すぎるよ。捜査の基本は、
007.stcm2 0x81e4 まず犯人が家に戻ってないかどうか、確かめる
007.stcm2 0x823c ことでしょ」
007.stcm2 0x82b0 サバトちゃん
007.stcm2 0x82ec 「ううっ。桜くん、スゴウデの刑事さんみたい
007.stcm2 0x8344 ですぅ……」
007.stcm2 0x83e8 「それで、ドクロちゃんはどこ？」
007.stcm2 0x8470 サバトちゃん
007.stcm2 0x84ac 「ううっ、それは言えないですぅ！　く、クチ
007.stcm2 0x8504 がさけても、仲間は売れないですぅ！」
007.stcm2 0x85c0 「お母さん、泣いてるよ？」
007.stcm2 0x8640 サバトちゃん
007.stcm2 0x867c 「お、お母さまは泣いたりする人じゃないんで
007.stcm2 0x86d4 すぅ！」
007.stcm2 0x8774 「話は署（僕の家）で聞きます」
007.stcm2 0x87f8 サバトちゃん
007.stcm2 0x8834 「ああっ、た、助けてくださいですぅ！　そ、
007.stcm2 0x888c そうですぅ！　桜くん、お願いしますぅ！　ど
007.stcm2 0x88e4 うか、どうかサバトを見逃してくださいぃ！！」
007.stcm2 0x89c4 「ナニをそんな……」
007.stcm2 0x8ae8 ぴしゃりと断ろうと思った僕の目に飛び込んで
007.stcm2 0x8b40 きたのは、サバトちゃんのここぞとばかりにう
007.stcm2 0x8b98 るんだ瞳。
007.stcm2 0x8be0 泣きぬれた子犬のようなサバトちゃんの姿に、
007.stcm2 0x8c38 僕の心はズギューンと痛みはじめました。
007.stcm2 0x8c9c 鬼神と化した僕の心も弱ってきました。負ける
007.stcm2 0x8cf4 な強い子！　強い心！
007.stcm2 0x8d48 ここで折れるわけにはいかないのです。なんと
007.stcm2 0x8da0 しても連れて帰らなくてはいけません。
007.stcm2 0x8f04 「ええい、ダメダメ！　僕にはそんなズルはで
007.stcm2 0x8f5c きない！　健康診断なんかすぐに終わるんだか
007.stcm2 0x8fb4 ら、ちゃっちゃと終わらせちゃいなさい！」
007.stcm2 0x901c 僕は、いつになくサバトちゃんにキビしく接し
007.stcm2 0x9074 ていました。
007.stcm2 0x90c0 それと言うのも、たとえ不幸でも、それにめげ
007.stcm2 0x9118 ずにまっすぐ生きるサバトちゃんでいてほしい
007.stcm2 0x9170 からです。
007.stcm2 0x92b0 サバトちゃん
007.stcm2 0x92ec 「いやですぅ！　サバトは毒なんかいやなんで
007.stcm2 0x9344 すぅ！　桜くん、お願いしますぅ！」
007.stcm2 0x93fc 「うう……」
007.stcm2 0x9448 どうしたことでしょう。僕の心はいい感じのク
007.stcm2 0x94a0 リティカルをもらってしまったかのように、弱っ
007.stcm2 0x94fc ていきます。
007.stcm2 0x9618 サバトちゃん
007.stcm2 0x9654 「もし、サバトが毒なんか受けたら、きっと大
007.stcm2 0x96ac 変なことになるに決まってますぅ」
007.stcm2 0x9830 そうです。サバトちゃんは普通の栄養環境にな
007.stcm2 0x9888 い特殊な女の子なのです。
007.stcm2 0x98e0 あの毒手に耐えられる保証はありません。まさ
007.stcm2 0x9938 か、死にはしないと思いますが、あの図太いザ
007.stcm2 0x9990 ンスが意識を失うほどです。
007.stcm2 0x99e8 かなり強烈なのは間違いありませんし、サバト
007.stcm2 0x9a40 ちゃんはこれでもかと言うくらい運が悪いので
007.stcm2 0x9a98 す。【あたりどころ】が心配になります。
007.stcm2 0x9afc それに、心配は毒だけにあらず。病は気からと
007.stcm2 0x9b54 言うように、病気は認識した瞬間に身体が弱っ
007.stcm2 0x9bac ていくものなのです。
007.stcm2 0x9c00 健康診断でサバトちゃんに悪い結果が出たら、
007.stcm2 0x9c58 サバトちゃんが弱ってしまうかもしれません。
007.stcm2 0x9cc0 そう考えると、さすがにカワイソウになってき
007.stcm2 0x9d18 ました。でも、僕もベノムちゃんたちを裏切る
007.stcm2 0x9d70 わけにはいかないし……。
007.stcm2 0x9df0 サバトちゃん
007.stcm2 0x9e2c 「だめ……なんですぅ……桜くんに迷惑がかか
007.stcm2 0x9e84 るですぅ」
007.stcm2 0x9f24 「サバトちゃん……」
007.stcm2 0x9fa0 サバトちゃん
007.stcm2 0x9fdc 「うぅ……しょうがないですぅ。観念しますぅ。
007.stcm2 0xa038 自首するですぅ」
007.stcm2 0xa088 それでも、僕は……。
007.stcm2 0xa1d0 「……行きなよ」
007.stcm2 0xa248 サバトちゃん
007.stcm2 0xa350 「１回だけ、見逃してあげる。でも３分経った
007.stcm2 0xa3a8 ら、僕はまたサバトちゃんを追いかけるからね」
007.stcm2 0xa43c サバトちゃん
007.stcm2 0xa478 「桜くん……」
007.stcm2 0xa55c 「おっと、こんなところにきれいな花が。これ
007.stcm2 0xa5b4 は【３分くらい】見ていたいなあ。注意が行き
007.stcm2 0xa60c 届かないや」
007.stcm2 0xa658 僕は大きめの声でそう言いました。この声は、
007.stcm2 0xa6b0 きっと立派な羊のツノを持った女の子にも届い
007.stcm2 0xa708 たはずです。
007.stcm2 0xa8d8 サバトちゃん
007.stcm2 0xa914 「あぁぁ、ほんとうですぅ。サバトも一緒に
007.stcm2 0xa96c 【３分くらい】見てたいですぅ」
007.stcm2 0xaa3c 「ね、本当にきれいだよね。まるで純粋なキミ
007.stcm2 0xaa94 の心のよーーっておいおおぉい！」
007.stcm2 0xab74 「だめでしょサバトちゃんも一緒に見ていたら！
007.stcm2 0xabd0 なんでこのサリゲナイ僕の仕草と思惑は、キミ
007.stcm2 0xac28 に届かないのッ！？」
007.stcm2 0xad64 サバトちゃん
007.stcm2 0xada0 「はッ！！　ど、どうもありがとうなんです桜
007.stcm2 0xadf8 くんっ！　このご恩は忘れないですぅ！！」
007.stcm2 0xaf20 そんな涙声が聞こえると、すぐにそこにいた天
007.stcm2 0xaf78 使の女の子は姿を消していました。
007.stcm2 0xb030 「は、速ッ！？」
007.stcm2 0xb080 そのダッシュ力を見る限り、健康診断で悪い結
007.stcm2 0xb0d8 果なんか出ることもなさそうな……。
007.stcm2 0xb138 まあ、これで安心してつかまえることができる
007.stcm2 0xb190 わけですから、よしとしましょう。
007.stcm2 0xb1f0 僕も甘いですね。ですが、サバトちゃんのいや
007.stcm2 0xb248 がりようを見ると、どうしても鬼になりきれな
007.stcm2 0xb2a0 かったようです。
007.stcm2 0xb2f0 そうやって僕は、ただ花を見るにはちょっと長
007.stcm2 0xb348 い３分間をそこで過ごしたのでした。
007.stcm2 0xb5f0 木を隠すなら森。でも天使を隠そうにも、この
007.stcm2 0xb648 街には僕の周り以外に天使はいません。
007.stcm2 0xb6ac だとすればせめて、人が多いところに隠れるは
007.stcm2 0xb748 というわけで、僕はここアルカディア商店街に
007.stcm2 0xb7a0 やってきました。
007.stcm2 0xb7f0 この辺りでは駅と同じくらい人が集まるアーケー
007.stcm2 0xb84c ド商店街は、隠れるにも絶好のスポットです。
007.stcm2 0xb8b4 そう考えた僕は、一旦みんなと別れて、ここを
007.stcm2 0xb90c さがしてみることにしました。
007.stcm2 0xb968 それにしても、どうさがしたものか……。
007.stcm2 0xb9cc そんなことを考えていると、前方にきらめく２
007.stcm2 0xba24 つのわっかが浮いているのが見えました。
007.stcm2 0xba88 あれは……。
007.stcm2 0xbb48 「ザクロちゃん、ベノムちゃん」
007.stcm2 0xbeb4 ベノムちゃん
007.stcm2 0xbef0 「桜殿……？　桜殿もこちらへ？」
007.stcm2 0xbfa8 「うん。やっぱり人が多いところに隠れるんじゃ
007.stcm2 0xc004 ないかと思って。ザクロちゃんも？」
007.stcm2 0xc14c ザクロちゃん
007.stcm2 0xc188 「はい。おねえさまが好きなものがこの商店街
007.stcm2 0xc1e0 には多いですし、ここに現れる可能性も高いの
007.stcm2 0xc238 ではないかと……」
007.stcm2 0xc288 考えることが似ていたみたいです。さすがはザ
007.stcm2 0xc2e0 クロちゃん、おねえさんのことをよく考えて行
007.stcm2 0xc338 動しています。
007.stcm2 0xc46c ベノムちゃん
007.stcm2 0xc4a8 「自分は、まだこの街での勝手がわかりません
007.stcm2 0xc500 ので、ザクロ殿にお供している次第であります」
007.stcm2 0xc5c4 「なるほど、ベノムちゃんは来たばっかりだも
007.stcm2 0xc748 ベノムちゃん
007.stcm2 0xc784 「はっ、お気づかいありがとうございます」
007.stcm2 0xc7ec でも、ベノムちゃんがいることに、だんだんと
007.stcm2 0xc844 違和感がなくなってきました。
007.stcm2 0xc8a0 思えば、ドクロちゃんも、サバトちゃんも、ザ
007.stcm2 0xc8f8 クロちゃんも、あっという間に周囲になじんで
007.stcm2 0xc950 しまったものです。
007.stcm2 0xc9a0 ザンスにはなじんでほしくないですが、そのう
007.stcm2 0xc9f8 ち彼は心にさえ不法侵入してきそうです。
007.stcm2 0xca5c まあ、そのザンスも今はうちの前でグロッキー。
007.stcm2 0xcab8 いい気味と言うにはかわいそうですが、これで
007.stcm2 0xcb10 少しは反省してほしいものです。
007.stcm2 0xcb6c さて、今のところ視界の中にドクロちゃんとサ
007.stcm2 0xcbc4 バトちゃんはいないわけですが、どうしたもの
007.stcm2 0xcc1c でしょうか。
007.stcm2 0xcc68 どうします？
007.stcm2 0xccb0 １．ザクロちゃんに話しかける
007.stcm2 0xcd08 ２．ベノムちゃんに話しかける
007.stcm2 0xd198 「ここだと思ったんだけど、いないね……」
007.stcm2 0xd2e8 ザクロちゃん
007.stcm2 0xd324 「おねえさま……本当にどちらへ行ってしまわ
007.stcm2 0xd37c れたのでしょう……」
007.stcm2 0xd3d0 人が多いところ、という考えは空振ってしまっ
007.stcm2 0xd428 たのでしょうか。
007.stcm2 0xd478 他に、ドクロちゃんが行きそうなところと言え
007.stcm2 0xd4d0 ば……候補が多すぎます！
007.stcm2 0xd528 というか、彼女の性格を考えたなら、すぐにこ
007.stcm2 0xd580 の回答に行き着くべきでした。
007.stcm2 0xd5dc 見るものすべてに興味を示す小学生のような彼
007.stcm2 0xd634 女は、どこにでもフラフラと出歩き、なんにで
007.stcm2 0xd68c もホイホイついていくのです。
007.stcm2 0xd740 「あと未知数なのはサバトちゃんか……」
007.stcm2 0xd7a4 僕はサバトちゃんから逃げたことはありますが、
007.stcm2 0xd800 サバトちゃんを追いかけたことはありません。
007.stcm2 0xd950 ザクロちゃん
007.stcm2 0xd98c 「さっき静希さんが目撃した時点では、一緒に
007.stcm2 0xd9e4 いたようですが……」
007.stcm2 0xda90 「……そうみたいだね」
007.stcm2 0xdae4 一緒になって、人様の家の屋根に飛び上がる姿
007.stcm2 0xdb3c が目撃されているのです。
007.stcm2 0xdb94 屋根の上まで行動半径となると、ますますわか
007.stcm2 0xdbec りません。まさかサバトちゃんまでがそんな行
007.stcm2 0xdc44 動に出るとは思わなかったのです。
007.stcm2 0xdd8c ザクロちゃん
007.stcm2 0xddc8 「おねえさまに関しては追いかけるというより
007.stcm2 0xde20 は、呼び寄せる方がいいのかもしれませんね」
007.stcm2 0xdee0 「呼び寄せる……？　というと、ワナとか？」
007.stcm2 0xe030 ザクロちゃん
007.stcm2 0xe06c 「少しちがうかもしれませんが、おねえさまが
007.stcm2 0xe0c4 興味を示しそうなことをすれば、自然と姿を現
007.stcm2 0xe11c してくれるのではないかと」
007.stcm2 0xe1cc 「興味か……」
007.stcm2 0xe218 なにをしても興味を引けるような気がするし、
007.stcm2 0xe270 なにをしても裏目に出そうな気がしてなりませ
007.stcm2 0xe334 興味を引くとしたら……僕！？　そんなことに
007.stcm2 0xe38c なってしまったら、おとり大作戦じゃないです
007.stcm2 0xe3e4 か！　捨て身もいいところです！
007.stcm2 0xe498 「いえ、とりあえずは普通にさがしていきましょ
007.stcm2 0xe4f4 う。きっと黙っていても、ドクロちゃんはこっ
007.stcm2 0xe54c ちにちょっかいを出してくるはずですから」
007.stcm2 0xe5b4 あの子はそういう天使です。その性質がなけれ
007.stcm2 0xe60c ば、僕をここまで困らせたりはしないのですか
007.stcm2 0xe78c ザクロちゃん
007.stcm2 0xe7c8 「ふふ……桜さん、おねえさまのことをよくわ
007.stcm2 0xe820 かってらっしゃるんですね」
007.stcm2 0xe878 ううん、全然。僕は心の中でザクロちゃんにそ
007.stcm2 0xe8d0 う答えました。
007.stcm2 0xe91c わかるはずがないのです。ドクロちゃんにはきっ
007.stcm2 0xe978 と心理学も統計学も通用しません。
007.stcm2 0xe9d8 彼女はすべてが適当。言えるのはそれだけです。
007.stcm2 0xea44 そんな考えを抱いて、僕らはアルカディア商店
007.stcm2 0xea9c 街を歩いていきました。
007.stcm2 0xedd8 「それにしても、ベノムちゃんも苦労が絶えな
007.stcm2 0xef5c ベノムちゃん
007.stcm2 0xef98 「いえ、職務でありますから」
007.stcm2 0xf04c 「うん、それはそうだろうけど。受け持った人
007.stcm2 0xf0a4 に、こうも逃げられてばっかりだと……」
007.stcm2 0xf1f0 ベノムちゃん
007.stcm2 0xf22c 「ど、どうしてご存知なのでありますか！？
007.stcm2 0xf284 確かに自分が受け持った方は、逃げてしまわれ
007.stcm2 0xf2dc る場合も多いであります」
007.stcm2 0xf334 僕は３人受け持って、その内の２人に逃げられ
007.stcm2 0xf38c てしまったことを言ったつもりだったのですが、
007.stcm2 0xf3e8 よくこういう事態になるようです。
007.stcm2 0xf448 予想通りというか、あの毒手を目の当たりにし
007.stcm2 0xf4a0 たら、健康診断を受けるのも相当な勇気が必要
007.stcm2 0xf4f8 になるのもうなずけます。
007.stcm2 0xf5a8 「いや、うん。なんかそんな気がしたんだけど」
007.stcm2 0xf6fc ベノムちゃん
007.stcm2 0xf738 「そうでありますか……」
007.stcm2 0xf790 ダメです、このままではベノムちゃんが落ち込
007.stcm2 0xf7e8 んでしまいます。
007.stcm2 0xf838 はげまして、がんばってもらうために声をかけ
007.stcm2 0xf890 たのに、これでは逆効果じゃないですか！
007.stcm2 0xf94c 「きっとなんとかなるから、心配しないで？」
007.stcm2 0xf9b4 そう。真面目な人は報われるんだ、ってあの不
007.stcm2 0xfa0c 真面目の代表に思い知らせてやりましょう。
007.stcm2 0xfa74 そう考えると、燃えてくるじゃありませんか！
007.stcm2 0xfaf8 そう……あのアホ天使め……アホ天使めぇぇ！！
007.stcm2 0xfb54 いつも！　いつもいつもォ！！
007.stcm2 0xfc30 「なんとか、してやる！　あのアホ天使をどう
007.stcm2 0xfc88 にかしてやるぞぉぉぉぉッ！！」
007.stcm2 0xfdcc ベノムちゃん
007.stcm2 0xfe08 「さ、桜殿はそんなにまで熱心に……！　自分
007.stcm2 0xfe60 も落ち込んでいる場合ではないであります！」
007.stcm2 0xfec8 ベノムちゃんは力強さを取り戻し、いまやその
007.stcm2 0xff20 瞳はランランと燃えています。
007.stcm2 0xffd4 「うん、やろう！　ドクロちゃんたちをつかま
007.stcm2 0x1002c えるんだ！」
007.stcm2 0x10160 ベノムちゃん
007.stcm2 0x1019c 「はっ！　了解であります、桜殿！」
007.stcm2 0x101fc ここが土手や砂浜だったら、全力で走り出すと
007.stcm2 0x10254 ころです。
007.stcm2 0x1029c サバトちゃんに恨みはありません。でも、彼女
007.stcm2 0x102f4 もつかまえなくてはいけません。
007.stcm2 0x1036c 僕たちは決意も新たに、アルカディア商店街の
007.stcm2 0x103c4 地を踏みしめていきました。
007.stcm2 0x10718 第１話　中盤なんですよぅ
007.stcm2 0x1082c 僕たちは、適当な時間で見切りをつけて再び集
007.stcm2 0x10884 合しました。
007.stcm2 0x108d0 一様に顔を見合わせ、その表情からは誰も成果
007.stcm2 0x10928 が上がってないことがわかります。
007.stcm2 0x109e0 「みんな成果なし、か……」
007.stcm2 0x10abc 僕としても、ドクロちゃんに逃げられたという
007.stcm2 0x10b14 ことしかありません。本当にこんな調子でつか
007.stcm2 0x10b6c まえられるのか、不安すら覚えます。
007.stcm2 0x10c4c サバトちゃんを見つけたことは、とりあえず黙っ
007.stcm2 0x10ca8 ておきましょう。僕は公園で誰にも会わなかっ
007.stcm2 0x10d00 たのです。
007.stcm2 0x10ed0 ザクロちゃん
007.stcm2 0x10f0c 「……こうなることを恐れて、わたくしは黙っ
007.stcm2 0x10f64 ていたのです。ベノムさんについて知れば、お
007.stcm2 0x10fbc ねえさまならきっと逃げてしまうと思いました」
007.stcm2 0x11028 ザクロちゃんが静かにつぶやきました。ベノム
007.stcm2 0x11080 ちゃんには聞こえないように話しています。
007.stcm2 0x11140 「ザクロちゃん、まったくもってその通りだよ」
007.stcm2 0x111ac 惜しむらくは、ドクロちゃんとサバトちゃんに
007.stcm2 0x11204 その話を聞かれてしまったことです。
007.stcm2 0x11264 それさえなければ、少なくともドクロちゃんは
007.stcm2 0x112bc 健康診断を受けていたのです。
007.stcm2 0x114fc 静希ちゃん
007.stcm2 0x11534 「そう言えば、ドクロちゃんとサバトちゃんは
007.stcm2 0x1158c どうしていなくなっちゃったの？」
007.stcm2 0x11644 「あまり大きな声では言えないんだけど、ベノ
007.stcm2 0x1169c ムちゃんに健康診断されるのがイヤで逃げちゃっ
007.stcm2 0x116f8 たんだ」
007.stcm2 0x119f0 静希ちゃん
007.stcm2 0x11a28 「健康診断って？」
007.stcm2 0x11b60 ベノムちゃん
007.stcm2 0x11b9c 「はい、自分は【天使による人員点呼および健
007.stcm2 0x11bf4 康保全機構】、通称スーヴェリージュから参り
007.stcm2 0x11c4c ました」
007.stcm2 0x11d7c 静希ちゃん
007.stcm2 0x11db4 「あ、それでドクロちゃんとサバトちゃんの健
007.stcm2 0x11e0c 康診断に……」
007.stcm2 0x11f40 ベノムちゃん
007.stcm2 0x11f7c 「ご明察の通りであります」
007.stcm2 0x12180 静希ちゃん
007.stcm2 0x121b8 「ザクロちゃんは終わったの？」
007.stcm2 0x12214 さすが静希ちゃんです。いいところに気が付き
007.stcm2 0x1226c ました。
007.stcm2 0x1230c 「う、うん。ザクロちゃんはもう終わったよ」
007.stcm2 0x12374 ベノムちゃんの目の前で、この話はできません。
007.stcm2 0x123d0 ザクロちゃんが毒手を恐れて、今年の健康診断
007.stcm2 0x12428 はパスしただなんて！
007.stcm2 0x12498 パス……？　去年受けたからパスできたわけで
007.stcm2 0x124f0 すよね？
007.stcm2 0x12774 「……ところで、ザクロちゃん」
007.stcm2 0x127d0 僕はベノムちゃんに聞こえないように話しかけ
007.stcm2 0x12828 ました。
007.stcm2 0x12958 ザクロちゃん
007.stcm2 0x12994 「はい、なんでしょう？」
007.stcm2 0x12a44 「ザクロちゃんは去年の健康診断を受けたとい
007.stcm2 0x12a9c うことは、ザクロちゃんもベノムちゃんの毒手
007.stcm2 0x12c24 ザクロちゃん
007.stcm2 0x12c60 「はい……あの、ちょっとつらかったです」
007.stcm2 0x12ce4 な、なんと……！　やはり……！
007.stcm2 0x12d30 ということは、まさか……！
007.stcm2 0x13104 思われるのは去年の光景。
007.stcm2 0x13184 ザクロちゃん
007.stcm2 0x131c0 「うぁッ！　ベ、ベノムさん……！」
007.stcm2 0x13248 ベノムちゃん
007.stcm2 0x13284 「もう少しであります」
007.stcm2 0x13318 ベノムちゃんの持つ、その毒手がザクロちゃん
007.stcm2 0x13370 のカラダに触れていきます。
007.stcm2 0x133c8 時に激しく、時にゆっくりと、表面をなぞるそ
007.stcm2 0x13420 の手は、ザクロちゃんのすべてを調べ上げてい
007.stcm2 0x13478 きます。
007.stcm2 0x134c0 健康診断なのですから当然、服をはだけたりす
007.stcm2 0x13518 るわけですよね、ベノム先生ッ！？
007.stcm2 0x13688 ザクロちゃん
007.stcm2 0x136c4 「は、はい……！　あ、ベノムさん、もう少し
007.stcm2 0x1371c やさしく……！」
007.stcm2 0x13794 ベノムちゃん
007.stcm2 0x137d0 「むずかしいでありますね……」
007.stcm2 0x1382c ザクロちゃんさえも、その毒手の前に気丈さを
007.stcm2 0x13884 失います。
007.stcm2 0x139e8 そしてベノムちゃんの手は次々に……。
007.stcm2 0x13c70 ザクロちゃん
007.stcm2 0x13cac 「……桜さん。……桜さん！」
007.stcm2 0x13d60 「なななななに！？　ザクロちゃん！？」
007.stcm2 0x13dc4 僕は急速に意識を取り戻しました。目の前にい
007.stcm2 0x13e1c るのはザクロちゃん。
007.stcm2 0x14434 ザクロちゃん
007.stcm2 0x14470 「桜さんの握りこぶしから、金色の砂がこぼれ
007.stcm2 0x144c8 出ています！　ああ！　砂が落ちたアスファル
007.stcm2 0x14520 トから花が咲きはじめました！」
007.stcm2 0x14698 「な……！　僕は奇跡の具現者か！？」
007.stcm2 0x14998 ザクロちゃん
007.stcm2 0x149d4 「は、はやく砂を止めてください！　ベノムさ
007.stcm2 0x14a2c んの親切心で、桜さんまで健康診断を受けるこ
007.stcm2 0x14a84 とになってしまいます！」
007.stcm2 0x14bf8 「それはすごくマズイよ！」
007.stcm2 0x14c50 確かにベノムちゃんはいい子です。天使と人間
007.stcm2 0x14ca8 を区別するようなことはしないでしょう。それ
007.stcm2 0x14d00 だけにマズイのです。
007.stcm2 0x14d54 さっきも紫の煙を見せてしまいましたし、こん
007.stcm2 0x14dac な普通じゃない体質を見たら、調べてくれちゃ
007.stcm2 0x14e04 うかもしれないじゃありませんか！
007.stcm2 0x15018 さあ、はやく！　ベノムちゃんのやさしさに見
007.stcm2 0x15070 つかってしまう前に！
007.stcm2 0x1517c 僕は意識を手に集中させます。静かなざわめき
007.stcm2 0x151d4 が、僕の内側に発生しては止んでいきました。
007.stcm2 0x152a4 なにか、宇宙的な力を感じます。ほら、目を閉
007.stcm2 0x152fc じればまぶたの裏にははるかなる銀河……。
007.stcm2 0x15364 僕の意識は急速に落ちくぼんで……。
007.stcm2 0x15490 「フゥゥゥゥゥゥ――……」
007.stcm2 0x156f0 ザクロちゃん
007.stcm2 0x1572c 「桜さん……よかった、砂が止まりました」
007.stcm2 0x15794 ザクロちゃんもほっとしたような顔です。
007.stcm2 0x157e8 僕は大宇宙の意思のようなものの声を聞いた気
007.stcm2 0x15840 がしますが、気のせいでしょう。
007.stcm2 0x158f4 「よかった……」
007.stcm2 0x15b5c 静希ちゃん
007.stcm2 0x15b94 「桜くん、どうしたの？　なにかあったの？」
007.stcm2 0x15c54 「な、なにもないヨ！？　うん！」
007.stcm2 0x15e60 ザクロちゃん
007.stcm2 0x15e9c 「桜さん。静希さんにも【ミーミング】と【毒
007.stcm2 0x15ef4 手】について、お話ししておいた方が良いかと
007.stcm2 0x15f4c 思います」
007.stcm2 0x15fec 「あ、それもそうだね」
007.stcm2 0x16040 静希ちゃんが不用意にベノムちゃんの手に触れ
007.stcm2 0x16098 たりしたら、大変なことになります。
007.stcm2 0x162b4 なにが大変かって、僕の精神が異常をキタしま
007.stcm2 0x1630c すよ。静希ちゃんが倒れたりしたら僕は……！
007.stcm2 0x163b4 ザクロちゃんはベノムちゃんに近づいて話しか
007.stcm2 0x1640c けています。
007.stcm2 0x16458 さすがに４人いる状態で３人がひそひそ話をは
007.stcm2 0x164b0 じめたら、残された１人が不審に思うでしょう。
007.stcm2 0x1651c ザクロちゃんがベノムちゃんの注意をそらして
007.stcm2 0x16574 くれている間に、静希ちゃんに話してしまいま
007.stcm2 0x165cc しょう。
007.stcm2 0x16694 「静希ちゃん、あのね……」
007.stcm2 0x166ec 僕は耳打ちするような動きを見せ、静希ちゃん
007.stcm2 0x16744 に手招きしました。
007.stcm2 0x168fc 静希ちゃん
007.stcm2 0x16934 「なに？」
007.stcm2 0x1697c 静希ちゃんの顔が近づきます。至近距離です。
007.stcm2 0x169d4 ああ、くそう！　いつもこの距離でお話したい！
007.stcm2 0x16a98 「ちょっと言いにくいんだけど、ベノムちゃん
007.stcm2 0x16af0 に気をつけてほしいんだ。特にベノムちゃんの
007.stcm2 0x16c74 静希ちゃん
007.stcm2 0x16cac 「ベノムちゃんの手？」
007.stcm2 0x16d58 「うん、実は……」
007.stcm2 0x16e88 僕は知りうる限りの情報を、すべて静希ちゃん
007.stcm2 0x16ee0 に話しました。
007.stcm2 0x16f2c ミーミングのこと、毒手のこと、ドクロちゃん
007.stcm2 0x16f84 とサバトちゃんが逃げた経緯。
007.stcm2 0x16fe0 すべて聞いたあとの反応は、僕と同じでした。
007.stcm2 0x171a8 静希ちゃん
007.stcm2 0x171e0 「そんな……ベノムちゃん自身は本当に気付い
007.stcm2 0x17238 ていないの？」
007.stcm2 0x17284 そう、やっぱりそこが１番引っかかるのです。
007.stcm2 0x17344 「残念だけど、気付いてないんだ。誰も本当の
007.stcm2 0x1739c ことを言えないらしくて」
007.stcm2 0x17504 静希ちゃん
007.stcm2 0x1753c 「ベノムちゃん、少しかわいそう……」
007.stcm2 0x175f8 「うん、そうだよね……」
007.stcm2 0x17650 静希ちゃんのやさしさに影響されたわけではな
007.stcm2 0x176a8 いのですが、僕もベノムちゃんには真実を知る
007.stcm2 0x17700 権利があるような気がするのです。
007.stcm2 0x17760 ……なんと言うか、ポイズン蠱毒壺ミーミング
007.stcm2 0x177b8 について教えてあげるのが１番いい気がしてき
007.stcm2 0x17810 ました。
007.stcm2 0x17874 僕は考えました。どうすればいいのかを。
007.stcm2 0x178d8 結論は、すぐに出ました。ベノムちゃんに教え
007.stcm2 0x17930 てあげるのが、やはり最善のような気がするの
007.stcm2 0x17ad0 ……よし。僕は意を決して、ベノムちゃんとザ
007.stcm2 0x17b28 クロちゃんが話しているところに近づいていき
007.stcm2 0x17b80 ました。
007.stcm2 0x17ee0 「ベノムちゃん。あのね……」
007.stcm2 0x18024 ベノムちゃん
007.stcm2 0x18060 「はい、なんでありますか？」
007.stcm2 0x181a4 ザクロちゃん
007.stcm2 0x181e0 「……桜さん、まさか！？」
007.stcm2 0x18238 ザクロちゃんは僕の様子に、これから僕がなに
007.stcm2 0x18290 を言わんとしているのかがわかったようです。
007.stcm2 0x182e8 そのまさかなのです。
007.stcm2 0x18458 「そのミー……」
007.stcm2 0x184ec ドクンと心臓が脈うちました。
007.stcm2 0x185b0 目の前にはきょとんとしたベノムちゃん。その
007.stcm2 0x18608 瞳はなにも知らないがゆえに輝いています。
007.stcm2 0x18670 うはあッ！　い、言えない！　あと少しのとこ
007.stcm2 0x186c8 ろで言葉がのどから出てきません！
007.stcm2 0x18780 「ベノムちゃんのミー……」
007.stcm2 0x187d8 ミーミングだってば！　ほら、言うんだ！
007.stcm2 0x18924 ベノムちゃん
007.stcm2 0x18960 「ミー？」
007.stcm2 0x189f8 ベノムちゃんが再び首をかしげます。ぬうう、
007.stcm2 0x18a50 かわいいじゃないですか！　だ、ダメだ！！
007.stcm2 0x18bcc 「ミィはあっちにドクロちゃんがいると思うザ
007.stcm2 0x18c24 ンス！」
007.stcm2 0x18c94 ……しーん。
007.stcm2 0x18ce0 場のシラケ具合を表現するのに【しーん】なん
007.stcm2 0x18d38 て久しぶりです。でもこの空気、それ以外に表
007.stcm2 0x18d90 現できません。
007.stcm2 0x18ec4 ベノムちゃん
007.stcm2 0x18f00 「……ザンス殿の真似でありますか？」
007.stcm2 0x19074 うおおおおぉぉォォォオオオオオオオオ！！
007.stcm2 0x190cc やっちまったぁぁぁぁぁぁぁ！！
007.stcm2 0x19128 よりによってザンス！？　ザンスのモノマネを
007.stcm2 0x19180 してしまったザンス！　……ちがう！
007.stcm2 0x19238 「う、うん。いや、ちがうんだよ？　したかっ
007.stcm2 0x19290 たわけじゃなくて、身体が勝手に……勝手にし
007.stcm2 0x192e8 ちゃうくらいザンスが好きなわけじゃなくて！」
007.stcm2 0x19438 ベノムちゃん
007.stcm2 0x19474 「桜殿は、芸達者であられる（くすくす）」
007.stcm2 0x194dc 恥ずかしい……！　穴があったら入りたい！
007.stcm2 0x19534 この際だから、壺でもいいです！
007.stcm2 0x19590 ああもうッ！　お腰につけた蠱毒壺、ひとつ私
007.stcm2 0x195e8 にくださいなッ！
007.stcm2 0x19688 「……ん？　桜、なにやってんだ？」
007.stcm2 0x19884 「そ、その声はぁぁァァァァ！？」
007.stcm2 0x198e4 僕は全力で、この恥ずかしい空気をごまかしに
007.stcm2 0x1993c かかりました。
007.stcm2 0x19988 この大げさなリアクション。
007.stcm2 0x199d0 みんなの注意がそれること、受け合いです。
007.stcm2 0x19bc8 僕は声だけでなく動きもできるだけオーバーに
007.stcm2 0x19c20 して振り返りました。……そこにいたのは、宮
007.stcm2 0x19c78 本でした。
007.stcm2 0x19d1c 「なんだよ、大げさだな」
007.stcm2 0x19d74 それはもちろん大げさにやったのですから、
007.stcm2 0x19dcc そのように受け取ってもらわないと困ります。
007.stcm2 0x19e34 宮本は僕の小さいころからの親友です。フルネー
007.stcm2 0x19e90 ムは宮本広志（みやもとこうじ）。野球部に所
007.stcm2 0x19ee8 属し、僕と同じ聖ゲルニカ学園に通っています。
007.stcm2 0x19f54 静希ちゃんに比べると重要度は落ちるものの、
007.stcm2 0x19fac 彼も僕の幼なじみです。……静希ちゃんと比べ
007.stcm2 0x1a004 るのはかわいそうですね。
007.stcm2 0x1a05c でも、僕の家にドクロちゃんが来てから、宮本
007.stcm2 0x1a0b4 はなぜか他人のふりをすることが多いです。照
007.stcm2 0x1a10c れてるの？
007.stcm2 0x1a154 それでも、今のような僕のピンチでここぞとば
007.stcm2 0x1a1ac かりに助けてくれるのはやはり親友だからでしょ
007.stcm2 0x1a208 う。ビバ友情。
007.stcm2 0x1a2ac 「宮本……今ほどおまえの友情に感謝したこと
007.stcm2 0x1a304 はない！」
007.stcm2 0x1a438 「桜はなにを言ってるんだ？」
007.stcm2 0x1a6c0 静希ちゃん
007.stcm2 0x1a6f8 「ねえ、宮本くん。この辺でドクロちゃんとサ
007.stcm2 0x1a750 バトちゃんを見なかった？」
007.stcm2 0x1a894 「なんだ、水上も一緒だったのか。あー、そう
007.stcm2 0x1a8ec 言えば、ついさっきドクロちゃんが校庭のすみ
007.stcm2 0x1a944 で、高速に反復横とびしてるのを見たぞ」
007.stcm2 0x1aac0 「ホントか？」
007.stcm2 0x1abf8 「ドクロちゃんを見間違えるか？」
007.stcm2 0x1acb0 「それもそうだ」
007.stcm2 0x1ad00 というか、校庭で意味もなく高速に反復横とび
007.stcm2 0x1ad58 をやりそうな知り合いは、僕にはドクロちゃん
007.stcm2 0x1adb0 しかいません。
007.stcm2 0x1adfc それにしても、逃亡生活の中であの子はなにを
007.stcm2 0x1ae54 やっているのでしょうか？　案外、ヒマなのか
007.stcm2 0x1aeac もしれません。
007.stcm2 0x1af50 「そうだ。ドクロちゃんの他に、サバトちゃん
007.stcm2 0x1afa8 もいなかったか？」
007.stcm2 0x1b0e4 「いや、俺は見てないが……ああなんか、ツノ
007.stcm2 0x1b13c の生えた女の子が蛇口の水をずっと飲んでるっ
007.stcm2 0x1b194 て、誰かが言ってたな」
007.stcm2 0x1b240 「ホントか？」
007.stcm2 0x1b378 「サバトちゃん以外にツノが生えた女の子知っ
007.stcm2 0x1b3d0 てるか？」
007.stcm2 0x1b470 「それもそうだ」
007.stcm2 0x1b4c0 これはいよいよ、間違いなさそうです。２人は
007.stcm2 0x1b518 そろってゲルニカ学園にいるようです。
007.stcm2 0x1b5d4 「サンキュー宮本。助かったよ」
007.stcm2 0x1b718 「おい、桜。その子は誰だ？」
007.stcm2 0x1b92c 宮本はベノムちゃんの方をちらりと見てから、
007.stcm2 0x1b984 僕に問いかけました。
007.stcm2 0x1ba30 「この子は天使のベノムちゃんだ。じゃあな」
007.stcm2 0x1bc78 「おい、それだけかよ！」
007.stcm2 0x1bd28 事態は一刻を争います。はやく行かないと２人
007.stcm2 0x1bd80 が逃げてしまいますから。
007.stcm2 0x1bdd8 僕はみんなをうながして、かけ足で学校に向か
007.stcm2 0x1be30 いました。
007.stcm2 0x1c254 僕は再び、聖ゲルニカ学園にやって来ました。
007.stcm2 0x1c2d8 聖ゲルニカ学園にやって来ました。僕と静希ちゃ
007.stcm2 0x1c334 ん、それからさっきの宮本が通う学校は、外か
007.stcm2 0x1c38c ら見る限り放課後の活気を見せています。
007.stcm2 0x1c3f0 そう言えば、どうやったのか知りませんがドク
007.stcm2 0x1c448 ロちゃんは天使なのに、ゲルニカ学園に転入し
007.stcm2 0x1c4a0 てきたのでした。
007.stcm2 0x1c4f0 しかも、わざわざ僕と同じクラスに！　おかげ
007.stcm2 0x1c548 で僕は前述の【ドクロちゃん係】に任命です！
007.stcm2 0x1c5b0 それにより僕の学校生活がどれだけめちゃくちゃ
007.stcm2 0x1c60c になるか、考えてくれる人はいなかったのでしょ
007.stcm2 0x1c6f0 こんな娘なんですよ？
007.stcm2 0x1c744 ……さて、愚痴はともかく、どこからさがしま
007.stcm2 0x1c79c しょう。宮本が見かけたのは校庭だったようで
007.stcm2 0x1c7f4 すが、ずっとそこにいるとも思えませんし。
007.stcm2 0x1c89c その校庭からは部活に参加する生徒たちでしょ
007.stcm2 0x1c8f4 うか、大きな声が聞こえてきます。
007.stcm2 0x1c954 宮本が帰ってきたくらいですから野球部は練習
007.stcm2 0x1c9ac が終わったのでしょうが、まだ陸上部は練習中
007.stcm2 0x1ca04 のようです。
007.stcm2 0x1ca50 陸上部の静希ちゃんは練習に参加するはずだっ
007.stcm2 0x1caa8 たのに、こちらを手伝ってくれています。
007.stcm2 0x1cb0c 静希ちゃんのためにも、はやく２人をつかまえ
007.stcm2 0x1cb64 なくてはいけません。
007.stcm2 0x1cc78 それにしても……。
007.stcm2 0x1cd20 「さっきさがしたときは、ドクロちゃんたちに
007.stcm2 0x1cd78 気付かなかったな……」
007.stcm2 0x1cdcc 僕は校舎を見上げながら、つぶやきます。
007.stcm2 0x1cfb8 静希ちゃん
007.stcm2 0x1cff0 「うん。あのときは姿が見えなかったよね」
007.stcm2 0x1d058 誰もいない教室に対してフェイントをかけてみ
007.stcm2 0x1d0b0 たりもしましたが、もしかしたらそのとき教室
007.stcm2 0x1d108 内にいたりしたのかもしれません。
007.stcm2 0x1d168 それとも、そのあとに僕たちと入れ違いでやっ
007.stcm2 0x1d1c0 てきたのか……。
007.stcm2 0x1d3c0 校庭を見回してみても、反復横とびをしている
007.stcm2 0x1d418 ようなあやしい人の姿は見えません。
007.stcm2 0x1d510 「とにかく、校舎に入ってみようか」
007.stcm2 0x1d6f8 ベノムちゃん
007.stcm2 0x1d734 「これは、桜殿たちの学び舎でありますか。
007.stcm2 0x1d78c ここにドクロ殿とサバト殿が……」
007.stcm2 0x1d844 「うん。はやく見つけよう」
007.stcm2 0x1d8f8 僕たちは、緊張感を高めながら校舎内へと足を
007.stcm2 0x1d950 進めることにしました。
007.stcm2 0x1dac8 「じゃあ、僕が中に入るから、３人で出口を固
007.stcm2 0x1db20 めていてね」
007.stcm2 0x1db6c 校舎内で１番あやしいのは僕らの教室です。そ
007.stcm2 0x1dbc4 の教室の前に着いた僕たちは、声をひそめて打
007.stcm2 0x1dc1c ち合わせました。
007.stcm2 0x1dc6c ３人がうなずきあって、配置につきました。教
007.stcm2 0x1dcc4 室の出入り口は２つ。教室の前と後ろです。
007.stcm2 0x1dd2c 前にはザクロちゃん。後ろには静希ちゃんとベ
007.stcm2 0x1dd84 ノムちゃんが陣取ります。
007.stcm2 0x1dddc ザクロちゃんにはこういう事態において強力な
007.stcm2 0x1de34 魔法のアイテムがあるので、１人での待機です。
007.stcm2 0x1e000 今、ザクロちゃんが手に持っているオレンジ色
007.stcm2 0x1e058 のタオル。これが殺人濡れタオル【エッケルザ
007.stcm2 0x1e0b0 クス】です。
007.stcm2 0x1e0fc ザクロちゃんの意思によって伸縮し、さらに相
007.stcm2 0x1e154 手をグルグル巻きにして動けなくしてしまうこ
007.stcm2 0x1e1ac とだってできるのです。
007.stcm2 0x1e25c 静希ちゃんがちょっぴり危険なポジションのよ
007.stcm2 0x1e2b4 うな気もしますが、静希ちゃんが大丈夫だと言
007.stcm2 0x1e30c うので、信じることにしました。
007.stcm2 0x1e3a8 そして僕はさっき言った通り、中に入る役目で
007.stcm2 0x1e400 す。ドクロちゃんが中にいた場合、１番危険な
007.stcm2 0x1e458 のは言うまでもなく僕です。
007.stcm2 0x1e4b0 さあ、僕はあくまで誘導役。勢いよく飛び込む
007.stcm2 0x1e508 必要はありません。普通に引き戸に手をかけて、
007.stcm2 0x1e564 ゆっくりと開けばいいのです。
007.stcm2 0x1e68c がらりと開くと、果たしてそこには２人の人物
007.stcm2 0x1e6e4 の姿がありました。
007.stcm2 0x1e7a8 「あ……、南さんに田辺さん」
007.stcm2 0x1eb08 「あら……桜くん？」
007.stcm2 0x1ec18 田辺さん
007.stcm2 0x1ec50 「桜くん、ここは中学校だよ？」
007.stcm2 0x1ed2c 「知ってるよ！　生徒だもん！　なんでここが
007.stcm2 0x1ed84 中学校なのが話題に上がるの！？」
007.stcm2 0x1eea0 田辺さん
007.stcm2 0x1eed8 「だって……ねえ？」
007.stcm2 0x1f01c 「ええ。日本で中学校と言ったら、数えで１３
007.stcm2 0x1f074 歳以上の子が通うところだから」
007.stcm2 0x1f128 「またその話題！？」
007.stcm2 0x1f1a4 この２人は南さんと田辺さん。ここ聖ゲルニカ
007.stcm2 0x1f1fc 学園２年Ａ組の生徒です。
007.stcm2 0x1f254 とっても長くてきれいな黒髪の子が南さんで、
007.stcm2 0x1f2ac 隣のいたずらっこみたいな子が田辺さんです。
007.stcm2 0x1f314 ２人とも誤解しやすい性格なのか、僕が未来で、
007.stcm2 0x1f370 女性の姿を１２歳にしてしまったというトンデ
007.stcm2 0x1f3c8 モ話を真に受けているらしいのです。
007.stcm2 0x1f428 もちろん、僕はそんなことしないので、不当な
007.stcm2 0x1f480 評価とは断固として戦う所存ですが、いかんせ
007.stcm2 0x1f4d8 ん多勢に無勢。
007.stcm2 0x1f524 南さんと田辺さん以外にもそんなトンデモ話を
007.stcm2 0x1f57c 信じてしまっている人は多いのです。みんな目
007.stcm2 0x1f5d4 を覚ましてほしいものです。……覚ませよ！
007.stcm2 0x1f63c 僕が好きなのはあくまで静希ちゃんであって、
007.stcm2 0x1f694 １２歳の女の子ではありません。
007.stcm2 0x1f70c ……確かに、１２歳の静希ちゃんもかわいかっ
007.stcm2 0x1f764 たです。あ、違います違います！　誤解しない
007.stcm2 0x1f7bc でください！
007.stcm2 0x1f830 でも、僕は今の静希ちゃんが、明日の僕は明日
007.stcm2 0x1f888 の静希ちゃんが好きなのです！
007.stcm2 0x1f8e4 日に日に輝きが増す彼女を、どんどん好きになっ
007.stcm2 0x1f940 ていくのであって、１２歳の女の子に想いをつ
007.stcm2 0x1f998 のらせていくことはありえません。
007.stcm2 0x1f9f8 あ、ちょっと熱弁しすぎました。話を元に戻し
007.stcm2 0x1fa50 ましょう。南さんと田辺さんの話ですね。
007.stcm2 0x1fab4 南さんはいつも物静かで、正直に言ってしまう
007.stcm2 0x1fb0c となにを考えているのか、よくわかりません。
007.stcm2 0x1fb74 ……それに、ときどきドクロちゃんよりも厳し
007.stcm2 0x1fbcc いことを僕に言ったりします。
007.stcm2 0x1fc28 田辺さんはいつも明るく元気なのですが、なん
007.stcm2 0x1fc80 というか……僕がとてもつらくなってしまうこ
007.stcm2 0x1fcd8 とをさらっと言います。
007.stcm2 0x1fd2c そんな２人は吹奏楽部の仲良しさん。よく一緒
007.stcm2 0x1fd84 にいるところを見かけますが、今日も例外では
007.stcm2 0x1fddc なかったようです。
007.stcm2 0x1fe84 「と、とにかく２人はどうしてここに？」
007.stcm2 0x1ffd8 「吹奏楽部の練習だったから」
007.stcm2 0x200f0 田辺さん
007.stcm2 0x20128 「桜くんは、街を徘徊（はいかい）してたのね」
007.stcm2 0x201ec 「事実無根の発言の上に断定？　しかも徘徊と
007.stcm2 0x20244 か言わないでよ！」
007.stcm2 0x20294 モンスターとしてさまよい続けているヨロイじゃ
007.stcm2 0x202f0 あるまいし、僕はそんなことはしません。
007.stcm2 0x204cc 戸が開かれる音です。僕を含め、南さんと田辺
007.stcm2 0x20524 さんもそちらに視線を移しました。
007.stcm2 0x20734 静希ちゃん
007.stcm2 0x2076c 「桜くん。ドクロちゃんたちいなかったの？」
007.stcm2 0x2082c 「あ、静希ちゃん。ごめんね、いなかったよ」
007.stcm2 0x20894 そうでした。南さんと田辺さんに気を取られて
007.stcm2 0x208ec しまいましたが、僕たちはここでドクロちゃん
007.stcm2 0x20944 をつかまえようとしていたのです。
007.stcm2 0x20b60 田辺さん
007.stcm2 0x20b98 「あれ、静希ちゃんも一緒だったの？　それな
007.stcm2 0x20bf0 ら、桜くんも変なことしてたわけじゃないのね」
007.stcm2 0x20cb4 「……田辺さんも、いい加減ヒドイよね」
007.stcm2 0x20f54 ベノムちゃん
007.stcm2 0x20f90 「む……ご不在でありますか」
007.stcm2 0x20fec 続いて入ってきたのは、ベノムちゃんとザクロ
007.stcm2 0x21044 ちゃんでした。
007.stcm2 0x21280 「……そちらは？」
007.stcm2 0x212d0 南さんがベノムちゃんを見て、少しだけ顔をく
007.stcm2 0x21328 もらせると、いぶかしげに問いかけます。
007.stcm2 0x213e4 「この子？　この子は天使のベノムちゃん。
007.stcm2 0x2143c ドクロちゃんたちの健康診断をするために来た
007.stcm2 0x21494 んだって」
007.stcm2 0x214dc 僕はこれを今日、何回言うのでしょうか？　さ
007.stcm2 0x21534 すがに、少し飽きてきました。
007.stcm2 0x21680 「何歳？」
007.stcm2 0x21720 「それはいいのっ！　南さん、年齢とか聞かな
007.stcm2 0x21778 いで！」
007.stcm2 0x218b0 「だって、」
007.stcm2 0x21954 「聞いた理由はわかるから言わないで？」
007.stcm2 0x219b8 南さんの言葉をブロッキング。それ以上は言わ
007.stcm2 0x21a10 せるわけにはいきません。
007.stcm2 0x21c18 田辺さん
007.stcm2 0x21c50 「ねえ、桜くん。ドクロちゃんとサバトちゃん
007.stcm2 0x21ca8 をさがしてるの？」
007.stcm2 0x21cf8 不意に田辺さんが話しかけてきました。これは、
007.stcm2 0x21d54 有力情報に期待してもいいということでしょう
007.stcm2 0x21e48 「うん、２人をさがしてるんだよ。健康診断を
007.stcm2 0x21ea0 いやがって逃げちゃったんだ」
007.stcm2 0x21fb8 田辺さん
007.stcm2 0x21ff0 「２人ともさっき、ここで見たよ」
007.stcm2 0x22050 あっけらかんと言ってのける田辺さんは、本気
007.stcm2 0x220a8 の目をしています。
007.stcm2 0x22178 「ここって、この教室……２年Ａ組？」
007.stcm2 0x22294 田辺さん
007.stcm2 0x222cc 「うん」
007.stcm2 0x22314 なるほど。少し遅かったものの、僕たちの目の
007.stcm2 0x2236c つけどころは間違っていなかったようです。
007.stcm2 0x224c4 「わたしも見た」
007.stcm2 0x2256c 「南さんも？　ここで？」
007.stcm2 0x226b4 「ううん、３年生の教室前の廊下。２人一緒に
007.stcm2 0x2270c 歩いてたのを見たんだけど」
007.stcm2 0x22764 目撃者が２人。これはいよいよ、核心に近づい
007.stcm2 0x227bc てきたのを感じます。
007.stcm2 0x228a8 「それで？　見たのはいつごろ？」
007.stcm2 0x229c4 田辺さん
007.stcm2 0x229fc 「私は１時間くらい前かな。南さんは？」
007.stcm2 0x22b50 「わたしはついさっき。１０分くらい前」
007.stcm2 0x22c0c 「ていうことは、僕らが学校に着いたころに、
007.stcm2 0x22c64 ３年生の教室前を歩いてたってことなんだ……」
007.stcm2 0x22cd0 ならば、まだドクロちゃんが学校内にいる可能
007.stcm2 0x22d28 性は高い！？　そうだとしたら……。
007.stcm2 0x22d88 やった、追い詰めました！　なぜならこの学校
007.stcm2 0x22de0 は僕の庭も同然だからです！
007.stcm2 0x22eb8 「ありがとう南さん、田辺さん。それじゃ」
007.stcm2 0x22fd0 僕がみんなをうながして、２年Ａ組を後にしよ
007.stcm2 0x23028 うとしたとき、背中に声がかかりました。
007.stcm2 0x230dc 「それでね――」
007.stcm2 0x23184 「え、なに？　なにかあるの？」
007.stcm2 0x23390 「ドクロちゃんに挨拶したら、【桜くんたちが
007.stcm2 0x233e8 来たから逃げるの】って言ってた」
007.stcm2 0x234a0 「そ、それを先に言ってよーーー！！　なんで
007.stcm2 0x234f8 そんな情報持ってるのに、黙ってたの！？」
007.stcm2 0x235b8 「っていうか、その話を聞いた時点で、僕が中
007.stcm2 0x23610 学校に迷い込んだとか、街を徘徊してるなんて
007.stcm2 0x23668 思わないじゃん！」
007.stcm2 0x236b8 どうして南さんはすべてを計算づくで、僕を追
007.stcm2 0x23710 い詰めようとするのですか？　誰か教えてくだ
007.stcm2 0x238c4 「桜くん」
007.stcm2 0x2390c 南さんは僕の強い口調に驚いた様子もなく、ゆっ
007.stcm2 0x23968 くりと口を開きました。
007.stcm2 0x23a14 「な、なに？」
007.stcm2 0x23a60 僕は南さんの雰囲気にただならぬものを感じて、
007.stcm2 0x23bd8 「段取り」
007.stcm2 0x23ca0 「知らないよそんなのーー！！」
007.stcm2 0x23cfc それが錯覚だと気付いたのです！
007.stcm2 0x23e48 「だって段取りがしっかりしてないと、おもし
007.stcm2 0x23ea0 ろくないでしょう？」
007.stcm2 0x23f4c 「南さんが心配することじゃないよ、それは！
007.stcm2 0x23fa4 ……ヒドイ！　もてあそばれた！！」
007.stcm2 0x2416c 僕は自分の肩を抱くようにして、教室の角に座
007.stcm2 0x241c4 り込みました。僕の身体が小刻みに震えている
007.stcm2 0x2421c のはきっと、心が寒いから。
007.stcm2 0x2451c 田辺さん
007.stcm2 0x24554 「南さん、さっすがー」
007.stcm2 0x24698 「ありがと」
007.stcm2 0x2473c 「く、くそう！」
007.stcm2 0x24870 田辺さん
007.stcm2 0x248a8 「それじゃ、私たちは行くから。がんばってね」
007.stcm2 0x24914 どこまでもマイペースです。さんざん引っかき
007.stcm2 0x2496c 回されて、僕のピュアハーツ（複数形）は傷つ
007.stcm2 0x249c4 いてしまいました。
007.stcm2 0x24ac4 田辺さんがのんびりと教室を出ていきました。
007.stcm2 0x24b1c それに南さんも続きます。
007.stcm2 0x24bb4 南さんは扉のところでこちらに振り返って。
007.stcm2 0x24da4 「……あ、それから」
007.stcm2 0x24e50 「なにッ！？　まだなにかあるの！？」
007.stcm2 0x24eb4 僕は即座に警戒態勢を取りました。まだなにか
007.stcm2 0x24f0c 隠し情報があるのでしょうか？　南さんは、テ
007.stcm2 0x24f64 レビドラマのＣＭよりももったいつける人です。
007.stcm2 0x250dc 「……邪険にしないで。情報は本当だから信じ
007.stcm2 0x25134 て、って言おうと思ったの」
007.stcm2 0x251e4 「あ、うん。ありがとう、信じるよ」
007.stcm2 0x25334 「わたしはいつでも桜くんの味方」
007.stcm2 0x253ec 「それは信じません！」
007.stcm2 0x25564 僕の言葉に、南さんはちょっとだけムッとして、
007.stcm2 0x255c0 引き戸をぴしゃりと閉めました。
007.stcm2 0x2561c ほんの少しだけ、南さんのポーカーフェイスが
007.stcm2 0x25674 乱れた気がしました。
007.stcm2 0x256c8 それを見届けて、ベノムちゃんも口を開きます。
007.stcm2 0x258e4 ベノムちゃん
007.stcm2 0x25920 「なんとも愉快なご学友でありますな」
007.stcm2 0x259dc 「愉快な友だちというか愉快犯というか……」
007.stcm2 0x25c34 ザクロちゃん
007.stcm2 0x25c70 「しかし、おねえさまとサバトさんがここにい
007.stcm2 0x25cc8 たという情報は手に入りました。こちらが来た
007.stcm2 0x25d20 ことに気付かれているなら、急がなくては」
007.stcm2 0x25f6c 静希ちゃん
007.stcm2 0x25fa4 「そうだね。桜くん、急ごう？」
007.stcm2 0x26058 「うん。とにかくスピード重視だから、もう１
007.stcm2 0x260b0 回バラバラにさがそう」
007.stcm2 0x2615c 「まずは、３つの目撃ポイントをつぶすんだ」
007.stcm2 0x261c4 僕は今、輝いています。捜索隊のリーダー的存
007.stcm2 0x2621c 在になっています。それは、ひとえに僕のカリ
007.stcm2 0x26274 スマ性ゆえ。
007.stcm2 0x262c0 さあ、僕はどこへ行こうか！？
007.stcm2 0x26560 どこへ行きますか？
007.stcm2 0x265ac １．宮本の目撃場所へ
007.stcm2 0x265fc ２．南さんの目撃場所へ
007.stcm2 0x2664c ３．田辺さんの目撃場所へ
008.stcm2 0x2e8 南さんと田辺さんの目撃場所を静希ちゃんたち
008.stcm2 0x340 に任せ、僕は宮本が目撃したという校庭を調べ
008.stcm2 0x398 にきました。……１人というのは不安ですが。
008.stcm2 0x400 宮本に目撃した時間を聞くのを忘れてしまいま
008.stcm2 0x458 したが、宮本は部活中に見たと言っていました。
008.stcm2 0x4c4 南さんの目撃時間が１０分前、田辺さんの目撃
008.stcm2 0x51c 時間が１時間前。田辺さんの方が前に目撃して
008.stcm2 0x574 います。
008.stcm2 0x5bc 宮本が目撃してから少なくとも、野球部の片づ
008.stcm2 0x614 け、着替え、学校から僕たちと出くわした道ま
008.stcm2 0x66c での下校時間が経っていることになります。
008.stcm2 0x6d4 逆算すると、宮本の目撃からはどう考えても１
008.stcm2 0x72c 時間以上が経っています。
008.stcm2 0x784 僕の思考力には驚かされるばかりです。どうし
008.stcm2 0x7dc てこんなにデキちゃうんでしょう？
008.stcm2 0x83c さて、この計算になんの意味があるかと言うと、
008.stcm2 0x898 しらみつぶしというやつです。つまりは古い情
008.stcm2 0x8f0 報からあらためていくということです。
008.stcm2 0x954 最新の目撃情報は廊下。なればこそ、いつまで
008.stcm2 0x9ac もそこにとどまっているとは思えません。
008.stcm2 0xa10 ……で、ですよ。
008.stcm2 0xc04 サバトちゃん
008.stcm2 0xd08 「いやはや、本日はお日柄も良く」
008.stcm2 0xe50 サバトちゃん
008.stcm2 0xe8c 「あ、はい。いいお天気ですぅ」
008.stcm2 0x1050 「今日はなんて言うか……ッちぇぇぇいッ！！」
008.stcm2 0x136c サバトちゃん
008.stcm2 0x13a8 「ぃはああッッ！？　あ、あぶないですぅ！
008.stcm2 0x1400 つかまるところだったですぅ！」
008.stcm2 0x14b4 「サバトちゃん……やりますね」
008.stcm2 0x1510 何げない会話の最中に飛びかかってつかまえろ
008.stcm2 0x1568 作戦、失敗です。
008.stcm2 0x15b8 僕が飛び込んだ瞬間にサバトちゃんは身を引い
008.stcm2 0x1610 て回避していました。さすがに天使の反射神経
008.stcm2 0x1668 はバカにできません。
008.stcm2 0x17a0 サバトちゃん
008.stcm2 0x17dc 「さ、桜くんがなんか怖いですぅ！」
008.stcm2 0x1894 「こうなったら、奥の手を……」
008.stcm2 0x190c 左手を腰だめに構え、まっすぐ伸ばした右手を
008.stcm2 0x1964 僕の左上に向かって突き出しました。
008.stcm2 0x19c4 僕は腰を落として中腰になり、息を大きく吸い
008.stcm2 0x1a1c 込みます。ベルトでもあれば変身できてしまい
008.stcm2 0x1a74 そうなポーズで、僕は叫ぶのです！
008.stcm2 0x1c14 「サバトちゃん、みっけーーーーー！！！！」
008.stcm2 0x1d8c サバトちゃん
008.stcm2 0x1dc8 「ああ、仲間を呼ぶなんてずるいですぅ！」
008.stcm2 0x2084 ベノムちゃん
008.stcm2 0x20c0 「桜殿！」
008.stcm2 0x21f0 サバトちゃん
008.stcm2 0x222c 「速ッですぅ！！」
008.stcm2 0x254c ザクロちゃん
008.stcm2 0x2588 「サバトさん、どうかおとなしくしてください」
008.stcm2 0x25f4 ベノムちゃんとザクロちゃんは近くを調べてい
008.stcm2 0x264c たのでしょう、あっという間にサバトちゃんを
008.stcm2 0x26a4 取り囲んでくれました。
008.stcm2 0x27dc サバトちゃん
008.stcm2 0x2818 「か、囲まれたですぅ……！」
008.stcm2 0x2b1c ドクロちゃん
008.stcm2 0x2b58 「うひゃーー！！　ピンチ！　サバトちゃん、
008.stcm2 0x2bb0 ピーーーンチッ！」
008.stcm2 0x2c58 「サバトちゃんにはピンチでも、僕たちにはサ
008.stcm2 0x2cb0 バトちゃんをつかまえるチャンスなんだ」
008.stcm2 0x2d54 なんだか、目的が変わってきたような気がしま
008.stcm2 0x2dac すが、気にしないようにしましょう。
008.stcm2 0x2e0c 今は、目の前にいるサバトちゃんをつかまえる
008.stcm2 0x2e64 ことが重要です。
008.stcm2 0x2f9c ドクロちゃん
008.stcm2 0x2fd8 「うん。じゃあ、いっせーの、でいくよ？」
008.stcm2 0x3040 僕たちがかけ声をそろえた瞬間、サバトちゃん
008.stcm2 0x3098 はつかまるのです。これは歴史的瞬間と言った
008.stcm2 0x30f0 ら過言でしょう！
008.stcm2 0x3198 「わかった、いっせーの！　……って、なんで
008.stcm2 0x31f0 アンタがこっちサイドにいるの！？」
008.stcm2 0x3338 ドクロちゃん
008.stcm2 0x3374 「だって、みんなでサバトちゃんをつかまえる
008.stcm2 0x33cc んでしょー？」
008.stcm2 0x3418 意味がわかりませんが、チャンスです。僕はド
008.stcm2 0x3470 クロちゃんに向かって手を伸ばします。
008.stcm2 0x3620 「ドクロちゃんをつかまえ……」
008.stcm2 0x37a8 ぷにゅんっ！
008.stcm2 0x39bc あせるあまり、僕はつかまえてはいけない場所
008.stcm2 0x3a14 をつかまえてしまうわけです！
008.stcm2 0x3a70 時が止まり、僕はこの瞬間にすべて悟りました。
008.stcm2 0x3acc このパターンはいつもの撲殺です……！
008.stcm2 0x3b30 どちらに後を託しますか！？
008.stcm2 0x3b84 １．ザクロちゃん
008.stcm2 0x3bd0 ２．ベノムちゃん
008.stcm2 0x41d0 「ザクロちゃん！　どうか、どうかドクロちゃ
008.stcm2 0x4228 んをつかまえてください！」
008.stcm2 0x455c ドクロちゃん
008.stcm2 0x4598 「いやああああんっ！！」
008.stcm2 0x4a90 「わが生涯に一片のくびぁっ……！」
008.stcm2 0x4e48 ぱぎゅおおお！！
008.stcm2 0x4e98 破砕音が響き、僕は横からなぎ払われると、
008.stcm2 0x4ef0 景気良くかっ飛んで行きました。
008.stcm2 0x4f4c ザクロちゃんへの訴えかけが僕の遺言となって
008.stcm2 0x4fa4 しまったのです。
008.stcm2 0x5220 ドクロちゃん
008.stcm2 0x525c 「いけない！　桜くんが……！」
008.stcm2 0x52b8 ドクロちゃんは、ところどころが鋭利な鈍器を
008.stcm2 0x5310 持ち替え、魔法のキラメキを放ちます。
008.stcm2 0x5444 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
008.stcm2 0x5628 するとどうでしょう。０になってしまった僕の
008.stcm2 0x5680 ＨＰがゆっくりと回復を始めたではありません
008.stcm2 0x571c しかし、それはとてもゆっくりで、僕はまだ活
008.stcm2 0x5774 動を再開することかないません。けれどいつか、
008.stcm2 0x57d0 僕の時間は再び動き始めるのです。
008.stcm2 0x5830 さて、僕がのんびりといやされている間、僕が
008.stcm2 0x5888 後を託したザクロちゃんは……。
008.stcm2 0x5c34 ザクロちゃん
008.stcm2 0x5c70 「おねえさま……申し訳ありませんが健康診断
008.stcm2 0x5cc8 を受けていただきます」
008.stcm2 0x5e04 ドクロちゃん
008.stcm2 0x5e40 「やだっ。ボクはいつでも健康だから大丈夫だ
008.stcm2 0x5edc まるで【自分の身体のことは自分が１番わかっ
008.stcm2 0x5f34 ている！】と言って医者にかからない、ガンコ
008.stcm2 0x5f8c なおじさんみたいな主張です。
008.stcm2 0x60d0 ザクロちゃん
008.stcm2 0x610c 「それが桜さんのご遺志です！」
008.stcm2 0x633c ザクロちゃんがエッケルザクスを取り出し、即
008.stcm2 0x6394 座にそれをひと振り。
008.stcm2 0x64d0 ドクロちゃん
008.stcm2 0x650c 「あぶないっ！」
008.stcm2 0x6774 ドクロちゃんが飛びのくと、ドクロちゃんが立っ
008.stcm2 0x67d0 ていた空間をエッケルザクスが制圧します。
008.stcm2 0x68a0 あと１秒。……否、その半分遅ければドクロちゃ
008.stcm2 0x68fc んはエッケルザクスにからめとられていたこと
008.stcm2 0x6954 でしょう。
008.stcm2 0x6a10 そのころの僕は未だに復活の最中です。ザクロ
008.stcm2 0x6a68 ちゃん、がんばれー。
008.stcm2 0x6be4 ザクロちゃん
008.stcm2 0x6c20 「ベノムさん！　サバトさんをお願いします！」
008.stcm2 0x6eb0 ベノムちゃん
008.stcm2 0x6eec 「はっ、はい！　ザクロ殿、了解であります！」
008.stcm2 0x6ff0 サバトちゃんは騒ぎに乗じて逃走していました。
008.stcm2 0x704c ベノムちゃんは返事がはやいか足がはやいか、
008.stcm2 0x70a4 駆け出しました。
008.stcm2 0x72bc ドクロちゃん
008.stcm2 0x72f8 「全軍たいきゃーく！　にげろにげろー！」
008.stcm2 0x73e4 ドクロちゃんがベノムちゃんが走っていったの
008.stcm2 0x743c とは別の方向へと駆け出しました。
008.stcm2 0x7624 ザクロちゃん
008.stcm2 0x7660 「おねえさま、ここで逃げられるわけには！」
008.stcm2 0x77a8 ザクロちゃんはそれを追って駆け出しました。
008.stcm2 0x7800 ザクロちゃんが走り出すころ、ようやく僕は完
008.stcm2 0x7858 全回復したのです。
008.stcm2 0x796c 僕はただ１人校庭に取り残されました。
008.stcm2 0x79d0 復活したとき、文句を言うべき相手がいないの
008.stcm2 0x7a28 は、ストレスがたまるものでした。
008.stcm2 0x7e80 「ベノムちゃん！　どうか、どうかドクロちゃ
008.stcm2 0x7ed8 んをつかまえてください！」
008.stcm2 0x820c ドクロちゃん
008.stcm2 0x8248 「いやああああんっ！！」
008.stcm2 0x8740 「わが生涯に一片のくびぁっ……！」
008.stcm2 0x8af8 ぱぎゅおおお！！
008.stcm2 0x8b48 破砕音が響き、僕は横からなぎ払われると、
008.stcm2 0x8ba0 景気良くかっ飛んで行きました。
008.stcm2 0x8bfc ベノムちゃんは僕の遺言を聞き届けてくれたの
008.stcm2 0x8c54 でしょうか？
008.stcm2 0x8ecc ドクロちゃん
008.stcm2 0x8f08 「いけない！　桜くんが……！」
008.stcm2 0x8f64 ドクロちゃんは、ところどころが鋭利な鈍器を
008.stcm2 0x8fbc 持ち替え、魔法のキラメキを放ちます。
008.stcm2 0x90f0 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
008.stcm2 0x92d4 するとどうでしょう。０になってしまった僕の
008.stcm2 0x932c ＨＰがゆっくりと回復を始めたではありません
008.stcm2 0x93c8 しかし、それはとてもゆっくりで、僕はまだ活
008.stcm2 0x9420 動を再開することかないません。けれどいつか、
008.stcm2 0x947c 僕の時間は再び動き始めるのです。
008.stcm2 0x94dc さて、僕がのんびりといやされている間、僕が
008.stcm2 0x9534 後を託したベノムちゃんは……。
008.stcm2 0x98e0 ベノムちゃん
008.stcm2 0x991c 「ドクロ殿！　お覚悟を！」
008.stcm2 0x9974 ベノムちゃんがそんなことを言うと、とっても
008.stcm2 0x99cc 怖いです。
008.stcm2 0x9afc ドクロちゃん
008.stcm2 0x9b38 「やだっ。ボクはいつでも健康だから大丈夫だ
008.stcm2 0x9d80 ベノムちゃん
008.stcm2 0x9dbc 「桜殿のご尽力に、応えるであります！」
008.stcm2 0x9f78 ベノムちゃんが地面を強くけると、ジェットエ
008.stcm2 0x9fd0 ンジンでも積んでいるかのような突進でドクロ
008.stcm2 0xa028 ちゃんに向かっていきます。
008.stcm2 0xa080 こんな力があるとは……さすが天使です！
008.stcm2 0xa2ac ドクロちゃん
008.stcm2 0xa2e8 「あぶないっ！」
008.stcm2 0xa738 ベノムちゃんのタッチはガード無効です。ドク
008.stcm2 0xa790 ロちゃんには、よけることしかできません。
008.stcm2 0xaa1c ベノムちゃん
008.stcm2 0xaa58 「ザクロ殿！　サバト殿を！」
008.stcm2 0xac98 ザクロちゃん
008.stcm2 0xacd4 「了解です。ベノムさん、おねえさまをお願い
008.stcm2 0xad2c します」
008.stcm2 0xad74 ベノムちゃんはしっかりと、周囲にも注意を配っ
008.stcm2 0xadd0 ていました。
008.stcm2 0xaea0 サバトちゃんは騒ぎに乗じて一目散。それを追
008.stcm2 0xaef8 撃するのはエッケルザクスを手にしたザクロちゃ
008.stcm2 0xaf54 んです。
008.stcm2 0xb164 ドクロちゃん
008.stcm2 0xb1a0 「全軍たいきゃーく！　にげろにげろー！」
008.stcm2 0xb28c ドクロちゃんがザクロちゃんが走っていったの
008.stcm2 0xb2e4 とは別の方向へと駆け出しました。
008.stcm2 0xb4cc ベノムちゃん
008.stcm2 0xb508 「どうあっても、健康診断を受けていただくで
008.stcm2 0xb560 あります！」
008.stcm2 0xb64c ベノムちゃんはそのドクロちゃんを追いかけて、
008.stcm2 0xb6a8 走り去ってしまいます。そのころ、僕は１人さ
008.stcm2 0xb700 みしく完全回復を果たしました。
008.stcm2 0xb860 意識の火が宿り、僕は目を開きました。
008.stcm2 0xb91c 「だッ、誰もいない！？　なんか、見捨てられ
008.stcm2 0xb974 たみたいだ！！」
008.stcm2 0xb9c4 僕は悲しくなって、とぼとぼと歩き出したので
008.stcm2 0xbd44 南さんの目撃場所である、３年生教室の廊下に
008.stcm2 0xbd9c やってきました。
008.stcm2 0xbdec 宮本の目撃場所と田辺さんの目撃場所をザクロ
008.stcm2 0xbe44 ちゃんとベノムちゃんに任せ、僕は静希ちゃん
008.stcm2 0xbe9c と一緒に探索です。
008.stcm2 0xbeec さあ、ここは男の上げどころです。なにがあっ
008.stcm2 0xbf44 ても静希ちゃんは守り通さなくてはいけないの
008.stcm2 0xbf9c ですから。
008.stcm2 0xc03c 「南さんの話だと、１０分ちょっと前にはここ
008.stcm2 0xc094 にいたわけだね」
008.stcm2 0xc26c 静希ちゃん
008.stcm2 0xc2a4 「うん、でも今はいないみたい」
008.stcm2 0xc300 廊下は見通しのきく直線です。見る限り、天使
008.stcm2 0xc358 のわっかひとつありません。
008.stcm2 0xc3b0 静まり返ったさみしげな廊下は、けれど本来あ
008.stcm2 0xc408 るべき日常の姿です。普段が騒がしすぎるんで
008.stcm2 0xc460 すよ、僕の周りは。
008.stcm2 0xc4b0 天使がいないというのは、ここまで落ち着きを
008.stcm2 0xc508 持った空間をもたらすのでしょうか。
008.stcm2 0xc568 僕はそんな落ち着きに、心地よさを感じはじめ
008.stcm2 0xc5c0 た、――そのときなのです。
008.stcm2 0xc71c 静希ちゃん
008.stcm2 0xc754 「……あぶない！　桜くん！！」
008.stcm2 0xc7d8 次に耳に届いたのは【ゴウッ】という風切り音。
008.stcm2 0xc834 僕は首が【グキッ】ってなるような勢いで振り
008.stcm2 0xc88c 返りました。
008.stcm2 0xcadc 「え……ッふぁぁァッ、ちょ、うぉぉッ！！」
008.stcm2 0xcbe0 振り返った時には、カタパルトで射出されたと
008.stcm2 0xcc38 しか思えないスピードで僕に迫る影。速すぎて
008.stcm2 0xcc90 実体が見えません。
008.stcm2 0xcd20 上体を大きくそらしながら、背泳ぎのように手
008.stcm2 0xcd78 を振りまわしッ回避ィッ！！　鼻先を通りすぎ
008.stcm2 0xcdd0 る風圧だけで、僕の頭が揺らされました。
008.stcm2 0xcf7c 鼻の奥に届くツンとしたニオイ。僕は鼻血を出
008.stcm2 0xcfd4 してしまったようです。
008.stcm2 0xd11c 僕に向かってこんな勢いで飛んでくる物質を、
008.stcm2 0xd174 僕は２つしか知りません。エスカリボルグと、
008.stcm2 0xd1cc ――ドクロちゃん自身です。
008.stcm2 0xd240 影が飛び去った方向、――廊下の奥で立ち上が
008.stcm2 0xd298 るのは、やはりドクロちゃんでした。
008.stcm2 0xd2f8 つと流れ落ちる僕の鼻血。ぽたと床に落ちる音
008.stcm2 0xd350 にあわせたかのように、ドクロちゃんは口を開
008.stcm2 0xd3a8 きます。
008.stcm2 0xd59c ドクロちゃん
008.stcm2 0xd5d8 「ちっ」
008.stcm2 0xd678 「ド、ドクロちゃん？　い、今【ちっ】て、
008.stcm2 0xd6d0 ちょっとかっこよく言ったでしょ？　僕に体当
008.stcm2 0xd728 たりできなかった舌打ち？」
008.stcm2 0xd868 ドクロちゃん
008.stcm2 0xd8a4 「そんなこと言ってないよ？　ボクは桜くんに
008.stcm2 0xd8fc 抱きついて、びっくりさせたかっただけだもん」
008.stcm2 0xd9c0 「ウソつきはなんのはじまりか言ってみなさ
008.stcm2 0xdb40 ドクロちゃん
008.stcm2 0xdb7c 「大人買い？」
008.stcm2 0xdc20 「それは大人気ないね！」
008.stcm2 0xdc78 そもそも、僕に向けてあんなスピードで抱きつ
008.stcm2 0xdcd0 いてくる理由がわかりません。僕は今、なにも
008.stcm2 0xdd28 していないのですから。
008.stcm2 0xdd7c ああっ、どうすればこのいたずら天使をこらし
008.stcm2 0xddd4 められるのでしょうか？　致死性のいたずらは
008.stcm2 0xde2c やめてっていつも言ってるのに！
008.stcm2 0xe088 静希ちゃん
008.stcm2 0xe0c0 「……ドクロちゃん、ごめんね」
008.stcm2 0xe1a0 タァンッ！
008.stcm2 0xe210 澄んだ足音が聞こえて、次の瞬間には静希ちゃ
008.stcm2 0xe268 んが走り出していました。
008.stcm2 0xe2c0 そうです、静希ちゃんは陸上部！　しかもエー
008.stcm2 0xe318 ス級なのです！
008.stcm2 0xe3a4 ２、３０メートルの距離なんか、静希ちゃんに
008.stcm2 0xe3fc とっては無いも同然。驚いている間に、ぐんぐ
008.stcm2 0xe454 んドクロちゃんに迫っていきます。
008.stcm2 0xe614 ドクロちゃんは驚いたのか、反応が遅れていま
008.stcm2 0xe66c す。これは……つかまえました！
008.stcm2 0xe8c0 サバトちゃん
008.stcm2 0xe8fc 「させないですぅ！」
008.stcm2 0xe950 サバトちゃんが３年生の教室から飛び出してき
008.stcm2 0xe9a8 ました。
008.stcm2 0xec10 静希ちゃん
008.stcm2 0xec48 「サバトちゃん！？」
008.stcm2 0xec9c 静希ちゃんが急ブレーキをかけ、その場に立ち
008.stcm2 0xecf4 止まります。
008.stcm2 0xed40 僕も静希ちゃんのそばまで駆け寄って、サバト
008.stcm2 0xed98 ちゃんに話しかけました。
008.stcm2 0xee48 「サバトちゃんも、一緒にいたんだね」
008.stcm2 0xeeac ドクロちゃんと静希ちゃんは、サバトちゃんを
008.stcm2 0xef04 はさんで向かい合う形になりました。
008.stcm2 0xf04c サバトちゃん
008.stcm2 0xf088 「桜くん、ごめんなさいですぅ、まだドクロちゃ
008.stcm2 0xf0e4 んにつかまってもらうわけには、いかないんで
008.stcm2 0xf13c すぅ！」
008.stcm2 0xf244 そして、サバトちゃんはゆっくりとそれを取り
008.stcm2 0xf29c 出しました。
008.stcm2 0xf6cc ずぱんッ！　ずぱぱぱぱぱぱぱぱぱッ！！
008.stcm2 0xf758 今、その白い手には、ドゥリンダルテ……！
008.stcm2 0xf884 僕は、静希ちゃんを後ろにかばうようにして、
008.stcm2 0xf8dc １歩前に出ました。
008.stcm2 0xf984 「どうしてそこまで……」
008.stcm2 0xf9dc 僕にはわかりません。サバトちゃんは逃げよう
008.stcm2 0xfa34 と思えば１人で逃げられたのです。
008.stcm2 0xfa94 なのに、わざわざ出てきてまでドクロちゃんを
008.stcm2 0xfaec 助けているのですから。
008.stcm2 0xfc28 サバトちゃん
008.stcm2 0xfc64 「だって、ドクロちゃんの健康診断が終わった
008.stcm2 0xfcbc ら、絶対ドクロちゃんはサバトをつかまえる側
008.stcm2 0xfd14 にまわるですぅ！」
008.stcm2 0xfdbc 「あ……そ、そうだね」
008.stcm2 0xfe10 仮にドクロちゃんが先に健康診断を済ませたと
008.stcm2 0xfe68 したら、ドクロちゃんにとってサバトちゃんの
008.stcm2 0xfec0 健康診断は他人事です。
008.stcm2 0xff14 ドクロちゃんの性格を考えれば、必ず僕たちの
008.stcm2 0xff6c 味方となって、サバトちゃんを追い詰めること
008.stcm2 0xffc4 でしょう。
008.stcm2 0x101fc ドクロちゃん
008.stcm2 0x10238 「ボク、そんなことしないよー。サバトちゃん
008.stcm2 0x10290 の仲間だもん」
008.stcm2 0x10408 この際、ウソつきドクロちゃんは無視です！
008.stcm2 0x105c0 サバトちゃん
008.stcm2 0x105fc 「サバトは、ドクロちゃんから逃げきれる気が
008.stcm2 0x10654 しないんですぅ！！」
008.stcm2 0x106a8 なるほど……サバトちゃんは、ドクロちゃんを
008.stcm2 0x10700 守りながら、自分も逃げなくてはいけないわけ
008.stcm2 0x107f4 「とにかくサバトちゃん、ドゥリンダルテをし
008.stcm2 0x1084c まって？　僕はともかく、静希ちゃんを傷つけ
008.stcm2 0x108a4 たら、いくらサバトちゃんでも許さないよ」
008.stcm2 0x10b14 静希ちゃん
008.stcm2 0x10b4c 「さ、桜くん……」
008.stcm2 0x10b9c 静希ちゃんは僕が守ってみせます。エスカリボ
008.stcm2 0x10bf4 ルグでもドゥリンダルテでも持ってくるがいい！
008.stcm2 0x10c7c ……でも、できれば持ってこないでください！
008.stcm2 0x10ef0 サバトちゃん
008.stcm2 0x10f2c 「桜くんが本気ですぅ……。ドクロちゃん、先
008.stcm2 0x10f84 に逃げるですぅ！！」
008.stcm2 0x11070 「サバトちゃん、ドクロちゃんならもう逃げた
008.stcm2 0x1110c 僕の言葉に、サバトちゃんがちらっと後ろを見
008.stcm2 0x112b8 サバトちゃん
008.stcm2 0x112f4 「ああっ！　ホントにドクロちゃんがいないで
008.stcm2 0x1134c すぅ！　サバトも逃げますぅ！」
008.stcm2 0x113a8 サバトちゃんが立ちふさがったので追いかけら
008.stcm2 0x11400 れませんでしたが、ドクロちゃんは言われるま
008.stcm2 0x11458 でもなく逃げていたのです。
008.stcm2 0x11508 「まって、サバトちゃん！」
008.stcm2 0x11648 サバトちゃん
008.stcm2 0x11684 「追ってこないでくださいですぅ！」
008.stcm2 0x11768 ドゥリンダルテを僕たちの方に一振り、サバト
008.stcm2 0x117c0 ちゃんも走っていきました。
008.stcm2 0x11870 「静希ちゃん、とにかく追いかけよう」
008.stcm2 0x11a5c 静希ちゃん
008.stcm2 0x11a94 「う、うん」
008.stcm2 0x11ae0 僕は静希ちゃんに先立って廊下を走ります。静
008.stcm2 0x11b38 希ちゃんは僕よりも足が速いのに、ずっと後ろ
008.stcm2 0x11b90 についていました。
008.stcm2 0x11e94 僕はみんなと別れて、２年Ａ組の教室に残りま
008.stcm2 0x11f30 田辺さんがドクロちゃんたちを見たのが１時間
008.stcm2 0x11f88 前なら、戻ってくる可能性も十分にあります。
008.stcm2 0x11ff0 僕は、机の陰に隠れて、その時を待ちました。
008.stcm2 0x12048 それから数分。
008.stcm2 0x120bc がらりと引き戸が開いて、僕はドクロちゃんと
008.stcm2 0x12114 サバトちゃんの姿を認めました。
008.stcm2 0x12458 サバトちゃん
008.stcm2 0x12494 「ええ〜、それホントですかぁ？」
008.stcm2 0x124f4 談笑する声が聞こえてきます。サバトちゃんも
008.stcm2 0x1254c 楽しそうじゃないですか。のんきなものです。
008.stcm2 0x125b4 どうやら、僕がここに隠れていることには気付
008.stcm2 0x1260c かれていないようですね。もう少し様子を見る
008.stcm2 0x12664 ことにしましょう。
008.stcm2 0x1279c ドクロちゃん
008.stcm2 0x127d8 「ホントだよ。それで、桜くんったらね……」
008.stcm2 0x12840 ……僕の話題ですか？　なんだか照れます。
008.stcm2 0x128a8 確かに僕は今話題の男ですが、こんなに身近な
008.stcm2 0x12900 人にウワサされるのは少し気恥ずかしいもので
008.stcm2 0x12a84 ドクロちゃん
008.stcm2 0x12ac0 「桜くんったら、アイスのふたをなめるとき、
008.stcm2 0x12b18 いっつもボクをじっと見つめながらするんだよ。
008.stcm2 0x12b74 【ほらドクロちゃんもやってみなよ】って」
008.stcm2 0x12d38 「そんなことやってないでしょ！！」
008.stcm2 0x12dc0 気が付けば、僕は立ち上がって叫んでいました。
008.stcm2 0x12e1c さあ叫べ、僕の名誉を守るために！
008.stcm2 0x12f64 サバトちゃん
008.stcm2 0x12fa0 「はっ！　さ、桜くんですぅ！！」
008.stcm2 0x13000 いけません、機会をじっと待つつもりだったの
008.stcm2 0x13058 に、ドクロちゃんが誤った草壁桜像を捏造する
008.stcm2 0x130b0 ものだから飛び出してしまいました。
008.stcm2 0x131f8 ドクロちゃん
008.stcm2 0x13234 「でも、桜くんはボクをなめるように見るでしょ
008.stcm2 0x1332c 「なに上手いこと言ったつもりになってるの！？
008.stcm2 0x13388 確かに僕はアイスのふたはなめる主義だけど、
008.stcm2 0x133e0 お外ではやらないタイプです！」
008.stcm2 0x1343c 僕は意外と恥ずかしがり屋さんなのです。そん
008.stcm2 0x13494 な僕が、なんでドクロちゃんと目を合わせなが
008.stcm2 0x134ec らアイスのふたをなめられましょうや？
008.stcm2 0x13550 だいたい、ドクロちゃんの前でアイスを食べよ
008.stcm2 0x135a8 うとしたら、ふたはドクロちゃんに取られてし
008.stcm2 0x13600 まいます。そこが１番おいしいのにっ！
008.stcm2 0x13664 なので、ドクロちゃんと一緒に食べるときは棒
008.stcm2 0x136bc アイスに限ります。平和のためにも。
008.stcm2 0x13800 サバトちゃん
008.stcm2 0x1383c 「ドクロちゃん、逃げるですぅ！　もうこの教
008.stcm2 0x13894 室に長居は無用なんですぅ！」
008.stcm2 0x138f0 サバトちゃんははやくも逃げる体勢に入ってい
008.stcm2 0x13948 ます。あそこで飛び出したのはやはり失敗でし
008.stcm2 0x139e4 とにかく、２人を説得しなくてはいけません。
008.stcm2 0x13a4c どちらを説得しますか？
008.stcm2 0x13a9c １．ドクロちゃんを説得する
008.stcm2 0x13af0 ２．サバトちゃんを説得する
008.stcm2 0x13f7c 「ドクロちゃん、そろそろ……」
008.stcm2 0x140c0 ドクロちゃん
008.stcm2 0x140fc 「桜くん、そんなところに隠れてなにをやって
008.stcm2 0x14154 たの？　やっぱり、また縦笛？」
008.stcm2 0x14208 「【また】でもなければ【縦笛】でもないよ」
008.stcm2 0x14270 なんで僕が【好きな女の子の縦笛を吹いちゃう
008.stcm2 0x142c8 疑惑】をかけられているのでしょうか。
008.stcm2 0x1432c 僕は、たとえ静希ちゃんの縦笛が目の前にあっ
008.stcm2 0x14384 たって我慢できますよ。……たぶん。
008.stcm2 0x144cc ドクロちゃん
008.stcm2 0x14508 「じゃあパンツだね」
008.stcm2 0x145b4 「【じゃあ】ってなんだよ！　全然関係ねえよ！
008.stcm2 0x14610 楽器つながりですらないじゃん！　しかもやた
008.stcm2 0x14668 ら露骨だ！」
008.stcm2 0x146b4 おっと、感情的になってはいけません。このま
008.stcm2 0x1470c まではドクロちゃんのペースです。とにかく流
008.stcm2 0x14764 れを元に戻さないといけません。
008.stcm2 0x14840 「ドクロちゃん、そろそろ健康診断受けようよ。
008.stcm2 0x1489c ベノムちゃん困ってるよ？」
008.stcm2 0x149dc ドクロちゃん
008.stcm2 0x14a18 「……ごめんなさい」
008.stcm2 0x14a6c おや？　やけに素直です。さすがにドクロちゃ
008.stcm2 0x14ac4 んも、他人を引き合いに出されると分別が出て
008.stcm2 0x14b1c くるということでしょうか。
008.stcm2 0x14b74 今日は、ドクロちゃんがやや大人です。
008.stcm2 0x14cdc ドクロちゃん
008.stcm2 0x14d18 「その日は都合が悪いので受けられませんと、
008.stcm2 0x14d70 お伝えください」
008.stcm2 0x14dc0 ……子どもでした。
008.stcm2 0x14e90 「今日だよ！　受けなよ！」
008.stcm2 0x14fd0 ドクロちゃん
008.stcm2 0x1500c 「あやまったからチャラでしょッ！」
008.stcm2 0x150c4 「チャラじゃない！　逆ギレしないでよ！！
008.stcm2 0x1511c もうーーッ！　ドクロちゃん身勝手すぎるよ！」
008.stcm2 0x15188 言っていて思ったのですが、ドクロちゃんの身
008.stcm2 0x151e0 勝手は今にはじまったことじゃありません。
008.stcm2 0x152cc そんなことを考えている間にも、ドクロちゃん
008.stcm2 0x15324 はサバトちゃんとともに、身をひるがえして２
008.stcm2 0x1537c 年Ａ組の教室を飛び出しました。
008.stcm2 0x15430 「ああっ！　しまった、また逃げられた！」
008.stcm2 0x15498 作戦はまたしても失敗に終わったのでした。
008.stcm2 0x157a4 「サバトちゃん。サバトちゃんならわかってく
008.stcm2 0x157fc れるよね？　ベノムちゃん、困ってるんだよ？」
008.stcm2 0x15950 サバトちゃん
008.stcm2 0x1598c 「……サバトだって困ってない日なんかないん
008.stcm2 0x159e4 ですぅ」
008.stcm2 0x15a2c サバトちゃんは、少しすねたような口調でつぶ
008.stcm2 0x15a84 やきました。
008.stcm2 0x15ad0 そうでした。サバトちゃんは食べるにも困る
008.stcm2 0x15b28 日々が続いているのです。
008.stcm2 0x15b80 サバトちゃんを相手に【他人が困ってる】とい
008.stcm2 0x15bd8 う理由だけでは弱いかもしれません。
008.stcm2 0x15c38 ここはもう少し発展させてみましょう。
008.stcm2 0x15cf4 「でもさ、困らせてるのはサバトちゃんなんだ
008.stcm2 0x15d4c よ？　それでもいいの？」
008.stcm2 0x15e8c サバトちゃん
008.stcm2 0x15ec8 「うう……それは……」
008.stcm2 0x16100 ドクロちゃん
008.stcm2 0x1613c 「ボクも困らせてるからおあいこだね」
008.stcm2 0x16220 「おあいこじゃないよ！　２人でベノムちゃん
008.stcm2 0x16278 １人を困らせてるんでしょう！？」
008.stcm2 0x164b8 サバトちゃん
008.stcm2 0x164f4 「や、やっぱり怖いんですぅぅぅぅっ！！」
008.stcm2 0x165e0 失態です！　一瞬ドクロちゃんに気を取られて、
008.stcm2 0x1663c サバトちゃんにスキを見せてしまったのです。
008.stcm2 0x166fc 「ああっ！　ま、まって！！」
008.stcm2 0x16758 サバトちゃんが走り去ってしまいました。もち
008.stcm2 0x167b0 ろん、それに続いてドクロちゃんも。
008.stcm2 0x168b4 僕はすぐさま廊下に飛び出します。サバトちゃ
008.stcm2 0x1690c んの背中に向かって、力の限り叫びました。
008.stcm2 0x169cc 「サバトちゃん！　僕は信じてるからね！　サ
008.stcm2 0x16a24 バトちゃんは人に迷惑かけて平気な子じゃないっ
008.stcm2 0x16ac4 その声は届いたかそうでないかはわかりません。
008.stcm2 0x16b20 でも、きっとサバトちゃんに僕の気持ちは通じ
008.stcm2 0x16b78 たと信じています。
008.stcm2 0x16bc8 僕は誰もいなくなった廊下を歩きはじめました。
008.stcm2 0x16d54 第１話　山場ですぅ
008.stcm2 0x16e60 またしても失敗……。なかなか上手くいかない
008.stcm2 0x16eb8 ものです。
008.stcm2 0x17088 ベノムちゃん
008.stcm2 0x170c4 「面目ないであります……」
008.stcm2 0x17174 「ううん、ベノムちゃんのせいじゃないよ」
008.stcm2 0x171dc ベノムちゃんは２人をいいところまで追い詰め
008.stcm2 0x17234 たらしいのですが、結局逃げられてしまったと
008.stcm2 0x1728c のことです。
008.stcm2 0x172d8 そして、みんながみんな似たような戦果でした。
008.stcm2 0x17334 ２人を見つけることまではできるのですが、ど
008.stcm2 0x1738c うしても逃げられてしまうのです。
008.stcm2 0x1746c 「こうなると、もう学校にはいないかな」
008.stcm2 0x176b4 ザクロちゃん
008.stcm2 0x176f0 「……アバランチ公園に行ってみませんか？」
008.stcm2 0x177b0 「アバランチ公園？」
008.stcm2 0x17804 アバランチ公園は、サバトちゃんのダンボール
008.stcm2 0x1785c ハウスがある公園です。
008.stcm2 0x17930 僕はそこで１回サバトちゃんをつかまえながら
008.stcm2 0x17988 も、情けをかけて逃がしてしまいました。
008.stcm2 0x179ec そんなことがあったので戻ってはいないと思い
008.stcm2 0x17a44 ますが、みんなはそんな事情知りません。
008.stcm2 0x17aa8 なので、反対する理由もないわけです。
008.stcm2 0x17bf4 ザクロちゃん
008.stcm2 0x17c30 「はい。サバトさんが戻っていらっしゃるので
008.stcm2 0x17c88 はないかと思いまして」
008.stcm2 0x17d34 「うーん。行ってみる価値はあるかもしれない
008.stcm2 0x17d8c ね。どうする？」
008.stcm2 0x17fc0 静希ちゃん
008.stcm2 0x17ff8 「私は桜くんに任せる」
008.stcm2 0x1823c ベノムちゃん
008.stcm2 0x18278 「自分も異論はないであります」
008.stcm2 0x182d4 ずっとここにいても、問題は解決しません。手
008.stcm2 0x1832c がかりがない以上、足でかせぐのは基本です。
008.stcm2 0x18414 「それじゃあ、アバランチ公園に行ってみよう
008.stcm2 0x184b0 みんなそれぞれが、ひとつうなずいて、僕たち
008.stcm2 0x18508 は一路アバランチ公園へと向かいました。
008.stcm2 0x18af8 サバトちゃん
008.stcm2 0x18b34 「……あ、あの」
008.stcm2 0x18c04 これはデジャヴ？
008.stcm2 0x18cfc ザクロちゃん
008.stcm2 0x18d38 「サバトさん。申し訳ありませんが、ここまで
008.stcm2 0x18dd4 ザクロちゃんはきっぱりと言い放ちました。
008.stcm2 0x18f74 サバトちゃん
008.stcm2 0x18fb0 「あッああーーーッ！　さ、桜くん、助けてく
008.stcm2 0x19008 ださいですぅ！！」
008.stcm2 0x19130 「１回だけだよって、言ったのに……」
008.stcm2 0x191d4 僕は頭をかきながら、サバトちゃんがザクロちゃ
008.stcm2 0x19230 んによってつかまるところを、横で眺めていま
008.stcm2 0x19288 した。……もはや、情けは無用です。
008.stcm2 0x19498 静希ちゃん
008.stcm2 0x194d0 「あとはドクロちゃんだね」
008.stcm2 0x19528 サバトちゃんの捕物劇を見ていた静希ちゃんが、
008.stcm2 0x19584 僕に向かってつぶやくように言いました。
008.stcm2 0x1969c 「ドクロちゃん……」
008.stcm2 0x196f0 そうです。まだ、あの大物がいるのです。
008.stcm2 0x19754 現在進行形でサバトちゃんがつかまっています。
008.stcm2 0x197b0 僕がこの場にいて、ザクロちゃん、ベノムちゃ
008.stcm2 0x19808 んもいます。
008.stcm2 0x19854 ならば、この近くにドクロちゃんがいる……！？
008.stcm2 0x198c0 間違いありません。あの子はそういう子なんで
008.stcm2 0x1995c 火の手が上がるのを見れば、取るものもとりあ
008.stcm2 0x199b4 えず飛んでくるような性格なのは、火を見るよ
008.stcm2 0x19a0c り明らかです！
008.stcm2 0x19a9c 意識を集中させます。なぜなら、近くに人の気
008.stcm2 0x19af4 配を感じるのです。僕なら、できる！
008.stcm2 0x19c80 茂みが動く音……？
008.stcm2 0x19e10 「そこだぁーーーーーッ！！」
008.stcm2 0x1a01c 「そ、その時ザンスー……、ミィが桜くんの救
008.stcm2 0x1a074 援に駆けつけ……たのは……」
008.stcm2 0x1a0d0 そこにいたのはザンスでした！
008.stcm2 0x1a184 「うわッ！　ザ、ザンスさん！？　どうしてこ
008.stcm2 0x1a1dc こに！？　っていうか、なんでそんなに弱って
008.stcm2 0x1a234 るんですか？」
008.stcm2 0x1a400 「だ、大丈夫ザンス。ミィはまだ戦えるザンス」
008.stcm2 0x1a46c 言っていることが意味不明なのはいつものこと
008.stcm2 0x1a4c4 ですが、ザンスは見るからにヘロヘロです。
008.stcm2 0x1a5ac どうやら、まだミーミングの毒が抜けていない
008.stcm2 0x1a604 と見えます。
008.stcm2 0x1a7d8 「ドクロちゃんをさがしてるザンスね？　ミィ
008.stcm2 0x1a830 に任せるザンス」
008.stcm2 0x1a8d8 「なんで……ザンスさんがそんなになってまで
008.stcm2 0x1a930 僕たちを助けてくれるんですか？」
008.stcm2 0x1a990 僕は、今まで結構ザンスにつらく当たっていた
008.stcm2 0x1a9e8 ような気がします。それなのに助けてくれるな
008.stcm2 0x1aa40 んて、実はいい人なのでしょうか？
008.stcm2 0x1abf8 「ミィたちは親友ザンスよ」
008.stcm2 0x1acc4 「そうですか。それではなんとかしてください」
008.stcm2 0x1ae48 「ああッ！　桜くんがなんか事務的ザンス！
008.stcm2 0x1aea0 肯定も否定もしないんザンスか？」
008.stcm2 0x1af58 「この際なんで、利用できるものはなんでも利
008.stcm2 0x1afb0 用します」
008.stcm2 0x1aff8 そんなことはないですよザンスさん。僕もザン
008.stcm2 0x1b050 スさんは友だちだと思ってます。（心の声）
008.stcm2 0x1b298 「本音と建前が逆ザンス！」
008.stcm2 0x1b348 「僕の心を読むな！」
008.stcm2 0x1b39c 油断もスキもあったものじゃありません。ザン
008.stcm2 0x1b3f4 スはやっぱりザンス以外の何者でもありません。
008.stcm2 0x1b550 「むぅ、まあそんな桜くんも素敵ザンスよ。手
008.stcm2 0x1b5a8 伝ってさしあげるザンス」
008.stcm2 0x1b658 「素敵とか言わないでください」
008.stcm2 0x1b7c0 「さあ、桜くんにはコレを渡しておくザンス。
008.stcm2 0x1b818 こんなこともあろうかと持ってきたザンスよ」
008.stcm2 0x1b998 「虫取りアミ……？　いきなりこんなもの渡し
008.stcm2 0x1b9f0 てどうするつもりですか？」
008.stcm2 0x1ba7c 「ただの虫取りアミじゃないザンス。それは、
008.stcm2 0x1bad4 天使捕縛アミ【アイアンメイデン】というザン
008.stcm2 0x1bbc8 「ええっ、天使捕縛！？」
008.stcm2 0x1bc54 「れっきとした魔法のアイテムザンスよ？　こ
008.stcm2 0x1bcac れは天使をつかまえるのに【ベストマッチ！】
008.stcm2 0x1bd04 ザンス」
008.stcm2 0x1bda4 「イヤなネーミングですね……」
008.stcm2 0x1be00 自信マンマンの態度のザンスを見ると、その鼻っ
008.stcm2 0x1be5c 柱をへし折ってやりたくなります。物理的に！
008.stcm2 0x1bec4 しかし、ベストマッチかどうかはともかく、ド
008.stcm2 0x1bf1c クロちゃんをつかまえる上で、便利そうなのは
008.stcm2 0x1bf74 確かです。
008.stcm2 0x1c184 「さあ、あとはドクロちゃんをこの場に呼ぶだ
008.stcm2 0x1c1dc けザンス」
008.stcm2 0x1c27c 「それができれば苦労はしてませんよ」
008.stcm2 0x1c2e0 まったくダメなザンスです。そうそう都合よく、
008.stcm2 0x1c33c ドクロちゃんを呼び寄せられるものではありま
008.stcm2 0x1c5b8 「驚くがいいザンス。じゃあ、行くザンスよ？」
008.stcm2 0x1c640 ザンスがそのシュミの悪いサングラスを無意味
008.stcm2 0x1c698 に光らせます。期待をあおるだけあおって、成
008.stcm2 0x1c6f0 果を出せなかったらどうしてやりましょう？
008.stcm2 0x1ca30 「ドクロちゃーーーーん！　桜くんが全裸でく
008.stcm2 0x1ca88 ねくねしてるザンスーーーー！！」
008.stcm2 0x1cb68 「な……！　ちょっと、アンタ！　言っていい
008.stcm2 0x1cbc0 ことと悪いことがあるぞ！！　なんだよ、くね
008.stcm2 0x1cc18 くねって！？」
008.stcm2 0x1cd54 「そのままの意味ザンス」
008.stcm2 0x1ce04 「どのままか言ってみろ！」
008.stcm2 0x1ce5c 僕が叫ぶのと同時に、１人の天使が公園に飛び
008.stcm2 0x1ceb4 込んできました。恐らく、ここまで全力ダッシュ
008.stcm2 0x1d158 ドクロちゃん
008.stcm2 0x1d194 「くねくね桜くんっ！！」
008.stcm2 0x1d244 「出たーーーー！！　しかも変なあだ名で僕を
008.stcm2 0x1d29c 呼びながら！！」
008.stcm2 0x1d510 「ほぅら」
008.stcm2 0x1d5b0 「なにが【ほぅら】ですか！？　【ザンス】を
008.stcm2 0x1d608 つけろ！　【ほぅらザンス】だろ！？」
008.stcm2 0x1d75c 「言論の自由ザンス！」
008.stcm2 0x1d7b0 もう、僕はなにに怒っているのかよくわからな
008.stcm2 0x1d808 くなってきました。
008.stcm2 0x1d858 というか、ザンスはだんだん元気になってませ
008.stcm2 0x1d8f4 そして、ザンスに反比例してドクロちゃんの表
008.stcm2 0x1d94c 情は暗くなっていきます。
008.stcm2 0x1db84 ドクロちゃん
008.stcm2 0x1dbc0 「桜くん……？　なんでくねくねしてないの？
008.stcm2 0x1dc18 服着てるし……」
008.stcm2 0x1dcc0 「僕はそんなことしません！　あれはザンスの
008.stcm2 0x1dd18 ウソです！　っていうか、信じたの？　そして、
008.stcm2 0x1dd74 見たかったの？」
008.stcm2 0x1deac ドクロちゃん
008.stcm2 0x1dee8 「なんでだよ、ザンスー！！」
008.stcm2 0x1e118 チュイン！
008.stcm2 0x1e160 紫電一閃、ピンク色のナニかがアバランチ公園
008.stcm2 0x1e1b8 に舞いました。僕の質問に取り合わず、ドクロ
008.stcm2 0x1e210 ちゃんはザンスに向かって攻撃しました。
008.stcm2 0x1e464 「ワギャーーーー！！　ドクロちゃん！　ミィ
008.stcm2 0x1e4bc のモヒカンを手刀で切断しないでほしいザンス！
008.stcm2 0x1e518 ２センチ短くなったザンス！」
008.stcm2 0x1e574 ザンスのどうでもいい悲鳴が響いた、そのとき
008.stcm2 0x1e5cc でした。
008.stcm2 0x1e86c 静希ちゃん
008.stcm2 0x1e8a4 「桜くん、サバトちゃんが！」
008.stcm2 0x1e9a0 僕は静希ちゃんの声に振り返ります。そして、
008.stcm2 0x1e9f8 僕の目には自由になったサバトちゃんの姿が。
008.stcm2 0x1ec68 サバトちゃん
008.stcm2 0x1eca4 「ド、ドクロちゃん、ありがとうですぅ！」
008.stcm2 0x1ed64 「サバトちゃん、どうして……」
008.stcm2 0x1efa4 ベノムちゃん
008.stcm2 0x1efe0 「ふ、不覚であります……ドクロ殿に」
008.stcm2 0x1f09c 「くっ！　ドクロちゃんが逃がしたのか」
008.stcm2 0x1f100 どこにそんな余裕があったのか、ドクロちゃん
008.stcm2 0x1f158 がここに現れたときには、既にサバトちゃんを
008.stcm2 0x1f1b0 解放していたようです。
008.stcm2 0x1f204 まったく、これが【どろけい】だったら僕たち
008.stcm2 0x1f25c 警察チームの負けじゃないですか。
008.stcm2 0x1f2bc ちなみに【どろけい】とは泥棒チームと警察チー
008.stcm2 0x1f318 ムに分かれて競う鬼ごっこです。昔はよくやっ
008.stcm2 0x1f370 たものですが……それはそれとして。
008.stcm2 0x1f5b4 「ドクロちゃんをつかまえるんザンスよ！　こ
008.stcm2 0x1f60c の終わりなき抗争に終止符を打つにはそれしか
008.stcm2 0x1f664 ないザンス！」
008.stcm2 0x1f890 ドクロちゃん
008.stcm2 0x1f8cc 「はーーーーっ！！」
008.stcm2 0x1f9ec 「うわっぷ！！」
008.stcm2 0x1fa64 ドクロちゃんが衝撃波を放ちました。一瞬、そ
008.stcm2 0x1fabc れに目がくらんで、目を閉じてしまいました。
008.stcm2 0x1fb14 そして目を開くと、
008.stcm2 0x1ff8c 「増えてるーーーーーー！？」
008.stcm2 0x20254 「桜くん、気をつけるザンス！　あの分身はた
008.stcm2 0x202ac だの分身じゃないザンス！　質量があるザンス
008.stcm2 0x203a0 「ナニを言ってるのか、わかりませんよ」
008.stcm2 0x20444 ザンスの不自然なあおりは、ほっときましょう。
008.stcm2 0x204b0 とにかく、今はこの天使捕縛アミ【アイアンメ
008.stcm2 0x20508 イデン】を使い、ドクロちゃんをつかまえるこ
008.stcm2 0x20560 とです！
008.stcm2 0x22074 くっ、ちょこまかと……！　だが、甘い！
008.stcm2 0x22180 僕が……僕が、ただやられてばかりいたと思う
008.stcm2 0x221d8 なよぉぉぉぉぉ！！
008.stcm2 0x22704 ドクロちゃん特有の濃密な存在感。こうしてい
008.stcm2 0x2275c る間にも、スキあらば僕を撲殺しようとしてい
008.stcm2 0x227b4 るかのような、殺気にも似た視線！
008.stcm2 0x228a8 こればかりはごまかしようがありません！
008.stcm2 0x23174 「そこだァァァァァァァァァ！！」
008.stcm2 0x237e8 ドクロちゃん
008.stcm2 0x23824 「きゃあああああ――！！」
008.stcm2 0x2387c 悲鳴までくりくりとさせて、ドクロちゃんは身
008.stcm2 0x238d4 構えました。
008.stcm2 0x23920 それはドクロちゃんでさえ回避不能な、最高の
008.stcm2 0x23978 タイミング。
008.stcm2 0x239c4 僕が振り下ろすアミはもう止まりません！
008.stcm2 0x23a80 「もらったぁ！！」
008.stcm2 0x23b88 【スポン！】という感触。なにかがアミにかかっ
008.stcm2 0x23be4 た手ごたえアリです！
008.stcm2 0x23cec 「や、やったぞ！　ついにやった！」
008.stcm2 0x23d4c そして、かかった獲物を確認すると、
008.stcm2 0x23f70 サバトちゃん
008.stcm2 0x23fac 「な、なにが起こってるんですかぁ！？」
008.stcm2 0x24010 サバトちゃんでした！
008.stcm2 0x240e4 「な、なぁ！？　ドクロちゃんが消えた！？」
008.stcm2 0x24330 ドクロちゃん
008.stcm2 0x2436c 「身代わりのじゅつーー！　きゃはーーー！！
008.stcm2 0x243c4 桜くん、引っかかったーー！」
008.stcm2 0x24420 ドクロちゃんは僕から離れた位置で、こちらを
008.stcm2 0x24478 笑っていました。
008.stcm2 0x244c8 ドクロちゃんもなかなかどうして、アナクロな
008.stcm2 0x24520 ワザを使います！　敵は試合巧者ですか！？
008.stcm2 0x245e0 「アナタ、サバトちゃん助けたんじゃないの！？
008.stcm2 0x2463c 身代わりなら丸太とかマネキンとかにすればい
008.stcm2 0x24694 いじゃん！」
008.stcm2 0x248c4 「さすがドクロちゃん、変わり身はやいザンス」
008.stcm2 0x24988 「それは僕も思ったけど言わなかった、余計な
008.stcm2 0x249e0 コメントです！」
008.stcm2 0x24c10 サバトちゃん
008.stcm2 0x24c4c 「ドクロちゃん！　助けてくださいですぅ！」
008.stcm2 0x24e98 ドクロちゃん
008.stcm2 0x24ed4 「まっててサバトちゃん！　ぜったい助けにく
008.stcm2 0x24f2c るから……！！」
008.stcm2 0x25000 自分でサバトちゃんを身代わりにしておいて、
008.stcm2 0x25058 このセリフです！！　そして、ドクロちゃんは
008.stcm2 0x250b0 １人走り去って行くのです。
008.stcm2 0x25108 ……そして場に残されるのは、アワレなもう１
008.stcm2 0x25160 人の天使。
008.stcm2 0x25330 サバトちゃん
008.stcm2 0x2536c 「あッ！　ま、まってくださいですぅ！　置い
008.stcm2 0x253c4 てかないでほしいですぅ！！」
008.stcm2 0x25420 サバトちゃんの呼びかけに振り向くこともせず、
008.stcm2 0x2547c ドクロちゃんは僕の家を飛び出したときと同じ
008.stcm2 0x254d4 ようなスピードで姿を消しました。
008.stcm2 0x2558c 「結局、なんだったんだ……」
008.stcm2 0x255e8 僕はもう、なんだかいろいろなものにツッコミ
008.stcm2 0x25640 疲れてしまいました。
008.stcm2 0x258e0 「１つの戦いが終わったということザンスね」
008.stcm2 0x259bc 「知りませんよ。ザンスさんはもう用済みなの
008.stcm2 0x25a14 で、お引取りください」
008.stcm2 0x25b58 「用済みとか言っちゃダメザンス！」
008.stcm2 0x25c10 さて、ザンスはさておき。……僕はくるりと振
008.stcm2 0x25c68 り返りました。
008.stcm2 0x25e64 サバトちゃん
008.stcm2 0x25ea0 「ひ、ひいいいいいですぅ……！！」
008.stcm2 0x25f58 「サバトちゃん。……ごめんね」
008.stcm2 0x26098 サバトちゃん
008.stcm2 0x260d4 「あ、あやまるようなこと、しないでください
008.stcm2 0x2612c ですぅ！」
008.stcm2 0x26364 ベノムちゃん
008.stcm2 0x263a0 「さあ、サバト殿。準備はよろしいであります
008.stcm2 0x2643c ベノムちゃんも自分の職務を果たそうと、やる
008.stcm2 0x26494 気マンマンです。
008.stcm2 0x265cc サバトちゃん
008.stcm2 0x26608 「よろしくないですぅ！」
008.stcm2 0x26748 ベノムちゃん
008.stcm2 0x26784 「サバト殿……そんなに、いやでありますか？」
008.stcm2 0x267f0 サバトちゃんがベノムちゃんに返事をしようと
008.stcm2 0x26848 したとき、僕はそれをさえぎるように口を開き
008.stcm2 0x268a0 ました。
008.stcm2 0x26a04 「サバトちゃん、いつまでも逃亡生活を続けら
008.stcm2 0x26a5c れるわけじゃないんだよ。ここで、けじめをつ
008.stcm2 0x26ab4 けなきゃ」
008.stcm2 0x26afc やや間があって、サバトちゃんはゆっくりと答
008.stcm2 0x26b54 えます。
008.stcm2 0x26c80 サバトちゃん
008.stcm2 0x26cbc 「うう……わかったですぅ。確かに桜くんの言
008.stcm2 0x26d14 う通りですぅ……」
008.stcm2 0x26f54 ベノムちゃん
008.stcm2 0x26f90 「サバト殿……！　それでは」
008.stcm2 0x26fec ベノムちゃんの表情がぱあっと明るくなります。
008.stcm2 0x27048 本当にうれしそうです。
008.stcm2 0x27184 サバトちゃん
008.stcm2 0x271c0 「はいですぅ。健康診断、受けますぅ」
008.stcm2 0x27488 静希ちゃん
008.stcm2 0x274c0 「桜くん、よかったね」
008.stcm2 0x2756c 「う〜ん、サバトちゃんにしてみれば、よくな
008.stcm2 0x275c4 いのかもしれないけどね」
008.stcm2 0x2761c でも２人の内、１人はようやく健康診断を受け
008.stcm2 0x27674 る気になってくれたようです。
008.stcm2 0x27a14 ベノムちゃん
008.stcm2 0x27a50 「それでは改めまして……」
008.stcm2 0x27aa8 いよいよ、サバトちゃんの健康診断のはじまり
008.stcm2 0x27b44 その場にいる誰もがのどを鳴らしたに違いあり
008.stcm2 0x27b9c ません。それほどの緊張感が周囲にただよって
008.stcm2 0x27bf4 いました。
008.stcm2 0x27d40 ベノムちゃん
008.stcm2 0x27d7c 「三橋檎サバト殿ッ！」
008.stcm2 0x27eb8 サバトちゃん
008.stcm2 0x27ef4 「はっ、はいですぅッ！」
008.stcm2 0x280a0 【カッ！！】という光があふれます。ベノムちゃ
008.stcm2 0x280fc んは今、サバトちゃんの情報をスーヴェリージュ
008.stcm2 0x28158 に転送しているのです！
008.stcm2 0x28204 「ま、まぶしッ！」
008.stcm2 0x28294 閃光に目がくらみます。アバランチ公園を一瞬、
008.stcm2 0x282f0 真っ白に照らしたそれはやはり、すぐになくなっ
008.stcm2 0x2834c ていました。
008.stcm2 0x28398 やがて、ベノムちゃんが口を開きます。
008.stcm2 0x2854c ベノムちゃん
008.stcm2 0x28588 「は！　点呼は終了であります」
008.stcm2 0x2863c 「あれ？　考えてみたら、情報の転送は健康診
008.stcm2 0x28694 断のあとじゃなくていいの？」
008.stcm2 0x286f0 ザクロちゃんは健康診断をパスしたので気にな
008.stcm2 0x28748 らなかったですが、サバトちゃんの健康状態は
008.stcm2 0x287a0 転送しなくていいのでしょうか？
008.stcm2 0x287fc 現時点では、点呼を取ったという情報だけしか
008.stcm2 0x28854 ないように思えます。
008.stcm2 0x28990 ベノムちゃん
008.stcm2 0x289cc 「特別な病気や事情などがなければ、健康診断
008.stcm2 0x28a24 の情報は転送せずに、直接持ち帰るであります
008.stcm2 0x28ba8 ベノムちゃん
008.stcm2 0x28be4 「プライバシー・セキュリティ重視であります」
008.stcm2 0x28ca8 「案外、しっかりしてるんだね……」
008.stcm2 0x28e18 ベノムちゃん
008.stcm2 0x28e54 「さて、それではサバト殿。服のすそを大きく
008.stcm2 0x28eac まくっていただきたいであります」
008.stcm2 0x28ff0 サバトちゃん
008.stcm2 0x2902c 「は、はいですぅ……」
008.stcm2 0x29080 お、おおお！　やはり、そうきましたか！
008.stcm2 0x291cc ベノムちゃん
008.stcm2 0x29208 「参ります！」
008.stcm2 0x29254 ベノムちゃんの手が今、サバトちゃんに伸ばさ
008.stcm2 0x292ac れました！
008.stcm2 0x29620 サバトちゃん
008.stcm2 0x2965c 「か、覚悟はできたですぅ！　天使とは、死ぬ
008.stcm2 0x296b4 ことと見つけたんですぅ――はあああッ！！」
008.stcm2 0x2971c サバトちゃんは、なんだか武士みたいなものを
008.stcm2 0x29774 見つけたようです。
008.stcm2 0x297c4 ベノムちゃんは一心不乱に、サバトちゃんを調
008.stcm2 0x2981c べ上げていきます。
008.stcm2 0x29894 ベノムちゃん
008.stcm2 0x298d0 「サバト殿、脈が乱れているであります！　発
008.stcm2 0x29928 汗も……？　どこか苦しいでありますか！？」
008.stcm2 0x29aa0 サバトちゃん
008.stcm2 0x29adc 「ああッ……ひぃぃぃぃ！」
008.stcm2 0x29b34 サバトちゃんの苦しみの原因には、まるで考え
008.stcm2 0x29b8c がいかないようです。
008.stcm2 0x29be0 サバトちゃんの服がまくられるとか、そんなイ
008.stcm2 0x29c38 ヤラシイ考えは、僕の中から吹き飛んでいまし
008.stcm2 0x29cd4 静希ちゃんもほら。僕の目をふさぐどころか、
008.stcm2 0x29d2c 一緒に見入ってしまっています。
008.stcm2 0x29d88 僕たちは一言も話さず、その光景を目に焼き付
008.stcm2 0x29de0 けているのです。ああ、天使も大変なんだなっ
008.stcm2 0x29f8c サバトちゃん
008.stcm2 0x29fc8 「た、助けッ……ああああ！！」
008.stcm2 0x2a064 こうして、サバトちゃんの悲鳴がこだまするア
008.stcm2 0x2a0bc バランチ公園は、ゆっくりと日が傾いていきま
008.stcm2 0x2a4cc サバトちゃん
008.stcm2 0x2a508 「あ、ああ……」
008.stcm2 0x2a558 サバトちゃんが放心状態です。
008.stcm2 0x2a794 ベノムちゃん
008.stcm2 0x2a7d0 「サバト殿、お疲れさまでした」
008.stcm2 0x2aa1c サバトちゃん
008.stcm2 0x2aa58 「は、はいぃ……終わったです、かぁ？」
008.stcm2 0x2aabc どうも僕たちはすごいものを見てしまったよう
008.stcm2 0x2ab14 な気がします。歴史の証人です。
008.stcm2 0x2adb0 ザクロちゃん
008.stcm2 0x2ae34 ザクロちゃんがつらそうに目を背けました。
008.stcm2 0x2aef4 「ザクロちゃん、どうかした……？」
008.stcm2 0x2b03c ザクロちゃん
008.stcm2 0x2b078 「いえ、昨年のわたくしを思い出してしまって、
008.stcm2 0x2b0d4 サバトさんがお気の毒で」
008.stcm2 0x2b12c そうです。ザクロちゃんはあれを知っているの
008.stcm2 0x2b184 です。あのミーミングの味を。
008.stcm2 0x2b238 「ベノムちゃんに手袋してもらうとか、防ぐこ
008.stcm2 0x2b290 とはできないのかな？」
008.stcm2 0x2b3cc ザクロちゃん
008.stcm2 0x2b408 「ミーミングに指先をヒタすのは、ベノムさん
008.stcm2 0x2b460 のクセのようなので……手袋ごとヒタしてしまっ
008.stcm2 0x2b4bc たら意味がありません」
008.stcm2 0x2b568 「あ、そうか」
008.stcm2 0x2b69c ザクロちゃん
008.stcm2 0x2b6d8 「ただ、あの毒は触れられた場所を水でよく洗
008.stcm2 0x2b730 い流せば消えます」
008.stcm2 0x2b7d8 「あ、毒を消せるんだ。それならそんなに心配
008.stcm2 0x2b830 することでも……」
008.stcm2 0x2ba60 サバトちゃん
008.stcm2 0x2ba9c 「あ……小鳥さんですぅ……」
008.stcm2 0x2bb50 「心配だなあ！」
008.stcm2 0x2bc60 サバトちゃんの視線は宙をさまよい、時折ふっ
008.stcm2 0x2bcb8 と遠い目になります。これは、けっこう重症で
008.stcm2 0x2bdd8 とにかく残すところはドクロちゃんです。まさ
008.stcm2 0x2be30 か外で夜を過ごすとは思えませんので、家に戻っ
008.stcm2 0x2be8c てくるとは思うのですが。
008.stcm2 0x2bf3c 「一度、うちに戻ろうか。ドクロちゃんも、戻っ
008.stcm2 0x2bf98 てこないわけにはいかないだろうし」
008.stcm2 0x2c180 ベノムちゃん
008.stcm2 0x2c1bc 「そうでありますな」
008.stcm2 0x2c3cc ザクロちゃんもうなずいています。
008.stcm2 0x2c4e0 「じゃあ、静希ちゃんは……」
008.stcm2 0x2c6c4 静希ちゃん
008.stcm2 0x2c6fc 「桜くん、私も行っていい？」
008.stcm2 0x2c7b0 「も、もちろん！　歓迎します！　なんのお構
008.stcm2 0x2c808 いもできませんが！」
008.stcm2 0x2c85c 静希ちゃんが来てくれるなら、拒む理由なんか
008.stcm2 0x2c8b4 どこにもありません。
008.stcm2 0x2c964 あ、でもサバトちゃんも気になります。そのま
008.stcm2 0x2c9bc まにしておくわけにもいきませんし。
008.stcm2 0x2cb98 どうしますか？
008.stcm2 0x2cbe0 １．みんなで家に帰る
008.stcm2 0x2cc30 ２．サバトちゃんの様子を見てから帰る
009.stcm2 0x1c0 第１話　最後の方なんですぅ
009.stcm2 0x2ac 夕日に照らされた帰りの道のりは、それぞれが
009.stcm2 0x304 違った様子でした。
009.stcm2 0x354 僕や静希ちゃんはのんびりと、ベノムちゃんと
009.stcm2 0x3ac ザクロちゃんは少し暗い表情です。
009.stcm2 0x40c 僕の手には天使捕縛アミ、アイアンメイデン。
009.stcm2 0x464 外見は市販の虫取りアミとなんら変わりません。
009.stcm2 0x4d0 これのせいで、知らない人が見たら僕たちは虫
009.stcm2 0x528 取りから帰ってきた一行にしか見えないことで
009.stcm2 0x580 しょう。
009.stcm2 0x5c8 ザンスはもう毒が抜けたのか、呼んでもいない
009.stcm2 0x620 のについてきています。正直に言うと帰ってほ
009.stcm2 0x678 しいです。
009.stcm2 0x6c0 そして最後尾には、とぼとぼとついてくるサバ
009.stcm2 0x718 トちゃん。
009.stcm2 0x918 「サバトちゃん大丈夫？　無理しなくていいん
009.stcm2 0x970 だよ？」
009.stcm2 0x9b8 ミーミングの毒は水で洗い流せば消えることを
009.stcm2 0xa10 サバトちゃんに教えてあげたら、公園の水道で
009.stcm2 0xa68 ごしごしと手足を洗っていました。
009.stcm2 0xac8 暗い表情、まったくの無言。それはまるでいも
009.stcm2 0xb20 でも洗うかのように淡々とした動きでした。
009.stcm2 0xb88 いえ。いも洗いにしても、もう少し活気があり
009.stcm2 0xbe0 そうなものです。
009.stcm2 0xc30 まだつらそうなのは、さすがに冷水で（しかも
009.stcm2 0xc88 女の子が屋外で）全身を洗うわけにもいかず、
009.stcm2 0xce0 全部の毒を洗い流せていないからでしょう。
009.stcm2 0xe30 サバトちゃん
009.stcm2 0xe6c 「サバトも行かせてくださいですぅ。ドクロちゃ
009.stcm2 0xec8 んの健康診断を見届けるですぅ（くすくす）」
009.stcm2 0xf88 「ドクロちゃんがいるとは限らないんだけど、
009.stcm2 0xfe0 まあいいか」
009.stcm2 0x102c サバトちゃんは、どこか陰のある笑顔です。気
009.stcm2 0x1084 持ちはわからないでもありませんが。
009.stcm2 0x10e4 今、僕とサバトちゃんは【ドクロちゃんにヒド
009.stcm2 0x113c イ目にあわされた連合】（通称、あわさ連）に
009.stcm2 0x1194 所属しています。いわゆる被害者の会です。
009.stcm2 0x11fc サバトちゃんの場合、直接的、物理的にヒドイ
009.stcm2 0x1254 目にあわせたのはベノムちゃんなのですが、そ
009.stcm2 0x12ac こは触れないでおきましょう。
009.stcm2 0x1308 ベノムちゃんは悪くありませんから。はい。
009.stcm2 0x13cc というわけで、サバトちゃんはこの際そっとし
009.stcm2 0x1424 ておいてあげましょう。
009.stcm2 0x1478 他には誰も口を開かず、黙々と歩いていました。
009.stcm2 0x14d4 なんとなく時間がもったいない気がします。
009.stcm2 0x153c 誰と話しますか？
009.stcm2 0x1588 １．静希ちゃんと話す
009.stcm2 0x15d8 ２．ザクロちゃんと話す
009.stcm2 0x1628 ３．ベノムちゃんと話す
009.stcm2 0x1678 ４．ザンスとは話さない
009.stcm2 0x1cac 僕は静希ちゃんに目をやります。その頬がどこ
009.stcm2 0x1d04 となく赤いのは夕日のチカラ？
009.stcm2 0x1db8 「静希ちゃん、今日はありがとう」
009.stcm2 0x1f00 静希ちゃん
009.stcm2 0x1f38 「ううん、いいの。結局、部活出られなかった
009.stcm2 0x202c 「あ、そうだ！　静希ちゃん部活だったんだ！」
009.stcm2 0x2098 すっかり忘れていました。いえ、ついさっきま
009.stcm2 0x20f0 で覚えてましたよ！？　覚えてたんですけど、
009.stcm2 0x2148 ドクロちゃんを追いかけていたら……つい。
009.stcm2 0x21b0 でも静希ちゃんは、あわてる僕を制するように
009.stcm2 0x2334 静希ちゃん
009.stcm2 0x236c 「大丈夫。たぶんこうなると思ったから、学校
009.stcm2 0x23c4 に行ったとき【急用でお休みします】って言っ
009.stcm2 0x241c てきたの」
009.stcm2 0x24bc 「静希ちゃん……」
009.stcm2 0x250c やさしさと機転を同時に見せられて、僕はます
009.stcm2 0x2564 ます静希ちゃんを好きになってしまいます。
009.stcm2 0x26b0 静希ちゃん
009.stcm2 0x26e8 「だから、桜くんは気にしないで？　私が好き
009.stcm2 0x2740 でやってたんだからね」
009.stcm2 0x2794 好き……！？　そ、それはそれはまさかまさか！
009.stcm2 0x27f0 僕のことを……！？
009.stcm2 0x2840 ……そうに決まってるじゃないですか。
009.stcm2 0x28a4 いえ、わかってました！　わかってたんです！
009.stcm2 0x28fc 静希ちゃんの僕を見つめる瞳でわかりますとも。
009.stcm2 0x2968 これは彼女のせいいっぱいの勇気。今、その頬
009.stcm2 0x29c0 が赤いのは夕日に染められているせいばかりで
009.stcm2 0x2a18 はないはず。
009.stcm2 0x2a64 僕もそれに応え……。
009.stcm2 0x2c9c ベノムちゃん
009.stcm2 0x2cd8 「桜殿！　お宅が見えてきたであります！」
009.stcm2 0x2d98 「べ、ベノムちゃん！？　う、うん。わかった、
009.stcm2 0x2df4 ドクロちゃんがいたら大変だもんね！　準備し
009.stcm2 0x2e4c ようか」
009.stcm2 0x2e94 いささかコウフン気味のベノムちゃんが、僕の
009.stcm2 0x2eec 家を指さします。自分をふるい立たせているの
009.stcm2 0x2f44 かもしれません。
009.stcm2 0x2f94 僕はなんだかこんなのばかりです。ベノムちゃ
009.stcm2 0x2fec んも、ドクロちゃんみたいなタイミングで飛び
009.stcm2 0x3044 込んでくるのが上手いじゃないですか！
009.stcm2 0x328c 静希ちゃん
009.stcm2 0x32c4 「どうしたの、桜くん？」
009.stcm2 0x3374 「な、なんでもないよ。行こうか」
009.stcm2 0x33d4 この雰囲気では、言うべき言葉も見つかりませ
009.stcm2 0x342c んでした。せっかく夕日がきれいなのに。
009.stcm2 0x3578 静希ちゃん
009.stcm2 0x35b0 「うん。ドクロちゃん、いるといいね」
009.stcm2 0x3614 いたら、きっと大変なことになります。
009.stcm2 0x3678 でも、はやく見つけないとベノムちゃんが帰れ
009.stcm2 0x36d0 ないのです。どちらにしても大変なので、僕に
009.stcm2 0x3728 は退路がありません。
009.stcm2 0x377c でも、今まで僕に退路があったことなんかあっ
009.stcm2 0x37d4 たでしょうか。
009.stcm2 0x3820 それは例えるなら前門のドクロちゃん、後門に
009.stcm2 0x3878 もドクロちゃん。……怖すぎます！
009.stcm2 0x38d8 僕は大好きな幼なじみと肩を並べながら、自分
009.stcm2 0x3930 の家へ戻っていきました。
009.stcm2 0x3cb4 ザクロちゃんは、おねえさんのことでベノムちゃ
009.stcm2 0x3d10 んに迷惑をかけているわけなので、気に病んで
009.stcm2 0x3d68 いるのかもしれません。
009.stcm2 0x3dbc 現にザクロちゃんは、明るい顔をしていないじゃ
009.stcm2 0x3e18 ないですか。ザクロちゃんには、ほほえんでい
009.stcm2 0x3e70 てほしいものです。
009.stcm2 0x3ec0 なんと言っても僕は、ザクロちゃんのおにいさ
009.stcm2 0x3f18 んも同然です。ザクロちゃんが暗い顔をしてい
009.stcm2 0x3f70 るのは見過ごせません。
009.stcm2 0x401c 「ザクロちゃん、ドクロちゃんのことが気にな
009.stcm2 0x4074 るの？」
009.stcm2 0x41a4 ザクロちゃん
009.stcm2 0x41e0 「桜さん、ごめんなさい。お気をつかわせてし
009.stcm2 0x4238 まって。……いえ、それどころか姉が大変なご
009.stcm2 0x4290 迷惑を」
009.stcm2 0x4330 「ううん、僕はいいんだよ。みんなだって気に
009.stcm2 0x4388 してないし」
009.stcm2 0x43d4 ザクロちゃんはゆっくりと歩きながら、僕が思っ
009.stcm2 0x4430 た通りの返事をくれました。
009.stcm2 0x4488 やっぱりザクロちゃんは、ドクロちゃんのこと
009.stcm2 0x44e0 で気をもんでいるのです。
009.stcm2 0x4538 ザクロちゃんは姉思いのとっても良い妹君（い
009.stcm2 0x4590 もうとぎみ）です。それはもう、僕が先生だっ
009.stcm2 0x45e8 たら花マルをあげちゃうくらいです。
009.stcm2 0x4648 それだけに、姉がドクロちゃんだとザクロちゃ
009.stcm2 0x46a0 んの苦労も並々ならぬものになります。特に、
009.stcm2 0x46f8 気苦労は。
009.stcm2 0x4828 ザクロちゃん
009.stcm2 0x4864 「わたくしは、こうなることを恐れていたと言
009.stcm2 0x48bc いましたが、まさかおねえさまがここまでいや
009.stcm2 0x4914 がるとは思わなかったのです」
009.stcm2 0x49c8 「う〜ん。ガマンできない子だからね……」
009.stcm2 0x4a30 ドクロちゃんにもバットで解決できない問題は
009.stcm2 0x4a88 あるものです。そういうものを知って、彼女も
009.stcm2 0x4ae0 大人になっていってほしいものです。
009.stcm2 0x4b40 まったく、カラダの一部ばかりオトナなんだか
009.stcm2 0x4c34 「とにかく、今のドクロちゃんは、いつもの状
009.stcm2 0x4c8c 態に輪をかけてなにをするかわからないから、
009.stcm2 0x4ce4 気をつけないと」
009.stcm2 0x4e1c ザクロちゃん
009.stcm2 0x4e58 「桜さんも無茶だけはなさらないでくださいね」
009.stcm2 0x4f1c 「ありがとう。でも、それは無理だと思うよ」
009.stcm2 0x4f84 断言します。ドクロちゃんと付き合っていくこ
009.stcm2 0x4fdc と事態が無茶の連続です。
009.stcm2 0x5034 無茶をしないというのであれば、ドクロちゃん
009.stcm2 0x508c から離れなければいけません。
009.stcm2 0x50e8 でも、それはとてもさみしい気がするのです。
009.stcm2 0x51a8 「まあ、死にはしないだろうし、大丈夫だよ」
009.stcm2 0x52f8 ザクロちゃん
009.stcm2 0x5334 「桜さん、ありがとうございます」
009.stcm2 0x5394 僕が無理のあるウソをつくと、ようやくザクロ
009.stcm2 0x53ec ちゃんはわずかながらほほえんでくれるのでし
009.stcm2 0x57b4 ベノムちゃんは神妙な面持ちです。
009.stcm2 0x5814 サバトちゃんの健康診断をすませたことで自信
009.stcm2 0x586c をとりもどしてくれると思ったのですが、そう
009.stcm2 0x58c4 とばかりにもいかないようです。
009.stcm2 0x5978 「どうしたのベノムちゃん。なにか気になるこ
009.stcm2 0x59d0 とでもあるの？」
009.stcm2 0x5a20 自分で言っていて、変なことを言っているもの
009.stcm2 0x5a78 だと思いました。
009.stcm2 0x5ac8 だって、ドクロちゃんのことが気にならないな
009.stcm2 0x5b20 んてありえないですから。
009.stcm2 0x5c60 ベノムちゃん
009.stcm2 0x5c9c 「いえ、ドクロ殿の健康診断を果たすことがで
009.stcm2 0x5cf4 きるかどうかと、考えていたであります」
009.stcm2 0x5db0 「相手がドクロちゃんだもんね……」
009.stcm2 0x5e10 ベノムちゃんの表情は緊張の表れだったのです。
009.stcm2 0x5e6c 僕にはその気持ちが痛いほどわかります。
009.stcm2 0x5ed0 ドクロちゃんは、こんな子にまで迷惑をかけて
009.stcm2 0x5f28 なんとも思わないのでしょうか？
009.stcm2 0x5f84 僕はドクロちゃんも、根は悪い子じゃないと信
009.stcm2 0x5fdc じています。それだけにこの状況は、喜ばしい
009.stcm2 0x6034 ものでは決してありません。
009.stcm2 0x6174 ベノムちゃん
009.stcm2 0x61b0 「自分は嫌われてしまったのでありますか？」
009.stcm2 0x6270 「そんなことはないよ。だって、なにもしてな
009.stcm2 0x62c8 い人（天使）を嫌いになるなんて」
009.stcm2 0x6328 僕の言葉に、ベノムちゃんが目を見開きます。
009.stcm2 0x6380 そのとき、僕の耳には確かに【ガーン】という
009.stcm2 0x63d8 音が聞こえた気がしました。
009.stcm2 0x6540 ベノムちゃん
009.stcm2 0x657c 「な、なにもしてない……」
009.stcm2 0x662c 「ああっ！　ち、ちがうよ？　そういう意味で
009.stcm2 0x6684 言ったんじゃなくて、なにも悪いことをしてな
009.stcm2 0x66dc い、って意味だよ！」
009.stcm2 0x6840 ベノムちゃん
009.stcm2 0x687c 「いえ、確かに自分はまだまだなにもしていな
009.stcm2 0x68d4 いであります。お叱りは、ごもっともでありま
009.stcm2 0x6970 ベノムちゃんは、自分の中で納得してしまった
009.stcm2 0x69c8 ようです。
009.stcm2 0x6a10 その出で立ちといい、ベノムちゃんもいろいろ
009.stcm2 0x6a68 とオトナですが、こう見えてベノムちゃんも結
009.stcm2 0x6ac0 構、走り出したら止まらないタイプのようです。
009.stcm2 0x6b48 ……オトナが。……走り出したら止まらない？
009.stcm2 0x6c08 「あ、ああ……」
009.stcm2 0x6c74 ベノムちゃんが止まらないだなんて！
009.stcm2 0x6eec ということは、ああっそんな！　ベノムちゃん、
009.stcm2 0x6f48 ダイタンすぎます！！　今夜は、なにかが起き
009.stcm2 0x6fa0 るってことですか！？
009.stcm2 0x7088 僕の心の中では、僕に迫ってくるベノムちゃん
009.stcm2 0x70e0 が、今にも……。ダイタンになりきれるのは、
009.stcm2 0x7138 ここがベノムちゃんにとって異境の地だから？
009.stcm2 0x7234 旅は心を開く、とっておきのスパイス。ベノム
009.stcm2 0x728c ちゃんの心にも、ほら。そっとふりかけられて
009.stcm2 0x72e4 しまったのです。
009.stcm2 0x7494 「フゥォォォーーー……ッ！！」
009.stcm2 0x75b0 僕は大きく息をはき出しました。
009.stcm2 0x76dc ベノムちゃん
009.stcm2 0x7718 「さ、桜殿！？　どうなさったでありますか？」
009.stcm2 0x77dc 「ベノムちゃん、旅は道連れです！」
009.stcm2 0x783c ベノムちゃんに毒手がなければ、僕はベノムちゃ
009.stcm2 0x7898 んの手を取って語りかけていたかもしれません。
009.stcm2 0x79ec ベノムちゃん
009.stcm2 0x7a28 「み、道連れでありますか？　恐ろしいであり
009.stcm2 0x7a80 ますね……」
009.stcm2 0x7acc 僕たちは微妙にズレたまま、僕の家へ向かって
009.stcm2 0x7b24 ゆっくりと歩いていきました。
009.stcm2 0x7ebc 「なんでザンス！　ひどいザンス！」
009.stcm2 0x7f74 「僕のココロを読まないでください！　もうい
009.stcm2 0x7fcc いですから、帰ってくださいよ！」
009.stcm2 0x820c 「アイアンメイデンを返してもらわないと困る
009.stcm2 0x8264 ザンス！　それはレアモノザンスからねえ〜」
009.stcm2 0x82cc ザンスはモヒカンを【モサッ】とさせながら、
009.stcm2 0x8324 僕の手にある天使捕縛アミに視線を移して言い
009.stcm2 0x837c ました。
009.stcm2 0x841c 「ところで、ザンスさんはなんでこんなもの持っ
009.stcm2 0x8478 てるんですか？」
009.stcm2 0x86a8 「な、なんでそんなこと聞くザンス？　ユ、ユゥ
009.stcm2 0x8704 が思っているようなヤマシイ理由はないザンス
009.stcm2 0x87a0 ザンスがいかにもなにかある風に、目をそらし
009.stcm2 0x8894 「僕、なにも思ってないですよ？」
009.stcm2 0x8ad4 「な、ならいいザンスよ……」
009.stcm2 0x8b88 「でも、これ便利ですよね。身代わりで逃げら
009.stcm2 0x8be0 れたとはいえ、ドクロちゃんをつかまえられた
009.stcm2 0x8c38 わけですし」
009.stcm2 0x8e60 「そうザンスか、それは良かったザンス。今回
009.stcm2 0x8eb8 上手くいったら、ミィも使ってみようと思って
009.stcm2 0x8f10 たザンスよ」
009.stcm2 0x8fdc 「それ見たことか！　僕に実験させてまで誰を
009.stcm2 0x9034 つかまえるんだ、言ってみろ！」
009.stcm2 0x9270 「ち、違うザンス！　今のはココロにもないこ
009.stcm2 0x92c8 とが……！！」
009.stcm2 0x936c 「ココロにもないことをどうやって言うんだ、
009.stcm2 0x93c4 犯罪者め！　このアミは没収します！」
009.stcm2 0x9428 もともと返すつもりはありませんでした。ザン
009.stcm2 0x9480 スにこんなもの持たせたら大変ですから。
009.stcm2 0x94e4 まだ使われていないということがわかっただけ
009.stcm2 0x953c 良かったと言うべきでしょう。
009.stcm2 0x9770 「ノォォォォォ！！　カ、カンベンしてほしい
009.stcm2 0x97c8 ザンス！」
009.stcm2 0x9868 「ダメ、ゼッタイ！　僕が使い終わったら、ド
009.stcm2 0x98c0 クロちゃんと一緒にこれを持ってカブトムシを
009.stcm2 0x9918 つかまえに行ってきます！」
009.stcm2 0x9970 ドクロちゃんはそんなときもきっとお構いなし
009.stcm2 0x99c8 にフルスイング。そのまま木の枝にアミが引っ
009.stcm2 0x9a20 かかればビリビリビリ！
009.stcm2 0x9c54 「そんなことしたら破れちゃうザンス！」
009.stcm2 0x9d10 「それが世のためです」
009.stcm2 0x9d64 まったく、物騒な世の中です。
009.stcm2 0x9e18 ザンスが泣き崩れるのを見て、僕はひとつの犯
009.stcm2 0x9e70 罪を未然に防ぐことができた満足感を覚えてい
009.stcm2 0x9ec8 ました。
009.stcm2 0xa08c 第１話　最後の方なんですぅ
009.stcm2 0xa194 「サバトちゃんがつらそうだし、僕はちょっと
009.stcm2 0xa1ec 様子を見てから帰るから、みんな先に僕の家に
009.stcm2 0xa244 戻っててくれないかな」
009.stcm2 0xa420 ザクロちゃん
009.stcm2 0xa45c 「わかりました。お気をつけて」
009.stcm2 0xa510 「うん、みんなもね」
009.stcm2 0xa5c0 そう言葉を交わして、みんなの背中を見送りま
009.stcm2 0xa65c ザンスまで背中を見せていましたが、彼はひょっ
009.stcm2 0xa6b8 として僕の家までついてくる気なんでしょうか。
009.stcm2 0xa724 僕はとりあえず考えるのはやめて、サバトちゃ
009.stcm2 0xa77c んに振り返りました。
009.stcm2 0xa988 「サバトちゃん……」
009.stcm2 0xabcc ドクロちゃん
009.stcm2 0xac08 「サバトちゃん、大丈夫……？」
009.stcm2 0xac64 ドクロちゃんも心配そうな表情です。いつもの
009.stcm2 0xacbc 不幸に輪をかけて、今のサバトちゃんはかわい
009.stcm2 0xad14 そうに見えるからでしょう。
009.stcm2 0xad6c ドクロちゃんにも人を心配してあげるような、
009.stcm2 0xadc4 やさしいところがあるじゃないですか。
009.stcm2 0xaf08 ……えーと。……ドクロちゃん？
009.stcm2 0xafe4 「ド、ド、ドドドドクロちゃん！？　ア、アナ
009.stcm2 0xb03c タなんでここにいるの！？」
009.stcm2 0xb17c ドクロちゃん
009.stcm2 0xb1b8 「だって、かならず助けにくるってボク言った
009.stcm2 0xb210 もん！」
009.stcm2 0xb2b0 「遅いよ来るのが！　もうサバトちゃんはだい
009.stcm2 0xb308 ぶ良くなってるでしょ！？」
009.stcm2 0xb3b8 「ホントに逃げ回ってばっかりで、ドクロちゃ
009.stcm2 0xb410 んはひどいんだから。追いかけてた僕が言うの
009.stcm2 0xb468 もなんだけどさ」
009.stcm2 0xb5a0 ドクロちゃん
009.stcm2 0xb5dc 「桜くんが言うのは、ホントにナンだねっ！」
009.stcm2 0xb69c 「ドクロちゃんに言われたくはないよ！」
009.stcm2 0xb700 僕は腹が立ちましたが、例によってなにも言わ
009.stcm2 0xb758 ずにおきましょう。人間には学習能力と恐怖心
009.stcm2 0xb7b0 があるからです。
009.stcm2 0xb800 それは、生きるための知恵です。
009.stcm2 0xba40 サバトちゃん
009.stcm2 0xba7c 「ドクロちゃん……？」
009.stcm2 0xbb28 「サ、サバトちゃんは気にしないで！」
009.stcm2 0xbbe8 今のサバトちゃんにシゲキは厳禁です。僕はど
009.stcm2 0xbc40 うすれば……。
009.stcm2 0xbc8c どうしますか？
009.stcm2 0xbcd4 １．ドクロちゃんをつかまえる
009.stcm2 0xbd2c ２．今はサバトちゃんの心配をする
009.stcm2 0xc204 これはもう、ドクロちゃんをつかまえるしかあ
009.stcm2 0xc25c りません。
009.stcm2 0xc2a4 まずは何げなく話しかけて油断を誘います。
009.stcm2 0xc380 「ねえ、ドク……」
009.stcm2 0xc5a0 ドクロちゃん
009.stcm2 0xc5dc 「いやああああああああ！！！！」
009.stcm2 0xce08 どべしゃあ――ッ！！
009.stcm2 0xce84 その音を最後に僕の意識は途絶えます。それが
009.stcm2 0xcedc まさか自分の身体が上げた断末魔の叫びだとは
009.stcm2 0xcf34 思わなかったのです。
009.stcm2 0xcf88 完全に振り抜かれた鋼鉄の殺意。一瞬で僕を仕
009.stcm2 0xcfe0 留めたドクロちゃんのスイングモーションは、
009.stcm2 0xd038 それはそれは美しいものでした。
009.stcm2 0xd0d4 大空に舞った僕。失ってしまったものが輝かし
009.stcm2 0xd12c く見えるように、僕の命は星のように強く輝い
009.stcm2 0xd184 ていました。
009.stcm2 0xd1d0 ほぅら、草壁桜は星になったんだ。
009.stcm2 0xd230 ここは星が出る時刻にはまだ少し早いアバラン
009.stcm2 0xd288 チ公園。ドクロちゃんはとぼけた口調で、僕の
009.stcm2 0xd2e0 復活をそのバットに託します。
009.stcm2 0xd568 ドクロちゃん
009.stcm2 0xd5a4 「いやっ！　桜くんが天に輝く桜星になって、
009.stcm2 0xd5fc みんなを見守っちゃう！」
009.stcm2 0xd654 ドクロちゃんは天をつらぬけとばかり、頭上に
009.stcm2 0xd6ac 向かってエスカリボルグをかかげました。
009.stcm2 0xd76c 魔法は願いを天空へ。トゲの１つから１つの光、
009.stcm2 0xd7c8 それが集まって魔法のキラメキは泡のように天
009.stcm2 0xd820 空を目指します。
009.stcm2 0xd924 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
009.stcm2 0xd9a4 空とひとつになった僕の身体には、再び命の炎
009.stcm2 0xd9fc がイグニッショーンッ！
009.stcm2 0xda78 内なる声が聞こえてきます。僕は、ここはお前
009.stcm2 0xdad0 の死に場所ではない、と細胞のひとつひとつが
009.stcm2 0xdb28 語っているかのようです。
009.stcm2 0xdbf4 僕はその声にはげまされ、大地に降り立ちます。
009.stcm2 0xdc50 そして、生きることを決意するのです……！
009.stcm2 0xddb8 「はっ！　僕はいったい！？」
009.stcm2 0xde14 なにか、とても壮大な夢を見ていた気がします。
009.stcm2 0xde70 僕の体がひとつの命ではないような……ひどく
009.stcm2 0xdec8 不思議な感覚が残ります。
009.stcm2 0xe0d8 「ドクロちゃん……？　一応聞くけど、なんで
009.stcm2 0xe130 撲殺したの？」
009.stcm2 0xe17c 確かにつかまえようと思ったのは事実ですが、
009.stcm2 0xe1d4 まだ実行してはいませんでした。
009.stcm2 0xe318 ドクロちゃん
009.stcm2 0xe354 「だって、桜くんが【毒】って。……ボク、桜
009.stcm2 0xe3ac くんに毒でなにかされると思ったら怖くて……
009.stcm2 0xe404 ごめんなさい」
009.stcm2 0xe4a8 「【ねえ、ドクロちゃん】って言おうとしたの！
009.stcm2 0xe504 ドクロちゃんは、ついに最後まで聞くことすら
009.stcm2 0xe55c やめてしまったんですか！？」
009.stcm2 0xe5b8 ドクロちゃんに力いっぱいの抗議をした、その
009.stcm2 0xe610 ときでした。
009.stcm2 0xe840 サバトちゃん
009.stcm2 0xe87c 「桜くん……？」
009.stcm2 0xe8cc サバトちゃんが僕の名を呼んでいるじゃありま
009.stcm2 0xe924 せんか！　なんとか正気に戻ったようです。
009.stcm2 0xe9e4 「ああっサバトちゃん、平気？　……そうだ、
009.stcm2 0xea3c ベノムちゃんの毒手は触られたところを水で洗
009.stcm2 0xea94 えば毒が消えるんだって！　ね、水道行こう？」
009.stcm2 0xebb4 「ほらドクロちゃん、せめて手伝って！　って、
009.stcm2 0xec10 あれ？　ド、ドクロちゃんがいない！？」
009.stcm2 0xec74 サバトちゃんの声に反応した一瞬の間に、もう
009.stcm2 0xeccc ドクロちゃんの姿はなくなっていました。
009.stcm2 0xed30 この場はドクロちゃんをあきらめ、サバトちゃ
009.stcm2 0xed88 んを水道に連れていってあげることにしました。
009.stcm2 0xf0dc 今はドクロちゃんに構っている場合ではありま
009.stcm2 0xf134 せん。とにかく、水で洗い流せば毒が消えるの
009.stcm2 0xf18c であれば水道に連れて行ってあげましょう。
009.stcm2 0xf24c 「ほら、サバトちゃん。しっかりして？」
009.stcm2 0xf398 サバトちゃん
009.stcm2 0xf3d4 「桜くん……？」
009.stcm2 0xf424 良かった！　サバトちゃんが正気に戻りつつあ
009.stcm2 0xf47c ります。
009.stcm2 0xf51c 「そう、僕だよ！　サバトちゃん大丈夫？」
009.stcm2 0xf66c サバトちゃん
009.stcm2 0xf6a8 「だ、だめかもですぅ……」
009.stcm2 0xf758 「しっかり！」
009.stcm2 0xf7a4 僕は必死でサバトちゃんをはげまします。がん
009.stcm2 0xf7fc ばれ、強い子！
009.stcm2 0xfa2c ドクロちゃん
009.stcm2 0xfa68 「桜くんはやさしいね」
009.stcm2 0xfb14 「ドクロちゃんはおだまりなさい！」
009.stcm2 0xfb74 僕はドクロちゃんの言葉をシャットアウト。今
009.stcm2 0xfbcc の彼女の言葉はサバトちゃんの心にいい影響を
009.stcm2 0xfc24 与えません。
009.stcm2 0xfcf4 僕が強くにらむと、ドクロちゃんは走り去って
009.stcm2 0xfd4c しまいました。
009.stcm2 0xfd98 っていうか、ドクロちゃんはなんでまだここに
009.stcm2 0xfdf0 いたんでしょうか。
009.stcm2 0xffc8 サバトちゃん
009.stcm2 0x10004 「サ、サバトの健康診断は……終わったんです
009.stcm2 0x1005c かぁ？」
009.stcm2 0x100fc 「うん、もう全部終わったんだよ！　もう苦し
009.stcm2 0x10154 まなくていいんだ！」
009.stcm2 0x101a8 サバトちゃんは耐えたのです。そして今、自分
009.stcm2 0x10200 を取り戻し、再びいつもの生活に帰ろうとして
009.stcm2 0x10258 いるのです。
009.stcm2 0x102a4 えーと、ダンボールハウスに戻るという意味で
009.stcm2 0x102fc はなくて。
009.stcm2 0x1042c サバトちゃん
009.stcm2 0x10468 「桜くん、サバトが……」
009.stcm2 0x10518 「うん。なに？」
009.stcm2 0x10568 サバトちゃんは必死になにかを伝えようとして
009.stcm2 0x105c0 います。僕はそれを聞きもらすことがないよう
009.stcm2 0x10618 に、サバトちゃんの次の言葉を待ちました。
009.stcm2 0x10790 サバトちゃん
009.stcm2 0x107cc 「サバトが死んだら……サバトはがんばったっ
009.stcm2 0x10824 て、伝えてくださいですぅ」
009.stcm2 0x10930 「いやーーーー！　サバトちゃん、正気に戻っ
009.stcm2 0x10988 てーーーッ！！」
009.stcm2 0x109d8 サバトちゃんが完全に正気に戻るには、もう
009.stcm2 0x10a30 ちょっと時間がかかりました。
009.stcm2 0x10cc8 静かな音をたてて、ふすまが開かれます。
009.stcm2 0x10d2c そこにはからっぽの空間だけがありました。
009.stcm2 0x10e14 「いないね」
009.stcm2 0x10fe8 静希ちゃん
009.stcm2 0x11020 「うん……どこに行っちゃったのかな」
009.stcm2 0x11268 「こうなったドクロちゃんは、なかなかつかま
009.stcm2 0x112c0 らないザンス」
009.stcm2 0x11364 「いつだってそう簡単につかまりませんよ」
009.stcm2 0x11424 ここは僕の部屋。今、その押し入れの中をみん
009.stcm2 0x1147c なでのぞいたところです。
009.stcm2 0x114d4 しかし、ドクロちゃんの姿はそこにありません
009.stcm2 0x1152c でした。簡単に見つかるところには隠れないと
009.stcm2 0x11584 いうことでしょうか。
009.stcm2 0x11658 振り返ると、今にも泣き出しそうなサバトちゃ
009.stcm2 0x116b0 んがいました。
009.stcm2 0x116fc 僕は今のサバトちゃんを１人にするのは忍びな
009.stcm2 0x11754 く、サバトちゃんを連れて、僕の部屋へ戻って
009.stcm2 0x117ac きたのです。
009.stcm2 0x11814 ザクロちゃんもベノムちゃんも困り果て、静希
009.stcm2 0x1186c ちゃんも困惑しています。サバトちゃんなんか
009.stcm2 0x118c4 泣き出してしまいました。
009.stcm2 0x11acc サバトちゃん
009.stcm2 0x11b08 「ドクロちゃんひどいですぅ……いつもいつも
009.stcm2 0x11b60 サバトばっかり……うぅ……」
009.stcm2 0x11c14 「ああっ、サバトちゃん泣かないで泣かないで。
009.stcm2 0x11c70 ひまわりのようにほほえんで？」
009.stcm2 0x11dcc サバトちゃん
009.stcm2 0x11e08 「あ、は、はいですぅ（にこっ）」
009.stcm2 0x11ec0 「イエスイエース」
009.stcm2 0x11f94 ……さておき、困りました。家に帰ってないと
009.stcm2 0x11fec なると、他にアテがありません。
009.stcm2 0x12048 おなかが減れば帰ってくるに決まっているとい
009.stcm2 0x120a0 う考えは、ドクロちゃんをあなどりすぎかもし
009.stcm2 0x120f8 れません。
009.stcm2 0x12140 事態はここに迷宮入りの様相を呈していました。
009.stcm2 0x1219c 打つ手がないのです。
009.stcm2 0x12248 「どうしよう？　まってみようか」
009.stcm2 0x12430 ベノムちゃん
009.stcm2 0x1246c 「いえ、それにはおよばないであります」
009.stcm2 0x12574 僕は少し驚きました。ベノムちゃんには、なに
009.stcm2 0x125cc か考えがあるのでしょうか。
009.stcm2 0x1270c ベノムちゃん
009.stcm2 0x12748 「ドクロ殿のイヤがりようはただごとではない
009.stcm2 0x127a0 であります。もしかしたらなにか事情があるの
009.stcm2 0x127f8 やも……」
009.stcm2 0x12898 「う、ううん！　なにもないよ！？」
009.stcm2 0x128f8 事情とはつまり、ベノムちゃんの毒手のことで
009.stcm2 0x12950 す。僕にはとても言えません。
009.stcm2 0x12a94 ベノムちゃん
009.stcm2 0x12ad0 「今日のところは帰還しまして、また出直すこ
009.stcm2 0x12b28 とにするであります」
009.stcm2 0x12b7c ベノムちゃんは、寂しげにほほえみました。そ
009.stcm2 0x12bd4 れはそうです。すべての仕事を終えての帰還で
009.stcm2 0x12c2c はないのですから。
009.stcm2 0x12c7c 真面目なベノムちゃんが、平気でいられるはず
009.stcm2 0x12cd4 はありません。
009.stcm2 0x12d78 「いいの？」
009.stcm2 0x12eac ベノムちゃん
009.stcm2 0x12ee8 「はい。仕方がないであります」
009.stcm2 0x13134 ザクロちゃん
009.stcm2 0x13170 「ベノムさん……本当に申し訳ありません」
009.stcm2 0x13300 ベノムちゃん
009.stcm2 0x1333c 「これは誰のせいでもないであります。どうか
009.stcm2 0x13394 お気になさらず」
009.stcm2 0x1343c 「いや、確実にドクロちゃんのせいだと思うな」
009.stcm2 0x134a8 それしかないじゃないですか。ベノムちゃんは
009.stcm2 0x13500 本当にいい人です。きっと苦労人ですよ。
009.stcm2 0x137a4 静希ちゃん
009.stcm2 0x137dc 「それじゃあ、私もそろそろ帰ろうかな」
009.stcm2 0x13898 「あ、そうだね。いろいろありがとう」
009.stcm2 0x139e0 静希ちゃん
009.stcm2 0x13a18 「どういたしまして」
009.stcm2 0x13ac8 静希ちゃんはやわらかくほほえむと、僕の部屋
009.stcm2 0x13b20 を出て行きます。ベノムちゃんもそれにならい
009.stcm2 0x13b78 ました。
009.stcm2 0x13bc0 ２人は、ゆっくりと階段を下りていきます。
009.stcm2 0x13c68 僕はそのあとに続いて、玄関まで彼女たちを見
009.stcm2 0x13cc0 送ったのでした。
009.stcm2 0x13f4c 静希ちゃんは、ベノムちゃんと一緒にうちの門
009.stcm2 0x13fa4 から帰っていきました。
009.stcm2 0x13ff8 ザクロちゃんは責任を感じているのか、もう少
009.stcm2 0x14050 しだけさがしてくると言って出ていきました。
009.stcm2 0x140b8 ついでにザンスはさっさと追い出しました。
009.stcm2 0x14120 そして、この部屋に残ったのは僕とサバトちゃ
009.stcm2 0x14178 んだけ。
009.stcm2 0x143a0 「サバトちゃん、うちでお風呂入っていきなよ」
009.stcm2 0x144f4 サバトちゃん
009.stcm2 0x14530 「ふぇっ！？　そ、そんな、だ、誰もいないん
009.stcm2 0x14588 ですよぉ！？」
009.stcm2 0x145d4 サバトちゃんが急に声を大きくしました。僕は
009.stcm2 0x1462c ちょっとびっくりしたんですが、それを顔に出
009.stcm2 0x14684 さないように言葉をつなげました。
009.stcm2 0x1473c 「えーと、公園の水道じゃ毒を全部洗い落とせ
009.stcm2 0x14794 なかったでしょ？　だから、お風呂に入ればすっ
009.stcm2 0x147f0 きりするんじゃないかなぁと思って」
009.stcm2 0x14938 サバトちゃん
009.stcm2 0x14974 「い、いいんですかぁ！？　サバト、お風呂に
009.stcm2 0x149cc 入ってもいいんですかぁ！？」
009.stcm2 0x14a80 「うん。気にしないで使って？」
009.stcm2 0x14bc4 サバトちゃん
009.stcm2 0x14c00 「はぁぁぁぁ……桜くん、ありがとうですぅ！
009.stcm2 0x14c58 サバトは、サバトは……！」
009.stcm2 0x14d08 「サバトちゃんは大げさだなあ」
009.stcm2 0x14e48 サバトちゃん
009.stcm2 0x14e84 「うう……それでは行ってまいりますですぅ！」
009.stcm2 0x14f68 そう言うと、サバトちゃんは嬉々とした足取り
009.stcm2 0x14fc0 で、廊下を進んでいきました。
009.stcm2 0x1509c 「……ふぅ」
009.stcm2 0x150e8 僕は誰にも聞こえないような、小さなため息を
009.stcm2 0x15140 つきます。
009.stcm2 0x15188 今日はいろいろありました。……いえ、今日も
009.stcm2 0x151e0 と言うべきでしょう。
009.stcm2 0x15234 ベノムちゃんはすっかりなじんでいましたが、
009.stcm2 0x1528c 今日会ったばかり。
009.stcm2 0x152dc 【天使による人員点呼および健康保全機構】通
009.stcm2 0x15334 称、スーヴェリージュ。そこから派遣された天
009.stcm2 0x1538c 使なのです。
009.stcm2 0x153d8 彼女はポイズン蠱毒壺【ミーミング】をひっさ
009.stcm2 0x15430 げ、自らの手を毒手と化しています。健康診断
009.stcm2 0x15488 するのが仕事なのに。
009.stcm2 0x154dc しかも、ベノムちゃんはその事実に気付いてい
009.stcm2 0x15534 ません。
009.stcm2 0x1557c 困ったことに彼女にその事実を告げようとして
009.stcm2 0x155d4 も、彼女の瞳を見つめるとその気がそがれてし
009.stcm2 0x1562c まうのです。
009.stcm2 0x1571c どのくらい今日の出来事に思いをはせていたで
009.stcm2 0x15774 しょうか。それはやってきました。
009.stcm2 0x15984 ドクロちゃん
009.stcm2 0x159c0 「あれー、みんなはもう帰っちゃったの？　み
009.stcm2 0x15a18 んなで遊ぼうと思ったのにー」
009.stcm2 0x15a74 それはいつも通りのくりくりヴォイス。かわい
009.stcm2 0x15acc らしい声にも、もうごまかされないんだからっ。
009.stcm2 0x15b90 「……ドクロちゃん！　やっと出てきた！」
009.stcm2 0x15bf8 【買い物に行ってたら、その間にお客さんが帰っ
009.stcm2 0x15c54 ちゃったんだね】みたいな気軽さでドクロちゃ
009.stcm2 0x15cac んが居間に姿を見せました。
009.stcm2 0x15d04 悪びれる様子もないドクロちゃんは、ホントに
009.stcm2 0x15d5c 小憎らしいです！
009.stcm2 0x15e04 「ねえ、健康診断くらい受けようよ。ベノムちゃ
009.stcm2 0x15e60 ん困ってたよ？」
009.stcm2 0x15fd8 ドクロちゃん
009.stcm2 0x16014 「いやー」
009.stcm2 0x1605c 僕のこめかみがぴくりとしますが、ここは耐え
009.stcm2 0x160b4 どころです。
009.stcm2 0x16100 ドクロちゃんはカラダが大人ですが、僕はココ
009.stcm2 0x16158 ロが大人なのですから。
009.stcm2 0x161ac なので、ココロの中だけでキレておきましょう。
009.stcm2 0x16208 【いやー】じゃねえよ！！
009.stcm2 0x162b8 「そんなこと言わないでさ。終わってすぐお風
009.stcm2 0x16310 呂に入れば大丈夫だよ」
009.stcm2 0x16364 今、サバトちゃんがそうしているように。水で
009.stcm2 0x163bc 洗い流せば毒は消えるのですから。なんだった
009.stcm2 0x16414 ら、僕がお風呂で洗ってあげますよ！
009.stcm2 0x16474 ドクロちゃんは黙り込んでいます。
009.stcm2 0x1652c 「ねえちょっと、ドクロちゃん聞いてる？　ア
009.stcm2 0x16584 ナタ天使なんだから、少しくらい人の迷惑とか
009.stcm2 0x165dc 考えようよ」
009.stcm2 0x16740 「うん、ドクロちゃんも一度ベノムちゃんに診
009.stcm2 0x16798 てもらった方が良いよ！　ドクロちゃん絶対ど
009.stcm2 0x167f0 こか悪いしさ！」
009.stcm2 0x16898 「なにが悪いかって、こう、脳のあたりとかさ！
009.stcm2 0x168f4 もうホント、ドクロちゃんは……」
009.stcm2 0x16a58 ドクロちゃん
009.stcm2 0x16a94 「……そんなに、……」
009.stcm2 0x16b40 「え？　なに、ドクロちゃん」
009.stcm2 0x16b9c 小さな声だったのでよく聞こえませんでした。
009.stcm2 0x16bf4 なので、僕は天使の少女に近寄ります。
009.stcm2 0x16d68 ドクロちゃん
009.stcm2 0x16da4 「……そんなに健康診断が好きなら、桜くんが
009.stcm2 0x16dfc 受ければいいでしょ！」
009.stcm2 0x172f0 「ちょ……！　ドクロちゃん、そういう問題じゃ
009.stcm2 0x1734c なぼふぁァッ！！」
009.stcm2 0x176f4 果たして振り下ろされた乱杭歯（らんぐいば）。
009.stcm2 0x17750 やけにとげとげしいバットは、僕にいろいろと
009.stcm2 0x177a8 ぶっちゃけさせてしまいました。
009.stcm2 0x17804 【バギョォッ！】とはエスカリボルグの談。彼
009.stcm2 0x1785c は拳でも形容詞でも語れません。
009.stcm2 0x17938 僕は消え行く意識の中で、文字通り必死に指を
009.stcm2 0x17990 動かしました。僕の指が、ひとつの言葉のライ
009.stcm2 0x179e8 ンをなぞっていきます。
009.stcm2 0x17ab0 そのとき、居間に近づく足音がひとつ。それは
009.stcm2 0x17b08 このむごすぎる光景の唯一の目撃者。
009.stcm2 0x17e2c サバトちゃん
009.stcm2 0x17e68 「桜くん、ありがとうございましたですぅ、サ
009.stcm2 0x17ec0 バトはとって、も……はぁぁぁぁァァァッ！！
009.stcm2 0x17f18 な、なんですぅ、この光景はぁ！？」
009.stcm2 0x17f78 バスタオル姿で現れたサバトちゃんは超びっく
009.stcm2 0x17fd0 り！　これがドッキリだったら大成功レベルの
009.stcm2 0x18028 反応です。
009.stcm2 0x18098 サバトちゃん
009.stcm2 0x180d4 「な、なんか血文字が残ってるですぅ！　え、
009.stcm2 0x1812c ええと【ド・ク・ロ】……？　ド、ドクロちゃ
009.stcm2 0x181cc サバトちゃんは僕のメッセージに気付いてくれ
009.stcm2 0x18224 たようです。
009.stcm2 0x18270 そしてサバトちゃんは、あわてたように周囲を
009.stcm2 0x182c8 見回し、その天使と目を合わせてしまいました。
009.stcm2 0x1835c ドクロちゃん
009.stcm2 0x18398 「見〜た〜な〜〜〜〜〜……」
009.stcm2 0x1841c サバトちゃん
009.stcm2 0x18458 「ああッ！　ドクロちゃんですぅ！！　あ、こ
009.stcm2 0x184b0 の服の切れ端……こ、これは桜くん……！　あ
009.stcm2 0x18508 あーーードクロちゃんがまたやったですぅ！！」
009.stcm2 0x18574 サバトちゃんが僕の身体に近づき、声をかけて
009.stcm2 0x185cc くれます。
009.stcm2 0x1863c サバトちゃん
009.stcm2 0x18678 「桜くん！　桜くん！　しっかりするですぅ！」
009.stcm2 0x186e4 無理言わないでください。
009.stcm2 0x187c0 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
009.stcm2 0x18b24 そのあと、僕はサバトちゃんをアバランチ公園
009.stcm2 0x18b7c まで送っていくことにしました。
009.stcm2 0x18bd8 結局、ドクロちゃんには健康診断をうやむやに
009.stcm2 0x18c30 され、ベノムちゃんも既に帰ってしまったので、
009.stcm2 0x18c8c 僕にはどうすることもできませんでした。
009.stcm2 0x18cf0 もうすぐ今日も終わります。……いえ、日付が
009.stcm2 0x18d48 変わるとかではなく、日没ってその日の終わりっ
009.stcm2 0x18da4 て感じがするじゃないですか。
009.stcm2 0x18e00 僕たちは並んでアバランチ公園への道を進んで
009.stcm2 0x18e58 いきます。
009.stcm2 0x18ea0 隣にいるサバトちゃんはすっかり元気を取り戻
009.stcm2 0x18ef8 していました。ミーミングの毒はすっかり洗い
009.stcm2 0x18f50 流されたようです。
009.stcm2 0x18ff8 「そうだ。サバトちゃんの健康診断の結果は、
009.stcm2 0x19050 どうだったの？」
009.stcm2 0x19228 サバトちゃん
009.stcm2 0x19264 「え……、は、恥ずかしいですぅ」
009.stcm2 0x1931c 「そ、そうなの？　うん、話したくないなら別
009.stcm2 0x19374 にいいんだけどね」
009.stcm2 0x193c4 健康診断の結果って恥ずかしいものなのでしょ
009.stcm2 0x1941c うか。僕にはよくわかりませんでしたが、天使
009.stcm2 0x19474 には恥ずかしいものなのかもしれません。
009.stcm2 0x195bc サバトちゃん
009.stcm2 0x195f8 「えと、その……桜くんにはお世話になってる
009.stcm2 0x19650 ので、特別ですよぉ？」
009.stcm2 0x196fc 「う、うん」
009.stcm2 0x19748 緊張が走ります。もしや、なにか変な病気でも
009.stcm2 0x197a0 あったのでは、と。
009.stcm2 0x198d8 サバトちゃん
009.stcm2 0x19914 「サバトは全体的に健康だけど、栄養失調気味
009.stcm2 0x1996c なんだそうですぅ」
009.stcm2 0x19a14 「そ、それは、すごくサバトちゃんらしい診断
009.stcm2 0x19a6c 結果だね……」
009.stcm2 0x19be0 アバランチ公園に着きました。サバトちゃんの
009.stcm2 0x19c38 家があるので、ここでお別れです。
009.stcm2 0x19cf0 「それじゃあサバトちゃん、またね」
009.stcm2 0x19ed8 サバトちゃん
009.stcm2 0x19f14 「きょ、今日はいろいろごめんなさいですっ！」
009.stcm2 0x19f80 サバトちゃんが勢いよく頭を下げます。サバト
009.stcm2 0x19fd8 ちゃんも真面目な子だから、やっぱり気にして
009.stcm2 0x1a030 たのですね。
009.stcm2 0x1a0d4 「それはいいんだよ。ベノムちゃんも気にして
009.stcm2 0x1a12c なかったみたいだし」
009.stcm2 0x1a268 サバトちゃん
009.stcm2 0x1a2a4 「サバトは桜くんにいつもいつも迷惑ばかりか
009.stcm2 0x1a2fc けて、それなのに桜くんはサバトをいつもいつ
009.stcm2 0x1a354 も助けてくれるんですぅ……」
009.stcm2 0x1a408 「それもいいんだよ。気にしないで？　だって、
009.stcm2 0x1a464 サバトちゃんは友だちだもん。それに、迷惑だ
009.stcm2 0x1a4bc なんて思ってないからさ」
009.stcm2 0x1a5fc サバトちゃん
009.stcm2 0x1a638 「桜くん……」
009.stcm2 0x1a6dc 「じゃあ、そろそろ寒くなってくるし、風邪ひ
009.stcm2 0x1a734 かないようにね」
009.stcm2 0x1a784 公園暮らしのサバトちゃんには、気候が死活問
009.stcm2 0x1a7dc 題に直結してくるのです。
009.stcm2 0x1a834 僕はサバトちゃんに軽く手を振って、アバラン
009.stcm2 0x1a88c チ公園を後にします。
009.stcm2 0x1a9c4 サバトちゃん
009.stcm2 0x1aa00 「本当に、ありがとうですぅ！　桜くんはサバ
009.stcm2 0x1aa58 トの大切なお友だちなんですぅ！」
009.stcm2 0x1ab14 元気なサバトちゃんの声は、僕が見えなくなる
009.stcm2 0x1ab6c まで夕焼け空に響いていました。
010.stcm2 0x21c 第２話　はじまりました
010.stcm2 0x478 それは３日前、木曜日の学校でのことでした。
010.stcm2 0x538 「スポーツフェスティバル？」
010.stcm2 0x718 「ああ。なんかウチの校庭でやるらしいぞ」
010.stcm2 0x780 はじまりは宮本の口から告げられました。
010.stcm2 0x83c 「スポーツねえ……僕は別に」
010.stcm2 0x980 「スポーツっていうか、体力測定みたいなもん
010.stcm2 0x9d8 らしいけどな。ソフトボール投げとか、よくや
010.stcm2 0xa30 るだろ？」
010.stcm2 0xad0 「ふうん、どっちにしても僕には……」
010.stcm2 0xd14 ドクロちゃん
010.stcm2 0xd50 「なにをお話してるの？　あ、桜くんが今朝、
010.stcm2 0xda8 ボクが出た布団のあたたかさを確かめていたっ
010.stcm2 0xe00 ていうウワサだったら本当だよっ？」
010.stcm2 0xeb8 「なッ！！　ち、ちがうよ！？　スポーツフェ
010.stcm2 0xf10 スティバルの話だよ！？　日曜にゲルニカ学園
010.stcm2 0xf68 の校庭でやる……ん、だ」
010.stcm2 0xfdc そのとき、僕は【しまった！】という顔をして
010.stcm2 0x1034 いたことでしょう。
010.stcm2 0x1084 そのくらい自分の犯したミスが大きいものに感
010.stcm2 0x10dc じられたのです。
010.stcm2 0x123c ドクロちゃん
010.stcm2 0x1278 「どうしたの桜くん？　カニシューマイだと思っ
010.stcm2 0x12d4 て食べたらハンバーグだったみたいな顔してる
010.stcm2 0x13c8 「どんな微妙な顔だよそれは！　さすがにカニ
010.stcm2 0x1420 シューマイとハンバーグを見間違えることはな
010.stcm2 0x1478 いよ！？」
010.stcm2 0x14c0 ただ、ニュアンスは伝わってきました。要する
010.stcm2 0x1518 に【ビミョウにしまった！】という顔なのです。
010.stcm2 0x1584 そのものずばり、ドクロちゃんに余計な情報を
010.stcm2 0x15dc 与えてしまったことを悔やむ顔です。
010.stcm2 0x1828 「ドクロちゃんは参加するのか？」
010.stcm2 0x1970 ドクロちゃん
010.stcm2 0x19ac 「うん！　もちろんっ！」
010.stcm2 0x1a04 決定事項！？　ドクロちゃんが参加するという
010.stcm2 0x1a5c ことは僕の参加も決定じゃないですか！
010.stcm2 0x1ac0 そして、僕が悔やんでいるスキに宮本は余計な
010.stcm2 0x1b18 ことを口走ってしまったのです。ああ、なぜで
010.stcm2 0x1b70 すか親友よ！
010.stcm2 0x1c14 「ドクロちゃんちょっとまって？　僕はテクニ
010.stcm2 0x1c6c カルタイムアウトを要求しますっ！」
010.stcm2 0x1ccc 僕は両手で【Ｔ】の形を作って、ドクロちゃん
010.stcm2 0x1d24 に見せました。話が変な方向に行く前に、一度
010.stcm2 0x1d7c 切るのは基本です。
010.stcm2 0x1f74 ドクロちゃん
010.stcm2 0x1fb0 「そりゃーーー！」
010.stcm2 0x2468 「あだだだだ！！　ドクロちゃんドクロちゃん、
010.stcm2 0x24c4 Ｔ、Ｔ！　タイム、タイムだってば！　この手
010.stcm2 0x251c はドクロちゃんにへし折られるためじゃない！」
010.stcm2 0x25b0 ドクロちゃんは、僕の【Ｔ】の指先を関節には
010.stcm2 0x2608 あるまじき方向へ、力いっぱいひねり……あだ
010.stcm2 0x2660 だだだだだ！！
010.stcm2 0x26ac そのままじゃ【Ｐ】の形になっちゃう！
010.stcm2 0x28f0 田辺さん
010.stcm2 0x2928 「あれっ、ドクロちゃん、なにしてるの？」
010.stcm2 0x29e8 「田辺さん！　僕が大変なことになっているの
010.stcm2 0x2a40 はあなたも見ればわかるはず！　そんな【楽し
010.stcm2 0x2a98 そうね、ウフフ】みたいに現れないで！？」
010.stcm2 0x2b00 田辺さんがのんびりと教室に入ってきました。
010.stcm2 0x2b58 僕が苦しむこの光景を前にその反応は、余人に
010.stcm2 0x2bb0 はありえません。
010.stcm2 0x2c00 そこに来てようやく僕の切実な願いが届いたの
010.stcm2 0x2c58 か、ドクロちゃんは手を放してくれました。よ
010.stcm2 0x2cb0 うやくテクニカルタイムアウトです。
010.stcm2 0x2df8 ドクロちゃん
010.stcm2 0x2e34 「えーとねー、桜くんが【スパッツフェスティ
010.stcm2 0x2e8c バル】に参加するって言うからー」
010.stcm2 0x310c 「こらしめていたのね」
010.stcm2 0x3160 南さんも来てしまいました！
010.stcm2 0x3210 「いつからそんな話に！？　しかもスパッツフェ
010.stcm2 0x326c スティバルじゃない！　スポォツ！！」
010.stcm2 0x3480 田辺さん
010.stcm2 0x34b8 「桜くん、スパッツが好きなの？」
010.stcm2 0x3608 「さあ。仮に好きだったとしても、年齢は限ら
010.stcm2 0x3660 れてくるんじゃない？」
010.stcm2 0x370c 「ああ、そしてなぜ南さんが答えるのですか？」
010.stcm2 0x37d0 「僕は嫌いとは言わないけど、そんな変なイベ
010.stcm2 0x3828 ントに参加するほど好きでもないよ？　年齢も
010.stcm2 0x3880 関係ありません！」
010.stcm2 0x3b04 「まあ、それは置いといて、だ。どうすんだス
010.stcm2 0x3b5c ポーツフェスティバル」
010.stcm2 0x3bb0 宮本が話を元に戻してくれました。さっきは余
010.stcm2 0x3c08 計なことを言った彼ですが、今回は救われた形
010.stcm2 0x3c60 になります。
010.stcm2 0x3cac 照れくさいので、心の中だけでお礼を言います。
010.stcm2 0x3d08 サンキュ、宮本。
010.stcm2 0x3d58 ……などと考えているうちに、ドクロちゃんが
010.stcm2 0x3db0 回答を急いでしまいました。
010.stcm2 0x3fe8 ドクロちゃん
010.stcm2 0x4024 「みんなでやろうよ！」
010.stcm2 0x43b0 「ごめんね、わたしと田辺さんは、部活があっ
010.stcm2 0x450c 田辺さん
010.stcm2 0x4544 「うん。本当は参加したいんだけど」
010.stcm2 0x46ac 「それじゃあ仕方ないね、ドクロちゃん僕たち
010.stcm2 0x4704 もやめ……」
010.stcm2 0x4750 僕が勇気をふりしぼって不参加表明をしようと
010.stcm2 0x47a8 した、そのときでした。
010.stcm2 0x49ac 静希ちゃん
010.stcm2 0x49e4 「桜くん、スポーツフェスティバルの話？」
010.stcm2 0x4aa4 「あ、静希ちゃん」
010.stcm2 0x4af4 僕たちの話が聞こえたのでしょう。静希ちゃん
010.stcm2 0x4b4c が話に加わりました。もちろん熱烈歓迎です。
010.stcm2 0x4c9c 静希ちゃん
010.stcm2 0x4cd4 「私も参加するよ。桜くんはしないの？」
010.stcm2 0x4d90 「するよ？　だって、たまには運動しないとね」
010.stcm2 0x4dfc 脳を使わずに反射で答えました。最速の返答は
010.stcm2 0x4e54 僕の脳へ遅れてやってくると、脳内カレンダー
010.stcm2 0x4eac の日曜日に赤いマルをつけました。
010.stcm2 0x4f0c 日曜日はデート、と。……いえ、間違えました。
010.stcm2 0x4f68 スポーツフェスティバル、っと。
010.stcm2 0x51a8 「桜くん、さっき参加しないとか言いかけなかっ
010.stcm2 0x52a0 「そんなことないって」
010.stcm2 0x53e4 「あ、そう」
010.stcm2 0x5430 僕は首がすっぽ抜けるんじゃないかというくら
010.stcm2 0x5488 い強く首を横に振りました。
010.stcm2 0x57dc 田辺さん
010.stcm2 0x5814 「宮本くんは参加するんでしょ？」
010.stcm2 0x595c 「ああ、俺も一応、行くつもりだよ」
010.stcm2 0x5a14 「それで僕に声をかけたのか」
010.stcm2 0x5b9c 「ああ。……でもなんか、このスポーツフェス
010.stcm2 0x5bf4 ティバル自体が急に決まったみたいでよ。俺も
010.stcm2 0x5c4c 昨日まで知らなかったんだ」
010.stcm2 0x5d60 田辺さん
010.stcm2 0x5d98 「あー、私も昨日知った」
010.stcm2 0x5fd0 「わたしも」
010.stcm2 0x6074 「ふーん、なんでそんなイベントが急に決まる
010.stcm2 0x60cc んだろ」
010.stcm2 0x6114 考えてみたら変な話です。学校の校庭を借りて
010.stcm2 0x616c 開催される地域のイベントがいきなり決定する
010.stcm2 0x61c4 ものでしょうか？
010.stcm2 0x644c 静希ちゃん
010.stcm2 0x6484 「私も部活があったんだけど、中止になったの。
010.stcm2 0x64e0 だから参加しようかなって」
010.stcm2 0x6590 「そういや、スポーツフェスティバルで校庭使
010.stcm2 0x65e8 うみたいだからね。陸上部の中止もこれのせい
010.stcm2 0x6640 なのかな」
010.stcm2 0x6838 田辺さん
010.stcm2 0x6870 「間を取って、きっと桜くんのせいね」
010.stcm2 0x692c 「全然、間を取ってないし、取る意味もわから
010.stcm2 0x6984 ないですよ？」
010.stcm2 0x6d94 広がる晴天の下、多くの人が一堂に会します。
010.stcm2 0x6dfc 日曜日を迎えて、開かれるのは街のスポーツフェ
010.stcm2 0x6e58 スティバル。ゲルニカ学園を会場に、さまざま
010.stcm2 0x6eb0 な競技が準備されています。
010.stcm2 0x6f08 僕はそれを見回してつぶやきました。
010.stcm2 0x6fc0 「うわぁ、ホントにやるんだなあ」
010.stcm2 0x71a4 「当たり前だろ、なに言ってるんだよ」
010.stcm2 0x7260 宮本はさておき、誰が聞いても僕のつぶやきは、
010.stcm2 0x72bc もっともなことに聞こえるでしょう。
010.stcm2 0x731c 地域のイベントであるはずの、このフェスティ
010.stcm2 0x7374 バルの開催がほんの数日前に決定されたことな
010.stcm2 0x73cc のですから。
010.stcm2 0x7418 いったい、どんな計画性なのでしょうか。町内
010.stcm2 0x7470 会とかその辺の人をちょっと問い詰めたい気分
010.stcm2 0x74c8 で一杯です。
010.stcm2 0x7514 結局、静希ちゃんが参加するなら僕が見て見ぬ
010.stcm2 0x756c ふりをするわけにもいかないので、今日の参加
010.stcm2 0x75c4 を約束したわけです。
010.stcm2 0x7618 ドクロちゃんも参加しないはずがなく、仕方が
010.stcm2 0x7670 ないので、ザクロちゃんとサバトちゃんも誘っ
010.stcm2 0x76c8 て、みんなで参加することにしました。
010.stcm2 0x772c 天使の参加まで認めてくれるなんて、ほんと心
010.stcm2 0x7784 の広い街ですね、この街は。
010.stcm2 0x7964 ドクロちゃん
010.stcm2 0x79a0 「桜くん、おまたせっ」
010.stcm2 0x7be4 ザクロちゃん
010.stcm2 0x7c20 「桜さん、あの、……おまたせしました」
010.stcm2 0x7cdc 「ザ、ザクロちゃん……？」
010.stcm2 0x7d34 ドクロちゃんと一緒に現れたのは、ゲルニカ学
010.stcm2 0x7d8c 園指定の体操着に身を包んだザクロちゃん。彼
010.stcm2 0x7de4 女は９歳でありながら、その外見は１９歳。
010.stcm2 0x7e4c そんなザクロちゃんに似合うゲルニカ学園の体
010.stcm2 0x7ea4 操着は、９歳にも１９歳にも似合うということ
010.stcm2 0x7efc じゃないですか。
010.stcm2 0x7f4c ……ゲルニカの体操着は化け物ですか。
010.stcm2 0x80e8 そう、ザクロちゃんが身を包んだ体操着。白く、
010.stcm2 0x8144 やわらかく、それは輝きに満ちています。
010.stcm2 0x823c それは彼女の持つ純真な心と相まって、見てい
010.stcm2 0x8294 るだけで包まれるような、白さとやわらかさ。
010.stcm2 0x8410 ……柔軟剤も、使ってるんだろ！？　つ、使っ
010.stcm2 0x8468 てないっすよ！
010.stcm2 0x8534 いつもの軍服も白いのですが、あちらはパリッ
010.stcm2 0x858c と、こちらの体操着はふわっと、彼女の身体を
010.stcm2 0x85e4 包みます。
010.stcm2 0x8764 ザクロちゃん
010.stcm2 0x87a0 「桜さん……あまり見つめられると、恥ずかし
010.stcm2 0x87f8 いです（もじもじ）」
010.stcm2 0x88a4 「あ、ごめんなさい！　そ、そんなに見てまし
010.stcm2 0x88fc たか？　もうしません！」
010.stcm2 0x8b10 僕はドクロちゃんに視線を移しました。
010.stcm2 0x8d90 姉であるドクロちゃんも、だらしなく着た体操
010.stcm2 0x8de8 着が、なんともあばれん坊な彼女のカラダのラ
010.stcm2 0x8e40 インを際立たせています。
010.stcm2 0x8f40 そして彼女がワンポイントとして構えたエスカ
010.stcm2 0x8f98 リボルグ。それはすべて砕く鋼鉄。そのトゲト
010.stcm2 0x8ff0 ゲしさがドクロちゃんの曲線とマッチして……。
010.stcm2 0x9144 ちがいます！　なんでエスカリボルグを構えて
010.stcm2 0x919c いるんですか！
010.stcm2 0x9518 「ちょ、ちょっ、エスカリボル……ッグゥッ！」
010.stcm2 0x9604 僕は大急ぎで首を横に倒します。【あれ？】っ
010.stcm2 0x965c てかわいらしくコクビをかしげるポーズです。
010.stcm2 0x97b0 それに遅れることまばたき１回分の時間、その
010.stcm2 0x9808 殺生な一撃が僕の顔すれすれを通過しました。
010.stcm2 0x9860 首を倒さなければ命中してたところです。
010.stcm2 0x9904 ドクロちゃんにしてみれば【ほら、これ桜くん
010.stcm2 0x995c に似合うかも】と僕に差し出してくるような軽
010.stcm2 0x99b4 さでも、鋼鉄バットを受ければ僕は死ぬのです。
010.stcm2 0x9b80 ドクロちゃんはなおも構えを解きません。僕は
010.stcm2 0x9bd8 中腰になると、ドクロちゃんの挙動をひとつも
010.stcm2 0x9c30 見逃さないつもりで視線を固定しました。
010.stcm2 0x9d7c ドクロちゃん
010.stcm2 0x9db8 「桜くん……あんまり見つめられると、恥ずか
010.stcm2 0x9e10 しいよっ（もじもじ）」
010.stcm2 0xa194 「見るよ、そりゃ！　だって、しっかり見なきゃ
010.stcm2 0xa1f0 かわせないでしょ！　だか……ッァあぶねッ！！
010.stcm2 0xa24c （ギャリリッ！！）」
010.stcm2 0xa504 次は足元が丸ごとエスカリボルグになぎ払われ
010.stcm2 0xa55c ました。僕は小さいジャンプで後退しながらか
010.stcm2 0xa5b4 わすと、そのまま距離を取りました。
010.stcm2 0xa614 ザクロちゃんに見とれていたのがいけないので
010.stcm2 0xa66c すかッ！？　【君に妹はやれん】というワケで
010.stcm2 0xa6c4 すかッ！？　そ、そんなつもりはッ！
010.stcm2 0xa884 にらみ合ったまま、ジリジリとお互いの間合い
010.stcm2 0xa8dc を計る僕とドクロちゃん。
010.stcm2 0xa934 よく家族で遊園地とかに行って、はしゃいでし
010.stcm2 0xa98c まった兄弟がおちいったりしそうな状況です。
010.stcm2 0xa9f4 そんな一見ほほえましいけど、命がかかったピ
010.stcm2 0xaa4c ンチを救ったのは、僕の幼なじみでした。
010.stcm2 0xacbc 静希ちゃん
010.stcm2 0xacf4 「おはよう、桜くん、ドクロちゃん。あ、ザク
010.stcm2 0xad4c ロちゃんも」
010.stcm2 0xaf88 サバトちゃん
010.stcm2 0xafc4 「おはようございますぅ」
010.stcm2 0xb074 「し、静希ちゃん……！」
010.stcm2 0xb0cc 静希ちゃんとサバトちゃんがやってきました。
010.stcm2 0xb124 ２人とも、既に体操着を着ています。
010.stcm2 0xb184 すっごく似合っているじゃないですか！
010.stcm2 0xb4d8 静希ちゃんの体操着姿は見慣れていますが、そ
010.stcm2 0xb530 れでも、日に日に美しくなる静希ちゃんのコト。
010.stcm2 0xb58c 見るたびに、僕の中の日本新記録を更新します！
010.stcm2 0xb9ac 視線移して、サバトちゃん。彼女の体操着姿は
010.stcm2 0xba04 なかなかお目にかかれるものではありません。
010.stcm2 0xba5c こ、これはこれで……！
010.stcm2 0xbab0 半ば忘れていましたが、サバトちゃんは体操着
010.stcm2 0xbb08 を持っていないので、静希ちゃんにサバトちゃ
010.stcm2 0xbb60 んのことを事前に頼んだのでした。
010.stcm2 0xbcd4 つまり、サバトちゃんが着ている体操着は静希
010.stcm2 0xbd2c ちゃんの……ッ？
010.stcm2 0xbdfc ああっ、僕は今モーレツにサバトちゃんになり
010.stcm2 0xbe54 たいっ！
010.stcm2 0xc250 サバトちゃん
010.stcm2 0xc28c 「さ、桜くん、どうしたんですぅ！？　桜くん
010.stcm2 0xc2e4 のカラダから、黄色くてよくわからない、粉っ
010.stcm2 0xc33c ぽいものが出てきてますぅ！！」
010.stcm2 0xc4d0 「ああごめん、花粉かな？　サバトちゃんは花
010.stcm2 0xc528 粉症？」
010.stcm2 0xc698 サバトちゃん
010.stcm2 0xc6d4 「ちがいますけど、ダメですぅ！」
010.stcm2 0xccec ずぱんッ！　ずぱぱぱぱぱぱぱぱぱッ！！
010.stcm2 0xcdf4 サバトちゃんがドゥリンダルテを振り回して、
010.stcm2 0xce4c 今にも風に乗っていきそうな粉を焼き払ってく
010.stcm2 0xcea4 れます。
010.stcm2 0xd3d8 青白いスパークに焼き切られ、こげたニオイと
010.stcm2 0xd430 共に役目を終えていく、僕花粉。さようなら、
010.stcm2 0xd488 みんな。
010.stcm2 0xd4d0 そうしているうちに、ソレは止みました。
010.stcm2 0xd678 「はッ！　僕はなにを生み出そうと……？」
010.stcm2 0xd868 サバトちゃん
010.stcm2 0xd8a4 「全部、焼き払ったですぅ！」
010.stcm2 0xd900 僕がサバトちゃんに助けてもらったそのころ、
010.stcm2 0xd958 静希ちゃんも、ついっと１歩進み出て僕に声を
010.stcm2 0xd9b0 かけます。
010.stcm2 0xdbdc 静希ちゃん
010.stcm2 0xdc14 「それでね、桜くん……」
010.stcm2 0xdcac なにやら、静希ちゃんが言いにくそうに言葉を
010.stcm2 0xdd04 詰まらせました。ええと、なんでも言って？
010.stcm2 0xdf68 ベノムちゃん
010.stcm2 0xdfa4 「おはようございますッ！」
010.stcm2 0xe054 「な、なぁッ！？」
010.stcm2 0xe294 ザクロちゃん
010.stcm2 0xe2d0 「ベ、ベノムさん！？」
010.stcm2 0xe34c 静希ちゃんの後ろからひょこっと現れたのは、
010.stcm2 0xe3a4 同じく体操着に全身をくるまれたベノムちゃん
010.stcm2 0xe3fc でした。
010.stcm2 0xe444 先週、ドクロちゃんの診断をとりあえず先送り
010.stcm2 0xe49c にして帰っていった彼女が、再び僕らの元に！？
010.stcm2 0xe624 「ベ、ベノムちゃん、どうしてここに！？」
010.stcm2 0xe68c 目の前にいるのはまぎれもなくベノムちゃん。
010.stcm2 0xe6e4 その手を毒手と化した、恐るべき天使ちゃんで
010.stcm2 0xe9bc 「そうだ、ドクロちゃん。せっかくベノムちゃ
010.stcm2 0xea14 んが来てくれたんだから、今度こそ健康診断を
010.stcm2 0xea6c 受けよう？」
010.stcm2 0xeab8 僕はドクロちゃんを逃がしたらどうなるかを、
010.stcm2 0xeb10 先週イヤというほど知りました。
010.stcm2 0xeb6c つまり、ドクロちゃんが逃げ出してしまった時
010.stcm2 0xebc4 点で負けなのです。なので、僕は今この時点に
010.stcm2 0xec1c 全精力を注ぎ込んでいるわけです。
010.stcm2 0xed64 ドクロちゃん
010.stcm2 0xeda0 「なんども言わせないで？」
010.stcm2 0xee50 「やり手の美人上司みたいに拒否された！　し
010.stcm2 0xeea8 かもよく考えると、主張してることは全然かっ
010.stcm2 0xef00 こよくない！」
010.stcm2 0xf130 ベノムちゃん
010.stcm2 0xf16c 「桜殿、良いのです。今日は……」
010.stcm2 0xf224 「良くないよベノムちゃん。ここで逃がしたら、
010.stcm2 0xf280 大変なことになる！　今日という今日は逃がし
010.stcm2 0xf2d8 ちゃダメだよ！」
010.stcm2 0xf534 ドクロちゃん
010.stcm2 0xf570 「いやなものはいやだもんっ！！　どうして桜
010.stcm2 0xf5c8 くんはわかってくれないのっ！？」
010.stcm2 0xf628 僕はドクロちゃんにつかみかかり、声を荒げま
010.stcm2 0xfbdc 「それがわがままだって言ってるんでしょ！
010.stcm2 0xfc34 さあ、ドクロちゃん！　はやく健康診断を受け
010.stcm2 0xfc8c てしまぶわぁァッ！！」
010.stcm2 0x10174 ドクロちゃんの肩をつかんだ僕を振り払ったの
010.stcm2 0x101cc は、ドクロちゃんの手ではなく、エスカリボル
010.stcm2 0x102ec 【ビジャァァァァァァ……！】と盛大な音とと
010.stcm2 0x10344 もに僕が跳ね飛ばされました。僕の生命は再三
010.stcm2 0x1039c 再四そうしているように、大地へと還りました。
010.stcm2 0x10590 ザクロちゃん
010.stcm2 0x105cc 「いけない……！」
010.stcm2 0x1109c ばしゅるるるッ！　ばしゅるるるッ！
010.stcm2 0x11310 ギャラリーの輪の中に飛び込みそうになった
010.stcm2 0x11368 僕のカラダをはじいていくのはオレンジの閃光。
010.stcm2 0x113c4 ザクロちゃんのエッケルザクスです。
010.stcm2 0x11700 僕が周囲の人の心の傷にならないように、尽力
010.stcm2 0x11758 してくれているのです！　ああ、でも……もう
010.stcm2 0x117b0 少しやさしく……ッ！（お願い！）
010.stcm2 0x1186c そして、地面に降ろされる僕。地面には赤い染
010.stcm2 0x118c4 みが広がっていきます。それはまぎれもない、
010.stcm2 0x1191c 僕が存在したことの証。
010.stcm2 0x11af8 ベノムちゃん
010.stcm2 0x11b34 「さ、桜殿ォォォッ！？」
010.stcm2 0x11c0c ベノムちゃんが僕に近寄ります。その手を僕の
010.stcm2 0x11c64 カラダに伸ばし、
010.stcm2 0x11da0 ……あ、だめ触っちゃ！　触っちゃイヤなの！
010.stcm2 0x11df8 もうすぐ生き返るから、黄色い線の内側でおま
010.stcm2 0x11e50 ちください！
010.stcm2 0x11f48 ……おや？　一向にいつもの魔法の波動が感じ
010.stcm2 0x11fa0 られません。
010.stcm2 0x11fec まだですか？　……え？　まさか、生き返らせ
010.stcm2 0x12044 ないご予定ですか！？　そ、そんなのって！！
010.stcm2 0x1234c ザクロちゃん
010.stcm2 0x12388 「おねえさまッ！」
010.stcm2 0x12434 その声が高らかに清々しい空に響くと、どこか
010.stcm2 0x1248c らともなく、
010.stcm2 0x12528 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
010.stcm2 0x1279c マジカルな光に照らされて、僕の身体は急速に
010.stcm2 0x127f4 電源ＯＮ、その光の中で僕は命を叫びます。
010.stcm2 0x1285c 生きてるってすばらしい、と。
010.stcm2 0x129b8 「ドクロちゃんはどこ……？」
010.stcm2 0x12a14 よみがえった僕の第一声はそんな言葉でした。
010.stcm2 0x12a6c どこを見回しても加害者がいないからです。
010.stcm2 0x12ad4 なぜ姿がないのでしょう。アリバイでもつくり
010.stcm2 0x12b2c に行ったのでしょうか？
010.stcm2 0x12d08 ベノムちゃん
010.stcm2 0x12d44 「ドクロ殿……やはりまだ……」
010.stcm2 0x12da0 ベノムちゃん……！　僕はベノムちゃんを見て、
010.stcm2 0x12dfc ナゾがすべて解けました！
010.stcm2 0x12e54 そうです。ドクロちゃんは撲殺の混乱に乗じて、
010.stcm2 0x12eb0 ベノムちゃんから逃げたのです。彼女は逃げて
010.stcm2 0x12f08 しまったのでしょうか。
010.stcm2 0x12f5c しかも、生き返らせる前にあった間が気になり
010.stcm2 0x12fb4 ます。あれがなんだったのかも、僕にはわかり
010.stcm2 0x1300c ません。
010.stcm2 0x130b0 そんなことを考えていると、ザクロちゃんに連
010.stcm2 0x13108 れられたドクロちゃんが姿を現します。
010.stcm2 0x13454 ザクロちゃん
010.stcm2 0x13490 「さ、おねえさま」
010.stcm2 0x134e0 それはまるでお母さんに連れられて、ケンカし
010.stcm2 0x13538 たお友だちの家にあやまりにきた女の子のよう
010.stcm2 0x13590 でした。
010.stcm2 0x136f4 「……ドクロちゃん、動機は？　健康診断を無
010.stcm2 0x1374c 理にすすめたから撲殺したの？　言ってみて？
010.stcm2 0x137a4 ……僕、怒らないから」
010.stcm2 0x137f8 ためらいがちに、それでいてしっかりとした声
010.stcm2 0x13850 で、その言葉はドクロちゃんのかわいいお口に
010.stcm2 0x138a8 よって発せられました。
010.stcm2 0x13a00 ドクロちゃん
010.stcm2 0x13a3c 「ボク、【こうなった桜くんはナニをするかわ
010.stcm2 0x13a94 かったものじゃない】って思って」
010.stcm2 0x13b74 「僕がいったいどうなったの？　むしろそれを
010.stcm2 0x13bcc 知りたいよ！」
010.stcm2 0x13d00 ドクロちゃん
010.stcm2 0x13d3c 「そう言えば、さっきの【桜くんミジン隠れ】
010.stcm2 0x13d94 みたいだったねっ」
010.stcm2 0x13e3c 「僕ミジン！？　僕をコッパミジンにすること
010.stcm2 0x13e94 でドクロちゃんは隠れるの！？　聞いたことな
010.stcm2 0x13eec いワザでごまかさないで！」
010.stcm2 0x14028 ドクロちゃん
010.stcm2 0x14064 「ちょーカッコイーーーー！！」
010.stcm2 0x14118 「かっこよくないよ！　逃げるなら普通に逃げ
010.stcm2 0x14170 なよ、自分の実力で！」
010.stcm2 0x142c8 チャキリ――！
010.stcm2 0x1436c 「……ちがう！　実力行使じゃない！　バット
010.stcm2 0x143c4 は片づけて！」
010.stcm2 0x14628 ザクロちゃん
010.stcm2 0x14664 「おねえさま、あまり周囲の方々のご迷惑にな
010.stcm2 0x146bc らないように……」
010.stcm2 0x147f0 ドクロちゃん
010.stcm2 0x1482c 「はーい！」
010.stcm2 0x148d0 「ホント、返事ばっかりなんだから……」
010.stcm2 0x14974 でも、ザクロちゃんは僕の味方をしてくれるよ
010.stcm2 0x149cc うです。とても心強いではありませんか。
010.stcm2 0x14c6c 「おい、この前ちらっと見たような気がするが、
010.stcm2 0x14cc8 あの子は誰だ？」
010.stcm2 0x14d18 宮本の視線はベノムちゃんに向いていました。
010.stcm2 0x14dd8 「ああ、そうか。宮本にはちゃんと紹介してな
010.stcm2 0x14e30 かったよな。あの子は天使のベノムちゃんだ」
010.stcm2 0x14f84 「天使？　ってことは、ドクロちゃんの知り合
010.stcm2 0x14fdc いかなにかなのか？」
010.stcm2 0x15088 「知り合いではないみたいだけど、ベノムちゃ
010.stcm2 0x150e0 んはドクロちゃんの健康診断をするために、やっ
010.stcm2 0x1513c て来たんだってさ」
010.stcm2 0x15274 「へえ、なんか大変そうだな。まあ、よろしく
010.stcm2 0x152cc な、ベノムちゃん。俺は宮本っていうんだ」
010.stcm2 0x15334 宮本がベノムちゃんに近づきながら、話しかけ
010.stcm2 0x1538c ます。ベノムちゃんは宮本を正面に見据えて、
010.stcm2 0x155e0 ベノムちゃん
010.stcm2 0x1561c 「は、桜殿のご学友の宮本殿ですね。よろしく
010.stcm2 0x15674 お願いいたします」
010.stcm2 0x156c4 そんな挨拶が済むころ、タイミングを見計らっ
010.stcm2 0x1571c ていたようにザクロちゃんが近づいてきました。
010.stcm2 0x15968 ザクロちゃん
010.stcm2 0x159a4 「ベノムさん、先ほどはお騒がせして申し訳あ
010.stcm2 0x159fc りません。いつ、こちらへいらっしゃったので
010.stcm2 0x15a54 すか？」
010.stcm2 0x15b84 ベノムちゃん
010.stcm2 0x15bc0 「いえ。今、自分は静希殿の家にご厄介になっ
010.stcm2 0x15c18 ているであります」
010.stcm2 0x15cc0 「なんですと！？（静希ちゃんの方を振り返り
010.stcm2 0x15d18 つつ）」
010.stcm2 0x15e18 ご厄介ってことは、その……つまり、ご厄介に
010.stcm2 0x15e70 なっているってことじゃないですか！！
010.stcm2 0x16084 静希ちゃん
010.stcm2 0x160bc 「う、うん。なんかね、困っていたから……」
010.stcm2 0x16124 僕も困ろうかと本気で思ってしまいました。そ
010.stcm2 0x1617c う、困れば静希ちゃんのおうちのご厄介に……
010.stcm2 0x161d4 （ごくり）。
010.stcm2 0x164d8 「な、なんで？　どうして？　ベノムちゃんは
010.stcm2 0x16530 ドクロちゃんと一緒にいた方がいいんでしょ？」
010.stcm2 0x16758 「だったらベノムちゃんが僕の家に来て、代わ
010.stcm2 0x167b0 りに僕が静希ちゃんのおうちにご厄介になった
010.stcm2 0x16808 方がいいのに！」
010.stcm2 0x16d70 「そ、そうだよ！　ベノムちゃんは僕の部屋を
010.stcm2 0x16dc8 使いなよ。エンリョなさらずに。僕ならいつで
010.stcm2 0x16e20 もいいよ？　ね？　なんでもしますかぼァッ！」
010.stcm2 0x17004 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
010.stcm2 0x1705c これが、大きな計画のはじまり。
010.stcm2 0x170b8 ――これはその流れの中で一組の姉妹が織りな
010.stcm2 0x17110 す、愛と挑戦の物語。
010.stcm2 0x174c0 朝からヒドイ目にあいました。しかも２回連続
010.stcm2 0x17518 ですよ、２回連続。今からこれでは今日という
010.stcm2 0x17570 日の先が思いやられます。
010.stcm2 0x175c8 ベノムちゃんとはち合わせてしまったとは言え、
010.stcm2 0x17624 ドクロちゃんは楽しそうなのです。
010.stcm2 0x17684 僕はドクロちゃんがウキウキのときに、ロクな
010.stcm2 0x176dc 目にあったことがありません。
010.stcm2 0x17790 「はぁ……」
010.stcm2 0x177dc あ、幸せがひとつ逃げていきました。
010.stcm2 0x179c4 サバトちゃん
010.stcm2 0x17a00 「桜くん、どうしたんですかぁ？」
010.stcm2 0x17ab8 「サバトちゃん……。ベノムちゃんがいるとい
010.stcm2 0x17b10 うことは、また先週みたいなことになるのかな
010.stcm2 0x17b68 あ、と思ってさ」
010.stcm2 0x17c78 それを聞いて、サバトちゃんの表情もくもりま
010.stcm2 0x17d14 サバトちゃんもまた、そのときの光景や自分が
010.stcm2 0x17d6c 受けた仕打ちを思い出しているにちがいありま
010.stcm2 0x17ef0 サバトちゃん
010.stcm2 0x17f2c 「ドクロちゃんが健康診断を受けるまで
010.stcm2 0x17f80 続きそうですぅ」
010.stcm2 0x18028 「うん。ベノムちゃんもこの街に残ってまで、
010.stcm2 0x18080 ドクロちゃんの健康診断しようとしてるんだも
010.stcm2 0x180d8 んね……」
010.stcm2 0x18120 まるで、お互いゆずれない一線がそこにあると
010.stcm2 0x18178 でも言わんばかりです。
010.stcm2 0x181cc ドクロちゃんがおとなしく健康診断を受けるべ
010.stcm2 0x18224 きなのは、言うまでもないのですが。
010.stcm2 0x1836c サバトちゃん
010.stcm2 0x183a8 「うう……かなりむずかしいですぅ」
010.stcm2 0x18460 「そうなんだよね……」
010.stcm2 0x186c0 「その時ザンスー！　ミィのキャメラがみんな
010.stcm2 0x18718 の思い出を捉えるのはぁぁぁッ！！」
010.stcm2 0x187d0 「人が真剣に悩んでいるというのにッ！」
010.stcm2 0x18834 【空気を読まない天使ランキング】でドクロちゃ
010.stcm2 0x18890 んに並ぶ天使が現れました。
010.stcm2 0x188e8 このザンスの変態性を考えれば、この場に現れ
010.stcm2 0x18940 ることも想定すべきでした。だって、今ゲルニ
010.stcm2 0x18998 カ学園の校庭はこんなにも体操着！
010.stcm2 0x189f8 僕はザンスに近づいて、そのお化けみたいなカ
010.stcm2 0x18a50 メラを奪い取ります。
010.stcm2 0x18e20 「ああッ！？　桜くん、ミィのカメラをどうす
010.stcm2 0x18e78 るつもりザンス！？」
010.stcm2 0x18f40 「こうするつもりです」
010.stcm2 0x191c4 かしゃー！　かしゃー！
010.stcm2 0x193f8 「ああっ、桜くんご乱心！？　そんな地面をアッ
010.stcm2 0x19454 プで撮っても、なにも写らないザンス！！」
010.stcm2 0x1971c 「１つ撮っては父のため！　２つ撮っては母の
010.stcm2 0x19774 ため！　３つ撮っては世のため人のためだッ！」
010.stcm2 0x199e8 僕はなおも　【かしゃー！　かしゃー！】　と
010.stcm2 0x19a40 地面に向けてシャッターを切り続けます。
010.stcm2 0x19aa4 この指が力尽きるまで、僕は地面を報道するこ
010.stcm2 0x19afc とを誓います！
010.stcm2 0x19e40 「ノォォォォッ！！　フィルムッ！　フィルム
010.stcm2 0x19e98 がなくなっちゃうザンス！」
010.stcm2 0x19f64 「なくなりました」
010.stcm2 0x19fb4 僕はそのカメラを、ザンスの手にぽんと置いて
010.stcm2 0x1a00c やりました。弾が切れた銃は怖くありません。
010.stcm2 0x1a2bc 「ぐはぁッ！　は、はやいッ！？　しかもゴリ
010.stcm2 0x1a314 ンジュウみたいに言われたザンス！」
010.stcm2 0x1a3cc 「くだらないことしかしないんだから……」
010.stcm2 0x1a434 ザンスには百害あって一利くらいしかありませ
010.stcm2 0x1a48c ん。呼んだとき以外は来ないでほしいものです。
010.stcm2 0x1a550 さて、そんな変態はほっといて。
010.stcm2 0x1a604 「あれ……ベノムちゃんがいない」
010.stcm2 0x1a7ec サバトちゃん
010.stcm2 0x1a828 「そう言えばそうですぅ」
010.stcm2 0x1a8dc 見回すと、並んで話しているのがドクロちゃん
010.stcm2 0x1a934 とザクロちゃん。
010.stcm2 0x1a984 ちょっと離れて、静希ちゃんとサバトちゃん。
010.stcm2 0x1a9dc ……やはり、ベノムちゃんの姿がありません。
010.stcm2 0x1aa44 ベノムちゃんの目的はドクロちゃんの健康診断
010.stcm2 0x1aa9c のはず。それなら姿を隠す理由はないはず。
010.stcm2 0x1ab04 それとも姿を隠して、ドクロちゃんが油断した
010.stcm2 0x1ab5c ところを一気に健康診断するつもりだとか……？
010.stcm2 0x1ad50 静希ちゃん
010.stcm2 0x1ad88 「桜くん、ベノムちゃんをさがしてるの？」
010.stcm2 0x1ae48 「……うん。姿が見えないから、どこ行ったの
010.stcm2 0x1aea0 かな、って」
010.stcm2 0x1aeec いけません。つい、返事をしてしまいましたが、
010.stcm2 0x1af48 他の女の子をさがしていることを、静希ちゃん
010.stcm2 0x1afa0 に知られてしまいました。
010.stcm2 0x1aff8 ちがうんだ静希ちゃん！　誤解なんだよ！
010.stcm2 0x1b144 静希ちゃん
010.stcm2 0x1b17c 「さっき、救護員席に行くって言ってたけど」
010.stcm2 0x1b23c 「え？　ベノムちゃん、ケガでもしたの？」
010.stcm2 0x1b38c 静希ちゃん
010.stcm2 0x1b3c4 「ううん、ちがうみたい。よく知らないけど」
010.stcm2 0x1b42c 静希ちゃんはかわいらしく首を振りました。そ
010.stcm2 0x1b484 れもそうです。まだなんの競技もはじまってい
010.stcm2 0x1b4dc ないのにケガなんかしません。……僕以外は。
010.stcm2 0x1b59c 「なんだろう、ちょっと見てくるね」
010.stcm2 0x1b6e4 静希ちゃん
010.stcm2 0x1b71c 「うん、私も一緒に行っていい？」
010.stcm2 0x1b7d4 「ぜひ！」
010.stcm2 0x1b974 「ベノムちゃん……なにやってんの？」
010.stcm2 0x1bbe8 ベノムちゃん
010.stcm2 0x1bc24 「これは、桜殿。なにかおケガでもなさったの
010.stcm2 0x1bc7c ですか？」
010.stcm2 0x1bcc4 ベノムちゃんは確かにそこにいました。
010.stcm2 0x1bd18 威風堂々と座る姿は、ケガ人のそれではなく、
010.stcm2 0x1bd80 ……まるで、救護員のようでした。
010.stcm2 0x1be38 「いや、僕はケガもないし、つつがなく健康で
010.stcm2 0x1be90 す。それよりベノムちゃんはまさか……救護員
010.stcm2 0x1bee8 やってるの？」
010.stcm2 0x1bf5c ベノムちゃん
010.stcm2 0x1bf98 「はっ、その通りであります！」
010.stcm2 0x1c068 「やっちまった！」
010.stcm2 0x1c0e0 今度はそうきましたか。ベノムちゃんの立派す
010.stcm2 0x1c138 ぎる毒牙……いえ、毒手に今度は一般の人も巻
010.stcm2 0x1c190 き込まれかねません。
010.stcm2 0x1c1e4 これはマズイ……ほんとにマズイですよ！
010.stcm2 0x1c450 静希ちゃん
010.stcm2 0x1c488 「桜くん、ベノムちゃんが救護員って……」
010.stcm2 0x1c548 「うん……静希ちゃんが考えている通りのこと
010.stcm2 0x1c5a0 が起こるよ」
010.stcm2 0x1c7d8 ベノムちゃん
010.stcm2 0x1c814 「これが自分の職務であります！　万が一、お
010.stcm2 0x1c86c ケガをなさったら、いつでもお呼びください！」
010.stcm2 0x1c8d8 僕たちの心配をよそに、ベノムちゃんはやる気
010.stcm2 0x1c930 マンマンです。
010.stcm2 0x1c9d4 「みんな、ケガはダメだよ！　ケガはなんにも
010.stcm2 0x1ca2c ならないからね！！」
010.stcm2 0x1ca80 僕は精一杯、誰にともなく呼びかけました。
010.stcm2 0x1cad8 すると、ベノムちゃんは僕にだけ聞こえるよう
010.stcm2 0x1cb30 に小さな声で話しかけてきました。
010.stcm2 0x1cd3c ベノムちゃん
010.stcm2 0x1cd78 「……それと、桜殿のお耳に入れておきたいこ
010.stcm2 0x1cdd0 とがあるであります」
010.stcm2 0x1ce7c 「僕に？　またドクロちゃんのこと？」
010.stcm2 0x1cee0 ベノムちゃんはうなずきます。
010.stcm2 0x1d024 ベノムちゃん
010.stcm2 0x1d060 「……実は、このスポーツフェスティバルは自
010.stcm2 0x1d0b8 分が開催したのでありますよ」
010.stcm2 0x1d16c 「えッ！？　ウソッ！？」
010.stcm2 0x1d1c4 にわかには信じがたい話ですが、僕には信じる
010.stcm2 0x1d21c に値する情報があるではないですか。
010.stcm2 0x1d27c このフェスティバルの開催は急すぎると、みん
010.stcm2 0x1d2d4 な気にしていたのですから。
010.stcm2 0x1d32c ベノムちゃんはその目をキラリと輝かせて話を
010.stcm2 0x1d384 続けます。
010.stcm2 0x1d4b4 ベノムちゃん
010.stcm2 0x1d4f0 「本当であります。ドクロ殿が健康診断を受け
010.stcm2 0x1d548 てくださらないのであれば、客観的に観察でき
010.stcm2 0x1d5a0 る機会を持とうと思ったのであります」
010.stcm2 0x1d65c 「そ、それでスポーツフェスティバルを？　運
010.stcm2 0x1d6b4 動能力の計測とかで情報を集めるの？」
010.stcm2 0x1d800 ベノムちゃん
010.stcm2 0x1d83c 「はい。そこは、ぬかりなく」
010.stcm2 0x1d898 すごいことを考えたものです。そのために街の
010.stcm2 0x1d8f0 イベントを開催してしまうなんて。
010.stcm2 0x1d950 ……あれ？　そう言えば、どうしてそんなこと
010.stcm2 0x1d9a8 ができるのでしょうか。
010.stcm2 0x1d9fc ベノムちゃんは天使ですが町内会の役員でもな
010.stcm2 0x1da54 ければ、ここの住人ですらありません。
010.stcm2 0x1dab8 責めてるわけじゃないですが、ベノムちゃんは
010.stcm2 0x1db10 静希ちゃんのおうちの居候にすぎないのです。
010.stcm2 0x1dbd0 「でも、どうやってこんなフェスティバルを開
010.stcm2 0x1dc28 催できたの……？　なにかコネとかツテみたい
010.stcm2 0x1dc80 なものでもあった？」
010.stcm2 0x1ddd8 ベノムちゃん
010.stcm2 0x1de14 「歯の神経とは、」
010.stcm2 0x1dee4 「拷問はもういいです！　もう聞きませんから
010.stcm2 0x1df3c 伏せといてください！　誰にナニやったのかも！
010.stcm2 0x1df98 天使ってみんなそうなの！？」
010.stcm2 0x1e0dc ベノムちゃん
010.stcm2 0x1e118 「いやしかし、こういうときは」
010.stcm2 0x1e1cc 「こういうときの対応マニュアルでもあるの！？
010.stcm2 0x1e228 聞きたくない！　僕はたった今、ベノムちゃんっ
010.stcm2 0x1e284 て天使なんだなあって思い知りました！」
010.stcm2 0x1e2e8 恐ろしい子です。というか、天使には本当にそ
010.stcm2 0x1e340 ういうマニュアルが配られているんじゃないか
010.stcm2 0x1e398 という気すらしてきます。
010.stcm2 0x1e500 ベノムちゃん
010.stcm2 0x1e53c 「このフェスティバルの開催中は、無理に健康
010.stcm2 0x1e594 断診をするつもりはありませんので、ドクロ殿
010.stcm2 0x1e5ec にもそうお伝えください」
010.stcm2 0x1e754 ベノムちゃん
010.stcm2 0x1e790 「自分はお伝えしようにも、ドクロ殿にさけら
010.stcm2 0x1e7e8 れてしまうでありますから……」
010.stcm2 0x1e844 ベノムちゃんはさみしそうに言いました。せめ
010.stcm2 0x1e89c て、このフェスティバルは成功させてあげたい
010.stcm2 0x1e8f4 ものです。
010.stcm2 0x1e9fc 「あ、うん。任せて。僕がきちんと言っておく
010.stcm2 0x1ea54 から。ベノムちゃんから逃げないで、って」
010.stcm2 0x1eba0 ベノムちゃん
010.stcm2 0x1ebdc 「桜殿……よろしくお願いいたします」
010.stcm2 0x1ec9c ベノムちゃんは頭をぺこりと下げて、救護員席
010.stcm2 0x1ecf4 の奥へと歩いて行きました。どうもこれから打
010.stcm2 0x1ed4c ち合わせがあるようです。
010.stcm2 0x1eda4 町内会のおじさんおばさんの中、１人だけ体操
010.stcm2 0x1edfc 着姿の年若いベノムちゃん。ちょっとミスマッ
010.stcm2 0x1ee54 チですが、彼女はフェスティバルの影の主催者。
010.stcm2 0x1eec0 もしかして、あの中にヒガイシャが……。
010.stcm2 0x1ef74 「桜くん」
010.stcm2 0x1f014 「うわあああッ！！」
010.stcm2 0x1f068 考えが外部刺激により中断され、僕は驚きの声
010.stcm2 0x1f0c0 を上げました。
010.stcm2 0x1f10c こんなに普通の驚きは久しぶりですが、このリ
010.stcm2 0x1f164 アクション、合ってますよね？
010.stcm2 0x1f370 「失礼ね」
010.stcm2 0x1f5a4 静希ちゃん
010.stcm2 0x1f5dc 「あれ、南さん？　どうしたの」
010.stcm2 0x1f638 見れば確かに南さん。今日は参加しないと聞い
010.stcm2 0x1f690 ていたのですが、どうしたのでしょうか。
010.stcm2 0x1f7e4 「吹奏楽部がフェスティバルの演奏を頼まれた
010.stcm2 0x1f8d8 「あ、部活ってそういうことだったんだ」
010.stcm2 0x1f93c ということは、
010.stcm2 0x1fb38 田辺さん
010.stcm2 0x1fb70 「おーい、南さーん！　って、あれ？　桜くん
010.stcm2 0x1fbc8 と静希ちゃんもいたの？」
010.stcm2 0x1fc20 田辺さんもいるわけです。
010.stcm2 0x1fcd0 「じゃ、じゃあ、そろそろ行こうか静希ちゃん」
010.stcm2 0x1ff74 静希ちゃん
010.stcm2 0x1ffac 「え……うん。それじゃあね、南さん、田辺さ
010.stcm2 0x200a4 僕はこの２人がそろった状況で、心安まったこ
010.stcm2 0x200fc とはありません。
010.stcm2 0x202d4 「まって」
010.stcm2 0x20374 「なに、南さん」
010.stcm2 0x203c4 僕は平静を装って答えました。
010.stcm2 0x20510 「桜くんはどの競技に出るの？」
010.stcm2 0x205c4 「え、なんで……？」
010.stcm2 0x20708 「競技中の応援演奏の都合があるから。桜くん
010.stcm2 0x20760 の競技でも、応援ほしいでしょう？」
010.stcm2 0x207c0 その言葉を、僕は素直に受け取ることはできま
010.stcm2 0x208b4 「いや……あの、僕は見られてると失敗するタ
010.stcm2 0x2090c イプだから」
010.stcm2 0x20958 南さんは僕の目をじっと見つめて、
010.stcm2 0x20aa8 「望むところ」
010.stcm2 0x20b8c 「……そんなの望まないでよ」
010.stcm2 0x20dc8 田辺さん
010.stcm2 0x20e00 「望むところね」
010.stcm2 0x20ea8 「望まないでって言ったのに、田辺さんはなぜ
010.stcm2 0x20f00 また言うの！？　確認するように、そしてかみ
010.stcm2 0x20f58 しめるようにッ！」
010.stcm2 0x21064 田辺さん
010.stcm2 0x2109c 「あ、そろそろ１２歳の部がはじまるみたい」
010.stcm2 0x2115c 「なにそれッ！？　そんなのじゃ僕の気はそら
010.stcm2 0x211b4 せないよ！　っていうか、ない！　そんな部が
010.stcm2 0x2120c あるイベントに参加したら誤解を招くもん！」
010.stcm2 0x2134c 田辺さん
010.stcm2 0x21384 「それならいいんだけど」
010.stcm2 0x2145c 「田辺さんって、自分の発言にあんまり責任持
010.stcm2 0x214b4 たないよね……」
010.stcm2 0x215c0 田辺さん
010.stcm2 0x215f8 「そう？」
010.stcm2 0x21730 「それはいいから、教えて？」
010.stcm2 0x217e4 「え、参加する競技？　うーん……」
010.stcm2 0x219c0 どちらから参加しますか？
010.stcm2 0x21a14 １．先にソフトボール投げに参加する
010.stcm2 0x21a70 ２．先に垂直跳びに参加する
010.stcm2 0x21e20 「僕はまず、ソフトボール投げに参加するつも
010.stcm2 0x21e78 りなんだけど」
010.stcm2 0x2203c 田辺さん
010.stcm2 0x22074 「そうなんだ。がんばって、」
010.stcm2 0x22128 「うん……がんばるけど」
010.stcm2 0x22260 田辺さん
010.stcm2 0x22298 「スポーツで、モンモンとしたものを発散させ
010.stcm2 0x222f0 てきてね」
010.stcm2 0x22390 「モンモン！？　なにそれ！？　ないよそんな
010.stcm2 0x22510 田辺さん
010.stcm2 0x22548 「まあ、本人が気付かないことってよくあるし」
010.stcm2 0x225b4 相変わらず田辺さんは直接フリーキックくらい
010.stcm2 0x2260c 直接的です。
010.stcm2 0x22998 「それじゃあね、静希ちゃん」
010.stcm2 0x22adc 静希ちゃん
010.stcm2 0x22b14 「うん、また後でね」
010.stcm2 0x22c28 そして南さんが聞きたがったのに、無感想に去っ
010.stcm2 0x22c84 ていきます！
010.stcm2 0x22cd0 取り残された僕は、静希ちゃんと一緒にみんな
010.stcm2 0x22d28 のところへ戻っていくのでした。
010.stcm2 0x22f9c 「僕は最初、垂直跳びに参加するつもりなんだ
010.stcm2 0x231e4 「それだけ？」
010.stcm2 0x23288 「どういう意味？」
010.stcm2 0x232d8 僕はオウム返しに、尋ねました。
010.stcm2 0x2344c 「ううん、なんでもない。最近、物騒だからど
010.stcm2 0x234a4 このおうちも塀が高いじゃない？　跳ぶ練習な
010.stcm2 0x234fc のかな、って思っただけ」
010.stcm2 0x235ac 「なんでもなくない！　誤解してる！　しかも
010.stcm2 0x23604 誤解の方向性が若干ズレてきた！」
010.stcm2 0x23754 「そんなこともないと思うけど」
010.stcm2 0x23808 「南さん、落ち着いて。南さんの持ってる草壁
010.stcm2 0x23860 桜像をよーく思い出してみて？　それ明らかに
010.stcm2 0x238b8 犯罪者でしょ？　僕はちがうよ？」
010.stcm2 0x23aac 「お願いだから【そうだけど、なに？】って顔
010.stcm2 0x23b04 しないで？」
010.stcm2 0x23d30 田辺さん
010.stcm2 0x23d68 「そろそろ行こ、南さん。それじゃあね、静希
010.stcm2 0x23dc0 ちゃん」
010.stcm2 0x24114 静希ちゃん
010.stcm2 0x2414c 「うん、また後でね」
010.stcm2 0x24320 「田辺さんも知らんぷりが上手いなあ」
010.stcm2 0x24384 取り残された僕は、静希ちゃんと一緒にみんな
010.stcm2 0x243dc のところへ戻っていくのでした。
011.stcm2 0x2e8 とにもかくにも、僕はソフトボール投げに参加
011.stcm2 0x340 することに決めました。
011.stcm2 0x394 僕はただ、日ごろのいろいろなものをボールに
011.stcm2 0x3ec 託して投げるだけ。これは、好記録が期待でき
011.stcm2 0x444 そうです。
011.stcm2 0x48c 見れば、計測係の人がメジャーを持って、いそ
011.stcm2 0x4e4 がしそうに準備しています。
011.stcm2 0x53c これから競技がはじまるのだと思わせてくれる
011.stcm2 0x594 光景です。
011.stcm2 0x764 ザクロちゃん
011.stcm2 0x7a0 「あ、桜さん。桜さんもソフトボール投げに参
011.stcm2 0x7f8 加するのですか？」
011.stcm2 0x8a0 「うん。そのつもりだよ。ザクロちゃんも今か
011.stcm2 0x8f8 らソフトボール投げなんだね」
011.stcm2 0xa3c ザクロちゃん
011.stcm2 0xa78 「はい。よろしくお願いします」
011.stcm2 0xb2c 「へへっ、みんな個人競技だから、よろしくし
011.stcm2 0xb84 てあげられることもないけどね」
011.stcm2 0xcc4 ザクロちゃん
011.stcm2 0xd00 「あ、それもそうですね……ふふ」
011.stcm2 0xd60 ザクロちゃんがやさしくほほえんでくれると、
011.stcm2 0xdb8 場が華やぐような気がします。
011.stcm2 0xe14 それは、まるで子ども心を失っていないオトナ
011.stcm2 0xe6c の女性のほほえみ。この感想、そのまますぎま
011.stcm2 0xf60 「ところで、ドクロちゃんはどの競技に参加す
011.stcm2 0xfb8 るか知らない？」
011.stcm2 0x1008 僕が【ドクロちゃん係】だからというわけでは
011.stcm2 0x1060 ないのですが、やはり気になります。
011.stcm2 0x10c0 彼女の居場所がわからないというのは、僕に一
011.stcm2 0x1118 抹の不安を覚えさせるのですから。
011.stcm2 0x1260 ザクロちゃん
011.stcm2 0x129c 「ええと、わたくしと一緒にソフトボール投げ
011.stcm2 0x12f4 をすると言っていましたが……そう言えばどち
011.stcm2 0x134c らへ……」
011.stcm2 0x14d8 なんということでしょう。期せずしてドクロちゃ
011.stcm2 0x1534 んと同じ競技に参加することになってしまうと
011.stcm2 0x15d4 思いもよらない事態とは言いませんが（よくあ
011.stcm2 0x162c ることですから）、もう少し平和が長続きして
011.stcm2 0x1684 くれても良さそうなものじゃありませんか。
011.stcm2 0x16ec いえ、まだ平和が終わったと決めつけるのは、
011.stcm2 0x1744 はやいのでは？　そうです。ドクロちゃんだっ
011.stcm2 0x179c て、そこまで……。
011.stcm2 0x1974 ドクロちゃん
011.stcm2 0x19b0 「いくよーーー！！」
011.stcm2 0x1a04 平和は【そこまで】でした。
011.stcm2 0x1e24 ドクロちゃん
011.stcm2 0x1e60 「ぃぃよいしょおーーー！！」
011.stcm2 0x205c バガァァァァァァンッ！
011.stcm2 0x2130 「な、なァ！？」
011.stcm2 0x2180 僕は見てしまいました。投球者サークルの中に
011.stcm2 0x21d8 いるドクロちゃんの姿を。よりにもよって、ド
011.stcm2 0x2230 クロちゃんが一番手だったのです。
011.stcm2 0x237c 「い、今、なにか見えたッ！？」
011.stcm2 0x2400 ザクロちゃん
011.stcm2 0x243c 「いえ、わたくしには……なにも」
011.stcm2 0x249c ドクロちゃんの投球は牙でした。僕には猛獣が
011.stcm2 0x24f4 口を開き、地面に突き刺さる姿が見えたのです。
011.stcm2 0x26a0 ドクロちゃんのあまりに強すぎる気が、牙をむ
011.stcm2 0x26f8 いたケモノの幻像を僕に見せたのでしょう。
011.stcm2 0x2760 牙は地面をえぐり、校庭にクレーターをつくら
011.stcm2 0x27b8 んばかりの勢いです。
011.stcm2 0x2aa0 ドクロちゃん
011.stcm2 0x2adc 「きゃはーーーーー！！　すっごーーーーい！」
011.stcm2 0x2b48 すごいですけど！
011.stcm2 0x2bf0 「ドクロちゃん！　なにやってんの！？　もっ
011.stcm2 0x2c48 と上に向かって投げるの！　ドクロちゃんのは
011.stcm2 0x2ca0 地面に叩きつけてるじゃん！」
011.stcm2 0x2de0 ドクロちゃん
011.stcm2 0x2e1c 「じゃあ次、行ってみよーう！」
011.stcm2 0x2ed0 「聞いてよ！」
011.stcm2 0x2f1c まださっきの投球の計測すらしていません。み
011.stcm2 0x2f74 んなあっけに取られてしまって動けないようで
011.stcm2 0x3010 もっとも、地面をえぐった球（いえ、弾と呼ぶ
011.stcm2 0x3068 べきでしょうか？）を計測できるかどうかもわ
011.stcm2 0x30c0 かりませんが。
011.stcm2 0x310c ドクロちゃんは今、とっても楽しそうです。た
011.stcm2 0x3164 だ単純にボールを投げるという行為が、ドクロ
011.stcm2 0x31bc ちゃんの心の奥に触れたのでしょうか。
011.stcm2 0x3220 どうしますか？
011.stcm2 0x3268 １．ドクロちゃんを止める
011.stcm2 0x32bc ２．ザクロちゃんに止めてもらう
011.stcm2 0x3314 ３．ベノムちゃんを呼ぶ
011.stcm2 0x37b4 「ダメだ、ドクロちゃん！　約束しないなら、
011.stcm2 0x380c それはもう投げちゃダメ！」
011.stcm2 0x3864 僕はドクロちゃんにつかみかかりました。それ
011.stcm2 0x38bc のいかにムボウなことか、僕は誰よりも知って
011.stcm2 0x3914 います。……痛いほど、狂おしいほどに。
011.stcm2 0x3c3c ドクロちゃん
011.stcm2 0x3c78 「はなして、桜くん！　ボクは、ボクは投げな
011.stcm2 0x3cd0 きゃいけないの！　だって、コレを投げなきゃ
011.stcm2 0x3d28 記録がつかないんだもん！」
011.stcm2 0x3ed8 僕が肩につかみかかった状態のまま【イヤイヤ】
011.stcm2 0x3f34 をするドクロちゃん。その暴れっぷりは、生半
011.stcm2 0x3f8c 可なものではありません。
011.stcm2 0x3fe4 僕は必死で、ドクロちゃんをつかまえる腕の力
011.stcm2 0x403c を強くしました。
011.stcm2 0x423c 「なんでそんなところだけ、ルールを覚えてん
011.stcm2 0x4294 の！？　ちょっと、ドクロちゃん、暴れな……」
011.stcm2 0x4608 そこで気が付く、僕の手の中にある感触。ドク
011.stcm2 0x4660 ロちゃんの肩をつかんでいた僕の手はいつの間
011.stcm2 0x46b8 にか、ドクロちゃんの胸へ……。
011.stcm2 0x4818 僕が気付くとほぼ同時、ドクロちゃんの動きも
011.stcm2 0x4870 止まりました。ドクロちゃんも気付いてしまっ
011.stcm2 0x48c8 たのです。
011.stcm2 0x4b08 ドクロちゃん
011.stcm2 0x4b44 「……いいぃぃぃぃぃやあぁぁぁぁぁッ！！」
011.stcm2 0x50c4 「ぼ、僕は悪くないよ！　ドクロちゃんが暴れ
011.stcm2 0x511c るのがいけないんだかああアァッ！！」
011.stcm2 0x53f8 鋼鉄が僕のおなかにクリーンヒット。僕は血の
011.stcm2 0x5450 味を覚えました。これは、小学校の……鉄棒の、
011.stcm2 0x571c ドクロちゃん
011.stcm2 0x5758 「ああっ！　ごめんなさいっ！」
011.stcm2 0x58b8 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
011.stcm2 0x5b94 「ドクロちゃん、ソフトボールはやさしく投げ
011.stcm2 0x5bec よう？」
011.stcm2 0x5d18 ドクロちゃん
011.stcm2 0x5d54 「ソフトなだけに？（くすくす）」
011.stcm2 0x5e0c 「そういう意味じゃないよ！　ソフトだろうと
011.stcm2 0x5e64 ハードだろうと、地面を割っちゃダメって言っ
011.stcm2 0x5ebc てるの！」
011.stcm2 0x5fec ドクロちゃん
011.stcm2 0x6028 「えーと、じゃあボク、次のやってくるね！」
011.stcm2 0x60e8 「ねえ、お願いだから話聞いて？」
011.stcm2 0x6230 ドクロちゃん
011.stcm2 0x626c 「聞いたよー。もうばっちり！」
011.stcm2 0x6320 「聞いただけでしょ！　アナタ頭に入ったの！？
011.stcm2 0x637c ほら、ソフトボール投げだって、あんなにやり
011.stcm2 0x63d4 たがってたのに投げ出してッ！！」
011.stcm2 0x6518 ドクロちゃん
011.stcm2 0x6554 「ソフトボール投げなだけに？（くすくす）」
011.stcm2 0x6684 「おもしろいことなんて言ってないでしょッ！
011.stcm2 0x66dc あ、まって！　どこ行くの！？」
011.stcm2 0x6738 ドクロちゃんはくすくすと笑ったまま、どこか
011.stcm2 0x6790 へ行ってしまいました。
011.stcm2 0x683c 「これは……このスポーツフェスティバルは大
011.stcm2 0x6894 変だ……」
011.stcm2 0x68dc 僕は自分の使命に押しつぶされそうでした。
011.stcm2 0x6944 こうして最初の競技は幕を閉じたのです。
011.stcm2 0x6d44 「ザクロちゃん。ドクロちゃんを止めないと、
011.stcm2 0x6d9c もう次の人ができないよ」
011.stcm2 0x6edc ザクロちゃん
011.stcm2 0x6f18 「そうですね。おねえさまに自重していただか
011.stcm2 0x6f70 なくては」
011.stcm2 0x6fb8 こういうのは肉親のザクロちゃんが１番頼りに
011.stcm2 0x7010 なります。
011.stcm2 0x70c8 ザクロちゃんはドクロちゃんの元に駆け寄りま
011.stcm2 0x7120 した。僕もそれに続きます。
011.stcm2 0x745c ザクロちゃん
011.stcm2 0x7498 「おねえさま、おやめください。これ以上は危
011.stcm2 0x74f0 険です」
011.stcm2 0x7620 ドクロちゃん
011.stcm2 0x765c 「えー、なんでー？」
011.stcm2 0x7708 「校庭にクレーター作っちゃダメって言ってる
011.stcm2 0x77a4 どうやら今回は大丈夫だったようですが、こん
011.stcm2 0x77fc なことをやっていればいつかはケガ人が出ます。
011.stcm2 0x7868 ケガ人が出たら……そう、ベノムちゃんの出番
011.stcm2 0x78c0 なのです。
011.stcm2 0x7908 僕がドクロちゃんをどうしてくれようと思案に
011.stcm2 0x7960 くれていると、ザクロちゃんが静やかに口を開
011.stcm2 0x79b8 きました。
011.stcm2 0x7b10 ザクロちゃん
011.stcm2 0x7b4c 「おねえさま。あちらにおねえさまが大好きな
011.stcm2 0x7ba4 おやつを用意してあります。そちらを召し上が
011.stcm2 0x7bfc りませんか？」
011.stcm2 0x7d30 ドクロちゃん
011.stcm2 0x7d6c 「えー、おやつ？　もしかして【ほほえみプリ
011.stcm2 0x7dc4 ン・初恋味】？」
011.stcm2 0x7efc ザクロちゃん
011.stcm2 0x7f38 「はい。クーラーボックスで冷やしてあります。
011.stcm2 0x7f94 とっても甘ずっぱいですよ」
011.stcm2 0x7fec それは、アルカディア商店街のスイーツ店で新
011.stcm2 0x8044 発売になったばかりのプリンです。
011.stcm2 0x80a4 冷やして甘ずっぱく、常温で甘いという不思議
011.stcm2 0x80fc なプリンはドクロちゃんに大好評。
011.stcm2 0x815c お口に入れた瞬間に、キュンとなるほど甘ずっ
011.stcm2 0x81b4 ぱくて、お口であたたまるとゆっくりと甘みが
011.stcm2 0x820c 広がる、それはまさに初恋味。
011.stcm2 0x8268 せつなささえ感じさせる匠のワザは、ドクロちゃ
011.stcm2 0x82c4 んはもとより街の人たちにも好評で、たちまち
011.stcm2 0x831c 人気商品となってしまいました。
011.stcm2 0x8378 ちなみに、僕がそれをはじめて食べたとき、小
011.stcm2 0x83d0 学生のころの僕と静希ちゃんが思い出されて、
011.stcm2 0x8428 ちょっぴり涙ぐんでしまったのはナイショです。
011.stcm2 0x85a0 ドクロちゃん
011.stcm2 0x85dc 「うん！　ボク、プリンにするっ！」
011.stcm2 0x8724 ザクロちゃん
011.stcm2 0x8760 「はい、おねえさま。それでは参りましょう」
011.stcm2 0x88a8 さすがはザクロちゃんです！　ドクロちゃんの
011.stcm2 0x8900 扱いはお手のもの。まさかプリンまで用意して
011.stcm2 0x8958 いるとは思いませんでした。
011.stcm2 0x89b0 ただし逆に考えれば、もうプリンを使ってしまっ
011.stcm2 0x8a0c た、とも言えるわけです。
011.stcm2 0x8a64 僕は自分の中で、不安がゆっくりと拡大してい
011.stcm2 0x8abc くのを感じていました。
011.stcm2 0x8c70 もう、これしかありません。ベノムちゃんには
011.stcm2 0x8cc8 申し訳ないのですが、僕の手に余る事態です。
011.stcm2 0x8d30 僕はさっき、競技がはじまる前に【フェスティ
011.stcm2 0x8d88 バルの最中は健康診断しない】というベノムちゃ
011.stcm2 0x8de4 んの意思を伝えました。
011.stcm2 0x8e38 しかし、僕には確信がありました。ドクロちゃ
011.stcm2 0x8e90 んは、きっと逃げます。
011.stcm2 0x8f00 すぅぅぅぅと息を吸い込んで、
011.stcm2 0x915c 「ベノムちゃーーーーーーんッ！！」
011.stcm2 0x92fc 空気がびりびりと震えるほど叫びました。
011.stcm2 0x9360 周囲の人が振り返るのもお構いなしの声に遅れ
011.stcm2 0x93b8 ること数秒、それは聞こえました。
011.stcm2 0x9468 ドドドドドドドと地鳴りにも似た音が響き、
011.stcm2 0x9658 ベノムちゃん
011.stcm2 0x9694 「お呼びでありますかッ！？」
011.stcm2 0x96f0 ベノムちゃん到着ですっ。さすがにはやいです
011.stcm2 0x9748 ね！　いい仕事してます！
011.stcm2 0x97f8 「あ、ベノムちゃん、ごめんね！　ドクロちゃ
011.stcm2 0x9850 んが……って、いないッ！？」
011.stcm2 0x98ac 振り返ると、さっきまでいた場所はおろか、見
011.stcm2 0x9904 える範囲にはドクロちゃんの姿がありません。
011.stcm2 0x9b84 ザクロちゃん
011.stcm2 0x9bc0 「おねえさまは、桜さんがベノムさんを呼ぶと
011.stcm2 0x9c18 同時に、走り去ってしまいました」
011.stcm2 0x9c78 やっぱり、と僕はココロの中だけで思いました。
011.stcm2 0x9e00 「あ、そうなんだ。ごめんね、ベノムちゃん」
011.stcm2 0x9f50 ベノムちゃん
011.stcm2 0x9f8c 「いえ、ドクロ殿がどうかしたでありますか？」
011.stcm2 0xa050 「うん、ちょっと手がつけられなかったか……
011.stcm2 0xa0a8 はッ！？」
011.stcm2 0xa118 いけません。ベノムちゃんはドクロちゃんに嫌
011.stcm2 0xa170 われてるんじゃないかと、傷ついているのです。
011.stcm2 0xa1dc まさか【ベノムちゃんが来れば、ドクロちゃん
011.stcm2 0xa234 が逃げるはずだから呼んだ】なんて言えません。
011.stcm2 0xa2a0 それはきっとベノムちゃんを傷つける言葉です。
011.stcm2 0xa3f4 ベノムちゃん
011.stcm2 0xa430 「どうしたでありますか、桜殿？」
011.stcm2 0xa4e8 「あー、えっと……そう！　ドクロちゃんがす
011.stcm2 0xa540 ごい勢いでボール投げちゃって、ケガ人いない
011.stcm2 0xa598 かなーって思ってさ」
011.stcm2 0xa6d4 ベノムちゃん
011.stcm2 0xa710 「おお！　それは一大事であります！」
011.stcm2 0xa7d0 見たところ、ケガ人はいないようです。もしか
011.stcm2 0xa828 してドクロちゃんは、人がいないことを確認し
011.stcm2 0xa880 てから投げてくれたのでしょうか。
011.stcm2 0xa8e0 ドクロちゃんが作り出したクレーターに駆け寄
011.stcm2 0xa938 るベノムちゃんを見つめながら、僕はゆっくり
011.stcm2 0xa990 と首を横に振りました。
011.stcm2 0xae4c サバトちゃん
011.stcm2 0xae88 「はいッですぅ！」
011.stcm2 0xb010 にぎやかな会場に【バシンッ！】と音がして、
011.stcm2 0xb068 サバトちゃんが垂直跳びの計測板にチョークの
011.stcm2 0xb0c0 粉をつけます。
011.stcm2 0xb18c 計測板の真ん中より上、結構高いところに白い
011.stcm2 0xb1e4 アトがついています。
011.stcm2 0xb238 サバトちゃんは地面でかがみこんでためた力を、
011.stcm2 0xb294 伸びやかに発揮して見せてくれました。
011.stcm2 0xb378 ちらりとのぞく、その白いおなかも健康的です。
011.stcm2 0xb3d4 ……えーと、サバトちゃんの場合、本当に健康
011.stcm2 0xb42c かどうかは判断に困るところではありますが。
011.stcm2 0xb514 サバトちゃんはもしかして、食料以外のなにか
011.stcm2 0xb56c を原動力にできるのかもしれないと、本気で思っ
011.stcm2 0xb5c8 てしまいました。
011.stcm2 0xb618 だって、サバトちゃんは僕よりも記録がいいん
011.stcm2 0xb670 です。それとも、僕にはハングリー精神が足り
011.stcm2 0xb6c8 ないということでしょうか。
011.stcm2 0xb8e8 静希ちゃん
011.stcm2 0xb920 「サバトちゃん、すごいね」
011.stcm2 0xb978 隣にいる幼なじみも、僕と感想を同じくします。
011.stcm2 0xba3c 「うん」
011.stcm2 0xba84 ついさきほど静希ちゃんも計測を終え、一緒に
011.stcm2 0xbadc 垂直跳びの会場に来た中では、サバトちゃんが
011.stcm2 0xbb34 １番最後です。
011.stcm2 0xbc04 サバトちゃん
011.stcm2 0xbc40 「どうもありがとうございましたですぅ」
011.stcm2 0xbca4 ……と、サバトちゃんも終わったようです。計
011.stcm2 0xbcfc 測員の人にていねいにお礼を言って、こちらに
011.stcm2 0xbd54 向かってきます。
011.stcm2 0xbda4 記録を終えて戻ってくるサバトちゃんに、僕は
011.stcm2 0xbdfc 声をかけました。
011.stcm2 0xbea4 「サバトちゃんもがんばってるね」
011.stcm2 0xc08c サバトちゃん
011.stcm2 0xc0c8 「そ、そうですかぁ？」
011.stcm2 0xc174 「うん、僕よりいい記録出されちゃったよ」
011.stcm2 0xc1dc その言葉にサバトちゃんがほほえみます。
011.stcm2 0xc324 サバトちゃん
011.stcm2 0xc360 「サバト、がんばったですぅ！」
011.stcm2 0xc3bc サバトちゃんは少し自信がついたようです。自
011.stcm2 0xc414 信がつくのはいいことです。特にサバトちゃん
011.stcm2 0xc46c のような境遇のコには。
011.stcm2 0xc5a8 サバトちゃん
011.stcm2 0xc5e4 「運動した方が、お昼ご飯がおいしいですぅ！」
011.stcm2 0xc6a8 「そ、そうなんだ……」
011.stcm2 0xc6fc 今日はサバトちゃんのお昼ご飯も、ザクロちゃ
011.stcm2 0xc754 んが用意してくれているのです。
011.stcm2 0xc7b0 それを知ったサバトちゃんは、ものすごい喜び
011.stcm2 0xc808 ようでしたが、それがきっちりプラスの方向に
011.stcm2 0xc860 働いているようです。
011.stcm2 0xc968 「じゃあ、次の競技に行こうか」
011.stcm2 0xcb4c 静希ちゃん
011.stcm2 0xcb84 「あ、ちょっとまって桜くん」
011.stcm2 0xcc38 「え、なに？」
011.stcm2 0xcc84 静希ちゃんの声に呼び止められて、振り返りま
011.stcm2 0xce24 静希ちゃん
011.stcm2 0xce5c 「ほら、あそこ……」
011.stcm2 0xcf0c 静希ちゃんはゆっくりと僕の視界の前方を指差
011.stcm2 0xcf64 します。ゆっくりとピントを合わせて、
011.stcm2 0xd060 「ドクロちゃん！？」
011.stcm2 0xd23c 僕の視界の先には、いかにも【垂直にとんでや
011.stcm2 0xd294 るぞっ】という感じのドクロちゃんがいました。
011.stcm2 0xd358 「ちょっと様子を見よう。このまま先に進むこ
011.stcm2 0xd3b0 とはどうやらできなさそうだよ……」
011.stcm2 0xd410 僕はのどをごくりと鳴らし、ドクロちゃんの次
011.stcm2 0xd468 の動きに注意を払いました。
011.stcm2 0xd4c0 静希ちゃんもサバトちゃんも、じっとドクロちゃ
011.stcm2 0xd51c んを見つめています。
011.stcm2 0xd658 ドクロちゃん
011.stcm2 0xd694 「いくよーーー！！」
011.stcm2 0xd6e8 と構えるのはエスカリボルグ。垂直跳びに必要
011.stcm2 0xd740 ないアイテムのナンバーワンです。
011.stcm2 0xd820 「まずいッ！？」
011.stcm2 0xd870 どうしますか？
011.stcm2 0xd8b8 １．ドクロちゃんを止める
011.stcm2 0xd90c ２．自分が先にやると言う
011.stcm2 0xd960 ３．サバトちゃんに止めてもらう
011.stcm2 0xde80 僕は大急ぎでドクロちゃんに走り寄りました。
011.stcm2 0xdf40 「ドクロちゃん、そのエスカリボルグでなにす
011.stcm2 0xdf98 る気なのッ！？」
011.stcm2 0xe170 ドクロちゃん
011.stcm2 0xe1ac 「え……？　きゃっ！」
011.stcm2 0xe258 「なにその【ボク、なんでこんなの持ってる
011.stcm2 0xe2b0 の？】みたいな反応は？」
011.stcm2 0xe3ec ドクロちゃん
011.stcm2 0xe428 「あたり！　さっすが桜くん！　クイズ王に挑
011.stcm2 0xe480 戦しなよ！」
011.stcm2 0xe524 「あたりじゃない！　挑戦もしないよ！　クイ
011.stcm2 0xe57c ズやってるんじゃないんだからねッ！」
011.stcm2 0xe5e0 そこでドクロちゃんは伏し目がちになって、僕
011.stcm2 0xe638 をちらちら。
011.stcm2 0xe76c ドクロちゃん
011.stcm2 0xe7a8 「じゃあ……なにをするの……？（うっとり）」
011.stcm2 0xe86c 「垂直跳びに決まってるでしょ！　不必要にうっ
011.stcm2 0xe8c8 とりした目で見つめないでよ、もう……ッ！」
011.stcm2 0xea18 ドクロちゃん
011.stcm2 0xea54 「桜くんはボクの垂直跳びでコウフンするの？」
011.stcm2 0xeb18 「しない！　そんなのするもんか！」
011.stcm2 0xeb78 僕の否定もドクロちゃんの耳には届かず、ドク
011.stcm2 0xebd0 ロちゃんは照れっぱなしです。
011.stcm2 0xec2c そしてドクロちゃんの脳内の草壁桜は、コウフ
011.stcm2 0xec84 ンに身を任せ、ドクロちゃんに……。
011.stcm2 0xedcc ドクロちゃん
011.stcm2 0xee08 「だめ！　そんなにされたらボクは、ボクは……
011.stcm2 0xee64 いやあぁぁぁぁッ！！」
011.stcm2 0xf4e0 「いけない！　今のドクロちゃんは現実と想像
011.stcm2 0xf538 の境界が見えてなああぁぁっかッ！！」
011.stcm2 0xfa7c ドクロちゃん
011.stcm2 0xfab8 「ああっ、桜くんが垂直にとんじゃった！」
011.stcm2 0xfc24 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
011.stcm2 0xfef4 「ドクロちゃん。僕は今のジャンプで、きっと
011.stcm2 0xff4c 日本新を更新したよ」
011.stcm2 0x100ac ドクロちゃん
011.stcm2 0x100e8 「うん、あのね……ごめんなさい。それと……」
011.stcm2 0x10154 みなまで言わなくてもわかっています。やり方
011.stcm2 0x101ac を間違ったって、やり直しはきくのが人生です。
011.stcm2 0x10218 ドクロちゃんも、考えを改めてくれればなんの
011.stcm2 0x10270 問題もありません。だって僕たちはまだ若いの
011.stcm2 0x102c8 ですから。
011.stcm2 0x10368 「わかってくれればいいんだ。さっ、ちゃんと
011.stcm2 0x103c0 やろう？」
011.stcm2 0x1050c ドクロちゃん
011.stcm2 0x10548 「ボク、もうさっき垂直跳びやったんだった！」
011.stcm2 0x105b4 ドクロちゃんはニコッと天使のほほえみ。
011.stcm2 0x10698 「うそッ！　このコありえない！　撲殺され損
011.stcm2 0x106f0 じゃん！！　って言うか、さっきもやったんな
011.stcm2 0x10748 ら、さっきと同じやり方しなよ！」
011.stcm2 0x1088c ドクロちゃん
011.stcm2 0x108c8 「ひねってみました」
011.stcm2 0x10a5c 「くおのおおおおお！！　このアホ天使めええ
011.stcm2 0x10ab4 えええ！！」
011.stcm2 0x10ce4 静希ちゃん
011.stcm2 0x10d1c 「だめ！　桜くん、チョークの粉が入った箱を
011.stcm2 0x10d74 置いて！」
011.stcm2 0x10e14 「止めないで静希ちゃん！　僕はこのアホな天
011.stcm2 0x10e6c 使を、汚れない純白にしてあげるんだ！」
011.stcm2 0x10fb8 静希ちゃん
011.stcm2 0x10ff0 「だめ！　次の人が困っちゃう！」
011.stcm2 0x11280 サバトちゃん
011.stcm2 0x112bc 「そうですぅ！　桜くん、思いとどまってほし
011.stcm2 0x11314 いですぅ！」
011.stcm2 0x11360 静希ちゃんとサバトちゃんの必死の説得でなん
011.stcm2 0x113b8 とか思いとどまった僕は、ゆっくりとチョーク
011.stcm2 0x11410 の粉を置きました。
011.stcm2 0x114d4 「そうだね、迷惑をかけちゃいけないね……」
011.stcm2 0x1153c 見れば、ドクロちゃんの姿は既にありません。
011.stcm2 0x11624 「次に行こうか……」
011.stcm2 0x11760 静希ちゃん
011.stcm2 0x11798 「うん」
011.stcm2 0x118c8 サバトちゃん
011.stcm2 0x11904 「はいですぅ」
011.stcm2 0x11950 僕が力なく言うと、静希ちゃんとサバトちゃん
011.stcm2 0x119a8 がうなずきました。
011.stcm2 0x11e04 静希ちゃん
011.stcm2 0x11e3c 「ドクロちゃん、まって！」
011.stcm2 0x11e94 静希ちゃんがドクロちゃんに近づこうとします。
011.stcm2 0x11ef0 それは……くやしいけど僕の仕事なのです。
011.stcm2 0x11fb0 「静希ちゃん、あぶないから僕に任せて」
011.stcm2 0x12014 静希ちゃんを危険にさらすことはできません。
011.stcm2 0x1206c できることなら、この場から避難してもらいた
011.stcm2 0x120c4 いくらいです。
011.stcm2 0x121f8 静希ちゃん
011.stcm2 0x12230 「でも……」
011.stcm2 0x122d4 「任せて、きっと止めるから」
011.stcm2 0x12414 静希ちゃん
011.stcm2 0x1244c 「うん、わかった」
011.stcm2 0x1249c 僕はこないだ見た映画のワンシーンのように、
011.stcm2 0x124f4 【いい子だ】と言って静希ちゃんの頭をなでた
011.stcm2 0x1254c い衝動をこらえました。ギリギリのとこで。
011.stcm2 0x125b4 もう少しあの映画にのめりこんでいたら、きっ
011.stcm2 0x1260c と僕は静希ちゃんの頭をなでなでしていたこと
011.stcm2 0x12664 でしょう。
011.stcm2 0x126ac それはそれで……？
011.stcm2 0x12758 ともかく、それどころじゃありません。はやく
011.stcm2 0x127b0 ドクロちゃんを止めなくてはいけません。
011.stcm2 0x128ac 「ドクロちゃん、ちょっとまって！　僕が先だ
011.stcm2 0x12904 から！」
011.stcm2 0x1294c 駆け寄りながらそう言った僕に、
011.stcm2 0x12b58 ドクロちゃん
011.stcm2 0x12b94 「桜くん、さっきやったよね？」
011.stcm2 0x12bf0 無情の一言。それを言ったらおしまいです！
011.stcm2 0x12c58 確かに、僕はさきほど済ませてしまったわけで
011.stcm2 0x12d4c 「なぁ……ッ！？　み、見て……！？」
011.stcm2 0x12e98 ドクロちゃん
011.stcm2 0x12ed4 「桜くん、うそつきなの？　ボクをだまして、
011.stcm2 0x12f2c なにしようとしてたの……？」
011.stcm2 0x13070 ゆらりと構えるドクロちゃん。でも、そのあと
011.stcm2 0x130c8 の動きはクイックです！
011.stcm2 0x13174 「うそつきって、ちがう！　ううん、必要にか
011.stcm2 0x131cc られてうそついたけども！　ドクロちゃんほど
011.stcm2 0x13224 じゃないでしょッ……！？」
011.stcm2 0x135e0 【ゴズシャッ……！】と鳴れば、僕が僕でなく
011.stcm2 0x13638 なる感覚。僕は、グラウンドに狂い咲きます。
011.stcm2 0x138bc ぴぴぴッとはねた血が計測板にかかり、あたか
011.stcm2 0x13914 もそこに誰かが手をついたかのよう。指先に血
011.stcm2 0x1396c をつけて……。ホラーです！！
011.stcm2 0x13b90 ドクロちゃん
011.stcm2 0x13bcc 「ああっ！　ごめんなさいっ！」
011.stcm2 0x13d2c ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
011.stcm2 0x13e9c 「うそは……確かに良くないね、ドクロちゃん。
011.stcm2 0x13ef8 結果として、自分の身に災いが降りかかるから」
011.stcm2 0x142d8 「サバトちゃん、お願いがあります！」
011.stcm2 0x14424 サバトちゃん
011.stcm2 0x14460 「は、はい！　な、なんですかぁ？」
011.stcm2 0x14518 「ドクロちゃんを止めてください」
011.stcm2 0x1465c サバトちゃん
011.stcm2 0x14698 「いやですぅ！　サバトには荷が重過ぎるんで
011.stcm2 0x146f0 すぅ！」
011.stcm2 0x14738 サバトちゃんは即答しました。それだけ無理な
011.stcm2 0x14790 お願いをしたのはわかっているんですが……。
011.stcm2 0x14850 「でも、この場に天使はドクロちゃんとサバト
011.stcm2 0x148a8 ちゃんしかいないんだよ？」
011.stcm2 0x149e8 サバトちゃん
011.stcm2 0x14a24 「天使でも、サバトじゃドクロちゃんを止める
011.stcm2 0x14a7c ことはできないですぅ！」
011.stcm2 0x14b2c 「サバトちゃん、それはちがうよ。あきらめた
011.stcm2 0x14b84 らね……そこでゲームは終わりなんだよッ！！
011.stcm2 0x14bdc （後半、カントク口調で）」
011.stcm2 0x14c8c 「あきらめなければ、なんとかなるんだ！　そ
011.stcm2 0x14ce4 れを今から、証明してあげる！」
011.stcm2 0x14e04 僕はドクロちゃんに向かって走っていきました。
011.stcm2 0x151dc ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
011.stcm2 0x154ac 「どうかな、サバトちゃん……」
011.stcm2 0x15530 もちろんドクロちゃんは無事、垂直跳びを思い
011.stcm2 0x15588 とどまってくれましたよ？　ええ、ごくごく平
011.stcm2 0x155e0 和的なものです。
011.stcm2 0x15630 な、なんにもなかったもん……！
011.stcm2 0x15774 サバトちゃん
011.stcm2 0x157b0 「さ、桜くん、ドクロちゃんを止めるなんてす
011.stcm2 0x15808 ごいですぅ」
011.stcm2 0x15854 サバトちゃんは、僕の勇気ある行動に感心した
011.stcm2 0x158ac ようです。それとも、度胸に感心したのでしょ
011.stcm2 0x159a0 「サバトちゃんだって、きっとできるよ」
011.stcm2 0x15aec サバトちゃん
011.stcm2 0x15b28 「うう……でも、サバトは桜くんみたいにカラ
011.stcm2 0x15b80 ダは張れないですぅ」
011.stcm2 0x15c2c 「ゆっくり、少しずつ、がんばろう？」
011.stcm2 0x15c90 若干、趣旨が変わってきた気もしますが、僕は
011.stcm2 0x15ce8 次の競技に向かうことにしました。
011.stcm2 0x1604c 続いて、垂直跳びにやってきました。
011.stcm2 0x16250 サバトちゃん
011.stcm2 0x1628c 「はいッですぅ！」
011.stcm2 0x16414 にぎやかな会場に【バシンッ！】と音がして、
011.stcm2 0x1646c サバトちゃんが垂直跳びの計測板にチョークの
011.stcm2 0x164c4 粉をつけます。
011.stcm2 0x16590 計測板の真ん中より上、結構高いところに白い
011.stcm2 0x165e8 アトがついています。
011.stcm2 0x1663c サバトちゃんは地面でかがみこんでためた力を、
011.stcm2 0x16698 伸びやかに発揮して見せてくれました。
011.stcm2 0x1677c ちらりとのぞく、その白いおなかも健康的です。
011.stcm2 0x167d8 ……えーと、サバトちゃんの場合、本当に健康
011.stcm2 0x16830 かどうかは判断に困るところではありますが。
011.stcm2 0x16918 サバトちゃんはもしかして、食料以外のなにか
011.stcm2 0x16970 を原動力にできるのかもしれないと、本気で思っ
011.stcm2 0x169cc てしまいました。
011.stcm2 0x16be4 静希ちゃん
011.stcm2 0x16c1c 「サバトちゃん、すごいね」
011.stcm2 0x16ccc 「うん」
011.stcm2 0x16d14 サバトちゃんと一緒に垂直跳びに参加していた
011.stcm2 0x16d6c のは、静希ちゃん。
011.stcm2 0x16dbc 静希ちゃんも、垂直跳びは既に終わったそうで
011.stcm2 0x16e14 す。とっても見たかった！
011.stcm2 0x16ef0 サバトちゃん
011.stcm2 0x16f2c 「どうもありがとうございましたですぅ」
011.stcm2 0x16f90 ……と、サバトちゃんも終わったようです。計
011.stcm2 0x16fe8 測員の人にていねいにお礼を言って、こちらに
011.stcm2 0x17040 向かってきます。
011.stcm2 0x17090 記録を終えて戻ってくるサバトちゃんに、僕は
011.stcm2 0x170e8 声をかけました。
011.stcm2 0x17190 「サバトちゃんもがんばってるね」
011.stcm2 0x17378 サバトちゃん
011.stcm2 0x173b4 「そ、そうですかぁ？」
011.stcm2 0x17460 「うん、僕も負けてらんないなあと思ったよ」
011.stcm2 0x174c8 僕は自分をふるい立たせながら言うと、
011.stcm2 0x17610 サバトちゃん
011.stcm2 0x1764c 「サバト、がんばったですぅ！」
011.stcm2 0x176a8 サバトちゃんは少し自信がついたようです。自
011.stcm2 0x17700 信がつくのはいいことです。特にサバトちゃん
011.stcm2 0x17758 のような境遇のコには。
011.stcm2 0x17894 サバトちゃん
011.stcm2 0x178d0 「運動した方が、お昼ご飯がおいしいですぅ！」
011.stcm2 0x17994 「そ、そうなんだ……」
011.stcm2 0x179e8 今日はサバトちゃんのお昼ご飯も、ザクロちゃ
011.stcm2 0x17a40 んが用意してくれているのです。
011.stcm2 0x17a9c それを知ったサバトちゃんは、ものすごい喜び
011.stcm2 0x17af4 ようでしたが、それがきっちりプラスの方向に
011.stcm2 0x17b4c 働いているようです。
011.stcm2 0x17c54 「じゃあ、僕も参加してこようかな」
011.stcm2 0x17e3c 静希ちゃん
011.stcm2 0x17e74 「あ、ちょっとまって桜くん」
011.stcm2 0x17f28 「え、なに？」
011.stcm2 0x17f74 静希ちゃんの声に呼び止められて、振り返りま
011.stcm2 0x18114 静希ちゃん
011.stcm2 0x1814c 「ほら、あそこ……」
011.stcm2 0x181fc 静希ちゃんが指し示した方向へ視線をずらし、
011.stcm2 0x18254 ゆっくりとピントを合わせて、
011.stcm2 0x18308 「ドクロちゃん！？」
011.stcm2 0x18524 僕の視界の先には、いかにも【垂直にとんでや
011.stcm2 0x1857c るぞっ】という感じのドクロちゃんがいました。
011.stcm2 0x185e8 さっき、ソフトボールでいろいろとしでかした
011.stcm2 0x18640 ばっかりだと言うのに……あのコは！
011.stcm2 0x186f8 「ちょっと様子を見よう。このまま先に進むこ
011.stcm2 0x18750 とはどうやらできなさそうだよ……」
011.stcm2 0x187b0 僕はのどをごくりと鳴らし、ドクロちゃんの次
011.stcm2 0x18808 の動きに注意を払いました。
011.stcm2 0x18860 静希ちゃんもサバトちゃんも、じっとドクロちゃ
011.stcm2 0x188bc んを見つめています。
011.stcm2 0x189f8 ドクロちゃん
011.stcm2 0x18a34 「いくよーーー！！」
011.stcm2 0x18a88 と構えるのはエスカリボルグ。垂直跳びに必要
011.stcm2 0x18ae0 ないアイテムのナンバーワンです。
011.stcm2 0x18bc0 「またですかッ！？　ちょ……まちなさい！」
011.stcm2 0x18c84 大急ぎでドクロちゃんに走り寄りました。
011.stcm2 0x18d40 「ドクロちゃん、そのエスカリボルグでなにす
011.stcm2 0x18d98 る気なのッ！？」
011.stcm2 0x18f70 ドクロちゃん
011.stcm2 0x18fac 「え……？　きゃっ！」
011.stcm2 0x19058 「なにその【ボク、なんでこんなの持ってる
011.stcm2 0x190b0 の？】みたいな反応は？」
011.stcm2 0x191ec ドクロちゃん
011.stcm2 0x19228 「あたり！　さっすが桜くん！　クイズ王に挑
011.stcm2 0x19280 戦しなよ！」
011.stcm2 0x19324 「あたりじゃない！　挑戦もしないよ！　クイ
011.stcm2 0x1937c ズやってるんじゃないんだからねッ！」
011.stcm2 0x193e0 そこでドクロちゃんは伏し目がちになって、僕
011.stcm2 0x19438 をちらちら。
011.stcm2 0x1956c ドクロちゃん
011.stcm2 0x195a8 「じゃあ……なにをするの……？（うっとり）」
011.stcm2 0x1966c 「垂直跳びに決まってるでしょ！　不必要にうっ
011.stcm2 0x196c8 とりした目で見つめないでよ、もう……ッ！」
011.stcm2 0x19818 ドクロちゃん
011.stcm2 0x19854 「桜くんはボクの垂直跳びでコウフンするの？」
011.stcm2 0x19918 「しない！　そんなのするもんか！」
011.stcm2 0x19978 僕の否定もドクロちゃんの耳には届かず、ドク
011.stcm2 0x199d0 ロちゃんは照れっぱなしです。
011.stcm2 0x19a2c そしてドクロちゃんの脳内の草壁桜は、コウフ
011.stcm2 0x19a84 ンに身を任せ、ドクロちゃんに……。
011.stcm2 0x19bcc ドクロちゃん
011.stcm2 0x19c08 「だめ！　そんなにされたらボクは、ボクは……
011.stcm2 0x19c64 いやあぁぁぁぁッ！！」
011.stcm2 0x1a2e0 「いけない！　今のドクロちゃんは現実と想像
011.stcm2 0x1a338 の境界が見えてなああぁぁっかッ！！」
011.stcm2 0x1a87c ドクロちゃん
011.stcm2 0x1a8b8 「ああっ、桜くんが垂直にとんじゃった！」
011.stcm2 0x1aa24 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
011.stcm2 0x1acf4 「ドクロちゃん。僕は今のジャンプで、きっと
011.stcm2 0x1ad4c 日本新を更新したよ」
011.stcm2 0x1aeac ドクロちゃん
011.stcm2 0x1aee8 「うん、あのね……ごめんなさい。それと……」
011.stcm2 0x1af54 みなまで言わなくてもわかっています。やり方
011.stcm2 0x1afac を間違ったって、やり直しはきくのが人生です。
011.stcm2 0x1b018 ドクロちゃんも、考えを改めてくれればなんの
011.stcm2 0x1b070 問題もありません。だって僕たちはまだ若いの
011.stcm2 0x1b0c8 ですから。
011.stcm2 0x1b168 「わかってくれればいいんだ。さっ、ちゃんと
011.stcm2 0x1b1c0 やろう？」
011.stcm2 0x1b34c ドクロちゃん
011.stcm2 0x1b388 「ボク、もうさっき垂直跳びやったんだった！」
011.stcm2 0x1b3f4 ドクロちゃんはニコッと天使のほほえみ。
011.stcm2 0x1b4d8 「うそッ！　このコありえない！　撲殺され損
011.stcm2 0x1b530 じゃん！！　って言うか、さっきもやったんな
011.stcm2 0x1b588 ら、さっきと同じやり方しなよ！」
011.stcm2 0x1b6cc ドクロちゃん
011.stcm2 0x1b708 「ひねってみました」
011.stcm2 0x1b89c 「くおのおおおおお！！　このアホ天使めええ
011.stcm2 0x1b8f4 えええ！！」
011.stcm2 0x1bb24 静希ちゃん
011.stcm2 0x1bb5c 「だめ！　桜くん、チョークの粉が入った箱を
011.stcm2 0x1bbb4 置いて！」
011.stcm2 0x1bc54 「止めないで静希ちゃん！　今度という今度は
011.stcm2 0x1bcac このアホな天使を、汚れない純白にしてあげる
011.stcm2 0x1bd04 んだ！」
011.stcm2 0x1be34 静希ちゃん
011.stcm2 0x1be6c 「だめ！　次の人が困っちゃう！」
011.stcm2 0x1c0bc サバトちゃん
011.stcm2 0x1c0f8 「そうですぅ！　桜くん、思いとどまってほし
011.stcm2 0x1c150 いですぅ！」
011.stcm2 0x1c19c 静希ちゃんとサバトちゃんの必死の説得でなん
011.stcm2 0x1c1f4 とか思いとどまった僕は、ゆっくりとチョーク
011.stcm2 0x1c24c の粉を置きました。
011.stcm2 0x1c310 「そうだね、迷惑をかけちゃいけないね……」
011.stcm2 0x1c430 見れば、ドクロちゃんの姿は既にありません。
011.stcm2 0x1c518 「おのれ！　次はどこへ……！？」
011.stcm2 0x1c5a0 僕は垂直跳びをするのも忘れ、ドクロちゃんを
011.stcm2 0x1c5f8 追いかけていきました。
011.stcm2 0x1c8f0 次にやってきたのはソフトボール投げ。
011.stcm2 0x1c954 僕はただ、日ごろのいろいろなものをボールに
011.stcm2 0x1c9ac 託して投げるだけ。これは、好記録が期待でき
011.stcm2 0x1ca04 そうです。
011.stcm2 0x1ca4c 見れば、計測係の人がメジャーを持って、いそ
011.stcm2 0x1caa4 がしそうに準備しています。
011.stcm2 0x1cafc これから競技がはじまるのだと思わせてくれる
011.stcm2 0x1cb54 光景です。
011.stcm2 0x1cd24 ザクロちゃん
011.stcm2 0x1cd60 「あ、桜さん。桜さんもソフトボール投げに参
011.stcm2 0x1cdb8 加するのですか？」
011.stcm2 0x1ce60 「うん。そのつもりだよ。ザクロちゃんも今か
011.stcm2 0x1ceb8 らソフトボール投げなんだね」
011.stcm2 0x1cffc ザクロちゃん
011.stcm2 0x1d038 「はい。よろしくお願いします」
011.stcm2 0x1d0ec 「へへっ、みんな個人競技だから、よろしくして
011.stcm2 0x1d148 あげられることもないけどね」
011.stcm2 0x1d288 ザクロちゃん
011.stcm2 0x1d2c4 「あ、それもそうですね……ふふ」
011.stcm2 0x1d324 ザクロちゃんがやさしくほほえんでくれると、
011.stcm2 0x1d37c 場が華やぐような気がします。
011.stcm2 0x1d3d8 それは、まるで子ども心を失っていないオトナ
011.stcm2 0x1d430 の女性のほほえみ。この感想、そのまますぎま
011.stcm2 0x1d4cc 僕はこういう平和を求めていたのです。垂直跳
011.stcm2 0x1d524 びはちょっとサツバツとしすぎました。
011.stcm2 0x1d5e0 「ところで、これからドクロちゃんがどの競技
011.stcm2 0x1d638 に参加するか知らない？」
011.stcm2 0x1d690 ドクロちゃんから目を離しちゃダメだというの
011.stcm2 0x1d6e8 は、さきほど痛感させられました。
011.stcm2 0x1d748 彼女の居場所がわからないというのは、僕に激
011.stcm2 0x1d7a0 しい不安を覚えさせるのですから。
011.stcm2 0x1d8e8 ザクロちゃん
011.stcm2 0x1d924 「ええと、わたくしと一緒にソフトボール投げ
011.stcm2 0x1d97c をすると言っていましたが……そう言えばどち
011.stcm2 0x1d9d4 らへ……」
011.stcm2 0x1db60 なんということでしょう。期せずしてドクロちゃ
011.stcm2 0x1dbbc んと同じ競技に参加することになってしまうと
011.stcm2 0x1dc5c 思いもよらない事態とは言いませんが（よくあ
011.stcm2 0x1dcb4 ることですから）、僕はここでも平和にありつ
011.stcm2 0x1dd0c くことができないようです。
011.stcm2 0x1dd64 いえ、まだ平和が終わったと決めつけるのは、
011.stcm2 0x1ddbc はやいのでは？　そうです。ドクロちゃんだっ
011.stcm2 0x1de14 て、そこまで……。
011.stcm2 0x1dfec ドクロちゃん
011.stcm2 0x1e028 「いくよーーー！！」
011.stcm2 0x1e07c 平和は【そこまで】でした。
011.stcm2 0x1e49c ドクロちゃん
011.stcm2 0x1e4d8 「ぃぃよいしょおーーー！！」
011.stcm2 0x1e6d4 バガァァァァァァンッ！
011.stcm2 0x1e7a8 「な、なァ！？」
011.stcm2 0x1e7f8 僕は見てしまいました。投球者サークルの中に
011.stcm2 0x1e850 いるドクロちゃんの姿を。よりにもよって、ド
011.stcm2 0x1e8a8 クロちゃんが一番手だったのです。
011.stcm2 0x1e9f4 「い、今、なにか見えたッ！？」
011.stcm2 0x1ea78 ザクロちゃん
011.stcm2 0x1eab4 「いえ、わたくしには……なにも」
011.stcm2 0x1ec54 ドクロちゃんの投球は牙でした。僕には猛獣が
011.stcm2 0x1ecac 口を開き、地面に突き刺さる姿が見えたのです。
011.stcm2 0x1ed18 ドクロちゃんのあまりに強すぎる気が、牙をむ
011.stcm2 0x1ed70 いたケモノの幻像を僕に見せたのでしょう。
011.stcm2 0x1edd8 牙は地面をえぐり、校庭にクレーターをつくら
011.stcm2 0x1ee30 んばかりの勢いです。
011.stcm2 0x1f118 ドクロちゃん
011.stcm2 0x1f154 「きゃはーーーーー！！　すっごーーーーい！」
011.stcm2 0x1f1c0 すごいですけど！
011.stcm2 0x1f290 「ドクロちゃん！　なにやってんの！？　もっ
011.stcm2 0x1f2e8 と上に向かって投げるの！　ドクロちゃんのは
011.stcm2 0x1f340 地面に叩きつけてるじゃん！」
011.stcm2 0x1f480 ドクロちゃん
011.stcm2 0x1f4bc 「じゃあ次、行ってみよーう！」
011.stcm2 0x1f570 「聞いてよ！」
011.stcm2 0x1f5bc まださっきの投球の計測すらしていません。み
011.stcm2 0x1f614 んなあっけに取られてしまって動けないようで
011.stcm2 0x1f6b0 もっとも、地面をえぐった球（いえ、弾と呼ぶ
011.stcm2 0x1f708 べきでしょうか？）を計測できるかどうかもわ
011.stcm2 0x1f760 かりませんが。
011.stcm2 0x1f7ac ドクロちゃんは今、とっても楽しそうです。た
011.stcm2 0x1f804 だ単純にボールを投げるという行為が、ドクロ
011.stcm2 0x1f85c ちゃんの心の奥に触れたのでしょうか。
011.stcm2 0x1f918 「ダメだ、ドクロちゃん！　約束しないなら、
011.stcm2 0x1f970 それはもう投げちゃダメ！」
011.stcm2 0x1f9c8 僕はドクロちゃんにつかみかかりました。それ
011.stcm2 0x1fa20 のいかにムボウなことか、僕は誰よりも知って
011.stcm2 0x1fa78 います。……痛いほど、狂おしいほどに。
011.stcm2 0x1fda0 ドクロちゃん
011.stcm2 0x1fddc 「はなして、桜くん！　ボクは、ボクは投げな
011.stcm2 0x1fe34 きゃいけないの！　だって、コレを投げなきゃ
011.stcm2 0x1fe8c 記録がつかないんだもん！」
011.stcm2 0x2003c 僕が肩につかみかかった状態のまま【イヤイヤ】
011.stcm2 0x20098 をするドクロちゃん。その暴れっぷりは、生半
011.stcm2 0x200f0 可なものではありません。
011.stcm2 0x20148 僕は必死で、ドクロちゃんをつかまえる腕の力
011.stcm2 0x201a0 を強くしました。
011.stcm2 0x203a0 「なんでそんなところだけ、ルールを覚えてん
011.stcm2 0x203f8 の！？　ちょっと、ドクロちゃん、暴れな……」
011.stcm2 0x2076c そこで気が付く、僕の手の中にある感触。ドク
011.stcm2 0x207c4 ロちゃんの肩をつかんでいた僕の手はいつの間
011.stcm2 0x2081c にか、ドクロちゃんの胸へ……。
011.stcm2 0x2097c 僕が気付くとほぼ同時、ドクロちゃんの動きも
011.stcm2 0x209d4 止まりました。ドクロちゃんも気付いてしまっ
011.stcm2 0x20a2c たのです。
011.stcm2 0x20c6c ドクロちゃん
011.stcm2 0x20ca8 「……いいぃぃぃぃぃやあぁぁぁぁぁッ！！」
011.stcm2 0x21228 「ぼ、僕は悪くないよ！　ドクロちゃんが暴れ
011.stcm2 0x21280 るのがいけないんだかああアァッ！！」
011.stcm2 0x2155c 鋼鉄が僕のおなかにクリーンヒット。僕は血の
011.stcm2 0x215b4 味を覚えました。これは、小学校の……鉄棒の、
011.stcm2 0x21880 ドクロちゃん
011.stcm2 0x218bc 「ああっ！　ごめんなさいっ！」
011.stcm2 0x21a1c ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
011.stcm2 0x21cf8 「ドクロちゃん、ソフトボールはやさしく投げ
011.stcm2 0x21d50 よう？」
011.stcm2 0x21e7c ドクロちゃん
011.stcm2 0x21eb8 「ソフトなだけに？（くすくす）」
011.stcm2 0x21f70 「そういう意味じゃないよ！　ソフトだろうと
011.stcm2 0x21fc8 ハードだろうと、地面を割っちゃダメって言っ
011.stcm2 0x22020 てるの！」
011.stcm2 0x22150 ドクロちゃん
011.stcm2 0x2218c 「えーと、じゃあボク、次のやってくるね！」
011.stcm2 0x2224c 「ねえ、お願いだから話聞いて？」
011.stcm2 0x22394 ドクロちゃん
011.stcm2 0x223d0 「聞いたよー。もうばっちり！」
011.stcm2 0x22484 「聞いただけでしょ！　アナタ頭に入ったの！？
011.stcm2 0x224e0 ほら、ソフトボール投げだって、あんなにやり
011.stcm2 0x22538 たがってたのに投げ出してッ！！」
011.stcm2 0x2267c ドクロちゃん
011.stcm2 0x226b8 「ソフトボール投げなだけに？（くすくす）」
011.stcm2 0x227e8 「おもしろいことなんて言ってないでしょッ！
011.stcm2 0x22840 あ、まって！　どこ行くの！？」
011.stcm2 0x228dc ドクロちゃんはくすくすと笑ったまま、どこか
011.stcm2 0x22934 へ行ってしまいました。
011.stcm2 0x229e0 「これは……このスポーツフェスティバルは大
011.stcm2 0x22a38 変だ……」
011.stcm2 0x22a80 僕は自分の使命に押しつぶされそうでした。
011.stcm2 0x22d78 第２話　もうすぐ半分です
011.stcm2 0x22e8c お昼です。太陽も昇りきり、ここからは高度を
011.stcm2 0x22ee4 下げていくのみ。
011.stcm2 0x22f34 太陽もきっと、自分は今が１番輝いていること
011.stcm2 0x22f8c を知っているのでしょう。秋にしては強めの日
011.stcm2 0x22fe4 差しがポカポカとあたたかいです。
011.stcm2 0x23044 午前中はかなり振り回されてしまった僕ですが、
011.stcm2 0x230a0 お昼休みはさすがにのんびりと過ごせそうです。
011.stcm2 0x2310c 太陽の下、校庭にしかれたレジャーシートの上。
011.stcm2 0x23168 僕たちは出されたお弁当を味わっていました。
011.stcm2 0x231d0 キレイに彩られた重箱の中の具材たち。僕たち
011.stcm2 0x23228 はそれを自分の取り皿に取り分けては、少しず
011.stcm2 0x23280 つ味わっていきます。
011.stcm2 0x2345c ザクロちゃん
011.stcm2 0x23498 「どうですか、桜さん。お口に合いますでしょ
011.stcm2 0x234f0 うか？」
011.stcm2 0x23590 「うん、そりゃもう。すごくおいしいよ」
011.stcm2 0x236b0 僕はザクロちゃんに精一杯のお礼を込めて言い
011.stcm2 0x23708 ました。ザクロちゃんがつくってくれるお弁当
011.stcm2 0x23760 はとってもおいしいのです。
011.stcm2 0x23d94 「おーいしーーザンスーーー！」
011.stcm2 0x23e48 「ザンスさんは黙っててください」
011.stcm2 0x24158 「ミィにも感想を言わせてほしいザンスよ。感
011.stcm2 0x241b0 想を言うのはつくってくれた人への礼儀ザンス
011.stcm2 0x24208 からねえ……」
011.stcm2 0x242ac 「礼儀をわきまえるなら、この前みたいに僕の
011.stcm2 0x24304 家に勝手に上がり込んだりしないでくださいよ。
011.stcm2 0x24360 チャイム鳴らしてくれればドア開けませんから」
011.stcm2 0x245ac 「勝手知ったる他人の家ザンス」
011.stcm2 0x24660 「黙れ、モヒカーン！」
011.stcm2 0x247a4 「モヒカン呼ばわりはカンベンしてほしいザン
011.stcm2 0x24840 ザンスと同じレジャーシートの上にいるのは、
011.stcm2 0x24898 とても恥ずかしいです。
011.stcm2 0x248ec だって、周囲からちらちらとした視線がここに
011.stcm2 0x24944 集まってくるのですから。
011.stcm2 0x24b78 ザクロちゃん
011.stcm2 0x24bb4 「ふふ……桜さん、たくさんありますからケン
011.stcm2 0x24c0c カしないでくださいね」
011.stcm2 0x24cb8 「ザクロちゃん、今は食べものの取りあいをし
011.stcm2 0x24d10 てたわけじゃないのですよ？」
011.stcm2 0x24dc8 ですが、ザンスのことをのぞけばとっても平和
011.stcm2 0x24e20 なのです。ベノムちゃんも誘ったのですが、い
011.stcm2 0x24e78 そがしくて来れませんでした。
011.stcm2 0x24ed4 まあベノムちゃんがいると、ドクロちゃんが逃
011.stcm2 0x24f2c げてしまって大変かもしれませんから、これで
011.stcm2 0x24f84 良かったかもしれません。
011.stcm2 0x25138 ですが、今はドクロちゃんも食べるのに夢中で、
011.stcm2 0x25194 他になにもしようとしません。
011.stcm2 0x25570 パシ！　パシ！（おはしとおはしがぶつかる音）
011.stcm2 0x25604 ときどきドクロちゃんのおはしが、僕の取り分
011.stcm2 0x2565c けたおかずに伸びてくるだけです。
011.stcm2 0x25a40 ピシ！　パシン！（おはしでおはしを迎撃）
011.stcm2 0x25bb8 そのたびに叩き落としていて、なんだか食事に
011.stcm2 0x25c10 集中できないのも事実ですが【パシパシッ！】
011.stcm2 0x25c68 ……自分の食べろよ！
011.stcm2 0x25e68 田辺さん
011.stcm2 0x25ea0 「うーん、のどかだね」
011.stcm2 0x264c4 「僕は必死です！　ザクロちゃん、今度こそ僕
011.stcm2 0x2651c は食べものの取りあいをしています！　さあ、
011.stcm2 0x26574 ドクロちゃんをいさめてください！」
011.stcm2 0x265d4 ドクロちゃんが一気に攻勢に出てきた瞬間、僕
011.stcm2 0x2662c の脇からひょいとおはしがのびてきました。
011.stcm2 0x268a0 「桜くんのおかずおいしそうね（ひょいっ）」
011.stcm2 0x269a0 「南さん！　それは僕が今、食べてたのに！」
011.stcm2 0x26be8 静希ちゃん
011.stcm2 0x26cc4 田辺さんと南さんも、お昼の支度をしていたこ
011.stcm2 0x26d1c ろに合流し、一緒にお弁当を囲んでいます。
011.stcm2 0x26d84 僕のおかずはドクロちゃんに狙われ、南さんに
011.stcm2 0x26ddc 取られ、お弁当というより僕を囲んでいるよう
011.stcm2 0x26e34 な気がします。僕包囲網です。
011.stcm2 0x26e90 そのとき意外な方向から、ひょいっと手が伸び
011.stcm2 0x26ee8 て来ました。
011.stcm2 0x26f8c 「ああー！　なんで静希ちゃんまで僕のお皿か
011.stcm2 0x26fe4 ら持っていくの！？」
011.stcm2 0x271c0 静希ちゃん
011.stcm2 0x271f8 「えっと……うん、ごめんね？　ちょっと、楽
011.stcm2 0x27250 しそうだなーって思って」
011.stcm2 0x272a8 ……気のせいでしょうか。いつもよりもちょっ
011.stcm2 0x27300 とだけ、ぴりぴりしたものを感じるのですが。
011.stcm2 0x273c0 「静希ちゃん、な、なにか怒ってる？」
011.stcm2 0x2750c 静希ちゃん
011.stcm2 0x27544 「なにを？　怒ってないよ？」
011.stcm2 0x275f8 「それならいいんだけど……」
011.stcm2 0x2785c 「おい、桜」
011.stcm2 0x27900 「どうしたんだ、宮本？」
011.stcm2 0x27a44 「サバトちゃんが変にすごいんだが、……いい
011.stcm2 0x27a9c のか？」
011.stcm2 0x27b3c 「サバトちゃんが？」
011.stcm2 0x27be8 僕は視線を、ちらとサバトちゃんに移します。
011.stcm2 0x27ecc サバトちゃん
011.stcm2 0x27f08 「はぁぁうぅ……うぅぅ……（がつがつがつ）」
011.stcm2 0x27f74 サバトちゃんはなぜか泣きながらザクロちゃん
011.stcm2 0x27fcc のつくってくれたお弁当を食べています。
011.stcm2 0x28030 むしゃむしゃと勢いよく食べる様は、つくった
011.stcm2 0x28088 人ならずとも気持ちのいいものでした。
011.stcm2 0x280ec それにしてもずっと楽しみにしていた時間とは
011.stcm2 0x28144 言え、サバトちゃんは必死です。
011.stcm2 0x281f8 「サ、サバトちゃん、ゆっくり食べなよ」
011.stcm2 0x2842c サバトちゃん
011.stcm2 0x28468 「そ、そんなことできないですぅ！　ごはんは
011.stcm2 0x284c0 逃げるものなんですぅ！（むしゃむしゃ）」
011.stcm2 0x28580 「……そうなの？　それははじめて知ったよ」
011.stcm2 0x285e8 言葉を発し終えると、すぐに食事に戻ります。
011.stcm2 0x28678 きっとサバトちゃんは、つらい思いをしたので
011.stcm2 0x286d0 しょう。ごはんが逃げるなんて、どんな経験を
011.stcm2 0x28728 すれば考えられるのか……。
011.stcm2 0x2885c 「そうだ。南さんと田辺さんは、午前中の競技
011.stcm2 0x288b4 のとき見かけなかったけど、見に来てたの？」
011.stcm2 0x28a70 田辺さん
011.stcm2 0x28aa8 「行ってないよ」
011.stcm2 0x28af8 田辺さんはしれっと、
011.stcm2 0x28d38 「吹奏楽部がいそがしかったから」
011.stcm2 0x28d98 南さんはすらっと、
011.stcm2 0x28ea8 「応援の演奏に来てくれるとか、言ってなかっ
011.stcm2 0x28f00 たっけ？」
011.stcm2 0x29004 田辺さん
011.stcm2 0x2903c 「南さん、言った？」
011.stcm2 0x29180 「ううん、覚えてない」
011.stcm2 0x291d4 ……ウソをつくのでした。
011.stcm2 0x29284 「そう……僕が悪かったです」
011.stcm2 0x292e0 僕は追及をあきらめました。だってムダだもん。
011.stcm2 0x29514 「来てほしかった？」
011.stcm2 0x295c0 「全然！　だって、見られてると失敗するタイ
011.stcm2 0x29618 プだもんね！」
011.stcm2 0x29754 「だから、それは望むところって言ったでしょ」
011.stcm2 0x29818 「ほら、覚えてる！」
011.stcm2 0x29ba0 田辺さん
011.stcm2 0x29bd8 「ドクロちゃん、午後もがんばってね」
011.stcm2 0x29d24 ドクロちゃん
011.stcm2 0x29d60 「うん！」
011.stcm2 0x29e00 「く、くそう……！」
011.stcm2 0x29f08 僕は南さんと田辺さんにキゼンとした視線を向
011.stcm2 0x29f60 けましたが、取り合ってもらえそうにありませ
011.stcm2 0x2a184 ドクロちゃん
011.stcm2 0x2a1c0 「桜くん！　午後はいつものトカチェフ見せて
011.stcm2 0x2a2dc 「できない！　そんなの絶対できない！　って
011.stcm2 0x2a334 いうか【いつもの】じゃないよッ！　いつ見た
011.stcm2 0x2a5c4 静希ちゃん
011.stcm2 0x2a5fc 「桜くん……すごいね」
011.stcm2 0x2a6a8 「ああっ！　静希ちゃんはトカチェフをご存知？
011.stcm2 0x2a704 僕、できないよ？　ドクロちゃんのウソだから
011.stcm2 0x2a884 ドクロちゃん
011.stcm2 0x2a8c0 「あ、桜くんはダブルコバチだった」
011.stcm2 0x2aa3c 「うるさい、アホ天使！　難度上がってるじゃ
011.stcm2 0x2aa94 ん！　余計できないよ！　誰だよ、ドクロちゃ
011.stcm2 0x2aaec んに男子鉄棒・決勝を見せたの！」
011.stcm2 0x2aba4 「ドクロちゃんもちょっとおもしろい名前があっ
011.stcm2 0x2ac00 たからって、その気になるんじゃありません！」
011.stcm2 0x2ac6c 【トカチェフ】とは、体操の鉄棒競技における
011.stcm2 0x2acc4 技の名称です。難度はＣ。
011.stcm2 0x2ad1c そして【ダブルコバチ】は、同じく鉄棒で難度
011.stcm2 0x2ad74 Ｄの技を２回連続で出すという技。難度はＡよ
011.stcm2 0x2adcc りＢ、ＣよりＤの方が難しいのです。
011.stcm2 0x2ae2c どうしてこの天使は、こうも余計なことばっか
011.stcm2 0x2ae84 り覚えてくるのでしょうか。というか、僕もよ
011.stcm2 0x2aedc く知ってましたね。
011.stcm2 0x2b03c ドクロちゃん
011.stcm2 0x2b078 「……ボク勘違いしちゃってたっ。桜くん、で
011.stcm2 0x2b0d0 きないんだっけ」
011.stcm2 0x2b178 「も、もうっ、ドクロちゃんってば」
011.stcm2 0x2b37c 僕はこつん、と天使のヒタイをつつきました。
011.stcm2 0x2b3d4 それだけで、きゃはっとドクロちゃんは、ほほ
011.stcm2 0x2b42c えむのです。
011.stcm2 0x2b678 ザクロちゃん
011.stcm2 0x2b6b4 「桜さん」
011.stcm2 0x2b754 「ん、ザクロちゃん、なに？」
011.stcm2 0x2b7b0 うって変わってザクロちゃんはなにやら真剣な
011.stcm2 0x2b808 面持ち。
011.stcm2 0x2b9a0 ザクロちゃん
011.stcm2 0x2b9dc 「もうすぐ、午後の部がはじまりますが、桜さ
011.stcm2 0x2ba34 んからもおねえさまに注意してあげてください
011.stcm2 0x2ba8c ませんか」
011.stcm2 0x2bb2c 「注意？　えーと、ごめん。……どれを？」
011.stcm2 0x2bb94 心当たりが多すぎて、僕には判断がつきません。
011.stcm2 0x2bce8 ザクロちゃん
011.stcm2 0x2bd24 「午前中のような行動についてです。
011.stcm2 0x2bd74 このままではあまりに他の方々にご迷惑が……」
011.stcm2 0x2be38 「確かに、あのままじゃケガ人が出なくても、
011.stcm2 0x2be90 競技がめちゃくちゃになっちゃうからね……」
011.stcm2 0x2bef8 本当に困ったコです。どうしてあんなことがで
011.stcm2 0x2bf50 きるのでしょうか？（物理的にも精神的にも）
011.stcm2 0x2bfb8 なんだかいやな予感はしますが、ドクロちゃん
011.stcm2 0x2c010 に注意する必要があるのは間違いありません。
011.stcm2 0x2c0d0 「うん、わかった。言ってみるよ」
011.stcm2 0x2c240 ザクロちゃん
011.stcm2 0x2c27c 「ありがとうございます、よろしくお願いしま
011.stcm2 0x2c374 自分の中の使命感をふるい立たせ、ドクロちゃ
011.stcm2 0x2c3cc んに声をかけます。
011.stcm2 0x2c5d4 「ねえ、ドクロちゃん」
011.stcm2 0x2c710 ドクロちゃん
011.stcm2 0x2c74c 「なーに、桜くん。もうガマンできないの？」
011.stcm2 0x2c80c 「なにを？　僕はなにを今までガマンしてたの？
011.stcm2 0x2c868 強いて言うなら、ドクロちゃんの仕打ちにガマ
011.stcm2 0x2c8c0 ンしてきましたけどねッ！！」
011.stcm2 0x2c91c あ……！　いけません。ここでカンシャクを起
011.stcm2 0x2c974 こしていたら、目的を果たせません。
011.stcm2 0x2c9d4 僕は、ドクロちゃんをいさめないといけないの
011.stcm2 0x2ca2c です。ドクロちゃんに、自重してもらわなくて
011.stcm2 0x2ca84 はいけないのですから。
011.stcm2 0x2cad8 ドクロちゃんは僕の話がウケたのか、くすくす
011.stcm2 0x2cb30 と笑っています。とってもくやしいし、非常に
011.stcm2 0x2cb88 文句を言いたいのですが、落ち着いて。
011.stcm2 0x2cc44 「ドクロちゃん、今日はもうバットを振っちゃ
011.stcm2 0x2cc9c ダメだよ」
011.stcm2 0x2cdc8 ドクロちゃん
011.stcm2 0x2ce04 「わかりました！」
011.stcm2 0x2ceac 「じゃあ、エスカリボルグをあずかるから、貸
011.stcm2 0x2cf04 してくれるかな？」
011.stcm2 0x2cf54 するとすぐに、ドクロちゃんはエスカリボルグ
011.stcm2 0x2cfac を笑顔で持ち上げ、
011.stcm2 0x2d0e4 ドクロちゃん
011.stcm2 0x2d120 「どうぞ！」
011.stcm2 0x2d430 振り下ろします！
011.stcm2 0x2d4d8 「渡すときはゆっくり！　ハサミを渡すときは、
011.stcm2 0x2d534 刃を持って、柄を相手に向けます！」
011.stcm2 0x2d638 僕は頭をかかえ、その場にしゃがみこみました。
011.stcm2 0x2d6c0 ああ……撲殺です。でも、エスカリボルグをあ
011.stcm2 0x2d718 ずかってしまえば、しばらく撲殺されずにすむ
011.stcm2 0x2d770 でしょう。
011.stcm2 0x2d7b8 そう、あきらめたときでした。
011.stcm2 0x2da28 ガキィィィィィィン……ッ！！
011.stcm2 0x2db04 「な……ッ！？」
011.stcm2 0x2db54 金属質の音色が場に響きました。
011.stcm2 0x2dc80 ザクロちゃん
011.stcm2 0x2dcbc 「おねえさま、エスカリボルグを収めてくださ
011.stcm2 0x2de1c そこに現れたのは、エスカリボルグをエッケル
011.stcm2 0x2de74 ザクスで受け止めるザクロちゃんでした。
011.stcm2 0x2ded8 抜けば玉散るエッケルザクス。飛び散る水しぶ
011.stcm2 0x2df30 きは、エッケルザクスが振るわれたアカシです。
011.stcm2 0x2e238 火花が散り、こげた空気を水しぶきが冷まして
011.stcm2 0x2e290 行くように、その場をせめぎ合いが支配しまし
011.stcm2 0x2e32c ……鋼鉄バットとぬれタオルがぶつかり合って、
011.stcm2 0x2e388 どうして火花が出たり、金属音が聞こえたりす
011.stcm2 0x2e3e0 るのでしょうか？
011.stcm2 0x2e430 天使パワーです。そうとしか言いようがありま
011.stcm2 0x2e488 せん。それで解決です。
011.stcm2 0x2e81c ドクロちゃん
011.stcm2 0x2e858 「うわーー！　ザクロちゃん、すッごーーい！」
011.stcm2 0x2e8ec ドクロちゃんはそう言うと、エスカリボルグを
011.stcm2 0x2e944 引っ込めました。
011.stcm2 0x2e994 ドクロちゃんは僕を危険にさらしたことも忘れ、
011.stcm2 0x2e9f0 自分の妹のかっこいい姿に大喜びです。
011.stcm2 0x2ea54 あやうく、僕がかっこいい姿に変えられるとこ
011.stcm2 0x2eaac ろだったというのに、悪びれる様子もありませ
011.stcm2 0x2eb48 とにかくドクロちゃんはほっといて、僕はザク
011.stcm2 0x2eba0 ロちゃんに声をかけます。
011.stcm2 0x2ed14 「ザクロちゃん、大丈夫！？　ありがとう！」
011.stcm2 0x2eda4 僕は命の恩人に声をかけます。だって、ザクロ
011.stcm2 0x2edfc ちゃんは明らかに消耗しているじゃないですか。
011.stcm2 0x2ef50 ザクロちゃん
011.stcm2 0x2ef8c 「わ、わたくしは、大丈夫です。桜さんこそご
011.stcm2 0x2efe4 無事で……」
011.stcm2 0x2f088 「うん、ザクロちゃんが助けてくれたから、な
011.stcm2 0x2f0e0 んともないよ！　ピンピンしてる」
011.stcm2 0x2f140 僕が腕を振って、無事をアピールするとザクロ
011.stcm2 0x2f198 ちゃんは、キッと表情を固めました。
011.stcm2 0x2f2fc ザクロちゃん
011.stcm2 0x2f338 「桜さん、わたくしは決めました」
011.stcm2 0x2f418 「え？　な、なにを？」
011.stcm2 0x2f554 ザクロちゃん
011.stcm2 0x2f590 「わたくしは、おねえさまを超えます！」
011.stcm2 0x2f64c 「えええええ！？」
011.stcm2 0x2f69c なにやら、ザクロちゃんは大変な決意をしてし
011.stcm2 0x2f6f4 まいました。
011.stcm2 0x2f828 ザクロちゃん
011.stcm2 0x2f864 「おねえさま！　わたくしはおねえさまに午後
011.stcm2 0x2f8bc の競技での勝負を申し込みます」
011.stcm2 0x2fb30 ドクロちゃん
011.stcm2 0x2fb6c 「いいよー」
011.stcm2 0x2fc10 「ドクロちゃん、軽い！」
011.stcm2 0x2fea4 「これはいよいよ盛り上がってきたザンス」
011.stcm2 0x2ff64 「コイツ、他人事だと思ってェェェェ！！」
011.stcm2 0x30024 ザンスもほっておきましょう。事態は混乱して
011.stcm2 0x3007c きました。
011.stcm2 0x300c4 ……僕はこの状況で、どうするべきなのでしょ
011.stcm2 0x302dc どうしますか？
011.stcm2 0x30324 １．ドクロちゃんに話しかける
011.stcm2 0x3037c ２．ザクロちゃんに話しかける
011.stcm2 0x303d4 ３．静希ちゃんに話しかける
011.stcm2 0x30428 ４．サバトちゃんに話しかける
011.stcm2 0x30480 ５．ベノムちゃんを呼んでくる
012.stcm2 0x20c これは相当デンジャラスです。僕はとにかくド
012.stcm2 0x264 クロちゃんにいやいやながらも、説明を求める
012.stcm2 0x2bc ことにしました。
012.stcm2 0x30c 特に不安なのは、ドクロちゃんの態度の軽さで
012.stcm2 0x364 す。気軽に勝負なんか受けちゃって、どうする
012.stcm2 0x3bc つもりなのでしょう。
012.stcm2 0x410 ホントになんにも考えていないんだからッ、と
012.stcm2 0x468 いう言葉を飲み込んでドクロちゃんに尋ねます。
012.stcm2 0x68c 「ドクロちゃん、どういうことですか？　なん
012.stcm2 0x6e4 でザクロちゃんと争うの？」
012.stcm2 0x83c ドクロちゃん
012.stcm2 0x878 「桜くん、しっ！　……今、ザクロちゃんが、
012.stcm2 0x8d0 大人になろうとしてるの。これはそのために必
012.stcm2 0x928 要なんだよ」
012.stcm2 0x9f4 「そ、そんな深い考えが……」
012.stcm2 0xa50 僕は、ドクロちゃんを誤解していたのかもしれ
012.stcm2 0xaa8 ません。
012.stcm2 0xaf0 ドクロちゃんはドクロちゃんなりに、いろいろ
012.stcm2 0xb48 と考えているものだと思い知らされました。
012.stcm2 0xbb0 確かに、ザクロちゃんはまだまだ子ども。それ
012.stcm2 0xc08 が１つ大人の階段を上がろうとしているのです。
012.stcm2 0xc74 おねえさんというのは、なるほど１番身近な壁
012.stcm2 0xccc です。それを乗り越えようと挑むのは、宿命な
012.stcm2 0xd24 のかもしれません。
012.stcm2 0xd74 僕は、１人っ子ゆえにそんな基本のことも忘れ
012.stcm2 0xdcc てしまっていたようです。
012.stcm2 0xe24 これはケンカではありません。ザクロちゃんの
012.stcm2 0xe7c ための、試練なのですから。
012.stcm2 0xf54 「僕が間違ってた。僕、ドクロちゃんのおねえ
012.stcm2 0xfac さんらしいところってはじめて見たよ」
012.stcm2 0x10f4 ドクロちゃん
012.stcm2 0x1130 「まかせて！」
012.stcm2 0x117c ドクロちゃんは、その豊かすぎる胸を張って、
012.stcm2 0x11d4 ほめてほめてオーラを出しています。
012.stcm2 0x1234 僕はドクロちゃんの頭を適当になでながら、声
012.stcm2 0x128c をかけます。
012.stcm2 0x1330 「うん。それじゃあがんばってね、どっちも
012.stcm2 0x1388 応援してるから」
012.stcm2 0x1498 ドクロちゃんは腕が鳴るとでも言いたげに、腕
012.stcm2 0x14f0 をぶんぶん振り回しています。
012.stcm2 0x1720 ドクロちゃんの腕の周りにはつむじ風が発生し
012.stcm2 0x1778 ており、触れるものをみんな傷つけるナイフの
012.stcm2 0x17d0 ようです。
012.stcm2 0x1818 これはただで済みそうにないので、今は黙って
012.stcm2 0x1870 見守ることにしましょう。
012.stcm2 0x18c8 その姿にドクロちゃんはザクロちゃんのために
012.stcm2 0x1920 がんばるつもりなんだな、と感心しました。
012.stcm2 0x1988 それでも僕は思わずにはいられないのです。
012.stcm2 0x19e0 【ザクロちゃん、がんばって】と。
012.stcm2 0x1a40 ザクロちゃんのおねえさんは、想像を絶する、
012.stcm2 0x1a98 とてつもない壁なのですから……。
012.stcm2 0x1ea8 僕はとりあえず、ザクロちゃんをなだめようと
012.stcm2 0x1f00 思います。
012.stcm2 0x1fa0 「ザクロちゃん、急にどうしたんですか？」
012.stcm2 0x2008 内心穏やかでない僕ですが、自分でも驚くほど
012.stcm2 0x2060 冷静に問いかけることに成功しました。
012.stcm2 0x21ac ザクロちゃん
012.stcm2 0x21e8 「おねえさまに、わたくしの成長を見ていただ
012.stcm2 0x2240 くのです」
012.stcm2 0x22e0 「ザクロちゃんの成長？」
012.stcm2 0x2420 ザクロちゃん
012.stcm2 0x245c 「はい。おねえさまはわたくしのことを、まだ
012.stcm2 0x24b4 まだ子どもだとばかり思っています」
012.stcm2 0x25fc ザクロちゃん
012.stcm2 0x2638 「わたくしも大人になったのだと、おねえさま
012.stcm2 0x2690 に知っていただかなくてはいけません」
012.stcm2 0x274c 「ザクロちゃんが大人になったと知って、ドク
012.stcm2 0x27a4 ロちゃんはどうなるの？」
012.stcm2 0x28e4 ザクロちゃん
012.stcm2 0x2920 「そうすれば、わたくしの言葉も少しは聞き入
012.stcm2 0x2978 れていただけるはずです」
012.stcm2 0x29d0 簡単に言うと、ドクロちゃんがザクロちゃんの
012.stcm2 0x2a28 言うことを聞いてもらえないので困っています、
012.stcm2 0x2a84 ということでしょう。
012.stcm2 0x2ad8 ザクロちゃんは今、大人と子どもの境界でゆれ
012.stcm2 0x2b30 ている、多感な時期なのです。
012.stcm2 0x2b8c ９歳にしてはちょっとはやい気もしますが、ザ
012.stcm2 0x2be4 クロちゃんはとっても大人な身体の持ち主。
012.stcm2 0x2c4c きっと毎日心が身体に追いつこうと、必死に成
012.stcm2 0x2ca4 長しているのです。
012.stcm2 0x2d4c 「理由はわかったけど……ドクロちゃんに勝て
012.stcm2 0x2da4 るの？」
012.stcm2 0x2ed4 ザクロちゃん
012.stcm2 0x2f10 「……そればかりは、わかりません。ですが、
012.stcm2 0x2f68 負けるつもりもありません」
012.stcm2 0x2fc0 ザクロちゃんは完全にやる気です。ですがドク
012.stcm2 0x3018 ロちゃんは、やる気だけで勝てる相手でないの
012.stcm2 0x3070 も事実です。
012.stcm2 0x30bc ドクロちゃんははっきり言って、頭を使うもの
012.stcm2 0x3114 以外はなんでも強いのです。それも凶悪なほど
012.stcm2 0x3298 ザクロちゃん
012.stcm2 0x32d4 「問題は、おねえさまが勝負で本気を出したら、
012.stcm2 0x3330 皆さんに迷惑がかかってしまうような事態になっ
012.stcm2 0x338c てしまうかもしれないことでしょうか……」
012.stcm2 0x344c 「そ、そうだよ！　ドクロちゃんが本気を出し
012.stcm2 0x34a4 たら、いろいろコッパミジンだよ！」
012.stcm2 0x36d8 田辺さん
012.stcm2 0x3710 「桜くんが身体を張ってなんとかするしかない
012.stcm2 0x3768 んじゃない？」
012.stcm2 0x3834 「田辺さん、身体を張るのが僕だからって、
012.stcm2 0x388c 気楽に言わないで？」
012.stcm2 0x38e0 田辺さんが話を聞きつけて、言葉をはさんでき
012.stcm2 0x3938 ました。
012.stcm2 0x3980 そして、その言葉は僕が不死身であることが前
012.stcm2 0x39d8 提で話されています。
012.stcm2 0x3ae8 田辺さん
012.stcm2 0x3b20 「だって、桜くんは男子でしょう？」
012.stcm2 0x3bd8 「しまった！　【男の子でしょ】が発動された！
012.stcm2 0x3c34 それを言われたらなにも反論できない！」
012.stcm2 0x3c98 そうだ！　男子は僕の他にもまだ宮本が……い
012.stcm2 0x3cf0 え、きっとだめでしょう。
012.stcm2 0x3d48 きっと宮本に話を振っても【ドクロちゃん係だ
012.stcm2 0x3da0 から】とかいう理由で、僕に押し付けられるに
012.stcm2 0x3df8 決まってます。まさに八方ふさがりです。
012.stcm2 0x3f44 ザクロちゃん
012.stcm2 0x3f80 「桜さん……もしものときはよろしくお願いし
012.stcm2 0x4074 「もしものとき！？　そんなのあるの！？　い
012.stcm2 0x40cc や、それよりも僕が身体を張ることで話が確定
012.stcm2 0x4124 してる！？」
012.stcm2 0x4170 僕はふるえ上がります。それは僕が武者だから
012.stcm2 0x41c8 でも寒いからでもなく、純粋な恐怖からにちが
012.stcm2 0x4220 いありません。
012.stcm2 0x4388 今後の展開予測。その、いくつものパターンが、
012.stcm2 0x43e4 僕の頭の中を流れていきます。
012.stcm2 0x44a8 頭の中に生まれた、近未来僕。それは僕のココ
012.stcm2 0x4500 ロの中にだけ生きる、ちょっと先の僕の姿。
012.stcm2 0x4590 僕の頭の中には、何人もの僕がさまざまな事態
012.stcm2 0x45e8 の対応に追われている姿が浮かび上がっていま
012.stcm2 0x4f70 それらはビデオの早回しのように、ノイズまじ
012.stcm2 0x4fc8 りでありながらも急速に流れていき、
012.stcm2 0x5140 「はッ！？　ぜ、全滅だ！！」
012.stcm2 0x51c4 失敗が予測されました。
012.stcm2 0x5218 未来は僕に語りかけてくるのです。【あきらめ
012.stcm2 0x5270 なよ】と。
012.stcm2 0x5468 ザクロちゃん
012.stcm2 0x54a4 「どうしました？　桜さん」
012.stcm2 0x54fc 汗ばみながら立ち尽くす僕を見て、ザクロちゃ
012.stcm2 0x5554 んは不思議そうに声をかけます。
012.stcm2 0x55b0 その瞳はきょとんとしていて、いつものザクロ
012.stcm2 0x5608 ちゃんです。
012.stcm2 0x56ac 「ザクロちゃん……本当に、がんばってくださ
012.stcm2 0x5704 い。ドクロちゃんを止められるのは、きっとザ
012.stcm2 0x575c クロちゃんだけだと思います」
012.stcm2 0x5b0c この状況を相談できるのは、僕と同じ常識人の
012.stcm2 0x5b64 静希ちゃんしかいません！
012.stcm2 0x5c14 「静希ちゃん、この状況どう思う？」
012.stcm2 0x5d5c 静希ちゃん
012.stcm2 0x5d94 「うん。ザクロちゃん、どうしたのかな……？」
012.stcm2 0x5e00 静希ちゃんの反応はごくごく普通の人のもの。
012.stcm2 0x5e58 そう、普通でいいんです、普通で。変なのに慣
012.stcm2 0x5eb0 れちゃいけないんです！
012.stcm2 0x5fec 静希ちゃん
012.stcm2 0x6024 「どうしよう……桜くん、止められる？」
012.stcm2 0x60e0 「さすがに無理」
012.stcm2 0x6130 天使の姉妹が勝負……考えただけでも恐ろしい
012.stcm2 0x6188 ではないですか。僕はそんなところに立ち入り
012.stcm2 0x61e0 たくありません。
012.stcm2 0x6230 ああっ、でも静希ちゃんが願ってくれるなら、
012.stcm2 0x6288 なんとかしますよ？　ええ、もちろん。
012.stcm2 0x63d4 静希ちゃん
012.stcm2 0x640c 「ザクロちゃん本気みたいだけど大丈夫かな？」
012.stcm2 0x64d0 「唯一の救いは、スポーツフェスティバルの競
012.stcm2 0x6528 技で勝負するってことだけど……」
012.stcm2 0x6588 ドクロちゃんが参加した競技は、普通の競技で
012.stcm2 0x65e0 あるにも関わらず、ことごとくメチャクチャに
012.stcm2 0x6638 なりました。
012.stcm2 0x66a0 ことごとくが、メチャクチャに。
012.stcm2 0x6798 ……僕はひっそりと考えていたんです。
012.stcm2 0x67fc このスポーツフェスティバルで、静希ちゃんに
012.stcm2 0x6854 【桜くんってやっぱり男の子なんだね】って思っ
012.stcm2 0x68b0 てもらおうって。
012.stcm2 0x6900 いいところ、見せようって。それなのに……そ
012.stcm2 0x6958 れなのに、僕が静希ちゃんに見せたのは、なす
012.stcm2 0x69b0 すべなく撲殺されるところくらいです。
012.stcm2 0x6b4c 静希ちゃん
012.stcm2 0x6b84 「垂直跳び、大変だったね」
012.stcm2 0x6bdc 静希ちゃんのため息まじりの言葉。不安や切な
012.stcm2 0x6c34 さのようなものを含んだそれも、静希ちゃんを
012.stcm2 0x6c8c 引き立てます。
012.stcm2 0x6cd8 ですが、今の僕にはそんな言葉も耳に入らなく
012.stcm2 0x6d30 なっていました。
012.stcm2 0x6e00 「ホントに、全部メチャクチャに……ホントに、
012.stcm2 0x6e5c もおおおォォぅうぅぅぅぁぁあアア……ッ！！」
012.stcm2 0x6ec8 一度思い出してしまうと、歯止めがきかなくなっ
012.stcm2 0x6f24 てしまいました。スポーツフェスティバルだけ
012.stcm2 0x6f7c の話じゃありません。
012.stcm2 0x6fd0 今までの撲殺のすべてが思い出されます。尋常
012.stcm2 0x7028 ではない数の撲殺シーンが、僕の頭の中を一息
012.stcm2 0x7080 に流れて行きます。
012.stcm2 0x70d0 でも泣きません。静希ちゃんの前ではつらくて
012.stcm2 0x7128 も泣かないぞ！　男の子は人前で泣かないんだ！
012.stcm2 0x7230 そこで僕は空を見上げました。だってこうすれ
012.stcm2 0x7288 ば、涙はこぼれないでしょ？　このシステムを
012.stcm2 0x72e0 考えた人は、天才にちがいありません。
012.stcm2 0x736c 静希ちゃん
012.stcm2 0x73a4 「さ、桜くん、どうしたの？　空になにかある
012.stcm2 0x7498 「うん……空って、なんで青いのかなって」
012.stcm2 0x7500 こんなロマンチックな僕、どうですか？
012.stcm2 0x7564 静希ちゃんはきっと、いつもとちがう僕に少し
012.stcm2 0x75bc とまどいながらも、ドキッとしていることでしょ
012.stcm2 0x765c それが【意外な一面】の魔力。こんなものを使
012.stcm2 0x76b4 いこなすなんて、僕には魔法使いの素質が……？
012.stcm2 0x7720 僕は上を向きながら、ちらりと静希ちゃんに視
012.stcm2 0x7778 線を流しました。その横には南さんが立ってい
012.stcm2 0x7a04 「空が青いのは、光の波長のせい」
012.stcm2 0x7abc 「……それは教えてほしくなかったよ、南さん」
012.stcm2 0x7d18 僕は状況についていけなくなってきました。
012.stcm2 0x7d80 そう、この状況を相談できるとしたらやっぱり
012.stcm2 0x7dd8 天使です。僕もいい加減、解説がほしいのです。
012.stcm2 0x7ffc 「サバトちゃん。この状況、おかしいよね？」
012.stcm2 0x8174 サバトちゃん
012.stcm2 0x81b0 「サバトは見てなかったからわからないですぅ。
012.stcm2 0x820c なにかあったですかぁ？」
012.stcm2 0x8264 ああっ、ダメです！　サバトちゃんはお弁当に
012.stcm2 0x82bc 夢中でした！
012.stcm2 0x8308 サバトちゃんの天秤では、お弁当こそが最も重
012.stcm2 0x8360 いのです。まさか、周りでこれだけ騒いでも気
012.stcm2 0x83b8 付いてなかったとは思いませんでしたが。
012.stcm2 0x841c きっとサバトちゃんは、自分の周りでガス爆発
012.stcm2 0x8474 があってもお弁当を食べ続けることでしょう。
012.stcm2 0x8534 「あのね、サバトちゃん。ザクロちゃんが、ド
012.stcm2 0x858c クロちゃんに挑戦するんだ、って言って大騒ぎ
012.stcm2 0x85e4 なんだ。わかる？」
012.stcm2 0x871c サバトちゃん
012.stcm2 0x8758 「えーと……？」
012.stcm2 0x87a8 サバトちゃんの視線が宙をふらふら。わかって
012.stcm2 0x8800 ません！　サバトちゃんは絶対に理解してない
012.stcm2 0x889c 恐らくは、久しぶりにおなかに収めた食べもの
012.stcm2 0x88f4 の消化にいそがしくて、頭に血が回っていない
012.stcm2 0x894c のでしょう。
012.stcm2 0x89f0 「サバトちゃん、ドクロちゃんが暴れ出したら
012.stcm2 0x8a48 また午前の繰り返しだよ。一緒になんかいい手
012.stcm2 0x8aa0 を考えてよ」
012.stcm2 0x8bd4 サバトちゃん
012.stcm2 0x8c10 「はぁ……午前ですかぁ」
012.stcm2 0x8ce8 「（パンパンパン！）起きて！　サバトちゃん
012.stcm2 0x8d40 起きて！」
012.stcm2 0x8d88 僕はサバトちゃんの顔の前で手を叩きました。
012.stcm2 0x8df0 サバトちゃんだって、あの垂直跳びの現場を見
012.stcm2 0x8e48 ていたのです。これからどんなことが起きるか、
012.stcm2 0x8ea4 わかりそうなものじゃないですか！
012.stcm2 0x8fec サバトちゃん
012.stcm2 0x9028 「なんですかぁ？　いくらサバトでも、さすが
012.stcm2 0x9080 にもう食べられないですぅ」
012.stcm2 0x9130 「目を覚まして！　僕とサバトちゃんは【ドク
012.stcm2 0x9188 ロちゃんにヒドイ目にあわされた連合】のキズ
012.stcm2 0x91e0 ナで、結ばれているはず！」
012.stcm2 0x9238 僕は力説に力説を繰り返します。
012.stcm2 0x937c サバトちゃん
012.stcm2 0x93b8 「うーんとぉ……触らぬ天使にたたりはないで
012.stcm2 0x9454 寝ぼけた意見が出ました。
012.stcm2 0x9504 「ちょっと、アナタも天使でしょ！　思い出し
012.stcm2 0x955c て！　カミサマのつかいなんでしょ！」
012.stcm2 0x96c4 サバトちゃん
012.stcm2 0x9700 「そ、そうですぅ！　サバトは、未来で桜くん
012.stcm2 0x99c8 ずぱんッ！　ずぱぱぱぱぱぱぱぱぱッ！！
012.stcm2 0x9a84 「ちがう！　それはもういいですッ！」
012.stcm2 0x9bec サバトちゃん
012.stcm2 0x9c28 「そ、そうでしたぁ！」
012.stcm2 0x9ca4 サバトちゃんは、はっと我に返って、その凶暴
012.stcm2 0x9cfc な電化製品の電源を切りました。
012.stcm2 0x9d58 相当な重症です。ベノムちゃんの健康診断を受
012.stcm2 0x9db0 けたあとでも、ここまでヒドくなかった気がす
012.stcm2 0x9e08 るのですが……。
012.stcm2 0x9eb0 「触らない天使に、たたりはないな……」
012.stcm2 0x9f70 僕は、しばらくサバトちゃんをほっておくこと
012.stcm2 0x9fc8 にしました。
012.stcm2 0xa1d0 これは……ベノムちゃんの出番でしょうか？
012.stcm2 0xa238 ドクロちゃんが逃げてしまえば、この場はうや
012.stcm2 0xa290 むやになるはず……。これは、いい考えです！
012.stcm2 0xa2f8 ですが、ベノムちゃんはドクロちゃんに逃げら
012.stcm2 0xa350 れてしまうことを、少なからず悲しんでいます。
012.stcm2 0xa3ac 彼女は、とってもやさしいコだから。
012.stcm2 0xa40c それは僕にとって、ためらわれる選択でした。
012.stcm2 0xa464 ベノムちゃんを傷つけてしまうからです。
012.stcm2 0xa4c8 ドクロちゃんを逃がす前提でベノムちゃんを呼
012.stcm2 0xa520 ぶなんてこと、するしかないのか……ッ！？
012.stcm2 0xa710 静希ちゃん
012.stcm2 0xa748 「さ、桜くん！？　どこに行くの！？」
012.stcm2 0xa804 「ベノムちゃんを呼んでくる！」
012.stcm2 0xa8bc もうこの状況を打開できるのは、ベノムちゃん
012.stcm2 0xa914 だけなのです。
012.stcm2 0xa960 僕は走りました。救護員席へ、決意が揺らぐ前
012.stcm2 0xa9b8 にたどり着くために。
012.stcm2 0xab08 「ベノムちゃん、いる！？」
012.stcm2 0xace8 ベノムちゃん
012.stcm2 0xad24 「桜殿、どうされました！？　まさか、おケガ
012.stcm2 0xad7c をなさったでありますか？」
012.stcm2 0xaf20 「ち、ちがッ……ぁぁぉッ！（身体をそらせて
012.stcm2 0xaf78 ベノムちゃんの手をよけながら）」
012.stcm2 0xb058 すぐに反応したベノムちゃんは、僕に駆け寄っ
012.stcm2 0xb0b0 て、あわやタッチ！！　僕はむしろベノムちゃ
012.stcm2 0xb108 んの反応に対して、すぐに反応しました。
012.stcm2 0xb1ac ふぅーーー、あぶなく【ここが救護員席でよかっ
012.stcm2 0xb208 たね】とかいう展開になるところでした。
012.stcm2 0xb354 ベノムちゃん
012.stcm2 0xb390 「さ、桜殿……？」
012.stcm2 0xb438 「ううん、なんでもない。僕の動きは気にしな
012.stcm2 0xb4d4 本当にあぶないところです。もう少しで僕も、
012.stcm2 0xb52c ベノムちゃんのやさしさにやられてしまうとこ
012.stcm2 0xb584 ろでした。
012.stcm2 0xb6dc ベノムちゃん
012.stcm2 0xb718 「して……おケガではないとすると、なにか自
012.stcm2 0xb770 分にご用事でありますか？」
012.stcm2 0xb7c8 ベノムちゃんはきょとんとしながら言いました。
012.stcm2 0xb88c 「あ、そうだった！　ドクロちゃんとザクロちゃ
012.stcm2 0xb8e8 んが勝負するとか言いだしちゃって、大変なん
012.stcm2 0xba6c ベノムちゃん
012.stcm2 0xbaa8 「お２人が？　それは大変であります！　ケガ
012.stcm2 0xbb00 人の程度はいかほどでありますか？」
012.stcm2 0xbbb8 「ケガ人はまだ出てないよ。なんか午後の競技
012.stcm2 0xbc10 で勝負するって言ってたから。ケガ人が出る前
012.stcm2 0xbc68 に、ベノムちゃんに仲裁してほしいんだ」
012.stcm2 0xbccc サバトちゃんではあの２人に割り込めません。
012.stcm2 0xbd24 他にこの辺で天使と言えば、ピンクの変態とベ
012.stcm2 0xbd7c ノムちゃんしかいないのです。
012.stcm2 0xbdd8 そして、ピンクの方は完全に他人事のように振
012.stcm2 0xbe30 舞っていました。本当に使えないヤツです。
012.stcm2 0xbe98 ですが、僕の目の前にいるベノムちゃんもまた、
012.stcm2 0xbef4 申し訳なさそうにちぢこまりながら言いました。
012.stcm2 0xc048 ベノムちゃん
012.stcm2 0xc084 「む、申し訳ないであります。自分は救急以外
012.stcm2 0xc0dc で、ここを離れるわけにはいかないであります」
012.stcm2 0xc1a0 「うん！　はやく戻らなきゃ。急ご……あれ？」
012.stcm2 0xc20c それは、予想だにしない一言でした。
012.stcm2 0xc37c ベノムちゃん
012.stcm2 0xc3b8 「今、救護員が全員出払っているであります。
012.stcm2 0xc410 ここには自分しかおりませんので、離れられな
012.stcm2 0xc468 いでありますよ」
012.stcm2 0xc4b8 これは計算外です。ベノムちゃんが来てくれな
012.stcm2 0xc510 いとなると、どうすれば……？
012.stcm2 0xc5ac 僕が考えていると、ベノムちゃんが続けて言い
012.stcm2 0xc604 ました。
012.stcm2 0xc75c ベノムちゃん
012.stcm2 0xc798 「ですが、もしおケガをなさった場合は別であ
012.stcm2 0xc7f0 ります。自分がすぐさま駆けつけるので、お呼
012.stcm2 0xc848 びください！」
012.stcm2 0xc8ec 「あ、ありがとう……それじゃあね」
012.stcm2 0xc94c 僕はベノムちゃんに手を振りました。
012.stcm2 0xc9ac 本当に頼りになる子です。でも頼ると、みんな
012.stcm2 0xca04 彼女のやさしさにやられてしまうのです。
012.stcm2 0xcac4 コロッとやられてしまう自分の姿を思い浮かべ
012.stcm2 0xcb1c ながら、僕はしぶしぶ救護員席を離れました。
012.stcm2 0xce14 第２話　盛り上がりですね
012.stcm2 0xcf28 結局、なんの解決も見ないまま、話は進んでし
012.stcm2 0xcf80 まいました。
012.stcm2 0xcfcc ザクロちゃんはドクロちゃんとなにやら話をし
012.stcm2 0xd024 ていますが、それが勝負の中止などの内容では
012.stcm2 0xd07c ないことは明らかです。
012.stcm2 0xd0d0 困り果てた僕に静希ちゃんがまるで、肩に羽が
012.stcm2 0xd128 ふわりと降りてくるかのように、やさしく語り
012.stcm2 0xd180 かけました。
012.stcm2 0xd354 静希ちゃん
012.stcm2 0xd38c 「桜くん。とりあえず、ザクロちゃんに任せて
012.stcm2 0xd3e4 みない？」
012.stcm2 0xd484 「ザクロちゃんに？」
012.stcm2 0xd5bc 静希ちゃん
012.stcm2 0xd5f4 「だって、ドクロちゃんのことが１番わかるのっ
012.stcm2 0xd650 てザクロちゃんでしょう？」
012.stcm2 0xd790 静希ちゃん
012.stcm2 0xd7c8 「私はおねえさんもおにいさんもいないから、
012.stcm2 0xd820 よくわからないけど、ザクロちゃんにもきっと、
012.stcm2 0xd87c 妹として大切なことがあると思うの」
012.stcm2 0xd934 「静希ちゃん……」
012.stcm2 0xd984 僕は心の中でうなずきました。
012.stcm2 0xd9e0 僕にもおねえさんやおにいさんはいません。そ
012.stcm2 0xda38 れでも、ザクロちゃんという【妹】を近くで見
012.stcm2 0xda90 ていたのです。
012.stcm2 0xdadc 草壁家で共に過ごした時間を思い出します。そ
012.stcm2 0xdb34 れは長くはないけれど、決して短くもない時間
012.stcm2 0xdb8c でした。
012.stcm2 0xdbd4 ザクロちゃんは、家族です。そして、僕の妹も
012.stcm2 0xdc2c 同然です。
012.stcm2 0xdc74 そう、僕はザクロちゃんのおにいさんなのです。
012.stcm2 0xdcd0 それを、静希ちゃんが思い出させてくれました。
012.stcm2 0xdd3c ザクロちゃんを見守る立場にあったのに、それ
012.stcm2 0xdd94 さえも忘れて、ザクロちゃんに頼ってばっかり
012.stcm2 0xddec でした。
012.stcm2 0xde34 草壁桜は、妹であるザクロちゃんの成長を喜び、
012.stcm2 0xde90 その挑戦を見届けるべきなのです。
012.stcm2 0xdf48 「静希ちゃん。僕は大切なことを思い出した気
012.stcm2 0xdfa0 がするよ」
012.stcm2 0xe0d0 静希ちゃん
012.stcm2 0xe108 「そうなの？」
012.stcm2 0xe1ac 「うん。僕はザクロちゃんを信じる」
012.stcm2 0xe528 僕は視線を２人に戻しました。ザクロちゃんな
012.stcm2 0xe580 ら、きっとやりとげてくれると信じて。
012.stcm2 0xe5e4 きっと、どんな結果になっても、この経験でま
012.stcm2 0xe63c た成長したザクロちゃんを見せてくれることで
012.stcm2 0xe694 しょう。
012.stcm2 0xe6f8 そして、ザクロちゃんの声が聞こえます。
012.stcm2 0xe86c ザクロちゃん
012.stcm2 0xe8a8 「それでは、種目はおねえさまが決めてくださ
012.stcm2 0xea2c ドクロちゃん
012.stcm2 0xea68 「ボクは障害物走で、桜くんと対戦かな」
012.stcm2 0xebb4 ザクロちゃん
012.stcm2 0xebf0 「わかりました」
012.stcm2 0xec40 ドクロちゃんは残りの競技の中から、１つを選
012.stcm2 0xec98 びました。なかなかシブイ選択です。
012.stcm2 0xecf8 そして、予定表によると障害物走はかなり後半
012.stcm2 0xed50 にならないとはじまりません。まさに決戦っぽ
012.stcm2 0xeda8 いじゃないですか。
012.stcm2 0xedf8 ええ、障害物走というのは単純に見えて、難し
012.stcm2 0xee50 いのです。
012.stcm2 0xee98 ピッチとストライドは練習を重ねて調整しつつ、
012.stcm2 0xeef4 フォームを構成しなくてはなりません、対戦相
012.stcm2 0xef4c 手の僕は今からドキドキ……。
012.stcm2 0xf01c 「……って、え？」
012.stcm2 0xf278 田辺さん
012.stcm2 0xf2b0 「桜くん、ご指名だよ」
012.stcm2 0xf3c4 「ぼ、僕ゥッ！？　なんで僕がドクロちゃんと
012.stcm2 0xf41c 争わなきゃいけないの！？」
012.stcm2 0xf4cc 「イヤだよ！　ちがうでしょ！？　ドクロちゃ
012.stcm2 0xf524 んとザクロちゃんが、健全にスポーツで決着つ
012.stcm2 0xf57c けるんでしょ！？」
012.stcm2 0xf7b8 ザクロちゃん
012.stcm2 0xf7f4 「しかし……」
012.stcm2 0xf898 「しかしなにッ！？　ザクロちゃんはなんでそ
012.stcm2 0xf8f0 の提案を受け入れちゃってるの！？　冷静にな
012.stcm2 0xf948 ろうよ！」
012.stcm2 0xf990 どうしてこんな答えが出たのかがわかりません。
012.stcm2 0xf9fc 例えるなら、ドクロちゃんがやった数学のテス
012.stcm2 0xfa54 トの答えくらい、途中の計算方法がわからない
012.stcm2 0xfaac のです。
012.stcm2 0xfaf4 どうして三角形の角度を聞かれて【れもん２３
012.stcm2 0xfb4c こぶん】とかいう答えが出るのでしょう？（当
012.stcm2 0xfba4 然バツです）まったく意味がわかりません。
012.stcm2 0xfc0c レモンが単位になるのはビタミンＣのときだけ
012.stcm2 0xfc64 ですよ、まったく。
012.stcm2 0xfcb4 いえ、それは今どうでもいいのです。
012.stcm2 0xfe20 「ねえ、みんな聞いて？　……聞くんだ！　状
012.stcm2 0xfe78 況をよく頭の中で整理してみて！？」
012.stcm2 0x10110 「っていうかドクロちゃん！　これはザクロちゃ
012.stcm2 0x1016c んが大人になるための試練なんでしょ！　なん
012.stcm2 0x101c4 で僕と戦うの！？」
012.stcm2 0x102fc ドクロちゃん
012.stcm2 0x10338 「桜くんってば、いっつも先生のことを【お父
012.stcm2 0x10390 さん】【お母さん】って呼びそうになるよねー」
012.stcm2 0x10454 「いっつもじゃない！　最後に言っちゃったの
012.stcm2 0x104ac は小学校４年生のときです！」
012.stcm2 0x10564 僕の恥ずかしい過去をあさって、ドクロちゃん
012.stcm2 0x105bc は話をそらします。
012.stcm2 0x107b8 「そして、そこのキサマ！　【これはおもしろ
012.stcm2 0x10810 いことになってきたザンス】って顔はやめるん
012.stcm2 0x10a90 「桜くん、真剣勝負に四の五の言わないで」
012.stcm2 0x10b50 「まだ勝負にすらなってないでしょ？　みんな、
012.stcm2 0x10bac どうして僕をおとしいれようとするのですか？」
012.stcm2 0x10e04 ザクロちゃん
012.stcm2 0x10e40 「桜さんはわたくしの代理人に選ばれたのです。
012.stcm2 0x10e9c 桜さんの敗北が、わたくしの敗北なのです」
012.stcm2 0x10f5c 「僕が代理人に選ばれる過程が、わからないっ
012.stcm2 0x10fb4 て言ってるんです！」
012.stcm2 0x11264 「宮本ッ！　そうだ、宮本、みんなを止めてく
012.stcm2 0x112bc れ！　みんながおかしいんだ！」
012.stcm2 0x11400 「あー……いや、まあいいんじゃないか？」
012.stcm2 0x114c0 「み、宮本まで……」
012.stcm2 0x11600 「だって、これも【ドクロちゃん係】の仕事
012.stcm2 0x11658 だろ？　桜がやるしかないじゃないか」
012.stcm2 0x11714 「またか！　ウチのクラスのやつらはみんなそ
012.stcm2 0x1176c うだ！　なにか困ったらすぐ【ドクロちゃん係】
012.stcm2 0x117c8 の話を出せば解決すると思ってる！」
012.stcm2 0x11828 もちろん、静希ちゃんは別ですが、みんな僕に
012.stcm2 0x11880 ドクロちゃんのことを押しつけるのです！
012.stcm2 0x11ab8 静希ちゃん……？
012.stcm2 0x11b08 僕は憤りを通り越してあきれはじめたとき、あ
012.stcm2 0x11b60 ることに気が付きました。
012.stcm2 0x11c54 ……これは、チャンス？
012.stcm2 0x11ca8 僕は静希ちゃんに、かっこいいところを見せた
012.stcm2 0x11d00 いのです。
012.stcm2 0x11d48 ここで頭脳を駆使してあれこれ言うのは簡単で
012.stcm2 0x11da0 す。しかし、それで逃げてかっこいいか？
012.stcm2 0x11e04 ……否。これはスポーツフェスティバル。【語
012.stcm2 0x11e5c る】のではなく【示す】のがかっこいいのです。
012.stcm2 0x11f08 ドクロちゃんと勝負して勝ったとしましょう。
012.stcm2 0x11f60 それで、全部解決ではありませんか？
012.stcm2 0x12000 そう。静希ちゃんが見ている前でドクロちゃん
012.stcm2 0x12058 に勝って、事態を収拾すれば……？
012.stcm2 0x12380 静希ちゃん
012.stcm2 0x123b8 「桜くん！　私、心配だったんだから！」
012.stcm2 0x1241c 静希ちゃんは、ドクロちゃんとの勝負を終えて
012.stcm2 0x12474 戻ってきた僕の胸に飛び込んできました。
012.stcm2 0x124d8 僕は、静希ちゃんを包むようにして応えます。
012.stcm2 0x12598 「ごめんね？　でも、これでもう安心だよ」
012.stcm2 0x12600 やさしくなだめるような口調に、静希ちゃんの
012.stcm2 0x12658 瞳がうるんでいきました。
012.stcm2 0x1276c 静希ちゃん
012.stcm2 0x127a4 「うん。桜くん、すっごくかっこよかったよ？」
012.stcm2 0x12868 「え……そうかな」
012.stcm2 0x128e0 静希ちゃん
012.stcm2 0x12918 「だって、私……う、ううん、なんでもない！」
012.stcm2 0x12a04 静希ちゃんは、かわいらしく首を横に振りまし
012.stcm2 0x12af8 「なあに？　なにを言おうとしたの？」
012.stcm2 0x12b84 静希ちゃん
012.stcm2 0x12bbc 「本当になんでもないの。……あっ、ごめんな
012.stcm2 0x12c14 さい。私、いきなり抱きついたりして……」
012.stcm2 0x12cd4 「悪くなんかないよ、うれしいんだ」
012.stcm2 0x12d5c 静希ちゃん
012.stcm2 0x12d94 「もうっ、恥ずかしいからそんなこと言わない
012.stcm2 0x12f7c カンペキです……ッ！！
012.stcm2 0x12ff8 なんだか自分が恐ろしくなってきました。僕に
012.stcm2 0x13050 は未来を見通せるほどの、高い視野がそなわっ
012.stcm2 0x130a8 ているのです。
012.stcm2 0x13250 静希ちゃんを見れば、心配そうに僕を見つめて
012.stcm2 0x132a8 います。その瞳が少しうるんで見えるのは、僕
012.stcm2 0x13300 の身を心配してのコト。大丈夫、泣かないで？
012.stcm2 0x13524 僕は、ドクロちゃんに、勝つ。
012.stcm2 0x13580 その決意が、僕の口を動かしたのです。
012.stcm2 0x1363c 「ドクロちゃん！　受けて立つよ！　この勝負、
012.stcm2 0x13698 僕は君に【アドバンスド徒競走】を申し込む！」
012.stcm2 0x138e8 サバトちゃん
012.stcm2 0x13924 「ア、アドバンスド……？」
012.stcm2 0x1397c サバトちゃんの疑問ももっともです。
012.stcm2 0x13bbc 「な……桜、それは！？」
012.stcm2 0x13e00 ザクロちゃん
012.stcm2 0x13e3c 「宮本さん、ご存じなのですか？」
012.stcm2 0x13f88 「ああ、俺たちの小学校で、ここぞという大事
012.stcm2 0x13fe0 な勝負のときに行われていた、伝統的な決着方
012.stcm2 0x14038 法なんだ」
012.stcm2 0x1416c 「勝った方が負けた方に罰ゲームを科すことが
012.stcm2 0x141c4 できるという、よりエキスパート向けの競技。
012.stcm2 0x1421c それが【アドバンスド徒競走】」
012.stcm2 0x14278 それを聞いたザクロちゃんは、不思議そうな瞳
012.stcm2 0x142d0 で僕を見ました。
012.stcm2 0x14408 ザクロちゃん
012.stcm2 0x14444 「しかし、桜さん……競技は【障害物走】です
012.stcm2 0x1449c が、それは……」
012.stcm2 0x144ec ザクロちゃんの疑問もまた、もっともです。
012.stcm2 0x145ec 「【徒競走】とは、単なるかけっこにあらず。
012.stcm2 0x14644 イタズラにキソウと書いて徒競走。これは走る
012.stcm2 0x1469c 競技ならなんでも成立する！」
012.stcm2 0x146f8 小学生にしては、知的なネーミングを考えたも
012.stcm2 0x14750 のだと今さらながらに感心します。
012.stcm2 0x14808 「人生は徒競走。アドバンスド徒競走はお互い
012.stcm2 0x14860 を極限まで追い込むことで実力以上の力を発揮
012.stcm2 0x148b8 させる、現代によみがえった背水の陣……！」
012.stcm2 0x14a0c 「桜……本気か……」
012.stcm2 0x14a60 そのとき、僕の中にめざめるナニか！　きっと
012.stcm2 0x14ab8 すごいパワーにちがいありません！
012.stcm2 0x14b18 さあ、僕が勝ったあかつきにはドクロちゃんに
012.stcm2 0x14b70 どんな罰ゲームを……！？
012.stcm2 0x14e04 サバトちゃん
012.stcm2 0x14e40 「さ、桜くんが、なんかすごいですぅ……！」
012.stcm2 0x15098 「こうなった桜くんは手ごわいザンスよ……。
012.stcm2 0x150f0 たとえ、ドクロちゃんでもそう簡単に倒せる相
012.stcm2 0x15148 手じゃないザンス」
012.stcm2 0x15280 サバトちゃん
012.stcm2 0x152bc 「そ、そうだったんですかぁ！？　桜くんに、
012.stcm2 0x15314 そんな秘密が……！」
012.stcm2 0x15458 「みんなにはナイショザンスよ？」
012.stcm2 0x154b8 ザンスがサバトちゃんを相手に、勝手に解説を
012.stcm2 0x15510 はじめましたが今はほっておきましょう。
012.stcm2 0x158ec 田辺さん
012.stcm2 0x15924 「なんか、男子が好きそうな競技だよね」
012.stcm2 0x15a78 「単純だから」
012.stcm2 0x15b1c 「そこッ、悪口は聞こえないように言ってくだ
012.stcm2 0x15b74 さい！」
012.stcm2 0x15e18 ザクロちゃん
012.stcm2 0x15e54 「桜さん、応援しています」
012.stcm2 0x15f04 「見ていて？　おにいちゃんはがんばるから！」
012.stcm2 0x16160 静希ちゃん
012.stcm2 0x16198 「桜くん……ええと、よくわからないんだけど、
012.stcm2 0x161f4 がんばってね」
012.stcm2 0x16298 「ありがとう、静希ちゃん！」
012.stcm2 0x163ac 僕は数々の応援を胸に、ひとつだけ考えます。
012.stcm2 0x16404 【どうしてこうなった？】と。
012.stcm2 0x16460 ……いえ、もうそれは考えないことにしましょ
012.stcm2 0x164fc 今は、まるで煮すぎたナベからあふれだす煮汁
012.stcm2 0x16554 のごとく、あふれてくる力でドクロちゃんに勝
012.stcm2 0x165ac つのです。
012.stcm2 0x16850 「さあ、ドクロちゃん。どうするのッ！？」
012.stcm2 0x169a0 ドクロちゃん
012.stcm2 0x169dc 「うん！　ボク、やるやる〜♪」
012.stcm2 0x16a7c 【ズギャン！】とドクロちゃんが取り出すのは
012.stcm2 0x16ad4 鈍く光った鋼鉄のカタマリ。
012.stcm2 0x16bac 「な……！？　今日の僕はすごいぞ！　負けた
012.stcm2 0x16c04 場合の罰ゲームが丸わかりだ！　それ以外あり
012.stcm2 0x16c5c えねえ！」
012.stcm2 0x16cfc 「これは死んでも負けるわけにはいかない！
012.stcm2 0x16d54 負けたら死ぬんだからなッッ――！！」
012.stcm2 0x17834 ザクロちゃん
012.stcm2 0x17870 「お見事です……ッ！」
012.stcm2 0x178c4 ザクロちゃんの声が、僕に実感を与えます。
012.stcm2 0x17b1c サバトちゃん
012.stcm2 0x17b58 「桜くんが……勝ったですぅ」
012.stcm2 0x17d98 静希ちゃん
012.stcm2 0x17dd0 「すごい……」
012.stcm2 0x17ffc 「桜のやつ、やりやがった……！」
012.stcm2 0x1805c みんなの尊敬の眼差しが僕に痛いほど突き刺さ
012.stcm2 0x180b4 ります。みんな、そんな鋭利に見つめないで？
012.stcm2 0x181d0 そして、校庭の中心で僕は叫ぶのです。
012.stcm2 0x18374 「……やった、勝ったッッ！！　僕は勝ちまし
012.stcm2 0x183cc たッッ！！」
012.stcm2 0x18418 これはすごいことです。僕が、あのドクロちゃ
012.stcm2 0x18470 んを破ったのですから！
012.stcm2 0x184c4 思えば、僕は数々のゲームでドクロちゃんに負
012.stcm2 0x1851c けつづけてきました（９割以上はドクロちゃん
012.stcm2 0x18574 が考え出した謎のゲームです）。
012.stcm2 0x185d0 僕がいやだと言っても、僕の参加は強制執行。
012.stcm2 0x18628 僕を意味不明なゲームへといざなうドクロちゃ
012.stcm2 0x18680 ん。その結果は先に言った通り負け続き。
012.stcm2 0x186e4 ですが【アドバンスド徒競走】はちがいます。
012.stcm2 0x1873c これは僕の土俵なのです。言ってみればホーム
012.stcm2 0x18794 ＆アウェイの中のホーム。
012.stcm2 0x187ec アウェイでは負け続けた僕も、ホームでは勝て
012.stcm2 0x18844 るということが証明できたのです。
012.stcm2 0x18a2c ザクロちゃん
012.stcm2 0x18a68 「桜さん、本当にお見事でした。まさか、おね
012.stcm2 0x18ac0 えさまを破ってしまわれるとは……」
012.stcm2 0x18b78 「ザクロちゃん、ひどいなあ。負けると思って
012.stcm2 0x18bd0 たなら、僕に任せないでよ」
012.stcm2 0x18d10 ザクロちゃん
012.stcm2 0x18d4c 「ああっ、ごめんなさい。そういうつもりでは
012.stcm2 0x18da4 なかったのですが」
012.stcm2 0x18e4c 「いいよ、僕はおにいちゃんだからね」
012.stcm2 0x18eb0 僕は、ザクロちゃんの謝罪を笑って受け流しま
012.stcm2 0x18f4c 僕は妹の頭をなでなでしたいところですが、そ
012.stcm2 0x18fa4 れは無理な相談でした。ザクロちゃんの方が背
012.stcm2 0x18ffc が高いんだもん。
012.stcm2 0x19134 ザクロちゃん
012.stcm2 0x19170 「でも、勝敗とは関係なく……ちょっと、かっ
012.stcm2 0x191c8 こいいなって思っちゃいました」
012.stcm2 0x19224 それはキゼンとした言葉ではなく、ザクロちゃ
012.stcm2 0x1927c んが時おり見せてくれる、かわいらしさを含ん
012.stcm2 0x192d4 だ言葉でした。
012.stcm2 0x19320 少しだけ赤く染められたほほ。あこがれを含ん
012.stcm2 0x19378 だ眼差し。この勝負は、ザクロちゃんになにを
012.stcm2 0x193d0 もたらしたのでしょうか。
012.stcm2 0x19428 僕は、またひとつ大きくなった自分に満足して
012.stcm2 0x19480 いました。
012.stcm2 0x196ac さあ、あとはドクロちゃんです。【アドバンス
012.stcm2 0x19704 ド徒競走】のルールに従い、罰ゲームを与える
012.stcm2 0x1975c 権利が僕の手中にあるわけです。
012.stcm2 0x19890 「さあ、ドクロちゃん！　罰ゲームだ！」
012.stcm2 0x19a34 ドクロちゃんは、１歩あとずさりました。
012.stcm2 0x19a98 いまだかつて、ドクロちゃんが罰ゲームを受け
012.stcm2 0x19af0 ることなどあったでしょうか？
012.stcm2 0x19b4c あれです！　日ごろのアレを晴らすときが来た
012.stcm2 0x19ba4 のです！　今、主導権は僕に……僕のターン！！
012.stcm2 0x19ce8 「さあ！　さあッ！！」
012.stcm2 0x19dbc 僕は手を広げながら、ドクロちゃんに近づきま
012.stcm2 0x19f80 ドクロちゃん
012.stcm2 0x19fbc 「いやん！　近づいちゃだめえええ！！」
012.stcm2 0x1a0f8 「なにを今さら！　ちょっと、ズルいんだから
012.stcm2 0x1a150 ね、ドクロちゃ……」
012.stcm2 0x1a1a4 ドクロちゃんはエスカリボルグを取り出します。
012.stcm2 0x1a200 近づくなというサインでしょう。
012.stcm2 0x1a25c そして、そのままエスカリボルグを重そうにか
012.stcm2 0x1a2b4 ついで、ドクロちゃんは逃げ出します。
012.stcm2 0x1a3d8 その瞬間、最初の１歩で足がもつれたのか、
012.stcm2 0x1a430 僕に向かって倒れこんでくるドクロちゃん。
012.stcm2 0x1a620 ドクロちゃん
012.stcm2 0x1a65c 「にゃうッ！」
012.stcm2 0x1a9ec ズゴルッ！
012.stcm2 0x1acf0 「……ぐああああおうおおッ！！」
012.stcm2 0x1ad78 転倒したドクロちゃんのエスカリボルグは、す
012.stcm2 0x1add0 るっとドクロちゃんの手をすっぽ抜け、僕に向
012.stcm2 0x1ae28 かって飛来します。
012.stcm2 0x1b0f0 そんなミサイルと化したバットは、僕の足元へ
012.stcm2 0x1b148 の直撃弾。
012.stcm2 0x1b348 直撃をくらった僕はその場に倒れ込みます。
012.stcm2 0x1b3a0 そして、突然の痛みを原動力にドクロちゃんへ
012.stcm2 0x1b3f8 と叫ぶのです。
012.stcm2 0x1b51c 「うああ……っ！（びくびく！）戻して！
012.stcm2 0x1b570 戻して！」
012.stcm2 0x1b858 ドクロちゃん
012.stcm2 0x1b894 「きゃっ！　どうしよう！　桜くんが二度と走
012.stcm2 0x1b8ec れなくなっちゃう！」
012.stcm2 0x1b998 「走れる走れないじゃなくて、命のともしびが
012.stcm2 0x1b9f0 ピンチ！　はやく！　はやく治してぇぇッ！！」
012.stcm2 0x1bab8 僕のピンチを救うべく、ドクロちゃんはエスカ
012.stcm2 0x1bb10 リボルグをバトンのように、くるくると回しま
012.stcm2 0x1bbac エスカリボルグの回転の中心から、まるで扇風
012.stcm2 0x1bc04 機の前に紙フブキをまいたかのように、光が散
012.stcm2 0x1bc5c らばります。
012.stcm2 0x1bd78 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
012.stcm2 0x1bfec 光は僕の足を包み込み、足にはしかと血液が流
012.stcm2 0x1c044 れていく感覚。先生、僕はまた走ることができ
012.stcm2 0x1c09c るんですね！
012.stcm2 0x1c190 そうして足が完全に回復すると、僕はゆっくり
012.stcm2 0x1c1e8 ドクロちゃんに詰め寄ります。
012.stcm2 0x1c3fc 「ドクロちゃん。君は、僕に負けたことを根に
012.stcm2 0x1c454 持って、僕の足をつぶそうとしたね……？」
012.stcm2 0x1c5a4 ドクロちゃん
012.stcm2 0x1c5e0 「ちがうの……桜くんの罰ゲームが怖くて逃げ
012.stcm2 0x1c638 たら、あわてて転んじゃったの」
012.stcm2 0x1c6ec 「ドクロちゃん、逃げたらルール違反だよ！
012.stcm2 0x1c744 どうして逃げたの？」
012.stcm2 0x1c798 ドクロちゃんは、いつもいろいろなものから逃
012.stcm2 0x1c7f0 げてばっかりです。……現実とか、健康診断と
012.stcm2 0x1c970 ドクロちゃん
012.stcm2 0x1c9ac 「だって桜くん？　罰ゲームって、桜くんがボ
012.stcm2 0x1ca04 クには見えない服を着て、思う存分ボクに見せ
012.stcm2 0x1ca5c る、アレでしょ……？　怖いもん……」
012.stcm2 0x1cb40 「しないよそんなの！　それ以前に、ドクロちゃ
012.stcm2 0x1cb9c んには見えない服なんか持ってません！」
012.stcm2 0x1cc00 仮にあるとして言いましょう。それはドクロちゃ
012.stcm2 0x1cc5c んには見えない服ではなく、アホには見えない
012.stcm2 0x1ccb4 服です。
012.stcm2 0x1ccfc それならきっと、ドクロちゃんには見えません。
012.stcm2 0x1cf74 ザクロちゃん
012.stcm2 0x1cfb0 「桜さん、足は大丈夫ですか？」
012.stcm2 0x1d064 「う、うん。元に戻ったから大丈夫」
012.stcm2 0x1d1ec ザクロちゃん
012.stcm2 0x1d228 「姉がご迷惑をおかけしました」
012.stcm2 0x1d284 ザクロちゃんはかしこまって【おねえさま】と
012.stcm2 0x1d2dc 言わず【姉】とドクロちゃんを呼びました。
012.stcm2 0x1d334 僕に対しては珍しいです。
012.stcm2 0x1d38c そのときのザクロちゃんは外見だけでなく、
012.stcm2 0x1d3e4 内面までもすごく大人びて見えます。
012.stcm2 0x1d49c 「ううん、ザクロちゃんが気にすることじゃな
012.stcm2 0x1d4f4 いから」
012.stcm2 0x1d624 ザクロちゃん
012.stcm2 0x1d660 「桜さんはおやさしいですね」
012.stcm2 0x1d714 「そ、そうかな」
012.stcm2 0x1d84c ザクロちゃん
012.stcm2 0x1d888 「それと、ありがとうございました。桜さんの
012.stcm2 0x1d8e0 おかげでスポーツフェスティバルを守ることが
012.stcm2 0x1d938 できました」
012.stcm2 0x1d9dc 「僕の、おかげ？」
012.stcm2 0x1db14 ザクロちゃん
012.stcm2 0x1db50 「はい。桜さんのおかげ、です。今日のおねえ
012.stcm2 0x1dba8 さまは本当に楽しそうでした」
012.stcm2 0x1dc04 その言葉で、僕はザクロちゃんの考えが筋道を
012.stcm2 0x1dc5c 通して見えたのです。
012.stcm2 0x1dd08 「あ……ザクロちゃんは、もしかしてドクロちゃ
012.stcm2 0x1dd64 んをひとつのことに熱中させて、被害を最小限
012.stcm2 0x1ddbc に食い止めようと……」
012.stcm2 0x1de10 すると、ザクロちゃんはにっこりとして、
012.stcm2 0x1df58 ザクロちゃん
012.stcm2 0x1df94 「ふふ……どうでしょう？」
012.stcm2 0x1e048 それだけ言うとザクロちゃんは、ドクロちゃん
012.stcm2 0x1e0a0 の方へ歩いていきます。
012.stcm2 0x1e3f0 ザクロちゃん
012.stcm2 0x1e42c 「おねえさま、おみそれしました。わたくしの
012.stcm2 0x1e484 負けです」
012.stcm2 0x1e5b4 ドクロちゃん
012.stcm2 0x1e5f0 「いつでもきなさい！」
012.stcm2 0x1e728 ザクロちゃん
012.stcm2 0x1e764 「はい。いずれまた、挑戦させていただきます」
012.stcm2 0x1e890 僕にはその光景が一瞬と言わず、数秒の長きに
012.stcm2 0x1e8e8 渡って理解できませんでした。
012.stcm2 0x1e944 なぜ、ザクロちゃんが、負けを、認める、の？
012.stcm2 0x1eb00 ちょっと落ち着いて整理してみましょう。
012.stcm2 0x1eb64 僕は、ザクロちゃんの代理としてドクロちゃん
012.stcm2 0x1ebbc とアドバンスド徒競走で戦いました。そして見
012.stcm2 0x1ec14 事、勝利したのです。
012.stcm2 0x1ec68 罰ゲームをドクロちゃんに科そうとしたら、
012.stcm2 0x1ecc0 エスカリボルグをぶつけられて、うやむやに。
012.stcm2 0x1ed28 その後、ザクロちゃんはドクロちゃんに対して
012.stcm2 0x1ed80 負けを認めています。……ここ、おかしくない
012.stcm2 0x1edd8 ですか？
012.stcm2 0x1eff8 ザクロちゃん
012.stcm2 0x1f034 「どうされました？」
012.stcm2 0x1f088 ザクロちゃんは、僕をきょとんとした目で見て
012.stcm2 0x1f0e0 いました。きっと僕もきょとんとした表情をし
012.stcm2 0x1f138 ていたことでしょう。
012.stcm2 0x1f18c きょとんとした表情というのは、人間も天使も
012.stcm2 0x1f1e4 みんな同じになるものです。
012.stcm2 0x1f318 「どこに……どこにザクロちゃんをそんな気に
012.stcm2 0x1f370 させるエピソードが挿入されたんだ……」
012.stcm2 0x1f42c 「天使だからですか！？　天使にしかわからな
012.stcm2 0x1f484 い言語があるというのですか……ッ！」
012.stcm2 0x1f4e8 やるせない……これは相当にやるせないです！
012.stcm2 0x1f540 だって、僕の勝利がどこかへ行ってしまってい
012.stcm2 0x1f598 るのですから！　あれはなんだったの！？
012.stcm2 0x1f928 ザクロちゃん
012.stcm2 0x1f964 「いけない、桜さん！」
012.stcm2 0x1f9b8 ザクロちゃんの声は、僕の運命を物語るもので
012.stcm2 0x1fc60 サバトちゃん
012.stcm2 0x1fc9c 「ああッ！　やっぱり、ドクロちゃんには勝て
012.stcm2 0x1fcf4 ないんですぅ！」
012.stcm2 0x1fda0 走り終えた僕はガクゼンとして、その場にヒザ
012.stcm2 0x1fdf8 をつきました。
012.stcm2 0x1fe9c 「そんなバカな……ッ！！　ドクロちゃんには
012.stcm2 0x1fef4 アドバンスド僕（アドバンスド徒競走時の僕）
012.stcm2 0x1ff4c でも勝てないと言うのかッ！？」
012.stcm2 0x20130 サバトちゃん
012.stcm2 0x2016c 「ああ！　サバト、もう見てられないですぅ！」
012.stcm2 0x201d8 サバトちゃんは現実から目をそらしてしまいま
012.stcm2 0x20230 した。僕もそらしたいのですが、それを許さな
012.stcm2 0x20288 い声がひとつ。
012.stcm2 0x204dc ドクロちゃん
012.stcm2 0x20518 「さーーくーーらーーくんっ♪」
012.stcm2 0x205cc 「しまった！　ドクロちゃんが満面の笑みだ！」
012.stcm2 0x20720 ドクロちゃん
012.stcm2 0x2075c 「ホントはやりたくないけど……ルールだから、
012.stcm2 0x207b8 ごめんね？」
012.stcm2 0x2085c 「ドクロちゃんのその目は、【ルールだから】
012.stcm2 0x208b4 の目じゃないよね？　【せっかくだから】の目
012.stcm2 0x2090c じゃない？」
012.stcm2 0x20cf8 ドクロちゃんはゆっくりと近づいて来ます。そ
012.stcm2 0x20d50 れはまさしく恐怖を演出するタイプの、牛歩戦
012.stcm2 0x20f58 牛の歩みと、猛牛の角ほどもパワフルなとげが
012.stcm2 0x20fb0 たくさん生えた鋼鉄バット。
012.stcm2 0x212e8 それは歩みと同じくゆっくりと振り上げられ、
012.stcm2 0x21340 赤いわけでもない僕に向かって突進です！　む
012.stcm2 0x21398 しろ赤くなるのはこれから……！
012.stcm2 0x214f4 【グオンッ】というスイングが、
012.stcm2 0x21614 【ピタリ】と称すべき動きで、静止しました。
012.stcm2 0x21714 「うわあああああッッ……って、あれ？」
012.stcm2 0x21778 見れば、エスカリボルグは僕の目前で止まって
012.stcm2 0x217d0 います。僕は夢でも見ているのでしょうか。
012.stcm2 0x21838 僕は思わず、しゃがみこんだままドクロちゃん
012.stcm2 0x21890 を見上げます。
012.stcm2 0x21a64 ドクロちゃん
012.stcm2 0x21aa0 「はい、桜くんの罰ゲーム。ボクのエスカリボ
012.stcm2 0x21af8 ルグをキレイにみがいてね？」
012.stcm2 0x21b7c そのお言葉に、僕は涙しそうになってしまいま
012.stcm2 0x21bd4 した。ドクロちゃん、かわいいトコあるじゃな
012.stcm2 0x21c2c いですか！
012.stcm2 0x21ccc 「う、うん！　任せて？　もうピッカピカにす
012.stcm2 0x21d24 るよ！」
012.stcm2 0x21d6c 僕はいらぬ恐怖を抱いてしまったようです。だっ
012.stcm2 0x21dc8 て罰とは言え、ゲームですよ？　【撲殺】って、
012.stcm2 0x21e24 ちょっとありえないじゃないですか。
012.stcm2 0x21e84 僕は日ごろお世話になっているエスカリボルグ
012.stcm2 0x21edc を、ほおずりしたくなるくらい（実際にしたら
012.stcm2 0x21f34 たぶん血まみれです）キレイにして見せます。
012.stcm2 0x2201c 「じゃあ、エスカリボルグをあずかるね。よー
012.stcm2 0x22074 し、キレイにするぞっ！」
012.stcm2 0x220cc そしてドクロちゃんの手から離れるエスカリボ
012.stcm2 0x22124 ルグ。それは僕の手に渡された瞬間、
012.stcm2 0x221a0 ――超重量の、鋼鉄塊。
012.stcm2 0x22360 ズシィィィィィィン……ッ！
012.stcm2 0x22438 「お、重ッッ！？　な、なんだこのありえない
012.stcm2 0x22490 重さ！？　持てない！　とてもじゃないけど、
012.stcm2 0x224e8 持てない！」
012.stcm2 0x22534 この重さ……２トン車か！？
012.stcm2 0x225cc エスカリボルグを取り落とした僕。手がはさま
012.stcm2 0x22624 れなかっただけでも、幸運と言わなくてはいけ
012.stcm2 0x2267c ません。
012.stcm2 0x226c4 ですが、不幸はここからのようです。
012.stcm2 0x22724 ――エスカリボルグを拾う、白い腕。
012.stcm2 0x22784 落ちていたサイフを拾うのと大差ない動きで超
012.stcm2 0x227dc 重量のバットを拾い上げる、そんな猛者はドク
012.stcm2 0x22834 ロちゃんしかいないのです。
012.stcm2 0x22a30 ドクロちゃん
012.stcm2 0x22a6c 「桜くん……キレイにしてって言ったのに、ど
012.stcm2 0x22ac4 うして、砂だらけにしちゃうの……？　落とし
012.stcm2 0x22b1c たりして、壊れちゃったら、どうするの？」
012.stcm2 0x22b84 それは【思い出の時計を電池交換に出したら、
012.stcm2 0x22bdc 時計屋さんがコワしちゃった】ってくらい、ド
012.stcm2 0x22c34 クロちゃんの感情を逆なでたようです。
012.stcm2 0x22cc0 ゆらりと立ちのぼる気配に、僕は恐怖を覚えま
012.stcm2 0x22e1c そして、パラパラ……と砂を落としながら持ち
012.stcm2 0x22e74 上がるエスカリボルグ。
012.stcm2 0x22f20 「ちょ、ドクロちゃん短気！　短気はなにか言っ
012.stcm2 0x22f7c てごらん？　損気だよ損気！　それにエスカリ
012.stcm2 0x22fd4 ボルグはそんな簡単に壊れないでしょ！？」
012.stcm2 0x23094 「落としただけで壊れるなら、それで僕をひっ
012.stcm2 0x230ec ぱたいても壊れるよ！　……だからまって！？
012.stcm2 0x23144 汚れた分、必ずキレイにしますから！」
012.stcm2 0x23200 「もっともっと、キレイにしますから！　ほら！
012.stcm2 0x2325c 撲殺したら、血がついちゃう……！　だから、
012.stcm2 0x232b4 やめよう……やめるんだッ！」
012.stcm2 0x23828 「イヤ！　イヤです！　そんな砂まみれのバッ
012.stcm2 0x23880 トで殴られたら【ザリザリッ！】ってなっちゃ
012.stcm2 0x238d8 どばきゅっ」
012.stcm2 0x23bb8 砂と混ざって舞い散るは、ただ哀れな血液……。
012.stcm2 0x23ccc ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
012.stcm2 0x23e48 「僕の……負けです、いろいろ……」
012.stcm2 0x23ea8 情けない……本当に情けない限りです。あれだ
012.stcm2 0x23f00 け意気込んでおきながら、僕は負けたのです。
012.stcm2 0x23f68 僕が打ちひしがれていると、ザクロちゃんが近
012.stcm2 0x23fc0 づいてきます。
012.stcm2 0x241b0 ザクロちゃん
012.stcm2 0x241ec 「桜さん、ありがとうございました。勝負の結
012.stcm2 0x24244 果は残念でしたが、スポーツフェスティバルを
012.stcm2 0x2429c 守ることができました」
012.stcm2 0x242f0 その言葉で、僕はザクロちゃんの考えが筋道を
012.stcm2 0x24348 通して見えたのです。
012.stcm2 0x2441c 「あ……ザクロちゃんは、もしかしてドクロちゃ
012.stcm2 0x24478 んをひとつのことに熱中させて、被害を最小限
012.stcm2 0x244d0 に食い止めようと……」
012.stcm2 0x24524 すると、ザクロちゃんはにっこりとして、
012.stcm2 0x2466c ザクロちゃん
012.stcm2 0x246a8 「ふふ……どうでしょう？」
012.stcm2 0x2475c それだけ言うとザクロちゃんは、ドクロちゃん
012.stcm2 0x247b4 の方へ歩いていきます。
012.stcm2 0x24b04 ザクロちゃん
012.stcm2 0x24b40 「おねえさま、おみそれしました。わたくしの
012.stcm2 0x24b98 負けです」
012.stcm2 0x24c38 「ウソッ！？　ザクロちゃんまで負けを認める
012.stcm2 0x24cd8 代理人の僕が負けたから？　そうすると、やっ
012.stcm2 0x24d30 ぱりザクロちゃんも負けなのですか？
012.stcm2 0x24e78 ドクロちゃん
012.stcm2 0x24eb4 「いつでもきなさい！」
012.stcm2 0x24f08 ドクロちゃんが自信マンマンにそう言うと、ザ
012.stcm2 0x24f60 クロちゃんもまた、目を輝かせて言うのです。
012.stcm2 0x250ac ザクロちゃん
012.stcm2 0x250e8 「はい。いずれまた、挑戦させていただきます」
012.stcm2 0x251c8 「この２人は、いったいなにを戦ったんだ……」
012.stcm2 0x252ec 僕には釈然としないものが残りました。
012.stcm2 0x255a8 「でも……まあ、いいかな」
012.stcm2 0x25600 だって、目の前でお互いをたたえ合うドクロちゃ
012.stcm2 0x2565c んとザクロちゃんはとっても仲の良い姉妹に見
012.stcm2 0x256b4 えるのです。
012.stcm2 0x25700 この２人が仲良しでいてくれるなら、僕の苦労
012.stcm2 0x25758 も無駄ではなかったと思えるから。
012.stcm2 0x25940 静希ちゃん
012.stcm2 0x25978 「よかったね、桜くん」
012.stcm2 0x25a24 「うん」
012.stcm2 0x25a6c 静希ちゃんは、僕の気持ちに気付いていたよう
012.stcm2 0x25ac4 です。そうじゃなきゃ、こんなこと言えません。
012.stcm2 0x25c14 静希ちゃん
012.stcm2 0x25c4c 「ホント、桜くん大活躍だったよね」
012.stcm2 0x25d04 「うっ！」
012.stcm2 0x25d4c 静希ちゃんのほほえみが、僕の胸を貫きます。
012.stcm2 0x25da4 今、すっごく【きゅんっ】ってなったんですが、
012.stcm2 0x25e00 音……もれてないよね？
012.stcm2 0x25f3c 静希ちゃん
012.stcm2 0x25f74 「どうしたの？」
012.stcm2 0x2601c 「なんでもないよ。ちょっと（意表を）つかれ
012.stcm2 0x26074 ただけ」
012.stcm2 0x261a4 静希ちゃん
012.stcm2 0x261dc 「それならいいけど」
012.stcm2 0x26230 ああ……何げない……。この会話はとっても何
012.stcm2 0x26288 げないですよ！　いい雰囲気じゃないですか！
012.stcm2 0x264fc サバトちゃん
012.stcm2 0x26538 「桜くん、お疲れさまですぅ！」
012.stcm2 0x26594 もうちょっと静希ちゃんと……と思っていた矢
012.stcm2 0x265ec 先、サバトちゃんが近づいてきました。
012.stcm2 0x26650 邪魔をされた形になるわけですけど、まあサバ
012.stcm2 0x266a8 トちゃんならいいかな、と思いました。ねぎら
012.stcm2 0x26700 いの言葉をかけてくれているんですし。
012.stcm2 0x267bc 「ありがとう、サバトちゃん」
012.stcm2 0x26818 部活のレギュラーとマネージャーのような言葉
012.stcm2 0x26870 を交わし、僕はスポーツフェスティバルが終わ
012.stcm2 0x268c8 るのだということを実感しました。
012.stcm2 0x26a10 サバトちゃん
012.stcm2 0x26a4c 「桜くん、かっこよかったですぅ」
012.stcm2 0x26b04 「そうかな？　あははは……」
012.stcm2 0x26d1c ああっ、静希ちゃんがこっち見てます！
012.stcm2 0x26d80 他の女の子に【かっこよかった】なんて言われ
012.stcm2 0x26dd8 ているところを見られたら、静希ちゃんがヤキ
012.stcm2 0x26e30 モチを……！
012.stcm2 0x26ed4 「とにかく、めでたしめでたしだよね、うん！」
012.stcm2 0x27120 サバトちゃん
012.stcm2 0x2715c 「めでたしめでたしですぅ」
012.stcm2 0x271b4 僕は大急ぎでまとめにかかりました。緊急避難
012.stcm2 0x2720c です。だというのに、まだ終わりを許さないと
012.stcm2 0x27264 ばかり、そこにかかる声がありました。
012.stcm2 0x27478 田辺さん
012.stcm2 0x274b0 「みんなお疲れさまー」
012.stcm2 0x276f0 静希ちゃん
012.stcm2 0x27728 「あ、田辺さん、部活は終わったの？」
012.stcm2 0x279e0 「まだだけど、あとは閉会の演奏だけだから」
012.stcm2 0x27bc4 「２人とも、お疲れさま」
012.stcm2 0x27cd8 田辺さん
012.stcm2 0x27d10 「桜くん、結構おもしろいことになってたよね」
012.stcm2 0x27e14 「おもしろいこと！？　見てたの？　見てたの
012.stcm2 0x27e6c なら、なにその感想！？」
012.stcm2 0x27f80 田辺さん
012.stcm2 0x27fb8 「見たままのことを言ったつもりなんだけど、
012.stcm2 0x28010 だめだった？」
012.stcm2 0x280b4 「いえ……だめではないです……」
012.stcm2 0x28114 感想は空を飛ぶ鳥のように自由です。僕に止め
012.stcm2 0x2816c ることはできません。
012.stcm2 0x281c0 そして、自由人は田辺さんの他にもうひとり。
012.stcm2 0x28318 「でも、本当にわたしたちも見てて楽しかった
012.stcm2 0x2840c 「あ、それならよかったね。本当は一緒に参加
012.stcm2 0x28464 できたら、もっとよかったんだろうけど」
012.stcm2 0x285b8 「ううん、桜くんがおもしろいことになってた
012.stcm2 0x28610 から充分」
012.stcm2 0x286b0 「結局、南さんもそこなの！？」
012.stcm2 0x287bc 話すのに疲れてきた僕は、仲むつまじげに寄り
012.stcm2 0x28814 添う、天使の姉妹に視線を向けました。
012.stcm2 0x28894 そこには、我が目を疑わんばかりの、
012.stcm2 0x28afc かしゃー！　かしゃー！
012.stcm2 0x28ccc ザンスの姿が！
012.stcm2 0x28da4 「グッド、グゥゥゥッッドッ！！　グゥゥッド
012.stcm2 0x28dfc ザンスよー！」
012.stcm2 0x29204 ザクロちゃん
012.stcm2 0x29240 「きゃっ！！　あ、ザンスさん！？」
012.stcm2 0x292a0 ザンスは地面に寝転がり、その巨大なレンズが
012.stcm2 0x292f8 生えたカメラを上に向かって構えていました。
012.stcm2 0x29360 そして、そのレンズは明らかにザクロちゃんに
012.stcm2 0x293b8 向いて……。
012.stcm2 0x2949c 「ザンスめぇぇぇぇェェェ……ッ！！」
012.stcm2 0x29500 怒りがふつふつとこみ上げてきます。
012.stcm2 0x29560 コイツはもうどうしようもない！　エスカリボ
012.stcm2 0x295b8 ルグでひっぱたいても、きっと治りません！
012.stcm2 0x29688 ザクロちゃん
012.stcm2 0x296c4 「あの、ザンスさん……なにを、なさっている
012.stcm2 0x2971c のですか？」
012.stcm2 0x29944 「あ、ちょっとそのままザンス！　動かないで
012.stcm2 0x2999c ほしいザンス！　いいザンスよー！」
012.stcm2 0x29c90 かしゃー！
012.stcm2 0x29dbc 僕は無言でこの変態サングラスに近寄りました。
012.stcm2 0x29e18 そして、寝転がるザンスを見下ろしました。
012.stcm2 0x2a008 「はぁぁぁぁッッ！！　さ、桜くん！　どうし
012.stcm2 0x2a060 たザンス？　こっそり近づかれたらびっくりし
012.stcm2 0x2a0b8 ちゃうザンスよ！」
012.stcm2 0x2a160 「ザンスさん、まだ懲りないんですか？　いい
012.stcm2 0x2a1b8 かげんにしないと大地の写真集を出版させます
012.stcm2 0x2a434 「学校のグラウンドだけアップで写されても、
012.stcm2 0x2a48c 誰も買わないザンス！」
012.stcm2 0x2a538 「で、今度はなんの写真を撮っていたんです？」
012.stcm2 0x2a5a4 せっかくフィルムを台無しにしてあげたのに、
012.stcm2 0x2a5fc また補充してきたようです。
012.stcm2 0x2a874 「ゆ、夕日の織りなす、センセーショナルな風
012.stcm2 0x2a8cc 景に決まってるザンスよ！　あ、シャッターチャ
012.stcm2 0x2a928 ンスザンスよ！　それ、パシャッパシャッ！」
012.stcm2 0x2a9e8 「まだ空は青いですよ。それに、さっきはザク
012.stcm2 0x2aa40 ロちゃんにレンズが向いていたように見えまし
012.stcm2 0x2aa98 たが？」
012.stcm2 0x2acc0 「ミ、ミィはついでにみんなの思い出も残して
012.stcm2 0x2ad18 おこうと思っただけザンス！　そ、そうザンス！
012.stcm2 0x2ad74 ユゥにも、きちんとお分けするザンスよ！！」
012.stcm2 0x2ae34 「なにをです？」
012.stcm2 0x2b064 「もちろん、今日のみんなのなまめかしい体操
012.stcm2 0x2b0bc 着姿の写真ザンス！　ミィのこのフィルムにたっ
012.stcm2 0x2b118 ぷり……ノォォォォッ！！」
012.stcm2 0x2b1b0 僕は過去最速でカメラを取り上げました。
012.stcm2 0x2b26c 「やっぱりいやらしい写真か、このピーピング・
012.stcm2 0x2b2c8 ザンスめ！　これは、その……没収します！」
012.stcm2 0x2b330 この口ぶりから察するに、今日はずっと隠れて
012.stcm2 0x2b388 撮影していたようです。
012.stcm2 0x2b3dc 言われてみれば、なるほど朝とお昼の時間しか
012.stcm2 0x2b434 ザンスを見ていません。
012.stcm2 0x2b488 競技に参加するみんなの姿……思い出です！！
012.stcm2 0x2b6d0 「ああ、桜くん顔が怒ってないザンス！！　そ
012.stcm2 0x2b728 れを没収してどうするつもりザンスか！？」
012.stcm2 0x2b7e8 「ザンスさん、これからも時と場合によっては
012.stcm2 0x2b840 応援しています」
012.stcm2 0x2b980 「そんなこと聞いてないザンスよ！　返してほ
012.stcm2 0x2b9d8 しいザンス！　それにはみんなの思い出が……
012.stcm2 0x2bab0 僕はフィルムを抜き取ったカメラをザンスに向
012.stcm2 0x2bb08 かって、ドッジボールの要領で思い切り投げま
012.stcm2 0x2bd50 必死でキャッチしたザンスはカメラが壊れてな
012.stcm2 0x2bda8 いか、やはり必死でチェックしています。これ
012.stcm2 0x2be00 で、しばらくはおとなしくなるでしょう。
012.stcm2 0x2bf30 「これでよし……」
012.stcm2 0x2bfa8 ザンスには水を差されましたが、気を取り直し
012.stcm2 0x2c1c4 誰に話しかけますか？
012.stcm2 0x2c214 １．ドクロちゃんに話しかける
012.stcm2 0x2c26c ２．ザクロちゃんに話しかける
012.stcm2 0x2c2c4 ３．静希ちゃんに話しかける
012.stcm2 0x2c318 ４．サバトちゃんに話しかける
013.stcm2 0x1c0 第２話　終盤です
013.stcm2 0x3e0 「ドクロちゃん、今日は楽しかった？」
013.stcm2 0x444 僕はドクロちゃんにやさしく聞きました。
013.stcm2 0x58c ドクロちゃん
013.stcm2 0x5c8 「うん！　桜くんが【ほちょー！】って叫んだ
013.stcm2 0x620 ところが、いちばんおもしろかった！」
013.stcm2 0x6dc 「記憶にないよ、そんなの」
013.stcm2 0x734 また、ドクロちゃんは適当な妄想を語ります。
013.stcm2 0x78c 僕は【ほちょー！】なる奇怪な叫び声は上げた
013.stcm2 0x7e4 ことはありません。……たぶん。
013.stcm2 0x840 ドクロちゃんのあり余る無邪気さが、ドクロちゃ
013.stcm2 0x89c んの心の中に奇怪な叫びを上げる僕を生み出し
013.stcm2 0x8f4 たのでしょうか。迷惑な話です。
013.stcm2 0xa38 ドクロちゃん
013.stcm2 0xa74 「えー、【むちゃリブレ】だよ！　ほら、空飛
013.stcm2 0xacc ぶ神父さんがいっぱい出てきたやつ！」
013.stcm2 0xbb0 「無茶リブレ！？　それどんな無茶が行われる
013.stcm2 0xc08 の！？　それに、僕はいっぱいどころか１人も
013.stcm2 0xc60 神父さんを見てないよ！」
013.stcm2 0xcb8 確かに空飛ぶ神父さんはかなり無茶かもしれま
013.stcm2 0xd10 せんが、見たことも聞いたこともなければ、見
013.stcm2 0xd68 たくも聞きたくもない競技なのは確かです。
013.stcm2 0xdd0 神父さんがたくさん空を舞う様子を想像してみ
013.stcm2 0xe28 ましたが、まるで想像できません。……みんな、
013.stcm2 0xe84 戦ってるの？
013.stcm2 0xed0 ひょっとして、【ルチャリブレ】のことでしょ
013.stcm2 0xf28 うか。社会科の授業で習った、メキシコのプロ
013.stcm2 0xf80 レスみたいな格闘技がそんな名前だったような。
013.stcm2 0xfec いえ、それにしたって街のスポーツフェスティ
013.stcm2 0x1044 バルに格闘技はありえません。もしそんなのが
013.stcm2 0x109c あったら、僕はこの街を出て行きたいです。
013.stcm2 0x1104 ……ないですよね？
013.stcm2 0x11c8 「ふぅ……」
013.stcm2 0x1214 僕は目を細めて、小さく息をつきました。
013.stcm2 0x12a0 無茶リブレは置いておいても、ドクロちゃんは
013.stcm2 0x12f8 楽しそうです。ドクロちゃんが満足してくれた
013.stcm2 0x1350 ならそれはそれで……。
013.stcm2 0x141c あれ？　なにか忘れています。なんでしょうか？
013.stcm2 0x14b0 ドクロちゃんが満足して、ザクロちゃんもドク
013.stcm2 0x1508 ロちゃんと相変わらず仲良しです。なにか問題
013.stcm2 0x1560 があるのでしょうか？
013.stcm2 0x15b4 うーん、静希ちゃんとサバトちゃんにもケガひ
013.stcm2 0x160c とつなく、スポーツフェスティバルが無事終了
013.stcm2 0x1664 しましたし……。
013.stcm2 0x16d0 ……ケガ？
013.stcm2 0x1770 「ベノムちゃんだ……」
013.stcm2 0x17ec 気が付けば、僕は口に出して言っていました。
013.stcm2 0x1854 忘れてました。このスポーツフェスティバル自
013.stcm2 0x18ac 体、ドクロちゃんの身体情報を集めるためにベ
013.stcm2 0x1904 ノムちゃんが陰から開催したものだったのです。
013.stcm2 0x1970 そちらの目的は無事果たせたのでしょうか。
013.stcm2 0x19c8 ちょっと気になるところではありますが……。
013.stcm2 0x1a30 どうしますか？
013.stcm2 0x1a78 １．ベノムちゃんを待っている
013.stcm2 0x1ad0 ２．ベノムちゃんを呼びに行く
013.stcm2 0x1e6c ベノムちゃんも、待っていれば戻ってくるでしょ
013.stcm2 0x1ec8 うし、もう少しのんびりとしていましょう。
013.stcm2 0x1f30 ベノムちゃんが来たらドクロちゃんは逃げてし
013.stcm2 0x1f88 まうでしょう。それまでドクロちゃんと話して
013.stcm2 0x1fe0 いてもいいんじゃないでしょうか。
013.stcm2 0x21f8 「ドクロちゃんはどの競技が１番楽しかった？」
013.stcm2 0x2264 僕にはどの競技も一生忘れられない思い出です。
013.stcm2 0x22c0 一生忘れられない心の傷とも言います。
013.stcm2 0x2324 ドクロちゃんは考えるようにしていましたが、
013.stcm2 0x237c すぐに、にぱっと笑顔になってから言いました。
013.stcm2 0x24cc ドクロちゃん
013.stcm2 0x2508 「むちゃリブレ！　でねでね、暴風のように荒
013.stcm2 0x2560 れ狂った神父さんが、桜くんをみそ漬けに……」
013.stcm2 0x264c 「もう神父さんの話はいいよ！
013.stcm2 0x2698 なぜなら人をみそ漬けにしちゃう神父さんなん
013.stcm2 0x26f0 かいないから！」
013.stcm2 0x2740 暴風のように思考が荒れ狂うドクロちゃんは、
013.stcm2 0x2798 僕をみそに漬けちゃう、キモチワルイ神父さん
013.stcm2 0x27f0 に夢中です。
013.stcm2 0x283c ドクロちゃんはやっぱり、ドクロちゃんでしか
013.stcm2 0x2894 ありませんでした。
013.stcm2 0x2a70 ベノムちゃんが気になります。この大がかりな
013.stcm2 0x2ac8 スポーツフェスティバルという場において、ド
013.stcm2 0x2b20 クロちゃんの情報は集められたのでしょうか。
013.stcm2 0x2bb0 今日はベノムちゃんとあんまり一緒にいられな
013.stcm2 0x2c08 かったですし、様子を見てみましょう。
013.stcm2 0x2cc4 「ちょっと……僕、トイレに行ってくるね」
013.stcm2 0x2d2c ベノムちゃんのところに行くと、正直に言うこ
013.stcm2 0x2d84 とはためらわれます。ここはこっそりと行くべ
013.stcm2 0x2ddc きでしょう。
013.stcm2 0x2fb0 ドクロちゃん
013.stcm2 0x2fec 「いってらっしゃい！　がんばってね！」
013.stcm2 0x30a8 「恥ずかしいこと言わないでよ！」
013.stcm2 0x3164 ドクロちゃんの無意味な応援を背中に受け、僕
013.stcm2 0x31bc はベノムちゃんのいる、救護員席へと向かいま
013.stcm2 0x33d4 第２話　終盤です
013.stcm2 0x35f4 「ザクロちゃん、今日はどうだった？」
013.stcm2 0x3740 ザクロちゃん
013.stcm2 0x377c 「はい。おかげさまで、楽しく過ごさせていた
013.stcm2 0x37d4 だきました」
013.stcm2 0x3878 「楽しかったの？」
013.stcm2 0x38c8 ちょっと意外でした。ザクロちゃんは、僕と同
013.stcm2 0x3920 じくドクロちゃんの対応に追われて、四苦八苦
013.stcm2 0x3978 してたのですから。
013.stcm2 0x3ab0 ザクロちゃん
013.stcm2 0x3aec 「はい、とても。おねえさまも楽しんでおられ
013.stcm2 0x3b44 ましたし、とても良いスポーツフェスティバル
013.stcm2 0x3b9c になったのではないでしょうか」
013.stcm2 0x3ce0 ザクロちゃん
013.stcm2 0x3d1c 「桜さんが、がんばってくださったおかげです」
013.stcm2 0x3de0 「そう、なのかな」
013.stcm2 0x3e30 ザクロちゃんは、僕のおかげだと言ってくれま
013.stcm2 0x3ecc 僕が守れた……と思っていいのでしょうか？
013.stcm2 0x3f34 それは、僕がドクロちゃんに振り回されるだけ
013.stcm2 0x3f8c でなく、なにかを成しとげられるんだというこ
013.stcm2 0x3fe4 とを教えてくれているような気がしました。
013.stcm2 0x4130 ザクロちゃん
013.stcm2 0x416c 「はい、もちろんそうです。きっとベノムさん
013.stcm2 0x41c4 も、スポーツフェスティバルが上手くいって、
013.stcm2 0x421c 喜んでらっしゃると思います」
013.stcm2 0x42d0 「あ、そうか。ベノムちゃんは救護員だもんね」
013.stcm2 0x433c ドクロちゃんによるケガ人を出さなくてすんだ
013.stcm2 0x4394 のですから、このフェスティバルは上手くいっ
013.stcm2 0x43ec たと言っていいでしょう。
013.stcm2 0x4460 ……救護員としては、それだけで充分です。
013.stcm2 0x44f0 そうなのです。ベノムちゃんの真の目的は別の
013.stcm2 0x4548 ところにあります。それは、もちろんドクロちゃ
013.stcm2 0x45a4 んの情報を集めるコト。
013.stcm2 0x45f8 このスポーツフェスティバルは、ベノムちゃん
013.stcm2 0x4650 が開催にこぎつけたイベントなのですから。
013.stcm2 0x4714 それを思い出すと、ベノムちゃんの現在が気に
013.stcm2 0x476c なってきました。
013.stcm2 0x47bc どうしますか？
013.stcm2 0x4804 １．ベノムちゃんを待っている
013.stcm2 0x485c ２．ベノムちゃんを呼びに行く
013.stcm2 0x4bf8 ベノムちゃんも待っていれば帰ってくるでしょ
013.stcm2 0x4c50 う。スポーツフェスティバルは終わったのです
013.stcm2 0x4e74 ザクロちゃん
013.stcm2 0x4eb0 「ベノムさんのことです、姿をお見せにならな
013.stcm2 0x4f08 いくらいですから、きっとがんばってらっしゃ
013.stcm2 0x4f60 るでしょう」
013.stcm2 0x5004 「上手くいってるといいんだけど……」
013.stcm2 0x5068 ベノムちゃんのがんばりはもちろん誰もが認め
013.stcm2 0x50c0 るところですが、あんまり報われていないのも
013.stcm2 0x5118 確かです。
013.stcm2 0x5160 それに彼女の場合、がんばりすぎると……アレ
013.stcm2 0x51b8 ですし。
013.stcm2 0x5258 「ところでザクロちゃんは今日の中で、なにが
013.stcm2 0x52b0 １番楽しかった？」
013.stcm2 0x53e8 ザクロちゃん
013.stcm2 0x5424 「はい、あの……桜さんとおねえさまの障害物
013.stcm2 0x547c 走がとても楽しかったです」
013.stcm2 0x54d4 意外や意外、ザクロちゃんのチョイスはアドバ
013.stcm2 0x552c ンスド徒競走と化した障害物走です。
013.stcm2 0x558c 自分が参加してない競技が楽しかったとは、
013.stcm2 0x55e4 なんとなくザクロちゃんらしい気がしました。
013.stcm2 0x564c ですが、あの競技は……。
013.stcm2 0x56fc 「あれが楽しかったの？」
013.stcm2 0x5838 ザクロちゃん
013.stcm2 0x5874 「はい、とても」
013.stcm2 0x5944 「僕がヒドイ目にあったのが……？」
013.stcm2 0x5a8c ザクロちゃん
013.stcm2 0x5ac8 「ち、ちがいますッ！　わたくしは決してそん
013.stcm2 0x5b20 なつもりでは……！」
013.stcm2 0x5bcc 「いえ、いいんですよザクロちゃん。
013.stcm2 0x5c1c 僕がとってもおもしろい姿になってたのは事実
013.stcm2 0x5c74 ですから……」
013.stcm2 0x5e74 今日はベノムちゃんとあんまり一緒にいられな
013.stcm2 0x5ecc かったですし、様子を見てみましょう。
013.stcm2 0x5f30 ドクロちゃんの情報は上手く集められたのでしょ
013.stcm2 0x6188 「そろそろフェスティバルも終わりだし、僕は
013.stcm2 0x61e0 ちょっとベノムちゃんを呼んでくるね」
013.stcm2 0x6244 僕がそう言うと、ザクロちゃんは軽く頭を下げ
013.stcm2 0x629c ます。そんなにていねいにしなくても、と思っ
013.stcm2 0x62f4 てしまいます。
013.stcm2 0x6424 ザクロちゃん
013.stcm2 0x6460 「わかりました。お待ちしていますね」
013.stcm2 0x6520 ザクロちゃんのほほえみを受けながら、僕は救
013.stcm2 0x6578 護員席に向かいました。
013.stcm2 0x6748 第２話　終盤です
013.stcm2 0x6968 「静希ちゃん、今日も大変だったね」
013.stcm2 0x6ab0 静希ちゃん
013.stcm2 0x6ae8 「私は、なにもしてないけど……桜くんは本当
013.stcm2 0x6b40 に大変だったね」
013.stcm2 0x6b90 静希ちゃんはその澄み切った瞳で、僕を見つめ
013.stcm2 0x6be8 ながら言いました。
013.stcm2 0x6c38 静希ちゃんの瞳、そのいやし指数は天井知らず。
013.stcm2 0x6c94 僕は見つめられた場所があたたかくなってくる
013.stcm2 0x6cec 気さえするのです。
013.stcm2 0x6d3c ともあれ、静希ちゃんがねぎらってくれるなら
013.stcm2 0x6d94 僕にとって、このくらいの苦労はなんでもあり
013.stcm2 0x6dec ません。
013.stcm2 0x6e8c 「大変だったけど、ドクロちゃんとザクロちゃ
013.stcm2 0x6ee4 んはやっぱり仲良しなのがいいよね。勝負が終
013.stcm2 0x6f3c わったら２人とも元通りで、安心したよ」
013.stcm2 0x6fa0 僕はさっきの気持ちを口に出して言いました。
013.stcm2 0x70f0 静希ちゃん
013.stcm2 0x7128 「そうだね。……でも、ザクロちゃんがいきな
013.stcm2 0x7180 りドクロちゃんに挑戦するんだもん、びっくり
013.stcm2 0x71d8 しちゃった」
013.stcm2 0x727c 「実際に勝負したのは僕なんだけどね……」
013.stcm2 0x72e4 天使の事情はホントに、僕たちの裏をかくもの
013.stcm2 0x733c ばっかりです。
013.stcm2 0x7470 静希ちゃん
013.stcm2 0x74a8 「あの障害物走、ベノムちゃんは見てたのか
013.stcm2 0x759c 「見てたと思うよ？」
013.stcm2 0x75f0 だって、ベノムちゃんはドクロちゃんを観察す
013.stcm2 0x7648 るために、このスポーツフェスティバルを開催
013.stcm2 0x76a0 したのですから。
013.stcm2 0x77d4 静希ちゃん
013.stcm2 0x780c 「そうだといいんだけど……。ベノムちゃんも
013.stcm2 0x7864 見てたら、おうちに帰ってから一緒にお話でき
013.stcm2 0x78bc るから」
013.stcm2 0x7904 し、静希ちゃんがおうちで僕の話を……！？
013.stcm2 0x795c 照れます！　すごく照れます！
013.stcm2 0x79b8 それはやっぱり……【桜くん、すっごくかっこ
013.stcm2 0x7a10 よかったよね？】とか……。
013.stcm2 0x7b2c そのとき、僕の心の中にクイズ番組のようなセッ
013.stcm2 0x7b88 トを運び込む大道具係たちが現れました。全員、
013.stcm2 0x7be4 僕と同じ顔です。
013.stcm2 0x7c34 僕の心の中に現れた、スーツ姿で若干色黒になっ
013.stcm2 0x7c90 た僕が【正解！（ビシッ！）】と解答者席に座
013.stcm2 0x7ce8 る緊張した面持ちの僕を指さします。
013.stcm2 0x7e30 やったー！　正解です！　解答者の僕は、その
013.stcm2 0x7e88 場で立ち上がり、火を吹きながらガッツポーズ。
013.stcm2 0x7ee4 賞品の静希ちゃんのおうち訪問権は……。
013.stcm2 0x7fd8 静希ちゃん
013.stcm2 0x8010 「そう言えば、ベノムちゃん戻ってこないね。
013.stcm2 0x8068 そろそろ終わると思うんだけど……片づけがあ
013.stcm2 0x80c0 るのかな？」
013.stcm2 0x8180 静希ちゃんの声を聞いて、【クイズ僕の中】は
013.stcm2 0x81d8 中止。僕の顔をした何人もの大道具さんがセッ
013.stcm2 0x8230 トを片づけていきます。
013.stcm2 0x8284 色黒司会者の僕は【残念……！】と顔をしかめ
013.stcm2 0x82dc ます。解答者の僕に対してとても親身で、さす
013.stcm2 0x8334 がは僕だと言わざるを得ません。
013.stcm2 0x83b8 片づけはイリュージョン。一瞬ですべてが完了
013.stcm2 0x8410 すると、僕は平静を取り戻し、静希ちゃんに答
013.stcm2 0x8468 えます。
013.stcm2 0x8548 「うん、ベノムちゃんどうしたんだろう？」
013.stcm2 0x85b0 ベノムちゃんの心配というよりはベノムちゃん
013.stcm2 0x8608 の救護を受ける人が心配になってきます。あと、
013.stcm2 0x8664 周りで働いている人も。
013.stcm2 0x86b8 どうしますか？
013.stcm2 0x8700 １．ベノムちゃんを待っている
013.stcm2 0x8758 ２．ベノムちゃんを呼びに行く
013.stcm2 0x8b28 いえ、今は誰の邪魔もなく静希ちゃんとお話し
013.stcm2 0x8b80 ているのです。この時間を有効に使わなくては
013.stcm2 0x8bd8 いけません。
013.stcm2 0x8d0c 静希ちゃん
013.stcm2 0x8d44 「そう言えばごめんね。ベノムちゃんのこと、
013.stcm2 0x8d9c 黙ってて」
013.stcm2 0x8e3c 「ううん。いいんだよ」
013.stcm2 0x8e90 静希ちゃんは、ちょっと申し訳なさそうな表情
013.stcm2 0x9014 静希ちゃん
013.stcm2 0x904c 「ベノムちゃんがドクロちゃんが落ち着けない
013.stcm2 0x90a4 だろうから、自分がいることを少しナイショに
013.stcm2 0x90fc しておいてほしいって」
013.stcm2 0x91a8 「そうだったんだ。僕のことは気にしないで？」
013.stcm2 0x92f8 静希ちゃん
013.stcm2 0x9330 「ふふ……ありがとう。桜くん、本当に……」
013.stcm2 0x9398 本当に……なに？　言ってごらん？
013.stcm2 0x94bc 僕の心の中には、否応なしにあの映像がよみが
013.stcm2 0x9514 えります。……い、いよいよ！
013.stcm2 0x9570 そして、染まる彼女のほほと、
013.stcm2 0x97b0 「本当にヒドイザンスー！」
013.stcm2 0x9808 ピンクのモヒカン！
013.stcm2 0x9968 許すまじ……ピンクのモヒカン。
013.stcm2 0x9aac 静希ちゃんは【本当に……大好きだよ】って言
013.stcm2 0x9b04 う予定だったんです（推定）！！
013.stcm2 0x9d30 それを……それをォォォォォヲヲヲ！！！
013.stcm2 0x9d94 ザンスめ、どこまで僕を邪魔したいのでしょう！
013.stcm2 0x9df0 こんなにザンスのモヒカンをむしりたいと思っ
013.stcm2 0x9e48 たのは、はじめてです！！
013.stcm2 0x9f90 「桜くんはミィのささやかな趣味すらも、目の
013.stcm2 0x9fe8 カタキにするザンス！」
013.stcm2 0xa03c どこがささやかなんでしょうか。自覚というも
013.stcm2 0xa094 のが完全に失われています。
013.stcm2 0xa0ec ……ああ、だから変な服に変なサングラスと、
013.stcm2 0xa144 ピンクのモヒカンなんですね。あのモヒカンは
013.stcm2 0xa19c 僕にとって、目のカタキと言うより目の毒です。
013.stcm2 0xa260 「いい加減にしてくださいザンスさん！　そん
013.stcm2 0xa2b8 なに僕の邪魔したいなら受けて立ちますよ！？
013.stcm2 0xa310 ほら、アドバンスド徒競走しましょうよ！」
013.stcm2 0xa558 「ミ、ミィはやらないザンスよ。へ、平和主義
013.stcm2 0xa5b0 者ザンスからねえ……」
013.stcm2 0xa65c 「ルールはわかりますね？　僕が勝ったらザン
013.stcm2 0xa6b4 スさんを１週間縛り付けて、ヒタイに数秒間隔
013.stcm2 0xa70c で１滴ずつ水滴を落としつづけます」
013.stcm2 0xa94c 「そんなことされたら、寝れないザンス！」
013.stcm2 0xaa0c 「寝かせると思うな！」
013.stcm2 0xac2c 僕はザンスにつかみかかり、それを実行に移そ
013.stcm2 0xac84 うとします。もう勝負とか関係ありません。
013.stcm2 0xaecc 「桜くんがヤバイザンス！　やめるザンスよ！」
013.stcm2 0xaf38 僕はどんな手を使っても勝ちます。なら、罰ゲー
013.stcm2 0xaf94 ムは前払いです！　ザンスを２度と悪さできな
013.stcm2 0xafec くッ！　してやるッ！
013.stcm2 0xb574 静希ちゃん
013.stcm2 0xb5ac 「桜くん、水滴！
013.stcm2 0xb5ec 虹色の水滴が背中から出ちゃってる！」
013.stcm2 0xb988 「はッ！　僕の夢がもれちゃう！」
013.stcm2 0xba28 静希ちゃんに指摘されると、それは蛇口をしめ
013.stcm2 0xba80 るかのようにすぐに止まりました。
013.stcm2 0xbb20 僕はザンスから手を離し、静希ちゃんに向き直
013.stcm2 0xbb78 ります。
013.stcm2 0xbda0 「ふう……助かったよ静希ちゃん」
013.stcm2 0xbee4 静希ちゃん
013.stcm2 0xbf1c 「桜くん、よかった……」
013.stcm2 0xc158 「た、助かったザンス……」
013.stcm2 0xc208 それは、三者三様のため息でした。
013.stcm2 0xc3b0 今日はベノムちゃんとあんまり一緒にいられな
013.stcm2 0xc408 かったですし、様子を見てみましょう。
013.stcm2 0xc46c ドクロちゃんの情報は上手く集められたのでしょ
013.stcm2 0xc564 「僕、ちょっとベノムちゃんの様子を見てくる
013.stcm2 0xc600 静希ちゃんは、キリッとした真剣な表情になっ
013.stcm2 0xc658 て、言いました。
013.stcm2 0xc790 静希ちゃん
013.stcm2 0xc7c8 「うん、気をつけてね」
013.stcm2 0xc874 「うん。わかってるよ」
013.stcm2 0xc924 僕は静希ちゃんに軽く手を振ってから、救護員
013.stcm2 0xc97c 席へ向かいました。
013.stcm2 0xcb48 第２話　終盤です
013.stcm2 0xcd68 「サバトちゃん、今日は楽しかった？」
013.stcm2 0xceb4 サバトちゃん
013.stcm2 0xcef0 「おいしかったですぅ！」
013.stcm2 0xcfe8 おいしかった、とはいかなる答えでしょう。
013.stcm2 0xd134 サバトちゃん
013.stcm2 0xd170 「お弁当ですぅ！」
013.stcm2 0xd218 「あ、なるほど……」
013.stcm2 0xd26c サバトちゃんは、ずいぶんお弁当にお熱だった
013.stcm2 0xd2c4 ようです。彼女の生活を考えれば、僕はうなず
013.stcm2 0xd31c くばかりですが。
013.stcm2 0xd454 サバトちゃん
013.stcm2 0xd490 「最近、桜くんにお世話になってばかりですぅ。
013.stcm2 0xd4ec この前は桜くんのおうちで、お風呂もいただい
013.stcm2 0xd544 たですぅ」
013.stcm2 0xd5e4 「いいんだよ、サバトちゃんは気にしないで。
013.stcm2 0xd63c それに、あのお弁当をつくってくれたのはザク
013.stcm2 0xd694 ロちゃんだしね」
013.stcm2 0xd7f0 サバトちゃん
013.stcm2 0xd82c 「み、みんなにこんなに良くしてもらって、サ
013.stcm2 0xd884 バトは……サバトは、幸せ者ですぅ！」
013.stcm2 0xd8e8 サバトちゃんの瞳にあふれるのは、感極まった
013.stcm2 0xd940 証。サバトちゃんはいきなり涙ぐんでしまいま
013.stcm2 0xd9dc 久しぶりに食べたであろう普通の食事が、彼女
013.stcm2 0xda34 に涙をつくるだけの栄養を与えたのでしょうか。
013.stcm2 0xdaf8 「サ、サバトちゃん……普通の幸せ者は毎日食
013.stcm2 0xdb50 事して、毎日お風呂に入ると思うよ？」
013.stcm2 0xdc9c サバトちゃん
013.stcm2 0xdcd8 「桜くん、いつもいつもありがとうですぅ……。
013.stcm2 0xdd34 健康診断のときもご迷惑をおかけして……」
013.stcm2 0xddb8 健康診断……？　健康診断と言えば、ベノムちゃ
013.stcm2 0xde14 ん。そのベノムちゃんの姿がまだ見えません。
013.stcm2 0xdea4 気が付けば、お昼からベノムちゃんの姿を見て
013.stcm2 0xdefc いませんが、ベノムちゃんの目的は上手く進ん
013.stcm2 0xdf54 でいるのでしょうか。
013.stcm2 0xdfa8 このスポーツフェスティバル自体が、ドクロちゃ
013.stcm2 0xe004 んの健康状態をチェックするための手段。
013.stcm2 0xe068 ベノムちゃんのことを思い出すと、彼女の様子
013.stcm2 0xe0c0 が気になってきました。
013.stcm2 0xe114 どうしますか？
013.stcm2 0xe15c １．ベノムちゃんを待っている
013.stcm2 0xe1b4 ２．ベノムちゃんを呼びに行く
013.stcm2 0xe5a8 「ほ、ほらサバトちゃん、泣かないで？」
013.stcm2 0xe60c 僕はこう言って、何度この女の子をなぐさめた
013.stcm2 0xe664 でしょうか。
013.stcm2 0xe798 サバトちゃん
013.stcm2 0xe7d4 「は、はいぃ……」
013.stcm2 0xe824 そろそろスポーツフェスティバルも終わりです
013.stcm2 0xe87c し、ベノムちゃんも待っていれば戻ってくるで
013.stcm2 0xe8d4 しょう。
013.stcm2 0xe91c 今はそれより、目の前で泣きそうになっている
013.stcm2 0xe974 天使の女の子をどうにかしないといけません。
013.stcm2 0xea34 「それより、サバトちゃん。お弁当の他に、競
013.stcm2 0xea8c 技はどうだったの？　楽しかった？　僕も見て
013.stcm2 0xeae4 たけど、サバトちゃんがんばってたよね」
013.stcm2 0xeb64 僕は垂直跳びなどの競技を思い出していました。
013.stcm2 0xebc0 腹ペコ天使とは思えない活躍ぶりには、事情を
013.stcm2 0xec18 知りつつ見る者の涙を誘いました。
013.stcm2 0xed88 サバトちゃん
013.stcm2 0xedc4 「とっても楽しかったですぅ。身体を動かした
013.stcm2 0xee1c ら、おなかが空いちゃうから滅多にやらないん
013.stcm2 0xee74 ですぅ」
013.stcm2 0xef14 「あ……それもそうだね……」
013.stcm2 0xf124 今日はベノムちゃんとあんまり一緒にいられな
013.stcm2 0xf17c かったですし、様子を見てみましょう。
013.stcm2 0xf238 「サバトちゃん、僕はちょっとベノムちゃんの
013.stcm2 0xf290 様子を見てくるね。だから泣かないで？」
013.stcm2 0xf3dc サバトちゃん
013.stcm2 0xf418 「わかったですぅ、いってらっしゃいですぅ」
013.stcm2 0xf4d8 「うん。じゃあ、ちょっと行ってくるよ」
013.stcm2 0xf598 サバトちゃんに見送られて、僕はベノムちゃん
013.stcm2 0xf5f0 がいるであろう、救護員席に向かいました。
013.stcm2 0xf7e0 サバトちゃん
013.stcm2 0xf81c 「桜くん！　ベノムちゃんに気を付けてくださ
013.stcm2 0xf874 いですぅ！」
013.stcm2 0xf91c うしろから、サバトちゃんの心配そうな声が響
013.stcm2 0xf974 きました。
013.stcm2 0xf9bc ……もっともな心配です。
013.stcm2 0xfc74 ところ変わって救護員席。
013.stcm2 0xfd24 「ベノムちゃん」
013.stcm2 0xfef8 ベノムちゃん
013.stcm2 0xff34 「桜殿、今日はお疲れさまであります」
013.stcm2 0xff98 ベノムちゃんはゴキゲンでした。これは、ベノ
013.stcm2 0xfff0 ムちゃんの目的である、ドクロちゃんの情報集
013.stcm2 0x10048 めが上手くいったということかもしれません。
013.stcm2 0x10108 「もうすぐ、スポーツフェスティバルも終わり
013.stcm2 0x10160 でしょ？　だからベノムちゃんを迎えに来たん
013.stcm2 0x101b8 だけど」
013.stcm2 0x102e8 ベノムちゃん
013.stcm2 0x10324 「それはわざわざ、ありがとうございます。
013.stcm2 0x1037c しかし、片づけと情報の整理がありますゆえ、
013.stcm2 0x103d4 まだ戻れないであります」
013.stcm2 0x1042c ベノムちゃんは笑顔で言いました。
013.stcm2 0x104e4 「そっか、なんかいそがしそうだね」
013.stcm2 0x10544 ……まってください。救護員のベノムちゃんが
013.stcm2 0x1059c いそがしいということはケガ人が出ているとい
013.stcm2 0x105f4 うことでしょうか。
013.stcm2 0x10644 そして、ベノムちゃんが救護を……？
013.stcm2 0x106fc 「ね、ねえ、ベノムちゃん。ケガした人とかやっ
013.stcm2 0x10758 ぱりいっぱい来たの？」
013.stcm2 0x107ac 僕は不安を胸に押し込めながら尋ねます。その
013.stcm2 0x10804 不安はもちろん、ベノムちゃんに救護を受けた
013.stcm2 0x1085c 人への心配です。
013.stcm2 0x10994 ベノムちゃん
013.stcm2 0x109d0 「いえ、それが数名がすり傷をつくった程度で、
013.stcm2 0x10a2c 救護を受けに来る方が、ほとんどいないであり
013.stcm2 0x10b20 「……ホント！？　それはすごくよかったね！」
013.stcm2 0x10b8c 気が付けば僕は、その安心を隠すことなく、ベ
013.stcm2 0x10be4 ノムちゃんに伝えていました。
013.stcm2 0x10d24 ベノムちゃん
013.stcm2 0x10d60 「桜殿はおやさしい方でありますなあ。
013.stcm2 0x10db4 他の方のご心配まで熱心であられる」
013.stcm2 0x10e6c 「それで、ベノムちゃんは救護活動に参加した
013.stcm2 0x10f08 すり傷だってベノムちゃんの毒を受ければ致命
013.stcm2 0x10f60 傷。ベノムちゃんはとってもデンジャラスな女
013.stcm2 0x10fb8 の子なのですから。
013.stcm2 0x110f0 ベノムちゃん
013.stcm2 0x1112c 「自分は運営管理もありましたから、他の救護
013.stcm2 0x11184 員の方が、救護の手を間に合わせてくれたであ
013.stcm2 0x111dc ります」
013.stcm2 0x1127c 「よかった……！」
013.stcm2 0x112cc 安心しました。もしベノムちゃんじゃなければ、
013.stcm2 0x11328 手を取り合って喜ぶところです。
013.stcm2 0x11494 ベノムちゃん
013.stcm2 0x114d0 「本当に、無事に済みそうでよかったでありま
013.stcm2 0x11528 す。もちろん、これも桜殿のご協力があればこ
013.stcm2 0x11580 そでありますな」
013.stcm2 0x116b4 ベノムちゃん
013.stcm2 0x116f0 「桜殿にはとても感謝しているでありますよ」
013.stcm2 0x117b0 「そんな、僕はなにも……」
013.stcm2 0x118f0 ベノムちゃん
013.stcm2 0x1192c 「自分は知っているでありますよ。桜殿はドク
013.stcm2 0x11984 ロ殿の周囲でケガをされる方が出ないように、
013.stcm2 0x119dc いろいろと気をつけてくださったであります」
013.stcm2 0x11b2c ベノムちゃん
013.stcm2 0x11b68 「自分は、そんな桜殿のためにも、このスポー
013.stcm2 0x11bc0 ツフェスティバルを成功させたかったのであり
013.stcm2 0x11cb4 「ベノムちゃん……ありがとう」
013.stcm2 0x11d10 なんだか、報われた気がしました。ベノムちゃ
013.stcm2 0x11d68 んは、あの苦労をわかってくれるのです。
013.stcm2 0x11dcc なんていい子でしょう。その白い手を毒手にし
013.stcm2 0x11e24 ておくのが惜しいほどです。
013.stcm2 0x11f60 ベノムちゃん
013.stcm2 0x11f9c 「ふふ……お礼を言うのは自分の方であります」
013.stcm2 0x12048 ベノムちゃんがやさしくほほえむと、僕も少し
013.stcm2 0x120a0 だけドキドキしてしまいます。
013.stcm2 0x12118 浮気じゃ……ないよ？
013.stcm2 0x121ec 「それじゃあ、僕は戻るから。ベノムちゃんも
013.stcm2 0x12244 用事が終わったら来てね」
013.stcm2 0x12384 ベノムちゃん
013.stcm2 0x123c0 「了解であります、すぐに参るでありますよ」
013.stcm2 0x12484 そう言って、ベノムちゃんは仕事に戻っていき
013.stcm2 0x124dc ました。
013.stcm2 0x127c8 そして、閉会式も問題なく終わり……。
013.stcm2 0x12884 「終わっちゃったね」
013.stcm2 0x12a5c ザクロちゃん
013.stcm2 0x12a98 「楽しい時間とは、そういうものですね」
013.stcm2 0x12afc 夕日に照らされたザクロちゃんがゆるやかにほ
013.stcm2 0x12b54 ほえみます。
013.stcm2 0x12ba0 それはまるで１枚のポートレート。そんな光景
013.stcm2 0x12bf8 を、僕はひとりじめにしているのです。
013.stcm2 0x12c5c だって、夕日を背にしてほほえむ天使なんて見
013.stcm2 0x12cb4 たことがある人はきっと僕しかいません。
013.stcm2 0x12d70 「あとはベノムちゃんをまってから帰ろうか」
013.stcm2 0x12ec0 ザクロちゃん
013.stcm2 0x12efc 「そうですね」
013.stcm2 0x13138 ドクロちゃん
013.stcm2 0x13174 「じゃあボクは先に帰るねっ。みんな、ばいばー
013.stcm2 0x13398 僕はむんずとドクロちゃんの肩をつかみます。
013.stcm2 0x13458 「ドクロちゃんストップ。ベノムちゃんはなに
013.stcm2 0x134b0 もしないよ」
013.stcm2 0x13554 「僕が口をすっぱくして、ドクロちゃんの耳に
013.stcm2 0x135ac タコができるほど言ってるでしょ？」
013.stcm2 0x136f0 ドクロちゃん
013.stcm2 0x1372c 「酢ダコができるね」
013.stcm2 0x137d8 「……お願いだから無計画に会話しないで？」
013.stcm2 0x13840 そして、ウワサをすれば、
013.stcm2 0x13b44 ベノムちゃん
013.stcm2 0x13b80 「みなさん、本日はお疲れさまであります。お
013.stcm2 0x13bd8 かげさまで、スポーツフェスティバルが無事、
013.stcm2 0x13c30 終了いたしました」
013.stcm2 0x13c80 ベノムちゃんがどことなくうれしそうに姿を見
013.stcm2 0x13cd8 せました。
013.stcm2 0x13d20 僕もまた、１人のギセイシャもなくスポーツフェ
013.stcm2 0x13d7c スティバルを終えられたことを、うれしく思い
013.stcm2 0x13e18 どうやら、ドクロちゃんもちょっと引き気味な
013.stcm2 0x13e70 がら逃げないでくれるようです。
013.stcm2 0x140b0 サバトちゃん
013.stcm2 0x140ec 「なんか、ベノムちゃんが主催者さんみたいで
013.stcm2 0x14188 スルドイ！　しかし、ドクロちゃんがいる前で
013.stcm2 0x141e0 真実を明らかにするわけにもいきません。
013.stcm2 0x1432c ベノムちゃん
013.stcm2 0x14368 「ふふ、そうでありますか？」
013.stcm2 0x1441c 「そ、そうだよ！　ベノムちゃんが主催者なわ
013.stcm2 0x14474 けないよ！　まだこっちに来たばかりなのに」
013.stcm2 0x145c4 サバトちゃん
013.stcm2 0x14600 「それもそうですぅ」
013.stcm2 0x14654 なんとかサバトちゃんをごまかした僕は、ベノ
013.stcm2 0x146ac ムちゃんにこっそりと尋ねました。
013.stcm2 0x14850 「それで、今日の成果はどうだったの？」
013.stcm2 0x1499c ベノムちゃん
013.stcm2 0x149d8 「その……実は……」
013.stcm2 0x14a2c 戻ってきたときのゴキゲンぶりとはうって変わっ
013.stcm2 0x14a88 て、ベノムちゃんが言いづらそうにしています。
013.stcm2 0x14b4c 「どうしたの？」
013.stcm2 0x14c84 ベノムちゃん
013.stcm2 0x14cc0 「ドクロ殿の情報を集められると思ったのであ
013.stcm2 0x14d18 りますが、集めてみると情報の内容がよくわか
013.stcm2 0x14d70 らないのであります」
013.stcm2 0x14e5c 「わからない……？」
013.stcm2 0x14eb0 どういう意味でしょうか。情報は集められたよ
013.stcm2 0x14f08 うですが、それでも困っているようです。
013.stcm2 0x15070 ベノムちゃん
013.stcm2 0x150ac 「ドクロ殿の競技記録が、どれも普通ではない
013.stcm2 0x15104 数値を示しておりまして……正直、参考にしよ
013.stcm2 0x1515c うがないと言いますか……」
013.stcm2 0x1520c 「なるほど……ドクロちゃんはそんなところま
013.stcm2 0x15264 でめちゃくちゃなんだ……」
013.stcm2 0x152e4 なんということでしょう。スポーツフェスティ
013.stcm2 0x1533c バルまで開催して、ドクロちゃんの情報を集め
013.stcm2 0x15394 ようとしたのに、失敗だったなんて。
013.stcm2 0x153f4 ベノムちゃんの苦労が報われない。その事実が、
013.stcm2 0x15450 僕の気を重くしました。
013.stcm2 0x154a4 それというのも、ドクロちゃんが健康診断を素
013.stcm2 0x154fc 直に受けないのがいけないのです。あの子は、
013.stcm2 0x15554 ほんとにもう！
013.stcm2 0x156b0 ベノムちゃん
013.stcm2 0x156ec 「……ですが、いいのであります」
013.stcm2 0x157ec ベノムちゃんは、急に晴れやかな顔をしました。
013.stcm2 0x15848 まるでなにかが吹っ切れたというように。
013.stcm2 0x15994 ベノムちゃん
013.stcm2 0x159d0 「みなさん、本当に楽しそうでありました。も
013.stcm2 0x15a28 ちろん、桜殿のお友だちをのぞいた街の方々も」
013.stcm2 0x15b78 ベノムちゃん
013.stcm2 0x15bb4 「みなさんに喜んでいただけたのならば、本来
013.stcm2 0x15c0c の目的から少し外れてしまっても、構わないで
013.stcm2 0x15c64 ありますよ」
013.stcm2 0x15d08 「ベノムちゃん……」
013.stcm2 0x15d5c 僕は、ベノムちゃんが報われないのは間違って
013.stcm2 0x15db4 いると思いました。
013.stcm2 0x15e04 こんなに心の清らかな天使は、ザクロちゃん以
013.stcm2 0x15e5c 来じゃないですか。
013.stcm2 0x15eac いえ、そもそも心が清らかとは思えないような
013.stcm2 0x15f04 天使がいることの方が問題ですが。
013.stcm2 0x15fbc 「それじゃあ、今ならドクロちゃんは油断して
013.stcm2 0x16014 るし、健康診断すれば……」
013.stcm2 0x16154 ベノムちゃん
013.stcm2 0x16190 「それはできないであります。今日は、無理に
013.stcm2 0x161e8 健康診断をしないという約束でありますから」
013.stcm2 0x16250 その約束は僕が伝言を頼まれただけで、ベノム
013.stcm2 0x162a8 ちゃんとドクロちゃんが直接約束を交わしたわ
013.stcm2 0x16300 けではありません。
013.stcm2 0x16350 それなのに、そこまで……。
013.stcm2 0x16400 「わかったよ。ベノムちゃんがいいなら、僕も
013.stcm2 0x16458 それでいいよ」
013.stcm2 0x16588 ベノムちゃん
013.stcm2 0x165c4 「ありがとうございます、桜殿」
013.stcm2 0x16620 ベノムちゃんがそう言って、僕に頭を下げると
013.stcm2 0x16678 宮本が僕たちの間に割り込んできました。
013.stcm2 0x16988 「おい、桜。なに話してるんだよ。みんな、まっ
013.stcm2 0x169e4 てるぞ」
013.stcm2 0x16a84 「ああ、ごめんごめん」
013.stcm2 0x16b8c 僕がみんなの方へ向き直ると、ザクロちゃんが
013.stcm2 0x16be4 切り出しました。
013.stcm2 0x16dbc ザクロちゃん
013.stcm2 0x16df8 「さあ、ベノムさんも戻っていらっしゃいまし
013.stcm2 0x16e50 たし、帰りましょう」
013.stcm2 0x16efc 「そうだね。……帰ろうかベノムちゃん」
013.stcm2 0x17140 ベノムちゃん
013.stcm2 0x1717c 「はい」
013.stcm2 0x17260 夕日が沈んでいきます。夏に比べてかなり短く
013.stcm2 0x172b8 なった昼の時間が、終わろうとしていました。
013.stcm2 0x17360 今日はザクロちゃんのちがった一面を見ること
013.stcm2 0x173b8 ができましたし、僕も楽しかったのは事実です。
013.stcm2 0x17424 家に帰れば、きっとドクロちゃんは今日の感想
013.stcm2 0x1747c を元気よく話しつづけるでしょう。
013.stcm2 0x174dc そして、それを延々と聞かされて困った顔の僕
013.stcm2 0x17534 と笑顔のザクロちゃん。
013.stcm2 0x17588 そんな日常に思いをめぐらせながら、僕たちは
013.stcm2 0x175e0 帰途につきました。
013.stcm2 0x177ec ……いえ。帰途につく、はずでした。
013.stcm2 0x1784c ベノムちゃんが僕の足元を見ています。
013.stcm2 0x17998 ベノムちゃん
013.stcm2 0x179d4 「桜殿。ヒザから、血が流れているであります
013.stcm2 0x17a2c よ。手当てしますゆえ、少し動かないでくださ
013.stcm2 0x17ac8 そう言って僕に近づくベノムちゃん。
013.stcm2 0x17b28 僕を手、当て……？　いけない……ッ！！
013.stcm2 0x17d98 ザクロちゃん
013.stcm2 0x17dd4 「は……あ、いけません！　ベノムさん、おま
013.stcm2 0x17e2c ちください……！」
013.stcm2 0x17ed8 見れば僕のヒザには小さな傷。競技でもケガを
013.stcm2 0x17f30 した覚えのない僕の心当たりは……、アドバン
013.stcm2 0x17f88 スド徒競走のあとの……エスカリボルグ！
013.stcm2 0x181cc 突然のことに、僕の思考は鈍りました。僕が足
013.stcm2 0x18224 に【逃げろ】と命令するころ、ベノムちゃんの
013.stcm2 0x1827c 手が僕に届いてしまいました。
013.stcm2 0x18330 「そ、そんな……いつもはキレイに治るのに！
013.stcm2 0x18388 ドクロちゃんにハカられた！！　これはインボ
013.stcm2 0x183e0 ウどわあああううぅぅ……ッッ！！」
013.stcm2 0x186f4 被害者の出なかったスポーツフェスティバル。
013.stcm2 0x1875c 唯一の被害者はこの僕、草壁桜でした。
013.stcm2 0x18b58 「うッ……ううう……ううッ……」
013.stcm2 0x18bb8 今の僕は、まるで身ぐるみをはがされた旅人で
013.stcm2 0x18c10 す。途方にくれるには絶好の夕日が、僕を照ら
013.stcm2 0x18c68 していました。
013.stcm2 0x18cb4 これが、昨年のザクロちゃんが、そして先週の
013.stcm2 0x18d0c サバトちゃんが味わったものだったのです。ち
013.stcm2 0x18d64 なみにザンスは気にしない方向です。
013.stcm2 0x18dc4 ベノムちゃんに触れられた瞬間に、僕は心臓を
013.stcm2 0x18e1c 射抜かれるような気分を味わいました。
013.stcm2 0x18e80 全身を襲う寒気と、急速に安定を失った視界が
013.stcm2 0x18ed8 僕の心をへし折りました。もはや、立っている
013.stcm2 0x18f30 ことなど、不可能だったのです。
013.stcm2 0x18f8c ベノムちゃんに隠れ、こっそりと水場で触れら
013.stcm2 0x18fe4 れた場所を洗い流してきましたが、それでもな
013.stcm2 0x1903c お気分の悪さが残っています。
013.stcm2 0x19220 ベノムちゃん
013.stcm2 0x1925c 「桜殿、ご気分が悪いのでしたら……」
013.stcm2 0x194b0 静希ちゃん
013.stcm2 0x194e8 「桜くん。それじゃあ、先に帰るね。ベノムちゃ
013.stcm2 0x19544 ん、行こう？」
013.stcm2 0x19678 ベノムちゃん
013.stcm2 0x196b4 「しかし！　……い、いえ。了解であります」
013.stcm2 0x1971c 静希ちゃんは恐らく、もっとも自然な方法で、
013.stcm2 0x19774 僕からベノムちゃんを遠ざけてくれたのです。
013.stcm2 0x19834 「うん……また明日。……学校でね。ベノムちゃ
013.stcm2 0x19890 んも、またね」
013.stcm2 0x199bc 静希ちゃんは僕に手を振り、ベノムちゃんは心
013.stcm2 0x19a14 配そうな瞳を向けたまま、去っていきました。
013.stcm2 0x19c04 「ミィも帰るザンス。それじゃあ失礼するザン
013.stcm2 0x19c5c スよー」
013.stcm2 0x19d38 誰も聞いていないのにザンスがそう言うと、モ
013.stcm2 0x19d90 ヒカンをゆらしながら帰っていきます。
013.stcm2 0x19f78 「桜、すまんが先に帰るぞ。まあ、その……よ
013.stcm2 0x19fd0 くわからんが、お大事にな」
013.stcm2 0x1a080 「ああ……じゃあな、宮本。また明日」
013.stcm2 0x1a1cc 「おう、じゃあな」
013.stcm2 0x1a29c 宮本は、ごく簡単に手を振って離れていきます。
013.stcm2 0x1a490 サバトちゃん
013.stcm2 0x1a4cc 「桜くん、お大事にですぅ」
013.stcm2 0x1a57c 「うん、またね……」
013.stcm2 0x1a654 サバトちゃんは同じ毒を知る者同士、僕と通じ
013.stcm2 0x1a6ac るものがあるのでしょう。自分のコトのように
013.stcm2 0x1a704 心配そうな顔を向けていました。
013.stcm2 0x1aa3c 「桜くん、それじゃあまた明日ね」
013.stcm2 0x1ab54 田辺さん
013.stcm2 0x1ab8c 「お疲れさまー」
013.stcm2 0x1ac34 「僕の状態に対して……コメントは、なし？」
013.stcm2 0x1ad74 僕のコメントには力がありませんでした。すぐ
013.stcm2 0x1adcc に南さんと田辺さんは帰っていきました。
013.stcm2 0x1ae30 そうやってひとしきりみんなを見送って、
013.stcm2 0x1b040 ザクロちゃん
013.stcm2 0x1b07c 「桜さん、今日は本当にありがとうございまし
013.stcm2 0x1b170 「ザクロ……ちゃん？」
013.stcm2 0x1b26c ザクロちゃんは僕をかつぐように助け起こして
013.stcm2 0x1b2c4 くれました。
013.stcm2 0x1b310 僕の方がおにいさんなのに、ザクロちゃんの方
013.stcm2 0x1b368 が背が高く、ザクロちゃんはちょっとだけ支え
013.stcm2 0x1b3c0 にくそうに、かがんでいます。
013.stcm2 0x1b45c 僕はちょっとだけ気恥ずかしさを感じながらも、
013.stcm2 0x1b4b8 されるがままになっていました。
013.stcm2 0x1b56c 「ザクロちゃん、いいよ。僕は、大丈夫だか
013.stcm2 0x1b634 ザクロちゃん
013.stcm2 0x1b670 「いえ、このくらいさせてください。桜さんは、
013.stcm2 0x1b6cc わたくしのおにいさまですから」
013.stcm2 0x1b728 僕はその言葉に涙が出そうでした。病気のとき
013.stcm2 0x1b780 は弱気になるという、アレのせいです。
013.stcm2 0x1b7e4 ドクロちゃんは見たいテレビがあると言って、
013.stcm2 0x1b83c 既に帰ってしまいました。当然のように、僕を
013.stcm2 0x1b894 見捨てて。
013.stcm2 0x1b8dc それとは真逆をいく、ザクロちゃんのやさしさ
013.stcm2 0x1b934 が僕の心に触れたのです。
013.stcm2 0x1b9e4 「ザクロちゃん、帰ろうか」
013.stcm2 0x1ba3c こうして、僕の苦行がまた１つ終わったのです。
013.stcm2 0x1bf3c ザクロちゃん
013.stcm2 0x1bf78 「桜さん、気をしっかり持ってくださいね」
013.stcm2 0x1bfe0 なんとか歩ける程度に回復した僕は、ザクロちゃ
013.stcm2 0x1c03c んと一緒に帰途につきました。
013.stcm2 0x1c098 その歩みは、朝とは比べ物にならないほどのん
013.stcm2 0x1c0f0 びりとしたもので、ザクロちゃんもそれに合わ
013.stcm2 0x1c148 せてくれているのがわかります。
013.stcm2 0x1c1fc 「ザクロちゃん、君のおねえさんはすごいコだっ
013.stcm2 0x1c258 たよ……」
013.stcm2 0x1c384 ザクロちゃん
013.stcm2 0x1c3c0 「はい。自慢の姉ですから」
013.stcm2 0x1c418 ザクロちゃんは僕がドクロちゃんをほめると、
013.stcm2 0x1c470 自分のことのように喜びます。
013.stcm2 0x1c4cc まあ、実際はほめているわけではないのですが。
013.stcm2 0x1c590 「ドクロちゃんの健康診断、無事に終わるとい
013.stcm2 0x1c5e8 いんだけど」
013.stcm2 0x1c634 また、ベノムちゃんはなにかしらの手を講じる
013.stcm2 0x1c68c ことでしょう。僕はこれからのことを思うと、
013.stcm2 0x1c6e4 今日のようなことが起こりそうで、怖いのです。
013.stcm2 0x1c838 ザクロちゃん
013.stcm2 0x1c874 「そうですね……おねえさまが相手では、なか
013.stcm2 0x1c8cc なか難しいと思いますが」
013.stcm2 0x1c924 ザクロちゃんは冷静に言い切りました。
013.stcm2 0x1ca08 「そっか……ベノムちゃんも僕も、まだまだが
013.stcm2 0x1ca60 んばらないといけないわけだね」
013.stcm2 0x1cba4 ザクロちゃん
013.stcm2 0x1cbe0 「桜さん……」
013.stcm2 0x1cc2c 乗りかかった船というやつです。
013.stcm2 0x1cc88 こんなことでヘコタレていたら、今までドクロ
013.stcm2 0x1cce0 ちゃんとひとつ屋根の下で暮らしてくることな
013.stcm2 0x1cd38 どできませんでした。
013.stcm2 0x1cd8c だから、僕はもう少しがんばってみようと思う
013.stcm2 0x1cde4 のです。
013.stcm2 0x1ce2c 僕の言葉に、一段とうれしそうなザクロちゃん
013.stcm2 0x1ce84 は言いました。
013.stcm2 0x1cfb4 ザクロちゃん
013.stcm2 0x1cff0 「桜さん。……桜さんも、わたくしの自慢のお
013.stcm2 0x1d048 にいさまなんですよ」
013.stcm2 0x1d09c 僕もザクロちゃんも、その顔は夕日で赤く染まっ
013.stcm2 0x1d0f8 ていました。
014.stcm2 0x21c 第３話　序盤だよ
014.stcm2 0x5fc 静希ちゃん
014.stcm2 0x634 「桜くん。今日、一緒に帰ってほしいんだけど」
014.stcm2 0x6a0 はじまりは昼休みに言われた、静希ちゃんの一
014.stcm2 0x6f8 言でした。
014.stcm2 0x840 当然、断ろうはずもなく、僕は全速力でトイレ
014.stcm2 0x898 に駆け込みました。身だしなみをチェックする
014.stcm2 0x8f0 ためです。
014.stcm2 0x938 静希ちゃんの言葉に特別な意味を感じ取った僕
014.stcm2 0x990 は、精一杯のおめかしをしてコトに臨む必要が
014.stcm2 0x9e8 あります。
014.stcm2 0xa30 だって、僕たちはよく一緒に帰っているのです。
014.stcm2 0xa8c それなのに、わざわざ【一緒に帰ってほしい】
014.stcm2 0xae4 だなんて、なにかあるに決まってます！
014.stcm2 0xbb0 春が……来たのでしょうか？
014.stcm2 0xc08 僕の頭の中で【リーンゴーン、リーンゴーン】
014.stcm2 0xc60 という鐘の音が止むことなく鳴り響いていまし
014.stcm2 0xd40 そうです。きっと、こんなドキドキイベントが
014.stcm2 0xd98 僕をまっているにちがいありません！
014.stcm2 0xec4 はやる気持ちを押さえきれず、ちょっとだけ熱
014.stcm2 0xf1c 心に午後の授業を受け、そして迎えた下校時刻。
014.stcm2 0xf88 静希ちゃんが校門でまっていると言うので、僕
014.stcm2 0xfe0 は大急ぎでそこに向かいました。
014.stcm2 0x1240 僕がやって来た校門前。そこでまっていたのは、
014.stcm2 0x129c 静希ちゃん。
014.stcm2 0x14cc ……それと、ベノムちゃんでした。
014.stcm2 0x17a4 ベノムちゃん
014.stcm2 0x17e0 「今度は、桜殿と静希殿のお知恵をお借りした
014.stcm2 0x1838 いのであります」
014.stcm2 0x1888 校門前で静希ちゃんとともに僕を迎えたベノム
014.stcm2 0x18e0 ちゃんは開口一番、真剣な面持ちで僕たちにそ
014.stcm2 0x1938 う言いました。
014.stcm2 0x1b74 静希ちゃん
014.stcm2 0x1bac 「ごめんね。私が桜くんに相談してみようって
014.stcm2 0x1c04 言ったの」
014.stcm2 0x1ca4 「……ううん！　全然問題ないよ！！」
014.stcm2 0x1d24 体内をヨギル一抹の#Speed[80]残・念・感！
014.stcm2 0x1db4 しかし、僕が静希ちゃんに頼られているという
014.stcm2 0x1e0c この現実！　ここは日頃の男らしい行いの成果
014.stcm2 0x1e64 が現れたと喜ぶべき場面に違いありません！
014.stcm2 0x1ecc ですから、僕はココロを切り替え、すぐさま積
014.stcm2 0x1f24 極的に話に参加していくことにしました。
014.stcm2 0x20a4 「ベノムちゃん、任せて。僕と静希ちゃんがきっ
014.stcm2 0x2100 となんとかしてあげるから」
014.stcm2 0x223c ベノムちゃん
014.stcm2 0x2278 「さ、桜殿……かたじけないであります」
014.stcm2 0x22dc ベノムちゃんは感激に打ち震えています。
014.stcm2 0x2330 イコール草壁桜、男らしさ。
014.stcm2 0x23e0 「で、それってやっぱり、ドクロちゃんの健康
014.stcm2 0x2438 診断のコトだよね？　そういえば、この間のス
014.stcm2 0x2490 ポーツフェスティバルの時は……」
014.stcm2 0x25d8 ベノムちゃん
014.stcm2 0x2614 「ドクロ殿のデータは取れたことには取れたの
014.stcm2 0x266c でありますが、あまりにも突飛な数字が出てし
014.stcm2 0x26c4 まい、判断材料になり得なく……」
014.stcm2 0x280c ベノムちゃん
014.stcm2 0x2848 「なので、今回はどうにかドクロ殿の体調だけ
014.stcm2 0x28a0 でも把握できないかと思う次第であります」
014.stcm2 0x2af8 静希ちゃん
014.stcm2 0x2b30 「体調だけでも、って？」
014.stcm2 0x2c70 ベノムちゃん
014.stcm2 0x2cac 「直接触れて調べることができないのであれば、
014.stcm2 0x2d08 せめて外見からでも健康状態を確認することが
014.stcm2 0x2d60 できないものかと……」
014.stcm2 0x2e0c 「外見かあ……」
014.stcm2 0x2e5c ドクロちゃんの外見は、大きくふくらんだある
014.stcm2 0x2eb4 一点に視線が行きやすいことを除けば、なんの
014.stcm2 0x2f0c 問題もないように思えますが……。
014.stcm2 0x2f6c ベノムちゃんは見るだけでも、いろいろとわか
014.stcm2 0x2fc4 るものなのでしょうか。
014.stcm2 0x3140 静希ちゃん
014.stcm2 0x3178 「外見から見るだけなら……プールとかどうか
014.stcm2 0x3348 「プール？」
014.stcm2 0x3478 静希ちゃん
014.stcm2 0x34b0 「プールならドクロちゃんも水着だから、ベノ
014.stcm2 0x3508 ムちゃんも堂々と、ドクロちゃんの素肌を見ら
014.stcm2 0x3560 れるんじゃないかな」
014.stcm2 0x35dc 素肌を、堂々と。
014.stcm2 0x362c 僕は再びドクロちゃんのカラダの、とってもい
014.stcm2 0x3684 たずらっこな一部分を想像します。
014.stcm2 0x373c 「ま、まさか……」
014.stcm2 0x378c そして静希ちゃんは、ついに言うのです。
014.stcm2 0x38d8 静希ちゃん
014.stcm2 0x3910 「うん。私たち全員でプールに遊びに行くこと
014.stcm2 0x3968 にしたらどうかな、と思って。……だめかな？」
014.stcm2 0x3b0c そこは南国。夏の海。
014.stcm2 0x3c48 遠く聞こえる波音に混じって、僕たちが砂を踏
014.stcm2 0x3ca0 む音が聞こえます。
014.stcm2 0x3dc4 まるで砂を踏むザクザクという音でリズムを取っ
014.stcm2 0x3e20 たかのように、静希ちゃんが僕に話しかけてき
014.stcm2 0x3e78 ました。
014.stcm2 0x3f68 静希ちゃん
014.stcm2 0x3fa0 「……桜くん、どうかな？　変じゃない？」
014.stcm2 0x4008 静希ちゃんは、その身を水着に包んで、僕の目
014.stcm2 0x4060 の前でくるっと回って見せます。
014.stcm2 0x40bc その動きはどこか無防備で、軽快なものでした。
014.stcm2 0x4118 静希ちゃんが僕にだけ見せてくれる一面です。
014.stcm2 0x4180 もちろん、僕の答えは決まっています。
014.stcm2 0x423c 「静希ちゃん、そんな心配はいらないよ。静希
014.stcm2 0x4294 ちゃんに似合わないわけないじゃないか」
014.stcm2 0x4320 静希ちゃん
014.stcm2 0x4358 「ホントに？」
014.stcm2 0x43fc 「ホントだよ。変なもんか」
014.stcm2 0x4454 静希ちゃんは僕の答えに満足したかのように、
014.stcm2 0x44ac くすっと笑って、流れるように言葉をつなげま
014.stcm2 0x4570 静希ちゃん
014.stcm2 0x45a8 「私、桜くんと一緒に来るのすっごい恥ずかし
014.stcm2 0x4600 かったんだからっ……」
014.stcm2 0x4654 そこで静希ちゃんは一度言葉を区切ります。
014.stcm2 0x46e4 静希ちゃん
014.stcm2 0x471c 「勇気……出したんだよ？」
014.stcm2 0x4a1c 「……僕にも勇気をッッ！！」
014.stcm2 0x4a78 気が付けば力の限り、叫んでいました。
014.stcm2 0x4c64 静希ちゃん
014.stcm2 0x4c9c 「さ、桜くん！？　どうしたの……？」
014.stcm2 0x4d58 「すごくいいよ！　さすが静希ちゃん！」
014.stcm2 0x4e7c もちろん、プール案には大賛成です。僕が行か
014.stcm2 0x4ed4 なくて誰が行くのでしょう？
014.stcm2 0x4f2c これはきっと僕にしかできないミッションです。
014.stcm2 0x4f88 ……この任務、誰にもゆずれません。
014.stcm2 0x51d8 ベノムちゃん
014.stcm2 0x5214 「しかし、自分が行くとなれば、ドクロ殿は警
014.stcm2 0x526c 戒して、いらしてくださらないのでは……」
014.stcm2 0x52d4 ベノムちゃんの不安はもっともです。でも、僕
014.stcm2 0x532c はそんなこと百も承知でした。
014.stcm2 0x5420 「ベノムちゃんが行くことをみんなにナイショ
014.stcm2 0x5478 にすればいいんだよ。僕がドクロちゃんを誘う
014.stcm2 0x55fc 静希ちゃん
014.stcm2 0x5634 「そうだね。私と桜くんだけで、ベノムちゃん
014.stcm2 0x568c がいることを隠していれば、なんとかなるかも」
014.stcm2 0x57b8 ベノムちゃんに視線を送ると、考えこむように
014.stcm2 0x5810 して口を閉じていました。
014.stcm2 0x5868 ベノムちゃんは、まだなにかしらの不安が残る
014.stcm2 0x58c0 ようです。
014.stcm2 0x5908 静希ちゃんの同意に力を得て、僕はそんなベノ
014.stcm2 0x5960 ムちゃんに一押しするのです。
014.stcm2 0x5a14 「あとは、ベノムちゃんのやる気次第だよ」
014.stcm2 0x5b64 ベノムちゃん
014.stcm2 0x5ba0 「や、やる気はもちろん、誰にも負けないであ
014.stcm2 0x5bf8 りますよ！　自分はお供させていただくであり
014.stcm2 0x5c50 ます！」
014.stcm2 0x5cf0 「それじゃあ、決まりだね」
014.stcm2 0x5e04 静希ちゃんが僕に向かってにこりとほほえんで
014.stcm2 0x5e5c くれました。それは、瞬間のアイコンタクト。
014.stcm2 0x5ec4 一瞬で充分であり、一瞬だからこそ伝わる想い
014.stcm2 0x5f1c もあるのです。静希ちゃんのメッセージ、ちゃ
014.stcm2 0x5f74 んと受け取ったよ？
014.stcm2 0x60ac ベノムちゃん
014.stcm2 0x60e8 「桜殿！　静希殿！　自分は、とても感謝して
014.stcm2 0x6140 いるであります！」
014.stcm2 0x6190 そして、僕と静希ちゃんに向かって飛び込んで
014.stcm2 0x61e8 くるのは感極まったベノムちゃん。
014.stcm2 0x6358 静希ちゃん
014.stcm2 0x6390 「ベ、ベノムちゃん！　だめ！」
014.stcm2 0x64b0 静希ちゃんの声がはやいか、ベノムちゃんの手
014.stcm2 0x6508 がはやいか、
014.stcm2 0x66d4 「ちょっ……ぃィよぉォヲヲッ！！」
014.stcm2 0x6734 ベノムちゃんの接触を回避です！
014.stcm2 0x6790 僕は全身のバネを駆使して、身体を思い切りね
014.stcm2 0x67e8 じりました。
014.stcm2 0x6834 それはもう必死です！　スポーツフェスティバ
014.stcm2 0x688c ルで僕はもうミーミングの威力を知ったのです
014.stcm2 0x6928 静希ちゃんもまたベノムちゃんの手を、寸前で
014.stcm2 0x6980 ひょいっと回避していました。
014.stcm2 0x6ac4 ベノムちゃん
014.stcm2 0x6b00 「な、なぜよけるでありますか、お二方とも！」
014.stcm2 0x6bc8 ――これはプールサイドでくり広げられる人生
014.stcm2 0x6c20 模様、季節はずれの水際物語。
014.stcm2 0x6eb8 話は進んで、
014.stcm2 0x7284 「それじゃ、次の土曜日に【ガウディ・
014.stcm2 0x72d8 スポーツセンター】でいいよね」
014.stcm2 0x7334 今日は週も半ばの水曜日。土曜日は３日後とい
014.stcm2 0x738c うことになります。
014.stcm2 0x73dc 土曜日なら半日授業なので、午後もたっぷり時
014.stcm2 0x7434 間が使えるのです。
014.stcm2 0x756c 静希ちゃん
014.stcm2 0x75a4 「うん、学校帰りにそのままかな？」
014.stcm2 0x7604 【ガウディ・スポーツセンター】とは、トレー
014.stcm2 0x765c ニングからレジャーまで、幅広いニーズにお応
014.stcm2 0x76b4 えする、複合運動施設です。
014.stcm2 0x770c 駅から線路沿いに歩いて少しすると、その建物
014.stcm2 0x7764 はあります。立地的には恵まれていると言って
014.stcm2 0x77bc いいでしょう。
014.stcm2 0x7808 そこは数々のトレーニング器具から、各種球技
014.stcm2 0x7860 のコートまで取り揃えた、本格的なスポーツセ
014.stcm2 0x78b8 ンターなのです。
014.stcm2 0x7908 僕たちはその中にある、全天候型の温水プール
014.stcm2 0x7960 に着目しました。季節はもう秋、さすがに屋外
014.stcm2 0x79b8 のプールは営業していません。
014.stcm2 0x7a6c 「お昼だし、ちょうどいいんじゃないかな。ベ
014.stcm2 0x7ac4 ノムちゃんも平気？」
014.stcm2 0x7bfc ベノムちゃん
014.stcm2 0x7c38 「自分はいつでも大丈夫でありますよ」
014.stcm2 0x7c9c ベノムちゃんは笑顔で言います。ベノムちゃん
014.stcm2 0x7cf4 の仕事はドクロちゃんの点呼と健康診断なので
014.stcm2 0x7d4c すから、なるほど日取りは自由のようです。
014.stcm2 0x7db4 あとの問題は、ドクロちゃんに怪しまれないよ
014.stcm2 0x7e0c うに誘い出すことだけです。
014.stcm2 0x7e64 怪しまれないかどうかだけでなく、まずはちゃ
014.stcm2 0x7ebc んと誘いに乗ってくれるかどうかも心配です。
014.stcm2 0x7f24 遊びに行くと言えば【来ないで】と言ってもつ
014.stcm2 0x7f7c いてきそうなドクロちゃんですが、来てほしい
014.stcm2 0x7fd4 ときには意外と来てくれない子です。
014.stcm2 0x8034 僕の思考がドクロちゃんについてぐるぐると回っ
014.stcm2 0x8090 ている中、声がかかりました。
014.stcm2 0x82c4 田辺さん
014.stcm2 0x82fc 「あ、ベノムちゃんこんにちは」
014.stcm2 0x8440 ベノムちゃん
014.stcm2 0x847c 「田辺殿、ご苦労様であります」
014.stcm2 0x86bc 「桜くんもこんにちは」
014.stcm2 0x8768 「うん、こんにちは……って、さっき学校で別
014.stcm2 0x87c0 れたばかりだよね」
014.stcm2 0x8810 相変わらず、南さんという人が僕にはよくわか
014.stcm2 0x8868 りません。……まあ、田辺さんもわからないで
014.stcm2 0x88c0 すけど。
014.stcm2 0x89c4 田辺さん
014.stcm2 0x89fc 「こんなところでなにやってたの？」
014.stcm2 0x8ab4 「しゅ、週末に遊びに行く計画立ててたんだよ！
014.stcm2 0x8b10 ほら、どこ行こっかなー、って」
014.stcm2 0x8c28 田辺さん
014.stcm2 0x8c60 「……私は静希ちゃんに聞いたんだけど」
014.stcm2 0x8d1c 「誰から聞いてもいいでしょ！？　たった今、
014.stcm2 0x8d74 話していたところなんだから、食い違いもあり
014.stcm2 0x8dcc ません！」
014.stcm2 0x8ff4 静希ちゃん
014.stcm2 0x902c 「次の土曜日に、みんなでガウディ・スポーツ
014.stcm2 0x9084 センターのプールに行こうかって話してたの」
014.stcm2 0x90ec 静希ちゃんが説明を加えると、南さんが不満そ
014.stcm2 0x9144 うに言いました。
014.stcm2 0x93f8 「そうなの……。桜くん、遊びに行くのにわた
014.stcm2 0x9450 したちは誘ってくれないの？」
014.stcm2 0x9504 「え……？　誘って、ほしかったの？」
014.stcm2 0x9568 誤解をしっぱなしの２人は、いつもハレモノに
014.stcm2 0x95c0 触るように僕と接するのです。
014.stcm2 0x965c そんな２人が、僕たちと遊びに行きたいなんて
014.stcm2 0x96b4 思うとは意外です。
014.stcm2 0x9704 ですが、ここまで言われて誘わないわけにもい
014.stcm2 0x975c きません。
014.stcm2 0x97fc 「ご、ごめんね。ええと、それなら南さんと田
014.stcm2 0x9854 辺さんも行く？」
014.stcm2 0x99b0 「ごめんなさい、その日は用事があって」
014.stcm2 0x9bcc 田辺さん
014.stcm2 0x9c04 「私も無理だよ」
014.stcm2 0x9cd4 「とってつけたように誘った僕も悪いかもしれ
014.stcm2 0x9d2c ないけどさ！　最初から行くつもりないのに、
014.stcm2 0x9d84 いろいろ言うのやめてよ！」
014.stcm2 0x9ddc 僕の強い主張に、しかし南さんは冷静に言い放
014.stcm2 0x9e34 ちます。
014.stcm2 0x9f6c 「桜くんって、わたしたちの都合が悪いときを
014.stcm2 0x9fc4 ねらって遊びに行くから」
014.stcm2 0xa074 「そ、そんなコトしてないよ！　今までにそん
014.stcm2 0xa0cc なコトなかったでしょ？」
014.stcm2 0xa124 南さんは少し考えるような仕草を見せますが、
014.stcm2 0xa17c 思い当たることはないはずです。だって、身に
014.stcm2 0xa1d4 覚えがないですから。
014.stcm2 0xa244 すると、田辺さんは横から一言。
014.stcm2 0xa384 田辺さん
014.stcm2 0xa3bc 「じゃあ、私たち行くから。ベノムちゃん楽し
014.stcm2 0xa414 んできてね」
014.stcm2 0xa640 ベノムちゃん
014.stcm2 0xa67c 「はい、職務を果たしてくるであります」
014.stcm2 0xa79c 田辺さん
014.stcm2 0xa7d4 「ショクム？」
014.stcm2 0xa938 「な、なんでもないよ？」
014.stcm2 0xa990 今回の目的がドクロちゃんにもれてしまっては、
014.stcm2 0xa9ec 計画が台無しです。
014.stcm2 0xaa3c どこからもれるかわからない以上、僕たち３人
014.stcm2 0xaa94 だけの秘密にしておく方がいいでしょう。
014.stcm2 0xabd0 田辺さん
014.stcm2 0xac08 「ドクロちゃんには秘密にしておいてあげるね」
014.stcm2 0xac74 ……バレてました。
014.stcm2 0xad44 「あ、ありがとう」
014.stcm2 0xadec 南さんと田辺さんは、軽く手を振りながら（お
014.stcm2 0xae44 そらく、僕に向けてではありません）僕たちか
014.stcm2 0xae9c ら離れていきました。
014.stcm2 0xaef0 彼女たちが見えなくなってから、僕はぽつりと
014.stcm2 0xaf48 言います。
014.stcm2 0xafe8 「それじゃあ、僕たちも帰ろうか」
014.stcm2 0xb1d0 静希ちゃん
014.stcm2 0xb208 「あ、ごめんね。私ちょっと、商店街に行かな
014.stcm2 0xb260 くちゃ」
014.stcm2 0xb300 「そうなの？」
014.stcm2 0xb34c 僕はちょっとだけ残念そうな声で言いました。
014.stcm2 0xb3a4 だって、静希ちゃんと一緒にいられる時間が少
014.stcm2 0xb3fc し減ってしまったのですから。
014.stcm2 0xb458 そして、それに続くようにベノムちゃんも、
014.stcm2 0xb6b0 ベノムちゃん
014.stcm2 0xb6ec 「自分はドクロ殿に関連して、ゲルニカ学園の
014.stcm2 0xb744 環境を調べてみようと思っているであります」
014.stcm2 0xb8bc 「それじゃあ僕は……」
015.stcm2 0x32c 僕は静希ちゃん、ベノムちゃんの２人と別れて、
015.stcm2 0x388 家に帰ってきました。
015.stcm2 0x3dc 目的は当然、土曜日のプールにドクロちゃんを
015.stcm2 0x434 誘い出すことです。
015.stcm2 0x5f4 「ただいまー」
015.stcm2 0x7c8 ザクロちゃん
015.stcm2 0x804 「おかえりなさい、桜さん」
015.stcm2 0x8b4 「ただいま、ザクロちゃん」
015.stcm2 0x90c 今までも何度となく繰り返してきたやり取りで
015.stcm2 0x964 ザクロちゃんが、僕を出迎えてくれました。
015.stcm2 0x9cc ドクロちゃんが出てくるまでは平和なものです。
015.stcm2 0xa90 「ドクロちゃんは帰ってる？」
015.stcm2 0xbd4 ザクロちゃん
015.stcm2 0xc10 「おねえさまでしたら、一度学校から戻られた
015.stcm2 0xc68 のですが、【メメント山を日本一の山に育てて
015.stcm2 0xcc0 くる】と言って、また出て行かれました」
015.stcm2 0xd7c 「な、なんですと！？　標高差が何千メートル
015.stcm2 0xdd4 あると思ってるんだ、あの子は！」
015.stcm2 0xe5c 【メメント山】とは僕の家の近くにある、小高
015.stcm2 0xeb4 い丘のような山です。もちろん、日本一に程遠
015.stcm2 0xf0c いのは明らかです。
015.stcm2 0xf5c 今度はなにに影響を受けたのでしょうか。
015.stcm2 0xfb0 もしかして、昨日の夜にテレビで見た特番……？
015.stcm2 0x101c アレは確か、ボクシングの世界チャンプを育て
015.stcm2 0x1074 た名トレーナーの逸話を取り上げた番組だった
015.stcm2 0x10cc はず。……それだ。
015.stcm2 0x111c 間違いありません。ドクロちゃんは今、トレー
015.stcm2 0x1174 ナー気取りでメメント山にいるのです。
015.stcm2 0x11f4 若干、予定とちがいますが、まずはザクロちゃ
015.stcm2 0x124c んを誘ってみるのもアリかもしれません。
015.stcm2 0x12b0 だって、ドクロちゃんが行くなら、ザクロちゃ
015.stcm2 0x1308 んも行かないと不自然です。
015.stcm2 0x1514 ザクロちゃん
015.stcm2 0x1550 「おねえさまに、なにかご用でしたか？」
015.stcm2 0x15b4 クツを脱ぎ、居間に上がるとザクロちゃんが尋
015.stcm2 0x160c ねます。
015.stcm2 0x16ac 「うん、実は……」
015.stcm2 0x16fc 僕がそれを口にしようとした瞬間、
015.stcm2 0x194c ドクロちゃん
015.stcm2 0x1988 「桜くん、ザクロちゃん、ただいまー！」
015.stcm2 0x19ec ドクロちゃんが居間に飛び込んできました。
015.stcm2 0x1b70 「……あれ？　ドクロちゃん、メメント山はど
015.stcm2 0x1bc8 うしたのかな……？　まさか、本気じゃないよ
015.stcm2 0x1c64 数千メートルの標高差を（文字どおり）埋める
015.stcm2 0x1cbc つもりで出て行った割には、帰りがやけにはや
015.stcm2 0x1d14 いじゃないですか。
015.stcm2 0x1d64 もしや、既にメメント山が日本一に……。僕は
015.stcm2 0x1dbc 窓を開けて外を確認しましたが、三千メートル
015.stcm2 0x1e14 級の山は観測できません。
015.stcm2 0x1e6c ……ほっ。どうやらメメント山はまだ以前のま
015.stcm2 0x1ec4 まの形を維持しているようです。
015.stcm2 0x1f20 だとしたら、なぜ戻ってきたのでしょうか。
015.stcm2 0x2070 ドクロちゃん
015.stcm2 0x20ac 「うんっとね……（もじもじ）桜くんの、にお
015.stcm2 0x2104 いがしたから……急いで帰ってきたの」
015.stcm2 0x21c0 「メメント山で僕のにおいはしないよ？」
015.stcm2 0x234c ドクロちゃん
015.stcm2 0x2388 「メメント山は世界をとれる器なの！　てつだっ
015.stcm2 0x23e4 て、桜くん！」
015.stcm2 0x24b0 「目標が日本一から世界一にクラスチェンジし
015.stcm2 0x2508 てる！？　絶対無理！　日本一にするよりも倍
015.stcm2 0x2560 以上タイヘン！」
015.stcm2 0x25b0 日本一の山と世界一の山では、さらに標高差が
015.stcm2 0x2608 数千メートル。できるわけがありません。
015.stcm2 0x2750 ドクロちゃん
015.stcm2 0x278c 「ほら！　桜くん、はやく！」
015.stcm2 0x2928 「うわっ！　ちょっ、ひっぱら……ッ、破けちゃ
015.stcm2 0x2984 うからッ！」
015.stcm2 0x29d0 ドクロちゃんが僕のワインレッドの制服のソデ
015.stcm2 0x2a28 を、ものすごい力でぐいぐいとひっぱります。
015.stcm2 0x2b10 「……そうだ。ドクロちゃん、まって？　山の
015.stcm2 0x2b68 話をしたいんじゃないんだ」
015.stcm2 0x2bc0 制服を破られたらタマラン、とばかり僕はドク
015.stcm2 0x2c18 ロちゃんに訴えかけました。するとドクロちゃ
015.stcm2 0x2c70 んは手をぱっと離し、
015.stcm2 0x2dac ドクロちゃん
015.stcm2 0x2de8 「じゃあ、あっちのはなし？」
015.stcm2 0x2e44 コクビをかしげます。
015.stcm2 0x2ef0 「あっちがどっちなのかはわからないけど、次
015.stcm2 0x2f48 の土曜日にさ、プールに遊びに行かない？」
015.stcm2 0x3098 ドクロちゃん
015.stcm2 0x30d4 「プールって、あのでんせつの……？」
015.stcm2 0x3190 「……ドクロちゃん、僕は知ってるよ？　ドク
015.stcm2 0x31e8 ロちゃんが本当はプールのことをわかってて、
015.stcm2 0x3240 知らないフリをしてるってねッ！」
015.stcm2 0x32a0 やり場のない怒りが、ふつふつとわき上がって
015.stcm2 0x32f8 きます。ドクロちゃんは、どうしてマジメに話
015.stcm2 0x3350 を聞こうとしないのでしょうか。
015.stcm2 0x33ac ドクロちゃんを誘い出さないことには、この計
015.stcm2 0x3404 画がはじまりません。それは絶対にだめです。
015.stcm2 0x346c だって、静希ちゃんと一緒の秘密ミッションな
015.stcm2 0x34c4 んです。頼りになるところ、見せたいじゃない
015.stcm2 0x351c ですか！
015.stcm2 0x3564 どうしますか？
015.stcm2 0x35ac １．普通にドクロちゃんを誘う
015.stcm2 0x3604 ２．ザクロちゃんから誘ってみる
015.stcm2 0x39d0 「ねえ、ドクロちゃん。次の土曜日に静希ちゃ
015.stcm2 0x3a28 んとガウディ・スポーツセンターのプールに行
015.stcm2 0x3a80 くんだけど、一緒に行かない？」
015.stcm2 0x3be0 ドクロちゃん
015.stcm2 0x3c1c 「桜くんと、静希ちゃん？　一緒に？」
015.stcm2 0x3cd8 「な……なに？　なにか問題でも……？」
015.stcm2 0x3d64 僕のほほを汗が伝います。
015.stcm2 0x3dbc いけません、ベノムちゃんも行くということが
015.stcm2 0x3e14 バレてしまったのでしょうか。
015.stcm2 0x3f7c ドクロちゃん
015.stcm2 0x3fb8 「すっごくたのしみだねっ」
015.stcm2 0x4068 「……うん！　ホントに良かった！」
015.stcm2 0x40c8 僕の汗がすべり落ち、床を叩きました。とりあ
015.stcm2 0x4120 えず、作戦の第１段階はクリアーしたようです。
015.stcm2 0x418c そうです、ドクロちゃんは基本的に３秒後くら
015.stcm2 0x41e4 いのコトしか考えていないので、僕たちが裏で
015.stcm2 0x423c 考えていることなんてわかるはずもありません。
015.stcm2 0x42a8 ドクロちゃんがアホ天使で良かったと、こんな
015.stcm2 0x4300 にも思ったのは、たぶんはじめてです。
015.stcm2 0x4578 「ザクロちゃんも一緒にどうかな？」
015.stcm2 0x45d8 もちろん、これも作戦です。ドクロちゃんに、
015.stcm2 0x4630 【ただ遊びに行くだけ】というイメージを植え
015.stcm2 0x4688 付けなくてはいけません。
015.stcm2 0x47c8 ザクロちゃん
015.stcm2 0x4804 「え？　わたくしもよろしいのですか？」
015.stcm2 0x48c0 「うん、都合が悪くなければ」
015.stcm2 0x491c ザクロちゃんはうれしそうに答えました。
015.stcm2 0x4a64 ザクロちゃん
015.stcm2 0x4aa0 「喜んで行かせていただきます。
015.stcm2 0x4aec ふふ……水着を用意しなくてはいけませんね」
015.stcm2 0x4b70 ……ザクロちゃんが、水着。
015.stcm2 0x4bc8 いけません、雑念は払いましょう！　今回の目
015.stcm2 0x4c20 的はあくまで、ベノムちゃんがドクロちゃんを
015.stcm2 0x4c78 外見からチェックすることなのですから。
015.stcm2 0x4ec8 ドクロちゃんを見れば、今にも飛び跳ねんばか
015.stcm2 0x4f20 りの勢いではしゃいでいました。
015.stcm2 0x4f7c 妹の同行がドクロちゃんにはうれしいようです。
015.stcm2 0x4fd8 ドクロちゃんはウキウキで、メメント山のこと
015.stcm2 0x5030 なんかすっかり忘れてしまっているのでしょう。
015.stcm2 0x50f4 「じゃあ２人とも、土曜日はよろしくね」
015.stcm2 0x5210 僕は最初の難関をクリアーし、ゆっくりとした
015.stcm2 0x5268 足取りで自分の部屋へ上がっていきました。
015.stcm2 0x566c 「ねえ、ザクロちゃん。次の土曜日、プールに
015.stcm2 0x56c4 行くんだけど、もし良かったら一緒に行かな
015.stcm2 0x5848 ザクロちゃん
015.stcm2 0x5884 「わたくしが、ですか？」
015.stcm2 0x5934 「うん。僕と静希ちゃんで行く約束したんだけ
015.stcm2 0x598c ど、にぎやかな方が楽しいから」
015.stcm2 0x59e8 ドクロちゃんが行くと、にぎやかで済まない気
015.stcm2 0x5a40 もするのですが、それもベノムちゃんの任務の
015.stcm2 0x5a98 ためです。
015.stcm2 0x5bc4 ザクロちゃん
015.stcm2 0x5c00 「はい、桜さんさえよろしければ、ご一緒させ
015.stcm2 0x5c58 ていただきます」
015.stcm2 0x5e8c 「よかった。それじゃあ僕は部屋に戻っ……う
015.stcm2 0x5ee4 おぉえッッ！」
015.stcm2 0x5f30 居間を出ようとした僕の制服のエリが力強くつ
015.stcm2 0x5f88 かまれ、強制的に振り向かされます。
015.stcm2 0x6194 ドクロちゃん
015.stcm2 0x61d0 「えへへっ（にこにこっ）」
015.stcm2 0x6228 目の前には満面の笑みを浮かべたドクロちゃん。
015.stcm2 0x6284 予想どおり、ドクロちゃんは自分も誘ってほし
015.stcm2 0x62dc いのです。
015.stcm2 0x6324 ですが、もう少しじらしてあげましょう。
015.stcm2 0x6378 だってドクロちゃん、とぼけるんですもん。
015.stcm2 0x6438 「ど、どうしたの、ドクロちゃん？」
015.stcm2 0x6580 ドクロちゃん
015.stcm2 0x65bc 「ボク、つぎの土曜日はよていがないんだっ」
015.stcm2 0x69d8 「ふーん。そうなんだ、僕はちょっとプールに
015.stcm2 0x6a30 行って痛ッ！　ドクロちゃん、地味だ！　ドク
015.stcm2 0x6a88 ロちゃんが地味にローキックで攻めてくるッ！」
015.stcm2 0x6ed8 足元では激しいせめぎ合い。まるでムチのよう
015.stcm2 0x6f30 にしなったドクロちゃんの右足が、僕の左足の
015.stcm2 0x6f88 モモを、パァン！　パァン！
015.stcm2 0x7248 「ド、ドクロちゃんはプール知らないんでしょ？
015.stcm2 0x72a4 ……痛ァッ！」
015.stcm2 0x73d8 ドクロちゃん
015.stcm2 0x7414 「桜くん、ボクもプールいきたいよう」
015.stcm2 0x764c パァン！
015.stcm2 0x76ec 「痛ッ、痛ァァァッ！　やめ……！　わかった、
015.stcm2 0x7748 わかりましたからやめてください！　ドクロちゃ
015.stcm2 0x77a4 んも一緒にプールはいかがですかッ？」
015.stcm2 0x7908 ドクロちゃん
015.stcm2 0x7944 「ホント？　やったあ、いくいくっ！　桜くん、
015.stcm2 0x79a0 約束まもってくれないと、ひどいんだからねっ」
015.stcm2 0x7a64 「ひ、ひぃぃぃぃぃぃッ！」
015.stcm2 0x7ae4 こ、これ以上、ひどい目にあわせるおつもりで
015.stcm2 0x7b3c すか！？
015.stcm2 0x7cf0 僕はその場に立っていられなくなり、その場に
015.stcm2 0x7d48 崩れ落ちました。足はびりびりとしびれ、感覚
015.stcm2 0x7da0 にとぼしいです。
015.stcm2 0x7df0 たぶん僕の左足のモモは真っ赤になっています。
015.stcm2 0x7e4c ああもう、今夜には真っ青なアザになりますよ、
015.stcm2 0x7eec 土曜日までに治さないと、静希ちゃんを不必要
015.stcm2 0x7f44 に怖がらせてしまいかねません。
015.stcm2 0x8150 ザクロちゃん
015.stcm2 0x818c 「あの、桜さん……これを。打撲は冷やすとよ
015.stcm2 0x81e4 ろしいかと思いまして」
015.stcm2 0x8238 ザクロちゃんがぬれタオル（否エッケルザクス）
015.stcm2 0x8294 を差し出してくれました。
015.stcm2 0x8344 「ありがとう。僕、部屋に戻るね……」
015.stcm2 0x8490 ザクロちゃん
015.stcm2 0x84cc 「はい。階段、お気をつけてください」
015.stcm2 0x858c 自分のものでなくなってしまったかのような重
015.stcm2 0x85e4 い足を引きずりながら、僕は自分の部屋に戻り
015.stcm2 0x863c ました。
015.stcm2 0x8968 放課後の廊下は人の気配にとぼしい空間でした。
015.stcm2 0x89d4 そこにはがらんとした空気が流れ、グラウンド
015.stcm2 0x8a2c のにぎやかな空気とは対照的な雰囲気です。
015.stcm2 0x8a94 僕はベノムちゃんに同行することにしました。
015.stcm2 0x8aec つまり、学校に戻ってきてしまったわけです。
015.stcm2 0x8b54 だって、ベノムちゃん１人じゃ心配じゃないで
015.stcm2 0x8bf0 ……周囲の人が毒手に倒れやしないかと。
015.stcm2 0x8c54 廊下にはさささ、っと移動する影が２つ。僕と、
015.stcm2 0x8cb0 ベノムちゃんです。
015.stcm2 0x8e88 ベノムちゃん
015.stcm2 0x8ec4 「……して、なぜ隠れるでありますか？」
015.stcm2 0x8f80 「ベノムちゃんが見つかると、いろいろマズイ
015.stcm2 0x8fd8 んだよ」
015.stcm2 0x9020 僕たちは、柱の陰から陰へ。
015.stcm2 0x9160 ベノムちゃん
015.stcm2 0x919c 「そういうものでありますか……？」
015.stcm2 0x9254 「うん、特に僕のクラスのやつらに見つかると
015.stcm2 0x92ac うるさいんだ」
015.stcm2 0x92f8 ドクロちゃんが転校してきたときもそうでした。
015.stcm2 0x9354 美少女と一緒にいるところを目撃されただけで、
015.stcm2 0x93b0 クラスの男子に激しく責められるのです。
015.stcm2 0x9414 【なんでおまえばっかりが】と。
015.stcm2 0x9470 それは僕のセリフです。なんで僕ばっかりなん
015.stcm2 0x94c8 でしょうか。
015.stcm2 0x9514 そう。本当に、なんで僕ばかりがドクロちゃん
015.stcm2 0x956c の世話を押し付けられるのか疑問でなりません。
015.stcm2 0x95d8 みんなは、なにか根本的な勘違いをしているよ
015.stcm2 0x9630 うな気がしてなりません。
015.stcm2 0x9688 ベノムちゃんと一緒にいるところを見られたり
015.stcm2 0x96e0 したら、どうなることかわかったものではあり
015.stcm2 0x9738 ません。
015.stcm2 0x9780 ドクロちゃんを追いかけて学校に来たときは、
015.stcm2 0x97d8 たまたま南さんと田辺さんにしか会わなかった
015.stcm2 0x9830 からいいようなものの……。
015.stcm2 0x9888 ベノムちゃんと一緒に学校に来るのはいつもヒ
015.stcm2 0x98e0 ヤヒヤです。
015.stcm2 0x992c そして不意に、ベノムちゃんが口を開きました。
015.stcm2 0x9a9c ベノムちゃん
015.stcm2 0x9ad8 「桜殿。……桜殿と静希殿は、どうして見ず知
015.stcm2 0x9b30 らずの自分に、これほどまで良くしてくださる
015.stcm2 0x9b88 のであります？」
015.stcm2 0x9c30 「いきなりどうしたの？」
015.stcm2 0x9c88 ベノムちゃんは黙っていて、あくまで真剣な顔
015.stcm2 0x9ce0 つきです。これは、冗談なんかじゃありません。
015.stcm2 0x9dcc 「だって、ドクロちゃんが迷惑かけてるし、ベ
015.stcm2 0x9e24 ノムちゃんはもう【見ず知らず】じゃないよ」
015.stcm2 0x9ee4 「静希ちゃんだって、【見ず知らず】の人を家
015.stcm2 0x9f3c に泊まらせたりはしないからね」
015.stcm2 0x9f98 僕はやさしくなだめるように言いました。ベノ
015.stcm2 0x9ff0 ムちゃんが心配することではないからです。
015.stcm2 0xa168 ベノムちゃん
015.stcm2 0xa1a4 「……おふたりのご協力に応えるためにも、週
015.stcm2 0xa1fc 末は失敗できないでありますね」
015.stcm2 0xa258 ベノムちゃんはぺこりと頭を下げました。決意
015.stcm2 0xa2b0 を新たにし、目的の達成で応えるとはカッコイ
015.stcm2 0xa308 イじゃないですか。
015.stcm2 0xa3b0 「うん。僕たちもできる限り協力するから、絶
015.stcm2 0xa408 対に成功させよう」
015.stcm2 0xa458 なんと言っても、次はプール。……静希ちゃん
015.stcm2 0xa4b0 とプールなんです。
015.stcm2 0xa540 失敗なんてありえません。……だって、静希ちゃ
015.stcm2 0xa59c んとプールに行く時点で成功ですから。
015.stcm2 0xa658 「あ、そうだ。まだドクロちゃんを誘うことを
015.stcm2 0xa6b0 考えてなかった」
015.stcm2 0xa7e8 ベノムちゃん
015.stcm2 0xa824 「ドクロ殿を……？」
015.stcm2 0xa8d0 「うん。いくら意気込んでも、ドクロちゃんが
015.stcm2 0xa928 来てくれなくちゃ、意味がないからね」
015.stcm2 0xaa74 ベノムちゃん
015.stcm2 0xaab0 「それでしたら、サバト殿とザクロ殿を誘って
015.stcm2 0xab08 はいかがでしょうか。桜殿と静希殿に、サバト
015.stcm2 0xab60 殿とザクロ殿が行くとなれば……」
015.stcm2 0xac18 「あ、なるほど。確かにそれなら、ドクロちゃ
015.stcm2 0xac70 んはイヤでも来そうだよ」
015.stcm2 0xacc8 問題はそのメンバーが参加すると言って、ベノ
015.stcm2 0xad20 ムちゃんが参加することがドクロちゃんにバレ
015.stcm2 0xad78 てしまわないかどうかです。
015.stcm2 0xadd0 でも、ベノムちゃんは別行動する予定ですから、
015.stcm2 0xae2c 実際に来てみれば、ドクロちゃんも安心するは
015.stcm2 0xae84 ずで……。
015.stcm2 0xaf78 「おまえ、桜か？　こんなとこでなにやってん
015.stcm2 0xb014 僕がドクロちゃんに考えを巡らせようとしたそ
015.stcm2 0xb06c のとき、割り込んでくる声。僕は急速に振り返
015.stcm2 0xb0c4 ります。
015.stcm2 0xb2f4 「み、宮本……ッ！」
015.stcm2 0xb45c 「おまえ、さっき帰ったんじゃなかったっけ？」
015.stcm2 0xb4c8 そこに立っていたのは親友の宮本。
015.stcm2 0xb528 失敗しました。話に集中するあまり、宮本の接
015.stcm2 0xb580 近に気付かなかったのです。
015.stcm2 0xb6c4 「あれ？　えーと……ベノムちゃん？」
015.stcm2 0xb728 宮本の視線がベノムちゃんに移動します。いけ
015.stcm2 0xb780 ない、宮本だけならともかく、他の誰かを呼ば
015.stcm2 0xb7d8 れたら……囲まれます！
015.stcm2 0xba40 ベノムちゃん
015.stcm2 0xba7c 「おお、これは宮本殿。お元気でありますか？」
015.stcm2 0xbbd0 「ああ、お元気お元気。なんの問題もないよ」
015.stcm2 0xbd1c ベノムちゃん
015.stcm2 0xbd58 「それはなによりであります」
015.stcm2 0xbdb4 宮本は笑顔でベノムちゃんに応対しています。
015.stcm2 0xbe0c 今、宮本が【元気じゃない】などと言っていれ
015.stcm2 0xbe64 ば、宮本は毒手を受けていたかもしれません。
015.stcm2 0xc0a0 「で、桜はなにやってんだ？」
015.stcm2 0xc154 「こ、これはなんでもないんだ。僕はちょっと
015.stcm2 0xc1ac 学校を案内していただけで、なにもやましいこ
015.stcm2 0xc204 とはしてないんだからな……ッ！！」
015.stcm2 0xc350 「なにを興奮してるのかよくわからんが、落ち
015.stcm2 0xc3a8 着けよ」
015.stcm2 0xc448 「僕はいつだって落ち着いてる」
015.stcm2 0xc4c0 そこで受信するのは天の声。僕はピンと来まし
015.stcm2 0xc518 た。宮本を誘ってみるのもアリなのでは、と。
015.stcm2 0xc580 人が多い方が、ドクロちゃんの気をそらすこと
015.stcm2 0xc5d8 ができるはずなのです。
015.stcm2 0xc6ac 「そうだ、宮本。次の土曜日、プールに行かな
015.stcm2 0xc704 いか？」
015.stcm2 0xc838 「プール？　この季節にか？」
015.stcm2 0xc894 宮本が不思議そうな顔をします。室内プールに
015.stcm2 0xc8ec 想像がいかないのでしょう。
015.stcm2 0xc99c 「バカだな。【ガウディ・スポーツセンター】
015.stcm2 0xc9f4 に行けば、温水プールがあるだろ？」
015.stcm2 0xcb80 「なるほどな……ああいいぜ。おまえのことだ、
015.stcm2 0xcbdc ドクロちゃんとか水上とかも、来るんだろ？」
015.stcm2 0xcdac 「な、なんでわかるのッ！？　おまえ、ひょっ
015.stcm2 0xce04 としたら本当はそうやっていつも僕の心を全部
015.stcm2 0xce5c 読んでーーッ！？（しゅっしゅっしゅ！）」
015.stcm2 0xd22c 僕は１歩離れ、鋭いジャブで宮本をけん制しま
015.stcm2 0xd3b4 「バカなのかお前は。おまえとどれだけ付き合っ
015.stcm2 0xd410 てると思ってんだよ」
015.stcm2 0xd4d8 「そ、そうだよな。まさかそんなコトあるわけ
015.stcm2 0xd530 ないよな。もう、驚かせんなよ宮本」
015.stcm2 0xd754 僕はこの親友に、右手のこぶしを差し出します。
015.stcm2 0xd7b0 宮本は、そこに自分の右手のこぶしをコツンと
015.stcm2 0xd808 軽くぶつけ、ニヤリとします。
015.stcm2 0xd864 懐かしく思い出されるのは夏の日々。共に泳い
015.stcm2 0xd8bc だ、水面の輝きです。
015.stcm2 0xd910 過ぎし日々に思いをはせていると、それまで口
015.stcm2 0xd968 を閉ざしていたベノムちゃんが、言葉を発しま
015.stcm2 0xdbf0 ベノムちゃん
015.stcm2 0xdc2c 「桜殿……どのようなお話にまとまったであり
015.stcm2 0xdc84 ますか？」
015.stcm2 0xdccc 宮本はベノムちゃんに視線を送ると、尋ねます。
015.stcm2 0xde24 「それで、ベノムちゃんも行くのか？」
015.stcm2 0xdf70 ベノムちゃん
015.stcm2 0xdfac 「あ、はい。自分は……」
015.stcm2 0xe11c 「行かない！　ベノムちゃんは絶対に行かない
015.stcm2 0xe1bc 静希ちゃんとの秘密の共有は、僕だけなのです！
015.stcm2 0xe5b8 そこにあるのは静かな空気。見た目には誰もい
015.stcm2 0xe610 ない公園です。
015.stcm2 0xe65c 僕はアバランチ公園にやってきました。目的は
015.stcm2 0xe6b4 もちろん、サバトちゃんをプールに誘うことで
015.stcm2 0xe750 ドクロちゃんを誘うには、周囲から固めていけ
015.stcm2 0xe7a8 ばいいのです。ドクロちゃんが仲間はずれにさ
015.stcm2 0xe800 れて黙っているとは思えませんから。
015.stcm2 0xe860 それに、いつも大変なサバトちゃんもいい気分
015.stcm2 0xe8b8 転換になるんじゃないかと思いますし。
015.stcm2 0xea18 「あ、いたいた」
015.stcm2 0xea68 僕は片手をあげて、サバトちゃんに合図を送り
015.stcm2 0xeac0 ます。それに気付いたサバトちゃんは、明るい
015.stcm2 0xeb18 顔をして言いました。
015.stcm2 0xecf4 サバトちゃん
015.stcm2 0xed30 「あ……桜くんですぅ。学校は終わったんです
015.stcm2 0xed88 かぁ？」
015.stcm2 0xee28 「うん。今日はもう終わりだよ。なんか、元気
015.stcm2 0xee80 ないけど、どうしたの？」
015.stcm2 0xeed8 サバトちゃんは近所のおばさんみたいなことを
015.stcm2 0xef30 言いました。ですが、それ以上に元気のなさが
015.stcm2 0xef88 気になりました。
015.stcm2 0xf030 「サバトちゃんはなにをしてたの？」
015.stcm2 0xf090 僕の質問に、しかしサバトちゃんの表情はくも
015.stcm2 0xf0e8 るばかりです。
015.stcm2 0xf244 サバトちゃん
015.stcm2 0xf280 「おうちが……壊れちゃったんですぅ。昨日の
015.stcm2 0xf2d8 強い風で、ついに倒壊しちゃったんですよぉ」
015.stcm2 0xf398 「え？　じゃあ、これは？」
015.stcm2 0xf3f0 僕は目の前のものを指さして言いました。その
015.stcm2 0xf448 指の先には、いつもと変わったようには見えな
015.stcm2 0xf4a0 いダンボールハウス。
015.stcm2 0xf5dc サバトちゃん
015.stcm2 0xf618 「がんばって、ここまで直したんですぅ！　も
015.stcm2 0xf670 う、昨日の夜から寝てないんですよぉ……」
015.stcm2 0xf6d8 僕が布団にくるまって眠っている間に、まさか
015.stcm2 0xf730 サバトちゃんがそんなサバイバルをしていたと
015.stcm2 0xf788 は思いもしませんでした。
015.stcm2 0xf7e0 呼んでくれたら、手伝ってあげたのになぁ。
015.stcm2 0xf8a0 「で、でも、すごいね。もうカンペキに直って
015.stcm2 0xfa24 サバトちゃん
015.stcm2 0xfa60 「まだまだなんですぅ、内装がちっとも元通り
015.stcm2 0xfab8 じゃないんですぅ」
015.stcm2 0xfb08 内装なんかあったんだ……という言葉を飲み込
015.stcm2 0xfb60 み、僕は本題に移ることにしました。
015.stcm2 0xfc40 「そうだ、サバトちゃん。実は次の土曜日に、
015.stcm2 0xfc98 みんなで遊びに行くんだけど、サバトちゃんも
015.stcm2 0xfcf0 一緒に行かない？」
015.stcm2 0xfe28 サバトちゃん
015.stcm2 0xfe64 「土曜日……？」
015.stcm2 0xfeb4 僕の言葉に、サバトちゃんは【お茶碗を持つの
015.stcm2 0xff0c が左手で……】というような顔をしながら考え
015.stcm2 0xff64 込みます。
015.stcm2 0xffac ああッ！　公園のダンボールハウスで暮らして
015.stcm2 0x10004 いるサバトちゃんに、曜日感覚を求めちゃいけ
015.stcm2 0x1005c ないんでしょうか！
015.stcm2 0x10194 サバトちゃん
015.stcm2 0x101d0 「えーと……あ、はい、土曜日なんですぅ。サ
015.stcm2 0x10228 バトも行っていいんですかぁ？」
015.stcm2 0x10284 だ、大丈夫だったようです……。
015.stcm2 0x10338 「う、うん、もちろん。それで、大丈夫かな？
015.stcm2 0x10390 プールに行こうと思ってるんだけど。水着とか、
015.stcm2 0x103ec ある？」
015.stcm2 0x10604 サバトちゃん
015.stcm2 0x10640 「み、みみみ水着ですかぁ！？」
015.stcm2 0x106f4 「持ってない？」
015.stcm2 0x10744 サバトちゃんは、いきなり現れたドクロちゃん
015.stcm2 0x1079c にびっくりした僕のような声を上げて、後ずさ
015.stcm2 0x107f4 りしました。
015.stcm2 0x10880 よく考えてみると、生活必需品にも事を欠く生
015.stcm2 0x108d8 活で、水着は確かに持ってない可能性が高いで
015.stcm2 0x10a5c サバトちゃん
015.stcm2 0x10a98 「も、持ってるですぅ……」
015.stcm2 0x10b48 「あ、持ってるんだ、それは意外……じゃなく
015.stcm2 0x10ba0 て、よかったよ」
015.stcm2 0x10bf0 本当に意外だったので、思わず口にしてしまい
015.stcm2 0x10c48 ましたが、サバトちゃんの水着の問題は大丈夫
015.stcm2 0x10ca0 のようです。
015.stcm2 0x10dfc サバトちゃん
015.stcm2 0x10e38 「サバトもよくわからないんですけど、さっき
015.stcm2 0x10e90 修理に使うダンボールを集めて戻ってきたら、
015.stcm2 0x10ee8 水着がおうちの中に置いてあったんですぅ」
015.stcm2 0x10fa8 「置いてあったの？」
015.stcm2 0x110e4 サバトちゃん
015.stcm2 0x11120 「はいですぅ、不思議なこともあるものですぅ」
015.stcm2 0x1118c 普通ならまったく理解ができない状況ですが、
015.stcm2 0x111e4 僕にはピンと来るものがありました。
015.stcm2 0x11244 ……もしかしたらベノムちゃんが用意して、置
015.stcm2 0x1129c いていってくれたのかもしれません。
015.stcm2 0x112fc あの手際のいい天使の少女のこと。きっとそう
015.stcm2 0x11354 でしょう。それなら水着の問題は解決です。
015.stcm2 0x113bc あとの問題はサバトちゃんの分のお金ですが、
015.stcm2 0x11414 １人分くらい、僕が負担することにしましょう。
015.stcm2 0x11500 「それで、行き先はガウディ・スポーツセンター
015.stcm2 0x1155c っていうところなんだけど、大丈夫かな？」
015.stcm2 0x116ac サバトちゃん
015.stcm2 0x116e8 「お任せしますぅ……」
015.stcm2 0x1173c サバトちゃんの様子が変です。どうも歯切れが
015.stcm2 0x11794 悪いというか、いつもよりさらに弱々しい印象
015.stcm2 0x117ec を受けます。
015.stcm2 0x11890 「サバトちゃん、どうかした？」
015.stcm2 0x119d0 サバトちゃん
015.stcm2 0x11a0c 「桜くんとプールだなんて、サバト恥ずかしい
015.stcm2 0x11a64 ですぅ……」
015.stcm2 0x11ab0 恥ずかしい？　僕と一緒だと、どう恥ずかしい
015.stcm2 0x11b08 のでしょうか？
015.stcm2 0x11bac 「サバトちゃんは泳げないの？　それなら、無
015.stcm2 0x11c04 理にとは言わないけど……」
015.stcm2 0x11c5c すると、サバトちゃんは急速に勢いを取り戻し
015.stcm2 0x11cb4 て答えます。
015.stcm2 0x11de8 サバトちゃん
015.stcm2 0x11e24 「い、行かせてくださいですぅ！」
015.stcm2 0x11edc 「それじゃあ、決まりだね。土曜日に……」
015.stcm2 0x11f44 サバトちゃんの反応に満足して、僕は日程を伝
015.stcm2 0x11f9c えようと口を開き……。
015.stcm2 0x121fc 「おほ？　ユゥは桜くんザンス。こんなところ
015.stcm2 0x12254 でどうしたんザンスか？」
015.stcm2 0x122ac 耳にするのは、ザンスの声！
015.stcm2 0x12304 僕はザンスの胸ぐらに、つかみかからんばかり
015.stcm2 0x1235c の勢いで近づき、声を荒げます。
015.stcm2 0x12410 「ザンスさん、なにしてるんですか！？」
015.stcm2 0x12654 「ま、まだなにもしてないザンスよ！」
015.stcm2 0x12710 「そうですか。それはすいません、これからで
015.stcm2 0x12768 したか」
015.stcm2 0x12990 「桜くんは根本的にミィを誤解してるザンスよ」
015.stcm2 0x129fc それはお互い様です。ザンスだって、僕を理解
015.stcm2 0x12a54 しているなんて到底思えないですから。
015.stcm2 0x12af8 もちろん、理解してほしいなんてかけらも思い
015.stcm2 0x12b50 ませんが。
015.stcm2 0x12c0c 「あれ？」
015.stcm2 0x12c54 そこで、僕はふとした違和感に気が付きました。
015.stcm2 0x12d40 「ザンスさん、ここでなにしてるんですか？」
015.stcm2 0x12f88 「な、なにもしてないザンスよ？　それはさっ
015.stcm2 0x12fe0 きも言ったザンス」
015.stcm2 0x13088 「いえ、悪さとかではなく、なんでここに来た
015.stcm2 0x130e0 のかってことです」
015.stcm2 0x13130 理由もなくザンスが出歩くとは思えません。カ
015.stcm2 0x13188 メラも持っていないようですし……。
015.stcm2 0x133c8 「ミ、ミィは……そう！　散歩の途中だったザ
015.stcm2 0x13420 ンス！」
015.stcm2 0x13648 「そ、そうザンスよ！　ミィは散歩が忙しくなっ
015.stcm2 0x136a4 てきたので、退散するザンス。それじゃあまた
015.stcm2 0x136fc ザンスよ、桜くん！」
015.stcm2 0x137d0 ザンスはあわただしくそう言うと、そそくさと
015.stcm2 0x13828 アバランチ公園を出て行きます。
015.stcm2 0x138dc 「なんか怪しいな……」
015.stcm2 0x13930 僕はザンスが消えた方角を見てつぶやきます。
015.stcm2 0x13988 けれど、サバトちゃんはザンスなんか気にした
015.stcm2 0x139e0 風でもなく言いました。
015.stcm2 0x13be0 サバトちゃん
015.stcm2 0x13c1c 「桜くん、土曜日楽しみにしてるですぅ」
015.stcm2 0x13cd8 「あ、うん。それじゃあ、当日は迎えに来るか
015.stcm2 0x13d30 ら。またね」
015.stcm2 0x13e64 サバトちゃん
015.stcm2 0x13ea0 「はいですぅ。よろしくお願いしますぅ」
015.stcm2 0x14004 ザンスの行動に首をかしげつつ、僕は家に戻る
015.stcm2 0x1405c ことにしました。
015.stcm2 0x140ac それはもちろん、ドクロちゃんをプールに誘う
015.stcm2 0x14104 ためです。サバトちゃんを誘うことで、外堀は
015.stcm2 0x1415c 埋めました。
015.stcm2 0x141a8 ……これで、大丈夫でしょうか？
015.stcm2 0x144b4 午後のにぎわうアルカディア商店街。行き交う
015.stcm2 0x1450c 人々は多種多様な顔ぶれです。
015.stcm2 0x146c8 その顔ぶれの中の僕と静希ちゃん。僕は土曜日
015.stcm2 0x14720 の計画をさらに練るために、静希ちゃんに付き
015.stcm2 0x14778 合って商店街までやってきました。
015.stcm2 0x147d8 もちろん、静希ちゃんと一緒にいる時間も持て
015.stcm2 0x14830 ますし、僕にとっては一石二鳥というわけです。
015.stcm2 0x148f4 「それじゃあ、交代でベノムちゃんの様子を見
015.stcm2 0x1494c に行くことにすればいいよね」
015.stcm2 0x14a90 静希ちゃん
015.stcm2 0x14ac8 「うん。それならベノムちゃんも安心だと思う」
015.stcm2 0x14b8c 「問題は、ベノムちゃんに会いに行くところを
015.stcm2 0x14be4 ドクロちゃんに見つからないようにすることだ
015.stcm2 0x14c80 打ち合わせは着々と進んでいました。お互いの
015.stcm2 0x14cd8 意見をまとめ、たった１つの【最善】に向けて
015.stcm2 0x14d30 導いていくそれは、まさに共同作業。
015.stcm2 0x14d90 僕と静希ちゃんは今、間違いなく一致団結して
015.stcm2 0x14de8 いるのです。
015.stcm2 0x14e34 商店街のにぎわいは、僕たちの声を適度にかき
015.stcm2 0x14e8c 消してくれました。誰も、僕たちの会話に興味
015.stcm2 0x14ee4 など示す様子もありません。
015.stcm2 0x15024 静希ちゃん
015.stcm2 0x1505c 「あと、ドクロちゃんを誘うのは大丈夫？」
015.stcm2 0x1511c 「うん。それについてはちょっと考えがあるん
015.stcm2 0x15174 だけど、サバトちゃんとザクロちゃんも誘えば、
015.stcm2 0x151d0 ドクロちゃんはきっと来ると思うんだよね」
015.stcm2 0x15320 静希ちゃん
015.stcm2 0x15358 「あ、そうだね。ドクロちゃんなら来そう」
015.stcm2 0x153c0 あとは……宮本も誘ってみるといいかもしれま
015.stcm2 0x1545c 僕はとても冴えていました。それもこれも、静
015.stcm2 0x154b4 希ちゃんが隣にいてくれるからです。
015.stcm2 0x15514 【君がいてくれれば僕はなんでもできる】とい
015.stcm2 0x1556c うやつです。
015.stcm2 0x155b8 僕はその事実を、僕にとって特別なこの幼なじ
015.stcm2 0x15610 みに伝えたくて仕方がありませんが、それはま
015.stcm2 0x15668 たの機会にしておきましょう。
015.stcm2 0x157ac 静希ちゃん
015.stcm2 0x157e4 「まって。でも、それだとドクロちゃんが、ベ
015.stcm2 0x1583c ノムちゃんも行くことに気付いちゃうんじゃな
015.stcm2 0x15894 いかな？」
015.stcm2 0x159c4 静希ちゃん
015.stcm2 0x159fc 「私と他のみんなが行って、ベノムちゃんが仲
015.stcm2 0x15a54 間はずれっていうのは、普通には考えにくいと
015.stcm2 0x15aac 思うんだけど」
015.stcm2 0x15b50 「大丈夫、ドクロちゃんは普通じゃないし」
015.stcm2 0x15bb8 だいたい、あの天使の少女は物事を深く考える
015.stcm2 0x15c10 ということを知りません。そんな彼女に立派な
015.stcm2 0x15c68 推測は打ち立てられないのです。
015.stcm2 0x15d1c 「とにかく、ドクロちゃんを誘うのは任せて」
015.stcm2 0x15e44 静希ちゃんがこくりとうなずいて、僕は小さな
015.stcm2 0x15e9c 満足を得ることができました。僕は静希ちゃん
015.stcm2 0x15ef4 に信頼されてるということが、うれしいのです。
015.stcm2 0x15f60 それにしても土日が楽しみです。静希ちゃんと
015.stcm2 0x15fb8 一緒にプールですから。ドクロちゃんの心配を
015.stcm2 0x16010 差し引いても、ワクワクが止まりません。
015.stcm2 0x1615c 静希ちゃん
015.stcm2 0x16194 「あとは準備だね。水着もしまっちゃったし、
015.stcm2 0x161ec 出しておかないと」
015.stcm2 0x1623c 季節はもう秋、水着はシーズンオフ。静希ちゃ
015.stcm2 0x16294 んの水着も今は押し入れで眠っていることでしょ
015.stcm2 0x1638c 「そ、そうだ……土曜日、静希ちゃんは、どん
015.stcm2 0x163e4 な水着を……？」
015.stcm2 0x16434 僕はつとめて冷静に尋ねました。僕の脳内には、
015.stcm2 0x165c8 ――夏のイタズラ。
015.stcm2 0x168b4 静希ちゃん
015.stcm2 0x168ec 「どんな……って、普通の学校指定の水着だけ
015.stcm2 0x16944 ど、桜くんどうしたの？」
015.stcm2 0x169e0 僕は幻想がパリンと音を立てて、崩壊するのを
015.stcm2 0x16a38 感じました。静希ちゃんの水着は学校指定のも
015.stcm2 0x16a90 の、つまり紺色のアレです。
015.stcm2 0x16b50 それはそれで……？
015.stcm2 0x16c20 「あー、そ、そうなんだ？　別になんでもない
015.stcm2 0x16c78 んだ。僕は学校で使ったやつにしようと思った
015.stcm2 0x16cd0 けど、みんなはどうするのかなって思って」
015.stcm2 0x16e20 静希ちゃん
015.stcm2 0x16e58 「ふーん、桜くんもそうするんだ」
015.stcm2 0x16eb8 あぶないところでした。静希ちゃんの水着姿を
015.stcm2 0x16f10 想像して興奮するなんて、エッチな男の子のす
015.stcm2 0x16f68 ることです。
015.stcm2 0x16fb4 僕はそんな男じゃありません。あくまで純粋に
015.stcm2 0x1700c 静希ちゃんが好きなんですから。
015.stcm2 0x17150 静希ちゃん
015.stcm2 0x17188 「もっと、かわいいのがいいかなと思ったんだ
015.stcm2 0x171e0 けど、かわいいのはちょっときつくなっちゃっ
015.stcm2 0x17298 ごくり。……僕のノドがそう言ってました。
015.stcm2 0x17380 「着れ、ない？」
015.stcm2 0x174b8 静希ちゃん
015.stcm2 0x174f0 「うん、そうなの。今年は着なかったから、新
015.stcm2 0x17548 しいの、買ってなくて」
015.stcm2 0x1759c 水着が着れなくなるほどの成長が、静希ちゃん
015.stcm2 0x175f4 に襲いかかったのです。
015.stcm2 0x17648 ……ダメですダメです！　邪念は振り払わなく
015.stcm2 0x176e4 静希ちゃんに、こんなモヤモヤしたものを感じ
015.stcm2 0x1773c 取られてしまったら、今までに築いてきた信頼
015.stcm2 0x17794 もすべて水の泡。諸行無常の響きあり、です！
015.stcm2 0x177fc それは……それだけは、絶対に避けなければな
015.stcm2 0x17854 りません！
015.stcm2 0x17cf0 静希ちゃん
015.stcm2 0x17d28 「桜くん、ダメ！　制服のそでから泡みたいな
015.stcm2 0x17d80 ものが出て、泡の中からモヤモヤした煙が上がっ
015.stcm2 0x17ddc ちゃってる！」
015.stcm2 0x18050 「こ、これはモヤモヤして、さらに水の泡だ！」
015.stcm2 0x183e0 僕は路地に走りこんで、自ら建物のカベに頭を
015.stcm2 0x18438 ガツンとぶつけます。
015.stcm2 0x1848c メチャクチャ痛いですが、泡とモヤモヤしたも
015.stcm2 0x184e4 のは振り払えたようです。
015.stcm2 0x1853c もう、水着の話はナシです。
015.stcm2 0x18638 路地から静希ちゃんの元に戻ると、静希ちゃん
015.stcm2 0x18690 が心配そうに声をかけてくれます。
015.stcm2 0x188a0 静希ちゃん
015.stcm2 0x188d8 「桜くん……大丈夫？」
015.stcm2 0x189ac 「静希ちゃん、土曜日はがんばろうね」
015.stcm2 0x18a10 商店街のアーケードを風が抜けます。
015.stcm2 0x18acc 決戦は土曜日。それを確認して、僕たちは再び
015.stcm2 0x18b24 アルカディア商店街を歩きはじめました。
015.stcm2 0x18dbc 第３話　まだこれからだよ
015.stcm2 0x18ec4 そして、土曜日。学校帰り。
015.stcm2 0x19008 ドクロちゃんを誘い出すことに成功し、僕は万
015.stcm2 0x19060 全の態勢でこの日を迎えました。
015.stcm2 0x19140 僕は聞くも涙、語るも涙の苦労の末、なんとか
015.stcm2 0x19198 ドクロちゃんを誘い出し、この日を迎えました。
015.stcm2 0x192a8 場所はガウディ・スポーツセンター。そのプー
015.stcm2 0x19300 ルサイドです。
015.stcm2 0x1934c ザクロちゃんとサバトちゃんも誘い、ドクロちゃ
015.stcm2 0x193a8 んはみんなでワイワイと遊ぶだけだと思い込ん
015.stcm2 0x19400 でいます。
015.stcm2 0x19448 僕はみんなの到着を座りながら待ちました。座っ
015.stcm2 0x194a4 ていても、心がおどるのを止めることができま
015.stcm2 0x19540 だって、僕はもう水着。みんなもここに現れる
015.stcm2 0x19598 ときは水着になっていることでしょう。
015.stcm2 0x195fc プールは心と身体の解放空間。この全天候型の
015.stcm2 0x19654 プールは夏と同様に、みんなをちょっとだけ大
015.stcm2 0x196ac 胆にするハズなのです。
015.stcm2 0x19700 それに、なによりもこれは静希ちゃんとの【秘
015.stcm2 0x19758 密作戦】なのですっ。
015.stcm2 0x197ac 【秘密作戦】は【秘密基地】と並ぶ、男の子の
015.stcm2 0x19804 重要イベント。
015.stcm2 0x19850 ましてや、今回は好きな女の子との秘密の共有。
015.stcm2 0x198ac そして、共同作業。やる気が出ないわけがあり
015.stcm2 0x19904 ません。
015.stcm2 0x199a4 「よし……！」
015.stcm2 0x19b74 「お、なんだ？　なんか気合入ってるじゃねえ
015.stcm2 0x19c10 すぐ横から、宮本が声をかけてきました。そう
015.stcm2 0x19c68 でした、今日は宮本も誘ったのです。
015.stcm2 0x19d20 「気合か……気合と言うよりは、期待だな」
015.stcm2 0x19e70 「なるほど、それは納得だな」
015.stcm2 0x19ecc 僕の期待はここに来て最大値を取り、恐るべき
015.stcm2 0x19f24 やる気を僕に巻き起こしました。
015.stcm2 0x19f80 静希ちゃん……まだかな。水着姿だなんて、そ
015.stcm2 0x19fd8 んなのって……アリですか！？
015.stcm2 0x1a174 「アリに決まってるよーーーーー！！」
015.stcm2 0x1a2c4 「うわッ！　なんだよ、桜！」
015.stcm2 0x1a320 僕はすっくと立ち上がりました。隣では宮本が
015.stcm2 0x1a378 びっくりしています。
015.stcm2 0x1a424 そして、僕だけに聞こえてくる声がその場に響
015.stcm2 0x1a47c きました。
015.stcm2 0x1a5bc 『落ち着きたまえ、草壁くん。今からそんなこ
015.stcm2 0x1a614 とでどうする？』
015.stcm2 0x1a664 僕の目には茶色い帽子と茶色いコート、パイプ
015.stcm2 0x1a6bc をくわえた、一見して英国紳士風の男性が映り
015.stcm2 0x1a714 ました。
015.stcm2 0x1a75c その男性の顔はまぎれもない、僕。
015.stcm2 0x1a7bc ……そう、彼こそがかの有名な名探偵【おうム
015.stcm2 0x1a814 ル】その人です。
015.stcm2 0x1a864 彼は僕の心の中に住み、いつも僕に適切なアド
015.stcm2 0x1a8bc バイスをくれるのです。
015.stcm2 0x1a938 おうムル
015.stcm2 0x1a970 『今の君は、野獣の目をしている。ギラギラと
015.stcm2 0x1a9c8 輝きばかりが目立って、見るものをすくませる
015.stcm2 0x1aa20 こと、これ必至』
015.stcm2 0x1aa70 僕はその言葉によって気付きました。確かに、
015.stcm2 0x1aac8 期待が高まるあまり、僕は飢えた野獣のように
015.stcm2 0x1ab20 なっていたのかもしれません。
015.stcm2 0x1abe4 おうムル
015.stcm2 0x1ac1c 『そんな目つきは、一緒にプールに行きたくな
015.stcm2 0x1ac74 い男ナンバーワンだと思うのだがね？』
015.stcm2 0x1acd8 そう言うと、おうムルは僕に背中を向けて去っ
015.stcm2 0x1ad30 ていきました。ありがとう、おうムル。
015.stcm2 0x1adfc そうです。そんな目を見せてしまったら、エッ
015.stcm2 0x1ae54 チな男の子なんて誤解どころじゃありません。
015.stcm2 0x1aebc 落ち着くんだ草壁桜。まったくもっておうムル
015.stcm2 0x1af14 の言うとおりです。ギラギラした目で静希ちゃ
015.stcm2 0x1af6c んをどうして迎えられるでしょう。
015.stcm2 0x1afcc ましてや、静希ちゃんは水着で現れるのです。
015.stcm2 0x1b024 野獣の目で水着姿の静希ちゃんを見つめたりし
015.stcm2 0x1b07c たら……嫌われてしまいかねません。
015.stcm2 0x1b0dc そうなっては秘密作戦もなにもあったものでは
015.stcm2 0x1b134 なくなってしまいます。
015.stcm2 0x1b188 さあ、自分を抑えなくてはいけません。落ち着
015.stcm2 0x1b1e0 いて……冷静に……。
015.stcm2 0x1b2ac 「おまたせ、桜くん」
015.stcm2 0x1b300 冷静に、そして急速に振り返りました！
015.stcm2 0x1b558 「し、静希ちゃん！」
015.stcm2 0x1b7f0 振り返った先には静希ちゃん。その身は紺色に
015.stcm2 0x1b848 ２本の白いラインが入った、スクール水着に包
015.stcm2 0x1b8a0 まれています。
015.stcm2 0x1b9bc きらきらと輝いて見える笑顔は、静希ちゃんも
015.stcm2 0x1ba14 今日を楽しみにしていたと思って、間違いあり
015.stcm2 0x1ba6c ません。
015.stcm2 0x1bab4 こらえるのです！　今だけは、目覚めてくださ
015.stcm2 0x1bb0c るな、僕の中の野獣さん！！
015.stcm2 0x1bb64 僕が必死で自制に努めていると、静希ちゃんが
015.stcm2 0x1bbbc 小さな声で僕に話しかけてきます。
015.stcm2 0x1bd98 静希ちゃん
015.stcm2 0x1bdd0 「ベノムちゃんは、無事にスポーツセンターの
015.stcm2 0x1be28 中に入ったから。ドクロちゃんも、気付いてな
015.stcm2 0x1be80 いと思う」
015.stcm2 0x1bf20 「……よかった、ありがとう」
015.stcm2 0x1bf7c 静希ちゃんは上手くやってくれたようです。と
015.stcm2 0x1bfd4 いうか、静希ちゃんが近い！
015.stcm2 0x1c02c 静希ちゃんが水着でひそひそ話なんて、僕はど
015.stcm2 0x1c084 うしたら……っ！
015.stcm2 0x1c348 ザクロちゃん
015.stcm2 0x1c384 「桜さん、おまたせいたしました」
015.stcm2 0x1c5d4 サバトちゃん
015.stcm2 0x1c610 「すごく広いですぅーーーー！」
015.stcm2 0x1c66c 僕は静希ちゃんへのドキドキを隠すように声の
015.stcm2 0x1c6c4 方に振り返りました。
015.stcm2 0x1c718 続いて現れたのは天使の２人。２人の水着もな
015.stcm2 0x1c770 ぜかゲルニカ学園指定のスクール水着です。
015.stcm2 0x1c7d8 これは……すごいです。２人とも水着姿なんて
015.stcm2 0x1c830 見慣れてないだけに、衝撃は通常の３倍（当社
015.stcm2 0x1cb24 サバトちゃんも、こう見るとふくらみと引き締
015.stcm2 0x1cb7c まりが絶妙で、ドクロちゃんとはまた違った魅
015.stcm2 0x1cbd4 力を引き出しています。
015.stcm2 0x1cdd0 ザクロちゃんは、まるで１９歳の水着姿。とて
015.stcm2 0x1ce28 も９歳だなんて思えない曲線が生まれています。
015.stcm2 0x1cf14 だから目覚めないで！　僕の中の……ッ！
015.stcm2 0x1d390 「うわ！　なんだおまえ！　耳からねばり気の
015.stcm2 0x1d3e8 ある緑色の液体がもれ出してるぞ！」
015.stcm2 0x1d50c 僕の身体は、興奮のあまりグロッキー。静希ちゃ
015.stcm2 0x1d568 んと天使たちの水着姿は、それほどの破壊力が
015.stcm2 0x1d5c0 あるものなのです。
015.stcm2 0x1d6d4 だって、静希ちゃんはマイエンジェル。天使も
015.stcm2 0x1d72c 同然です。
015.stcm2 0x1da10 「なに言ってんだ宮本！　プールなんだから、
015.stcm2 0x1da68 ねばり気があるのは当たり前だろ！」
015.stcm2 0x1dbf4 「わけわかんねえこと言ってんじゃねぇーッ！」
015.stcm2 0x1dfdc ゴキッという鉄拳が、僕の顔面をとらえました。
015.stcm2 0x1e038 それを受けた僕は、くるりと回転。
015.stcm2 0x1e148 「僕は……もう……ッ！」
015.stcm2 0x1e1bc ぐらりと揺れて、その場に崩れる僕の身体。
015.stcm2 0x1e320 静希ちゃん
015.stcm2 0x1e358 「桜くん！？」
015.stcm2 0x1e570 静希ちゃんとザクロちゃんが僕に駆け寄って来
015.stcm2 0x1e5c8 て、支えてくれました。
015.stcm2 0x1e61c 静希ちゃんの触れた肌があたたかく、そのあた
015.stcm2 0x1e674 たかさをもらって、僕の体温も上がっていくか
015.stcm2 0x1e6cc のよう。
015.stcm2 0x1e714 そして僕を介抱するように、目の前には水着姿
015.stcm2 0x1e76c の静希ちゃんとザクロちゃん。
015.stcm2 0x1e7c8 刺激が強すぎる……！
015.stcm2 0x1e81c これはさすがに名探偵おうムルも計算外、２人
015.stcm2 0x1e874 のやさしさに乾杯です！
015.stcm2 0x1e8f0 ザクロちゃん
015.stcm2 0x1e92c 「桜さん、気をしっかり持ってください」
015.stcm2 0x1e9e8 「は、はい……」
015.stcm2 0x1ea38 僕の心は、しけの海。大荒れに荒れた波のうね
015.stcm2 0x1ea90 りは、僕の平常心という船を沈める勢いです。
015.stcm2 0x1ebc8 静希ちゃん
015.stcm2 0x1ec00 「桜くん、大丈夫……？」
015.stcm2 0x1ec58 静希ちゃんの心配げなマナザシは、今僕に向け
015.stcm2 0x1ecb0 られています。
015.stcm2 0x1ecfc そのきれいな瞳は、鏡のように僕の姿を反射さ
015.stcm2 0x1ed54 せていました。
015.stcm2 0x1edf8 「ありがとう、静希ちゃん……」
015.stcm2 0x1f09c ドクロちゃん
015.stcm2 0x1f0d8 「桜くん、みっけーーーーー！！」
015.stcm2 0x1f1bc 僕を邪魔しようとしているとしか思えないタイ
015.stcm2 0x1f214 ミングの声はドクロちゃん。プールサイドをド
015.stcm2 0x1f26c タドタと走りながら、近づいてきました。
015.stcm2 0x1f2d0 その身は静希ちゃんと同じスクール水着に包ま
015.stcm2 0x1f328 れています。
015.stcm2 0x1f374 ドクロちゃんのカラダの、あまりに激しい凹凸
015.stcm2 0x1f3cc は、水着にもそのまま現れてしまっているので
015.stcm2 0x1f468 ですが、今はそれよりも……。
015.stcm2 0x1f51c 「ドクロちゃん、ここは走ったらあぶないよ！」
015.stcm2 0x1f588 小学生のはしゃぎようで走り回る、天使のドク
015.stcm2 0x1f5e0 ロちゃん。その笑顔は今、とても輝いています。
015.stcm2 0x1f64c しかし、ここはプールサイド。魔のつるつる
015.stcm2 0x1f6a4 ゾーンがそこらじゅうに存在するのです。
015.stcm2 0x1f88c ドクロちゃん
015.stcm2 0x1f8c8 「きゃはははははは！」
015.stcm2 0x1fac8 ゴガンッ！！
015.stcm2 0x1fd68 ザクロちゃん
015.stcm2 0x1fda4 「お、おねえさまッ！？」
015.stcm2 0x1fefc 楽しげな笑い声に続いて、芸術的に鈍い打撃音。
015.stcm2 0x1ff58 ドクロちゃんは見事にすっ転んでいました。
015.stcm2 0x1ffc0 しかも、後頭部をしたたか打ち付けたようです。
015.stcm2 0x2001c ドクロちゃんは、笑顔が張り付いたままの表情
015.stcm2 0x20074 でぴくりとも動きません。
015.stcm2 0x2010c プールサイド鉄のオキテ、【プールサイドで走
015.stcm2 0x20164 るべからず！】を守らない者にはこういう末路
015.stcm2 0x201bc がまっているのです。
015.stcm2 0x20210 それにしても、本当にドクロちゃんはどうしよ
015.stcm2 0x20268 うもありません。どうしてやりましょうか。
015.stcm2 0x203f4 「だから、あぶないよって言ったのに……」
015.stcm2 0x20500 僕は固まったままのドクロちゃんをのぞきこみ
015.stcm2 0x20558 ます。……そのとき、
015.stcm2 0x206ec 「う、うわ……ッ！」
015.stcm2 0x20740 僕にも牙をむく、魔のつるつるゾーン！
015.stcm2 0x20910 僕は一瞬の浮遊感のあと、地面に向かって落ち
015.stcm2 0x20968 て行きます。
015.stcm2 0x20d24 ぷにゅん！
015.stcm2 0x20d6c そこに痛みはなく、感じるのはただやわらかで、
015.stcm2 0x20dc8 あたたかな――ふくらみ。
015.stcm2 0x20e20 ドクロちゃんをのぞき込んだ僕は、足をすべら
015.stcm2 0x20e78 せ、そのままドクロちゃんにダイブ！
015.stcm2 0x20f58 ドクロちゃんのふくらみが、僕を包み込みます。
015.stcm2 0x20fb4 それは常識では計れないほどの弾力で、僕を押
015.stcm2 0x2100c し返してくるのです。
015.stcm2 0x210f8 「こ、これは……！」
015.stcm2 0x2114c 僕はすぐさま理解しました。このままでは、
015.stcm2 0x211a4 プールの水が血の池地獄です！
015.stcm2 0x21200 でも、起き上がることができません。……なぜ
015.stcm2 0x21258 ですか？
015.stcm2 0x215b4 ドクロちゃん
015.stcm2 0x215f0 「いやあぁぁぁぁんっ！！」
015.stcm2 0x21648 取り出だしたるは魔法鉄塊、とげバット。水着
015.stcm2 0x216a0 になってもそれは肌身離さないのですっ！
015.stcm2 0x21704 それは、ドクロちゃんの鋼鉄のオキテ――。
015.stcm2 0x21c84 「ち、ちがうんです！　これは、プールが！
015.stcm2 0x21cdc プールサイドが勝手に！　いや、むしろドクロ
015.stcm2 0x21d34 ちゃん、エスカリボルグをどこからどあふぁっ」
015.stcm2 0x22180 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
015.stcm2 0x22600 ドクロちゃん
015.stcm2 0x2263c 「いっくよーーーー！」
015.stcm2 0x228a4 バシャーーーーッ！！
015.stcm2 0x228f8 ドクロちゃんが、ザクロちゃんに向かって飛び
015.stcm2 0x22950 込むと、大きな水しぶきが上がりました。
015.stcm2 0x22b58 ザクロちゃん
015.stcm2 0x22b94 「お、おねえさま、ふふっ、やめてください」
015.stcm2 0x22ccc 静希ちゃん
015.stcm2 0x22d04 「もうっ、ドクロちゃん。飛び込みは専用の
015.stcm2 0x22d5c プールでやらなきゃ」
015.stcm2 0x22e58 ドクロちゃん
015.stcm2 0x22e94 「うん、ボク気をつけるっ」
015.stcm2 0x22eec ドクロちゃんに注意する静希ちゃんは、けれど
015.stcm2 0x22f44 笑顔です。
015.stcm2 0x22f8c 他方、サバトちゃんは水しぶきをかぶっても、
015.stcm2 0x22fe4 動じません。
015.stcm2 0x23058 ザクロちゃん
015.stcm2 0x23094 「サバトさん、どうされました？」
015.stcm2 0x231b0 サバトちゃん
015.stcm2 0x231ec 「ううう……あったかいですぅ……」
015.stcm2 0x23274 静希ちゃん
015.stcm2 0x232ac 「ふふふっ。温水プールだもん」
015.stcm2 0x23308 そこに忍び寄るドクロちゃん。ざばっと伸ばさ
015.stcm2 0x23360 れた手はサバトちゃんをつかまえます。
015.stcm2 0x23544 ドクロちゃん
015.stcm2 0x23580 「サバトちゃんもー」
015.stcm2 0x235fc サバトちゃん
015.stcm2 0x23638 「ふ、ふぇぇぇっ？　ド、ドクロちゃん、まっ
015.stcm2 0x23690 てくださいですぅ！」
015.stcm2 0x236e4 サバトちゃんの抵抗むなしく、ドクロちゃんは
015.stcm2 0x2373c サバトちゃんを持ち上げてしまいます。
015.stcm2 0x2383c ドクロちゃん
015.stcm2 0x23878 「それーーーーっ！！」
015.stcm2 0x238cc その後の展開はわかりきったモノ、ドクロちゃ
015.stcm2 0x23924 んは当然のようにサバトちゃんを水の中に放り
015.stcm2 0x2397c 投げました。
015.stcm2 0x239f0 サバトちゃん
015.stcm2 0x23a2c 「ふわぁぁーーーーっ！！」
015.stcm2 0x23bb0 バシャーーーーッ！！
015.stcm2 0x23c44 ドクロちゃんと同じか、それ以上の水柱をあげ
015.stcm2 0x23c9c て、サバトちゃんが着水。
015.stcm2 0x23dc0 サバトちゃん
015.stcm2 0x23dfc 「ドクロちゃん、ひどいですぅ！」
015.stcm2 0x23f98 「平和だな……」
015.stcm2 0x24168 「ああ、そうだな……」
015.stcm2 0x241bc 僕たちはプールサイドに腰かけて、そうつぶや
015.stcm2 0x24214 きました。
015.stcm2 0x2425c 水辺に響く声は楽しげで、本当にどこまでも平
015.stcm2 0x242b4 和なのです。
015.stcm2 0x24300 目の前ではたわむれる女の子たち。プールサイ
015.stcm2 0x24358 ドに腰かける僕たちは、参加するよりはじっく
015.stcm2 0x243b0 りと見ていたかったのです。
015.stcm2 0x244f4 「なあ、桜」
015.stcm2 0x24598 「なんだ？」
015.stcm2 0x245e4 宮本は視線を女の子たちに向けたまま、つぶや
015.stcm2 0x2463c きました。
015.stcm2 0x2476c 「誘ってくれてありがとよ」
015.stcm2 0x2481c 「……よせよ」
015.stcm2 0x24868 そう言って、僕たちは固い握手を交わすのです。
015.stcm2 0x248d4 しかし、よく考えてみるとこいつにはしっかり
015.stcm2 0x2492c と仲の良い女の子がいるのです。その子の名前
015.stcm2 0x24984 は、小野ちえりちゃん。
015.stcm2 0x249d8 同じ学年であることもあってか、意外と上手く
015.stcm2 0x24a30 行っている感じなのですが……。
015.stcm2 0x24a8c 宮本はこんなところで、他の女の子の水着姿に
015.stcm2 0x24ae4 うつつを抜かしていていいのでしょうか？
015.stcm2 0x24b48 こんな心配をするのも、宮本とちえりちゃんを
015.stcm2 0x24ba0 引き合わせたのが、僕と静希ちゃんだからなの
015.stcm2 0x24cd8 あれは静希ちゃんと一緒に計画した、図書室で
015.stcm2 0x24d30 の勉強会。僕と静希ちゃんは宮本とちえりちゃ
015.stcm2 0x24d88 んを接近させようとしたのですが……。
015.stcm2 0x24dec やっぱりドクロちゃんはちょっかいを出してき
015.stcm2 0x24e44 たのです。……ところが驚いたことに、これが
015.stcm2 0x24e9c 結果オーライ。
015.stcm2 0x24ee8 ２人は見事オチカヅキになったのです！　そし
015.stcm2 0x24f40 てそれ以来、宮本とちえりちゃんが２人でいる
015.stcm2 0x24f98 ところを目撃されたりされなかったり……。
015.stcm2 0x2514c 今、２人はイイ感じなのです。そんなデリケー
015.stcm2 0x251a4 トな時期に、こいつは……！
015.stcm2 0x251fc ああっ！　僕も静希ちゃんとデリケートな時期
015.stcm2 0x25254 に突入したいっ！
015.stcm2 0x252a4 僕が宮本に文句の１つも言おうかと思ったとき、
015.stcm2 0x25300 その音は届きました。
015.stcm2 0x2556c かしゃー！　かしゃー！
015.stcm2 0x255c0 水面が光を反射し、記者会見じみた音が響くの
015.stcm2 0x25618 は背後から。
015.stcm2 0x25664 それに気付くまでは、とても……平和だったの
015.stcm2 0x258b0 「そうザンス、もっと視線をこっちに！」
015.stcm2 0x25b80 僕たちのいるプールの後ろは幼児用プール。そ
015.stcm2 0x25bd8 こで派手にフラッシュをたく、派手なモヒカン。
015.stcm2 0x25c44 プールにおいても変わらない服装は、違和感を
015.stcm2 0x25c9c 放出するためだけに存在しているかのようです。
015.stcm2 0x25d3c 「もう１枚！　もう１枚いくザンスよ！」
015.stcm2 0x25f28 ぱしゃー！
015.stcm2 0x25f70 レンズの先では笑顔が輝く――幼稚園か小学校
015.stcm2 0x25fc8 の低学年程度でしょうか、背の小さな女の子た
015.stcm2 0x26020 ちがはしゃいでいます。
015.stcm2 0x260f4 そこにまぎれたカメラ男は明らかに目立ってい
015.stcm2 0x2614c ます。自然と、周囲の人もザンスに気付きはじ
015.stcm2 0x261a4 めました。
015.stcm2 0x261ec 僕が知ったことではありませんし、むしろ他人
015.stcm2 0x26244 のふりをしたいのですが、ほうっておくと後々
015.stcm2 0x2629c 迷惑をかけられることになりそうです。
015.stcm2 0x26380 宮本も、僕の隣であぜんとしていました。
015.stcm2 0x26568 「おい、桜。あれ……」
015.stcm2 0x26614 「そうだな、宮本。ちょっとまっててくれ」
015.stcm2 0x26778 僕はおもむろに立ち上がると、それに近寄り、
015.stcm2 0x267d0 声をかけました。
015.stcm2 0x26878 「……一応聞きますけど、ザンスさん、なにを
015.stcm2 0x268d0 やってるんですか？」
015.stcm2 0x26aac 「ふぉッ！？　さ、桜くんザンス！　こいつぁ
015.stcm2 0x26b04 奇遇ザンスよ！」
015.stcm2 0x26b54 奇遇もなにもありません。この変態は僕たちの
015.stcm2 0x26bac 後をつけているとしか思えないことが、度々あ
015.stcm2 0x26c04 るではありませんか。
015.stcm2 0x26cb0 「それはどうでもいいですから、ほら、カメラ
015.stcm2 0x26d08 を出してください。沈めますから」
015.stcm2 0x26f48 「こ、これはちがうザンス！　け、健康診断の
015.stcm2 0x26fa0 資料になればと思って！」
015.stcm2 0x27050 「ちがいませんよ。今、そこの小さい子を撮っ
015.stcm2 0x270a8 ていたじゃないですか」
015.stcm2 0x272dc 「カ、カメラテストだったザンスよ！　ミィは
015.stcm2 0x27334 本当にベノムちゃんの健康診断を……」
015.stcm2 0x2740c 「……なんですって？」
015.stcm2 0x27460 今、聞き流せないことを耳にしました。
015.stcm2 0x274c4 ベノムちゃんの健康診断って、なんでザンスが
015.stcm2 0x2751c 今日の秘密作戦のことを……！？
015.stcm2 0x27780 「桜くん、な、なにを勘違いしてるザンス？」
015.stcm2 0x27b54 「ミィは欲望のおもむくままに発達したドクロ
015.stcm2 0x27bac ちゃんの胸とか、ベノムちゃんのなめらかな曲
015.stcm2 0x27c04 線を写しに来ているわけでは、びゅぎゃうっ！」
015.stcm2 0x27cc8 「うるさいっ！　どこで健康診断の情報を仕入
015.stcm2 0x27d20 れたんだ！？　……吐きなさい！」
015.stcm2 0x27f60 「し、仕入れるもなにも……サバトちゃんの水
015.stcm2 0x27fb8 着を用意したのはミィなんザンスよ！？」
015.stcm2 0x280f4 「サバトちゃんの水着……？」
015.stcm2 0x28264 そのとき、僕は思い出したのです。あのアバラ
015.stcm2 0x282bc ンチ公園でサバトちゃんを誘った日のことを。
015.stcm2 0x28324 アバランチ公園で遭遇した不審なザンス。
015.stcm2 0x28388 そして、最高のタイミングでサバトちゃんのダ
015.stcm2 0x283e0 ンボールハウスに置かれた水着。
015.stcm2 0x284fc 「あああ！！　あのとき、アバランチ公園で！」
015.stcm2 0x28658 「その通りザンス」
015.stcm2 0x28700 「開き直らないでください！」
015.stcm2 0x28858 僕はプールでみんなと遊ぶサバトちゃんに視線
015.stcm2 0x288b0 を移しました。
015.stcm2 0x288fc 今日のサバトちゃんを見る限り、ザンスが用意
015.stcm2 0x28954 したのは、ゲルニカ学園指定の水着です。
015.stcm2 0x28c08 「まて！　どこでゲルニカ学園の水着なんか手
015.stcm2 0x28c60 に入れたんだ、キサマ！」
015.stcm2 0x28f08 僕は、ピンク色のモヒカンを力一杯ひっぱりま
015.stcm2 0x29094 「痛ッ、いたたたた、やめ、やめてザンス！
015.stcm2 0x290ec ちゃ、ちゃんと正規のルートで……」
015.stcm2 0x291e4 「変態に女子用水着を売る正規のルートが、ど
015.stcm2 0x2923c こにあるッ！？」
015.stcm2 0x29364 「それから、どうして今日の計画を知ってるん
015.stcm2 0x293bc だ！？　誰にも言ってないのに！」
015.stcm2 0x2941c 僕の抗議にザンスはしれっとした顔で、
015.stcm2 0x29660 「話は全部聞かせてもらったザンス。まったく、
015.stcm2 0x296bc ミィにも一声かけてくれればいいザンス。ミィ
015.stcm2 0x29714 だってベノムちゃんに協力したいザンスよ」
015.stcm2 0x2977c ……盗み聞きを白状するのです。
015.stcm2 0x297d8 それはまるで【相談に乗ってあげるよ】とでも
015.stcm2 0x29830 言いたげな顔でした。
015.stcm2 0x298dc 「くっ、最初からもれてたのか……！」
015.stcm2 0x29940 でも、バレてしまったからには仕方がありませ
015.stcm2 0x29998 ん。とにかく重要なのは僕たちの邪魔をさせな
015.stcm2 0x299f0 いことです。
015.stcm2 0x29ab0 「わかりました。そのカメラは没収しません」
015.stcm2 0x29d20 「本当ザンスかッ！？」
015.stcm2 0x29d74 ザンスは喜色満面。とてもうれしそうな顔です。
015.stcm2 0x29e38 「ただし、僕たちの邪魔だけはしないでくださ
015.stcm2 0x29e90 い。邪魔をしたり、ザンスさんが起こした騒ぎ
015.stcm2 0x29ee8 で計画が台無しになったりしたら怒りますよ？」
015.stcm2 0x2a134 「わ、わかったザンス、肝に銘じるザンスよ」
015.stcm2 0x2a388 静希ちゃん
015.stcm2 0x2a3c0 「桜く……あれ、ザンスさん？」
015.stcm2 0x2a41c 僕がザンスへの厳重注意を終えたころ、静希ちゃ
015.stcm2 0x2a478 んがやってきました。
015.stcm2 0x2a6c8 「ウォホー！　静希ちゃん、いいザンスー！」
015.stcm2 0x2a800 ザンスは【ぱしゃー！】と１枚。静希ちゃんは、
015.stcm2 0x2a85c 水着姿でいきなり写真を撮られたことに困惑し
015.stcm2 0x2a8b4 てしまいます。
015.stcm2 0x2aa10 静希ちゃん
015.stcm2 0x2aa48 「え……あの……」
015.stcm2 0x2aeb0 僕はザンスの胸ぐらをつかみました。
015.stcm2 0x2af68 「ザンスさん、邪魔しないって言いましたよね？
015.stcm2 0x2afc4 どういうことですか？　いいかげんにしないと
015.stcm2 0x2b01c 【変態天使ザンスちゃん】って呼びますよ？」
015.stcm2 0x2b264 「ちゃ、ちゃん付けだけは……ッ！」
015.stcm2 0x2b3ac 僕は手を離し、静希ちゃんに向かい合いました。
015.stcm2 0x2b5f8 「ごめんね、ザンスさんにベノムちゃんのこと
015.stcm2 0x2b650 がバレてたみたいなんだ」
015.stcm2 0x2b790 静希ちゃん
015.stcm2 0x2b7c8 「そうなんだ……どうしよう」
015.stcm2 0x2b824 この変態に知れてしまった以上、静希ちゃんの
015.stcm2 0x2b87c 心配ももっともです。
015.stcm2 0x2b950 「でも大丈夫、よく言っておいたから。絶対に
015.stcm2 0x2b9a8 邪魔はさせないよ」
015.stcm2 0x2bae0 静希ちゃん
015.stcm2 0x2bb18 「それなら……大丈夫だと思うけど」
015.stcm2 0x2bbd0 「それより、どうかした？」
015.stcm2 0x2bd10 静希ちゃん
015.stcm2 0x2bd48 「あ、うん。そろそろベノムちゃんの様子を見
015.stcm2 0x2bda0 に行こうかな、と思って」
015.stcm2 0x2be50 「それじゃあ、僕も行こうかな。ベノムちゃん
015.stcm2 0x2bea8 がどこに隠れてるのか、わからないし」
015.stcm2 0x2bf4c 本当は、ドクロちゃんから目を離したくないと
015.stcm2 0x2bfa4 ころですが、こればかりは仕方ありません。
015.stcm2 0x2c214 「ザンスさん。ドクロちゃんの様子を見ていて
015.stcm2 0x2c26c ください。もし、僕や静希ちゃんをさがしはじ
015.stcm2 0x2c2c4 めたら時間をかせいでくださいね」
015.stcm2 0x2c414 「ド、ドクロちゃん相手に時間かせぎなんて何
015.stcm2 0x2c46c 秒もできないザンス！」
015.stcm2 0x2c518 「そうならないことを祈ってください」
015.stcm2 0x2c57c 本来なら、ザンスを使いたくはないのですが、
015.stcm2 0x2c5d4 背に腹は代えられません。
015.stcm2 0x2c728 さて、ここを離れることは宮本にも告げておい
015.stcm2 0x2c780 た方がいいでしょう。
015.stcm2 0x2c97c 「宮本、ちょっとここにいてくれ」
015.stcm2 0x2cac4 「ん？　……ああ、行ってこい」
015.stcm2 0x2cb20 宮本はなぜか僕の隣にいる静希ちゃんを見て、
015.stcm2 0x2cb78 ニヤリとしました。
015.stcm2 0x2cc20 「……おい宮本！　なんだよ、その笑顔は！
015.stcm2 0x2cc78 ちがうぞ！　これはそんなんじゃ……」
015.stcm2 0x2cdc8 「いや、俺はなにも言ってないぜ？　ま、俺は
015.stcm2 0x2ce20 適当に遊んでるからよ」
015.stcm2 0x2cecc 「宮本、誤解だ。とにかく、誤解なんだ」
015.stcm2 0x2cf30 本当のことが言えないのは、つらいところです。
015.stcm2 0x2d17c 静希ちゃん
015.stcm2 0x2d1b4 「桜くん、宮本くんがどうかしたの？」
015.stcm2 0x2d270 「……ううん。なんでもないよ。それじゃあ、
015.stcm2 0x2d2c8 行こうか」
015.stcm2 0x2d3f8 静希ちゃん
015.stcm2 0x2d430 「うん……ここ、大丈夫かな？」
015.stcm2 0x2d4e4 「大丈夫、ザンスさんがなんとかしてくれるよ」
015.stcm2 0x2d5ac そう言って、ザンスをちらりと見ることもせず
015.stcm2 0x2d604 に、僕たちはベノムちゃんのところに向かうの
015.stcm2 0x2d65c でした。
015.stcm2 0x2d8ec 僕は静希ちゃんに連れられて、ドクロちゃんた
015.stcm2 0x2d944 ちが遊ぶプールから少し離れたプールにやって
015.stcm2 0x2d99c 来ました。
015.stcm2 0x2d9e4 見ればそこは流れるプール。さながら清流のよ
015.stcm2 0x2da3c うにゆるやかな流れは、子どもたちの歓声を加
015.stcm2 0x2da94 速させます。
015.stcm2 0x2dae0 そしてそのほとり、プールサイドには確かにベ
015.stcm2 0x2db38 ノムちゃんの姿がありました。
015.stcm2 0x2dd1c 静希ちゃん
015.stcm2 0x2dd54 「あ、ベノムちゃーん」
015.stcm2 0x2dda8 静希ちゃんが手を挙げて、ベノムちゃんに合図
015.stcm2 0x2de00 を送ります。
015.stcm2 0x2e038 ベノムちゃん
015.stcm2 0x2e074 「おお、静希殿でありますか。それに桜殿、お
015.stcm2 0x2e0cc はようございます」
015.stcm2 0x2e174 「う、うん。おはよう」
015.stcm2 0x2e1c8 僕はドキドキしていました。だって、ベノムちゃ
015.stcm2 0x2e224 んはいつも水着みたいな格好しているのに、今
015.stcm2 0x2e27c は本物のスクール水着です。
015.stcm2 0x2e2d4 ベノムちゃんもまた、スクール水着でも抑えき
015.stcm2 0x2e32c れない見事な曲線を描き出していました。
015.stcm2 0x2e390 僕は【天使ってば、みんなそう！】と叫びだし
015.stcm2 0x2e3e8 そうになるのをぐっとこらえます。
015.stcm2 0x2e448 ベノムちゃんの隠されている面積は増えている
015.stcm2 0x2e4a0 はずなのに、それがむしろ僕のドキドキを呼ぶ
015.stcm2 0x2e4f8 のですから。
015.stcm2 0x2e544 その気持ちをぐっとこらえて、僕はベノムちゃ
015.stcm2 0x2e59c んに話をふってみました。
015.stcm2 0x2e64c 「調子はどうかな？　順調？」
015.stcm2 0x2e790 ベノムちゃん
015.stcm2 0x2e7cc 「いえ、まだドクロ殿の観察には移っていない
015.stcm2 0x2e824 のでありますよ。周囲の状況把握ができていな
015.stcm2 0x2e87c いと、いざというときに困るでありますから」
015.stcm2 0x2e8e4 なるほど、まずは地盤固めということらしいで
015.stcm2 0x2e980 確かに、はじめて来た場所でいきなりなにかを
015.stcm2 0x2e9d8 しようとしても、上手くいかないかもしれませ
015.stcm2 0x2eacc 「ドクロちゃんは、まだ気付いてないみたいだ
015.stcm2 0x2eb24 けど、気をつけてね」
015.stcm2 0x2eb78 静希ちゃんがうなずいて、続けます。
015.stcm2 0x2ecc0 静希ちゃん
015.stcm2 0x2ecf8 「でも、楽しそうに遊んでて、チャンスはあり
015.stcm2 0x2ed50 そうだから、がんばってね」
015.stcm2 0x2eda8 僕と静希ちゃんの報告に、ベノムちゃんは満足
015.stcm2 0x2ee00 そうでした。
015.stcm2 0x2ee4c この計画は、ドクロちゃんに知られてしまった
015.stcm2 0x2eea4 時点で失敗なのですから、ベノムちゃんの存在
015.stcm2 0x2eefc を隠すことが重要です。
015.stcm2 0x2ef50 そういう意味では、ザンスに知られてしまって
015.stcm2 0x2efa8 いたのは痛手です。あの空気が読めない変態は
015.stcm2 0x2f000 うっかり情報をもらしかねません。
015.stcm2 0x2f17c 「とにかく、ベノムちゃんはドクロちゃんに集
015.stcm2 0x2f1d4 中してくれればいいよ。あとは僕たちがなんと
015.stcm2 0x2f22c かするから」
015.stcm2 0x2f37c ベノムちゃん
015.stcm2 0x2f3b8 「了解であります！　よろしくお願いするであ
015.stcm2 0x2f410 ります！」
015.stcm2 0x2f458 ベノムちゃんの声が、プールに反響します。僕
015.stcm2 0x2f4b0 と静希ちゃんはお互いの顔を見合わせてしまい
015.stcm2 0x2f5cc 「べ、ベノムちゃん、声が大きいよ……！」
015.stcm2 0x2f71c ベノムちゃん
015.stcm2 0x2f758 「あ、め、面目ないであります！」
015.stcm2 0x2f7e0 今のは大丈夫でしょうか、距離が離れていると
015.stcm2 0x2f838 はいえ、プールのこと。思いのほか大きく反響
015.stcm2 0x2f890 し、声が届いてしまうことだってありえます。
015.stcm2 0x2f8f8 しかも、特徴的なベノムちゃんの口調。これを
015.stcm2 0x2f950 ドクロちゃんに聞かれたら、ドクロちゃんがど
015.stcm2 0x2f9a8 んな行動に出るか想像もできません。
015.stcm2 0x2fa08 ……むしろ、想像したくありません！
015.stcm2 0x2fca8 「そのときザンスー！　ミィがベノムちゃんの
015.stcm2 0x2fd00 元に駆けつけたのはァーーッ！」
015.stcm2 0x3012c ぱしゃー！　ぱしゃー！
015.stcm2 0x301a8 今度はザンスの声が反響し、カメラから放たれ
015.stcm2 0x30200 るストロボ光が、狂ったように辺りを照らしま
015.stcm2 0x3029c 今度の被写体はベノムちゃんです。この変態か
015.stcm2 0x302f4 らカメラを取り上げなかったのは、やはり失敗
015.stcm2 0x3034c だったのでしょうか。
015.stcm2 0x30488 ベノムちゃん
015.stcm2 0x304c4 「ザ、ザンス殿……？」
015.stcm2 0x30518 困惑した瞳のベノムちゃん。僕は彼女を制する
015.stcm2 0x30570 ようにして、ザンスに近寄りました。
015.stcm2 0x307d8 「ザンスさん、ドクロちゃんを見ていてくださ
015.stcm2 0x30830 いってお願いしたじゃないですか。なんでこっ
015.stcm2 0x30888 ちに来てるんですか……？」
015.stcm2 0x308e0 どうしてザンスは、約束が守れないのでしょう
015.stcm2 0x30938 か。きっと、このモヒカンは伊達や酔狂にちが
015.stcm2 0x30990 いありません。
015.stcm2 0x30bbc 「ドクロちゃんは、サバトちゃんと水中パン食
015.stcm2 0x30c14 い競争で盛り上がってたから大丈夫ザンス」
015.stcm2 0x30cd4 「パンがふやける！　パンが全然おいしくない
015.stcm2 0x30d2c でしょッ！　しかもプールの水が汚れるよ、そ
015.stcm2 0x30d84 んなことしたら！」
015.stcm2 0x30fb4 「やきそばパンでやってたザンスよ」
015.stcm2 0x3106c 「さ、最悪の部類だ……。ザンスさん、なんで
015.stcm2 0x310c4 止めないんですか！？」
015.stcm2 0x312f8 「ミ、ミィに言われても困るザンス……」
015.stcm2 0x313b4 「使えない子だよ、まったく！」
015.stcm2 0x3171c 僕はザンスのカメラを取り上げて、約束どおり
015.stcm2 0x31774 水洗い。邪魔をしないならカメラを取り上げな
015.stcm2 0x317cc いと言ったのです。
015.stcm2 0x319fc 「ノォォォーーーーッ！！　ミィのキャメラが
015.stcm2 0x31a54 塩素臭くなっちゃうザンスゥッ！！」
015.stcm2 0x31ad0 ザンスに期待するのはもうやめです。そもそも
015.stcm2 0x31b28 期待なんかしちゃいけなかったのです。
015.stcm2 0x31c0c あとはバカだけど、良識は持っている宮本がな
015.stcm2 0x31c64 んとかしてくれていることを祈るばかりです。
015.stcm2 0x31ccc とにかく、これ以上ドクロちゃんを放置するの
015.stcm2 0x31d24 はやめたほうが良さそうです。
015.stcm2 0x31efc どうしますか？
015.stcm2 0x31f44 １．ドクロちゃんたちのところに戻る
015.stcm2 0x31fa0 ２．ここに残る
016.stcm2 0x448 僕と静希ちゃんは、ドクロちゃんたちが遊んで
016.stcm2 0x4a0 いるはずのプールに戻ってきました。
016.stcm2 0x500 ザンスは放置です。関わりあいになりたくない
016.stcm2 0x78c ザクロちゃん
016.stcm2 0x7c8 「あ、桜さん、静希さん。
016.stcm2 0x810 どこへいってらっしゃったのですか？」
016.stcm2 0x874 最初に僕たちに気付いたのはザクロちゃん。彼
016.stcm2 0x8cc 女は周りがとてもよく見えています。
016.stcm2 0x984 「ちょっと、他にはどんなプールがあるのかな、
016.stcm2 0x9e0 と思って、案内板を見に行ってたんだ」
016.stcm2 0xa44 それは僕が用意していたウソ。ザクロちゃんに
016.stcm2 0xa9c ウソをつくのはちょっとだけ心が痛みます。
016.stcm2 0xbec ザクロちゃん
016.stcm2 0xc28 「そうでしたか。おねえさまもサバトさんもお
016.stcm2 0xc80 待ちですよ」
016.stcm2 0xdb4 静希ちゃん
016.stcm2 0xdec 「ごめんね、急にいなくなっちゃって」
016.stcm2 0xf08 さて、僕の心配は、やきそばがプールに浮いて
016.stcm2 0xf60 いないかということ。
016.stcm2 0xfb4 でも、そこに浮いていたのはやきそばではなく、
016.stcm2 0x1010 ドクロちゃんでした。
016.stcm2 0x1064 ドクロちゃんは僕に気が付くと、すぐにプール
016.stcm2 0x10bc から上がって、少しむくれた風で言います。
016.stcm2 0x12ac ドクロちゃん
016.stcm2 0x12e8 「あー、もう桜くんってばどこに行ってたのっ？
016.stcm2 0x1344 ペンタゴン？」
016.stcm2 0x13e8 「国防総省は行かないよ？」
016.stcm2 0x1440 相変わらず、どうでもいいことを言う天使です。
016.stcm2 0x169c サバトちゃん
016.stcm2 0x16d8 「桜くん戻ってきたですぅ」
016.stcm2 0x1730 水にぬれた角をきらきらと輝かせ、サバトちゃ
016.stcm2 0x1788 んがやってきました。
016.stcm2 0x18f8 「あ、サバトちゃん、楽しんでる？」
016.stcm2 0x1a3c サバトちゃん
016.stcm2 0x1a78 「ありがとうですぅ。とっても楽しいですぅ」
016.stcm2 0x1b3c ……どうやら、誰もベノムちゃんの存在には気
016.stcm2 0x1b94 付いていないようです。
016.stcm2 0x1be8 それなら、あとはドクロちゃんを飽きさせない
016.stcm2 0x1c40 ように気をつけましょう。
016.stcm2 0x1c98 トラブルさえなければ、きっとベノムちゃんが
016.stcm2 0x1cf0 上手くドクロちゃんを観察してくれるはずです。
016.stcm2 0x1d5c ……あれ？
016.stcm2 0x1da4 ふと気が付くと、宮本がいません。どこへ行っ
016.stcm2 0x1dfc たのでしょうか。
016.stcm2 0x1fec 「おい、桜……」
016.stcm2 0x203c 宮本が疲れた顔で、僕の後ろに立っていました。
016.stcm2 0x2128 「どうした宮本。【たった今、やきそばを片づ
016.stcm2 0x2180 けてきたところ】みたいな顔をしてるぞ」
016.stcm2 0x22d0 「ドクロちゃんの面倒はおまえが見ろ！」
016.stcm2 0x238c 「たまにはいいだろ！」
016.stcm2 0x2498 宮本も少しは僕の苦労を知ればいいんです。
016.stcm2 0x2500 今日は【ドクロちゃん係】も休業です。今日の
016.stcm2 0x2558 僕は【ベノムちゃん係】なのですから。
016.stcm2 0x2670 さあ。それならば、僕には仕事があるではあり
016.stcm2 0x26c8 ませんか。
016.stcm2 0x2738 今日は遊びに来ているのだということを、身を
016.stcm2 0x2790 もってドクロちゃんに見せなくてはなりません。
016.stcm2 0x27fc どうしますか？
016.stcm2 0x2844 １．ドクロちゃんと遊ぶ
016.stcm2 0x2894 ２．静希ちゃんと遊ぶ
016.stcm2 0x28e4 ３．ザクロちゃんと遊ぶ
016.stcm2 0x2934 ４．サバトちゃんと遊ぶ
016.stcm2 0x2e8c 僕の任務はドクロちゃんに、今日の秘密作戦を
016.stcm2 0x2ee4 気付かせないことです。
016.stcm2 0x2f38 それなら、ドクロちゃんと一緒にいるのが最良
016.stcm2 0x2f90 の選択というものでしょう。
016.stcm2 0x3170 ドクロちゃん
016.stcm2 0x31ac 「桜くーん、なにして遊ぶ？　イケナイ遊び？」
016.stcm2 0x3218 ドクロちゃんの遊び心は水でふやけて拡大中。
016.stcm2 0x3270 今、ドクロちゃんの頭の中にはベノムちゃんの
016.stcm2 0x32c8 ベの字もありません。
016.stcm2 0x331c 僕はドクロちゃんの言葉を無視して話します。
016.stcm2 0x3404 「じゃあ、こういうのはどうかな？　あのね、」
016.stcm2 0x3558 ドクロちゃん
016.stcm2 0x3594 「そ、そんな……桜くん……プールだからって、
016.stcm2 0x35f0 ボク、そんなこと……」
016.stcm2 0x369c 「まだ言ってない！　以心伝心もこのレベル
016.stcm2 0x36f4 まで来ると、腹立ちすら覚えるよ！」
016.stcm2 0x3838 ドクロちゃん
016.stcm2 0x3874 「ほめられたー」
016.stcm2 0x3934 そう言って、ドクロちゃんはまた走り出します。
016.stcm2 0x3990 さっき、それで痛い目にあったばかりだという
016.stcm2 0x39e8 のに、本当に学習しない子です。
016.stcm2 0x3a9c 「もうっ、ドクロちゃん、走っ……ちゃ……？」
016.stcm2 0x3c68 ドクロちゃんを注意しようと思った僕の目に
016.stcm2 0x3cc0 飛び込んだのは、
016.stcm2 0x3dac ――ドクロちゃんのふくらみ。
016.stcm2 0x3e30 ドクロちゃんの走るステップに合わせて、そし
016.stcm2 0x3e88 てまたドクロちゃんの息づかいに合わせて揺れ
016.stcm2 0x3ee0 るそれは、僕の心に直撃しました。
016.stcm2 0x3fc0 やはりプールという空間はどこか夏を思わせま
016.stcm2 0x4018 す。だって、ドクロちゃんはこんなにもリミッ
016.stcm2 0x4070 ター解除、暴走寸前です。
016.stcm2 0x40c8 僕はドクロちゃんから目が離せません。つやや
016.stcm2 0x4120 かに水を弾く水着と、なめらかな白い肌が見て
016.stcm2 0x4178 見てと言わんばかりに自己主張。
016.stcm2 0x41d4 これは……これはとても危険です！
016.stcm2 0x4318 ドクロちゃん
016.stcm2 0x4354 「きゃははっ、桜くーん！
016.stcm2 0x439c つかまえてつかまえて！」
016.stcm2 0x444c 「……ああっ、いけない！」
016.stcm2 0x44a4 見とれている場合ではありませんでした。
016.stcm2 0x4508 どうもドクロちゃんは【浜辺の追いかけっこ】
016.stcm2 0x4560 がやりたいようです。
016.stcm2 0x45b4 水にぬれたプールサイドで追いかけっこなんて、
016.stcm2 0x4610 命知らずにもほどがありますが、ドクロちゃん
016.stcm2 0x4668 は勝手にはじめてしまいました。
016.stcm2 0x46c4 そう、追いかけっこなんかして、偶然ベノムちゃ
016.stcm2 0x4720 んがいる方へ走っていってしまったら大変です。
016.stcm2 0x47e4 「……ドクロちゃんまって！　プールで！
016.stcm2 0x4838 プールで遊ぼう！」
016.stcm2 0x4888 プールを必死で指さすも、ドクロちゃんは聞く
016.stcm2 0x48e0 耳持たず、大逃走です。
016.stcm2 0x4a1c ドクロちゃん
016.stcm2 0x4a58 「きゃはーーーー！　桜くんおそいよーー！
016.stcm2 0x4ab0 こっちこっちーーっ！！」
016.stcm2 0x4bbc 「ああっ、だめって言ってるでしょ、ドクロちゃ
016.stcm2 0x4c5c 僕はプールサイドを走ります。まるで地に足が
016.stcm2 0x4cb4 ついていないような、この不安感はなんでしょ
016.stcm2 0x4ed8 ――瞬間、重力が増し、天地が逆転する感覚。
016.stcm2 0x50d0 ズダァンッッ！！
016.stcm2 0x538c 「ぅォッいッッッたァァァァァァ！！　痛い、
016.stcm2 0x53e4 痛すぎる！　な、あっハァ……ぐッ！」
016.stcm2 0x5448 僕はプールサイドをのた打ち回りました。それ
016.stcm2 0x54a0 はそうです。だって、プールサイドにお尻と背
016.stcm2 0x54f8 中から落下しましたよ、僕！！
016.stcm2 0x5554 いきなり僕の目の前に現れたドクロちゃんは、
016.stcm2 0x55ac 僕の前でくるっと半回転すると腰を落とし、前
016.stcm2 0x5604 方ななめ下へと思い切り僕を引きました。
016.stcm2 0x5668 僕の身体は空中で回転、お尻と背中から硬い
016.stcm2 0x56c0 プールサイドに叩き落されたのです。
016.stcm2 0x58a8 ドクロちゃん
016.stcm2 0x58e4 「もうっ、桜くんは【まてまてー】でしょ？
016.stcm2 0x593c 学校でナニを勉強してたの？」
016.stcm2 0x59f0 「ド、ドクロちゃんこそ……プールサイドで人
016.stcm2 0x5a48 に体落としをかけちゃいけないって……習わな
016.stcm2 0x5aa0 かったの？」
016.stcm2 0x5aec どうやら、ドクロちゃんは僕が乗ってこなかっ
016.stcm2 0x5b44 たのが気に食わなかったようです。
016.stcm2 0x5ba4 それだけでこの仕打ち。同じ柔道の技なら、ド
016.stcm2 0x5bfc クロちゃんには、上四方固めとか横四方固めと
016.stcm2 0x5c54 かがオススメなのにっ。
016.stcm2 0x5ca8 落下の衝撃が全身に走り、僕の身体はバラバラ
016.stcm2 0x5d00 になりそうでした。骨は折れていないようです
016.stcm2 0x5d58 が、むしろ折れていないのが不思議です。
016.stcm2 0x5ea0 ドクロちゃん
016.stcm2 0x5edc 「桜くん、ほぅらぁ、起きてぇっ」
016.stcm2 0x5f3c ドクロちゃんのくりくりヴォイスが、僕の脳に
016.stcm2 0x5f94 響きました。
016.stcm2 0x5fe0 震える手で、僕はドクロちゃんに告げるのです。
016.stcm2 0x60a4 「ドクロちゃん……お願いがあります。プール
016.stcm2 0x60fc サイドでは走らないで、そして……僕を投げな
016.stcm2 0x6154 いでください……」
016.stcm2 0x63f4 僕は確かに、ベノムちゃんのお仕事のために、
016.stcm2 0x644c プールまでやってきました。
016.stcm2 0x64a4 もちろん、今だってその気持ちに変化はありま
016.stcm2 0x6540 ……でも、少しくらい、いいじゃないですか。
016.stcm2 0x65a8 僕は静希ちゃんと一緒のプールを唯一と言って
016.stcm2 0x6600 いい楽しみにしていたのですから。
016.stcm2 0x6660 僕は泳げるのです。【泳げなくて恥ずかしいか
016.stcm2 0x66b8 らプールはパス】とか、そんな典型的な男では
016.stcm2 0x6710 ないのです。
016.stcm2 0x675c プールにおいて、僕はまさに水を得た桜。もと
016.stcm2 0x67f8 僕が泳げるということは、そうなんです。たと
016.stcm2 0x6850 えば……。
016.stcm2 0x69f0 バシャバシャという水音が響きます。ここは清
016.stcm2 0x6a48 流のように澄んだ時間が流れていました。
016.stcm2 0x6aac 今、このプールにいるのは僕と静希ちゃんだけ。
016.stcm2 0x6b08 ２人だけの、空間です。
016.stcm2 0x6bb4 「静希ちゃん。ほら、手と足はバラバラに動か
016.stcm2 0x6c0c さなきゃ」
016.stcm2 0x6ddc 静希ちゃん
016.stcm2 0x6e14 「そ、そんなこと言っても……怖くて……」
016.stcm2 0x6e7c 静希ちゃんはすぐに泳ぐのをやめて、足をつい
016.stcm2 0x6ed4 てしまいます。
016.stcm2 0x6f20 陸上部のエースも、水の中では形無し。彼女は
016.stcm2 0x6f78 なんと泳げないのです。
016.stcm2 0x7024 「さあ、練習しよう？　はやく泳げるようにな
016.stcm2 0x707c らないと、一緒に泳げないよ？」
016.stcm2 0x71c0 静希ちゃん
016.stcm2 0x71f8 「ううん、私、ずっと桜くんにつかまってる」
016.stcm2 0x7260 静希ちゃんはすねたようにそう言います。
016.stcm2 0x731c 「ははは。うれしいけど、それじゃあ僕も泳げ
016.stcm2 0x7374 ないよ。さあ、」
016.stcm2 0x73c4 僕は笑って、静希ちゃんに手を差し出しました。
016.stcm2 0x7518 静希ちゃん
016.stcm2 0x7550 「あっ、ごめんなさい。私ったら」
016.stcm2 0x7608 「いいよ。ほら、つかまって？」
016.stcm2 0x787c 静希ちゃん
016.stcm2 0x78b4 「……桜くん、なにやってるの？」
016.stcm2 0x7988 「は、はい……ッ！？」
016.stcm2 0x7a04 気が付けば、誰もいない空間に僕は手を前に差
016.stcm2 0x7a5c し出しています。なにが……起こったのでしょ
016.stcm2 0x7af8 ……これは、しまったと言うべきでしょう！
016.stcm2 0x7b60 楽しく過ごそうと思っていたら、いつの間にか、
016.stcm2 0x7bbc 入り込んでしまっていました。
016.stcm2 0x7c18 静希ちゃんは不思議そうな目で僕を見ます。
016.stcm2 0x7d68 静希ちゃん
016.stcm2 0x7da0 「手……どうしたの？」
016.stcm2 0x7e4c 「……なんでもないんだ！　気にしないで！？」
016.stcm2 0x7fa0 静希ちゃん
016.stcm2 0x7fd8 「そう……それならいいんだけど……」
016.stcm2 0x803c あぶないところでした。静希ちゃんに手取り足
016.stcm2 0x8094 取り……なんて想像をしていたと知られてしまっ
016.stcm2 0x80f0 たら、嫌われてしまうかもしれません。
016.stcm2 0x8194 僕ももう１４歳。自制を学ぶ年頃です。もう少
016.stcm2 0x81ec し、抑えましょう。せめて、もう、少しだけ。
016.stcm2 0x82d4 「……せっかく来たんだから、僕たちも楽しま
016.stcm2 0x832c ないとね」
016.stcm2 0x845c 静希ちゃん
016.stcm2 0x8494 「うん。実は私もちょっと楽しみにしてたんだ」
016.stcm2 0x8500 トクンと高鳴るのは僕の心臓。心臓は８ビート、
016.stcm2 0x855c 幸せの鼓動。
016.stcm2 0x85a8 静希ちゃんも僕とプールに来ることを楽しみに
016.stcm2 0x8600 していてくれた……いえ、わかってはいたんで
016.stcm2 0x869c でも、実際に言葉で聞くと格別じゃないですか。
016.stcm2 0x8708 そして、うれしさついでに、僕は思い切って聞
016.stcm2 0x8760 いてみるのです。
016.stcm2 0x8808 「ところで、静希ちゃんは泳げるの？」
016.stcm2 0x886c 静希ちゃんはくすっと笑って答えます。
016.stcm2 0x89b8 静希ちゃん
016.stcm2 0x89f0 「うん。私は泳げるけど、どうしたの急に？」
016.stcm2 0x8d4c 僕はザクロちゃんを眺めていました。
016.stcm2 0x90c8 みんなと笑顔で遊ぶその姿は、年相応のもの。
016.stcm2 0x9120 ザクロちゃんも、いい息抜きになっているのか
016.stcm2 0x9178 もしれません。
016.stcm2 0x91c4 スポーツフェスティバルのときも、そうでした。
016.stcm2 0x9220 結局はザクロちゃんがいろいろと気をつかって
016.stcm2 0x9278 くれたから、無事に済んだのです。
016.stcm2 0x92d8 それなら今日くらいは、なんの気もつかわせず
016.stcm2 0x9330 に済ませてあげたいところです。
016.stcm2 0x9430 僕の視線に気付いたのか、ザクロちゃんが
016.stcm2 0x9484 プールサイドに上がって僕にほほえみかけます。
016.stcm2 0x9678 ザクロちゃん
016.stcm2 0x96b4 「桜さんは泳がないのですか？」
016.stcm2 0x9710 そのスラッとした長身から、流れるような銀の
016.stcm2 0x9768 カミの毛。水にぬれたそれは、いつもよりもずっ
016.stcm2 0x97c4 と輝いて見えます。
016.stcm2 0x9814 僕はそのまぶしさに目を細めながら答えます。
016.stcm2 0x98d4 「泳ぎたいけど、ドクロちゃんから目を離すわ
016.stcm2 0x992c けにもいかないし」
016.stcm2 0x997c 一瞬たりとも目を離さないのであれば、立ち泳
016.stcm2 0x99d4 ぎくらいしかできません。
016.stcm2 0x9a84 「ザクロちゃんはどうしたの？」
016.stcm2 0x9bc8 ザクロちゃん
016.stcm2 0x9c04 「わたくしはちょっとだけ、休憩です」
016.stcm2 0x9c68 それはそうです。ドクロちゃんのペースに合わ
016.stcm2 0x9cc0 せていたら、即座に体力が尽きてしまいますか
016.stcm2 0x9db4 「それじゃザクロちゃ……」
016.stcm2 0x9e34 それ以上、言葉はつなげませんでした。無意識
016.stcm2 0x9e8c に気付かないフリをしていたものに気付いてし
016.stcm2 0x9ee4 まったからです。
016.stcm2 0x9f68 水がザクロちゃんを伝います。ザクロちゃんの
016.stcm2 0x9fc0 カラダはなまめかしく輝いていました。
016.stcm2 0xa024 ９歳なのに……９歳なのにッ！
016.stcm2 0xa080 ザクロちゃんが間近に来るまで忘れてました。
016.stcm2 0xa0d8 今、みんなは水着を着ているのです。
016.stcm2 0xa138 逆に言えば、水着しか着ていないのです。
016.stcm2 0xa19c ザクロちゃんは１９歳ボディの持ち主。下手を
016.stcm2 0xa1f4 すれば、この場にいる天使たちの中でも１番危
016.stcm2 0xa24c 険な子なのかもしれません。
016.stcm2 0xa518 ザクロちゃん
016.stcm2 0xa554 「どうかされたのですか、桜さん？」
016.stcm2 0xa5b4 ザクロちゃんがさらに１歩近寄って、僕の瞳を
016.stcm2 0xa60c のぞき込みます。
016.stcm2 0xa65c それは僕の瞳に映っていたもの（ザクロちゃん
016.stcm2 0xa6b4 のムネとか素肌とか！）を見られているようで、
016.stcm2 0xa710 僕はとても恥ずかしくなりました。
016.stcm2 0xa770 ザクロちゃんのくもりのない瞳に、僕はどう映っ
016.stcm2 0xa7cc ているでしょうか？
016.stcm2 0xa938 「ううん、なんでもないよ！？　僕はちょっと
016.stcm2 0xa990 泳いで来るから、ザクロちゃんは休んでて？」
016.stcm2 0xaadc ザクロちゃん
016.stcm2 0xab18 「いいえ、桜さんが泳ぐのでしたら、お付き合
016.stcm2 0xab70 いします。もう休めましたし、なかなかこういっ
016.stcm2 0xabcc た機会もありませんから」
016.stcm2 0xac24 にこりと、ザクロちゃんはほほえみました。
016.stcm2 0xad0c 「ザ、ザクロちゃん……！」
016.stcm2 0xad64 そうなのです。ザクロちゃんはゲルニカ学園の
016.stcm2 0xadbc 生徒ではないのです。
016.stcm2 0xae10 だから、彼女は僕とドクロちゃんが学校に行っ
016.stcm2 0xae68 ている間は、ずっとお留守番。
016.stcm2 0xaf04 さみしい思いをさせてしまっていることは、自
016.stcm2 0xaf5c 明の理じゃありませんか。
016.stcm2 0xafb4 目の奥がじわり、とする感覚。涙はダメです。
016.stcm2 0xb00c ザクロちゃんの前で泣いちゃダメ！
016.stcm2 0xb0ec 「ザクロちゃん、僕は泳ぐよ！」
016.stcm2 0xb230 ザクロちゃん
016.stcm2 0xb26c 「はい、存分に」
016.stcm2 0xb2bc 僕は笑顔で応じるザクロちゃんと一緒にプール
016.stcm2 0xb314 に入ります。
016.stcm2 0xb3e4 そして、僕はプールに入るなり、頭までザブン
016.stcm2 0xb43c と沈みました。
016.stcm2 0xb488 そうして、涙はプールに流れるのです。
016.stcm2 0xb8b4 サバトちゃん
016.stcm2 0xb8f0 「さ、桜くん！　大変ですぅ！」
016.stcm2 0xb9a4 「どうしたの、サバトちゃん……？」
016.stcm2 0xba04 サバトちゃんに声をかけようと思ったら、反対
016.stcm2 0xba5c にサバトちゃんから話しかけられました。
016.stcm2 0xbac0 どうしたのでしょう。その声は、それがただ事
016.stcm2 0xbb18 ではないと思わせるものでした。
016.stcm2 0xbc5c サバトちゃん
016.stcm2 0xbc98 「とにかく大変なんですぅ！」
016.stcm2 0xbcf4 サバトちゃんは息も絶え絶え、言いたいことと
016.stcm2 0xbd4c 気持ちの整理がきちんとついていない状態のよ
016.stcm2 0xbda4 うです。
016.stcm2 0xbe44 「まずは落ち着こう？　僕も話の内容がわから
016.stcm2 0xbe9c ないから。はい、深呼吸」
016.stcm2 0xbfdc サバトちゃん
016.stcm2 0xc018 「すぅ……はぁ……」
016.stcm2 0xc06c 深呼吸が一区切りしたところで、僕はもう一度
016.stcm2 0xc0c4 サバトちゃんに問いかけます。
016.stcm2 0xc178 「それで？　どうしたの？」
016.stcm2 0xc2b8 サバトちゃん
016.stcm2 0xc2f4 「サバトの……サバトの、ドゥリンダルテがな
016.stcm2 0xc34c くなっちゃったんですぅ！」
016.stcm2 0xc3a4 ドゥリン……ダルテ？　超電磁スタンロッドの？
016.stcm2 0xc490 「えええええ！？　ちょっと、大変だよサバト
016.stcm2 0xc4e8 ちゃん！」
016.stcm2 0xc618 サバトちゃん
016.stcm2 0xc654 「最初からそう言ってますぅ！」
016.stcm2 0xc6b0 告げられた事実はあまりに衝撃的でした。だっ
016.stcm2 0xc708 て、そんなの誰も予想しません。
016.stcm2 0xc764 それより、天使が魔法のアイテムを紛失してい
016.stcm2 0xc7bc いのでしょうか？
016.stcm2 0xc80c それにしてもとんでもないことになりました。
016.stcm2 0xc864 あんな殺傷力のあるもの、天使でなくても紛失
016.stcm2 0xc8bc していいものではありません。
016.stcm2 0xc9fc サバトちゃん
016.stcm2 0xca38 「サバトがプールで遊んでいたら、なくなって
016.stcm2 0xca90 いたんですぅ！」
016.stcm2 0xcb38 「と、とにかく、ええと……ロッカーから盗ま
016.stcm2 0xcb90 れたんだね？　さがしに行かなくっちゃ！」
016.stcm2 0xcbf8 僕は、ロッカールームの方へと振り返り歩を進
016.stcm2 0xcc50 めます。
016.stcm2 0xcc98 ……しかし、サバトちゃんは僕の腕をつかみ、
016.stcm2 0xccf0 引き止めるのです。
016.stcm2 0xce28 サバトちゃん
016.stcm2 0xce64 「ちがうんですぅ……」
016.stcm2 0xcf10 「ちがう？　なにがちがうの？」
016.stcm2 0xd054 サバトちゃん
016.stcm2 0xd090 「サバトは、肌身離さず持っていたはずなのに、
016.stcm2 0xd0ec なくなっちゃってたんですぅ！」
016.stcm2 0xd1c8 「あぶない！　それはあぶなすぎるっていうか、
016.stcm2 0xd224 やめようよ！　電化製品でしょ！？　プールに
016.stcm2 0xd27c 持ち込んじゃダメ！」
016.stcm2 0xd2d0 バットだって危険すぎてやめてもらいたいのに、
016.stcm2 0xd32c スタンロッドなんか水辺に持ち込むものじゃあ
016.stcm2 0xd384 りません。
016.stcm2 0xd3e8 バット……？
016.stcm2 0xd51c サバトちゃん
016.stcm2 0xd558 「桜くん……？　どうしたんですかぁ？　顔が
016.stcm2 0xd5b0 青いですぅ」
016.stcm2 0xd67c 「サバトちゃん。どうやら僕は、とんでもなく
016.stcm2 0xd6d4 イヤな可能性に気が付きました。ほら、このプー
016.stcm2 0xd730 ルにはドクロちゃんって天使がいるでしょう？」
016.stcm2 0xd884 サバトちゃん
016.stcm2 0xd8c0 「いるですぅ。さっきから、水中をほふく前進
016.stcm2 0xd918 してるですぅ」
016.stcm2 0xd9a4 また変なことをやっているようです。成長がま
016.stcm2 0xd9fc るで見られません。
016.stcm2 0xda4c 今の彼女は、まさに【水を得たドクロちゃん】。
016.stcm2 0xdaa8 【できれば触れたくないものランキング】で、
016.stcm2 0xdb00 常にトップに君臨し続ける存在です。
016.stcm2 0xdb60 これは、そんな彼女にまつわる【もしも】の話。
016.stcm2 0xdc24 「それじゃあ、ドゥリンダルテがドクロちゃん
016.stcm2 0xdc7c の手に渡ったらどうなる……？」
016.stcm2 0xdd98 サバトちゃんは、少し考えるように視線をそら
016.stcm2 0xddf0 します。そして、数秒でその事実に気が付きま
016.stcm2 0xdf9c サバトちゃん
016.stcm2 0xdfd8 「こ、この世の終わりですぅ！」
016.stcm2 0xe08c 「そう……非常にまずい事態だよ！」
016.stcm2 0xe0ec ドゥリンダルテを手にしたドクロちゃんは、あ
016.stcm2 0xe144 る意味、おもちゃを手に入れた小学生と変わり
016.stcm2 0xe19c ありません。
016.stcm2 0xe1e8 ですから、絶対に、
016.stcm2 0xe2d8 ドクロちゃん
016.stcm2 0xe314 「あれ？　なにか沈んでる。これなんだろう？」
016.stcm2 0xe3a8 絶対に、ダメなのです！
016.stcm2 0xe454 「ドクロちゃんストップ！　ストォップ！！」
016.stcm2 0xe4bc ドクロちゃんの視線は水中に向けられています。
016.stcm2 0xe518 そこにドゥリンダルテがあるのでしょうか。
016.stcm2 0xe624 僕はドクロちゃんに駆けより、必死の制止を試
016.stcm2 0xe67c みました。プールサイドだろうとなんだろうと
016.stcm2 0xe6d4 お構いなしです。走らないと、間に合いません。
016.stcm2 0xe740 彼女がドゥリンダルテを手にしたら、むやみに
016.stcm2 0xe798 振りかざすこと、これ必定。
016.stcm2 0xe7f0 ドクロちゃんが【それを拾うことによる、この
016.stcm2 0xe848 あとの展開のおもしろさ】に気付いてしまった
016.stcm2 0xe8a0 らオシマイです。
016.stcm2 0xeb1c ドクロちゃん
016.stcm2 0xeb58 「桜くん、どうしたの？」
016.stcm2 0xec08 「ドクロちゃん、まって。あっちで僕と一緒に
016.stcm2 0xec60 遊ばない？」
016.stcm2 0xed98 僕はドクロちゃんの気を隣のプールに向けつつ、
016.stcm2 0xedf4 片手でサバトちゃんに合図します。
016.stcm2 0xefb4 サバトちゃんは僕の合図に気付き、ひとつうな
016.stcm2 0xf00c ずいてからプールに入りました。
016.stcm2 0xf300 ドクロちゃん
016.stcm2 0xf33c 「あっちって、いやぁ……人がいないよ……？
016.stcm2 0xf394 なにするつもりなの……？」
016.stcm2 0xf444 「いるよ、いっぱい！　土曜のプールでしょ！？
016.stcm2 0xf4a0 仮にいないとしても、なにもしません！」
016.stcm2 0xf5f0 僕はドクロちゃんを水から上がらせ、送り出す
016.stcm2 0xf648 のです。
016.stcm2 0xf848 「はぁ……とにかく、僕もすぐ行くから先に行っ
016.stcm2 0xf8a4 てて？」
016.stcm2 0xf9d0 ドクロちゃん
016.stcm2 0xfa0c 「うん、体育館の裏でまってるんだからっ」
016.stcm2 0xfcfc 僕の言葉が天使の耳に届くと、彼女は照れたよ
016.stcm2 0xfd54 うな表情で近づいて、ドン！
016.stcm2 0xfe04 「うわッ、ちょっと、ドクロちゃん！　なんで
016.stcm2 0xfe5c 押すの……ッ！？」
016.stcm2 0x10170 バシャーーーー！！
016.stcm2 0x10200 水しぶきをあげて、僕はプールに叩き落されて
016.stcm2 0x10258 しまいました。
016.stcm2 0x10378 ドクロちゃんは【先輩の部活が終わるのをまっ
016.stcm2 0x103d0 ている後輩の女の子】の瞳をして、隣のプール
016.stcm2 0x10428 に向かっていきました。
016.stcm2 0x10530 「もう……ドクロちゃんこそ、なにがしたいん
016.stcm2 0x10588 だかわからないよ」
016.stcm2 0x105d8 つぶやきはしかし、ドクロちゃんに届くことは
016.stcm2 0x10630 ありません。
016.stcm2 0x10800 サバトちゃん
016.stcm2 0x1083c 「あ……！　あったですぅ！」
016.stcm2 0x108c0 浮上したサバトちゃんは、その手にドゥリンダ
016.stcm2 0x10918 ルテを持っていました。
016.stcm2 0x1096c どうやら、ドクロちゃんの手に落ちずに済んだ
016.stcm2 0x109c4 ようで、なによりではないですか。
016.stcm2 0x10a7c 「よかったぁ。サバトちゃん、もうなくさない
016.stcm2 0x10c00 サバトちゃん
016.stcm2 0x10c3c 「うぅ、ごめんなさいですぅ」
016.stcm2 0x10cf0 「いいんだよ。さあ、それ片づけよう？」
016.stcm2 0x10e3c サバトちゃん
016.stcm2 0x10e78 「ちょっとまってほしいですぅ。壊れてないか
016.stcm2 0x10ed0 心配なんですぅ」
016.stcm2 0x10f94 「え、サバトちゃん？　まっ……」
016.stcm2 0x11160 瞬間、イヤな予感は電気よりもはやく駆け抜け、
016.stcm2 0x111cc ――電気は、遅れてやってきたのです。
016.stcm2 0x11764 ずぱんッ！　ばりばりばりばりばりッ！！
016.stcm2 0x11c84 「うぅぎゃああああああああ！！」
016.stcm2 0x12074 サバトちゃん
016.stcm2 0x120b0 「あばばばばばばばば！！！」
016.stcm2 0x122e0 水中で入れられたドゥリンダルテのスイッチ。
016.stcm2 0x12338 電気は水を伝い、僕とサバトちゃんの身体を駆
016.stcm2 0x12390 け抜けました。
016.stcm2 0x125cc サバトちゃん
016.stcm2 0x12608 「けほっ！　けほっ！」
016.stcm2 0x126b4 「う、うう……はぁ、ぁ……」
016.stcm2 0x127cc 電気が過ぎ去ってなお走る痛み。その激しい痛
016.stcm2 0x12824 みが、皮肉にも僕がまだ生きていることを教え
016.stcm2 0x1287c てくれていました。
016.stcm2 0x12924 「……サ、サバトちゃん。プールに、それは……
016.stcm2 0x12980 持ってきちゃ、だめ、です……」
016.stcm2 0x12c6c 僕はベノムちゃんが心配でした。ザンスが来て
016.stcm2 0x12cc4 しまいましたし、まだここを離れるわけにもい
016.stcm2 0x12d1c かないようです。
016.stcm2 0x12dc4 「静希ちゃん、先に戻っててくれる？」
016.stcm2 0x12fb0 静希ちゃん
016.stcm2 0x12fe8 「うん。ベノムちゃん、私戻るけど、がんばっ
016.stcm2 0x13274 ベノムちゃん
016.stcm2 0x132b0 「はい、ありがとうございます、静希殿！　必
016.stcm2 0x13308 ずや、ご期待に……！」
016.stcm2 0x1335c 再び、ベノムちゃんの声がプールに反響。僕と
016.stcm2 0x133b4 静希ちゃんはもう一度顔を見合わせます。
016.stcm2 0x13500 静希ちゃん
016.stcm2 0x13538 「ベノムちゃん、声……！」
016.stcm2 0x13678 ベノムちゃん
016.stcm2 0x136b4 「も、申し訳ないであります……」
016.stcm2 0x13714 どうもこのあたりは、ベノムちゃんの真面目さ
016.stcm2 0x1376c がアダになっているようです。
016.stcm2 0x138e4 「それじゃあ静希ちゃん、またあとで」
016.stcm2 0x13a30 静希ちゃん
016.stcm2 0x13a68 「うん……でも桜くん、１人で大丈夫？」
016.stcm2 0x13b24 「大丈夫だよ、任せて？」
016.stcm2 0x13b7c 僕は心配げな表情の静希ちゃんに、胸を張って
016.stcm2 0x13bd4 言いました。だって、１人でできるもん。
016.stcm2 0x13e28 「そうザンス。桜くんは１人じゃないザンスよ。
016.stcm2 0x13e84 いつでもミィがついてるから、大丈夫ザンスよ」
016.stcm2 0x14008 「ザンスさん。本当に不本意ではありますが、
016.stcm2 0x14060 静希ちゃんと一緒にみんなのところに戻ってく
016.stcm2 0x140b8 れますか？　いえ、できれば帰ってください！」
016.stcm2 0x14214 「できない相談ザンス」
016.stcm2 0x142e8 「調子に乗るな！」
016.stcm2 0x14638 「アーウチ！」
016.stcm2 0x148d8 ドッポーーーンッ！
016.stcm2 0x149a8 僕は手近にあったプールに、ザンスを蹴り入れ
016.stcm2 0x14a00 ました。
016.stcm2 0x14a48 できれば重石を付けてから沈めたかったところ
016.stcm2 0x14aa0 ですが、手持ちがなかったのが悔やまれます。
016.stcm2 0x14b60 「まったく、僕たちが騒いでどうするんだ……」
016.stcm2 0x14d7c ベノムちゃん
016.stcm2 0x14db8 「桜殿、やきそばは大丈夫でありますか？」
016.stcm2 0x14e78 「やきそば……ッ！？　……ああ、ドクロちゃ
016.stcm2 0x14ed0 んの話だよね、びっくりした（ほっ）」
016.stcm2 0x14f34 気が付くと、ベノムちゃんが僕の後ろに立って
016.stcm2 0x14f8c いました。
016.stcm2 0x14fd4 てっきり、ベノムちゃんまで変なことを言い出
016.stcm2 0x1502c すようになってしまったのかと思いましたが、
016.stcm2 0x15084 そうではなかったようです。
016.stcm2 0x150dc 僕は、ふとしたはずみにベノムちゃんの手に触
016.stcm2 0x15134 れてしまわないように、距離に注意しながら言
016.stcm2 0x1518c 葉を返しました。
016.stcm2 0x15234 「たぶん、大丈夫だとは思うけど」
016.stcm2 0x152bc 僕の頼みの綱は、宮本です。アイツがしっかり
016.stcm2 0x15314 していてくれれば、きっと今ごろは、やきそば
016.stcm2 0x1536c を片づけてくれていることでしょう。
016.stcm2 0x154b4 ベノムちゃん
016.stcm2 0x154f0 「なるほど。確かに、やきそばプールというの
016.stcm2 0x15548 も、それはそれで……」
016.stcm2 0x1561c 「確かに、じゃないよ！　僕はそんな理由で大
016.stcm2 0x15674 丈夫って言ったんじゃないから！　だめだよ、
016.stcm2 0x156cc そんな食品の中を泳いだりしちゃ！」
016.stcm2 0x1576c なんか、ベノムちゃんの言葉を聞いていたら、
016.stcm2 0x157c4 急にやきそばプールが心配になってきました。
016.stcm2 0x1582c 宮本……信じて、いいんだよな？
016.stcm2 0x15998 ベノムちゃん
016.stcm2 0x159d4 「それでは、自分はそろそろドクロ殿の調査に
016.stcm2 0x15a2c 入るであります」
016.stcm2 0x15ad4 「マ、マイペース……！」
016.stcm2 0x15b2c 僕の驚きに気付いた風でもなく、ベノムちゃん
016.stcm2 0x15b84 は自分が着ている水着を眺めながら、つぶやき
016.stcm2 0x15d08 ベノムちゃん
016.stcm2 0x15d44 「……それにしても、ドクロ殿たちも着ていらっ
016.stcm2 0x15da0 しゃる、この【スクール水着】というものは、
016.stcm2 0x15df8 なかなか興味深いものでありますな」
016.stcm2 0x15eb0 「え……そうなの？」
016.stcm2 0x15f04 スクール水着に興味深いのは、男の子だけだと
016.stcm2 0x15f5c ばかり思っていました。
016.stcm2 0x16098 ベノムちゃん
016.stcm2 0x160d4 「はい。少なくとも、スーヴェリージュでは見
016.stcm2 0x1612c たことがないであります。水中での活動に適し
016.stcm2 0x16184 た形状が、とても合理的であります」
016.stcm2 0x161e4 確かに、スクール水着は機能性重視です。【水
016.stcm2 0x1623c 中での活動に適した】というのはスクール水着
016.stcm2 0x16294 だけでもない気がしますが。
016.stcm2 0x162ec スクール水着は人類の英知の結晶。それを身に
016.stcm2 0x16344 着けることは、女の子の誰もが通る道。千里の
016.stcm2 0x1639c 道も１歩からなら、すべての道はローマに通ず！
016.stcm2 0x16408 今ベノムちゃんは、なるほどその道に遅ればせ
016.stcm2 0x16460 ながらも、１歩を踏み出したことになるのです。
016.stcm2 0x165b4 ベノムちゃん
016.stcm2 0x165f0 「これは……そうでありますな、一応、スーヴェ
016.stcm2 0x1664c リージュへの報告事項に入れておくであります」
016.stcm2 0x166b8 そう言って、ベノムちゃんはどこから取り出し
016.stcm2 0x16710 たのか、紙とペンで報告書を作りはじめてしま
016.stcm2 0x16768 いました。
016.stcm2 0x16808 「ああっ、ベノムちゃん！　報告は光じゃない
016.stcm2 0x16860 のですか？　ドクロちゃんがどこかへ行ってし
016.stcm2 0x168b8 まいますよ！？」
016.stcm2 0x16908 調査を開始すると言ったばかりなのに、もう別
016.stcm2 0x16960 のことをはじめてしまいました。
016.stcm2 0x169bc ベノムちゃんはもしかして、一度にたくさんの
016.stcm2 0x16a14 ことはできないタイプですか？
016.stcm2 0x16a70 ベノムちゃんはぶつぶつと、報告の内容を口に
016.stcm2 0x16ac8 出しながら、ペンを走らせます。僕の声は聞こ
016.stcm2 0x16b20 えていないようです。
016.stcm2 0x16c5c ベノムちゃん
016.stcm2 0x16c98 「しかし、スクール水着の性能はとどまるとこ
016.stcm2 0x16cf0 ろを知らず……スーヴェリージュでの採用を、
016.stcm2 0x16d48 強く希望するものであります」
016.stcm2 0x16e18 「報告する内容もなんか大げさだ……」
016.stcm2 0x16ed8 ベノムちゃんがひとしきり報告書を作り終える
016.stcm2 0x16f30 まで、僕はそこを離れられませんでした。
016.stcm2 0x17280 第３話　後半に入ったね
016.stcm2 0x1750c ドクロちゃん
016.stcm2 0x17548 「きゃうっ！　桜くん、あぶないっ！！」
016.stcm2 0x17ab0 めぎょりッ！
016.stcm2 0x17afc 炸裂するアッパースイング。重力に逆らった振
016.stcm2 0x17b54 り上げは、しかし僕の命を吹き消すのに充分な
016.stcm2 0x17bac 威力を持っていました。
016.stcm2 0x17ea0 僕の肉体はまるで交通事故にでもあってしまっ
016.stcm2 0x17ef8 たかのように、劇的に宙に舞います。
016.stcm2 0x17f58 その光景は見る者すべての目に、
016.stcm2 0x17fa4 スローモーションとして映ったことでしょう。
016.stcm2 0x1800c 僕は流れるプールに【ボチャンッ！】
016.stcm2 0x1805c 水を赤く染めてしまいます。そんな赤潮じみた
016.stcm2 0x180b4 水の領域は下流へと伸びていきました。
016.stcm2 0x18118 僕はあられもない姿をさらけ出しながら、この
016.stcm2 0x18170 プールを赤い地獄絵図へとぬり替えていったの
016.stcm2 0x18460 ドクロちゃん
016.stcm2 0x1849c 「だめ！　桜くんが【血の池プール】のシンボ
016.stcm2 0x184f4 ルになっちゃうっ！」
016.stcm2 0x18548 ドクロちゃんは水にぬれた鋼鉄バットを逆手に
016.stcm2 0x185a0 持つと、水を切るためか、僕を復活させるため
016.stcm2 0x185f8 か、それを超速回転させるのです。
016.stcm2 0x18784 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
016.stcm2 0x18984 回転するバットから飛ぶ水しぶき。そんなしぶ
016.stcm2 0x189dc きの１つ１つには、魔法のやさしさがこめられ
016.stcm2 0x18a34 ていました。
016.stcm2 0x18b00 しぶきが降りかかった僕の身体が、プールに突
016.stcm2 0x18b58 如として発生した赤潮を【ズゴゴゴゴゴゴ】と
016.stcm2 0x18bb0 吸入し始めます。
016.stcm2 0x18efc 次第に赤潮は引き、プールは平穏を取り戻そう
016.stcm2 0x18f54 としていました。
016.stcm2 0x18fa4 僕もまた失ってしまったものを取り戻し、そし
016.stcm2 0x18ffc て、再び命を得た僕はそこから【ザパァッ！】
016.stcm2 0x19054 と立ち上がるのです……！
016.stcm2 0x1930c 「ドクロちゃん。【エスカリ・レスキュー】は
016.stcm2 0x19364 もうやめよう？　全然、救助できてないでしょ」
016.stcm2 0x193d0 【エスカリ・レスキュー】とはドクロちゃんが、
016.stcm2 0x1942c ついさっき、その場のノリで考えた遊びです。
016.stcm2 0x19494 ルールは簡単。プールの中にいる【おぼれ役】
016.stcm2 0x194ec を【レスキュー役】が引き上げるだけです。
016.stcm2 0x19554 シンプルなルールの中にも、奥深い楽しみが隠
016.stcm2 0x195ac れているのかと思いきや、第１印象の通り、幼
016.stcm2 0x19604 児用プールよりも底の浅い遊びでした。
016.stcm2 0x19750 ドクロちゃん
016.stcm2 0x1978c 「桜くんがうまくつかまないのが悪いんだもん」
016.stcm2 0x19850 「助からないのは救助を求めた人が悪いって、
016.stcm2 0x198a8 どんなレスキュー隊員なの、それ！？」
016.stcm2 0x19964 「っていうか、エスカリボルグのとげとげの方
016.stcm2 0x199bc を差し出して【コレにつかまって！】とか言わ
016.stcm2 0x19a14 ないでよ！　無理だから！」
016.stcm2 0x19a6c そうなのです。先ほどの撲殺は、差し出された
016.stcm2 0x19ac4 バットを僕がつかめずにいたことに、ドクロちゃ
016.stcm2 0x19b20 んがガマンできなくなったから行われたのです。
016.stcm2 0x19b8c 彼女は金魚すくいよろしく、僕をすくい上げよ
016.stcm2 0x19be4 うとしたのでしょうが、いかんせん加減のきか
016.stcm2 0x19c3c ない天使の女の子のこと。
016.stcm2 0x19c94 すくうべき金魚、もとい救うべき僕を、いとも
016.stcm2 0x19cec たやすくぶっ飛ばしてしまったのです。
016.stcm2 0x19e38 ドクロちゃん
016.stcm2 0x19e74 「もう、そうやって、ボクのどこにつかまろう
016.stcm2 0x19ecc としてるのっ？」
016.stcm2 0x19f74 「腕だよ、腕！　そもそも、名前が良くない！
016.stcm2 0x19fcc 【エスカリ・レスキュー】って、明らかにエス
016.stcm2 0x1a024 カリボルグが出てくる予感はしてました！」
016.stcm2 0x1a08c それでもレスキューなのです、人工呼吸とか、
016.stcm2 0x1a0e4 奥深いのがあるじゃないですか！　そこに期待
016.stcm2 0x1a13c したのに……そこに期待したのに！
016.stcm2 0x1a1f4 「とにかく……もうやらないからね」
016.stcm2 0x1a354 僕がドクロちゃんから離れると、静希ちゃんが
016.stcm2 0x1a3ac 小鳥のような声でささやきました。
016.stcm2 0x1a5d4 静希ちゃん
016.stcm2 0x1a60c 「桜くん。私、ベノムちゃんの様子見てくる」
016.stcm2 0x1a6cc 「うん、わかった」
016.stcm2 0x1a71c 必要最小限のやり取りで、必要な情報を交換し
016.stcm2 0x1a774 た僕たちは、それ以上お互いの姿に視線を送る
016.stcm2 0x1a7cc こともなく離れました。
016.stcm2 0x1a890 静希ちゃんはすたすたと、誰に見られることも
016.stcm2 0x1a8e8 なくベノムちゃんの元に向かったのです。なら
016.stcm2 0x1a940 ば、僕は僕の責任を果たしましょう。
016.stcm2 0x1a9a0 僕は再び、ドクロちゃんに視線を送ります。
016.stcm2 0x1ac5c ドクロちゃん
016.stcm2 0x1ac98 「ちぇすとーーーーー！！」
016.stcm2 0x1afe4 ザパーーーーーーーンッ！！
016.stcm2 0x1b314 「桜ァー！！　ドクロちゃんを止めろーーッ！」
016.stcm2 0x1b3d8 ドクロちゃんは今、手刀でプールの水を真っ二
016.stcm2 0x1b430 つに割っている最中でした。
016.stcm2 0x1b488 どこでそんな遊びを覚えて来たのでしょう。
016.stcm2 0x1b534 ……アレの応用でしょうか？
016.stcm2 0x1b58c 宮本の叫びが聞こえた気がしますが、僕は無視
016.stcm2 0x1b5e4 します。ドクロちゃんのことを、なんでもかん
016.stcm2 0x1b63c でも僕に押し付けるのが彼の悪いクセです。
016.stcm2 0x1b6a4 はしゃぐドクロちゃんを横目で眺めつつ、僕は
016.stcm2 0x1b6fc プールサイドにいるザクロちゃんに声をかけま
016.stcm2 0x1b9b8 「ドクロちゃん、はしゃいでるね」
016.stcm2 0x1bafc ザクロちゃん
016.stcm2 0x1bb38 「はい。おかげさまで、おねえさまもいい気分
016.stcm2 0x1bb90 転換になっていると思います」
016.stcm2 0x1bc44 「ドクロちゃんが気分転換？」
016.stcm2 0x1bca0 今さらな気がします。だって、ドクロちゃんは、
016.stcm2 0x1bcfc いつも気分転換しかしてない気がするのですか
016.stcm2 0x1bd98 そんな、改まってするようなことでもないと思
016.stcm2 0x1bdf0 うのです。
016.stcm2 0x1bf20 ザクロちゃん
016.stcm2 0x1bf5c 「おねえさまも近ごろはベノムさんにおびえて、
016.stcm2 0x1bfb8 毎日を細々と暮らしていましたから」
016.stcm2 0x1c070 「あれで細々！？　ドクロちゃん、昨日の晩御
016.stcm2 0x1c0c8 飯のとき、僕のカレーのお肉を全部食べちゃっ
016.stcm2 0x1c120 たくらい元気ですよ！？」
016.stcm2 0x1c178 激突するスプーンとスプーン。火花を散らした、
016.stcm2 0x1c1d4 スプーンの頂上決戦はドクロちゃんに軍配。
016.stcm2 0x1c23c 僕のお肉は、戦利品としてドクロちゃんに食べ
016.stcm2 0x1c294 られてしまったのです。
016.stcm2 0x1c2e8 それにしてもさすがは、ザクロちゃんです。
016.stcm2 0x1c350 プールに来ていても、ベノムちゃんのことを
016.stcm2 0x1c3a8 忘れていません。
016.stcm2 0x1c4fc ザクロちゃん
016.stcm2 0x1c538 「ベノムさんもいらっしゃれば良かったのです
016.stcm2 0x1c590 が、おねえさまがあんな状態ですので……」
016.stcm2 0x1c5f8 スルドイッ！
016.stcm2 0x1c69c 「そ、そうだね……ベノムちゃんも来られた
016.stcm2 0x1c798 そのときでした。
016.stcm2 0x1cb78 サバトちゃん
016.stcm2 0x1cbb4 「あああ！！　あ、あれは……！」
016.stcm2 0x1cc14 サバトちゃんが上げた、驚きの声。そしてサバ
016.stcm2 0x1cc6c トちゃんの視線の先には、
016.stcm2 0x1cecc ベノムちゃん……！
016.stcm2 0x1cf74 「うわ、な、なんで……！」
016.stcm2 0x1d090 サバトちゃん
016.stcm2 0x1d0cc 「なんでベノムちゃんがここにいるんですぅ？」
016.stcm2 0x1d138 僕の言葉をつなぐように大きな声を上げたのは、
016.stcm2 0x1d194 サバトちゃんでした。
016.stcm2 0x1d1e8 サバトちゃんはあわてた様子で、その瞳はふる
016.stcm2 0x1d240 ふると震えています。
016.stcm2 0x1d294 その様子は、まるで健康診断に臨む直前のとき
016.stcm2 0x1d2ec のようでした。
016.stcm2 0x1d500 ザクロちゃん
016.stcm2 0x1d53c 「ベノムさん！　まさか、いらしていたのです
016.stcm2 0x1d5dc ザクロちゃんもまた、驚きを隠さずにつぶやき
016.stcm2 0x1d634 ました。
016.stcm2 0x1d868 サバトちゃん
016.stcm2 0x1d8a4 「しかも……ベノムちゃんはミーミングを
016.stcm2 0x1d8f8 持ってるですぅ！」
016.stcm2 0x1dad4 ザクロちゃん
016.stcm2 0x1db10 「な、なんてことでしょう……」
016.stcm2 0x1db6c そうでした。あまりに自然なので、僕もすっか
016.stcm2 0x1dbc4 り忘れてしまっていたようです。
016.stcm2 0x1dc20 見れば、水着に着替えた今もベノムちゃんの腰
016.stcm2 0x1dc78 にはポイズン蠱毒壺【ミーミング】がさげられ
016.stcm2 0x1dcd0 ているじゃないですか！
016.stcm2 0x1df60 「おい、桜。なにを騒いでるんだ？」
016.stcm2 0x1e018 「いや、なんでもない。宮本は気にせず、楽し
016.stcm2 0x1e070 んでてくれ」
016.stcm2 0x1e1a8 「おい、なにがあったんだよ……って、あれは、
016.stcm2 0x1e204 ベノムちゃん？」
016.stcm2 0x1e2ac 「宮本、おまえは知らない方がいいんだ」
016.stcm2 0x1e310 僕は宮本を手で制します。それは、今日の僕が
016.stcm2 0x1e368 【ベノムちゃん係】だからです。
016.stcm2 0x1e41c 宮本は僕の迫力に納得したのか、下がりました。
016.stcm2 0x1e478 これで、親友の身の心配はせずに済みそうです。
016.stcm2 0x1e53c 「ベノムちゃんはもしかして、プールに入ろう
016.stcm2 0x1e594 としてるのかな……？」
016.stcm2 0x1e770 サバトちゃん
016.stcm2 0x1e7ac 「ミーミングを持ったベノムちゃんがプールに
016.stcm2 0x1e804 入ったら、大変なことになるですぅ！」
016.stcm2 0x1e8c0 「ど、どうなるの……？」
016.stcm2 0x1eb08 ザクロちゃん
016.stcm2 0x1eb44 「恐らく……ミーミングの毒が水に溶け出して、
016.stcm2 0x1eba0 そのプールに入っている方全員に、ミーミング
016.stcm2 0x1ebf8 の効果が及ぼされるのではないかと」
016.stcm2 0x1ecb0 「……それはあぶなすぎる！」
016.stcm2 0x1edc4 そして、ついに露見するのです。
016.stcm2 0x1efc4 ドクロちゃん
016.stcm2 0x1f000 「ベノム……ちゃん？」
016.stcm2 0x1f0ac 「しまった……ッ！」
016.stcm2 0x1f100 ドクロちゃんの視線の先にはベノムちゃん。こ
016.stcm2 0x1f158 こまで順調だったのに、ついにドクロちゃんに
016.stcm2 0x1f1b0 気付かれてしまいました。
016.stcm2 0x1f2c8 次の瞬間にゆらりと立ちのぼる殺気は、なぜか
016.stcm2 0x1f320 僕に向けられます。
016.stcm2 0x1f370 ……いえ。【なぜか】ではありません。ドクロ
016.stcm2 0x1f3c8 ちゃんにとって、僕はワナにはめた張本人なの
016.stcm2 0x1f420 ですから。
016.stcm2 0x1f5b8 ドクロちゃん
016.stcm2 0x1f5f4 「桜くん、ボクをだましたの？　ベノムちゃん
016.stcm2 0x1f64c に頼まれて、ボクをここに呼び出したんだね？」
016.stcm2 0x1f6b8 バレた！？　ドクロちゃんってば、アホ天使の
016.stcm2 0x1f710 くせにこんなときに限って、察しが良すぎます！
016.stcm2 0x1f7d4 「そ、そんなことはしてないよ？　ちょ、ちょっ
016.stcm2 0x1f830 とまって！　エスカリボルグはしまって！？
016.stcm2 0x1f888 なぜなら、今はそれどころじゃないから！」
016.stcm2 0x1f94c そのとき、僕のピンチを救う女神の声。
016.stcm2 0x1fb60 静希ちゃん
016.stcm2 0x1fb98 「桜くん！　ベノムちゃんが……！」
016.stcm2 0x1fc50 「し、静希ちゃんどうしたの？」
016.stcm2 0x1fcac ベノムちゃんの様子を見に行ったはずの静希ちゃ
016.stcm2 0x1fd08 んが、駆け戻ってきました。
016.stcm2 0x1fe48 静希ちゃん
016.stcm2 0x1fe80 「ベノムちゃんが、実際に水に入って、水着を
016.stcm2 0x1fed8 試すって言って……」
016.stcm2 0x2002c 「そんな……まだ、報告書を作ってたの？」
016.stcm2 0x20094 さっき、ベノムちゃんがペンを走らせて書いて
016.stcm2 0x200ec いた、スクール水着に関する報告書。
016.stcm2 0x2014c 完成のため、これから、実験に入るということ
016.stcm2 0x201a4 なのでしょうか。
016.stcm2 0x20290 「な、なんの話なの、それは！？」
016.stcm2 0x202f0 水着を試すって……。
016.stcm2 0x203f8 「ベノムちゃん、目的が変わっちゃってるよ！」
016.stcm2 0x20464 僕はベノムちゃんに突進です。
016.stcm2 0x206ec ベノムちゃん
016.stcm2 0x20728 「桜殿、少々おまちください。この【スクール
016.stcm2 0x20780 水着】なるものの性能を、先に調査してみるで
016.stcm2 0x207d8 あります」
016.stcm2 0x20878 「お願いします！　ベノムちゃん聞いてくださ
016.stcm2 0x20af4 静希ちゃん
016.stcm2 0x20b2c 「だめなの……私も説得したんだけど、聞いて
016.stcm2 0x20b84 くれなくて」
016.stcm2 0x20c28 「くぅぅ、つかみかかって止めるには危険すぎ
016.stcm2 0x20c80 る相手だし……ミーミングを持ったままプール
016.stcm2 0x20cd8 に入っちゃったら、大変なことになるよ」
016.stcm2 0x20e24 静希ちゃん
016.stcm2 0x20e5c 「なにかでベノムちゃんの気を引ければ……」
016.stcm2 0x20f1c 「と言っても、ベノムちゃんの気を引けるもの
016.stcm2 0x20f74 なんて心当たりが……」
016.stcm2 0x21068 ドクロちゃん
016.stcm2 0x210a4 「きゃははははははははははははは！」
016.stcm2 0x21160 「な、なに！？　この声、ドクロちゃん！？」
016.stcm2 0x211c8 いきなり、奇声が聞こえました。これはなんな
016.stcm2 0x21220 のでしょう。
016.stcm2 0x21294 これは……笑い声に聞こえます。それもとびき
016.stcm2 0x212ec り、楽しそうな。
016.stcm2 0x2133c 辺りを見回すと、プールサイドにしゃがんでい
016.stcm2 0x21394 るドクロちゃんを発見しました。
016.stcm2 0x213f0 今はドクロちゃんより、ベノムちゃんの方が重
016.stcm2 0x21448 要な気もしますが、奇声を上げるドクロちゃん
016.stcm2 0x214a0 も怖いので、確かめてみることにします。
016.stcm2 0x2155c 「ド、ドクロちゃん、なにやってるのかな？」
016.stcm2 0x215c4 僕が問いかけると、ドクロちゃんは立ち上がっ
016.stcm2 0x2161c て、僕に向かい合いました。
016.stcm2 0x21820 ドクロちゃん
016.stcm2 0x2185c 「トランプやってるのっ。桜くんもやろうよ！
016.stcm2 0x218b4 接戦で、すっごいおもしろいよ」
016.stcm2 0x219a8 「……トランプぅ？」
016.stcm2 0x219fc ついさっき僕を撲殺しようとしたばかりなのに、
016.stcm2 0x21a58 いきなりトランプで遊んでいるとは、なんとも
016.stcm2 0x21ab0 いいかげんです。
016.stcm2 0x21b00 しかし、なんでこの子は、プールにトランプを
016.stcm2 0x21b58 持ってきているのでしょうか。
016.stcm2 0x21bb4 ドクロちゃんの対戦相手らしき人の姿は見あた
016.stcm2 0x21c0c りません。１人でやって接戦、しかも接戦で爆
016.stcm2 0x21c64 笑とは……どんなゲームでしょう。
016.stcm2 0x21cc4 ドクロちゃんの足下にあるのは、どこからどう
016.stcm2 0x21d1c 見てもトランプです。そして、僕を誘うドクロ
016.stcm2 0x21d74 ちゃんは【してやったり】とばかりにニコニコ。
016.stcm2 0x21de0 しかし、トランプ……これはアリかもしれませ
016.stcm2 0x21e38 ん。事実、僕はドクロちゃんの笑い声にひかれ
016.stcm2 0x21e90 て様子を見に来てしまったわけですから。
016.stcm2 0x21f4c 「――これだッ！！　ドクロちゃん、僕もトラ
016.stcm2 0x21fa4 ンプに混ぜてよ！　みんな、ちょっと来て！
016.stcm2 0x21ffc ここで、トランプをやろう！」
016.stcm2 0x220b4 僕が声をかけると、みんなが近づいてきました。
016.stcm2 0x22120 静希ちゃん以外、一様に不思議そうな表情でし
016.stcm2 0x22178 たが、僕は見ました。
016.stcm2 0x22354 ベノムちゃん
016.stcm2 0x22390 「トランプ……？」
016.stcm2 0x2243c ベノムちゃんが、こちらに興味を持ったのです。
016.stcm2 0x22498 あとは、ゲームをしてベノムちゃんをこっちに
016.stcm2 0x224f0 引きつけることだけです。
016.stcm2 0x22d88 ベノムちゃんは、すっかりスクール水着より
016.stcm2 0x22de0 トランプに興味をひかれました。
016.stcm2 0x22e3c ゲームが終わっても、ベノムちゃんはトランプ
016.stcm2 0x22e94 と向き合ってうなっています。
016.stcm2 0x22f48 「ど、どうかな、ベノムちゃん？
016.stcm2 0x22f94 プールよりもこっちの方がおもしろいよ？」
016.stcm2 0x23184 ベノムちゃん
016.stcm2 0x231c0 「確かに、これは興味深いものでありますな……
016.stcm2 0x2321c ですが、自分には……」
016.stcm2 0x23270 そのとき、救いの手を差し伸べてくれたのは、
016.stcm2 0x232c8 ザクロちゃんでした。
016.stcm2 0x2350c ザクロちゃん
016.stcm2 0x23548 「ベノムさん、プールはまたいつでも来ること
016.stcm2 0x235a0 ができますよ。今はトランプを調査してみては
016.stcm2 0x235f8 いかがでしょうか」
016.stcm2 0x23730 ベノムちゃん
016.stcm2 0x2376c 「な、なるほど……それでは、少々失礼するで
016.stcm2 0x237c4 あります」
016.stcm2 0x23864 「ええっ？　それで、納得するんだ……」
016.stcm2 0x23924 ベノムちゃんはトランプを持って、もともと隠
016.stcm2 0x2397c れていた場所に戻っていきました。
016.stcm2 0x23a44 それを見て、僕は息をもらしました。
016.stcm2 0x23afc 「ともかく、助かったよ。ありがとう、ザクロ
016.stcm2 0x23b54 ちゃん」
016.stcm2 0x23cac ザクロちゃん
016.stcm2 0x23ce8 「いえ、それは良いのですが、ご説明をお願い
016.stcm2 0x23d40 できますでしょうか？」
016.stcm2 0x23f84 サバトちゃん
016.stcm2 0x23fc0 「なんで、ベノムちゃんがいたんですぅ？」
016.stcm2 0x24080 「ええと、話せば長くなるんだけど……」
016.stcm2 0x24324 静希ちゃん
016.stcm2 0x2435c 「桜くん、ごめんね。私が失敗しちゃって……」
016.stcm2 0x24420 「ううん、静希ちゃんのせいじゃないから。気
016.stcm2 0x24478 にしないで？」
016.stcm2 0x244c4 見れば静希ちゃんは、申し訳なさそうに目を伏
016.stcm2 0x2451c せてしまっています。僕は静希ちゃんにそんな
016.stcm2 0x24574 顔、させたくないのです。
016.stcm2 0x24624 「ちょっとザクロちゃんとサバトちゃんに事情
016.stcm2 0x2467c を説明するから、ドクロちゃんをお願い。宮本
016.stcm2 0x246d4 も、頼む」
016.stcm2 0x24848 静希ちゃんと宮本はうなずいて、ドクロちゃん
016.stcm2 0x248a0 の方に向かっていきました。
016.stcm2 0x24bb8 そして、僕の周りにはザクロちゃんとサバトちゃ
016.stcm2 0x24c14 んが残りました。
016.stcm2 0x24cbc 「えーと、ごめんね、ザクロちゃんと
016.stcm2 0x24d0c サバトちゃんには秘密にしていたんだけど……」
016.stcm2 0x24eb0 ザクロちゃん
016.stcm2 0x24eec 「なるほど。静希さんと協力して、おねえさま
016.stcm2 0x24f44 の健康状態を、外見的要素からチェックしよう
016.stcm2 0x24f9c と思ったわけですか」
016.stcm2 0x25048 「……はい」
016.stcm2 0x25094 僕は、２人にみんなをプールに誘ったいきさつ、
016.stcm2 0x250f0 ベノムちゃんの目的などを話しました。
016.stcm2 0x25154 ひと通り話し終えると、それまで黙って聞き役
016.stcm2 0x251ac に徹してくれていたザクロちゃんが口を開きま
016.stcm2 0x25248 それを話に参加する合図と見たのか、サバトちゃ
016.stcm2 0x252a4 んも身を乗り出すように話しはじめます。
016.stcm2 0x253f0 サバトちゃん
016.stcm2 0x2542c 「それなら、教えておいてくれればよかった
016.stcm2 0x25484 ですぅ」
016.stcm2 0x255b4 ザクロちゃん
016.stcm2 0x255f0 「そうですね。わたくしたちもお手伝いができ
016.stcm2 0x25648 たかと思うのですが……」
016.stcm2 0x25738 「ごめんね。どこから情報がもれるかわからな
016.stcm2 0x25790 いと思って、知る人自体を最小限にしたかった
016.stcm2 0x25914 ザクロちゃん
016.stcm2 0x25950 「……そういうことでしたら、仕方がないかも
016.stcm2 0x259a8 しれませんね」
016.stcm2 0x25adc サバトちゃん
016.stcm2 0x25b18 「はうぅ、でも、もうナイショはやめてほしい
016.stcm2 0x25b70 ですぅ」
016.stcm2 0x25c2c 「ごめんね。多分もう大丈夫だから、遊ぼっか」
016.stcm2 0x25c98 僕の提案に、ザクロちゃんがほほえみます。
016.stcm2 0x25e0c ザクロちゃん
016.stcm2 0x25e48 「そうですね、せっかくですから、楽しみましょ
016.stcm2 0x25fa0 そう言って、僕たちは静希ちゃんとドクロちゃ
016.stcm2 0x25ff8 んが待つプールへと戻っていきました。
016.stcm2 0x26494 静希ちゃん
016.stcm2 0x264cc 「きゃあっ！　もう、ドクロちゃん」
016.stcm2 0x26644 ザパァッ！　と水しぶきが上がります。
016.stcm2 0x26860 その水を巻き上げるのはドクロちゃん。幼い笑
016.stcm2 0x268b8 顔を浮かべたまま、ご機嫌に僕たちに水をかけ
016.stcm2 0x26910 ようとしてきます。
016.stcm2 0x26960 ベノムちゃんの存在に気付いてしまったドクロ
016.stcm2 0x269b8 ちゃんですが、ベノムちゃんを気にしている様
016.stcm2 0x26a10 子はありません。……本当によかったです。
016.stcm2 0x26b60 ドクロちゃん
016.stcm2 0x26b9c 「ザクロちゃんとサバトちゃんも行くよっ！
016.stcm2 0x26bf4 それっ！　それっ！」
016.stcm2 0x26d60 再び、ザパァッ！
016.stcm2 0x270f4 サバトちゃん
016.stcm2 0x27130 「きゃぁっ、ドクロちゃん、やったですねぇ！」
016.stcm2 0x27280 ザクロちゃん
016.stcm2 0x272bc 「おねえさまってば、またはしゃいで……ふふ」
016.stcm2 0x27568 静希ちゃん
016.stcm2 0x275a0 「ドクロちゃんも……ほらっ」
016.stcm2 0x2793c ドクロちゃん
016.stcm2 0x27978 「きゃあっ、冷たい！」
016.stcm2 0x27ae8 「ドクロちゃん、温水プールだよ。
016.stcm2 0x27b38 冷たくはないでしょ？」
016.stcm2 0x27c4c 僕の言葉に、ドクロちゃんが振り返ります。一
016.stcm2 0x27ca4 瞬のギラリとした眼光と、タメ。
016.stcm2 0x27e04 ドクロちゃん
016.stcm2 0x27e40 「桜くんも！　それーーー！！」
016.stcm2 0x2801c ドクロちゃんが巻き上げた水は、濁流のごとく
016.stcm2 0x28074 僕を押し流し――。
016.stcm2 0x28230 ザパァァァァァァンッ！！
016.stcm2 0x28320 「ぐああああああぁぁ――ッ！」
016.stcm2 0x2837c 僕は高波に飲まれ、そのまま波にもてあそばれ
016.stcm2 0x283d4 るようにしてプールサイドに打ち揚げられまし
016.stcm2 0x284b0 高波が引くと、プールサイドにはうずくまる僕。
016.stcm2 0x2850c プールから向けられるみんなの視線にさらされ
016.stcm2 0x28564 ています。
016.stcm2 0x28830 ドクロちゃん
016.stcm2 0x2886c 「桜くん、すっごーーーい！
016.stcm2 0x288b4 波に乗って、どこまでも行けそうだよっ！」
016.stcm2 0x28a74 「僕はすごくない！　すごいのはドクロちゃん！
016.stcm2 0x28ad0 なんでみんなと同じ威力で水をかけてくれない
016.stcm2 0x28b28 の！？　なんか僕だけ超厳しいよ！」
016.stcm2 0x28e44 ドクロちゃん
016.stcm2 0x28e80 「きゃはっ。静希ちゃんにもう１回、それー！」
016.stcm2 0x29044 「こらアホ天使、聞くんだ！　これは
016.stcm2 0x29094 プールだけの話じゃないんですからね！」
016.stcm2 0x290f8 既に、ドクロちゃんの興味の対象は僕ではなく
016.stcm2 0x29150 なっていました。
016.stcm2 0x291a0 そして、ドクロちゃんに気を取られた瞬間に飛
016.stcm2 0x291f8 んでくる、もう１つの水しぶき。
016.stcm2 0x2952c 「おら、桜！　くらいやがれ！」
016.stcm2 0x29868 「どはっ！　……鼻！　鼻に水が入った！
016.stcm2 0x298bc おい、宮本ぉ！　なんで、今さら僕に追い打ち
016.stcm2 0x29914 をかけるんだ！？」
016.stcm2 0x29c1c 「悪い悪い。桜がぼーっとしてたからさ。
016.stcm2 0x29c70 こういうのは、油断する方が悪いだろ？」
016.stcm2 0x29e28 「おのれ、それならば宮本もぼーっとしろ！
016.stcm2 0x29e80 きついのをお見舞いしてやる！」
016.stcm2 0x2a014 僕は宮本に近寄るべく再びプールに入り、そこ
016.stcm2 0x2a06c で再び僕にかかる水しぶき。
016.stcm2 0x2a28c 「うわっ！　だ、誰……ッ？」
016.stcm2 0x2a2e8 振り返る僕と、
016.stcm2 0x2a6a0 静希ちゃん
016.stcm2 0x2a6d8 「あははっ、桜くん、おかしい」
016.stcm2 0x2a734 ほほえむ女神――。
016.stcm2 0x2a804 「静希ちゃん……」
016.stcm2 0x2a854 恋人大原則、ひとつ！　恋人同士は海やプール
016.stcm2 0x2a8ac に行ったならば、水をかけ合うべし！
016.stcm2 0x2a90c 僕は、胸の奥がじーんと熱くなってくるのを感
016.stcm2 0x2a964 じました。もちろん、感動のあまりです。
016.stcm2 0x2a9c8 どうでしょう、この差は。同じ水をかけるので
016.stcm2 0x2aa20 も、ドクロちゃんや宮本とはワケがちがうので
016.stcm2 0x2aabc 僕にかけられた水に神々しさを、かけてきた本
016.stcm2 0x2ab14 人には愛しさを感じるのを禁じ得ません。
016.stcm2 0x2ab78 ……ここは、僕も静希ちゃんに水をかけるべき
016.stcm2 0x2abd0 ところですよね？
016.stcm2 0x2ac78 「よーし、僕も……」
016.stcm2 0x2ada0 静希ちゃんに向かって水を巻き上げようとした
016.stcm2 0x2adf8 僕の瞳に映るものは、
016.stcm2 0x2b06c プールに入ろうとするベノムちゃん――！！
016.stcm2 0x2b3e0 「ちょっとまったーーーーッッ！！」
016.stcm2 0x2b440 僕の叫び声に、みんながびくっとします。
016.stcm2 0x2b62c 静希ちゃん
016.stcm2 0x2b664 「……さ、桜くん、どうしたの？」
016.stcm2 0x2b6c4 ああっ、しまった！　静希ちゃんまで驚かせて
016.stcm2 0x2b71c しまいました。僕は小声で静希ちゃんに語りか
016.stcm2 0x2b774 けます。
016.stcm2 0x2b814 「静希ちゃん、なんかベノムちゃんがまた出て
016.stcm2 0x2b86c きてる……」
016.stcm2 0x2b9a0 静希ちゃん
016.stcm2 0x2b9d8 「え……？　あ、本当……！」
016.stcm2 0x2bb34 僕はプールから上がると、プールサイドのつる
016.stcm2 0x2bb8c つるもなんのその、ベノムちゃんに向かって走
016.stcm2 0x2bbe4 り出しました。
016.stcm2 0x2bc88 「ベノムちゃん、まって！　なにしてるの？」
016.stcm2 0x2be74 ベノムちゃん
016.stcm2 0x2beb0 「これは桜殿。……桜殿のおかげで自分は本来
016.stcm2 0x2bf08 の職務を思い出したであります」
016.stcm2 0x2bfbc 「本来の職務？」
016.stcm2 0x2c0f4 ベノムちゃん
016.stcm2 0x2c130 「はい、自分はドクロ殿の体調を観察するため
016.stcm2 0x2c188 に、ここにやって来たのでありました」
016.stcm2 0x2c1ec それに気付いてくれたのはいいことですが、な
016.stcm2 0x2c244 ぜここに姿を現したのでしょうか。
016.stcm2 0x2c2a4 ベノムちゃんの存在は、もうドクロちゃんにも
016.stcm2 0x2c2fc バレてしまっているのですから、同じと言えば
016.stcm2 0x2c354 同じなのですが……。
016.stcm2 0x2c400 「ドクロちゃんの観察だったら、隠れてやらな
016.stcm2 0x2c458 いとダメでしょ？」
016.stcm2 0x2c590 ベノムちゃん
016.stcm2 0x2c5cc 「いえ、それだけでは不足であります。桜殿と
016.stcm2 0x2c624 静希殿のご尽力にお応えするためにも、できる
016.stcm2 0x2c67c 限り接近し、くわしく調べるであります」
016.stcm2 0x2c73c そう言って、ベノムちゃんはプールへ向かって
016.stcm2 0x2c794 歩き出してしまいます。
016.stcm2 0x2c7e8 今、ベノムちゃんはやる気マンマンです。です
016.stcm2 0x2c840 が、ミーミングを持ったままのベノムちゃんを
016.stcm2 0x2c898 プールに入れるわけにはいきません。
016.stcm2 0x2c8f8 どうにかして、ベノムちゃんを止めなくては！
016.stcm2 0x2cadc どうしますか？
016.stcm2 0x2cb24 １．ドクロちゃんに手伝ってもらう
016.stcm2 0x2cb80 ２．静希ちゃんに手伝ってもらう
016.stcm2 0x2cbd8 ３．ザクロちゃんに手伝ってもらう
016.stcm2 0x2cc34 ４．サバトちゃんに手伝ってもらう
016.stcm2 0x2cc90 ５．誰の手も借りない
017.stcm2 0x1c0 第３話　そろそろ終わりだね
017.stcm2 0x270 僕は迷っていました。
017.stcm2 0x2c4 果たして、ドクロちゃんに助けを求めてもいい
017.stcm2 0x31c ものかと。
017.stcm2 0x364 正直に言うと、それによって助かったことなど、
017.stcm2 0x3c0 ありません。
017.stcm2 0x40c でも、どんな状況さえもコナゴナに粉砕してし
017.stcm2 0x464 まうドクロちゃんなら、このわけのわからない
017.stcm2 0x4bc 状況も、なんとかしてくれるような気がします。
017.stcm2 0x528 そう、少なくとも打破だけはできるのです。あ
017.stcm2 0x580 とはひたすら、僕ごと打破しないことを祈るば
017.stcm2 0x5d8 かりです。
017.stcm2 0x678 「ドクロちゃん、ちょっと来て！」
017.stcm2 0x6d8 ドクロちゃんは、ちらりと僕に視線を向けまし
017.stcm2 0x730 たが、すぐにぷいと視線をそらしてしまいまし
017.stcm2 0x7cc 今、ベノムちゃんを止めないと、健康診断どこ
017.stcm2 0x824 ろか、プールに入ってる人全員が被害を受ける
017.stcm2 0x87c ということがまるでわかっていません。
017.stcm2 0xa98 「ベ、ベノムちゃん、ちょっと待っててね」
017.stcm2 0xb5c 僕はベノムちゃんの返事も待たずに、プールに
017.stcm2 0xbb4 入っている、ベノムちゃんのターゲットに近づ
017.stcm2 0xc0c きました。
017.stcm2 0xd80 「ちょっとドクロちゃん、大変なんだよ。聞い
017.stcm2 0xdd8 てるの？」
017.stcm2 0xfd0 ドクロちゃん
017.stcm2 0x100c 「はいこれ、エスカリボルグ。大事に使ってね？
017.stcm2 0x1068 キズモノにしたら責任取ってもらうんだからっ」
017.stcm2 0x1194 そう言ってドクロちゃんが差し出すのは、
017.stcm2 0x11e8 超重量のとげとげ凶器。
017.stcm2 0x123c それは、僕をいつもキズモノにする物質です。
017.stcm2 0x12fc 「借りないよ！　そんなの借りてどうするの！？
017.stcm2 0x1358 いくら大変な事態になっても、それを用いた解
017.stcm2 0x13b0 決は良くないと思います！」
017.stcm2 0x14c8 僕の言葉に、ドクロちゃんはエスカリボルグを
017.stcm2 0x1520 不満そうに引っ込めました。
017.stcm2 0x1660 ドクロちゃん
017.stcm2 0x169c 「……つまんないのー」
017.stcm2 0x1748 「おもしろいとかおもしろくないとかで、エス
017.stcm2 0x17a0 カリボルグを使わないで？」
017.stcm2 0x1944 ドクロちゃん
017.stcm2 0x1980 「そんなことで使わないもん！」
017.stcm2 0x1a34 「それじゃあ、今ドクロちゃんが構えてるのは
017.stcm2 0x1a8c なに……？　なんで僕を武力制圧しようとして
017.stcm2 0x1ae4 るのですか？」
017.stcm2 0x1c40 ドクロちゃん
017.stcm2 0x1c7c 「もう、桜くん。そんなことより、ベノムちゃ
017.stcm2 0x1cd4 んなんでしょ？　いっつもいっつも、話をごま
017.stcm2 0x1d2c かそうとするんだからっ」
017.stcm2 0x1ddc 「あ……そうだった！　すごく釈然としないけ
017.stcm2 0x1e34 ど、ドクロちゃんが自分から本題に戻ったのは
017.stcm2 0x1e8c 驚くべきことだね」
017.stcm2 0x1edc 僕は少なからず感動を覚えました。まさか、あ
017.stcm2 0x1f34 のドクロちゃんが話の脱線を指摘するなんて思
017.stcm2 0x1f8c わなかったのです。
017.stcm2 0x205c 「とにかく、一緒にベノムちゃんを止めてほし
017.stcm2 0x20b4 いんだけど……」
017.stcm2 0x21e8 ドクロちゃん
017.stcm2 0x2224 「あのね、桜くんの国語辞典のちょっとエッチ
017.stcm2 0x227c な単語に蛍光ペンでマークつけたの、ボクなの。
017.stcm2 0x22d8 ごめんなさい」
017.stcm2 0x23a4 「アンタ、なんてことしてくれたんだ！　って
017.stcm2 0x23fc いうかベノムちゃんの話題に戻したんでしょ！？
017.stcm2 0x2458 いきなり、ぜんぜん関係ない告白しないでよ！」
017.stcm2 0x25ac ドクロちゃん
017.stcm2 0x25e8 「あ、ザクロちゃーん。ボクも消毒槽で泳ぐー」
017.stcm2 0x26ac 「ちょっと、ドクロちゃんまって！　そんなと
017.stcm2 0x2704 ころで泳いだらダメ！　それに、ザクロちゃん
017.stcm2 0x275c はそんなことしません！」
017.stcm2 0x282c ドクロちゃんは僕と視線を合わそうとせず、
017.stcm2 0x2884 プールから出ると、走っていってしまいました。
017.stcm2 0x29d4 僕は大急ぎでベノムちゃんのところに戻ります。
017.stcm2 0x2a30 すると……。
017.stcm2 0x2c2c ベノムちゃん
017.stcm2 0x2c68 「桜殿。ドクロ殿が移動されるので、自分も
017.stcm2 0x2cc0 移動するであります」
017.stcm2 0x2e24 僕がその言葉を理解したときには、ベノム
017.stcm2 0x2e78 ちゃんはもう移動を開始していました。
017.stcm2 0x2edc なんという偶然か、ターゲットであるドクロちゃ
017.stcm2 0x2f38 んが移動したことで、ベノムちゃんがプールに
017.stcm2 0x2f90 入るのを未然に食い止めることができました。
017.stcm2 0x2ff8 ……さすがはドクロちゃんです！
017.stcm2 0x3174 第３話　そろそろ終わりだね
017.stcm2 0x3224 やはり、ベノムちゃんを説得できるのは、一緒
017.stcm2 0x327c に今回のプールを計画した静希ちゃんしかいま
017.stcm2 0x3370 「静希ちゃん！」
017.stcm2 0x3520 僕が口にしたのは呼びなれた名前。それだけで、
017.stcm2 0x357c 大体を理解してくれたのか、静希ちゃんが近づ
017.stcm2 0x35d4 いてきました。
017.stcm2 0x3620 僕はベノムちゃんからちょっとだけ距離を取っ
017.stcm2 0x3678 て、静希ちゃんに打ち明けます。
017.stcm2 0x372c 「静希ちゃん、ごめんね。ベノムちゃんが今度
017.stcm2 0x3784 はドクロちゃんにもっと近づくって言って、プー
017.stcm2 0x37e0 ルに入ろうとしてるんだ」
017.stcm2 0x3948 静希ちゃん
017.stcm2 0x3980 「大丈夫。さっきちょっと考えたの」
017.stcm2 0x39e0 おお！　静希ちゃんに策アリです。
017.stcm2 0x3c1c 静希ちゃんはベノムちゃんに、大きく１歩近づ
017.stcm2 0x3c74 きました。その１歩はまるで自信の表れのよう
017.stcm2 0x3ccc でした。
017.stcm2 0x3d14 そして発せられるのは、はっきりした主張と声。
017.stcm2 0x3e90 静希ちゃん
017.stcm2 0x3ec8 「ベノムちゃん、プールには入らないで？」
017.stcm2 0x4018 ベノムちゃん
017.stcm2 0x4054 「し、静希殿……。なぜでありますか？　自分
017.stcm2 0x40ac は職務を果たさねば……」
017.stcm2 0x4104 静希ちゃんは小さく首を横に振ります。
017.stcm2 0x4250 静希ちゃん
017.stcm2 0x4288 「あのね、プールって壺を持った人は入っちゃ
017.stcm2 0x42e0 いけないの」
017.stcm2 0x4414 ベノムちゃん
017.stcm2 0x4450 「こ、これでありますか……？」
017.stcm2 0x44ac ベノムちゃんは、静希ちゃんとミーミングを交
017.stcm2 0x4504 互に見ました。その瞳はショックで震えていま
017.stcm2 0x4688 静希ちゃん
017.stcm2 0x46c0 「うん、それを置いていかないと」
017.stcm2 0x4808 ベノムちゃん
017.stcm2 0x4844 「これは大切なもので、肌身離さず持っていな
017.stcm2 0x489c ければならないであります……まさか、そんな
017.stcm2 0x48f4 決まりがあるとは知らずに……」
017.stcm2 0x4950 ふと疑問に思ったのですが、天使って、みんな
017.stcm2 0x49a8 魔法のアイテムを肌身離さないのでしょうか。
017.stcm2 0x4af8 ベノムちゃん
017.stcm2 0x4b34 「あやうく規則を破るところでした。静希殿、
017.stcm2 0x4b8c ありがとうございます。桜殿もそれをご存知で、
017.stcm2 0x4be8 自分を止めてくださったでありますね？」
017.stcm2 0x4ca4 「う、うん、もちろん！」
017.stcm2 0x4d9c そんなやり取りがあって、ベノムちゃんは
017.stcm2 0x4df0 ルールに従い、プールから離れていきました。
017.stcm2 0x4f80 静希ちゃんはそこで大きく息を吐きました。
017.stcm2 0x5038 静希ちゃん
017.stcm2 0x5070 「よかった、上手くいって……」
017.stcm2 0x5124 「ありがとう静希ちゃん、本当に助かったよ」
017.stcm2 0x5274 静希ちゃん
017.stcm2 0x52ac 「ベノムちゃん、真面目だから。規則でダメっ
017.stcm2 0x5304 て言えば、思いとどまってくれるんじゃないか
017.stcm2 0x535c な、って思ったの」
017.stcm2 0x53ac 静希ちゃんのついた小さなウソ。けれどそれは
017.stcm2 0x5404 必要なものでした。
017.stcm2 0x5454 それに、危険なものをプールに持ち込むのは、
017.stcm2 0x54ac このガウディ・スポーツセンターも当然禁止。
017.stcm2 0x5514 つまり、あのウソも半分は本当のことなのです。
017.stcm2 0x5570 だって、壺も一応は危険なものに入りますから。
017.stcm2 0x56c4 静希ちゃん
017.stcm2 0x56fc 「でも、ちょっと悪いことしちゃったかな」
017.stcm2 0x57bc 「うん……しょうがないとは思うけど、ごめん
017.stcm2 0x5814 ね、ウソなんかつかせちゃって」
017.stcm2 0x5958 静希ちゃん
017.stcm2 0x5990 「ううん。プールを提案したの、私だから」
017.stcm2 0x59f8 静希ちゃんはそう言って、小さくほほえみまし
017.stcm2 0x5c7c 第３話　そろそろ終わりだね
017.stcm2 0x5d2c こういうとき頼りになるのは、やっぱりザクロ
017.stcm2 0x5d84 ちゃんです。
017.stcm2 0x5dd0 さっき、トランプでベノムちゃんの気をそらす
017.stcm2 0x5e28 ことができたのも、ザクロちゃんの助け舟があ
017.stcm2 0x5e80 ればこそ。
017.stcm2 0x6080 「ちょ、ちょっとまってベノムちゃん！　ザク
017.stcm2 0x60d8 ロちゃんとサバトちゃんも、もう今日のことは
017.stcm2 0x6130 知ってるんだよ！」
017.stcm2 0x6268 ベノムちゃん
017.stcm2 0x62a4 「ザクロ殿とサバト殿が……？」
017.stcm2 0x6358 「うん、だからとりあえず、ザクロちゃんの意
017.stcm2 0x63b0 見を聞いてみようよ。あせって調べようとして
017.stcm2 0x6408 も上手くいかないから」
017.stcm2 0x6544 ベノムちゃん
017.stcm2 0x6580 「なるほど、そういうことでしたら……」
017.stcm2 0x663c 「じゃあ、もうちょっとまってね」
017.stcm2 0x66f8 僕はベノムちゃんから少し離れると、視線を巡
017.stcm2 0x6750 らせて、ザクロちゃんをさがします。
017.stcm2 0x67cc ……いません。
017.stcm2 0x6818 見えるのは、遊んでいるドクロちゃんとサバト
017.stcm2 0x6870 ちゃん、それに宮本。その輪に参加しながらも
017.stcm2 0x68c8 心配そうな視線を僕に向けてくれる静希ちゃん。
017.stcm2 0x6934 あのサラサラで長い銀色の髪が、どこにも見え
017.stcm2 0x698c ないのです。
017.stcm2 0x6a58 「ど、どうして？　ザクロちゃんどこに行った
017.stcm2 0x6af4 僕の心には不安が急速に広がっていきました。
017.stcm2 0x6b5c そして、そんな心境のとき、声は後ろから。
017.stcm2 0x6c3c 「桜さん、ここです」
017.stcm2 0x6e70 「……うわっ、ザ、ザクロちゃん！」
017.stcm2 0x6ed0 長身のザクロちゃんが僕の後ろでほほえんでい
017.stcm2 0x6f28 たのです。
017.stcm2 0x7058 ザクロちゃん
017.stcm2 0x7094 「失礼ながら、話は聞かせていただきました。
017.stcm2 0x70ec ベノムさんを止めなくてはいけないのですね」
017.stcm2 0x71ac 「う、うん」
017.stcm2 0x7254 僕の返事はわかりきっていたと言うように、ザ
017.stcm2 0x72ac クロちゃんはすばやい動きでベノムちゃんに近
017.stcm2 0x7304 づきます。
017.stcm2 0x7620 まるで使命感に燃えるかのように、ザクロちゃ
017.stcm2 0x7678 んはベノムちゃんに向き合いました。
017.stcm2 0x77e8 ザクロちゃん
017.stcm2 0x7824 「ベノムさん、おねえさまのことでしたら大丈
017.stcm2 0x787c 夫です。わたくしは１番近くで見ておりました
017.stcm2 0x78d4 が、健康状態に問題はありません」
017.stcm2 0x7a1c ベノムちゃん
017.stcm2 0x7a58 「ザクロ殿、どういう意味でありますか？」
017.stcm2 0x7ba8 ザクロちゃん
017.stcm2 0x7be4 「もちろん、これは健康診断とは関わりのない
017.stcm2 0x7c3c 情報になりますが、わたくしが見る限り、なん
017.stcm2 0x7c94 の異常も見られません」
017.stcm2 0x7dd0 ザクロちゃん
017.stcm2 0x7e0c 「今日のところは、これでご納得いただけませ
017.stcm2 0x7e64 んでしょうか」
017.stcm2 0x7eb0 ザクロちゃんはあくまで真剣な顔つきです。そ
017.stcm2 0x7f08 れでいて諭すように、やさしく語りかける様子
017.stcm2 0x7f60 はとてもザクロちゃんらしいものでした。
017.stcm2 0x8084 それを聞いたベノムちゃんは、しばらく考える
017.stcm2 0x80dc ようにしていましたが、やがて口を開きます。
017.stcm2 0x822c ベノムちゃん
017.stcm2 0x8268 「……桜殿は、ドクロ殿のご様子をどう思われ
017.stcm2 0x82c0 ますか？」
017.stcm2 0x8360 「え、僕？　僕も、ドクロちゃんの身体には問
017.stcm2 0x83b8 題ないと思うよ？」
017.stcm2 0x8408 問題があるとすれば、反則気味にカラダの成長
017.stcm2 0x8460 がかたよっていることでしょうか。
017.stcm2 0x8600 ザクロちゃん
017.stcm2 0x863c 「さすがは、桜さん。おねえさまを凝視してい
017.stcm2 0x8694 らしただけのことはありますね」
017.stcm2 0x8770 「――凝視！？　なにそれ！？　僕は【あんな
017.stcm2 0x87c8 に元気なら問題ないでしょ？】って言っただけ
017.stcm2 0x8820 です！　変なこと言わないで！」
017.stcm2 0x8964 ベノムちゃん
017.stcm2 0x89a0 「……了解であります。凝視していた桜殿と、
017.stcm2 0x89f8 ザクロ殿がそうまでおっしゃるのであれば、自
017.stcm2 0x8a50 分に異存はないでありますよ」
017.stcm2 0x8b04 「まってください！　お願いだから、さりげな
017.stcm2 0x8b5c くセリフに【凝視】を織り込まないで！　僕は
017.stcm2 0x8bb4 ドクロちゃんを凝視なんてしてないんです！」
017.stcm2 0x8d04 ザクロちゃん
017.stcm2 0x8d40 「ですが桜さんはおねえさまの健康状態を……」
017.stcm2 0x8e04 「証言したら凝視確定？　僕はザクロちゃんと
017.stcm2 0x8e5c 一緒の意見だったんですよ？」
017.stcm2 0x90a0 第３話　そろそろ終わりだね
017.stcm2 0x9150 僕の頭脳が導き出した答えは、サバトちゃんに
017.stcm2 0x91a8 手伝ってもらうことでした。
017.stcm2 0x93b8 「ベノムちゃん、ちょっとまって！　ザクロちゃ
017.stcm2 0x9414 んもサバトちゃんも、今日のことは知ってるん
017.stcm2 0x946c だよ！」
017.stcm2 0x959c ベノムちゃん
017.stcm2 0x95d8 「ザクロ殿とサバト殿が……？」
017.stcm2 0x968c 「うん、だからとりあえず、サバトちゃんの意
017.stcm2 0x96e4 見を聞いてみようよ。あせって調べようとして
017.stcm2 0x973c も上手くいかないからさ」
017.stcm2 0x987c ベノムちゃん
017.stcm2 0x98b8 「なるほど、そういうことでしたら……」
017.stcm2 0x9974 「じゃあ、もうちょっとまってて」
017.stcm2 0x9a30 僕はベノムちゃんから少し離れると、プールに
017.stcm2 0x9a88 視線を送ります。
017.stcm2 0x9ad8 そして、そこで楽しそうにしている、くるりん
017.stcm2 0x9b30 と曲がった角を生やした天使に焦点を定めまし
017.stcm2 0x9c24 「サバトちゃーん！」
017.stcm2 0x9ca0 僕の呼び声に気付いたサバトちゃんは、水をか
017.stcm2 0x9cf8 き分けながら、こちらにやってきました。
017.stcm2 0x9f0c サバトちゃん
017.stcm2 0x9f48 「はいぃ！　桜くん、なんですかぁ？」
017.stcm2 0xa004 「サバトちゃん、ベノムちゃんがプールに入ろ
017.stcm2 0xa05c うとしてるんだけど、それを止めてほしいんだ」
017.stcm2 0xa1d8 サバトちゃん
017.stcm2 0xa214 「サ、サバトには無理ですぅ！」
017.stcm2 0xa470 ベノムちゃん
017.stcm2 0xa4ac 「桜殿、サバト殿、どうされました？」
017.stcm2 0xa510 ひそひそと話す僕たちに不思議そうな顔で近寄っ
017.stcm2 0xa56c てくるのはベノムちゃん。
017.stcm2 0xa5ec 僕はサバトちゃんに小声で合図します。
017.stcm2 0xa6a8 「サバトちゃん、お願い」
017.stcm2 0xa8f0 サバトちゃん
017.stcm2 0xa92c 「あ……あの、サバト……」
017.stcm2 0xa984 サバトちゃんはもじもじとして、次の言葉を発
017.stcm2 0xa9dc することができません。
017.stcm2 0xab34 サバトちゃん
017.stcm2 0xab70 「……ぐ、具合が悪いんですぅ！」
017.stcm2 0xac50 「サ、サバトちゃん……？」
017.stcm2 0xaca8 なんという度胸でしょう！　サバトちゃんは、
017.stcm2 0xad00 ベノムちゃんを相手に仮病を使ったのです！
017.stcm2 0xad68 【具合が悪い】などと、ベノムちゃんに言えば、
017.stcm2 0xadc4 その後の展開は見えています。
017.stcm2 0xaf80 ベノムちゃん
017.stcm2 0xafbc 「そ、それは大変であります！　さあ、こちら
017.stcm2 0xb014 へ！　具合を見せていただくであります！」
017.stcm2 0xb1cc サバトちゃん
017.stcm2 0xb208 「あ、その！　触っちゃ……ひぃッ！」
017.stcm2 0xb34c サバトちゃんはベノムちゃんの手をかわしなが
017.stcm2 0xb3a4 ら、この場を離れて行きます。
017.stcm2 0xb400 あとはひたすらサバトちゃんの無事を祈るばか
017.stcm2 0xb458 りですが、幸い、ここはプール。周囲は水にあ
017.stcm2 0xb4b0 ふれています。
017.stcm2 0xb4fc ベノムちゃんに触れられてしまったら、即座に
017.stcm2 0xb554 プールに飛び込むことでしょう。
017.stcm2 0xb5b0 僕には、サバトちゃんを応援することしかでき
017.stcm2 0xb608 ないのです。
017.stcm2 0xb654 ありがとう、サバトちゃん。がんばって……。
017.stcm2 0xb7dc 第３話　そろそろ終わりだね
017.stcm2 0xb88c 今日の僕は【ベノムちゃん係】。それならば、
017.stcm2 0xb8e4 ベノムちゃんを止めるのは、僕のはずです。
017.stcm2 0xb94c 失敗は許されません。僕が失敗すれば、プール
017.stcm2 0xb9a4 のみんながミーミングの毒に倒れてしまいます。
017.stcm2 0xba10 そう、プールには静希ちゃんがいるのです。
017.stcm2 0xba78 僕は息を大きく吐いて、ベノムちゃんに向き合
017.stcm2 0xbad0 いました。
017.stcm2 0xbcd0 「ベノムちゃん、プールは入っちゃダメだよ」
017.stcm2 0xbe20 ベノムちゃん
017.stcm2 0xbe5c 「なぜでありますか？　自分は、できる限りの
017.stcm2 0xbeb4 ことがしたいのであります」
017.stcm2 0xbf64 「ドクロちゃんに近づいたら、絶対に逃げられ
017.stcm2 0xbfbc ちゃうよ？　逃げられちゃったら、もうなにも
017.stcm2 0xc014 調べられないでしょ？」
017.stcm2 0xc150 ベノムちゃん
017.stcm2 0xc18c 「そ、それはそうでありますが……」
017.stcm2 0xc244 「ベノムちゃんの気持ちはすごくうれしいけど、
017.stcm2 0xc2a0 だからこそ、僕はしっかり最後までやってほし
017.stcm2 0xc33c もらった想いは、同じだけの想いを返したいと
017.stcm2 0xc394 思える、やさしい天使。ベノムちゃんはそんな、
017.stcm2 0xc3f0 真面目な子なのです。
017.stcm2 0xc444 だからこそ、僕も静希ちゃんもベノムちゃんを
017.stcm2 0xc49c 助けてあげたいと思ったのですから。
017.stcm2 0xc554 「短気はだめだよ。失敗したら全部台無しになっ
017.stcm2 0xc5b0 ちゃうから。少しずつでも、地道に行こうよ。
017.stcm2 0xc710 僕は次の言葉を慎重に探るようにして、語りか
017.stcm2 0xc768 けました。ベノムちゃんもまた、真剣な顔つき
017.stcm2 0xc7c0 で聞いてくれています。
017.stcm2 0xc814 僕は言えるだけのことは言いました。……一応、
017.stcm2 0xc870 ウソは言ってないつもりです。
017.stcm2 0xc8cc そして、ベノムちゃんはなにかの決意をしたよ
017.stcm2 0xc924 うに僕の瞳をまっすぐに見返すのです。
017.stcm2 0xca98 ベノムちゃん
017.stcm2 0xcad4 「桜殿は、そこまで考えていてくださったので
017.stcm2 0xcb2c ありますか……ありがとうございます」
017.stcm2 0xcbe8 「ベノムちゃん、わかってくれたんだね」
017.stcm2 0xcc4c ベノムちゃんは、決意を新たにしたかのような
017.stcm2 0xcca4 静けさで、
017.stcm2 0xcdec ベノムちゃん
017.stcm2 0xce28 「はい。なんとしても、ドクロ殿に近づくであ
017.stcm2 0xce80 ります」
017.stcm2 0xcf48 「ちょ……聞いてください、ベノムちゃん！な
017.stcm2 0xcfa0 んだか天使のみなさんって、このパターンのフェ
017.stcm2 0xcffc イント、多くないですか！？」
017.stcm2 0xd058 僕の言葉は右から左。取りそこなった流しそう
017.stcm2 0xd0b0 めんのように、ベノムちゃんの手の届かないと
017.stcm2 0xd108 ころへ流れていってしまったようです。
017.stcm2 0xd254 ベノムちゃん
017.stcm2 0xd290 「ですから、桜殿のお心づかいに全力をもって
017.stcm2 0xd2e8 お応えしようと……」
017.stcm2 0xd394 「会話がふりだしに戻ってるよ！　僕のことは
017.stcm2 0xd3ec いいから、プールに入らないでください！」
017.stcm2 0xd454 その後、会話が３往復くらいする必死の説得で、
017.stcm2 0xd4b0 ベノムちゃんを思いとどまらせることができた
017.stcm2 0xd508 のでした。
017.stcm2 0xd944 そして、ややあって……。
017.stcm2 0xdb4c 静希ちゃん
017.stcm2 0xdb84 「今日は、ここまでかな」
017.stcm2 0xdbdc 静希ちゃんのつぶやきは、この水辺の行楽の
017.stcm2 0xdc34 終了を意味するものでした。
017.stcm2 0xdc8c 僕と静希ちゃんはプールの水につかりながら、
017.stcm2 0xdce4 今日という日を、振り返っていました。
017.stcm2 0xdda0 「……そうだね。そろそろおしまいにしないと、
017.stcm2 0xddfc あぶなそうだし」
017.stcm2 0xde4c このままでは、ドクロちゃんかベノムちゃんが
017.stcm2 0xdea4 周りの人に迷惑をかけるのも時間の問題です。
017.stcm2 0xdf0c ドクロちゃんとサバトちゃんはどこかへ行って
017.stcm2 0xdf64 しまい、２人のことはザクロちゃんにお任せし
017.stcm2 0xdfbc ました。
017.stcm2 0xe004 ザクロちゃんが行ってしまうと、宮本もふらり
017.stcm2 0xe05c とどこかへ行ってしまい、近くに姿は見えませ
017.stcm2 0xe150 「ベノムちゃんもドクロちゃんを追って、どこ
017.stcm2 0xe1a8 かへ行っちゃったし……なんか、急に静かになっ
017.stcm2 0xe32c 静希ちゃん
017.stcm2 0xe364 「ふふ……そうだね。普通のプールなんだよね、
017.stcm2 0xe3c0 ここって。ドクロちゃんたちと一緒に遊んでる
017.stcm2 0xe418 と、まったく別物みたい」
017.stcm2 0xe4c8 「ホントに騒がしいんだから……」
017.stcm2 0xe528 僕は姿の見えない天使のことを思い浮かべます。
017.stcm2 0xe594 ドクロちゃんの大騒ぎは今にはじまったことで
017.stcm2 0xe5ec はありませんが、今日は本当にはしゃぎっぱな
017.stcm2 0xe644 しでした。
017.stcm2 0xe68c 今、このプールだって、ドクロちゃんが騒ぎ
017.stcm2 0xe6e4 すぎるから、人がいなくなってしまったのです。
017.stcm2 0xe750 おかげで、静希ちゃんと２人きりなワケですが。
017.stcm2 0xe8cc 静希ちゃん
017.stcm2 0xe904 「でも、楽しかった。桜くん、協力してくれて
017.stcm2 0xe95c ありがとう」
017.stcm2 0xea00 「ううん。僕も楽しかったから」
017.stcm2 0xea5c 見つめ合う、二対の瞳。水面が光を反射し、そ
017.stcm2 0xeab4 の光を瞳が反射します。そこにあるのは、きら
017.stcm2 0xeb0c きらと輝いた、純粋な想い。
017.stcm2 0xeb64 僕は少しだけ照れくさくなって、話題を変える
017.stcm2 0xebbc ことにしました。
017.stcm2 0xec8c 「ベノムちゃんは、目的を果たせたのかな？」
017.stcm2 0xeddc 静希ちゃん
017.stcm2 0xee14 「ちょっと、いろいろあったからね。上手くいっ
017.stcm2 0xee70 てるといいけど」
017.stcm2 0xef18 「まさか、スポーツフェスティバルみたいなこ
017.stcm2 0xef70 とになってたりして」
017.stcm2 0xf0ac 静希ちゃん
017.stcm2 0xf0e4 「あ、それはあるかも。……ふふっ」
017.stcm2 0xf144 スポーツフェスティバルは、ドクロちゃんの情
017.stcm2 0xf19c 報は集めたのに、普通では考えにくい数値が並
017.stcm2 0xf1f4 んだため、参考にならないという結果でした。
017.stcm2 0xf25c 今回はそうでなければいいと心配しながらも、
017.stcm2 0xf2b4 僕たちが笑っているのは、きっと今日１日が楽
017.stcm2 0xf30c しかった証明です。
017.stcm2 0xf35c 僕たちはお互いにひとしきり笑い合うと、再び
017.stcm2 0xf3b4 見つめ合い、
017.stcm2 0xf458 「……それじゃ、帰ろうか」
017.stcm2 0xf594 静希ちゃん
017.stcm2 0xf5cc 「うん」
017.stcm2 0xf670 そう言って、プールを出るのです。
017.stcm2 0xf72c 僕の前を歩き、先にプールサイドに上がった、
017.stcm2 0xf784 幼なじみの同級生。
017.stcm2 0xf814 光る水滴が、その髪をすくように流れ、僕の心
017.stcm2 0xf86c を揺り動かします。
017.stcm2 0xf93c 「……静希ちゃん」
017.stcm2 0xfb14 静希ちゃん
017.stcm2 0xfb4c 「え？　なあに？」
017.stcm2 0xfb9c 僕は水につかったまま、プールサイドの静希ちゃ
017.stcm2 0xfbf8 んに話しかけていました。
017.stcm2 0xfc50 水面に広がる波紋のように、僕の心が波立ち、
017.stcm2 0xfca8 次の句を継げません。
017.stcm2 0xfd54 「ええと……その」
017.stcm2 0xfda4 【今度は２人で来たい】と、そう言うのです！
017.stcm2 0xfe0c 静希ちゃんは、黙ったまま僕の言葉をまってく
017.stcm2 0xfe64 れていました。
017.stcm2 0xfeb0 その瞳は、僕の言葉に若干の期待を持った輝き。
017.stcm2 0xff0c うるんで見えるのは、プールの水のせいじゃな
017.stcm2 0xff64 いはず。
017.stcm2 0xffac 僕は水の中の足にぐっと力を入れ、必死で口を
017.stcm2 0x10004 動かします。
017.stcm2 0x100a8 「……ま、また、来たいね！」
017.stcm2 0x101ec 静希ちゃん
017.stcm2 0x10224 「うん、そうだね」
017.stcm2 0x10274 出てきたのは僕のありきたりの言葉と、静希ちゃ
017.stcm2 0x102d0 んのやさしい笑顔でした。
017.stcm2 0x10328 まあ……いいかな。
017.stcm2 0x10460 静希ちゃん
017.stcm2 0x10498 「でも、今度は桜くんから、誘って？」
017.stcm2 0x105a0 僕は静希ちゃんの言葉をよくかんで（３０回以
017.stcm2 0x105f8 上が基本です）、ゆっくりと飲み込みます。
017.stcm2 0x106b8 「う、うん、もちろん！　絶対誘うよ！」
017.stcm2 0x107d8 静希ちゃんはにっこり、僕はとってもうれしく
017.stcm2 0x10830 なりました。
017.stcm2 0x1087c ああッ、来てよかった！　もっと根本的な話を
017.stcm2 0x108d4 すれば、生きててよかった！
017.stcm2 0x1092c 僕は静希ちゃんの笑顔に誘われるように、プー
017.stcm2 0x10984 ルから出ようとすると、そこで、
017.stcm2 0x10bec ベノムちゃん
017.stcm2 0x10c28 「桜殿、静希殿！」
017.stcm2 0x10cd0 「あ、ベノムちゃん。ちょうどよかった、
017.stcm2 0x10d24 そろそろ帰る準備をしなあああ――ぅぐッ！？」
017.stcm2 0x110f0 ビキリとした衝撃が僕の身体を駆け抜けました。
017.stcm2 0x1114c 左足が……痛い！？
017.stcm2 0x11348 僕は水の中、浮力を頼りに右足でケンケンしな
017.stcm2 0x113a0 がら、自分で左足のふくらはぎを押さえました。
017.stcm2 0x11594 静希ちゃん
017.stcm2 0x115cc 「さ、桜くん、大丈夫？　どうしたの？」
017.stcm2 0x11630 僕の様子に、静希ちゃんは心配そうな目を向け
017.stcm2 0x11688 てくれました。
017.stcm2 0x119c8 「あ、足がつった！　うぅぅぅ、痛たたた！」
017.stcm2 0x11a30 情けない！　さっき、静希ちゃんと話していた
017.stcm2 0x11a88 ときに力みすぎました！
017.stcm2 0x11b34 「だ、大丈夫！　ここ、足つくから、ちょっと
017.stcm2 0x11b8c 落ち着いたら……」
017.stcm2 0x11e00 ベノムちゃん
017.stcm2 0x11e3c 「さ、桜殿ォォォォォ！！今、行くでありま
017.stcm2 0x12030 派手な水しぶきをあげ、プールに飛び込むのは、
017.stcm2 0x1208c ベノムちゃん。
017.stcm2 0x120d8 ――ベノムちゃん。
017.stcm2 0x12474 「ぐああああッ！！　……これは、またもや僕
017.stcm2 0x124cc ですか！？」
017.stcm2 0x12518 ベノムちゃんはミーミングを身に着けたまま。
017.stcm2 0x12570 そこから流れ出した毒が、即座に水を染めてい
017.stcm2 0x125c8 きます。
017.stcm2 0x12638 僕は水面に広がる毒から逃げようともがきまし
017.stcm2 0x12690 たが、つった足ではどうにもなりません。
017.stcm2 0x126f4 ベノムちゃんはバシャバシャと、泳いでるのか
017.stcm2 0x1274c おぼれてるのかわからない様子で僕に近づいて
017.stcm2 0x127a4 きました。
017.stcm2 0x12b08 ベノムちゃん
017.stcm2 0x12b44 「桜殿！　しっかりするであります！　桜殿に
017.stcm2 0x12b9c なにかありましたら自分は……！」
017.stcm2 0x12fa8 「ぐ……目が回る。だ、大丈夫だから、ベノム
017.stcm2 0x13000 ちゃん……離れ、て……」
017.stcm2 0x13058 ベノムちゃんは僕にしがみついてきて、むしろ
017.stcm2 0x130b0 そのせいでおぼれそうです！
017.stcm2 0x137c0 視界がゆがみ、頭痛が襲ってきました。そんな
017.stcm2 0x13818 中、どうしても聞いておかなくてはいけないこ
017.stcm2 0x13870 とがあります。
017.stcm2 0x13914 「な、なんで……飛び込んだの？」
017.stcm2 0x1399c ベノムちゃん
017.stcm2 0x139d8 「ケガ人を救護するのは、スーヴェリージュの
017.stcm2 0x13a30 一員たる、自分の職務であります！」
017.stcm2 0x13ae8 「ベノムちゃん……プールに入っちゃ、ダメだ
017.stcm2 0x13b40 よ……はやく、上がって……」
017.stcm2 0x13bc4 ベノムちゃん
017.stcm2 0x13c00 「じ、自分は泳げないであります！　どうやっ
017.stcm2 0x13c58 てここまで来たのでありますか！？　……戻れ
017.stcm2 0x13cb0 ないでありますよ！」
017.stcm2 0x13d04 ベノムちゃんは混乱し、手足をばたつかせます。
017.stcm2 0x13d60 典型的なおぼれる人の動きです。
017.stcm2 0x13e30 あわてるベノムちゃんさえも、どこか遠く感じ
017.stcm2 0x13e88 られて、それは自分の意識が遠のいているせい
017.stcm2 0x13ee0 だと気が付くのに数秒かかりました。
017.stcm2 0x13f98 「足が、つくから。落ち着いて……お願い」
017.stcm2 0x14040 僕はしぼりだすような声で、ベノムちゃんに呼
017.stcm2 0x14098 びかけました。というより、哀願です。
017.stcm2 0x14368 ザクロちゃん
017.stcm2 0x143a4 「ああ、桜さんが……！　ベノムさん、はやく
017.stcm2 0x143fc こちらへ戻ってください！」
017.stcm2 0x14454 プールサイドにはザクロちゃんの姿。ドクロ
017.stcm2 0x144ac ちゃんとサバトちゃんに、宮本もいるようです。
017.stcm2 0x146fc ドクロちゃん
017.stcm2 0x14738 「うわー！　桜くん、すっごーーーい！紫色に
017.stcm2 0x14790 なってる！　信号みたーい！」
017.stcm2 0x149dc サバトちゃん
017.stcm2 0x14a18 「ドクロちゃん、信号は赤・青・黄ですぅ」
017.stcm2 0x14c60 「おい、桜のヤツ、大丈夫なのかよ……」
017.stcm2 0x14f1c かしゃー！　かしゃー！
017.stcm2 0x150f8 「ベノムちゃんの献身的な救護ザンス！最後に
017.stcm2 0x15150 イイのが撮れたザンスよー！」
017.stcm2 0x15350 半ば、存在を忘れていたザンスまで現れます。
017.stcm2 0x153a8 緊迫した空気の中、響くシャッター音が耳障り
017.stcm2 0x15444 カメラは水に沈めたのに、無事だったようです。
017.stcm2 0x154a0 きっと、持ち主に似てしぶといのでしょう。
017.stcm2 0x15718 「く……静希、ちゃん……僕は」
017.stcm2 0x15774 プールサイドには、もちろん静希ちゃんの姿も
017.stcm2 0x157cc あります。静希ちゃんは言葉に困っているよう
017.stcm2 0x15824 な気配でした。
017.stcm2 0x158b0 そして、そこからかかる声に僕は耳をすませ、
017.stcm2 0x15908 ようやく聞き取ったのは、ささやかな応援。
017.stcm2 0x15a58 静希ちゃん
017.stcm2 0x15a90 「桜くん！　が、がんばって！」
017.stcm2 0x15aec 静希ちゃんが一生懸命さがし出した言葉が唯一、
017.stcm2 0x15b48 僕をはげますのでした。
017.stcm2 0x15f60 日が落ちていく帰り道。長く伸びた影が、一緒
017.stcm2 0x15fb8 に帰ろうとしているのか、僕たちの後をついて
017.stcm2 0x16010 きます。
017.stcm2 0x16058 並んで歩く影は３つ。僕、静希ちゃん、そして
017.stcm2 0x160b0 ちょっと遅れてベノムちゃんです。
017.stcm2 0x16110 ドクロちゃんとサバトちゃんはザクロちゃんと
017.stcm2 0x16168 一緒に先に帰ってもらいました。
017.stcm2 0x161c4 宮本はなにも言わずに帰っていて、僕はなんと
017.stcm2 0x1621c なくそこに友情を感じます。ザンスも今日ばか
017.stcm2 0x16274 りは、既に姿が見えません。
017.stcm2 0x162cc さて、あれからの僕ですが。
017.stcm2 0x16324 まずはベノムちゃんを連れてプールから上がり、
017.stcm2 0x16380 その足（猛ダッシュ）で消毒槽に飛び込み、全
017.stcm2 0x163d8 身リフレッシュ。毒を洗い流したのです。
017.stcm2 0x1643c よくもそれだけの力が僕に備わっていたもので
017.stcm2 0x16494 す。僕をすごい男に生んだ、両親とカミサマに
017.stcm2 0x164ec 感謝しなくてはいけません。
017.stcm2 0x166cc 静希ちゃん
017.stcm2 0x16704 「桜くん、今日は大変だったね。本当にお疲れ
017.stcm2 0x167f8 「ありがとう、静希ちゃん」
017.stcm2 0x16850 静希ちゃんのねぎらいの言葉が、僕の身体をい
017.stcm2 0x168a8 やしていきます。僕の主観ですが、エスカリボ
017.stcm2 0x16900 ルグによる復活にも匹敵するいやし効果です。
017.stcm2 0x16b58 ベノムちゃん
017.stcm2 0x16b94 「……桜殿、申し訳ありません。お助けするど
017.stcm2 0x16bec ころか、反対にご迷惑をおかけしてしまったで
017.stcm2 0x16c44 あります」
017.stcm2 0x16c8c ベノムちゃんは、僕を助けようとしておぼれた
017.stcm2 0x16ce4 ことをまだ気にしていたようです。
017.stcm2 0x16d9c 「ううん、いいよ。僕は気にしてないから」
017.stcm2 0x16eec ベノムちゃん
017.stcm2 0x16f28 「自分は、桜殿があぶないと思ったら急に胸が
017.stcm2 0x16f80 苦しくなって、いても立ってもいられなかった
017.stcm2 0x16fd8 であります……」
017.stcm2 0x1712c 静希ちゃん
017.stcm2 0x17164 「え……？　ベノムちゃん……？」
017.stcm2 0x17244 「大丈夫だよベノムちゃん。大げさだなあ」
017.stcm2 0x172ac 僕は、ベノムちゃんの不安を打ち消すように言
017.stcm2 0x17304 いました。
017.stcm2 0x1740c あれ？　静希ちゃんがなにか言いかけたような
017.stcm2 0x17464 気がしますが、なんでしょうか。
017.stcm2 0x17518 「静希ちゃん、なにか言った？」
017.stcm2 0x1765c 静希ちゃん
017.stcm2 0x17694 「ううん、なんにも」
017.stcm2 0x17740 「ふーん、それならいいんだけど」
017.stcm2 0x17858 そして、少しの沈黙が続いて、
017.stcm2 0x17a3c 静希ちゃん
017.stcm2 0x17a74 「それじゃあ、また月曜日にね。
017.stcm2 0x17ac0 行こ、ベノムちゃん」
017.stcm2 0x17d04 ベノムちゃん
017.stcm2 0x17d40 「は、はい。今日はありがとうございました！
017.stcm2 0x17d98 失礼するであります！」
017.stcm2 0x17e44 「うん、またね。静希ちゃん、ベノムちゃん」
017.stcm2 0x17f30 ベノムちゃんは僕に頭を下げると、静希ちゃん
017.stcm2 0x17f88 よりも先に、そそくさと歩いていってしまいま
017.stcm2 0x1808c 意図せず、僕と静希ちゃんが残された形になり、
017.stcm2 0x180e8 静希ちゃんはつぶやきます。
017.stcm2 0x18244 静希ちゃん
017.stcm2 0x1827c 「……桜くんって、みんなにやさしいから」
017.stcm2 0x18494 静希ちゃん
017.stcm2 0x184cc 「ううん、なんでもない。ばいばい、桜くん」
017.stcm2 0x185cc 「う、うん、ばいばい、静希ちゃん」
017.stcm2 0x186b0 手を振って離れていく、僕の幼なじみ。
017.stcm2 0x18714 振り返した僕の手には、熱を持ったようにじん
017.stcm2 0x1876c わりとした感覚が残っています。
017.stcm2 0x187c8 その感触に思いをはせるよりはやく日は暮れて、
017.stcm2 0x18824 夜が来て、――秋は、ふけていくのです。
017.stcm2 0x18ad0 日の暮れつつある、ガウディ・スポーツセンター
017.stcm2 0x18b2c からの帰り道。
017.stcm2 0x18b78 ベノムちゃんは静希ちゃんにお任せして、残り
017.stcm2 0x18bd0 のメンバーと共に、僕は帰途につきました。
017.stcm2 0x18c90 「はあ、みんなお疲れさま……」
017.stcm2 0x18e74 ザクロちゃん
017.stcm2 0x18eb0 「あ、いえ、桜さんこそ大変なことに……」
017.stcm2 0x18f18 ザクロちゃんは僕の身体を気づかうように、心
017.stcm2 0x18f70 配そうな目を僕に向けました。
017.stcm2 0x19028 さて、あれからの僕ですが。
017.stcm2 0x19080 まずはベノムちゃんを連れてプールから上がり、
017.stcm2 0x190dc その足（猛ダッシュ）で消毒槽に飛び込み、全
017.stcm2 0x19134 身リフレッシュ。毒を洗い流したのです。
017.stcm2 0x19198 その姿を見て、ドクロちゃんは拍手喝采。僕は
017.stcm2 0x191f0 腹が立ちましたが、後が面倒になりそうなので
017.stcm2 0x19248 黙っておきました。
017.stcm2 0x1943c ドクロちゃん
017.stcm2 0x19478 「ホント、桜くんってば、落ち着きがないんだ
017.stcm2 0x194d0 からっ。息つぎの時もハアハアしちゃってさ」
017.stcm2 0x195b8 「息つぎはハアハアしたっていいでしょ！泳い
017.stcm2 0x19610 でるんだから、酸素、超ほしいよ！」
017.stcm2 0x19758 ドクロちゃん
017.stcm2 0x19794 「酸素酸素……って、桜くんは欲望丸出しだよ
017.stcm2 0x19888 「ドクロちゃんは、僕に呼吸を自制しろと言う
017.stcm2 0x198e0 のですか？」
017.stcm2 0x19948 ドクロちゃんの発言に、意味なんか求めても仕
017.stcm2 0x199a0 方ありません。僕はとりあえず、ドクロちゃん
017.stcm2 0x199f8 を無視することにしました。
017.stcm2 0x19c58 サバトちゃん
017.stcm2 0x19c94 「なんだか、お風呂で泳いでるみたいだったで
017.stcm2 0x19d30 なんともほほえましい感想はサバトちゃん。
017.stcm2 0x19d88 そうです、僕はこういうのがほしかったんです。
017.stcm2 0x19fe0 ザクロちゃん
017.stcm2 0x1a01c 「ふふふ……広くてあたたかかったですからね」
017.stcm2 0x1a088 ザクロちゃんとサバトちゃんのやり取りは、ま
017.stcm2 0x1a0e0 るでお母さんと子ども。はじめての温水プール
017.stcm2 0x1a138 の帰りですか？
017.stcm2 0x1a23c そして、僕たち一行がある地点に差しかかると、
017.stcm2 0x1a42c 「……お、じゃあ、俺はこっちだから。みんな
017.stcm2 0x1a484 それじゃあな」
017.stcm2 0x1a528 「ああ、じゃあな宮本」
017.stcm2 0x1a664 「けっこう楽しかったぜ。ありがとな、桜」
017.stcm2 0x1a74c 僕の親友もまた、ごく普通の感想をくれるので
017.stcm2 0x1a7a4 す。やっぱり、変なのはドクロちゃんだけでし
017.stcm2 0x1a868 僕は宮本の背中を見送り……そこで、ふと気が
017.stcm2 0x1a8c0 付きます。
017.stcm2 0x1a908 ベノムちゃんに、今日の成果がどうだったのか
017.stcm2 0x1a960 聞くのをすっかり忘れていました。
017.stcm2 0x1a9dc ……まあ、いいでしょう。
017.stcm2 0x1aa5c スポーツフェスティバルでベノムちゃんも言っ
017.stcm2 0x1aab4 ていましたが、みんなが楽しかったのなら、
017.stcm2 0x1ab0c 本来の目的から少し外れても……。
017.stcm2 0x1ad0c 「今日はすごく楽しかったザンス！」
017.stcm2 0x1adc4 「ザンスさんだけは、楽しませてもしょうがな
017.stcm2 0x1aec8 いることさえ忘れていた変態が姿を見せました。
017.stcm2 0x1af24 せっかくの夕日も、モヒカンのピンク色で台無
017.stcm2 0x1af7c しにされた気がします。
017.stcm2 0x1afd0 どうせ今日も、水着姿のみんなの写真を撮って
017.stcm2 0x1b028 喜んでいたんです。そうに決まっています。
017.stcm2 0x1b0e8 「ザンスさんは太陽の下を歩いて、
017.stcm2 0x1b138 恥ずかしくないんですか？」
017.stcm2 0x1b370 「ミ、ミィはそんなダークサイドの天使じゃ
017.stcm2 0x1b3c8 ないザンス！　まっとうに生きてるザンスよ」
017.stcm2 0x1b430 そう言ったザンスのポケットから、なにか紙の
017.stcm2 0x1b488 ようなものが１枚落ちました。裏返しですが、
017.stcm2 0x1b4e0 写真のようです。
017.stcm2 0x1b588 「ザンスさん、写真、落としましたよ？」
017.stcm2 0x1b5ec 僕はそれを拾い上げます。
017.stcm2 0x1b840 「あ、それは……！」
017.stcm2 0x1b894 ザンスと写真。このパターンは……！
017.stcm2 0x1b94c 「ほら、やっぱりだ！　またイヤらしい写真を
017.stcm2 0x1b9a4 撮ってる！　これが証拠だ！」
017.stcm2 0x1ba58 その写真をひっくり返してみると、写っている
017.stcm2 0x1bab0 のは……。
017.stcm2 0x1bc1c 「こ、これは……！　僕！？」
017.stcm2 0x1bc78 見れば、そこには僕がベノムちゃんに触られて、
017.stcm2 0x1bcd4 病的に変色している姿が写っていました。
017.stcm2 0x1bf00 ドクロちゃん
017.stcm2 0x1bf3c 「すごーい、よくとれてるー。桜くんが紫なと
017.stcm2 0x1bf94 ころもきれいだよねっ」
017.stcm2 0x1c040 「ちょっと、ドクロちゃん、
017.stcm2 0x1c088 なに見てるんですか！？」
017.stcm2 0x1c0e0 ドクロちゃんの手には、僕の手にあるものと同
017.stcm2 0x1c138 じ写真。
017.stcm2 0x1c364 「思い出として配ったザンス」
017.stcm2 0x1c418 「なんてことしたんだキサマ！　僕の思い出し
017.stcm2 0x1c470 たくない１シーンを勝手に拡大するな！」
017.stcm2 0x1c4d4 ザンスにつかみかかろうとしたとき、横からた
017.stcm2 0x1c52c め息まじりの声が聞こえました。
017.stcm2 0x1c8c8 ザクロちゃん
017.stcm2 0x1c904 「桜さんが、こんなにはっきりと……」
017.stcm2 0x1ca4c サバトちゃん
017.stcm2 0x1ca88 「おうちに持って帰るですぅ」
017.stcm2 0x1cb3c 「ああっ！　みんないつの間にもらったの！？
017.stcm2 0x1cb94 ザンスめ、何枚焼き増ししたんだ！」
017.stcm2 0x1cd04 「うわ、ドクロちゃん、写真落としてる落とし
017.stcm2 0x1cd5c てる！　僕の変な写真を町内にばらまかないで
017.stcm2 0x1cdb4 よおおおお！！」
018.stcm2 0x1c0 第４話　はじまりはじまり！
018.stcm2 0x420 晴れやかな午後。
018.stcm2 0x460 外で遊ぶ子どもの声が、のどかな雰囲気をさら
018.stcm2 0x4b8 に高めていました。
018.stcm2 0x508 今日は学校の授業も終わり、放課後の楽しみは
018.stcm2 0x560 学生の権利だと言わんばかりに、自由な時間が
018.stcm2 0x5b8 過ぎていきます。
018.stcm2 0x608 この時間はみんな、宿題なんて言葉は脳の中か
018.stcm2 0x660 ら外されています。今は、どれだけ過ぎゆく時
018.stcm2 0x6b8 間を楽しく過ごすかが重要なのです。
018.stcm2 0x740 しかしながら僕はちがいました。机に向かい、
018.stcm2 0x798 現在、数学の宿題を進めています。今どき勤勉
018.stcm2 0x7f0 な学生だとほめるなら、おほめください。
018.stcm2 0x854 鉛筆はカリカリとした音を立て、ノートの上に
018.stcm2 0x8ac 走ります。消しゴムは極力使わないように心が
018.stcm2 0x904 けます。カスが残ると、バレてしまいますから。
018.stcm2 0x970 それは、あまりに高速の筆記。……まるで、今
018.stcm2 0x9c8 の僕をなにかにおびえているかのようだと思う
018.stcm2 0xa20 人もいるかもしれません。
018.stcm2 0xa78 そうなのです。僕はおびえているのです。
018.stcm2 0xb20 ガチャッ！
018.stcm2 0xd00 部屋のドアが開く音に、僕は急速に反応しまし
018.stcm2 0xe1c 僕は大急ぎで、引き出しの中に宿題のノートを
018.stcm2 0xe74 放り込みました。鉛筆は放り投げると、きれい
018.stcm2 0xecc な放物線を描いて、ペン立てに刺さります。
018.stcm2 0x1120 ドクロちゃん
018.stcm2 0x115c 「桜くーーん！　おやつ持ってきたよーー！
018.stcm2 0x11b4 一緒に食べようよーー」
018.stcm2 0x1260 「ド、ドクロちゃんおかえり。ありがとう」
018.stcm2 0x12c8 僕は机から離れて、宿題などやっていないと
018.stcm2 0x1320 いう顔をしました。
018.stcm2 0x1370 なぜなら、宿題をやっているところをドクロちゃ
018.stcm2 0x13cc んに見つかろうものなら、彼女にあの手この手
018.stcm2 0x1424 で邪魔されるからです。
018.stcm2 0x14d4 あるとき、宿題しているところを見つかった僕
018.stcm2 0x152c は、撲殺されてしまいました。
018.stcm2 0x1588 またあるとき、宿題のノートを見つけられた僕
018.stcm2 0x15e0 は、目の前でノートをびりびりに破かれました。
018.stcm2 0x164c 次はなんでしょう。シャープペンや線引きなど、
018.stcm2 0x16a8 筆記用具をすべてコナゴナにされるかもしれま
018.stcm2 0x1744 彼女は僕に勉強をさせず、
018.stcm2 0x178c 未来でバカに育つように仕向けているのです。
018.stcm2 0x17f4 たとえば、こんなことも……。
018.stcm2 0x1894 本当に、彼女が駆使するのは、ありとあらゆる
018.stcm2 0x18ec 手と言っていいでしょう。
018.stcm2 0x1944 そうすれば、すべての女性の姿を１２歳にして
018.stcm2 0x199c しまうような世界を実現することもないだろう、
018.stcm2 0x1be0 ドクロちゃん
018.stcm2 0x1c1c 「桜くん、机に向かってなにをやっていたの？」
018.stcm2 0x1d08 「なぁんにも！？　なんにもしてないよ？　机
018.stcm2 0x1d60 に向かって、青春の意義について考えてたんだ。
018.stcm2 0x1dbc 今度、作文にでも書こうかな！」
018.stcm2 0x1e18 親切にもドクロちゃんがおやつを取りにいく、
018.stcm2 0x1e70 と言ってくれたので、僕はそのスキに少しでも
018.stcm2 0x1ec8 宿題を進めようと机に向かったのです。
018.stcm2 0x1f2c そんなこと絶対に言えません。
018.stcm2 0x1f88 ドクロちゃんは僕がテスト勉強や宿題をするこ
018.stcm2 0x1fe0 とを、どこかの条約で禁止されてるんじゃない
018.stcm2 0x2038 かというくらい、厳しく取り締まるのです。
018.stcm2 0x20a0 見つかろうものなら、
018.stcm2 0x20e4 先に挙げた例のようにひどい目にあわされます。
018.stcm2 0x2260 ドクロちゃん
018.stcm2 0x229c 「ふふっ。桜くんももう中学生だもんね。
018.stcm2 0x22f0 お母さんには、ナイショにしといてあげるよ」
018.stcm2 0x23b0 「お母さんにナイショにしておいてほしいこと
018.stcm2 0x2408 なんてやってないよ。それよりドクロちゃん、
018.stcm2 0x2460 おやつはなにを持ってきたの？」
018.stcm2 0x24fc どうやら、宿題のことはなんとかごまかせたよ
018.stcm2 0x2554 うです。
018.stcm2 0x2680 ドクロちゃん
018.stcm2 0x26bc 「今日のおやつはドーナツと……レモンティー
018.stcm2 0x2714 をたっぷりのミルクで（もじもじ）」
018.stcm2 0x279c 差し出されたカップには、ＣＴスキャンの画像
018.stcm2 0x27f4 のように丸くスライスされたレモンが浮かんだ
018.stcm2 0x284c ミルクティー。
018.stcm2 0x2918 「うわー、だ、だめだよドクロちゃん！　牛乳
018.stcm2 0x2970 とレモンスライス一緒に入れたら……あーあ。
018.stcm2 0x29c8 ほらぁ、なんか白いの固まっちゃってるよ？」
018.stcm2 0x2b18 ドクロちゃん
018.stcm2 0x2b54 「そこがまた味わい深いんだよー！　桜くんは
018.stcm2 0x2bac わかってないなあ。このどろっとしたのをドー
018.stcm2 0x2c04 ナツにつけて……」
018.stcm2 0x2cac 「なにそれキモチワルイ！　僕やだよ、そんな
018.stcm2 0x2d04 おやつ！！　それって牛乳のたんぱく質が固まっ
018.stcm2 0x2d60 たやつでしょ！？」
018.stcm2 0x2e08 「味わいもなにも、あったもんじゃない上にドー
018.stcm2 0x2e64 ナツに乗っけてなんて……！　というか、それ、
018.stcm2 0x2ec0 おなか壊さないの？」
018.stcm2 0x2ffc ドクロちゃん
018.stcm2 0x3038 「もう……桜くんってばいっつもタンパクなん
018.stcm2 0x3090 だから！（もぐもぐ）　そこがまた……桜くん
018.stcm2 0x30e8 らしいけどっ（ごくり）」
018.stcm2 0x3140 そこがまた、そこがまた、ってなんのこだわり
018.stcm2 0x3198 なんでしょうか。僕にはさっぱり理解できませ
018.stcm2 0x31f0 ん。というか、食べてるよこの娘！
018.stcm2 0x32a8 「ドクロちゃんの中の僕って、どんな人間なん
018.stcm2 0x3300 だろう……。いつも思うけど、現実とかけ離れ
018.stcm2 0x3358 過ぎてない？」
018.stcm2 0x33cc そんなことを言っていてもはじまりません。な
018.stcm2 0x3424 んだかドロドロしたミルクティーは、もったい
018.stcm2 0x347c ないけどあとで捨ててきましょう。
018.stcm2 0x34dc とりあえず、なんともなさそうなドーナツだけ
018.stcm2 0x3534 いただくことにして、僕が手を伸ばすと……。
018.stcm2 0x35e0 ぴ〜んぽ〜ん♪
018.stcm2 0x3714 来客の呼び鈴です。僕はドーナツに伸ばした手
018.stcm2 0x376c を引っ込めて、立ち上がりました。
018.stcm2 0x37cc いつだったか、この音に飽きたドクロちゃんが、
018.stcm2 0x3828 うちの呼び鈴を【ドクロちゃんのテーマ】に改
018.stcm2 0x3880 造しようとしたことがあります。
018.stcm2 0x38dc ですが、それは全力で阻止しました。その結果、
018.stcm2 0x3938 今もこの変わらぬ音が来客を告げてくれるとい
018.stcm2 0x3990 うわけです。……普通って、いいね。
018.stcm2 0x3a48 「ドクロちゃん、お客さんみたいだからちょっ
018.stcm2 0x3aa0 と行ってくるよ。僕のドーナツ食べないでね」
018.stcm2 0x3bf0 ドクロちゃん
018.stcm2 0x3c2c 「それは、食べてほしいっていう感情の裏返し
018.stcm2 0x3c84 だよねっ。桜くんは思春期を乗り越え、いよい
018.stcm2 0x3cdc よ反抗期まぢか！」
018.stcm2 0x3d84 「ホントに食べないでほしいの！」
018.stcm2 0x3de4 僕はドクロちゃんに釘を刺してから、階段を下
018.stcm2 0x3e3c りていきました。
018.stcm2 0x41f8 しんとした玄関に僕の足音だけが響き、ドアが
018.stcm2 0x4250 目に入りました。ドア１枚隔てた向こう側にお
018.stcm2 0x42a8 客さんがいるはずです。
018.stcm2 0x42fc １階に下りてきても誰もいません。それもその
018.stcm2 0x4354 はず、ザクロちゃんは今、お買い物に出ている
018.stcm2 0x43ac はずでした。
018.stcm2 0x43f8 すると後ろから足音がもう１つ。
018.stcm2 0x45d8 ドクロちゃん
018.stcm2 0x4614 「桜くーん、ボクもお出迎えするよ」
018.stcm2 0x46cc 「えっ？　アンタなんで来るの！？　それだっ
018.stcm2 0x4724 たら、最初からドクロちゃんが出てくれれば……
018.stcm2 0x4780 いや、だめ！　それは絶対だめ！」
018.stcm2 0x47e0 ドクロちゃんに任せたらロクなことにならない
018.stcm2 0x4838 気がします。そうするくらいなら、まだ一緒に
018.stcm2 0x4890 出た方がいいでしょう。
018.stcm2 0x49cc ドクロちゃん
018.stcm2 0x4a08 「だってドーナツ食べ終わっちゃったんだもん」
018.stcm2 0x4af4 「はやくない？　僕のドーナツは食べてないよ
018.stcm2 0x4c94 ドクロちゃん
018.stcm2 0x4cd0 「真ん中は食べてなーい！」
018.stcm2 0x4da8 「そんなとんちクイズみたいなコト言っても
018.stcm2 0x4e00 だめ！　食べたんでしょ！　そうなんでしょ！」
018.stcm2 0x4ec4 「もう、どうしてドクロちゃんは自分の欲望を
018.stcm2 0x4f1c いつもガマンできないの！？」
018.stcm2 0x505c ドクロちゃん
018.stcm2 0x5098 「きゃははっ、うそだよー。桜くんも、ドーナ
018.stcm2 0x50f0 ツみたいな洋菓子でいちいち怒ってたら、この
018.stcm2 0x5148 先どうなるコトやら」
018.stcm2 0x51f4 「どうなるコトやらって知らないよそんなの！
018.stcm2 0x524c なにそれ、今後は和菓子などでも僕を苦しめよ
018.stcm2 0x52a4 うってコンタンなんですか！？」
018.stcm2 0x5344 ぴ〜んぽ〜ん♪
018.stcm2 0x54d0 「はっ！　もうドクロちゃんのせいでお客さん
018.stcm2 0x5528 またせちゃってる！　ごめんなさい、いま出まー
018.stcm2 0x55c8 そうです、僕はお客さんを出迎えるために玄関
018.stcm2 0x5620 まできたんでした。あやうく、忘れて放置して
018.stcm2 0x5678 しまうところでした。
018.stcm2 0x578c 僕はドアに近づき、カチリとカギを外します。
018.stcm2 0x584c 「どうぞー」
018.stcm2 0x5898 なんだか、ここでこうしていると、ベノムちゃ
018.stcm2 0x58f0 んをはじめて家で迎えたときを思い出します。
018.stcm2 0x5948 あとザクロちゃんがいればカンペキなのですが。
018.stcm2 0x5a9c そして、ガチャリとドアが開くと現れるのは、
018.stcm2 0x5d20 ベノムちゃん
018.stcm2 0x5d5c 「失礼いたします」
018.stcm2 0x5dac あのときと同じ言葉で現れる、ベノムちゃんな
018.stcm2 0x5e04 のでした。
018.stcm2 0x5e4c ……ただ、あのときほど言葉に硬さを感じない
018.stcm2 0x5ea4 のは、僕たちとベノムちゃんが打ち解けられた
018.stcm2 0x5efc 証拠のように思えました。
018.stcm2 0x5fac 「あっ、ベノムちゃん。どうしたの？　偶然だ
018.stcm2 0x6004 ね、ちょうどベノムちゃんのことを思い出して
018.stcm2 0x605c いたところだよ」
018.stcm2 0x60ac 僕が苦笑しながらそう告げると、ベノムちゃん
018.stcm2 0x6104 は赤くなってしまいます。
018.stcm2 0x6244 ベノムちゃん
018.stcm2 0x6280 「は……！　さ、桜殿が自分を思い出していて
018.stcm2 0x62d8 くださったでありますか！？　こ、光栄であり
018.stcm2 0x6330 ます……」
018.stcm2 0x63d0 「えーと、ほら、ドクロちゃんと一緒に迎えに
018.stcm2 0x6428 出たから、ベノムちゃんがはじめて来たときと
018.stcm2 0x6480 同じだなーって思ったんだ」
018.stcm2 0x65c0 ベノムちゃん
018.stcm2 0x65fc 「ドクロ殿でありますか？　ドクロ殿がどちら
018.stcm2 0x6654 にいらっしゃるでありますか？」
018.stcm2 0x6708 「え？　あ、ホントにいない！」
018.stcm2 0x6764 僕は振り返り、辺りを見回しますがドクロちゃ
018.stcm2 0x67bc んの姿など、どこにもありません。
018.stcm2 0x685c ドクロちゃんはベノムちゃんが来たので、姿を
018.stcm2 0x68b4 隠したようです。なんという素早さでしょうか。
018.stcm2 0x6978 「ごめんね。それで、ベノムちゃんは、なにか
018.stcm2 0x69d0 用事？　ああそうか、ドクロちゃんの健康診断
018.stcm2 0x6a28 だね？」
018.stcm2 0x6a70 僕がドクロちゃんをさがしに行こうとすると、
018.stcm2 0x6ac8 それを引き留めるのはベノムちゃんでした。
018.stcm2 0x6c18 ベノムちゃん
018.stcm2 0x6c54 「いえ、今日は健康診断に参ったわけでは……」
018.stcm2 0x6eb0 静希ちゃん
018.stcm2 0x6ee8 「桜くん、お邪魔します」
018.stcm2 0x6f40 そう言って、入って来たのは制服姿の静希ちゃ
018.stcm2 0x6f98 ん。学校帰りなのでしょう、うれしい来訪です。
018.stcm2 0x705c 「あれ？　静希ちゃんも一緒だったの？」
018.stcm2 0x71a8 静希ちゃん
018.stcm2 0x71e0 「うん、ちょっと用事があってね。実は、この
018.stcm2 0x7238 子なんだけど……」
018.stcm2 0x7400 「ぞ、臓物丸（ぞうもつまる）！？」
018.stcm2 0x7488 くぅーん、と人懐っこそうに鳴く小柄な犬は確
018.stcm2 0x74e0 かに臓物丸のようです。
018.stcm2 0x7534 この臓物丸という気持ち悪い名前は、この犬の
018.stcm2 0x758c 本名ではありません。この犬には【ライル】と
018.stcm2 0x75e4 いう立派な名前があるのです。
018.stcm2 0x7640 きれいな毛並みが、かわいらしさの中にもどこ
018.stcm2 0x7698 か気品漂わせる、ミニチュアダックスフントと
018.stcm2 0x76f0 いう犬種です。
018.stcm2 0x773c 彼（オスですから）は、僕たちの後輩、聖ゲル
018.stcm2 0x7794 ニカ学園の１年生である倉木さんに飼われてい
018.stcm2 0x7830 ひょんなことからドクロちゃんに拾われ、【臓
018.stcm2 0x7888 物丸】と命名されてしまいましたが、すぐに、
018.stcm2 0x78e0 倉木さんの元に戻ることができました。
018.stcm2 0x7944 彼は、ライルです。……ですが、ドクロちゃん
018.stcm2 0x799c はなぜか臓物丸と呼び続けています。
018.stcm2 0x79fc ドクロちゃんは臓物丸のことが大好きで、彼が
018.stcm2 0x7a54 倉木さんの家に戻るときも相当に騒いだもので
018.stcm2 0x7af0 以来、臓物丸を見かけるとドクロちゃんは我を
018.stcm2 0x7b48 忘れたように、臓物丸に向かって突進していく
018.stcm2 0x7ba0 ようになってしまったのです。
018.stcm2 0x7dc4 静希ちゃん
018.stcm2 0x7dfc 「ベノムちゃんとアルカディア商店街に行った
018.stcm2 0x7e54 ら、倉木さんに会ったんだけど、家族で出かけ
018.stcm2 0x7eac るからこの子をどうしようか困ってたみたいで」
018.stcm2 0x7f70 「それで、預かってきたんだ？」
018.stcm2 0x7fcc 静希ちゃんはうなずきます。
018.stcm2 0x8024 倉木さんの家は、アルカディア商店街で酒屋さ
018.stcm2 0x807c んを営んでいます。きっと、店先に臓物丸を連
018.stcm2 0x80d4 れて来ていたところだったのでしょう。
018.stcm2 0x8220 静希ちゃん
018.stcm2 0x8258 「倉木さんは、おうちの人と田舎に行っちゃう
018.stcm2 0x82b0 んだって。明日から行って、２泊で帰ってくる
018.stcm2 0x8308 予定みたいなんだけど……」
018.stcm2 0x8448 静希ちゃん
018.stcm2 0x8480 「でもこの子、すごく恐がりでしょう？　田舎
018.stcm2 0x84d8 でなにかの拍子にいなくなっちゃったら、大変
018.stcm2 0x8530 だと思うの」
018.stcm2 0x85d4 「なるほどね……あれ、でもどうしてウチへ？」
018.stcm2 0x8728 静希ちゃん
018.stcm2 0x8760 「うん、この子、桜くんのおうちで預かれない
018.stcm2 0x87b8 かなと思って。ほら、ドクロちゃんってこの子
018.stcm2 0x8810 のことが大好きでしょ？　喜ぶと思ったの」
018.stcm2 0x8960 静希ちゃん
018.stcm2 0x8998 「もちろん、倉木さんは桜くんのおうちでもい
018.stcm2 0x89f0 いって言ってくれたし、桜くんの都合が悪けれ
018.stcm2 0x8a48 ば、私が預かろうと思って」
018.stcm2 0x8aa0 静希ちゃんは、なんて気の利く女の子なのでしょ
018.stcm2 0x8afc う。ドクロちゃんのことまで気にかけてくれる
018.stcm2 0x8b54 なんて、なかなかできることではありません。
018.stcm2 0x8bbc 僕の答えは決まっています。もちろん、静希ちゃ
018.stcm2 0x8c18 んのやさしさに応えなくてはなりません。
018.stcm2 0x8cd4 「ありがとう、静希ちゃん。ドクロちゃんも
018.stcm2 0x8d2c 喜ぶよ。もちろんウチで預からせてもらうから」
018.stcm2 0x8e7c 静希ちゃん
018.stcm2 0x8eb4 「よかった、ありがとう。それじゃあ、お願い
018.stcm2 0x8f0c するね。あと、倉木さんからドッグフードとか
018.stcm2 0x8f64 いろいろもらってきたから」
018.stcm2 0x8ffc 僕が一存で決めていいかどうかはわかりません
018.stcm2 0x9054 が、ドクロちゃんを住まわせることに比べたら、
018.stcm2 0x90b0 犬を預かることくらい、なんでもないでしょう。
018.stcm2 0x911c お父さんとお母さんには後で説明すれば、きっ
018.stcm2 0x9174 と大丈夫。
018.stcm2 0x9214 「うん、わかった。それじゃあ……」
018.stcm2 0x951c ベノムちゃん
018.stcm2 0x9558 「それでは桜殿、よろしくお願いします」
018.stcm2 0x9650 ベノムちゃんは満面の笑顔で、臓物丸を胸元に
018.stcm2 0x96a8 抱き上げ、僕に手渡そうとします。
018.stcm2 0x9760 「うわーッ！　ベノムちゃん！　な、なに
018.stcm2 0x97b4 やってんの！？」
018.stcm2 0x98ac ベノムちゃん
018.stcm2 0x98e8 「なにとおっしゃられても、桜殿にこの臓物丸
018.stcm2 0x9940 をお願いしようと……」
018.stcm2 0x99bc 静希ちゃん
018.stcm2 0x99f4 「ベ、ベノムちゃん、その子を下におろして！」
018.stcm2 0x9c18 見れば、ベノムちゃんの腕の中で、臓物丸の
018.stcm2 0x9c70 元気がどんどんなくなっていきます。
018.stcm2 0x9cd0 犬は毛があるからでしょうか、僕たちほど症状
018.stcm2 0x9d28 がひどくないようですが、危険なことに変わり
018.stcm2 0x9d80 はありません。
018.stcm2 0x9e74 ベノムちゃん
018.stcm2 0x9eb0 「しかし、臓物丸を桜殿に……」
018.stcm2 0x9f64 「大丈夫、臓物丸はかしこい犬だから、
018.stcm2 0x9fb8 ちゃんと自分で僕の家に上がれるんだ！」
018.stcm2 0xa044 ベノムちゃん
018.stcm2 0xa080 「そうでしたか、それならば……桜殿と臓物丸
018.stcm2 0xa0d8 自身にお任せしましょう」
018.stcm2 0xa430 そう言って、ベノムちゃんが臓物丸を地面にお
018.stcm2 0xa488 ろしました。臓物丸はその場にくたっ、寝転び
018.stcm2 0xa4e0 ました。
018.stcm2 0xa580 「これは本当に油断してた……！　いけない、
018.stcm2 0xa5d8 それどころじゃない！　ドクロちゃん、ドクロ
018.stcm2 0xa630 ちゃーーーん！！　臓物丸だよーーーー！！」
018.stcm2 0xa698 玄関に僕の声が響き、すぐさま
018.stcm2 0xa6e4 ドタドタと騒がしい足音が聞こえてきました。
018.stcm2 0xa988 ドクロちゃん
018.stcm2 0xa9c4 「ぞうもつまるぅーーーー！！ああっ、会いた
018.stcm2 0xaa1c かったよ、臓物丸！」
018.stcm2 0xaac8 「ドクロちゃん、感動の再会は後だよ！　臓物
018.stcm2 0xab20 丸はね、今すごくお風呂に入りたいらしいんだ！
018.stcm2 0xab7c はやく、お風呂に入れてあげて！」
018.stcm2 0xabdc お風呂に入れば、ミーミングの毒を洗い流せる
018.stcm2 0xac34 はずなのです。
018.stcm2 0xad68 ドクロちゃん
018.stcm2 0xada4 「うん、わかった。ほら臓物丸、お風呂行くよ」
018.stcm2 0xaea8 弱々しい鳴き声とともに、臓物丸はドクロちゃ
018.stcm2 0xaf00 んに抱きかかえられて、お風呂場へ消えていき
018.stcm2 0xaf58 ました。
018.stcm2 0xaff8 「はぁ、これでよし……」
018.stcm2 0xb1fc ベノムちゃん
018.stcm2 0xb238 「しかし、犬とは愛らしいものでありますな」
018.stcm2 0xb2f8 「……そう？　ベノムちゃんが犬を好きだって
018.stcm2 0xb350 いうのは、はじめて聞いたな」
018.stcm2 0xb494 ベノムちゃん
018.stcm2 0xb4d0 「はい。どこかはかなげで、それでいながら懸
018.stcm2 0xb528 命に生きているという印象が、とても魅力的で
018.stcm2 0xb580 あります」
018.stcm2 0xb620 「立派で、体格のいい犬もたくさんいるけど……
018.stcm2 0xb67c うん、まあ、犬はかわいいね」
018.stcm2 0xb7c0 ベノムちゃん
018.stcm2 0xb7fc 「桜殿も犬がお好きでありますか。ご理解いた
018.stcm2 0xb854 だけてうれしいであります」
018.stcm2 0xb8ac ベノムちゃんは、触れるだけでそのはかなげな
018.stcm2 0xb904 命を摘み取ってしまいかねない身です。
018.stcm2 0xb968 犬を抱きしめることもままならないというのは、
018.stcm2 0xb9c4 なんともかわいそうなことではないですか。
018.stcm2 0xba2c ベノムちゃんは、それでもにこにこと笑って、
018.stcm2 0xba84 犬を好きだと言うのです。
018.stcm2 0xbb74 「……あ、そうだ。ごめんね２人ともこんなと
018.stcm2 0xbbcc ころで立ち話させちゃって。どうぞ上がってっ
018.stcm2 0xbe58 静希ちゃん
018.stcm2 0xbe90 「あ、ううん、いいの。すぐ帰るつもりだった
018.stcm2 0xbf54 静希ちゃんが手を横に振ったとき、再びドアが
018.stcm2 0xbfac 開きました。
018.stcm2 0xc250 ザクロちゃん
018.stcm2 0xc28c 「ただいま戻りました。あ……静希さん、
018.stcm2 0xc2e0 ベノムさん。いらっしゃっていたのですか」
018.stcm2 0xc348 入ってきたのはザクロちゃん。どうやら、お買
018.stcm2 0xc3a0 い物が終わったようです。
018.stcm2 0xc4e0 ベノムちゃん
018.stcm2 0xc51c 「お邪魔しております、ザクロ殿」
018.stcm2 0xc664 静希ちゃん
018.stcm2 0xc69c 「こんにちは、ザクロちゃん。ちょうど帰ると
018.stcm2 0xc6f4 ころだったんだけど」
018.stcm2 0xc830 ザクロちゃん
018.stcm2 0xc86c 「そうでしたか、それはなんのお構いもできま
018.stcm2 0xc8c4 せんで」
018.stcm2 0xc9f0 静希ちゃん
018.stcm2 0xca28 「ううん。それじゃあ桜くん、また明日。あの
018.stcm2 0xca80 子、お願いね」
018.stcm2 0xcb24 「うん、また明日。わざわざありがとう」
018.stcm2 0xccb8 そして、静希ちゃんとベノムちゃんが帰ってい
018.stcm2 0xcd10 きました。その場に残ったのは僕とザクロちゃ
018.stcm2 0xcd68 んです。
018.stcm2 0xcec0 ザクロちゃん
018.stcm2 0xcefc 「桜さん、あの子……とは、なんのことでしょ
018.stcm2 0xcf54 うか？」
018.stcm2 0xcff4 「えっと、飼い主の人が遠くに出かけちゃうか
018.stcm2 0xd04c ら、臓物丸を預かることになったんだよ。それ
018.stcm2 0xd0a4 を今、静希ちゃんが届けに来てくれたんだ」
018.stcm2 0xd1f4 ザクロちゃん
018.stcm2 0xd230 「まあ、それはおねえさまが喜びそうですね。
018.stcm2 0xd288 ……それで、おねえさまと臓物丸さんはどちら
018.stcm2 0xd37c 「お風呂に、行ったよ？　……ベノムちゃんが、
018.stcm2 0xd3d8 臓物丸を抱っこしちゃって」
018.stcm2 0xd518 ザクロちゃん
018.stcm2 0xd554 「そ、そうでしたか……。それは大変でしたね」
018.stcm2 0xd61c ――これは、ジェットコースターじみたアクロ
018.stcm2 0xd674 バチックさでドクロちゃんの元に舞い降りた、
018.stcm2 0xd6cc たった１日だけの愛犬物語。
018.stcm2 0xda64 ドクロちゃん
018.stcm2 0xdaa0 「きゃっ、いやん！　もうっ、臓物丸？　おと
018.stcm2 0xdaf8 なしくしてなさいっ。きゃうっ！　……こらぁ、
018.stcm2 0xdb54 くすぐったいからぁー」
018.stcm2 0xdbd0 水の音、せっけんの香り、白い湯気。お風呂場
018.stcm2 0xdc28 はそれらと、うれしそうなドクロちゃんの声に
018.stcm2 0xdc80 満たされていました。
018.stcm2 0xdd68 臓物丸もまた、ドクロちゃんに身体を洗われて、
018.stcm2 0xddc4 気持ちよさそうにしていました。
018.stcm2 0xdf4c さて、お風呂場の床には真っ赤になった僕が倒
018.stcm2 0xdfa4 れています。照れているんじゃありません。流
018.stcm2 0xdffc 血です。
018.stcm2 0xe044 静希ちゃんとベノムちゃんが帰ったあと、僕は
018.stcm2 0xe09c 部屋に戻り、自分のドーナツがドクロちゃんに
018.stcm2 0xe0f4 食べられてしまっていたことに気が付きました。
018.stcm2 0xe160 そして僕はお風呂場まで抗議に向かい、そのド
018.stcm2 0xe1b8 アを力強く開けました。
018.stcm2 0xe20c そのあとは、そのままエスカリボルグをねじ込
018.stcm2 0xe264 まれ……という流れです。
018.stcm2 0xe2bc 念願かなって、僕は今ドクロちゃんと一緒にお
018.stcm2 0xe314 風呂に入っているわけです。だと言うのに、まっ
018.stcm2 0xe370 たく喜べないのはなぜでしょう。
018.stcm2 0xe41c ドクロちゃん
018.stcm2 0xe458 「ほーら、臓物丸ぅ。きれいになったねー。
018.stcm2 0xe4b0 かわいいかわいいっ」
018.stcm2 0xe504 そう言って、ひとしきり臓物丸をなでつけるド
018.stcm2 0xe55c クロちゃん。臓物丸もすっかり元気になりまし
018.stcm2 0xe5f8 そこで、ドクロちゃんは思い出します。
018.stcm2 0xe6a0 ドクロちゃん
018.stcm2 0xe6dc 「そう言えばさっき、なんか変なものがお風呂
018.stcm2 0xe734 場に飛び込んできたような……きゃっ！　桜く
018.stcm2 0xe78c んが赤くなってる！！」
018.stcm2 0xe894 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
018.stcm2 0xeae8 「ひどいじゃないか、ドクロちゃん」
018.stcm2 0xecd0 ドクロちゃん
018.stcm2 0xed0c 「だって、桜くんがボクのお風呂をのぞくのが
018.stcm2 0xed64 悪いんだもん」
018.stcm2 0xee30 「撲殺もだけど、ドーナツだよ！　食べちゃっ
018.stcm2 0xee88 たのは仕方ありません！　でも、僕はドクロちゃ
018.stcm2 0xeee4 んがウソにウソを重ねたのが許せません！」
018.stcm2 0xef4c 【ドーナツを食べたのはウソ】とさっき言って
018.stcm2 0xefa4 いたのに、まさかその言葉自体がウソだったと
018.stcm2 0xeffc は思いもしませんでした。
018.stcm2 0xf13c ドクロちゃん
018.stcm2 0xf178 「今はそんなことより臓物丸だよ。ねーねー桜
018.stcm2 0xf1d0 くん、臓物丸はどうしたの？　遊びに来たの？」
018.stcm2 0xf294 「僕は怒ってるのに【そんなこと】で片づけちゃ
018.stcm2 0xf2f0 うんだね！　……もう知らないよ！　ドクロちゃ
018.stcm2 0xf34c んなんか勝手にすればいいんだ！」
018.stcm2 0xf4f4 僕はふんと鼻から強く息をはき出し、ドクロちゃ
018.stcm2 0xf550 んから顔を背けました。今は、ドクロちゃんの
018.stcm2 0xf5a8 顔を見たくないのです。
018.stcm2 0xf5fc だって、僕はドクロちゃんを嫌いにはなりたく
018.stcm2 0xf654 ありません。だから、今はドクロちゃんから顔
018.stcm2 0xf6ac を背けていなければいけません。
018.stcm2 0xf8b8 ドクロちゃん
018.stcm2 0xf8f4 「ごめん、なさい……ボク、桜くんがそんなに
018.stcm2 0xf94c 怒ってるなんて、気付かなくて」
018.stcm2 0xf9a8 ドクロちゃんは、しゅんとして僕にあやまって
018.stcm2 0xfa00 きました。その泣きそうな声が、僕の心を激し
018.stcm2 0xfa58 く揺さぶります。
018.stcm2 0xfaa8 僕は視線を足元の臓物丸に落とします。心なし
018.stcm2 0xfb00 か、臓物丸までしゅんとしているように見えま
018.stcm2 0xfb9c 僕は臓物丸まで、おびえさせてしまっているの
018.stcm2 0xfbf4 でしょうか。
018.stcm2 0xfe30 ザクロちゃん
018.stcm2 0xfe6c 「桜さん、申し訳ありません。わたくしからも
018.stcm2 0xfec4 おわびしますので、どうか許してあげてくださ
018.stcm2 0xff1c いませんか？」
018.stcm2 0xff68 ザクロちゃんの瞳も今はくもっています。それ
018.stcm2 0xffc0 はやはり、僕が怒っているからに他ならないの
018.stcm2 0x1005c 僕は、少しだけ反省することにしました。
018.stcm2 0x10118 「あ、うぅん。僕もちょっと言いすぎたし……。
018.stcm2 0x10174 ごめんね、ドクロちゃん。今度から気をつけて
018.stcm2 0x1031c ドクロちゃん
018.stcm2 0x10358 「わかってくれればいいよ！」
018.stcm2 0x1040c 「ドクロちゃんが言うなよ！」
018.stcm2 0x10468 それはそうと、とりあえず臓物丸のことをドク
018.stcm2 0x104c0 ロちゃんにも教えておかなくてはいけません。
018.stcm2 0x10580 「えーと、それで、臓物丸は少しの間、うちで
018.stcm2 0x105d8 預かることになりました」
018.stcm2 0x107d8 ドクロちゃん
018.stcm2 0x10814 「ええええええ！？　桜くん、それホント！？
018.stcm2 0x1086c ホントにホント？　カレーライスに誓える！？」
018.stcm2 0x10930 「いや、別にカレーには誓わないけど、本当だ
018.stcm2 0x10988 よ。倉木さんが田舎に行っている間、預かって
018.stcm2 0x109e0 ほしいって」
018.stcm2 0x10b14 ドクロちゃん
018.stcm2 0x10b50 「やったあ！！　臓物丸ぅー、これからはずっ
018.stcm2 0x10ba8 と一緒だよ！」
018.stcm2 0x10c4c 「ずっとじゃない！　しあさってまでです！」
018.stcm2 0x10d98 ザクロちゃん
018.stcm2 0x10dd4 「おねえさま、よかったですね」
018.stcm2 0x10f18 ドクロちゃん
018.stcm2 0x10f54 「うん！　そうとなったら、臓物丸をお散歩さ
018.stcm2 0x10fac せなきゃ！　桜くん、行こう！」
018.stcm2 0x11060 「……え？　僕も行くの？　やだよ、ドクロちゃ
018.stcm2 0x110bc ん１人で行ってきなよ」
018.stcm2 0x11110 さすがに大好きな臓物丸と一緒なら、そんなに
018.stcm2 0x11168 無茶なことはしないでしょう。
018.stcm2 0x111c4 ですが、そこに僕が加わった場合、僕が無茶を
018.stcm2 0x1121c させられるような気がするのです。
018.stcm2 0x112d4 「あ、僕はほら、家でお留守番するヒトが必要
018.stcm2 0x1132c でしょ？　ドクロちゃん１人で行ってらっしゃ
018.stcm2 0x115b4 ドクロちゃん
018.stcm2 0x115f0 「こういうのは当番なのっ！桜くんも行かない
018.stcm2 0x11648 とだめでしょ！」
018.stcm2 0x1172c 僕はドクロちゃんに近付き、聞き分けのない子
018.stcm2 0x11784 をあやすようにドクロちゃんの頭をなでました。
018.stcm2 0x11848 「当番なら、ますます僕が行く必要なくない？
018.stcm2 0x118a0 交代で行こうよ」
018.stcm2 0x11a1c ドクロちゃんをなでつける手を止めて、僕はド
018.stcm2 0x11a74 クロちゃんに背を向けました。そして、自らの
018.stcm2 0x11acc 言葉にうなずきます。
018.stcm2 0x11b20 だって僕、おかしいこと言ってないですよね？
018.stcm2 0x11d28 自分を納得させた僕は、再びドクロちゃんに振
018.stcm2 0x11d80 り返りつつ、ピンと立てた人差し指をドクロちゃ
018.stcm2 0x11ddc んに向けながら話すのです。
018.stcm2 0x11e8c 「そうだよ。うん、明日は僕が行くか……」
018.stcm2 0x1214c ドクロちゃん
018.stcm2 0x12188 「ひゃうっ！」
018.stcm2 0x121d4 ふと気がつけば、人差し指には押し返されるよ
018.stcm2 0x1222c うな感触。
018.stcm2 0x12274 僕は、ドクロちゃんを指さしていました。
018.stcm2 0x12300 もう一度言いましょう。ドクロちゃんの胸を、
018.stcm2 0x12358 直接、指さしていたのです。
018.stcm2 0x123b0 それは、圧倒的な弾力とあたたかさ。指先ひと
018.stcm2 0x12408 つでも、そのすべてが僕に存在感を猛アピール
018.stcm2 0x12460 してくるのです！
018.stcm2 0x12588 「こ、これは……まずい……ッ！」
018.stcm2 0x126d0 ドクロちゃん
018.stcm2 0x1270c 「やああああああんっ！！」
018.stcm2 0x12e9c ちゅぼむ――っ！！
018.stcm2 0x12eec 急速にドクロちゃんの手の中に現れたエスカリ
018.stcm2 0x12f44 ボルグ。水平に振るわれた、そのいばらのよう
018.stcm2 0x12f9c な鋼鉄が僕の上半身を強くぶちました。
018.stcm2 0x13000 僕は臓物丸の目の前で、居間に舞います。後ろ
018.stcm2 0x13058 にのけぞりながら宙に浮かぶ様は、まるで走り
018.stcm2 0x130b0 高跳びの背面跳びのようでした。
018.stcm2 0x13338 ドクロちゃん
018.stcm2 0x13374 「ああっ、ボクったら、大変なことを……！」
018.stcm2 0x133dc ドクロちゃんはエスカリボルグを片手持ち、犬
018.stcm2 0x13434 のお散歩のような気軽さで、それをくるくると
018.stcm2 0x1348c 振り回します。
018.stcm2 0x13604 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
018.stcm2 0x13bd4 すると、エスカリボルグの先端からドーナツ状
018.stcm2 0x13c2c の光のわっかが【ぷわぷわぷわ】と、いくつも
018.stcm2 0x13c84 照射されます。
018.stcm2 0x13d6c すると、まるでドーナツを揚げるように僕の肌
018.stcm2 0x13dc4 に血色が戻ってくるじゃありませんか。今日は
018.stcm2 0x13e1c なにかとドーナツに縁のある日です。
018.stcm2 0x13f7c 「ドクロちゃん、わかりました……ドクロちゃ
018.stcm2 0x13fd4 ん１人で散歩に行かせるのが、急に不安になっ
018.stcm2 0x1402c てきたので、一緒に行きます……」
018.stcm2 0x14210 ドクロちゃん
018.stcm2 0x1424c 「やったあ、決まり決まりー！
018.stcm2 0x14298 そうと決まれば、はやく行こうよっ！」
018.stcm2 0x1436c 天使の少女の楽しそうな声が、草壁家の居間を
018.stcm2 0x143c4 駆けめぐります。僕は疲れた表情でそれを聞く
018.stcm2 0x1441c ことしかできませんでした。
018.stcm2 0x145fc ザクロちゃん
018.stcm2 0x14638 「桜さん、おねえさま、お気をつけて行ってき
018.stcm2 0x14690 てくださいね」
018.stcm2 0x14734 「うん、ありがとう。行ってくるね」
018.stcm2 0x147f0 僕はさっそく支度をして、ドクロちゃんの要望
018.stcm2 0x14848 に応えることにしたのでした。
019.stcm2 0x30c 面倒な準備をすべて僕に押し付け、ドクロちゃ
019.stcm2 0x364 んは先に外に出て行きました。
019.stcm2 0x3c0 そして、一通り準備を終えて、僕も外に出よう
019.stcm2 0x418 と思ったとき、ふと気が付きました。
019.stcm2 0x5f4 ザクロちゃんが、臓物丸をじっと見つめたまま
019.stcm2 0x64c 動かないのです。
019.stcm2 0x69c 臓物丸がかわいらしくしっぽを振ると、ザクロ
019.stcm2 0x6f4 ちゃんの視線もまた、しっぽを追いかけるよう
019.stcm2 0x74c に動きます。
019.stcm2 0x798 少しの間、それを見ていましたが、ザクロちゃ
019.stcm2 0x7f0 んは僕の視線に気付く様子もありません。
019.stcm2 0x8d4 「……ザクロちゃん、どうしたの？」
019.stcm2 0xa1c ザクロちゃん
019.stcm2 0xa58 「えっ、あ、はい！　どうかしましたか、桜さ
019.stcm2 0xb4c 「ううん。僕よりも、ザクロちゃんがなにをし
019.stcm2 0xba4 ているのかな、って」
019.stcm2 0xce0 ザクロちゃん
019.stcm2 0xd1c 「ああ……いえ。なんでもありません、お気に
019.stcm2 0xd74 なさらないでください」
019.stcm2 0xde4 そう言って、ザクロちゃんの視線は再び、臓物
019.stcm2 0xe3c 丸に戻ります。
019.stcm2 0xf70 その片方だけ見える瞳はやさしげで、なにかを
019.stcm2 0xfc8 いつくしむ者の輝き。
019.stcm2 0x101c 間違いありません。ザクロちゃんは臓物丸のか
019.stcm2 0x1074 わいらしさに、打ち震えているところなのです。
019.stcm2 0x10e0 確かに臓物丸は毛並みも良く、見るからに愛ら
019.stcm2 0x1138 しい姿をしています。
019.stcm2 0x118c それでいて人懐っこいのですから、犬嫌いでも
019.stcm2 0x11e4 ない限り、かわいいと思うのが普通です。
019.stcm2 0x12c8 「ザクロちゃん、臓物丸をなでてあげてよ」
019.stcm2 0x1330 僕は、ザクロちゃんの背中を押してあげること
019.stcm2 0x1388 にしました。
019.stcm2 0x14bc ザクロちゃん
019.stcm2 0x14f8 「よ、よろしいのですか？　お散歩に行かれる
019.stcm2 0x1550 のでは……」
019.stcm2 0x15f4 「よろしいもなにも、なでるくらいでそんなに
019.stcm2 0x164c 時間はかからないよ」
019.stcm2 0x1788 ザクロちゃん
019.stcm2 0x17c4 「ありがとうございます、それでは……」
019.stcm2 0x1828 きっと、ザクロちゃんはドクロちゃんに遠慮し
019.stcm2 0x1880 ていたんだと思います。
019.stcm2 0x18d4 自分も臓物丸をかわいがりたいのに、再会を喜
019.stcm2 0x192c ぶ姉から１歩引くかいがいしさが、なんともザ
019.stcm2 0x1984 クロちゃんらしいじゃないですか。
019.stcm2 0x1ac8 ザクロちゃん
019.stcm2 0x1b04 「ああ……臓物丸さん、かわいらしいですね」
019.stcm2 0x1b6c ザクロちゃんは、臓物丸をなでつけながらつぶ
019.stcm2 0x1bc4 やきました。
019.stcm2 0x1c38 臓物丸もザクロちゃんになでられるまま、気持
019.stcm2 0x1c90 ちよさそうにしています。時おり、ザクロちゃ
019.stcm2 0x1ce8 んの手をなめていました。
019.stcm2 0x1d98 「これから少しの間、一緒に暮らすから臓物丸
019.stcm2 0x1df0 もザクロちゃんに挨拶してるのかもね」
019.stcm2 0x1f3c ザクロちゃん
019.stcm2 0x1f78 「ふふふ、そうですね。よろしくお願いします、
019.stcm2 0x1fd4 臓物丸さん」
019.stcm2 0x2020 この気持ち悪い名前さえなければ、とってもい
019.stcm2 0x2078 い雰囲気なのに、それを許さないドクロちゃん
019.stcm2 0x20d0 のネーミングセンスが少し恨めしいです。
019.stcm2 0x21a8 「……さて、それじゃあそろそろ、僕は散歩に
019.stcm2 0x2200 いってくくぅぴぃ！」
019.stcm2 0x24d0 僕は急速に息苦しさを感じました。だって、呼
019.stcm2 0x2528 吸が困難になってしまったのですから。
019.stcm2 0x25dc ドクロちゃん
019.stcm2 0x2618 「桜くん、おっそい！　準備に何分かけてるの？
019.stcm2 0x2674 散歩は時間との勝負なんだよ！？」
019.stcm2 0x2910 必死で振り返ると、ドクロちゃんが犬の散歩用
019.stcm2 0x2968 のリードを僕の首に巻きつけて、思い切りしめ
019.stcm2 0x29c0 つけていました。
019.stcm2 0x2a10 なでるくらい大した時間じゃないと思っていた
019.stcm2 0x2a68 のですが、ドクロちゃんにはドクロちゃんの基
019.stcm2 0x2ac0 準があるのだということを忘れていました。
019.stcm2 0x2b28 しかも、その基準は意味もなく厳しいことが多
019.stcm2 0x2b80 いのです。
019.stcm2 0x2e6c 「ドクロちゃんドクロちゃん……くび、首が……
019.stcm2 0x2ec8 そのリードは首をしめるものじゃなくて、犬の
019.stcm2 0x2f20 首輪に……ぷはッ！　はぁッ、はぁッ！！」
019.stcm2 0x3088 説得に応じてくれたのか、ドクロちゃんが手を
019.stcm2 0x30e0 離します。
019.stcm2 0x3128 それにより、ようやく僕は気道確保に成功。息
019.stcm2 0x3180 を切らしながらも、正常な呼吸を取り戻しまし
019.stcm2 0x3274 「もうッ！　遅くなったのはあやまるから、
019.stcm2 0x32cc ちょっとくらいまってよ！　ドクロちゃんルー
019.stcm2 0x3324 ルだと、遅刻の罰はクビククリなの！？」
019.stcm2 0x340c ドクロちゃんは僕の言葉を無視するように再び、
019.stcm2 0x3468 外へと駆けていきました。
019.stcm2 0x3534 「まったく、ドクロちゃんにひも状のものを渡
019.stcm2 0x358c すとあぶないって、よくわかったよ……」
019.stcm2 0x35f0 僕のつぶやきに反応したのはザクロちゃんでし
019.stcm2 0x3838 ザクロちゃん
019.stcm2 0x3874 「桜さん、わたくしのために……」
019.stcm2 0x3948 「ううん、いけないのは無茶したドクロちゃん
019.stcm2 0x39a0 だから、ザクロちゃんは気にしないで？」
019.stcm2 0x3b14 ザクロちゃん
019.stcm2 0x3b50 「はい、ありがとうございます。それでは、今
019.stcm2 0x3ba8 度こそお気をつけて」
019.stcm2 0x3c54 「うん、ドクロちゃんに気をつけるよ」
019.stcm2 0x3d78 ザクロちゃんは苦笑して、僕を見送ってくれま
019.stcm2 0x3e70 それを見ながら、僕は気持ちを新たに臓物丸を
019.stcm2 0x3ec8 連れて玄関を出て行きました。
019.stcm2 0x430c 僕は臓物丸を連れて、ドクロちゃんと一緒に聖
019.stcm2 0x4364 ゲルニカ学園までやってきました。
019.stcm2 0x43c4 道中、遭遇した他の犬が臓物丸に吠えようとす
019.stcm2 0x441c ると、ドクロちゃんがものすごい殺気で相手の
019.stcm2 0x4474 犬をにらんでいたこと以外は平和なものです。
019.stcm2 0x44dc おかげで、どの犬も僕たちを避けて通るように
019.stcm2 0x4534 なってしまいました。
019.stcm2 0x4588 このまま散歩を続けたら、臓物丸が周辺地域の
019.stcm2 0x45e0 ボスになってしまう可能性すらありますが、あ
019.stcm2 0x4638 まり気にしないようにしましょう。
019.stcm2 0x4698 さて、そんなドクロちゃんは校舎を指さして、
019.stcm2 0x46f0 臓物丸に語りかけます。
019.stcm2 0x482c ドクロちゃん
019.stcm2 0x4868 「ほら、臓物丸、ここがボクたちの通ってる学
019.stcm2 0x48c0 校だよ。臓物丸も通えたらいいのにねー」
019.stcm2 0x497c 「それは、いくらなんでも無茶じゃないかな？」
019.stcm2 0x49e8 僕やドクロちゃん以前に、本当の飼い主である
019.stcm2 0x4a40 倉木さんもこの学校に通っていることをドクロ
019.stcm2 0x4a98 ちゃんは忘れているっぽいです。
019.stcm2 0x4cd8 静希ちゃん
019.stcm2 0x4d10 「あれ、桜くん。こんなところでどうしたの？」
019.stcm2 0x4d7c 校門の前を歩いているとき、声がかかりました。
019.stcm2 0x4dd8 声の主は、先ほど僕の家を訪ねてきたばかりの
019.stcm2 0x4e30 女の子です。
019.stcm2 0x4ed4 「僕たちは散歩に来たところなんだけど、静希
019.stcm2 0x4f2c ちゃんはどうしたの？」
019.stcm2 0x4f80 静希ちゃんはゲルニカ学園から出てきました。
019.stcm2 0x4fd8 学校帰りに僕の家に寄ったはずなのに、なぜで
019.stcm2 0x5030 しょうか。
019.stcm2 0x5160 静希ちゃん
019.stcm2 0x5198 「ちょっと、学校に忘れ物をしちゃって。取り
019.stcm2 0x51f0 に戻ってきたの。それより、ドクロちゃん楽し
019.stcm2 0x5248 そうだね」
019.stcm2 0x5290 静希ちゃんは臓物丸とドクロちゃんを、交互に
019.stcm2 0x52e8 見て言いました。
019.stcm2 0x5338 僕は、ドクロちゃんに話すのを忘れていた事実
019.stcm2 0x5390 を告げることにします。
019.stcm2 0x543c 「そうだ、ドクロちゃん。静希ちゃんがわざわ
019.stcm2 0x5494 ざドクロちゃんが喜ぶと思って、臓物丸を連れ
019.stcm2 0x54ec てきてくれたんだよ」
019.stcm2 0x572c ドクロちゃん
019.stcm2 0x5768 「静希ちゃん、ありがとう！　ボク、すっごく
019.stcm2 0x57c0 うれしいよ！」
019.stcm2 0x58f0 静希ちゃん
019.stcm2 0x5928 「ううん、喜んでもらえてよかった」
019.stcm2 0x5988 静希ちゃんがほほえむと、まるで周囲の空気ま
019.stcm2 0x59e0 で華やぐよう。だって、僕も幸せな気持ちにな
019.stcm2 0x5a38 りますもん。
019.stcm2 0x5a84 その幸せの中、１つのことが気になりました。
019.stcm2 0x5b44 「あれ……そう言えば、ベノムちゃんは？」
019.stcm2 0x5c94 静希ちゃん
019.stcm2 0x5ccc 「ベノムちゃんは倉木さんに報告するからって、
019.stcm2 0x5d28 アルカディア商店街に行ったの」
019.stcm2 0x5d84 すると、ドクロちゃんは足元の小動物に、諭す
019.stcm2 0x5ddc ように声をかけるのです。
019.stcm2 0x5f34 ドクロちゃん
019.stcm2 0x5f70 「臓物丸ぅー、アルカディア商店街は行っちゃ
019.stcm2 0x5fc8 だめだよ？」
019.stcm2 0x6094 「……ああもう、君というやつはッ！」
019.stcm2 0x60f8 ドクロちゃんは露骨にベノムちゃんを避けてい
019.stcm2 0x6150 ます。この子はいつになったら健康診断を受け
019.stcm2 0x61a8 てくれるのでしょうか。
019.stcm2 0x62bc 静希ちゃんは、そんなドクロちゃんを見て、苦
019.stcm2 0x6314 笑していました。
019.stcm2 0x63bc 「もう、ドクロちゃんはどうして……はっ！？」
019.stcm2 0x6444 静希ちゃんの姿を見て、きゅぴぴんっとひらめ
019.stcm2 0x649c くのは僕の頭脳。
019.stcm2 0x6618 静希ちゃんが一緒にいれば、不安で一杯のこの
019.stcm2 0x6670 散歩も、夢が広がるんじゃないでしょうか。
019.stcm2 0x66d8 そうです、すべてが一転してバラ色。そのバラ
019.stcm2 0x6730 の色は情熱的な赤で決まりです！
019.stcm2 0x6800 「もしよかったら、静希ちゃんも一緒に散歩に
019.stcm2 0x6858 行かない？」
019.stcm2 0x68a4 僕の誘いに、静希ちゃんは少しほほえむと、
019.stcm2 0x69f4 静希ちゃん
019.stcm2 0x6a2c 「あ……ごめんね。私、ベノムちゃんと待ち合
019.stcm2 0x6a84 わせの約束してるから」
019.stcm2 0x6b00 急転直下、夢がしぼまるのを感じました。
019.stcm2 0x6bbc 「そ、そうなんだ、残念だな……」
019.stcm2 0x6d20 静希ちゃん
019.stcm2 0x6d58 「でも、倉木さんのおうちに帰す前に、一緒に
019.stcm2 0x6db0 お散歩させてくれるとうれしいな」
019.stcm2 0x6e10 それは静希ちゃんからの救いの声。
019.stcm2 0x6ef0 「もちろん！　……また誘うよ！」
019.stcm2 0x7034 静希ちゃん
019.stcm2 0x706c 「うん、楽しみにしてるね」
019.stcm2 0x7120 そして、静希ちゃんは臓物丸も含め僕たちに手
019.stcm2 0x7178 を振りながら離れていきました。
019.stcm2 0x71d4 僕は心の中だけでガッツポーズ。これで、お散
019.stcm2 0x722c 歩デートフラグ成立確定です！
019.stcm2 0x7288 犬の散歩をしながらデートだなんて、すごく恋
019.stcm2 0x72e0 人みたいなイベントじゃないですか！
019.stcm2 0x7398 「ぃよぉぉぉぉぉし！　ドクロちゃん、臓物丸！
019.stcm2 0x73f4 行くよ！」
019.stcm2 0x7464 僕は元気を取り戻し、走るようにその場を離れ
019.stcm2 0x74bc るのでした。
019.stcm2 0x77ec 散歩の定番、公園へやってきました。
019.stcm2 0x784c やはり公園の広々とした感覚はいいですね。
019.stcm2 0x78a4 心なしか臓物丸もうれしそうに感じます。
019.stcm2 0x7960 「よーし、臓物丸。ここで少し遊ぼうか」
019.stcm2 0x79ec 臓物丸は返事をするかのように、くぅーんと低
019.stcm2 0x7a44 く鳴きました。なんともかしこい子です。
019.stcm2 0x7ae8 そのとき、僕の視界にダンボールハウスが入り
019.stcm2 0x7b40 ました。アバランチ公園と言えば、公園のヌシ
019.stcm2 0x7b98 みたいな天使がいるじゃないですか。
019.stcm2 0x7bf8 ここまで来て素通りもなんですから、サバトちゃ
019.stcm2 0x7c54 んにも、臓物丸を見せがてら挨拶してみるのが
019.stcm2 0x7cac いいでしょう。
019.stcm2 0x7cf8 僕はダンボールハウスを遠目に見つつ、ドクロ
019.stcm2 0x7d50 ちゃんに話しかけます。
019.stcm2 0x7dfc 「ドクロちゃん、サバトちゃんにも臓物丸を会
019.stcm2 0x7e54 わせてみようか」
019.stcm2 0x80f8 ドクロちゃん
019.stcm2 0x8134 「うん！　サバトちゃん、びっくりして変形合
019.stcm2 0x818c 体しちゃうかも！」
019.stcm2 0x8234 「そうだね！　こう、頭のツノとか取れたりくっ
019.stcm2 0x8290 ついたり……ってぅおおおおおいッ！！　いく
019.stcm2 0x82e8 ら天使でも、変形合体はしないでしょ！？」
019.stcm2 0x83c4 「エスカリボルグでひっぱたかれた後の僕じゃ
019.stcm2 0x841c あるまいし……！！」
019.stcm2 0x8470 僕が声を荒げると、それに反応するようにのん
019.stcm2 0x84c8 びりした声が聞こえてきました。
019.stcm2 0x8770 サバトちゃん
019.stcm2 0x87ac 「その声は……桜くんですぅ？」
019.stcm2 0x8808 僕の声が聞こえたのでしょう。のそのそっとダ
019.stcm2 0x8860 ンボールハウスから現れたのはサバトちゃん。
019.stcm2 0x88c8 まるで巣穴から出てくるプレーリードッグみた
019.stcm2 0x8920 いだな、と思ったのはないしょです。
019.stcm2 0x89d8 「なんだかサバトちゃん、巣穴から出て来るプ
019.stcm2 0x8a30 レーリードッグみたいだね」
019.stcm2 0x8b70 サバトちゃん
019.stcm2 0x8bac 「ないしょにしてないですぅ！」
019.stcm2 0x8c60 「それよりごめんね？　騒がしくしちゃったみ
019.stcm2 0x8cb8 たいで」
019.stcm2 0x8de8 サバトちゃん
019.stcm2 0x8e24 「いいえ、いいんですぅ。寝ていただけですか
019.stcm2 0x8ec0 眠ることで空腹をごまかしていたのでしょうか。
019.stcm2 0x8f1c ほろりと泣けてきます。それに、睡眠を邪魔し
019.stcm2 0x8f74 てしまったのはすごく申し訳ないことです。
019.stcm2 0x91cc ドクロちゃん
019.stcm2 0x9208 「桜くんが爆発するからだよー？」
019.stcm2 0x92dc 「まだ爆発してないし、できれば一生爆発した
019.stcm2 0x9334 くはないよ！　というか、なんだ爆発って」
019.stcm2 0x94ac サバトちゃん
019.stcm2 0x94e8 「爆発？　芸術のお話ですかぁ？」
019.stcm2 0x95a0 「いや、そういうわけでもないんだけど……あ
019.stcm2 0x95f8 あ、そうだそうだ、サバトちゃんにも会わせよ
019.stcm2 0x9650 うと思ってたんだ。ね、ドクロちゃん」
019.stcm2 0x979c サバトちゃん
019.stcm2 0x97d8 「サバトに会わせる……ですかぁ？」
019.stcm2 0x9838 ドクロちゃんは臓物丸に向かって話しかけます。
019.stcm2 0x9988 ドクロちゃん
019.stcm2 0x99c4 「ほら、臓物丸。サバトちゃんだよ。かわいそ
019.stcm2 0x9a1c うでしょー？」
019.stcm2 0x9ae8 「か、かわいそう！？　確かにそうかもしれな
019.stcm2 0x9b40 いけど【かわいいでしょ？】とか、言うことは
019.stcm2 0x9b98 他にいろいろあるでしょ！？」
019.stcm2 0x9cdc サバトちゃん
019.stcm2 0x9d18 「そんな、照れるんですぅ……」
019.stcm2 0x9dcc 「そして照れている！　聞き間違っているのや
019.stcm2 0x9e24 ら、別にかわいそうでもいいのやら」
019.stcm2 0xa008 「……え、えっと、そうじゃなくて、ほらほら
019.stcm2 0xa060 サバトちゃん、臓物丸かわいいでしょ？　ね？」
019.stcm2 0xa1b0 サバトちゃん
019.stcm2 0xa1ec 「かわいいですぅ。なでてあげたくなってくる
019.stcm2 0xa244 ですぅ」
019.stcm2 0xa28c サバトちゃんは臓物丸に近づいて、ほわわんと
019.stcm2 0xa2e4 言いました。ドクロちゃんの言葉はあまり気に
019.stcm2 0xa33c していないようです。
019.stcm2 0xa3e8 「う、うん。かわいいよねー。知り合いの犬な
019.stcm2 0xa440 んだけど、僕のうちで少しの間だけ預かること
019.stcm2 0xa498 になったんだ」
019.stcm2 0xa5cc サバトちゃん
019.stcm2 0xa608 「そうだったんですかぁ。はあぁ、かわいいで
019.stcm2 0xa660 すねぇ……」
019.stcm2 0xa6ac サバトちゃんは臓物丸の頭をなでりなでり。な
019.stcm2 0xa704 でる方もなでられる方も気持ちよさそうにして
019.stcm2 0xa75c いました。
019.stcm2 0xa800 あたたかな日差しが降り注ぎ、春ではありませ
019.stcm2 0xa858 んが、うららかな空気が流れているのです。
019.stcm2 0xaa54 この公園にはそんな光景と、それを引き立てる
019.stcm2 0xaaac ように揺れるモヒカン。
019.stcm2 0xac18 モヒ……ッ！？
019.stcm2 0xade0 ザンスです……。油断しかしてないような、ふ
019.stcm2 0xae38 抜けた顔でこちらに気付くこともなく、公園の
019.stcm2 0xae90 外を歩いています。
019.stcm2 0xaee0 この場合、僕はどうするべきでしょうか……？
019.stcm2 0xafa0 どうしますか？
019.stcm2 0xafe8 １．ドクロちゃんにザンスのことを教える
019.stcm2 0xb048 ２．あの変態とは関わらない
019.stcm2 0xb4d4 「ドクロちゃん、ねえねえ。あそこにザンスさ
019.stcm2 0xb52c んがいるよ」
019.stcm2 0xb700 ドクロちゃん
019.stcm2 0xb73c 「ほんとだー！　おーい、ザンスー！！」
019.stcm2 0xb83c ドクロちゃんが大きな声で呼びかけると、ザン
019.stcm2 0xb894 スは急にビクッと身じろぎしました。
019.stcm2 0xbaa4 「はわッ！？　だ、誰ザンス？　ミ、ミィはな
019.stcm2 0xbafc にもしてないザンスよ！？」
019.stcm2 0xbb54 第一声が言い逃れとは、卑屈な天使がいたもの
019.stcm2 0xbbac です。だいたい、本当になにもやってないなら、
019.stcm2 0xbc08 そんなこと言いません。
019.stcm2 0xbcb4 「ザンスさん、なにを言ってるんですか？」
019.stcm2 0xbefc 「ユ、ユゥは桜くん……それに、ドクロちゃん
019.stcm2 0xbf54 とサバトちゃんも一緒だったザンスか」
019.stcm2 0xc010 「ええ、そうですが、ザンスさんはそろそろ死
019.stcm2 0xc068 に場所を求めてさまよっていたんですか？」
019.stcm2 0xc1c0 「そんなことしないザンス！　ユゥは日に日に
019.stcm2 0xc218 ミィに冷たくなっていってないザンスか！？」
019.stcm2 0xc2d8 「ザンスさんが変態だからですよ」
019.stcm2 0xc600 「直球きたザンス！　ストラァァイク！」
019.stcm2 0xc874 ドクロちゃん
019.stcm2 0xc8b0 「ねえねえ、ザンス。臓物丸だよ、かわいいで
019.stcm2 0xc94c ドクロちゃんは足元の臓物丸を、ザンスに紹介
019.stcm2 0xc9a4 します。そんなこと、しなくてもいいのに。
019.stcm2 0xcbec 「むほ？　ドクロちゃん、これは……犬ザンス
019.stcm2 0xcce0 「当たり前じゃないですか」
019.stcm2 0xcfe4 「ほほーっ、これはかわいいザンスねぇ……」
019.stcm2 0xd04c ギラリとサングラスを光らせて、臓物丸を見下
019.stcm2 0xd0a4 ろすザンス。けれどその姿に、臓物丸は今まで
019.stcm2 0xd0fc とはちがう反応を見せるのです。
019.stcm2 0xd354 「な、なんで遠ざかるザンス？　ミィはなにも
019.stcm2 0xd3ac しないザンスよ？」
019.stcm2 0xd454 臓物丸はザンスと一定距離を取って、ザンスか
019.stcm2 0xd4ac ら目を離しません。明らかに警戒しています。
019.stcm2 0xd594 「こんなに人懐っこい犬が近寄りもしないなん
019.stcm2 0xd5ec て……ザンスさん、あなたなんて人だ」
019.stcm2 0xd7d8 サバトちゃん
019.stcm2 0xd814 「ザンスさん……」
019.stcm2 0xda54 「桜くん、サバトちゃん、ミ、ミィをそんな目
019.stcm2 0xdaac で見ないでほしいザンス！　ミィはなにもして
019.stcm2 0xdb04 ないのに……ッ！？」
019.stcm2 0xddbc ドクロちゃん
019.stcm2 0xddf8 「ザンスー！　臓物丸をおどかすな！」
019.stcm2 0xe4e4 ドクロちゃんがザンスにキックしました。
019.stcm2 0xe754 「アウチッ！！　お、おどかしてないザンス！
019.stcm2 0xe7ac その子犬はきっと、ミィがイカしすぎてて緊張
019.stcm2 0xe804 してるんザンス！」
019.stcm2 0xe8ac 「イカれすぎてて恐怖してるんだよッ！」
019.stcm2 0xecbc 僕もキックしました。
019.stcm2 0xeef0 「ぶふぉッ！　……こ、これはいけないザンス！
019.stcm2 0xef4c これ以上は、いよいよ命に関わるザンスよ！」
019.stcm2 0xf048 ザンスは公園から走り去ります。変態が去って、
019.stcm2 0xf0a4 警戒心をあらわにした臓物丸も、きっと心の平
019.stcm2 0xf0fc 静を取り戻したことでしょう。
019.stcm2 0xf1d8 「ドクロちゃん、ザンスは臓物丸に近づけない
019.stcm2 0xf230 ようにしよう」
019.stcm2 0xf444 ドクロちゃん
019.stcm2 0xf480 「はーい！　じゃあ、次に行こうよ！」
019.stcm2 0xf598 「はいはい。それじゃあ、サバトちゃん騒がせ
019.stcm2 0xf5f0 てごめんね。ばいばい」
019.stcm2 0xf7cc サバトちゃん
019.stcm2 0xf808 「あ、はいですぅ。お散歩がんばってください
019.stcm2 0xf860 ですぅ」
019.stcm2 0xf904 サバトちゃんの声に見送られて、僕たちはアバ
019.stcm2 0xf95c ランチ公園を後にしました。
019.stcm2 0xfbd8 幸い、こちらには気付いていないようですし、
019.stcm2 0xfc30 放っておけばいいでしょう。
019.stcm2 0xfe38 サバトちゃん
019.stcm2 0xfe74 「あれ……？　あれは、ザンスさん……？」
019.stcm2 0xff34 「サバトちゃん、しッ！！」
019.stcm2 0xff8c 僕が無視を決め込もうとした瞬間に、サバトちゃ
019.stcm2 0xffe8 んがザンスに気付いてしまいました。
019.stcm2 0x10048 僕は人差し指を口の前に立てて、サバトちゃん
019.stcm2 0x100a0 に合図します。
019.stcm2 0x101d4 サバトちゃん
019.stcm2 0x10210 「はわッ！？　し、しぃーーー、なんですぅ？」
019.stcm2 0x102d4 「面倒くさいから、ザンスさんと関わり合いに
019.stcm2 0x1032c なりたくないんだ」
019.stcm2 0x10464 サバトちゃん
019.stcm2 0x104a0 「わ、わかったですぅ。桜くんがそう言うなら
019.stcm2 0x104f8 黙ってますぅ」
019.stcm2 0x10544 ドクロちゃんは臓物丸とたわむれていて、ザン
019.stcm2 0x1059c スにも、僕とサバトちゃんの様子にも気付いて
019.stcm2 0x105f4 ないようです。
019.stcm2 0x10640 そして、ザンスはモヒカンを揺らしながら街の
019.stcm2 0x10698 中へ消えていきました。それはそれで、なにを
019.stcm2 0x106f0 していたのかが気になりますが。
019.stcm2 0x107c0 「ふぅ……」
019.stcm2 0x1080c 一安心の息が自然にもれました。
019.stcm2 0x10978 サバトちゃん
019.stcm2 0x109b4 「それにしても、この子はかわいいですねぇ」
019.stcm2 0x10a1c サバトちゃんの視線は、まっすぐ臓物丸に向け
019.stcm2 0x10a74 られています。
019.stcm2 0x10bc4 サバトちゃん
019.stcm2 0x10c00 「――食べちゃいたいくらいかわいいって、こ
019.stcm2 0x10c58 ういうことを言うんですぅ……」
019.stcm2 0x10d9c びくう……ッ！！
019.stcm2 0x10e14 瞬間。サバトちゃんの瞳にゆらりとしたものが
019.stcm2 0x10e6c 見えて、僕は臓物丸とサバトちゃんの間に立ち
019.stcm2 0x10ec4 ふさがりました。
019.stcm2 0x10f14 どうにもこうにも、サバトちゃんのセリフとし
019.stcm2 0x10f6c てはシャレにならない気がしたからです。
019.stcm2 0x110e0 サバトちゃん
019.stcm2 0x1111c 「桜くん、どうしたんですぅ？」
019.stcm2 0x111d0 「な、なんでもないよ、サバトちゃん」
019.stcm2 0x11234 どうも、僕の気のせいだったようです。そうで
019.stcm2 0x1128c すよ、サバトちゃんがそんなことをするはずが
019.stcm2 0x112e4 ありません。
019.stcm2 0x11330 すると、そのとき……。
019.stcm2 0x11570 ドクロちゃん
019.stcm2 0x115ac 「ほーら、臓物丸、いっぱいお食べー」
019.stcm2 0x11610 ドクロちゃんがなにかを臓物丸に与えています。
019.stcm2 0x1166c 臓物丸はもごもごと口を動かしていました。
019.stcm2 0x1172c 「……ドクロちゃん、なにあげてるの？」
019.stcm2 0x11878 ドクロちゃん
019.stcm2 0x118b4 「ジャムパンだよ？　そこのダンボールの中に
019.stcm2 0x1190c 落ちてたから、拾ったの」
019.stcm2 0x119e4 「ちょ……ドクロちゃん！　ジャムパンがダン
019.stcm2 0x11a3c ボールの中に落ちてるとか、まずありえないで
019.stcm2 0x11a94 しょッ！？」
019.stcm2 0x11bc4 サバトちゃん
019.stcm2 0x11c00 「はぁぁーーッ！？　サ、サバトのご飯がぁ！
019.stcm2 0x11c58 犬の散歩でやって来た、近所の人が分けてくれ
019.stcm2 0x11cb0 たパンなんですよぉ！？」
019.stcm2 0x11d08 サバトちゃんの悲鳴にも似た叫び。しかし、ド
019.stcm2 0x11d60 クロちゃんはケロリと言い放つのです。
019.stcm2 0x11ea8 ドクロちゃん
019.stcm2 0x11ee4 「ボクも臓物丸の散歩だから、ちょうどよかっ
019.stcm2 0x12018 「ちょうどいいわけないでしょ！？　ちょっと、
019.stcm2 0x12074 ドクロちゃん、きちんとサバトちゃんにあやま
019.stcm2 0x120cc んなさい！」
019.stcm2 0x12200 ドクロちゃん
019.stcm2 0x1223c 「それじゃー、サバトちゃん、またねー。行く
019.stcm2 0x12294 よっ、臓物丸」
019.stcm2 0x123b8 ドクロちゃんは臓物丸のリードを引いて、公園
019.stcm2 0x12410 の出口へと歩いていきました。
019.stcm2 0x124c4 「ああッ！　ちょっと、まってよ！　……ごめ
019.stcm2 0x1251c んね、サバトちゃん」
019.stcm2 0x12680 サバトちゃん
019.stcm2 0x126bc 「ううぅ……ご飯がなくなったと思ったら、急
019.stcm2 0x12714 におなかが空いてきたんですぅ……」
019.stcm2 0x12774 サバトちゃんはしぼんだ風船のようにしおしお
019.stcm2 0x127cc と、力なくうなだれてしまいます。
019.stcm2 0x1282c いくらなんでも、なんのフォローもなしじゃか
019.stcm2 0x12884 わいそうな気がしてなりません。
019.stcm2 0x12938 「本当にごめんね！　あの、代わりになるかわ
019.stcm2 0x12990 からないけど、今度パンを持ってきてあげるか
019.stcm2 0x129e8 ら、許してあげてね？」
019.stcm2 0x12b40 サバトちゃん
019.stcm2 0x12b7c 「ほ、本当ですかぁ！？」
019.stcm2 0x12bfc サバトちゃんは、そこに光明を見出したという
019.stcm2 0x12c54 ように明るい表情を取り戻します。
019.stcm2 0x12d0c 「うん、約束約束。そ、それじゃ、僕はドクロ
019.stcm2 0x12d64 ちゃん追いかけないといけないから！」
019.stcm2 0x12eac サバトちゃん
019.stcm2 0x12ee8 「はいですぅ！　それじゃあがんばってくださ
019.stcm2 0x12f40 いですぅ！　サバトはそれまでなんとか生き抜
019.stcm2 0x12f98 いてみせるんですよぅ！！」
019.stcm2 0x13074 僕はサバトちゃんに手を振ってから、ドクロちゃ
019.stcm2 0x130d0 んの後ろ姿を追いかけはじめました。
019.stcm2 0x133e0 僕たちが歩いていたのはアルカディア商店街。
019.stcm2 0x13448 アーケードになった道が伸びていくここは、僕
019.stcm2 0x134a0 たち以外にも犬を連れて散歩する人が多く見え
019.stcm2 0x1353c 僕にはリードを通して、臓物丸の感情が伝わっ
019.stcm2 0x13594 てくるようでした。臓物丸は今、とってもうれ
019.stcm2 0x135ec しそうです。
019.stcm2 0x13638 考えてみれば、倉木さんの家が営む酒屋さんが
019.stcm2 0x13690 あるのですから、臓物丸にとってここは慣れ親
019.stcm2 0x136e8 しんだものでしょう。
019.stcm2 0x13898 僕はそこで少し休憩。ベンチに座っているので
019.stcm2 0x138f0 すが、そうしている間も、ドクロちゃんは臓物
019.stcm2 0x13948 丸とじゃれあっています。
019.stcm2 0x139f8 「ドクロちゃんも臓物丸もタフだなあ」
019.stcm2 0x13a5c 僕は苦笑しながら、ドクロちゃんと臓物丸を眺
019.stcm2 0x13ab4 めています。
019.stcm2 0x13bc0 こうしている限り、ドクロちゃんはとっても犬
019.stcm2 0x13c18 が好きな女の子にしか見えないのじゃありませ
019.stcm2 0x13ee4 ベノムちゃん
019.stcm2 0x13f20 「おや、桜殿ではありませんか。こちらでなに
019.stcm2 0x13f78 をなさっていらっしゃるのでありますか？」
019.stcm2 0x14038 「あ、ベノムちゃん。僕はドクロちゃんと臓物
019.stcm2 0x14090 丸の散歩に来たんだけど……って、いない！？」
019.stcm2 0x140fc 振り返っても、ドクロちゃんの姿はありません。
019.stcm2 0x14158 臓物丸だけが、そこにちょこんと座っていまし
019.stcm2 0x142dc ベノムちゃん
019.stcm2 0x14318 「おお、臓物丸。散歩させてもらっていたであ
019.stcm2 0x14370 りますか、よかったでありますなあ」
019.stcm2 0x143d0 ベノムちゃんは臓物丸に向かって話しかけます。
019.stcm2 0x1442c 彼女も、臓物丸のことを結構気に入っているよ
019.stcm2 0x14484 うです。
019.stcm2 0x14524 「ベノムちゃんはなにをしてたの？」
019.stcm2 0x1466c ベノムちゃん
019.stcm2 0x146a8 「自分は、臓物丸を桜殿にお預けしたことを、
019.stcm2 0x14700 倉木殿にお伝えしてきたところであります」
019.stcm2 0x147dc 「え……？　えーと、倉木さんに【臓物丸】っ
019.stcm2 0x14834 て言ったの？」
019.stcm2 0x148a8 倉木さんは、自分の犬に臓物丸なんていう名前
019.stcm2 0x14900 がつけられていることを知りません。だって、
019.stcm2 0x14958 彼はライルですもん。
019.stcm2 0x149ac 【臓物丸を僕に預けた】なんて言っても、倉木
019.stcm2 0x14a04 さんは首をかしげるばかりでしょう。
019.stcm2 0x14a64 それどころか、僕やドクロちゃんの信頼を損ね
019.stcm2 0x14abc る結果に……？
019.stcm2 0x14c18 ベノムちゃん
019.stcm2 0x14c54 「いえ、倉木殿には【ライル】とお伝えしたで
019.stcm2 0x14cac あります。静希殿がそうお伝えするように、おっ
019.stcm2 0x14d08 しゃったでありますから」
019.stcm2 0x14d60 ……静希ちゃんの心配りに救われました。
019.stcm2 0x14e1c 「あ、よかった。……そうだ、静希ちゃんは一
019.stcm2 0x14e74 緒じゃないの？」
019.stcm2 0x14fac ベノムちゃん
019.stcm2 0x14fe8 「はい、静希殿は忘れ物に気付いたとのことで、
019.stcm2 0x15044 学校に戻られました」
019.stcm2 0x150f0 「そうなんだ……」
019.stcm2 0x15140 ちょっと残念、と僕はうつむくような動きで自
019.stcm2 0x15198 然と視線が下に向きます。
019.stcm2 0x151f0 すると、臓物丸がとことことベノムちゃんに近
019.stcm2 0x15248 づいて行くのです。
019.stcm2 0x15298 そして、そのベノムちゃんがはいたブーツに、
019.stcm2 0x152f0 じゃれるような動きを見せました。
019.stcm2 0x15434 ベノムちゃん
019.stcm2 0x15470 「臓物丸はかわいいであります」
019.stcm2 0x154cc ベノムちゃんはにこにこと、うれしそうです。
019.stcm2 0x15550 そう言って臓物丸に向かって伸ばされる、ベノ
019.stcm2 0x155a8 ムちゃんの腕。
019.stcm2 0x156b4 「いけない……！？」
019.stcm2 0x15708 僕は大あわてで、臓物丸をベノムちゃんから引
019.stcm2 0x15760 き離そうとしますが、いかんせん間に合いそう
019.stcm2 0x157b8 にありません……！
019.stcm2 0x15860 「ベノムちゃん、まって……！」
019.stcm2 0x15940 そのとき、一瞬の風が吹き荒れました。
019.stcm2 0x15a8c ベノムちゃん
019.stcm2 0x15ac8 「うッ？　な、なんでありますか？」
019.stcm2 0x15b28 ベノムちゃんに向かって吹き込んだ風はベノム
019.stcm2 0x15b80 ちゃんの目をくらまし、足元にいた臓物丸をす
019.stcm2 0x15bd8 くい上げました。
019.stcm2 0x15e34 ドクロちゃん
019.stcm2 0x15e70 「桜くん！　しっかり見てないとだめでしょ！」
019.stcm2 0x15edc 少し怒ったような口調で僕に言葉を投げつける
019.stcm2 0x15f34 のは、ドクロちゃん。その足元には臓物丸がい
019.stcm2 0x15fd0 ドクロちゃんは一瞬で、臓物丸を自分の元に引
019.stcm2 0x16028 き寄せたのです。
019.stcm2 0x160f8 「ああッ、ドクロちゃん！　僕は今、ドクロちゃ
019.stcm2 0x16154 んが救いの天使に見えるよ！」
019.stcm2 0x163a0 ベノムちゃん
019.stcm2 0x163dc 「ド、ドクロ殿……？」
019.stcm2 0x16430 ベノムちゃんは、ドクロちゃんが自分で姿を現
019.stcm2 0x16488 したことに驚いているのでしょうか。目を丸く
019.stcm2 0x164e0 していました。
019.stcm2 0x1652c しかし、救いの天使は健康診断をいやがって、
019.stcm2 0x16584 逃げ続けている張本人でもあります。
019.stcm2 0x16700 「……ベノムちゃん、どうする？　健康診断す
019.stcm2 0x16758 るならチャンスかもしれないよ。ドクロちゃん
019.stcm2 0x167b0 をつかまえる？」
019.stcm2 0x16800 僕は、小さな声でベノムちゃんに提案します。
019.stcm2 0x16858 けれど、それにベノムちゃんは首を縦に振りま
019.stcm2 0x168b0 せんでした。
019.stcm2 0x169e4 ベノムちゃん
019.stcm2 0x16a20 「それは、お気持ちだけいただくであります。
019.stcm2 0x16a78 今は、臓物丸とのひとときに水を差したくない
019.stcm2 0x16ad0 でありますから……」
019.stcm2 0x16b7c 「ベノムちゃん……」
019.stcm2 0x16dc0 ドクロちゃん
019.stcm2 0x16dfc 「ほらー、桜くん行くよ？　臓物丸も、はやく
019.stcm2 0x16e54 はやくって言ってるんだからっ」
019.stcm2 0x16eb0 僕がベノムちゃんへの言葉を失ったまま固まっ
019.stcm2 0x16f08 ていると、正気に戻すかのようにドクロちゃん
019.stcm2 0x16f60 の声が聞こえます。
019.stcm2 0x170cc 「……うん。それじゃあ、ベノムちゃんごめん、
019.stcm2 0x17128 もう行くね」
019.stcm2 0x17258 ベノムちゃん
019.stcm2 0x17294 「はい、桜殿。臓物丸をよろしくお願いするで
019.stcm2 0x172ec あります」
019.stcm2 0x17390 僕はベノムちゃんに対して、申し訳ない気持ち
019.stcm2 0x173e8 を胸にためこみながら、アルカディア商店街を
019.stcm2 0x17440 離れました。
019.stcm2 0x176c0 第４話　最初の山場だね
019.stcm2 0x177d0 僕たちは秋晴れの空の下を歩いていました。
019.stcm2 0x17838 秋の長雨なんて言葉がウソに思えるくらい晴れ
019.stcm2 0x17890 た空は、くもりのない光を地上に降らせていま
019.stcm2 0x1792c 僕は気分が良くなってきて、それを隣のドクロ
019.stcm2 0x17984 ちゃんに伝えずにはいられませんでした。
019.stcm2 0x17a40 「気持ちいい天気だね、ドクロちゃん」
019.stcm2 0x17c2c ドクロちゃん
019.stcm2 0x17c68 「桜くん的には、裸をみんなに見られるよりも
019.stcm2 0x17cc0 気持ちいいよねっ」
019.stcm2 0x17d90 「僕的にはってなんだよ！？　そんな快感を得
019.stcm2 0x17de8 たことはいまだかつて、そして永遠にないよ！」
019.stcm2 0x17f3c ドクロちゃん
019.stcm2 0x17f78 「えー、くつした一丁でだよ？」
019.stcm2 0x1802c 「余計ありえないでしょッ！　なんなの、その
019.stcm2 0x18084 マニアックな格好！？」
019.stcm2 0x180d8 僕は、自分がくつしたしか身に着けていない珍
019.stcm2 0x18130 奇な姿を想像してみましたが、すぐにやめまし
019.stcm2 0x18244 気持ちを切り替えて、視線を下に移します。
019.stcm2 0x182d4 ドクロちゃんの足元を、臓物丸がとことこと歩
019.stcm2 0x1832c いているのが目に入ります。今は臓物丸のリー
019.stcm2 0x18384 ドを、ドクロちゃんが持っていました。
019.stcm2 0x183e8 足が短いダックスフント、ちょこちょこと足を
019.stcm2 0x18440 動かす様は、ほほえましいものでした。
019.stcm2 0x18628 ドクロちゃん
019.stcm2 0x18664 「臓物丸ぅー、楽しいねー。
019.stcm2 0x186ac もうこのまま、ウチの子にしたいよう」
019.stcm2 0x18768 「ドクロちゃん。わかってると思うけど、それ
019.stcm2 0x187c0 はだめだからね」
019.stcm2 0x188d0 ドクロちゃんは、僕の言葉にほっぺをふくらま
019.stcm2 0x18928 せます。撲殺しないだけ、ドクロちゃんなりに、
019.stcm2 0x18984 理解しているということでしょうか。
019.stcm2 0x189e4 やっぱりドクロちゃんはどこかで、臓物丸と離
019.stcm2 0x18a3c れたくない気持ちを残しているのです。
019.stcm2 0x18aa0 もしかしたら臓物丸をうちで預かることは、く
019.stcm2 0x18af8 すぶっていたその気持ちに、もう一度火を入れ
019.stcm2 0x18b50 ることになってしまうのではないでしょうか。
019.stcm2 0x18c94 そんな不安を瞬間的に感じていたときです。
019.stcm2 0x18e24 ばしゅるるるるる……ッ！！
019.stcm2 0x18efc 「ぅわあぁぁぁああッ！？　なに！？　なにが
019.stcm2 0x18f54 起きたの！？」
019.stcm2 0x18fa0 僕に襲いかかる浮遊感覚。重力の鎖から解き放
019.stcm2 0x18ff8 たれたかのように僕の身体が、宙に浮かびます。
019.stcm2 0x19128 それでいながら、真綿でぎゅっとしめられるよ
019.stcm2 0x19180 うな……いや、むしろ抱きしめられるような感
019.stcm2 0x191d8 触が僕の全身を包みました。
019.stcm2 0x19288 「怖い……でも、あったかい！」
019.stcm2 0x192e4 僕の全身がしっとりとぬれていきます。これは
019.stcm2 0x1933c 汗ではありません。
019.stcm2 0x1938c 指の関節も動かせない状態になって、僕は必死
019.stcm2 0x193e4 の抵抗を試みようとしますが、抵抗する意思そ
019.stcm2 0x1943c のものが小さくなっていくのを感じました。
019.stcm2 0x194fc 「ド、ドクロちゃん、助け……んん！　もが！」
019.stcm2 0x195dc ついに、僕の口までもふさがれて絶体絶命！？
019.stcm2 0x19634 そんなとき聞こえる、透き通った声。
019.stcm2 0x19878 ザクロちゃん
019.stcm2 0x198b4 「……桜さん、おねえさま」
019.stcm2 0x19964 「まふもふぁん！？（ザクロちゃん！？）」
019.stcm2 0x19a4c 声の方向には確かに、白い軍服に身を包んだザ
019.stcm2 0x19aa4 クロちゃんの姿が。そして、その手元から伸び
019.stcm2 0x19afc るのは、オレンジ色のぬれタオル！
019.stcm2 0x19b9c 僕を包んでいるのはザクロちゃんのエッケルザ
019.stcm2 0x19bf4 クスでした。なぜ、僕がこのような事態におち
019.stcm2 0x19c4c いったのか、心当たりがまったくありません。
019.stcm2 0x19d0c 「んーん、んーー、んーー！！」
019.stcm2 0x19d68 僕はなんとか声を出そうとしますが、エッケル
019.stcm2 0x19dc0 ザクスがそれを許しません。
019.stcm2 0x19e18 そして、すっ……と僕は地面に下ろされました。
019.stcm2 0x19ee0 僕はてっきりこのままどこかに連れていかれて
019.stcm2 0x19f38 しまうか、キッツイ罰でも与えられるんじゃな
019.stcm2 0x19f90 いかと思っていました。
019.stcm2 0x1a00c それだけに、待望の解放にもちょっと警戒気味。
019.stcm2 0x1a068 僕は自分の身体をなでるように触ります。
019.stcm2 0x1a284 「あ……あの、ザクロちゃん……？」
019.stcm2 0x1a364 外に出て早々に、こんなトラブルに見舞われる
019.stcm2 0x1a3bc とは、僕は犬の散歩も安心してできない星の下
019.stcm2 0x1a414 に生まれてしまったようです。
019.stcm2 0x1a470 しかも僕は、さっき別れたばかりのザクロちゃ
019.stcm2 0x1a4c8 んの手によって、このような事態にさせられた
019.stcm2 0x1a520 のですから。
019.stcm2 0x1a56c ではザクロちゃんに、いったいなにが起こった
019.stcm2 0x1a5c4 というのでしょうか。
019.stcm2 0x1a634 ザクロちゃんは、家でまっているはずです。そ
019.stcm2 0x1a68c れなのに、ここまで追いかけてきて、わざわざ
019.stcm2 0x1a6e4 僕にエッケルザクスを振るったのです。
019.stcm2 0x1a748 理由は……なんなのでしょうか。
019.stcm2 0x1a88c ザクロちゃん
019.stcm2 0x1a8c8 「桜さん、おねえさま。大変なことを忘れてお
019.stcm2 0x1a920 いでです」
019.stcm2 0x1a9c0 「な、なんですか……？（ゴクリ）」
019.stcm2 0x1aa20 僕は意図せず、息をのみます。
019.stcm2 0x1ac94 ドクロちゃん
019.stcm2 0x1acd0 「あーーーッ！　【お昼のニュース】のビデオ
019.stcm2 0x1ad28 予約忘れてたー！」
019.stcm2 0x1add0 「ニュースは録画しないでいいよ！　どんどん
019.stcm2 0x1ae28 新しいのやってるから、そっち見ようよ！」
019.stcm2 0x1af78 ザクロちゃん
019.stcm2 0x1afb4 「大丈夫です、おねえさま。わたくしが録画し
019.stcm2 0x1b00c ておきました」
019.stcm2 0x1b140 ドクロちゃん
019.stcm2 0x1b17c 「やったぁ！　さっすがザクロちゃん、ありが
019.stcm2 0x1b1d4 とう！」
019.stcm2 0x1b21c ドクロちゃんはうれしそうにしていますが、そ
019.stcm2 0x1b274 の話はまったく僕には関係ないのです。
019.stcm2 0x1b34c 「……ザクロちゃん、それはいいですから」
019.stcm2 0x1b49c ザクロちゃん
019.stcm2 0x1b4d8 「あ、そうでした。わたくしは忘れものをお届
019.stcm2 0x1b530 けしに来たのです」
019.stcm2 0x1b644 そう言って、ザクロちゃんが差し出すのは……。
019.stcm2 0x1b730 「これは、シャベルとビニール袋？　……ああ、
019.stcm2 0x1b78c はいはい！　そうだ、すっかり忘れてた！」
019.stcm2 0x1b8dc ザクロちゃん
019.stcm2 0x1b918 「はい、犬のお散歩をなさるなら、この２つを
019.stcm2 0x1b970 お忘れになってはいけません」
019.stcm2 0x1b9cc 僕も犬の散歩なんて慣れていないものですから、
019.stcm2 0x1ba28 すっかり忘れていました。
019.stcm2 0x1ba80 犬のフンは、飼い主が始末しなくてはいけませ
019.stcm2 0x1bad8 ん。今の僕たちは飼い主代理。臓物丸を任され、
019.stcm2 0x1bb34 その散歩をしているのですから。
019.stcm2 0x1bbe8 「ザクロちゃん、よく知ってたね……っていう
019.stcm2 0x1bc40 か、それがエッケルザクスで僕をからめ取った
019.stcm2 0x1bc98 理由？」
019.stcm2 0x1bdc8 ザクロちゃん
019.stcm2 0x1be04 「はい、そうですが……」
019.stcm2 0x1beb4 「それだったら、普通に呼び止めてくれればい
019.stcm2 0x1bf0c いでしょ！！　なにもあんな……あんな……」
019.stcm2 0x1bfb4 僕はあの感覚を思い出して赤面します。あたた
019.stcm2 0x1c00c かく包まれたあの感触は、今もこの肌に残って
019.stcm2 0x1c064 いるのですから。
019.stcm2 0x1c19c ザクロちゃん
019.stcm2 0x1c1d8 「す、すみません。わたくし、桜さんとおねえ
019.stcm2 0x1c230 さまがマナー違反をなさってしまうかと思った
019.stcm2 0x1c288 ら、身体が勝手に……」
019.stcm2 0x1c2dc ザクロちゃんは申し訳なさそうにしています。
019.stcm2 0x1c334 別に撲殺されたわけではないですし、僕も怒る
019.stcm2 0x1c38c つもりはありませんでした。
019.stcm2 0x1c43c 「うーん……でも、わざわざ届けてもらったわ
019.stcm2 0x1c494 けだし、ありがとうザクロちゃん」
019.stcm2 0x1c5d8 ザクロちゃん
019.stcm2 0x1c614 「いえ、そんな。お役に立ててよかったです。
019.stcm2 0x1c66c それではわたくしはこれで」
019.stcm2 0x1c71c 「うん、それじゃあ、お留守番お願いね」
019.stcm2 0x1c7dc ザクロちゃんのすらりとした長身が離れていく
019.stcm2 0x1c834 と、僕はエッケルザクスのことをすっかり忘れ
019.stcm2 0x1c88c ることにします。
019.stcm2 0x1ca58 そして、歩き出すと、遭遇とは続くものなのか、
019.stcm2 0x1cb1c 「あ、田辺さん、南さん」
019.stcm2 0x1cea8 田辺さん
019.stcm2 0x1cee0 「あっ、ドクロちゃん、こんにちはー。ええと、
019.stcm2 0x1cf3c 桜くんも。なにしてるの？」
019.stcm2 0x1cf94 無視しないでくれただけ、進歩なのでしょうか？
019.stcm2 0x1cff0 ずいぶん、僕がおまけっぽい気がしたのですが。
019.stcm2 0x1d144 ドクロちゃん
019.stcm2 0x1d180 「臓物丸のお散歩してるんだよ」
019.stcm2 0x1d2cc 「へえ、そうなの。楽しそうね」
019.stcm2 0x1d328 ドクロちゃんは２人のクラスメイトと、仲良さ
019.stcm2 0x1d380 そうに話しはじめました。
019.stcm2 0x1d3d8 僕も自然の流れとして、その輪の中に加わりま
019.stcm2 0x1d430 す。だってクラスメイトだもん。
019.stcm2 0x1d4e4 「２人は今、帰り？」
019.stcm2 0x1d628 「ええ、部活が終わったの」
019.stcm2 0x1d73c 田辺さん
019.stcm2 0x1d774 「ドクロちゃん、桜くんが小学生の女の子を追
019.stcm2 0x1d7cc いかけていかないように気をつけてね」
019.stcm2 0x1d918 ドクロちゃん
019.stcm2 0x1d954 「うん！　ボク、【桜くん係】だからがんばる
019.stcm2 0x1d9ac ね！　桜くんが追いかけそうになったら、ひと
019.stcm2 0x1da04 ひねりなんだからっ！」
019.stcm2 0x1dad8 「怖ッ……って、ちがうでしょッ！　新しい係
019.stcm2 0x1db30 を勝手に作って、僕を危険人物みたいにしない
019.stcm2 0x1db88 でください！」
019.stcm2 0x1dcc4 「みんなで、決めたじゃない」
019.stcm2 0x1dd78 「決めてないよ！」
019.stcm2 0x1deb8 「桜くんが風邪で休んだ時、学級会で」
019.stcm2 0x1df74 「そんなのひどいよー！」
019.stcm2 0x1e0b0 田辺さん
019.stcm2 0x1e0e8 「ねえ、そんなことよりも、今は臓物丸くんで
019.stcm2 0x1e140 しょ？」
019.stcm2 0x1e1e0 「ま、まあ、正論かな……」
019.stcm2 0x1e2f8 田辺さんはしゃがみこんで、臓物丸をかわいが
019.stcm2 0x1e350 りはじめます。
019.stcm2 0x1e454 田辺さん
019.stcm2 0x1e48c 「わー……かわいいねー。毛がつやつやー」
019.stcm2 0x1e4f4 田辺さんも臓物丸の魅力に、素直な感想です。
019.stcm2 0x1e54c 彼女の手が、臓物丸の頭から背中をゆっくりと
019.stcm2 0x1e5a4 なでていました。
019.stcm2 0x1e5f4 すると南さんは僕の方を振り返って、
019.stcm2 0x1e784 「……どうして桜くんが勝ち誇ってるの？」
019.stcm2 0x1e844 「なんでもないよ、南さんもどうぞどうぞ」
019.stcm2 0x1e8ac 南さんは僕を怪しむような顔をしていましたが、
019.stcm2 0x1e9d4 田辺さん
019.stcm2 0x1ea0c 「南さん、ほら、抱っこしてみたら？」
019.stcm2 0x1eb60 「わたしが……？　うん、それじゃあ……」
019.stcm2 0x1ece0 田辺さんの声に誘われて、南さんはちょっとう
019.stcm2 0x1ed38 れしそうな表情に変わり、臓物丸に近づきまし
019.stcm2 0x1edd4 南さんはしゃがみこみ、臓物丸に手を伸ばしま
019.stcm2 0x1ee2c す。すると……。
019.stcm2 0x1eef0 「あっ！　ぞ、臓物丸！？」
019.stcm2 0x1f044 臓物丸は、いきなり駆け出してしまいました。
019.stcm2 0x1f09c それこそ風のように。
019.stcm2 0x1f0f0 ドクロちゃんの気がゆるんでいたのか、リード
019.stcm2 0x1f148 もするりと彼女の手を抜けて、地面をすべるよ
019.stcm2 0x1f1a0 うに臓物丸の後ろに引きずられていました。
019.stcm2 0x1f230 臓物丸は……南さんから、逃げた……？
019.stcm2 0x1f440 僕たちは、一瞬の出来事に呆然とすることしか
019.stcm2 0x1f498 できません。田辺さんでさえ、あ然としたまま
019.stcm2 0x1f4f0 でした。
019.stcm2 0x1f590 南さんはしばらく臓物丸に向かって伸ばした手
019.stcm2 0x1f5e8 を引っ込めることもなく、無言でしゃがんだま
019.stcm2 0x1f640 までしたが、やがてすっくと立ち上がります。
019.stcm2 0x1f87c 僕は南さんの顔を見ました。
019.stcm2 0x1f92c 「あー……えーと」
019.stcm2 0x1fa6c 「なに？　笑いたければ笑っていいのよ？」
019.stcm2 0x1fb2c 「そ、そんなことしないよ！？」
019.stcm2 0x1fb88 南さんのいつもよりいっそう冷えた声が、僕の
019.stcm2 0x1fbe0 耳に届いたとき、反対側からやけに熱っぽい声
019.stcm2 0x1fc38 が聞こえてきました。
019.stcm2 0x1fe94 ドクロちゃん
019.stcm2 0x1fed0 「ぞうもつまるぅーーーーーーッ！！　まちな
019.stcm2 0x1ff28 さーーーーいッ！！」
019.stcm2 0x20014 叫び声が上がったかと思えば、声の主たるドク
019.stcm2 0x2006c ロちゃんは走り出し、臓物丸が消えた方へ同じ
019.stcm2 0x200c4 く姿を消してしまいました。
019.stcm2 0x2041c 「た、大変だ……なんとかしなくちゃ！　ごめ
019.stcm2 0x20474 ん、田辺さん、南さん。僕、急いで追いかける
019.stcm2 0x204cc から、それじゃあね！」
019.stcm2 0x20714 田辺さん
019.stcm2 0x2074c 「がんばってね、桜くん」
019.stcm2 0x2087c 南さんがなにかを言いかけたようですが、ゆっ
019.stcm2 0x208d4 くりしているヒマはありません。
019.stcm2 0x20930 一刻もはやく、臓物丸をつかまえなくてはいけ
019.stcm2 0x20988 ません。彼は倉木さんから預かった大切な犬な
019.stcm2 0x209e0 のです。
019.stcm2 0x20a28 もし、臓物丸になにかあろうものなら……それ
019.stcm2 0x20a80 はあやまって済む問題ではありません。
019.stcm2 0x20ae4 ドクロちゃんがつかまえてくれているといいの
019.stcm2 0x20b3c ですが……。
019.stcm2 0x20b88 ……それはそれで心配なので、急ぎましょう！
020.stcm2 0x2cc 僕は大急ぎで、家に戻ってきました。
020.stcm2 0x32c クツも適当に脱ぎ散らかし、あわてて居間をの
020.stcm2 0x384 ぞき込みます。
020.stcm2 0x428 「ドクロちゃん、帰ってる！？」
020.stcm2 0x60c ザクロちゃん
020.stcm2 0x648 「え……桜さん？　どうされたのですか？」
020.stcm2 0x6b0 居間にいたのはザクロちゃん。ちょっと驚かせ
020.stcm2 0x708 てしまったみたいです。
020.stcm2 0x7b4 「あー、ザクロちゃん、ごめんね！」
020.stcm2 0x8fc ザクロちゃん
020.stcm2 0x938 「いえ、わたくしはいいのですが、おねえさま
020.stcm2 0x990 はご一緒ではないのですか？」
020.stcm2 0xa44 「うん、ちょっとはぐれちゃって。最初に臓物
020.stcm2 0xa9c 丸がはぐれて、ドクロちゃんはそれを追いかけ
020.stcm2 0xaf4 て行っちゃったんだ」
020.stcm2 0xc30 ザクロちゃん
020.stcm2 0xc6c 「臓物丸さんが……！？　それはいけません、
020.stcm2 0xcc4 すぐにさがしに行きましょう！」
020.stcm2 0xd20 僕とザクロちゃんが居間を出ようとすると、
020.stcm2 0xf88 「桜くん、帰ってるザンス！？」
020.stcm2 0xfe4 僕と同じようにして、居間に飛び込んでくるザ
020.stcm2 0x103c ンスの姿！
020.stcm2 0x11ec 「呼び鈴をッ、押せぇぇぇッッ！！」
020.stcm2 0x1570 僕はザンスの手前でくるっと回転しつつ、ロー
020.stcm2 0x15c8 リングソバット。僕の足裏が、きれいにザンス
020.stcm2 0x1620 のみぞおちをとらえました。
020.stcm2 0x16ec 「わばっぎゅ――ッ！」
020.stcm2 0x1a30 後ろに吹き飛んだザンスはカベに当たり、スロー
020.stcm2 0x1a8c モーションで崩れ落ちました。
020.stcm2 0x1ba8 「この変態……何回言えばわかるんだ……」
020.stcm2 0x1c10 崩れ落ちたザンスに近づき、僕はつぶやきます。
020.stcm2 0x1c6c すると、ゆっくりと立ち上がりながら、
020.stcm2 0x1e58 「さ、桜くん、どこでこんな技術を……？」
020.stcm2 0x1f18 「そんなことより、なんで現れたんですか？」
020.stcm2 0x2160 「そ、そうザンス、ミィはドクロちゃんにひど
020.stcm2 0x21b8 い目にあわされて逃げてきたんザンス！」
020.stcm2 0x2430 ザクロちゃん
020.stcm2 0x246c 「おねえさまに？　いったい、なにを？」
020.stcm2 0x24d0 僕たちは、ちょうどドクロちゃんをさがしに行
020.stcm2 0x2528 くところでした。その目撃情報なら、たとえザ
020.stcm2 0x2580 ンスからでも聞かなくてはいけません。
020.stcm2 0x27c4 「ミィのモヒカンに犬の爪を立てさせて、バリ
020.stcm2 0x281c バリするんザンス！」
020.stcm2 0x2958 ザクロちゃん
020.stcm2 0x2994 「桜さん、これは……」
020.stcm2 0x2a40 「間違いないね。ドクロちゃんは臓物丸をもう
020.stcm2 0x2a98 つかまえているみたいだ」
020.stcm2 0x2bd8 ザクロちゃん
020.stcm2 0x2c14 「ザンスさんは、どちらでおねえさまとお会い
020.stcm2 0x2c6c になったのですか？」
020.stcm2 0x2cc0 ザンスは、僕の方を向いて口を開きます。
020.stcm2 0x2f04 「ユゥたちの学校ザンス」
020.stcm2 0x2fd0 「ザンスさん、学校でなにやってたんですか？」
020.stcm2 0x307c ザンスにはゲルニカ学園に行く用事なんかある
020.stcm2 0x30d4 わけがありません。むしろあってはいけないの
020.stcm2 0x32b0 「ザクロちゃん、行こう。ドクロちゃんが臓物
020.stcm2 0x3308 丸を連れているなら、シャベルとビニール袋も
020.stcm2 0x3360 渡さないといけないから」
020.stcm2 0x33b8 僕は、冗談めかしながらザクロちゃんに言いま
020.stcm2 0x3410 した。あまり深刻に考えたくなかったからです。
020.stcm2 0x3560 ザクロちゃん
020.stcm2 0x359c 「ふふ……そうですね」
020.stcm2 0x364c 僕は、ザクロちゃんから渡されたシャベルとビ
020.stcm2 0x36a4 ニール袋を強く握り、玄関を出て行くのです。
020.stcm2 0x3994 聖ゲルニカ学園にやって来ました。せめてドク
020.stcm2 0x39ec ロちゃんだけでも見つかればいいのですが……。
020.stcm2 0x3a58 校門から中をのぞき込んでみても、ドクロちゃ
020.stcm2 0x3ab0 んの姿は見当たりません。
020.stcm2 0x3b08 やはり、中に入るしかないのでしょうか。
020.stcm2 0x3b6c そう思ったとき、僕のいる校門に向かってくる
020.stcm2 0x3bc4 見知った顔に気付きました。あいつに聞いてみ
020.stcm2 0x3c1c ましょう。
020.stcm2 0x3cbc 「おーい！　宮本ーーッ！！」
020.stcm2 0x3d18 僕の声に気が付いた宮本は視線をこちらに固定
020.stcm2 0x3d70 しつつ、やってきます。
020.stcm2 0x3f48 「どうした、桜。忘れ物でもしたのか？」
020.stcm2 0x4004 「ちがうちがう、大変なんだ。学校で臓物丸を
020.stcm2 0x405c 見なかったか？　ドクロちゃんでもいい、知っ
020.stcm2 0x40b4 てたら教えてくれ」
020.stcm2 0x41f0 「おい、落ち着けよ。話がよく見えねえぞ。
020.stcm2 0x4248 臓物丸って、ドクロちゃんが拾った犬だよな」
020.stcm2 0x42b0 宮本の落ち着いた口調に、僕も冷静さを取り戻
020.stcm2 0x4308 します。大きく息を吐いてから、今度はゆっく
020.stcm2 0x4360 りと話し出します。
020.stcm2 0x4408 「すまん。その臓物丸がいなくなっちゃったん
020.stcm2 0x4460 だ、ドクロちゃんも一緒に」
020.stcm2 0x45a4 「いなくなった？」
020.stcm2 0x464c 「ああ、それでさがしてるんだけど、学校内で
020.stcm2 0x46a4 見かけなかったか？」
020.stcm2 0x47e4 「いや、見かけなかったが……さがすなら、俺
020.stcm2 0x483c も手伝うぜ」
020.stcm2 0x4888 宮本からの意外な提案です。いつもはドクロちゃ
020.stcm2 0x48e4 ん係を盾に取る宮本ですが、今日はどういった
020.stcm2 0x493c 心境の変化でしょうか。
020.stcm2 0x49e8 「いいのか？」
020.stcm2 0x4b1c 「おう、ドクロちゃんだけなら桜に任せるとこ
020.stcm2 0x4b74 ろだが、臓物丸も一緒じゃあな」
020.stcm2 0x4c50 「宮本……」
020.stcm2 0x4dd4 「ノォォォォォォォォォォォ――ッッ！！」
020.stcm2 0x4f1c 僕が口を開こうとしたとき、空をつんざくよう
020.stcm2 0x4f74 な絶叫が聞こえました。
020.stcm2 0x5020 「な、この声は……？」
020.stcm2 0x5074 これはザンス、でしょうか？　方角的に、声の
020.stcm2 0x50cc 出所は校庭のようですが。
020.stcm2 0x5124 生徒がまだ残る学校の校庭からザンスの叫び声
020.stcm2 0x517c が聞こえるのは、異常事態です。
020.stcm2 0x52c4 「おい、行ってみようぜ！」
020.stcm2 0x5374 僕はうなずいて、宮本とともに校庭に走りまし
020.stcm2 0x5664 「あだだだだだだ！　やめてザンス！　ドクロ
020.stcm2 0x56bc ちゃん、マジ勘弁ザンスよ！」
020.stcm2 0x5900 ドクロちゃん
020.stcm2 0x593c 「きゃははははははは！！　ほらほら臓物丸ー
020.stcm2 0x5994 モヒカンだよー！　モ・ヒ・カ・ンー！」
020.stcm2 0x5a50 「ド、ドクロちゃん、臓物丸つかまえたの！？」
020.stcm2 0x5abc ドクロちゃんと一緒にいるのは臓物丸。ドクロ
020.stcm2 0x5b14 ちゃんは、既に逃げた臓物丸をつかまえていた
020.stcm2 0x5b6c ようです。
020.stcm2 0x5ca4 「ああッ、桜くん！　ヘルプミィ！　ドクロちゃ
020.stcm2 0x5d00 んがミィのモヒカンをいじめるザンス！」
020.stcm2 0x5da4 ドクロちゃんは、ザンスのモヒカンに臓物丸の
020.stcm2 0x5dfc 爪を立てて遊んでいました。
020.stcm2 0x5ed4 「ドクロちゃん、モヒカンで遊んでもなんにも
020.stcm2 0x5f2c ならないよ」
020.stcm2 0x6060 ドクロちゃん
020.stcm2 0x609c 「桜くんもやりたい？　ちょっとならいいよ」
020.stcm2 0x615c 「やりたいけど、だめだよ臓物丸にそんなこと
020.stcm2 0x61b4 させちゃ。臓物丸の教育に良くないでしょ？」
020.stcm2 0x63fc 「ミィのモヒカンにも良くないザンス！」
020.stcm2 0x6578 「ドクロちゃん。ほら、散歩に戻ろう？」
020.stcm2 0x66c4 ドクロちゃん
020.stcm2 0x6700 「おっけー、行ってくるよ！　桜くん、応援あ
020.stcm2 0x6758 りがとう！」
020.stcm2 0x6828 ドクロちゃんが臓物丸を抱えて、校庭の真ん中
020.stcm2 0x6880 を横切って走り去ります。
020.stcm2 0x6958 「ちょ、ちょっと、僕に散歩に行くからついて
020.stcm2 0x69b0 来いって言ったのは、ドクロちゃんでしょ！？
020.stcm2 0x6a08 なんで僕を置いていくの！？」
020.stcm2 0x6a64 遠く、ドクロちゃんの笑い声が聞こえてきます。
020.stcm2 0x6ac0 ドクロちゃんは、ものすごいハイテンションに
020.stcm2 0x6b18 なってしまっていました。
020.stcm2 0x6b70 これは……イヤな予感がします。
020.stcm2 0x6c24 「宮本、ドクロちゃんを追いかけよう！」
020.stcm2 0x6e0c 「おう」
020.stcm2 0x6ed4 僕と宮本は同時に、校庭を横切って走り出しま
020.stcm2 0x7138 「ああ、まってほしいザンス！　ミィも行くザ
020.stcm2 0x7190 ンスよー！」
020.stcm2 0x74cc 汗を流しながらたどり着いたのは、アバランチ
020.stcm2 0x7568 なにかの手がかりがあって来たわけではないの
020.stcm2 0x75c0 ですが、気が付けば僕の足はここに向かってい
020.stcm2 0x7618 ました。
020.stcm2 0x7660 肩で息をしている僕は、一旦呼吸を整えます。
020.stcm2 0x7720 「もうっ、ドクロちゃんどこ行っちゃったんだ
020.stcm2 0x77bc 僕が独り言で怒りをそのまま口にすると、そこ
020.stcm2 0x7814 に現れる影が１つ。サバトちゃんです。
020.stcm2 0x7aa8 サバトちゃん
020.stcm2 0x7ae4 「あれ……桜くんですぅ。さっき来たばっかり
020.stcm2 0x7b3c なのに、どうしたんですぅ？」
020.stcm2 0x7b98 サバトちゃんです。公園のヌシにも相談してみ
020.stcm2 0x7bf0 ましょう。
020.stcm2 0x7c90 「さっき見せに来た、臓物丸がいなくなっちゃっ
020.stcm2 0x7cec て大変なんだよ。ドクロちゃんも臓物丸を追い
020.stcm2 0x7d44 かけて、いなくなっちゃうし」
020.stcm2 0x7f6c サバトちゃん
020.stcm2 0x7fa8 「あ、桜くんいらっしゃいですぅ。なんのお構
020.stcm2 0x8000 いもできないですけど、そこいらに生えていた
020.stcm2 0x8058 草で作ったお茶なら出せますからどうぞですぅ」
020.stcm2 0x811c 「ああ……いや、お構いなく、サバトちゃん」
020.stcm2 0x8184 なんだか必要以上に苦そうなお茶を勧められま
020.stcm2 0x81dc したが、とても気分が安らぎそうにないのでパ
020.stcm2 0x8234 スです。
020.stcm2 0x82d4 「それよりサバトちゃん。このくらいの小さい
020.stcm2 0x832c 犬、見なかった？　臓物丸、っていうんだけど」
020.stcm2 0x8398 僕は手で、臓物丸の大きさを表しつつ、サバト
020.stcm2 0x83f0 ちゃんに尋ねました。
020.stcm2 0x852c サバトちゃん
020.stcm2 0x8568 「見なかったですけど……その子がどうしたん
020.stcm2 0x85c0 ですかぁ？」
020.stcm2 0x8664 「知り合いから預かった犬なんだけど、いなく
020.stcm2 0x86bc なっちゃって困ってるんだ。ドクロちゃんまで、
020.stcm2 0x8718 その犬を追いかけていなくなっちゃって……」
020.stcm2 0x8868 サバトちゃん
020.stcm2 0x88a4 「そ、それは大変ですぅ！　サバトも、一緒に
020.stcm2 0x88fc さがしますぅ！」
020.stcm2 0x89a4 「ホント？　ありがとう、助かるよ！」
020.stcm2 0x8af0 サバトちゃん
020.stcm2 0x8b2c 「桜くんには、いつもお世話になってるから
020.stcm2 0x8b84 当然なんですぅ！」
020.stcm2 0x8bd4 サバトちゃんが手伝ってくれるなら、とっても
020.stcm2 0x8c2c 助かります。
020.stcm2 0x8e84 「そのときザンスー！　ミィが桜くんに助けを
020.stcm2 0x8edc 求めるのはァーッ！」
020.stcm2 0x8f30 僕がサバトちゃんと一緒に公園を出ようとする
020.stcm2 0x8f88 と、そこに変態が水を差しました。
020.stcm2 0x9040 「な、なんですか！　ザンスさん！　狙ったよ
020.stcm2 0x9098 うに現れますね！」
020.stcm2 0x92c8 「桜くん、ドクロちゃんを止めてほしいザンス！
020.stcm2 0x9324 今のドクロちゃんはヤバいザンスよ！」
020.stcm2 0x93e0 「ザンスさん、ドクロちゃんを見かけたんです
020.stcm2 0x9660 「見かけたもなにも、ミィのモヒカンにドクロ
020.stcm2 0x96b8 ちゃんが犬の爪を立てさせるザンス！　思いっ
020.stcm2 0x9710 きり被害者ザンスよ！」
020.stcm2 0x97bc 「ということは、ドクロちゃんは臓物丸をつか
020.stcm2 0x9814 まえたんだ……それ、どこでです？」
020.stcm2 0x9a54 「ユゥたちの学校ザンス」
020.stcm2 0x9b20 「ザンスさん、学校でなにやってたんですか？」
020.stcm2 0x9b8c ザンスにはゲルニカ学園に行く用事なんかある
020.stcm2 0x9be4 わけがありません。むしろあってはいけないの
020.stcm2 0x9ce8 ですが、今はそんな追及よりもドクロちゃんの
020.stcm2 0x9d40 ことです。
020.stcm2 0x9d88 臓物丸が保護されたことには少し安心しました
020.stcm2 0x9de0 が、保護された相手がよくありません。
020.stcm2 0x9e44 またドクロちゃんの、あふれる遊び心に火が点
020.stcm2 0x9e9c いてしまったようです。
020.stcm2 0x9f70 「わかりました、ザンスさん。サバトちゃん、
020.stcm2 0x9fc8 行こう。ドクロちゃんを見つけて止めないと、
020.stcm2 0xa020 また面倒なことになりそうだから」
020.stcm2 0xa26c サバトちゃん
020.stcm2 0xa2a8 「サバトは、桜くんについて行くですぅ！」
020.stcm2 0xa3ec サバトちゃんの返事を聞いて、僕は再び走り出
020.stcm2 0xa444 しました。サバトちゃんと……ザンスもついて
020.stcm2 0xa49c きます。
020.stcm2 0xa4e4 そして、不意にサバトちゃんは疑問を僕にぶつ
020.stcm2 0xa53c けてきました。
020.stcm2 0xa72c サバトちゃん
020.stcm2 0xa768 「……でも、なんでいなくなっちゃったんです
020.stcm2 0xa7c0 かぁ？」
020.stcm2 0xa808 まさか南さんから逃げ出したとは言えず……。
020.stcm2 0xa8c8 「さ、さあ？　どうしてだろうね？　臓物丸を
020.stcm2 0xa920 つかまえて聞いてみないとね！」
020.stcm2 0xa9d8 僕は適当にお茶をにごすのでした。
020.stcm2 0xac80 僕はアルカディア商店街を駆け抜けます。ここ
020.stcm2 0xacd8 は臓物丸の飼い主、倉木さんの家が営む酒屋さ
020.stcm2 0xad30 んがあります。
020.stcm2 0xad7c ここが臓物丸にとって慣れ親しんだ場所なら、
020.stcm2 0xadd4 臓物丸はここに戻ってくるかもしれません。
020.stcm2 0xae3c 僕はその考えの下、こうして商店街を走ってい
020.stcm2 0xae94 るわけです。
020.stcm2 0xaee0 路地まで視線を巡らせ、臓物丸の影を追い求め
020.stcm2 0xaf38 ますが、その足取りすらもつかめません。
020.stcm2 0xaf9c そして焦りを感じはじめたとき、僕は聞きなれ
020.stcm2 0xaff4 た声に呼び止められました。
020.stcm2 0xb074 静希ちゃん
020.stcm2 0xb0ac 「桜くん！」
020.stcm2 0xb410 「静希ちゃん！？　それに、ベノムちゃんも」
020.stcm2 0xb478 僕の後方から走ってきたのは、ツインテールに
020.stcm2 0xb4d0 しばった髪を揺らした静希ちゃんと、白衣のす
020.stcm2 0xb528 そを揺らしたベノムちゃん。
020.stcm2 0xb668 ベノムちゃん
020.stcm2 0xb6a4 「桜殿、ドクロ殿を見かけなかったであります
020.stcm2 0xb798 「え、どうしたの？　僕もさがしているところ
020.stcm2 0xb7f0 なんだけど……」
020.stcm2 0xb928 ベノムちゃん
020.stcm2 0xb964 「ドクロ殿が、臓物丸を連れているところを見
020.stcm2 0xb9bc かけたのであります。臓物丸の爪で、ザンス殿
020.stcm2 0xba14 のモヒカンを……」
020.stcm2 0xbabc 「ええッ！？　そ、それじゃあドクロちゃんは、
020.stcm2 0xbb18 もう臓物丸を保護してたんだ……」
020.stcm2 0xbb78 ザンスの話はどうでもいいのですが、ドクロちゃ
020.stcm2 0xbbd4 んが臓物丸を連れていたというのは、重要な証
020.stcm2 0xbc2c 言です。
020.stcm2 0xbd5c 静希ちゃん
020.stcm2 0xbd94 「ねえ、なにがあったの？　ドクロちゃんがい
020.stcm2 0xbdec るのに桜くんがいなかったから、ちょっと気に
020.stcm2 0xbe44 なって追いかけてきたんだけど」
020.stcm2 0xbea0 静希ちゃんの表情は不安そうです。それはもち
020.stcm2 0xbef8 ろん、この問題に臓物丸が関わっているからに
020.stcm2 0xbf50 他なりません。
020.stcm2 0xbff4 「実は臓物丸がはぐれちゃったんだけど、ドク
020.stcm2 0xc04c ロちゃんもそれを追いかけていなくなっちゃっ
020.stcm2 0xc0a4 たんだ」
020.stcm2 0xc1d4 静希ちゃん
020.stcm2 0xc20c 「それなら、ドクロちゃんを見つけなくちゃ」
020.stcm2 0xc2cc 「うん、手分けしよう」
020.stcm2 0xc3d8 どうしますか？
020.stcm2 0xc420 １．静希ちゃんと一緒にさがす
020.stcm2 0xc478 ２．ベノムちゃんと一緒にさがす
020.stcm2 0xca74 僕は静希ちゃんと行動を共にしていました。
020.stcm2 0xcbc4 静希ちゃん
020.stcm2 0xcbfc 「それで、いなくなっちゃったんだ」
020.stcm2 0xccb4 「そうなんだよ。もうっ、ドクロちゃんも臓物
020.stcm2 0xcd0c 丸をつかまえたなら、すぐに戻ってくればいい
020.stcm2 0xcd64 のに、なにやってんだろう？」
020.stcm2 0xcdc0 静希ちゃんと一緒に、小走りにドクロちゃんを
020.stcm2 0xce18 さがしながら、僕は大体の事情を話しました。
020.stcm2 0xcf68 静希ちゃん
020.stcm2 0xcfa0 「ドクロちゃん、きっとすごく楽しいんじゃな
020.stcm2 0xcff8 いかな」
020.stcm2 0xd098 「楽しいからって、ハイテンションになりすぎ
020.stcm2 0xd0f0 だよ。まったく、すぐ周りのことが見えなくな
020.stcm2 0xd148 るんだから……」
020.stcm2 0xd280 静希ちゃん
020.stcm2 0xd2b8 「ふふ、でもドクロちゃんらしいね」
020.stcm2 0xd370 「もうっ、毎回毎回、僕は大変なんだからね」
020.stcm2 0xd4c0 静希ちゃん
020.stcm2 0xd4f8 「ごめんね」
020.stcm2 0xd544 静希ちゃんは、ちょこっといたずらっぽいほほ
020.stcm2 0xd59c えみで僕に言いました。僕は心がぱぁっ、とな
020.stcm2 0xd5f4 るのを感じました。まるで花が開くように。
020.stcm2 0xd684 しかし、浮かれてばかりもいられません。僕は
020.stcm2 0xd6dc ドクロちゃんのことを考えます。
020.stcm2 0xd738 臓物丸が来てくれたことの喜びは、わからない
020.stcm2 0xd790 でもありませんが……。
020.stcm2 0xd8cc 静希ちゃん
020.stcm2 0xd904 「ねえ、桜くん……あれ……」
020.stcm2 0xd960 不意に静希ちゃんが立ち止まり、僕たちの前方
020.stcm2 0xd9b8 を指し示しました。
020.stcm2 0xda80 その先には……。
020.stcm2 0xdb28 「あーー、ドクロちゃん！」
020.stcm2 0xde68 僕と静希ちゃんが駆け寄ると、きょとんとした
020.stcm2 0xdec0 顔でドクロちゃんは語ります。
020.stcm2 0xe004 ドクロちゃん
020.stcm2 0xe040 「あれー？　桜くんと静希ちゃん、どうしたの？
020.stcm2 0xe09c なにかあった？」
020.stcm2 0xe144 「【なにかあった？】……じゃないよ！　ドク
020.stcm2 0xe19c ロちゃんをさがしてたんでしょ！　……ああ、
020.stcm2 0xe1f4 もう、とにかく見つかってよかった」
020.stcm2 0xe254 ドクロちゃんは臓物丸を連れています。それは
020.stcm2 0xe2ac まるで普通に散歩を楽しんでいるようでした。
020.stcm2 0xe314 その姿は、ドクロちゃんを知らない人から見れ
020.stcm2 0xe36c ば、一般人そのものでしょう。もちろん、天使
020.stcm2 0xe3c4 のわっかのことは除いて。
020.stcm2 0xe41c でも、ドクロちゃんは今さら一般人ぶっても遅
020.stcm2 0xe474 いのです。
020.stcm2 0xe514 「ほら、一緒に散歩に戻ろう？」
020.stcm2 0xe654 静希ちゃん
020.stcm2 0xe68c 「ドクロちゃん、私も一緒にお散歩させて？」
020.stcm2 0xe6f4 ……なんですと！？　静希ちゃん、ご一緒して
020.stcm2 0xe74c くれるんですか！？
020.stcm2 0xe7f4 「そ、それはいい考えだね！　ほらドクロちゃ
020.stcm2 0xe84c ん、散歩しよう、思う存分！　さあ、臓物丸を
020.stcm2 0xe8a4 連れて、レッツゴー！」
020.stcm2 0xe9e0 ドクロちゃん
020.stcm2 0xea1c 「れっつごー！」
020.stcm2 0xebc4 ドクロちゃんはかけ声と共に、臓物丸を抱きか
020.stcm2 0xec1c かえて走り出しました。
020.stcm2 0xed58 「ちょっと、ドクロちゃん！　ちがうよ！　僕
020.stcm2 0xedb0 たちも一緒に行くの！　まってよ！」
020.stcm2 0xee10 僕も追いかけますが、人混みの中にドクロちゃ
020.stcm2 0xee68 んが飛び込んだところで見失ってしまいました。
020.stcm2 0xeffc 静希ちゃん
020.stcm2 0xf034 「私、ベノムちゃんを呼んでくる」
020.stcm2 0xf0ec 「うん、すぐ追いかけよう」
020.stcm2 0xf1c8 僕はその場で、１人残されて静希ちゃんとの会
020.stcm2 0xf220 話を思い出します。その中で引っかかったのは、
020.stcm2 0xf27c 僕自身が言った言葉。
020.stcm2 0xf2d0 ドクロちゃんがハイテンション……。あまり考
020.stcm2 0xf328 えたくない展開でした。
020.stcm2 0xf5a8 僕はベノムちゃんと一緒に行動することにしま
020.stcm2 0xf644 ベノムちゃん１人で行動しても、ドクロちゃん
020.stcm2 0xf69c は逃げてしまうような気がするからです。
020.stcm2 0xf700 静希ちゃんならば、１人でもドクロちゃんを説
020.stcm2 0xf758 得できるかもしれませんし、結局はこの組み合
020.stcm2 0xf7b0 わせが合理的に思えます。
020.stcm2 0xf860 「なんでドクロちゃんは、臓物丸をつかまえた
020.stcm2 0xf8b8 はずなのに、戻ってこないんだろうね」
020.stcm2 0xfaa4 ベノムちゃん
020.stcm2 0xfae0 「ドクロ殿のお考えは、自分にはよくわからな
020.stcm2 0xfb38 いでありますが、もしかすると臓物丸を散歩さ
020.stcm2 0xfb90 せているのかもしれないであります」
020.stcm2 0xfc48 「散歩？　散歩なら、僕としてたのに？」
020.stcm2 0xfd94 ベノムちゃん
020.stcm2 0xfdd0 「ええ、もしや散歩しているうちに桜殿と会え
020.stcm2 0xfe28 るかもしれないと思われたのではないかと」
020.stcm2 0xfee8 「なるほど、それは確かに的を射た考えかもし
020.stcm2 0xff40 れないね」
020.stcm2 0x10070 ベノムちゃん
020.stcm2 0x100ac 「そ、そうでありますか？」
020.stcm2 0x10104 ベノムちゃんは、ちょっとだけ照れたような仕
020.stcm2 0x1015c 草をして見せます。
020.stcm2 0x10204 「うん……建設的な考えすぎて、気が付かなかっ
020.stcm2 0x10260 たよ。ドクロちゃんがそんな普通のことを考え
020.stcm2 0x102b8 るはずがないと思ってたから」
020.stcm2 0x108dc 「だってドクロちゃん、アホてんどばァッ！！」
020.stcm2 0x10bc0 突如としてなにかが飛来し、僕は一瞬にして咲
020.stcm2 0x10c18 き乱れました。
020.stcm2 0x10c8c 周囲の買い物客は騒然としました。一瞬にして、
020.stcm2 0x10ce8 恐怖がアーケードの中を吹き抜けます。
020.stcm2 0x10d4c 僕を撃ち貫き、地面に突き立ったのはエスカリ
020.stcm2 0x10da4 ボルグ。その姿は、正当な主に引き抜かれるの
020.stcm2 0x10dfc を、じっと待ちつづけている聖剣のようです。
020.stcm2 0x11090 ベノムちゃん
020.stcm2 0x110cc 「さ、桜殿！？　これは、ドクロ殿のエスカリ
020.stcm2 0x11124 ボルグでありますね……。ドクロ殿！？　どち
020.stcm2 0x1117c らにいらっしゃるでありますか！？」
020.stcm2 0x111dc ベノムちゃんの声が反響します。
020.stcm2 0x11408 反響が止む頃、いたずら天使が現れて、さっそ
020.stcm2 0x11460 うと地面からエスカリボルグを引き抜き……。
020.stcm2 0x115cc ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
020.stcm2 0x1173c 「なに！？　今、なにが起きたの！？」
020.stcm2 0x11928 僕が目を覚まし、辺りを見回すとドクロちゃん
020.stcm2 0x11980 は少し離れたところに立っていました。
020.stcm2 0x119e4 その足元には臓物丸。僕がドクロちゃんに声を
020.stcm2 0x11a3c かけようとしたとき、機先を制するようにドク
020.stcm2 0x11a94 ロちゃんが口を開きます。
020.stcm2 0x11bd4 ドクロちゃん
020.stcm2 0x11c10 「桜くんのばいこくどっ！」
020.stcm2 0x11c90 ば……売国奴？　話が急に穏やかじゃなくなっ
020.stcm2 0x11ce8 てきました。なんの誤解が発生しているのでしょ
020.stcm2 0x11de0 「……はッ！　まさか……僕とベノムちゃんが
020.stcm2 0x11e38 一緒にいるのは、ドクロちゃんを売り渡してい
020.stcm2 0x11e90 るからだと！？」
020.stcm2 0x11f78 しかしその問いに答えは返ってきません。ドク
020.stcm2 0x11fd0 ロちゃんは、僕の言葉を聞くこともなく走り去っ
020.stcm2 0x1202c てしまいました。
020.stcm2 0x12204 ベノムちゃん
020.stcm2 0x12240 「ドクロ殿、おまちください！　桜殿は……！」
020.stcm2 0x12304 「静希ちゃんと合流しよう！　ドクロちゃんを
020.stcm2 0x1235c 追いかけなきゃ！」
020.stcm2 0x12494 ベノムちゃん
020.stcm2 0x124d0 「了解であります！」
020.stcm2 0x12594 気が付けば、アルカディア商店街の買い物客の
020.stcm2 0x125ec 視線は突き刺さるかのようでした。
020.stcm2 0x12824 第４話　後半戦だよっ
020.stcm2 0x12934 それから様々な場所を巡り、１時間以上が過ぎ
020.stcm2 0x1298c ました。
020.stcm2 0x12b58 ザクロちゃん
020.stcm2 0x12b94 「おねえさま、どちらへ行ってしまわれたので
020.stcm2 0x12bec しょうか……」
020.stcm2 0x12e28 ベノムちゃん
020.stcm2 0x12e64 「……臓物丸が心配であります」
020.stcm2 0x130a4 「ミィは、ドクロちゃんに一言あるザンスよ！」
020.stcm2 0x132f0 サバトちゃん
020.stcm2 0x1332c 「ドクロちゃーん、どこですぅーー！？」
020.stcm2 0x13444 この１時間あまりで、みんなの協力を得ること
020.stcm2 0x1349c ができましたが、それでもドクロちゃんを見つ
020.stcm2 0x134f4 けることができません。
020.stcm2 0x13548 僕たちは、アバランチ公園近くの道ばたを歩い
020.stcm2 0x135a0 ていました。
020.stcm2 0x135ec こうしていると、ベノムちゃんがこの街にやっ
020.stcm2 0x13644 て来たとき、サバトちゃんとドクロちゃんを追
020.stcm2 0x1369c いかけて街を駆け回ったことを思い出します。
020.stcm2 0x1389c 「……桜、駅の方もだめだったぜ」
020.stcm2 0x13954 「そうか、駅にもいないのか」
020.stcm2 0x139b0 駅を調べに行ってくれた宮本が、走ってきて報
020.stcm2 0x13a08 告してくれました。
020.stcm2 0x13a58 少し汗をかいていますが、息が切れていないの
020.stcm2 0x13ab0 はさすが野球部員といったところでしょう。
020.stcm2 0x13cf8 静希ちゃん
020.stcm2 0x13d30 「桜くん、今日一緒に散歩してて、ドクロちゃ
020.stcm2 0x13d88 んが気に入った場所とか、ない？」
020.stcm2 0x13de8 静希ちゃんも真剣に考え込んでいるようです。
020.stcm2 0x13ea8 「うーん、ドクロちゃんと通ったところはもう
020.stcm2 0x13f00 見て回っちゃったし……」
020.stcm2 0x14148 サバトちゃん
020.stcm2 0x14184 「あ、大変ですぅ！」
020.stcm2 0x141d8 そのとき急に騒ぎ出したのは、くるりんとした
020.stcm2 0x14230 ツノを持った天使。
020.stcm2 0x1439c 「どうしたのサバトちゃん、ドクロちゃんがい
020.stcm2 0x143f4 たの……？」
020.stcm2 0x14544 サバトちゃん
020.stcm2 0x14580 「ちがうんですぅ。サバト、ドゥリンダルテを
020.stcm2 0x145d8 おうちに忘れて来ちゃったんですぅ！」
020.stcm2 0x1463c ……忘れ物でした。
020.stcm2 0x1470c 「……うん。まあアバランチ公園はすぐそこだ
020.stcm2 0x14764 し、取ってくるといいよ」
020.stcm2 0x148a4 サバトちゃん
020.stcm2 0x148e0 「行ってくるですぅ」
020.stcm2 0x149a4 今は関係ないとは言え、確かに危険物ですから
020.stcm2 0x149fc ダンボールハウスに放置するのはよくないかも
020.stcm2 0x14a54 しれません。
020.stcm2 0x14aa0 少なくとも、僕はそう考えることにしました。
020.stcm2 0x14b60 「なんか、騒ぎが大きくなってきたね」
020.stcm2 0x14bc4 僕は隣に立つ、静希ちゃんに話しかけました。
020.stcm2 0x14db4 静希ちゃん
020.stcm2 0x14dec 「うん……ごめんね、私があの子を桜くんの家
020.stcm2 0x14e44 に連れていったから」
020.stcm2 0x14ef0 「そんなことないよ！　静希ちゃんはなにも悪
020.stcm2 0x14f48 くないんだから！」
020.stcm2 0x14f98 静希ちゃんは、臓物丸を連れてきてくれたので
020.stcm2 0x14ff0 す。ドクロちゃんの喜びは本物だったし、僕だっ
020.stcm2 0x1504c て、うれしかったのです。
020.stcm2 0x150a4 それが悪いことであるはずはありません。ただ、
020.stcm2 0x15100 ドクロちゃんの悪ふざけが過ぎるだけなのです。
020.stcm2 0x15290 静希ちゃん
020.stcm2 0x152c8 「桜くん、ありがとう」
020.stcm2 0x15390 「ううん、でも、ひとつだけお願いがあるんだ」
020.stcm2 0x154e4 静希ちゃん
020.stcm2 0x1551c 「お願い？」
020.stcm2 0x155e8 「やっぱり、臓物丸は静希ちゃんの家で預かっ
020.stcm2 0x15640 てくれないかな？　なんか、いやな予感がする
020.stcm2 0x156dc 僕は、考えていました。……このままドクロちゃ
020.stcm2 0x15738 んに臓物丸を任せて、大丈夫なのかと。
020.stcm2 0x1579c 僕は今さらながら、ドクロちゃんが一緒に散歩
020.stcm2 0x157f4 に出ようと言ったときに、一度断ったことが恐
020.stcm2 0x1584c ろしいことのように思えました。
020.stcm2 0x158a8 だって、ドクロちゃんと臓物丸だけで行方をく
020.stcm2 0x15900 らませていると、こんなに不安になるんです。
020.stcm2 0x15968 今はまだ被害がモヒカン１つで済んでいるから
020.stcm2 0x159c0 いいようなものの……。
020.stcm2 0x15afc 静希ちゃん
020.stcm2 0x15b34 「うん……私はいいけど、ドクロちゃんはいい
020.stcm2 0x15b8c の？　いやがるんじゃないかな」
020.stcm2 0x15c40 「それが問題なんだけど、なんとかしてみるよ。
020.stcm2 0x15c9c 臓物丸になにかあってからじゃ、遅いし」
020.stcm2 0x15d5c 僕はドクロちゃんの言葉を思い出していました。
020.stcm2 0x16074 ドクロちゃん
020.stcm2 0x160b0 「やったあ！！　臓物丸ぅー、これからはずっ
020.stcm2 0x16108 と一緒だよ！」
020.stcm2 0x161ac 「ずっとじゃない！　しあさってまでです！」
020.stcm2 0x16420 ドクロちゃん
020.stcm2 0x1645c 「臓物丸ぅー、楽しいねー。もうこのまま、ウ
020.stcm2 0x164b4 チの子にしたいよう」
020.stcm2 0x16560 「ドクロちゃん。わかってると思うけど、それ
020.stcm2 0x165b8 はだめだからね」
020.stcm2 0x16788 ドクロちゃんは、臓物丸への気持ちをつのらせ
020.stcm2 0x167e0 ています。
020.stcm2 0x16828 このまま一緒にいることは、決して叶わない恋
020.stcm2 0x16880 のように悲しい結果がまっているような気がし
020.stcm2 0x168d8 てなりません。
020.stcm2 0x1697c 「……それに、２日も３日も一緒にいたら、ド
020.stcm2 0x169d4 クロちゃんは今度こそ、臓物丸を手放したくな
020.stcm2 0x16a2c いって思っちゃうかもしれないよ」
020.stcm2 0x16c14 静希ちゃん
020.stcm2 0x16c4c 「そうだね、それなら……」
020.stcm2 0x16d50 「桜くーん！」
020.stcm2 0x16df4 「あれは……田辺さんと南さん」
020.stcm2 0x17120 静希ちゃんと話している最中に声がかかりまし
020.stcm2 0x17178 た。こっちに向かって小走りに近づいてくる人
020.stcm2 0x171d0 影は２つ。
020.stcm2 0x17218 ショートカットがゆらゆら揺れる田辺さんと、
020.stcm2 0x17270 長い黒髪が風に流れるような南さんです。
020.stcm2 0x172d4 ２人は僕のそばまで来ると、意外なことを僕に
020.stcm2 0x1732c 向かって言うのです。
020.stcm2 0x17470 「桜くん、学校の教室は全部見たけどドクロちゃ
020.stcm2 0x174cc んはいなかったから」
020.stcm2 0x175dc 田辺さん
020.stcm2 0x17614 「うん、学校の周りにはいないみたい」
020.stcm2 0x176d0 「２人ともどうして？」
020.stcm2 0x17814 「あの子犬、逃げちゃったから」
020.stcm2 0x178c8 「南さん……」
020.stcm2 0x17914 僕は南さんにかける言葉をさがしていました。
020.stcm2 0x1796c 南さんなりに、責任を感じていたのです。僕は
020.stcm2 0x179c4 知っています。知っていますとも！
020.stcm2 0x17a64 いつもは理由もわからず僕に冷たいけれど、南
020.stcm2 0x17abc さんも本当は心のやさしい女の子なのです。
020.stcm2 0x17c14 「……桜くんのせいで」
020.stcm2 0x17ce8 「それはちがうでしょッ！　どっちかって言う
020.stcm2 0x17d40 と、南さんの……」
020.stcm2 0x17ecc 「……ああっ！　ごめんなさいごめんなさい、
020.stcm2 0x17f24 みるみるうちに暗い顔にならないで？」
020.stcm2 0x18044 田辺さん
020.stcm2 0x1807c 「桜くん、南さんを泣かせないでよ」
020.stcm2 0x18134 「僕が泣きたいよ！」
020.stcm2 0x181a4 ええいッ、とやかく言っても仕方がない！　今
020.stcm2 0x181fc はドクロちゃんをさがすのが最優先です！
020.stcm2 0x18310 僕は本題を切り出します。
020.stcm2 0x183e8 「それじゃあ、学校と駅を外して、もう１回分
020.stcm2 0x18440 担しようか」
020.stcm2 0x18614 ザクロちゃん
020.stcm2 0x18650 「はい。それでは、わたくしは一度、おうちに
020.stcm2 0x186a8 戻ってみようと思います」
020.stcm2 0x188e4 静希ちゃん
020.stcm2 0x1891c 「私は自然公園を見に行ってみる」
020.stcm2 0x18b6c ベノムちゃん
020.stcm2 0x18ba8 「自分は静希殿に同行するであります」
020.stcm2 0x18f6c 田辺さん
020.stcm2 0x18fa4 「南さん、私たちは川沿いの土手を歩こうか」
020.stcm2 0x190fc 「ええ」
020.stcm2 0x191f4 みんながそれぞれ分担を決めていきます。僕は
020.stcm2 0x1924c その中でキツそうなところを選びました。だっ
020.stcm2 0x192a4 て男ですから。
020.stcm2 0x19348 「僕は山に行ってみるよ。……宮本、一緒に来
020.stcm2 0x193a0 てくれ」
020.stcm2 0x1956c 「ああ、いいぜ」
020.stcm2 0x1979c 「じゃあミィは、よう……」
020.stcm2 0x19a60 僕はザンスの肩に、ぽんと手を置きます。そし
020.stcm2 0x19ab8 てあくまでもにこやかに、
020.stcm2 0x19b68 「ダメですよー、ザンスさん。幼稚園とか言っ
020.stcm2 0x19bc0 たら、僕はザンスさんに相当つらく当たらない
020.stcm2 0x19c18 といけないですから」
020.stcm2 0x19d5c 「も、もちろんザンスよ！　ミィは、よう……
020.stcm2 0x19db4 要所要所、見て回るザンスよ」
020.stcm2 0x19e68 「変なことしたら、レッドカードを鼻の穴にね
020.stcm2 0x19ec0 じ込みますからね。しっかりしてくださいよ？」
020.stcm2 0x1a01c 「わ、わかったザンス！　なにもしないザンス
020.stcm2 0x1a1b8 「それじゃあ……」
020.stcm2 0x1a3c0 「いやああああぁぁぁぁですぅぅぅぅ！！」
020.stcm2 0x1a4a8 「な、なに、この声！？　サバトちゃん！？」
020.stcm2 0x1a698 ザクロちゃん
020.stcm2 0x1a6d4 「サバトさんは、アバランチ公園に向かったは
020.stcm2 0x1a72c ずです！　急ぎましょう！」
020.stcm2 0x1a7dc 「うん！」
020.stcm2 0x1a880 ドゥリンダルテを取りに戻っただけのはずなの
020.stcm2 0x1a8d8 に、聞こえた悲鳴。
020.stcm2 0x1a928 事件の気配がします……！
020.stcm2 0x1a9a8 僕たちは、全員揃ってアバランチ公園へと走り
020.stcm2 0x1aa00 ました。
020.stcm2 0x1ac68 公園に駆け込んだ僕たちは、まっすぐにサバト
020.stcm2 0x1acc0 ちゃんのダンボールハウスを目指しました。
020.stcm2 0x1ad68 するとそこで見かけたのは、
020.stcm2 0x1af50 サバトちゃん
020.stcm2 0x1af8c 「ドクロちゃん、やめてくださいですぅ！　そ
020.stcm2 0x1afe4 れはサバトのおうちなんですぅ！」
020.stcm2 0x1b1d8 ドクロちゃん
020.stcm2 0x1b214 「だってー、臓物丸にもおうちが必要なんだも
020.stcm2 0x1b330 どこに行ったのかと思えば、ドクロちゃんは、
020.stcm2 0x1b388 公園でサバトちゃんのおうちにエスカリボルグ
020.stcm2 0x1b3e0 を突きつけていました。
020.stcm2 0x1b434 その足元には、小さな臓物丸がちょこんと座っ
020.stcm2 0x1b48c ていました。
020.stcm2 0x1b4d8 それにしても、なんてひどい論理でしょうか。
020.stcm2 0x1b530 【だって】の使い方が明らかにおかしいです。
020.stcm2 0x1b5c0 サバトちゃん
020.stcm2 0x1b5fc 「必要なのに、なんでエスカリボルグを突きつ
020.stcm2 0x1b654 けるんですかぁ！？　壊れちゃうですぅ！」
020.stcm2 0x1b714 「ドクロちゃん、なにやってんの！？　サバト
020.stcm2 0x1b76c ちゃんのサバイバルを邪魔しちゃダメでしょ！」
020.stcm2 0x1b894 サバトちゃん
020.stcm2 0x1b8d0 「桜くん、ドクロちゃんを止めてほしいですぅ！
020.stcm2 0x1b92c ドクロちゃんがエスカリボルグで、サバトのお
020.stcm2 0x1b984 うちをつんつんしてるですぅ！」
020.stcm2 0x1ba38 「ドクロちゃん！　エスカリボルグでつんつん
020.stcm2 0x1ba90 したら壊れちゃうよ！」
020.stcm2 0x1bbb4 ドクロちゃん
020.stcm2 0x1bbf0 「桜くん、近寄らないで！　近寄ったら……」
020.stcm2 0x1bc58 ドクロちゃんは強くこちらをにらみます。
020.stcm2 0x1bd3c 「近寄ったら……サバトちゃんの家を壊すって
020.stcm2 0x1bd94 言うの？」
020.stcm2 0x1bddc その場にいる全員が、緊張にコブシを握る力を
020.stcm2 0x1be34 強くします。
020.stcm2 0x1bec4 ドクロちゃん
020.stcm2 0x1bf00 「……近寄ったら、今世紀の桜くんの運勢は最
020.stcm2 0x1bf58 悪でしょう！」
020.stcm2 0x1c024 「なんだよ、その適当な占い！？　今世紀って
020.stcm2 0x1c07c まず間違いなく一生じゃん！　僕の一生を不幸
020.stcm2 0x1c0d4 にするぞ、ってドクロちゃんがおどしてる！」
020.stcm2 0x1c304 ザクロちゃん
020.stcm2 0x1c340 「おねえさま、冷静に話し合いましょう」
020.stcm2 0x1c594 静希ちゃん
020.stcm2 0x1c5cc 「ドクロちゃん、落ち着いて？」
020.stcm2 0x1c80c ベノムちゃん
020.stcm2 0x1c848 「ドクロ殿。とにかく臓物丸と共に、桜殿のお
020.stcm2 0x1c8a0 宅に戻りましょう」
020.stcm2 0x1ca10 サバトちゃん
020.stcm2 0x1ca4c 「ドクロちゃぁぁん……やめてくださいですぅ」
020.stcm2 0x1cab8 最後のサバトちゃんは、やめてほしい理由が若
020.stcm2 0x1cb10 干みんなとちがうような気もしますが、みんな
020.stcm2 0x1cb68 真剣にドクロちゃんに呼びかけています。
020.stcm2 0x1cbcc 僕は、本来の目的を思い出しました。
020.stcm2 0x1cc84 「ドクロちゃん、臓物丸は、やっぱり静希ちゃ
020.stcm2 0x1ccdc んのおうちで預かってもらうことにしよう？
020.stcm2 0x1cd34 臓物丸のためにもこのままじゃ良くないよ」
020.stcm2 0x1cd9c 僕はドクロちゃんの足元の臓物丸に視線を移し
020.stcm2 0x1ce90 「だって、ドクロちゃん過激すぎるもん。臓物
020.stcm2 0x1cee8 丸、疲れちゃうでしょ？」
020.stcm2 0x1cfa8 ドクロちゃん
020.stcm2 0x1cfe4 「やだっ！　臓物丸はウチの子なんだもん！」
020.stcm2 0x1d0e4 「あッ！　こら、まちなさい！」
020.stcm2 0x1d140 ドクロちゃんはエスカリボルグを引っ込めると、
020.stcm2 0x1d19c 臓物丸を抱えたまま走り出しました。
020.stcm2 0x1d384 ベノムちゃん
020.stcm2 0x1d3c0 「桜殿、追いかけましょう！」
020.stcm2 0x1d474 「うん……ベノムちゃんごめんね。健康診断と
020.stcm2 0x1d4cc 関係ないことに巻き込んで」
020.stcm2 0x1d524 ベノムちゃんは首を横に振り、
020.stcm2 0x1d664 ベノムちゃん
020.stcm2 0x1d6a0 「いつも、桜殿にはお世話になっているであり
020.stcm2 0x1d6f8 ますから」
020.stcm2 0x1d740 にこやかに笑うのです。その笑顔を見てもまだ、
020.stcm2 0x1d79c ドクロちゃんはベノムちゃんに迷惑をかけ続け
020.stcm2 0x1d7f4 られるのでしょうか。
020.stcm2 0x1da2c 「みんな、はやくザンス！　ドクロちゃんはあっ
020.stcm2 0x1da88 ちに行ったザンス！」
020.stcm2 0x1dcb8 「先、行くぜ！」
020.stcm2 0x1dd88 宮本がみんなから飛び出して、走っていきます。
020.stcm2 0x1dde4 それに続いて、僕たちは走り出しました。
020.stcm2 0x1de48 【臓物丸はウチの子】。ドクロちゃんが言った
020.stcm2 0x1dea0 言葉が僕の胸に強く引っかかりました。
020.stcm2 0x1df04 イヤな予感は、的中したのです。
020.stcm2 0x1e2ac 「それで……結局、ここに戻ってくるわけなん
020.stcm2 0x1e370 ドクロちゃんを追いかけてたどり着いたのは、
020.stcm2 0x1e3c8 僕の家。
020.stcm2 0x1e594 「ああ、この中に入るのを見たぜ」
020.stcm2 0x1e7e0 「散歩は終わりってことじゃない？」
020.stcm2 0x1e898 「でも公園では、なんかそういう雰囲気じゃな
020.stcm2 0x1e8f0 かったような気がするんだけど」
020.stcm2 0x1eb84 ザクロちゃん
020.stcm2 0x1ebc0 「とにかく、中に入りましょう。おねえさまの
020.stcm2 0x1ec18 お話を聞けばわかりますから」
020.stcm2 0x1eccc 「そうだね」
020.stcm2 0x1edb4 僕は玄関のドアに手をかけて、ノブを回します。
020.stcm2 0x1ee48 ガチャガチャ！
020.stcm2 0x1eeec 「あ、あれ……？　開かない？」
020.stcm2 0x1f0d0 ザクロちゃん
020.stcm2 0x1f10c 「まさか、カギをかけてあるのでは……」
020.stcm2 0x1f1c8 「……そうだ！　カギかかってる！　ザクロちゃ
020.stcm2 0x1f224 ん、カギ持ってる？」
020.stcm2 0x1f278 僕はザクロちゃんにお留守番をお願いしてたの
020.stcm2 0x1f2d0 で、カギを持たずに出てきてしまっていました。
020.stcm2 0x1f424 ザクロちゃん
020.stcm2 0x1f460 「い、いえ……おねえさまがいなくなってしまっ
020.stcm2 0x1f4bc たと聞いて、あわてて出てきたものですから、
020.stcm2 0x1f514 そう言えばカギをかけるのも忘れて……」
020.stcm2 0x1f5d0 「それはまた、無用心な……」
020.stcm2 0x1f714 ザクロちゃん
020.stcm2 0x1f750 「も、申し訳ありません」
020.stcm2 0x1f804 しかし、カギがかかっているということは、中
020.stcm2 0x1f85c にドクロちゃんがいるという証拠です。
020.stcm2 0x1f8c0 それにしてもどうしましょう。カギがかかって
020.stcm2 0x1f918 いたのでは入れません。
020.stcm2 0x1faf4 ベノムちゃん
020.stcm2 0x1fb30 「桜殿、上であります！　上を見てください！」
020.stcm2 0x1fb9c 僕たちが玄関前で考え込んでいたとき、ベノム
020.stcm2 0x1fbf4 ちゃんの声が教えてくれました。
020.stcm2 0x1fca8 「上……？　あっ！」
020.stcm2 0x1fffc 窓が開いて、そこから顔を出すのはドクロちゃ
020.stcm2 0x20054 んでした。
020.stcm2 0x200c4 ザクロちゃん
020.stcm2 0x20100 「おねえさま、ドアを開けてください！」
020.stcm2 0x2018c サバトちゃん
020.stcm2 0x201c8 「ドクロちゃん！　降りてくるですぅ！」
020.stcm2 0x2022c ドクロちゃんはみんなの呼びかけには、なんの
020.stcm2 0x20284 返事もよこさず、ついにそれを叫ぶのです。
020.stcm2 0x20314 ドクロちゃん
020.stcm2 0x20350 「――ボクは臓物丸の養育権と、健康診断の中
020.stcm2 0x203a8 止を要求します！」
020.stcm2 0x204c4 それだけを告げて、窓がぴしゃりと閉じられま
020.stcm2 0x2051c す。後に残ったのは静けさと、
020.stcm2 0x206e0 「ええええぇぇぇぇぇぇッッ！？」
020.stcm2 0x20740 僕の叫び。
020.stcm2 0x20788 臓物丸の養育権と……健康診断……？　なんて
020.stcm2 0x207e0 バカな要求でしょうか。そんなこと認められる
020.stcm2 0x20838 はずがありません。
020.stcm2 0x208c8 臓物丸を連れて散歩していただけのはずなのに、
020.stcm2 0x20924 どうしてこんなことになったのでしょう？
020.stcm2 0x20988 そして、臓物丸の話をしていたはずなのに、ド
020.stcm2 0x209e0 サクサにまぎれて健康診断から逃げようとして
020.stcm2 0x20a38 います。
020.stcm2 0x20a80 僕はベノムちゃんを見ました。
020.stcm2 0x20c64 ベノムちゃん
020.stcm2 0x20ca0 「ドクロ殿……それほどまでに……」
020.stcm2 0x20d00 ベノムちゃんは、ドクロちゃんの言葉に衝撃を
020.stcm2 0x20d58 隠せないようです。ですが、それも当然でしょ
020.stcm2 0x20fd8 静希ちゃん
020.stcm2 0x21010 「桜くん、倉木さんを呼んでくる？」
020.stcm2 0x210c8 「いや、倉木さんの中でドクロちゃんはライル
020.stcm2 0x21120 くんを助けてくれた、やさしい先輩なんだ……」
020.stcm2 0x211e4 「ドクロちゃんのこんな姿を見せたら、その純
020.stcm2 0x2123c 粋な気持ちを壊してしまうことになるよ……！」
020.stcm2 0x212a8 倉木さんは純粋に、僕とドクロちゃん、そして
020.stcm2 0x21300 静希ちゃんを信じて臓物丸を預けてくれたので
020.stcm2 0x2139c それを裏切ることは、できないのです。
020.stcm2 0x21400 僕は、２階の窓に向き直り、ドクロちゃんに向
020.stcm2 0x21458 かって、声をかけます。
020.stcm2 0x21504 「ドクロちゃーんッ！！　バカなこと言ってな
020.stcm2 0x2155c いで、はやく出てきな……」
020.stcm2 0x215f8 ズパァン――ッ！！
020.stcm2 0x216c8 「なに……今の音……？」
020.stcm2 0x21720 僕が上に向かって話しかけている最中、なにか
020.stcm2 0x21778 が激しくぶつかる音が聞こえました。
020.stcm2 0x218c0 静希ちゃん
020.stcm2 0x218f8 「桜くん、玄関の前……」
020.stcm2 0x219ac 静希ちゃんの示すところを見ると、なにかが落
020.stcm2 0x21a04 ちています。なんでしょう？
020.stcm2 0x21ab4 「な、なにこれ……？」
020.stcm2 0x21b08 僕は近づいて、それを拾い上げました。
020.stcm2 0x21b6c それは、地面に叩きつけられたことで汚れて、
020.stcm2 0x21bc4 くしゃくしゃになった、１冊のノートでした。
020.stcm2 0x21c48 僕は、それに見覚えがあるのです。
020.stcm2 0x21d28 「ああああッ！　これ、僕の宿題のノートだ！！
020.stcm2 0x21d84 しかも、さっきやってたところが、狙ったよう
020.stcm2 0x21ddc にびりびりに破られてる！」
020.stcm2 0x21e34 まだ臓物丸が静希ちゃんに連れられてやって来
020.stcm2 0x21e8c る前、ドクロちゃんがおやつを取りに行ってい
020.stcm2 0x21ee4 るスキにやっていた宿題。
020.stcm2 0x21f3c それは今、無残な姿で打ち捨てられました。宿
020.stcm2 0x21f94 題をやっていたことが、バレていたのです！
020.stcm2 0x220c8 ドクロちゃん
020.stcm2 0x22104 「ボクにおやつを取りに行かせておいて、自分
020.stcm2 0x2215c だけ勉強するなんてずるいんだもん！」
020.stcm2 0x22218 「じゃあ、ドクロちゃんも勉強しなよ！　誰も
020.stcm2 0x22270 止めないよ！　おやつだって、僕が取りに行っ
020.stcm2 0x222c8 てあげるから！」
020.stcm2 0x223e4 僕の哀願にも似た抗議を無視し、ドクロちゃん
020.stcm2 0x2243c は窓を閉めました。
020.stcm2 0x2248c 机の中にしまい込んだノートが、今は僕の手の
020.stcm2 0x224e4 中にありました。僕はぼろぼろのノートを改め
020.stcm2 0x2253c て見直します。
020.stcm2 0x225e0 「ああ、ひどい……！　こんな……こんなのっ
020.stcm2 0x22638 てないよぉッ！　要求に従わないとこうなるっ
020.stcm2 0x22690 ていう、見せしめなんですか！？」
020.stcm2 0x2285c 音がして、窓が開きます。再び顔を出すのはド
020.stcm2 0x228b4 クロちゃん。
020.stcm2 0x22928 次の瞬間、ぽいと投げ捨てられるのは、僕の机
020.stcm2 0x22980 の上にある鉛筆けずりでした。
020.stcm2 0x22d80 「あっぶなァァァ――ッ！！」
020.stcm2 0x22e84 僕はそれをダイビングキャッチ。やりたくもな
020.stcm2 0x22edc いファインプレーを披露させられてしまいまし
020.stcm2 0x22f78 なんなんだ……なにがしたいんだ、ドクロちゃ
020.stcm2 0x22fd0 んはッ！？
020.stcm2 0x23034 鉛筆けずりは無事のようです。ですが、コトは
020.stcm2 0x2308c それだけで終わるはずもなかったのです。
020.stcm2 0x23214 「ああああ……まさか、やめろ！　やめるんだ、
020.stcm2 0x23270 ドクロちゃん！」
020.stcm2 0x232c0 ドクロちゃんは、無言のまま僕を見下ろしてい
020.stcm2 0x23318 ます。その瞳が、悪夢が終わっていないことを
020.stcm2 0x23370 語っているのです。
020.stcm2 0x233c0 僕はその瞳に恐怖し、
020.stcm2 0x2343c そして、僕の机の上にあった本が宙に舞いまし
020.stcm2 0x236bc 「わあああ――ッ！！　ちょッ、ドクロちゃん！
020.stcm2 0x23718 やめてえええええ！！」
020.stcm2 0x24060 「あ……あのアホ天使め！　ど、どうして、僕
020.stcm2 0x240b8 を、こんな目に……」
020.stcm2 0x2410c 僕は息を切らせながらつぶやきました。
020.stcm2 0x24170 魚にエサをやる感覚で、僕の部屋のものをばら
020.stcm2 0x241c8 まくドクロちゃんとの死闘も小休止、そろそろ
020.stcm2 0x24220 投げるものもなくなってきたことでしょう。
020.stcm2 0x24288 玄関の前には、僕の部屋に置いてあった私物た
020.stcm2 0x242e0 ち。まるで引っ越してきたばかりで、これから
020.stcm2 0x24338 荷物を搬入するところみたいです。
020.stcm2 0x24398 ドクロちゃん……もう勘弁なりません！　つか
020.stcm2 0x243f0 まえたら、思い切り説教してやるんだから！
020.stcm2 0x244b0 「ドクロちゃん、もう出てきてよ！　みんな迷
020.stcm2 0x24508 惑してるんだよ！？　なんとも思わないの！」
020.stcm2 0x24570 僕の声が響きますが、ドクロちゃんは投げるの
020.stcm2 0x245c8 をやめたきり、顔を見せません。
020.stcm2 0x247ac サバトちゃん
020.stcm2 0x247e8 「なんだか、今度は桜くんのおうちが人質にと
020.stcm2 0x24840 られたみたいですぅ」
020.stcm2 0x24a4c 田辺さん
020.stcm2 0x24a84 「あははは、サバトちゃん、上手いこと言うの
020.stcm2 0x24b78 「笑いごとじゃないよ！　僕は必死なの！」
020.stcm2 0x24cbc だって、人質になってるのは家じゃありません。
020.stcm2 0x24d18 むしろ臓物丸です。
020.stcm2 0x24d68 唯一の救いは、ドクロちゃんが臓物丸を大好き
020.stcm2 0x24dc0 で、彼を傷つけたりする子じゃないってことで
020.stcm2 0x24e18 すが……。
020.stcm2 0x24fe8 静希ちゃん
020.stcm2 0x25020 「桜くん、どうする……？　ドクロちゃん、本
020.stcm2 0x25078 気みたいだけど」
020.stcm2 0x25120 「いくら本気でも、あんな要求は認められない
020.stcm2 0x253a0 ザクロちゃん
020.stcm2 0x253dc 「はい、あの要求は取り下げていただきましょ
020.stcm2 0x254d0 「とにかく話し合いに応じてもらわないと……。
020.stcm2 0x2552c でもカギがなぁ……」
020.stcm2 0x25580 僕は窓を見上げますが、ドクロちゃんの姿は見
020.stcm2 0x255d8 えません。
020.stcm2 0x25620 あのガラス１枚向こうに、ドクロちゃんがいる
020.stcm2 0x25678 のですが、なんとも歯がゆいものです。
020.stcm2 0x257c4 ザクロちゃん
020.stcm2 0x25800 「ドアを壊すのはさすがに……」
020.stcm2 0x258b4 「うん……それは僕もぜひやめておきたい
020.stcm2 0x25b30 「それならどうするザンスか？　もうそんなに
020.stcm2 0x25b88 手は残されてないザンスよ」
020.stcm2 0x25c38 「そうですね……」
020.stcm2 0x25c88 ザンスに言われて考え込むのもしゃくですが、
020.stcm2 0x25ce0 僕はこめかみをぽりぽりと指でかきながら、考
020.stcm2 0x25d38 えます。
020.stcm2 0x25e00 「……そうだ、ザンスさん。いつも、勝手に僕
020.stcm2 0x25e58 の家に上がりこんでるんだから、カギとか持っ
020.stcm2 0x25eb0 てないんですか？」
020.stcm2 0x25ff0 「持ってるザンスよ？　でも、今日はたまたま
020.stcm2 0x26048 持ってきてないザンス」
020.stcm2 0x2611c 「やっぱり、勝手に合いカギを作っていたのか！
020.stcm2 0x26178 絶対に許さないぞ、変態め！　押収するから、
020.stcm2 0x261d0 素直に提出しなさい！」
020.stcm2 0x26404 「なあァッ！？　しまったザンス！　話題の中
020.stcm2 0x2645c 心はドクロちゃんだったもんだから、油断して
020.stcm2 0x264b4 たザンス！」
020.stcm2 0x26500 僕は頭に血がのぼっていました。変態が自分の
020.stcm2 0x26558 家のカギを持っていることがわかったら、誰だっ
020.stcm2 0x265b4 てそうなります。
020.stcm2 0x2665c 「どうせ、今日は持ってきてないっていうのも
020.stcm2 0x266b4 ウソなんだろう！？　出せ！　出すんだ！」
020.stcm2 0x2696c 僕はザンスにつかみかかり、その服をまさぐり
020.stcm2 0x269c4 ます。ザンスは身体をよじりながら、息を荒く
020.stcm2 0x26e34 「おっほーうッ！　桜くん、ミィの服をまさぐ
020.stcm2 0x26e8c るなんて、大胆すぎザンス！　こ、これはこれ
020.stcm2 0x26ee4 で……ッ！」
020.stcm2 0x26f88 「コウコツとするな！　……あ、あった！
020.stcm2 0x26fdc やっぱり今日も持ってるじゃないか！」
020.stcm2 0x270c0 僕はザンスの服の中から、銀色のそれを見つけ
020.stcm2 0x27118 出すと両手でつかみ、カギの腹のところを門柱
020.stcm2 0x27170 のカドに押し当て、
020.stcm2 0x27218 「ッせいやッ！！」
020.stcm2 0x27414 力一杯、曲げました！　てこの原理で！
020.stcm2 0x27568 「ぎゃーー！！　桜くん、カギをひん曲げた！？
020.stcm2 0x275c4 ものすんごいパワーザンスッ！」
020.stcm2 0x27694 「ふぅ……」
020.stcm2 0x27738 これで、ザンスが僕の家に不法侵入できなくな
020.stcm2 0x27790 るといいのですが。
020.stcm2 0x27990 ザクロちゃん
020.stcm2 0x279cc 「桜さん……あの、申し上げにくいことなので
020.stcm2 0x27a24 すが……」
020.stcm2 0x27ac4 「え？　なにかあったの？」
020.stcm2 0x27b1c ザクロちゃんが悲しそうな目で、僕を見つめて
020.stcm2 0x27b74 いました。なにか問題が起きたのでしょうか？
020.stcm2 0x27cc4 ザクロちゃん
020.stcm2 0x27d00 「ええ。……そのカギがあれば、中に入れたの
020.stcm2 0x27d58 ではないかと思いまして」
020.stcm2 0x27fa0 静希ちゃん
020.stcm2 0x27fd8 「ザンスさんから取り上げたそれ……桜くんの
020.stcm2 0x28030 おうちのカギよね？」
020.stcm2 0x28158 僕は自分の手の中にある、銀色のそれを見まし
020.stcm2 0x281b0 た。それはぐにゃりと曲がっていて、明らかに
020.stcm2 0x28208 カギ穴には入りそうにありません。
020.stcm2 0x282c0 「し、しまッ……！！」
020.stcm2 0x2833c 頭に血がのぼってやってしまいましたが、確か
020.stcm2 0x28394 にこれをひん曲げずに使用していれば、家のド
020.stcm2 0x283ec アを開けることができたのです！
020.stcm2 0x285cc 「桜ぁー。おまえ、なにやってんだよ」
020.stcm2 0x2881c 「……最低。みんな真剣に悩んでるのに」
020.stcm2 0x28a2c 田辺さん
020.stcm2 0x28a64 「せっかくのチャンスだったのに……」
020.stcm2 0x28b20 「ああ……僕はなんてことを……」
020.stcm2 0x28c30 みんなが僕を責めたくなる気持ちもわかります。
020.stcm2 0x28c8c もし、それをやったのがドクロちゃんだったら
020.stcm2 0x28ddc 「ちょっとドクロちゃん！　それ使おうよ！
020.stcm2 0x28e34 ああ、もう！　なんでへし折るかなあ！？」
020.stcm2 0x28f04 ……と、こんな風に言っていたにちがいありま
020.stcm2 0x29128 「こういうこともあろうかと、せっかく持って
020.stcm2 0x29180 きたのに……」
020.stcm2 0x29224 「やかましい！」
020.stcm2 0x29538 「ふぉぎゃッ！？　桜くんのパンチから八つ当
020.stcm2 0x29590 たりの味がするザンス！」
020.stcm2 0x2965c ザンスから目を離したそのとき、僕の視線に入
020.stcm2 0x296b4 るのはドクロちゃんが窓から放り捨てた荷物の
020.stcm2 0x29750 そして、そこに置かれた銀色のもの。
020.stcm2 0x29808 「ああッ！？　これ、僕のカギだ！」
020.stcm2 0x29868 僕はとっさに手を伸ばし、それを拾い上げます。
020.stcm2 0x29ac0 ザクロちゃん
020.stcm2 0x29afc 「本当ですか！？」
020.stcm2 0x29ba4 「うん、これ間違いない！　ドクロちゃん、手
020.stcm2 0x29bfc 当たり次第投げたから、僕の部屋にあった家の
020.stcm2 0x29c54 カギまで投げたんだ……！」
020.stcm2 0x29cac ドクロちゃん大失敗です。やっぱり、世の中、
020.stcm2 0x29d04 悪いことはできないようになってるんですよ！
020.stcm2 0x29d6c ホント、このカギに救われました！
020.stcm2 0x29fbc ベノムちゃん
020.stcm2 0x29ff8 「それでは桜殿……中に入ることができるであ
020.stcm2 0x2a050 りますか？」
020.stcm2 0x2a0f4 「うん……でも、ドクロちゃんは僕の言葉に耳
020.stcm2 0x2a14c を貸してくれない感じだし……誰かに手伝って
020.stcm2 0x2a1a4 もらおうかな」
020.stcm2 0x2a2a8 僕は、その場にいるみんなを見回していきまし
020.stcm2 0x2a490 宮本は……ダメです。バカだし。
020.stcm2 0x2a7ec 田辺さんと南さんは……ダメです。なに言われ
020.stcm2 0x2a844 るかわからないし。
020.stcm2 0x2aa98 ザンスは……ダメです。良いはずがないし。
020.stcm2 0x2ab58 よし。決めました。僕は……。
020.stcm2 0x2ad30 誰に説得してもらいますか？
020.stcm2 0x2ad84 １．静希ちゃんにお願いする
020.stcm2 0x2add8 ２．サバトちゃんにお願いする
020.stcm2 0x2ae30 ３．ザクロちゃんにお願いする
020.stcm2 0x2ae88 ４．ベノムちゃんにお願いする
020.stcm2 0x2aee0 ５．僕の単身突撃あるのみ
021.stcm2 0x1c0 第４話　終了ちょくぜん！
021.stcm2 0x428 「静希ちゃん、一緒に来てくれないかな」
021.stcm2 0x570 静希ちゃん
021.stcm2 0x5a8 「うん、ドクロちゃんを説得するんだよね」
021.stcm2 0x610 静希ちゃんは、うなずきます。そのゆっくりし
021.stcm2 0x668 た動きに見とれるヒマも、今はありません。
021.stcm2 0x728 「みんなは、ここでまってて。いきなり全員で
021.stcm2 0x780 行ったら、ドクロちゃんが興奮しちゃうかもし
021.stcm2 0x7d8 れないから」
021.stcm2 0xa08 ベノムちゃん
021.stcm2 0xa44 「桜殿……臓物丸をよろしくお願いします」
021.stcm2 0xb04 「大丈夫、心配しないで」
021.stcm2 0xbb8 僕は静希ちゃんと共に閉じられたドアを開け、
021.stcm2 0xc10 家の中に入っていきました。
021.stcm2 0xd34 玄関のドアをくぐり、正面に見える階段を上がっ
021.stcm2 0xd90 てすぐのところにあるのが、僕の部屋。
021.stcm2 0xf94 そのドアの前で、僕と静希ちゃんは立ち止まり
021.stcm2 0xfec ました。この中にドクロちゃんが立てこもって
021.stcm2 0x1044 いるのです。
021.stcm2 0x1090 僕はノックをしてみました。返事はありません。
021.stcm2 0x10ec ドアノブをひねりますが、カギがかかっていま
021.stcm2 0x11e0 「ドクロちゃん。いるんでしょ？」
021.stcm2 0x1268 ドクロちゃん
021.stcm2 0x12a4 「桜くん……帰って」
021.stcm2 0x1378 「ここは僕の家で、そこが僕の部屋なの！　帰っ
021.stcm2 0x13d4 てきたからここにいるんだよ！」
021.stcm2 0x1534 静希ちゃん
021.stcm2 0x156c 「桜くん、落ち着いて。怒っちゃだめ」
021.stcm2 0x1628 「あ……そうだったね」
021.stcm2 0x16a4 僕は静希ちゃんのおかげで、冷静さを取り戻し
021.stcm2 0x16fc ました。やっぱり、僕には静希ちゃんが必要な
021.stcm2 0x1754 んだな、って実感しました。
021.stcm2 0x1804 「ドクロちゃん、みんなまってるんだよ？　出
021.stcm2 0x185c てきて、みんなで一緒に遊ぼう？」
021.stcm2 0x18bc けれど、ドクロちゃんは返事をしません。聞こ
021.stcm2 0x1914 えているはずなのに、僕の言葉がドクロちゃん
021.stcm2 0x196c の心にまで届いていないのでしょうか。
021.stcm2 0x19d0 そして、もう一度呼びかけてみようと思ったと
021.stcm2 0x1a28 き、隣から声が聞こえました。
021.stcm2 0x1b94 静希ちゃん
021.stcm2 0x1bcc 「……ドクロちゃん、お願い。聞いてくれる？」
021.stcm2 0x1c38 それは明け方の湖のように澄んだ声音でした。
021.stcm2 0x1d88 静希ちゃん
021.stcm2 0x1dc0 「みんな、心配してるよ。ドクロちゃんが急に
021.stcm2 0x1e18 いなくなっちゃったから」
021.stcm2 0x1f58 静希ちゃん
021.stcm2 0x1f90 「みんな、ドクロちゃんの顔を見て、安心した
021.stcm2 0x1fe8 いの。だから、桜くんもこんなに必死になって
021.stcm2 0x2040 くれているんだってことを、わかってあげて」
021.stcm2 0x2100 「静希ちゃん……」
021.stcm2 0x2150 静希ちゃんは、ドクロちゃんの心のドアをそっ
021.stcm2 0x21a8 と開くように語りかけました。
021.stcm2 0x2204 何枚ものドアが行く手をさえぎっても、あきら
021.stcm2 0x225c めることもふてくされることもなく、ドアに手
021.stcm2 0x22b4 をかけるのが静希ちゃんなのです。
021.stcm2 0x23fc 静希ちゃん
021.stcm2 0x2434 「桜くん、ちょっとドクロちゃんと２人だけで
021.stcm2 0x248c 話をしたいの。先に、外に出ていてくれる？」
021.stcm2 0x254c 「……うん、いいけど」
021.stcm2 0x25a0 静希ちゃんはまっすぐ僕を見ていました。
021.stcm2 0x26a0 【信じて？】と言われているような気がして、
021.stcm2 0x26f8 僕はそれ以上なにも言わずに階段を下り、玄関
021.stcm2 0x2750 を出ました。
021.stcm2 0x2a30 サバトちゃん
021.stcm2 0x2a6c 「あ、桜くんですぅ！」
021.stcm2 0x2ac0 緊張の面持ちでまっていたみんなに、僕は聞か
021.stcm2 0x2b18 れる前に話しはじめました。
021.stcm2 0x2bc8 「静希ちゃんに任せてきたんだ。２人で話した
021.stcm2 0x2c20 いんだって」
021.stcm2 0x2e50 ザクロちゃん
021.stcm2 0x2e8c 「静希さんに？　……そうですか、それでした
021.stcm2 0x2ee4 らあるいは」
021.stcm2 0x30e0 田辺さん
021.stcm2 0x3118 「静希ちゃんなら、大丈夫じゃない？」
021.stcm2 0x3368 「そうね、静希ちゃんなら」
021.stcm2 0x33c0 なんでしょう。ザクロちゃんはともかく、あと
021.stcm2 0x3418 の２人には、遠まわしに僕じゃダメだって言わ
021.stcm2 0x3470 れているような気がします。
021.stcm2 0x3578 そして、５分くらい過ぎたでしょうか、静希ちゃ
021.stcm2 0x35d4 んは戻ってきました。
021.stcm2 0x3628 ですが、静希ちゃんは１人です。僕はすぐに静
021.stcm2 0x3680 希ちゃんに駆け寄りました。
021.stcm2 0x38b8 「静希ちゃん、どうだったの？」
021.stcm2 0x39fc 静希ちゃん
021.stcm2 0x3a34 「わからないけど……話は聞いてもらえたと思
021.stcm2 0x3ad0 静希ちゃんは、話すことは話したという風に晴
021.stcm2 0x3b28 れやかな表情です。
021.stcm2 0x3b78 みんなの輪の中に戻ろうとする静希ちゃんに、
021.stcm2 0x3bd0 僕は問いかけました。
021.stcm2 0x3c7c 「ところで、ドクロちゃんとなにを話したの？」
021.stcm2 0x3dd0 静希ちゃん
021.stcm2 0x3e08 「桜くん？　それを話しちゃったら、外に出て
021.stcm2 0x3e60 もらった意味がないでしょ」
021.stcm2 0x3f10 「ええーっ、教えてくれないの？」
021.stcm2 0x3f70 もしかして、なにか変なことを言ったのでしょ
021.stcm2 0x3fc8 うか。いや……そんなまさか、静希ちゃんに限っ
021.stcm2 0x4024 てそんなことは……。
021.stcm2 0x4078 僕が不安そうな表情を見せると、静希ちゃんが
021.stcm2 0x40d0 口を開きます。
021.stcm2 0x4204 静希ちゃん
021.stcm2 0x423c 「恥ずかしいから、ナイショかな？」
021.stcm2 0x435c いたずらっぽくほほえむ静希ちゃんの笑顔が、
021.stcm2 0x43b4 僕の不安を若干やわらげてくれました。
021.stcm2 0x4600 第４話　終了ちょくぜん！
021.stcm2 0x4868 「サバトちゃん、ドクロちゃんの説得に行って
021.stcm2 0x48c0 くれないかな？」
021.stcm2 0x49f8 サバトちゃん
021.stcm2 0x4a34 「あ、はい。わかりましたぁ」
021.stcm2 0x4a90 サバトちゃんは、ツノが生えた頭を上下させて
021.stcm2 0x4ae8 うなずきました。
021.stcm2 0x4b90 「それじゃあ、僕たちはここでまってるから、
021.stcm2 0x4be8 がんばって」
021.stcm2 0x4d44 サバトちゃん
021.stcm2 0x4d80 「サバトが１人でですかぁッ！？　無理ですぅ、
021.stcm2 0x4ddc サバトには向いてないですよぉ……」
021.stcm2 0x4e3c サバトちゃんは後ずさりして、その感情を隠そ
021.stcm2 0x4e94 うともしません。
021.stcm2 0x4f3c 「天使だけの方が話しやすいこともあるのかな、
021.stcm2 0x4f98 と思ったんだけど……」
021.stcm2 0x50d0 サバトちゃん
021.stcm2 0x510c 「ドクロちゃんは特殊すぎるですぅ」
021.stcm2 0x516c 妙に納得させられる言葉です。天使がみんなド
021.stcm2 0x51c4 クロちゃんやザンスみたいなのばっかりじゃ、
021.stcm2 0x521c カミサマもお先真っ暗ですよ。
021.stcm2 0x5278 しかし、サバトちゃんは決意とあきらめの中間
021.stcm2 0x52d0 くらいの顔をして、言葉をもらします。
021.stcm2 0x5444 サバトちゃん
021.stcm2 0x5480 「……でも桜くんのお願いだから、行ってみる
021.stcm2 0x54d8 ですぅ」
021.stcm2 0x5578 「ありがとう、サバトちゃん。お願いね」
021.stcm2 0x55dc 僕は、銀色のカギをサバトちゃんの手にしっか
021.stcm2 0x5634 り握らせました。
021.stcm2 0x576c サバトちゃん
021.stcm2 0x57a8 「うう……不安でいっぱいなんですぅ」
021.stcm2 0x5868 そう言ってサバトちゃんは玄関に向かいます。
021.stcm2 0x58c0 カギを差し込んでドアを開けると、すぐに中へ
021.stcm2 0x5918 と消えていきました。
021.stcm2 0x596c サバトちゃんの姿が見えなくなると、ザクロちゃ
021.stcm2 0x59c8 んが近づいてきて、
021.stcm2 0x5ba0 ザクロちゃん
021.stcm2 0x5bdc 「桜さん、サバトさんは大丈夫なんでしょうか」
021.stcm2 0x5ca0 「うーん、そう言われるとなんともわからない
021.stcm2 0x5cf8 けど……」
021.stcm2 0x5d9c 僕はつぶやくように答えました。
021.stcm2 0x5e14 ――そして待つこと数分。
021.stcm2 0x601c サバトちゃん
021.stcm2 0x6058 「だめだったですぅ、返事もしてくれないんで
021.stcm2 0x60f4 サバトちゃんは疲れた顔で戻ってきました。
021.stcm2 0x61b4 「サバトちゃん、あきらめちゃダメだよ。そう
021.stcm2 0x620c 簡単に話を聞いてくれないのはわかってたんだ
021.stcm2 0x6390 サバトちゃん
021.stcm2 0x63cc 「でも……」
021.stcm2 0x6498 「サバトちゃんならできるよ！　なんでもがん
021.stcm2 0x64f0 ばるところが、サバトちゃんのいいところなん
021.stcm2 0x6548 だから」
021.stcm2 0x65e8 「思い出して、サバトちゃん。アバランチ公園
021.stcm2 0x6640 で過ごした日々を。あのサバイバルよりも大変
021.stcm2 0x6698 なことがあった？」
021.stcm2 0x66e8 あの環境で生きていけるサバトちゃんにとって、
021.stcm2 0x6744 この程度の苦難はなんでもないはずなのです。
021.stcm2 0x68bc サバトちゃん
021.stcm2 0x68f8 「桜くん……わかりましたですぅ！　もう１回、
021.stcm2 0x6954 ドクロちゃんを説得してみるですぅ」
021.stcm2 0x6a10 サバトちゃんは、今出てきたばかりの家の中へ
021.stcm2 0x6a68 戻っていきます。
021.stcm2 0x6c40 ザクロちゃん
021.stcm2 0x6c7c 「桜さん……？」
021.stcm2 0x6d64 「……もう、なにも言わないでください」
021.stcm2 0x6e24 サバトちゃんが家の中に戻ってから少しして、
021.stcm2 0x707c ズガン――ッッ！！
021.stcm2 0x714c 「……な、なに！？」
021.stcm2 0x71a0 前触れもなく、大きな音と振動が僕たちに届き
021.stcm2 0x71f8 ました。
021.stcm2 0x73c4 「地震か……？」
021.stcm2 0x746c 「いや、あの音……家の中から聞こえたし」
021.stcm2 0x76a4 僕たちに動揺が走る中、サバトちゃんがゆっく
021.stcm2 0x76fc りと戻ってきました。
021.stcm2 0x7750 その瞳は涙でぬれています。
021.stcm2 0x7800 「サ、サバトちゃん、さっきの音はなに……？」
021.stcm2 0x797c サバトちゃん
021.stcm2 0x79b8 「殴られたですぅ……」
021.stcm2 0x7a8c 「そ、そうなんだ……ごめんね？　っていうか、
021.stcm2 0x7ae8 よく無事だったね！」
021.stcm2 0x7b3c 殴ってあの音と振動……僕が受けていたらどう
021.stcm2 0x7b94 なっていたことでしょうか？
021.stcm2 0x7bec さすがは天使です。身体の頑丈さは僕たち普通
021.stcm2 0x7c44 の人間とはワケがちがいます。
021.stcm2 0x7d88 サバトちゃん
021.stcm2 0x7dc4 「桜くん、ごめんなさいですぅ。サバトにはで
021.stcm2 0x7e1c きなかったですぅ」
021.stcm2 0x7ec4 「……いいんだよサバトちゃん。だってがんばっ
021.stcm2 0x7f20 てくれたもん！」
021.stcm2 0x8058 サバトちゃん
021.stcm2 0x8094 「桜くん……」
021.stcm2 0x80e0 僕は、これ以上サバトちゃんの傷が広がらない
021.stcm2 0x8138 ようにするだけで精一杯でした。
021.stcm2 0x837c 第４話　終了ちょくぜん！
021.stcm2 0x85e4 「ザクロちゃん、一緒にドクロちゃんを説得し
021.stcm2 0x863c てほしいんだ」
021.stcm2 0x876c ザクロちゃん
021.stcm2 0x87a8 「はい、お供します」
021.stcm2 0x87fc ザクロちゃんは笑顔でうなずきました。なんと
021.stcm2 0x8854 も頼もしい限りです。
021.stcm2 0x88a8 やはりドクロちゃん関連で、ここぞというとき
021.stcm2 0x8900 に頼りになるのはザクロちゃんです。
021.stcm2 0x8b44 サバトちゃん
021.stcm2 0x8b80 「桜くん、がんばってくださいですぅ」
021.stcm2 0x8c3c 「うん、行ってくるよ」
021.stcm2 0x8cec 手の中には冷えた銀色のカギ。
021.stcm2 0x8d48 僕はザクロちゃんと連れ立って、玄関のカギを
021.stcm2 0x8da0 開け、そのドアを慎重に開きました。
021.stcm2 0x8ecc 入ってすぐの階段を上がれば、僕の部屋が目の
021.stcm2 0x8f24 前に見えます。
021.stcm2 0x9110 僕とザクロちゃんはその前に立つと、お互いに
021.stcm2 0x9168 見合ってから小さくうなずき、ドアをノックし
021.stcm2 0x9204 返事がないので、僕はドアノブに手をかけゆっ
021.stcm2 0x925c くりと回しました。
021.stcm2 0x92ac しかし、そのドアはかたくなに開こうとはしま
021.stcm2 0x9304 せんでした。そこで、僕たちはドクロちゃんに
021.stcm2 0x935c 呼びかけます。
021.stcm2 0x945c 「ドクロちゃん。いるんでしょ？」
021.stcm2 0x94bc するとドクロちゃんにしては、奇妙なほど静か
021.stcm2 0x9514 な声が返ってきました。
021.stcm2 0x9590 ドクロちゃん
021.stcm2 0x95cc 「桜くん、もういいの。……ボクのことはほっ
021.stcm2 0x9624 といて」
021.stcm2 0x96c4 「ほっとけるわけないでしょ？　あんな脅迫ま
021.stcm2 0x971c がいの発言までしておいて」
021.stcm2 0x97cc 「静希ちゃんに臓物丸を預かってもらおうよ。
021.stcm2 0x9824 毎日会いに行けばいいでしょ？」
021.stcm2 0x9a08 ザクロちゃん
021.stcm2 0x9a44 「おねえさま、どうか考えを改めてください。
021.stcm2 0x9a9c あのご要望はいくらなんでも無茶です」
021.stcm2 0x9b00 ザクロちゃんは、僕の部屋のドアをじっと見つ
021.stcm2 0x9b58 めながら話しています。
021.stcm2 0x9bac まるで、そのドアがドクロちゃんなんだと思い
021.stcm2 0x9c04 込んでいるかのように、その目は真剣でした。
021.stcm2 0x9c6c そして、ザクロちゃんもまた、静けさをたたえ
021.stcm2 0x9cc4 たまま、語りはじめるのです。
021.stcm2 0x9e30 ザクロちゃん
021.stcm2 0x9e6c 「おねえさま……臓物丸さんも、おねえさまと
021.stcm2 0x9ec4 離れたくないのは一緒です」
021.stcm2 0x9f74 「そうなの！？　はじめて知ったよ！」
021.stcm2 0x9fd8 僕はザクロちゃんの顔を見ますが、ザクロちゃ
021.stcm2 0xa030 んは部屋のドアを見据えたまま、
021.stcm2 0xa174 ザクロちゃん
021.stcm2 0xa1b0 「臓物丸さんとの別れはつらいかもしれません
021.stcm2 0xa208 が、臓物丸さんの成長には欠かせないものです」
021.stcm2 0xa2cc 「別れって言ったって……しあさってまでは静
021.stcm2 0xa324 希ちゃんの家にいるわけだし、倉木さんに返し
021.stcm2 0xa37c ても商店街に行けば結構会えると思うけど……」
021.stcm2 0xa5d8 ズドン――ッ！！
021.stcm2 0xa628 室内から聞こえる大きな音。
021.stcm2 0xa700 「な、なに……？　ドクロちゃん怒ってるの？」
021.stcm2 0xa76c 僕の言葉が気に食わなかったのでしょうか、部
021.stcm2 0xa7c4 屋の持ち主としては、とっても不安になる音が
021.stcm2 0xa81c 聞こえてきました。
021.stcm2 0xaa80 ズドン――ッ！！
021.stcm2 0xab28 「すいませんごめんなさい、もう言いません！」
021.stcm2 0xab94 僕がドアに向かってあやまると、横からザクロ
021.stcm2 0xabec ちゃんが言うのです。
021.stcm2 0xad50 ザクロちゃん
021.stcm2 0xad8c 「桜さん、この場はわたくしにお任せいただけ
021.stcm2 0xade4 ませんか」
021.stcm2 0xae84 「……はい、よろしくお願いします」
021.stcm2 0xaf40 僕は、そのまま黙ってザクロちゃんの話を聞く
021.stcm2 0xaf98 ことにしました。
021.stcm2 0xb164 第４話　終了ちょくぜん！
021.stcm2 0xb26c 「ベノムちゃん、一緒に来てくれる？」
021.stcm2 0xb458 ベノムちゃん
021.stcm2 0xb494 「自分がでありますか？　自分は構いませんが
021.stcm2 0xb4ec ……大丈夫でありましょうか？」
021.stcm2 0xb738 ザクロちゃん
021.stcm2 0xb774 「はい、失礼ながらわたくしも同意見です。
021.stcm2 0xb7cc ベノムさんが向かわれて、おねえさまが出てい
021.stcm2 0xb824 らっしゃるとは思えないのですが」
021.stcm2 0xb948 僕はザクロちゃんに向き直りました。
021.stcm2 0xba00 「出てこないかもしれないけど、ベノムちゃん
021.stcm2 0xba58 の話は聞かせられるでしょ？　いつも話すら聞
021.stcm2 0xbab0 いてもらえないから、いい機会かなって」
021.stcm2 0xbb14 もちろん、臓物丸を解放しないといけませんが、
021.stcm2 0xbb70 ドクロちゃんは健康診断の中止まで要求してき
021.stcm2 0xbbc8 ました。
021.stcm2 0xbc10 それならば、ベノムちゃんが直接ドクロちゃん
021.stcm2 0xbc68 と話をする機会を設けてあげたいのです。
021.stcm2 0xbdb4 ザクロちゃん
021.stcm2 0xbdf0 「そのようなお考えが……わかりました。よろ
021.stcm2 0xbe48 しくお願いします」
021.stcm2 0xc078 ベノムちゃん
021.stcm2 0xc0b4 「桜殿……そこまでお考えいただいていたので
021.stcm2 0xc10c すね……」
021.stcm2 0xc1ac 「行こう、ベノムちゃん」
021.stcm2 0xc2e8 ベノムちゃん
021.stcm2 0xc324 「はい。ドクロ殿の元へ、参りましょう」
021.stcm2 0xc3e4 僕はカギを手に、ベノムちゃんを家の中へ招き
021.stcm2 0xc43c 入れました。
021.stcm2 0xc554 玄関から入って直進すると階段。階段は途中で
021.stcm2 0xc5ac ９０度転回し、上がり切ったところで再び９０
021.stcm2 0xc604 度転回。
021.stcm2 0xc68c するとあっという間に僕の部屋のドアが見えて
021.stcm2 0xc6e4 きます。そのドアの前で僕が立ち止まると、ベ
021.stcm2 0xc73c ノムちゃんも緊張した面持ちで立ち止まります。
021.stcm2 0xc7a8 まずはノック。自分の部屋にノックするという
021.stcm2 0xc800 のは、普通の人にしてみたらあんまりないこと
021.stcm2 0xc858 かもしれません。
021.stcm2 0xc8a8 でも僕の部屋にはとっても危険な天使が同居し
021.stcm2 0xc900 ているのです。ノックしなかったがために命を
021.stcm2 0xc958 落とすことも、しばしば。
021.stcm2 0xc9b0 返事がないのを確認してから、僕はドアノブを
021.stcm2 0xca08 回してみますが、予想どおり開きません。
021.stcm2 0xcac4 「ドクロちゃん。いるんでしょ？」
021.stcm2 0xcb24 声をかけても返事がありません。無視を決め込
021.stcm2 0xcb7c んで、時間をかせぐつもりなのでしょうか。
021.stcm2 0xcbe4 けれど、閉じこもっているのはドクロちゃんの
021.stcm2 0xcc3c 方です。時間が経てば経つほど、おなかが減っ
021.stcm2 0xcc94 て不利になるのはドクロちゃんなのです。
021.stcm2 0xce80 ベノムちゃん
021.stcm2 0xcebc 「三塚井ドクロ殿ッ！」
021.stcm2 0xcf10 これに返事をすれば、ドクロちゃんの点呼が完
021.stcm2 0xcf68 了するところなのですが、ドクロちゃんは声を
021.stcm2 0xcfc0 返す気配がありません。
021.stcm2 0xd06c 「ドクロちゃん。返事をしたくなければしない
021.stcm2 0xd0c4 でいいから、せめてそのまま話だけ聞いて」
021.stcm2 0xd12c 僕はベノムちゃんを見てうなずきます。ベノム
021.stcm2 0xd184 ちゃんは、目だけで僕に返事をしました。
021.stcm2 0xd1e8 ベノムちゃんは僕の部屋のドアに向かって、言
021.stcm2 0xd240 葉を投げかけます。
021.stcm2 0xd3a0 ベノムちゃん
021.stcm2 0xd3dc 「ドクロ殿……スーヴェリージュの職務をご存
021.stcm2 0xd434 知でしょうか？」
021.stcm2 0xd56c ベノムちゃん
021.stcm2 0xd5a8 「それは、天使たちの健康を保全し、健やかに
021.stcm2 0xd600 任務に就いていただくことであります」
021.stcm2 0xd664 ベノムちゃんの視線は、眼前のドアへ。ベノム
021.stcm2 0xd6bc ちゃんは目の前にドクロちゃんがいるかのよう
021.stcm2 0xd714 に、感情を込めて話していました。
021.stcm2 0xd85c ベノムちゃん
021.stcm2 0xd898 「自分は、それを誇りに思っているであります。
021.stcm2 0xd8f4 胸を張って話せることだと、今までそう思って
021.stcm2 0xd94c おりました」
021.stcm2 0xda80 ベノムちゃん
021.stcm2 0xdabc 「ドクロ殿にとって、それは迷惑なのでありま
021.stcm2 0xdb14 しょうか？」
021.stcm2 0xdbfc そうして、静かにベノムちゃんが首を下に向け
021.stcm2 0xdc54 ました。
021.stcm2 0xde48 ドクロちゃん
021.stcm2 0xde84 「あれー？　誰かボクのこと呼んだー？」
021.stcm2 0xdee8 そのとき、後ろから現れたのはドクロちゃんで
021.stcm2 0xe01c そして、そのまま僕の部屋のドアにカギを差し
021.stcm2 0xe074 込んで、開け放つと中に入っていきました。
021.stcm2 0xe104 次の瞬間にはカチリ。カギがかけられます。
021.stcm2 0xe16c 僕たちはあまりに唐突すぎて、思わずドア前を
021.stcm2 0xe1c4 空けてドクロちゃんを部屋に通してしまいまし
021.stcm2 0xe2e0 「ド、ドドド、ド、ドクロちゃん！？　あなた、
021.stcm2 0xe33c どこから来たの！？」
021.stcm2 0xe390 僕は、ドアの向こうにいるドクロちゃんに話し
021.stcm2 0xe3e8 かけました。やはり返事はドアの向こうから。
021.stcm2 0xe478 ドクロちゃん
021.stcm2 0xe4b4 「えー、台所にいたよ？　おやつ取ってきたん
021.stcm2 0xe50c だもん」
021.stcm2 0xe5ac 「くあああ！！　ベノムちゃんのお話、聞いて
021.stcm2 0xe604 なかったよ、この子！」
021.stcm2 0xe658 なんのために！　なんのためにわざわざ！
021.stcm2 0xe844 ベノムちゃん
021.stcm2 0xe880 「あの……桜殿。自分は、構わないであります
021.stcm2 0xe8d8 から……」
021.stcm2 0xe978 「ドクロちゃん、僕もベノムちゃんも真剣なん
021.stcm2 0xe9d0 だからね！」
021.stcm2 0xea1c 僕は捨て台詞のようにその言葉を残して、ベノ
021.stcm2 0xea74 ムちゃんと共に、外に出て行きました。
021.stcm2 0xecc0 第４話　終了ちょくぜん！
021.stcm2 0xed70 いえ、これは僕がやるべき仕事です。
021.stcm2 0xedd0 僕はカギを握り、２階にある僕の部屋の窓に視
021.stcm2 0xee28 線を移します。それで、自然と決意が固まって
021.stcm2 0xee80 くるのを感じました。
021.stcm2 0xef2c 「行ってくるよ。僕がドクロちゃんを説得して
021.stcm2 0xf14c サバトちゃん
021.stcm2 0xf188 「桜くん、１人なんてあぶないですぅ！」
021.stcm2 0xf244 「大丈夫、きっとなんとかするから」
021.stcm2 0xf300 サバトちゃんの心配を背に、僕は素早く玄関に
021.stcm2 0xf358 取り付きます。ドアにカギを差し込んで、ひと
021.stcm2 0xf3b0 ひねり。
021.stcm2 0xf3f8 カチリと音がすれば、侵入……いえ、帰宅準備
021.stcm2 0xf450 完了です。
021.stcm2 0xf498 ドアを半分だけ開けると、僕は即座に身体を横
021.stcm2 0xf4f0 にして滑り込ませます。
021.stcm2 0xf610 玄関内部。少しずつ気分が盛り上がってきまし
021.stcm2 0xf6ac 目の前に見える階段を上がれば、すぐにでも僕
021.stcm2 0xf704 の部屋。
021.stcm2 0xf74c 僕は周囲を見渡し、階段を静かに上がっていき
021.stcm2 0xf88c 慣れたドアの前に立ち、中の様子を探ります。
021.stcm2 0xf8e4 とりあえず、音はしません。
021.stcm2 0xf93c 僕は音がしないようにドアノブを回し、ドアを
021.stcm2 0xf994 少し押し開きます。……カギがかかっていませ
021.stcm2 0xfa30 こういうのも無用心と言うのでしょうか？
021.stcm2 0xfa94 ともあれ、チャンスにはちがいありません。僕
021.stcm2 0xfaec はノブを握る力を強くして、一気に部屋の中に
021.stcm2 0xfb44 踏み込みました。
021.stcm2 0xfcb8 「ドクロちゃん！　もう観念しなさい！」
021.stcm2 0xfea4 ドクロちゃん
021.stcm2 0xfee0 「さ、桜くん！？」
021.stcm2 0xff30 ドクロちゃんは、突然現れた僕の姿にびっくり
021.stcm2 0xff88 しています。
021.stcm2 0x101fc 僕はこのチャンスを逃さず、ドクロちゃんにつ
021.stcm2 0x10254 かみかかりました。後ろに回りこみ、羽交い締
021.stcm2 0x102ac めにすると、ドクロちゃんが暴れだします。
021.stcm2 0x1036c 「ドクロちゃん、暴れないの……ッ！　みんな
021.stcm2 0x103c4 迷惑してるんだから、外に出るよ！　一緒にあ
021.stcm2 0x1041c やまってあげるから！」
021.stcm2 0x10640 ドクロちゃん
021.stcm2 0x1067c 「桜くん、はなして！　はなせばわかるから！」
021.stcm2 0x10740 「意味がちがうよ、それ！　というか、ドクロ
021.stcm2 0x10798 ちゃんは話してもわからない子だから、こうやっ
021.stcm2 0x107f4 て、僕が連れに来たんでしょ！？」
021.stcm2 0x10854 ドクロちゃんはさらに暴れ、僕を引きはがしに
021.stcm2 0x108ac かかるのです。対する僕も、ここで離されまい
021.stcm2 0x10904 と必死に食い下がります。
021.stcm2 0x10b2c ドクロちゃん
021.stcm2 0x10b68 「いやぁっ！」
021.stcm2 0x10c0c 「う、うわっ！？」
021.stcm2 0x10d14 ぷにゅっ
021.stcm2 0x10ddc ドクロちゃんがひときわ強く身をよじった瞬間、
021.stcm2 0x10e38 極上のこんにゃくゼリーでも実現し得ない、究
021.stcm2 0x10e90 極の幸せな弾力は、僕の手の中に。
021.stcm2 0x11018 ドクロちゃん
021.stcm2 0x11054 「い……い……」
021.stcm2 0x110fc 「ドクロちゃん、ごめん！　いつもこんなんだ
021.stcm2 0x11154 けども！　いい加減に僕も懲りるべきだけども！
021.stcm2 0x111b0 ドクロちゃんも懲り……」
021.stcm2 0x11318 ドクロちゃん
021.stcm2 0x11354 「いぃぃぃぃぃやあああああああああっ！！」
021.stcm2 0x1187c びゅばん――ッ！
021.stcm2 0x11a58 打撃を受けた僕の身体はピンボールの玉みたい
021.stcm2 0x11ab0 に、カベに当たっては跳ね返り、床に落下しま
021.stcm2 0x11da0 「ぐ、ぐはあッ！　ああ……あれ……僕、生き、
021.stcm2 0x11dfc てる？　めちゃくちゃ痛いけど、生きてる？」
021.stcm2 0x11e64 僕はもうだめだと思いました。しかし、全身に
021.stcm2 0x11ebc 強烈な痛みが走りながらも、まだ僕の目は、花
021.stcm2 0x11f14 畑も川も見ていません。
021.stcm2 0x11f68 僕の目に入るのは、部屋の中のドクロちゃんと
021.stcm2 0x11fc0 臓物丸。両者とも、つぶらな瞳で倒れ伏す僕を
021.stcm2 0x12018 見つめています。
021.stcm2 0x12090 臓物丸は、くぅーんと鳴きました。僕がどうなっ
021.stcm2 0x120ec たのかがあまりよくわかってないのかもしれま
021.stcm2 0x12310 ドクロちゃん
021.stcm2 0x1234c 「桜くん、ごめんなさい……。こんなことする
021.stcm2 0x123a4 つもりは、なかったの。でも、ボク臓物丸を守
021.stcm2 0x123fc りたい一心で……」
021.stcm2 0x124a4 「ドクロちゃんの気持ちはわかる……でも僕は、
021.stcm2 0x12500 臓物丸になにもしない……それより、はやく、
021.stcm2 0x12558 治して？　……僕のケガ、致命傷だから」
021.stcm2 0x125bc 僕は今にも息が絶えそうになりながら、ドクロ
021.stcm2 0x12614 ちゃんに訴えかけました。
021.stcm2 0x127ac 「そして、ドクロちゃん……一緒にここを出よ
021.stcm2 0x12804 う。みんな、心配してるから……なんで、こん
021.stcm2 0x1285c なことになったのか反省し合おう？　ごほっ！」
021.stcm2 0x129b0 ドクロちゃん
021.stcm2 0x129ec 「それなら、桜くんは外に出て。ボクはまだ外
021.stcm2 0x12a44 に出るわけにはいかないの」
021.stcm2 0x12b34 「そんな無茶な！　ドクロちゃんが外に出ない
021.stcm2 0x12b8c のはともかく、僕はまったく歩けない！　ごほっ
021.stcm2 0x12be8 ごほっ！」
021.stcm2 0x12c30 叫びに合わせて、僕の傷が開いてしまったよう
021.stcm2 0x12ddc ドクロちゃん
021.stcm2 0x12e18 「じゃあ、出してあげるー」
021.stcm2 0x12f60 きゃはっ、とほほえみながら、ドクロちゃんは
021.stcm2 0x12fb8 僕をずるずると引きずって窓に近づいていきま
021.stcm2 0x130e8 僕が引きずられた床は血痕がべったり。僕の部
021.stcm2 0x13140 屋はさながら犯行現場、惨劇の館と化していま
021.stcm2 0x13270 ドクロちゃんは窓をがらりと開けます。その瞬
021.stcm2 0x132c8 間、外からはざわめきが聞こえました。
021.stcm2 0x1332c ドクロちゃんが顔を出したことで、みんなが驚
021.stcm2 0x13384 いたのでしょう。
021.stcm2 0x1353c 「ぃおぉっ……や、やめろ！　なにする気だ！？
021.stcm2 0x13598 わかる、わかるぞ！　やめて、お願いだから！
021.stcm2 0x135f0 ここ２階なんですよ！？　うああああ……！」
021.stcm2 0x13698 僕はなすすべなく窓に乗り上げさせられ、そこ
021.stcm2 0x136f0 からは自由落下です。
021.stcm2 0x13894 ズドン――ッ！
021.stcm2 0x139ac 「かは……ッ！」
021.stcm2 0x139fc のたうちまわろうにも、僕のダメージは大きす
021.stcm2 0x13a54 ぎました。そんな僕は、ただその場でびくびく
021.stcm2 0x13aac がくがくぴぴるぴる。
021.stcm2 0x13b00 みんな、その惨状に息をのみ、僕に近寄ること
021.stcm2 0x13b58 もできません。やがて、いつもの魔法が僕の元
021.stcm2 0x13bb0 に届けられました。
021.stcm2 0x13cd0 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
021.stcm2 0x14230 ２階から目薬をさすように、魔法の光が数滴の
021.stcm2 0x14288 しずくとなって、僕に向かって落ちてきます。
021.stcm2 0x14330 しずくに触れると、僕の身体が淡く発光し、痛
021.stcm2 0x14388 みは溶けるように消えていきました。
021.stcm2 0x144d4 ゲームの回復魔法ってこんな感じなのかな、っ
021.stcm2 0x1452c て具合にすぅーっと僕の傷が消え、流れ出して
021.stcm2 0x14584 失われた血液も僕の元へ帰ってきます。
021.stcm2 0x146ec すると、みんなが僕の元へ駆けてきました。
021.stcm2 0x14918 サバトちゃん
021.stcm2 0x14954 「桜くんが降ってきたですぅ！　大丈夫なんで
021.stcm2 0x149ac すかぁ？」
021.stcm2 0x149f4 サバトちゃんの声に僕は振り返ります。
021.stcm2 0x14ab0 「彼女は……徹底抗戦の構えです……」
021.stcm2 0x14e80 そして、ドクロちゃんは出て来ないまま、時間
021.stcm2 0x14ed8 だけがいたずらに過ぎていきました。
021.stcm2 0x14f38 みんなが交代で説得に出向きましたが、結果と
021.stcm2 0x14f90 しては、誰も成果を上げることはできませんで
021.stcm2 0x15084 「ドクロちゃん！　もう出てきてよ！」
021.stcm2 0x15110 窓が開いて、
021.stcm2 0x15228 ドクロちゃん
021.stcm2 0x15264 「生きて桜くんのハズカシメは受けず！」
021.stcm2 0x15320 「なに、ハズカシメって！？　過去そんなこと
021.stcm2 0x15378 をした覚えはまったくないよッ！」
021.stcm2 0x15400 ドクロちゃん
021.stcm2 0x1543c 「臓物丸はウチの子で、健康診断は中止なの！」
021.stcm2 0x15574 再び、窓が閉まります。
021.stcm2 0x15750 ベノムちゃん
021.stcm2 0x1578c 「ドクロ殿ッ！　お願いであります！　臓物丸
021.stcm2 0x157e4 だけでも解放してください！」
021.stcm2 0x15840 唯一の進展は、ドクロちゃんがときどき返事を
021.stcm2 0x15898 してくれるようになっただけです。
021.stcm2 0x158f8 でもこれは、黙っていることにドクロちゃんが
021.stcm2 0x15950 飽きただけのような気がします。
021.stcm2 0x15a60 「どうしよう……なんかドクロちゃんが錯乱し
021.stcm2 0x15ab8 てきたみたいだし……」
021.stcm2 0x15b0c 僕のつぶやきがかき消え、誰もが気を沈ませた
021.stcm2 0x15b64 そのとき、不意に僕の手があたたかく包み込ま
021.stcm2 0x15bbc れたのです。
021.stcm2 0x15e18 静希ちゃん
021.stcm2 0x15e50 「あきらめないで、桜くん！」
021.stcm2 0x15f04 「し、静希ちゃん……」
021.stcm2 0x15f58 今、真剣で、どこかうるんだ彼女の瞳に映って
021.stcm2 0x15fb0 いるのは僕だけ。
021.stcm2 0x16000 静希ちゃんの手が僕の手を取り、その言葉は僕
021.stcm2 0x16058 の心に直接、訴えかけてきました。
021.stcm2 0x160e0 静希ちゃん
021.stcm2 0x16118 「今、ドクロちゃんは、きっとどうしていいの
021.stcm2 0x16170 かわからないんだよ」
021.stcm2 0x1621c 「ドクロちゃんが……？」
021.stcm2 0x1629c 静希ちゃん
021.stcm2 0x162d4 「誰にでも、引っ込みがつかなくなっちゃうこ
021.stcm2 0x1632c とってあると思うの。そういうときは誰かが止
021.stcm2 0x16384 めてあげないと、だめなんじゃないかな」
021.stcm2 0x163e8 僕は、完全にドクロちゃんが悪いんだと思って
021.stcm2 0x16440 いました。この状況で、彼女がかわいそうだな
021.stcm2 0x16498 んて思ってもみなかったのです。
021.stcm2 0x164f4 だって、普通に考えてかわいそうなのは振り回
021.stcm2 0x1654c されるベノムちゃんと臓物丸。それに次いで、
021.stcm2 0x165a4 僕たちです。
021.stcm2 0x16648 「ドクロちゃんがそんなことになってるなんて、
021.stcm2 0x166a4 思いもしなかったな……」
021.stcm2 0x166fc 静希ちゃんは、視線で僕をとらえたまま放そう
021.stcm2 0x16754 としませんでした。
021.stcm2 0x167a4 少し見つめ合ったあと、ぱっと離れて、
021.stcm2 0x169d0 静希ちゃん
021.stcm2 0x16a08 「ご、ごめんね。変なことして……」
021.stcm2 0x16a68 ほほを染めながら、僕にそう言いました。
021.stcm2 0x16b24 「う、ううん、そんなことないけど……」
021.stcm2 0x16bcc ベノムちゃん
021.stcm2 0x16c08 「――ドクロ殿！　お聞きください！」
021.stcm2 0x16d2c それは突然の声でした。
021.stcm2 0x16fd4 「ベノム、ちゃん……？」
021.stcm2 0x1702c ベノムちゃんは前に進み出て、僕の部屋の窓に
021.stcm2 0x17084 向かって訴えかけます。鬼気迫る様子は、ベノ
021.stcm2 0x170dc ムちゃんの決意を表しているかのようでした。
021.stcm2 0x17254 ベノムちゃん
021.stcm2 0x17290 「自分は過去の任務で、さけられながらも多く
021.stcm2 0x172e8 の方々の健康に寄与できたものと確信し、また
021.stcm2 0x17340 それを誇りに思っているであります！」
021.stcm2 0x17488 ベノムちゃん
021.stcm2 0x174c4 「それゆえ、ドクロ殿のお気持ちも考えず、す
021.stcm2 0x1751c べてを強引に運ぼうといたしました！　まずは、
021.stcm2 0x17578 お許しいただきたい！」
021.stcm2 0x175cc 唐突に、ベノムちゃんはドクロちゃんへ切々と
021.stcm2 0x17624 訴えかけはじめたのです。
021.stcm2 0x1767c もう黙っていることはできない、と。けれどそ
021.stcm2 0x176d4 れは怒りではなく悲しみでした。
021.stcm2 0x17818 ベノムちゃん
021.stcm2 0x17854 「桜殿にも、静希殿にも、その他の方にもたく
021.stcm2 0x178ac さんのご迷惑をおかけしたであります！　自分
021.stcm2 0x17904 はそれに甘えていたと、そう思っております！」
021.stcm2 0x17a58 ベノムちゃん
021.stcm2 0x17a94 「ドクロ殿！　率直に申し上げまして、自分は
021.stcm2 0x17aec あなたに健康診断を受けていただきたいであり
021.stcm2 0x17b44 ます！」
021.stcm2 0x17c74 ベノムちゃん
021.stcm2 0x17cb0 「されど、あなたがなぜ健康診断を嫌うのか、
021.stcm2 0x17d08 その理由も、自分は理解したいと思うでありま
021.stcm2 0x17da4 ベノムちゃんの叫び声は、空にまで響くようで
021.stcm2 0x17f28 ベノムちゃん
021.stcm2 0x17f64 「どうか、お話しください！　自分はそれさえ
021.stcm2 0x17fbc お聞かせいただければ、もう……」
021.stcm2 0x18074 「……ベノムちゃん、もういいよ。ベノムちゃ
021.stcm2 0x180cc んが折れる必要なんかないんだ」
021.stcm2 0x18128 僕はベノムちゃんより１歩前へ出て、次の言葉
021.stcm2 0x18180 を制しました。
021.stcm2 0x182b0 ベノムちゃん
021.stcm2 0x182ec 「桜殿……しかし……！」
021.stcm2 0x18344 静希ちゃんも、ベノムちゃんも、ドクロちゃん
021.stcm2 0x1839c のことを考えていました。
021.stcm2 0x183f4 僕はと言えば、臓物丸とベノムちゃんのことし
021.stcm2 0x1844c か考えていなかったのです。
021.stcm2 0x18528 だから僕は今、ドクロちゃんの姿を頭の中に思
021.stcm2 0x18580 い浮かべます。
021.stcm2 0x185cc 愛らしくって、とっても元気で、くりくりした
021.stcm2 0x18624 声で、反対にところどころ問題だらけだけど、
021.stcm2 0x1867c ドクロちゃんは、僕の友だちなのです。
021.stcm2 0x186e0 大きく息を吸い込んで、一声。
021.stcm2 0x188a4 「ドクロちゃんッ！　いい加減にしなさいッ！」
021.stcm2 0x18910 空気の振動はどこまで届いたでしょうか。でき
021.stcm2 0x18968 れば、ドクロちゃんの心まで届けとばかり、僕
021.stcm2 0x189c0 は言葉をつなぎます。
021.stcm2 0x18a6c 「自分の勝手な都合でベノムちゃんの仕事を邪
021.stcm2 0x18ac4 魔しているのに、今度はそれに臓物丸まで巻き
021.stcm2 0x18b1c 込むの！？」
021.stcm2 0x18bc0 「ドクロちゃんが、臓物丸を好きな気持ちって
021.stcm2 0x18c18 そんなもの！？　ドクロちゃんは臓物丸をダシ
021.stcm2 0x18c70 に使ってるんだよ！？」
021.stcm2 0x18cc4 ご近所の迷惑も考えず、僕は声を張り上げまし
021.stcm2 0x18d1c た。ドクロちゃんからの返事はありませんが、
021.stcm2 0x18d74 きっと聞こえているでしょう。
021.stcm2 0x18e28 「もう知らないからね！　ドクロちゃんがそん
021.stcm2 0x18e80 なに勝手な子なら、僕はドクロちゃんと絶交し
021.stcm2 0x18ed8 てやるから！　どこへでも行っちゃいなよ！」
021.stcm2 0x18f98 「それで、１人になって勝手にすればいいよ！」
021.stcm2 0x190a8 からからと、窓が開きます。ドクロちゃんが顔
021.stcm2 0x19100 を出しました。けれど、なにも言いません。
021.stcm2 0x19168 ただ、無言でドクロちゃんは僕たちを見ていま
021.stcm2 0x1925c 「ドクロちゃん、本当にそれでいいの……？
021.stcm2 0x192b4 もうやめよう？　そんなドクロちゃん、誰も見
021.stcm2 0x1930c たくないんだよ」
021.stcm2 0x193b4 「みんな、ドクロちゃんが臓物丸を大好きなの
021.stcm2 0x1940c は知ってるよ。……だから、帰ってきて？」
021.stcm2 0x19558 僕は、ドクロちゃんをまっすぐに見ます。数秒
021.stcm2 0x195b0 ほど見つめ合ったあと、ドクロちゃんはもう一
021.stcm2 0x19608 度、窓を閉めました。
021.stcm2 0x19800 ザクロちゃん
021.stcm2 0x1983c 「おねえさま……」
021.stcm2 0x198e8 ザクロちゃんのつぶやき以外、僕たちはなにも
021.stcm2 0x19940 言いませんでした。
021.stcm2 0x19990 ザンスですら黙ったまま、どのくらい経ったで
021.stcm2 0x199e8 しょうか。
021.stcm2 0x19a30 静かに、玄関のドアが開かれたのです。
021.stcm2 0x19c44 ドクロちゃん
021.stcm2 0x19c80 「……ごめんなさい」
021.stcm2 0x19cd4 中から出てきたのは、臓物丸を連れて泣き出し
021.stcm2 0x19d2c そうな顔のドクロちゃんでした。
021.stcm2 0x19de0 「ドクロちゃん……おかえり」
021.stcm2 0x19e3c 僕はせめて、笑って迎えようと思いました。
021.stcm2 0x1a084 ベノムちゃん
021.stcm2 0x1a0c0 「ドクロ殿……よかった……」
021.stcm2 0x1a308 静希ちゃん
021.stcm2 0x1a340 「桜くん、ありがとう」
021.stcm2 0x1a3ec 「ううん。みんなのおかげだよ」
021.stcm2 0x1a500 周りを見れば、みんな一様に安堵の表情でドク
021.stcm2 0x1a558 ロちゃんを迎えます。
021.stcm2 0x1a72c 「桜ぁーーー！！　やったなあ、コノヤロウ！
021.stcm2 0x1a784 カッコイイこと言いやがって！」
021.stcm2 0x1a984 「いてっ、ははっ、やめろよ宮本！」
021.stcm2 0x1a9e4 宮本が、勢いをつけて僕に飛びかかってきます。
021.stcm2 0x1aa40 まるで、サヨナラホームランを打ったバッター
021.stcm2 0x1aa98 がホームベース前で受ける歓迎のようです。
021.stcm2 0x1ab00 それを見たサバトちゃんも、僕の頭をぽこぽこ
021.stcm2 0x1ab58 と叩きはじめます。
021.stcm2 0x1afdc サバトちゃん
021.stcm2 0x1b018 「桜くん、すごいかっこよかったですぅ！
021.stcm2 0x1b06c びっくりしましたぁ！」
021.stcm2 0x1b3f8 「桜くん、がんばったね」
021.stcm2 0x1b50c 田辺さん
021.stcm2 0x1b544 「ちょっと見直したよ、暑苦しかったけど」
021.stcm2 0x1b7e0 ザクロちゃん
021.stcm2 0x1b81c 「桜さん、ありがとうございました。とても、
021.stcm2 0x1b874 ご立派でしたよ」
021.stcm2 0x1baa8 「桜くん、イカしてたザンスよーーー！！」
021.stcm2 0x1bce4 ザンスがバシィッと僕の背中を叩きました。
021.stcm2 0x1bd3c みんなも、いつ胴上げがはじまってもおかしく
021.stcm2 0x1bd94 ないくらい、僕をもみくちゃにしていきます。
021.stcm2 0x1beac 「だ、誰か途中で変なこと言わなかった？」
021.stcm2 0x1c064 田辺さん
021.stcm2 0x1c09c 「なーに言ってるの、桜くんヒーローでしょ？」
021.stcm2 0x1c1f0 そう言って、田辺さんが僕の髪の毛を
021.stcm2 0x1c240 【くしゃくしゃっ】とやりました。
021.stcm2 0x1c4fc 「ははは……そんなにほめら痛ッ！　ちょ……
021.stcm2 0x1c554 痛い！　やめて！　誰！？　髪の毛を引っ張ら
021.stcm2 0x1c5ac ……ぁいたたたたい！　痛い、痛いですがな！」
021.stcm2 0x1c634 だんだん僕をもみくちゃにしていく力が強くなっ
021.stcm2 0x1c690 てきました。雲行きが怪しいです。
021.stcm2 0x1c85c 次の瞬間、ぐるんと僕の身体が回転する浮遊感。
021.stcm2 0x1c9b0 そして、のしかかる重み――。
021.stcm2 0x1cbf8 「うあああああ！！　ド、ドクロちゃんなんで
021.stcm2 0x1cc50 マウントポジション！？　み、見え……ッ！？」
021.stcm2 0x1cce4 ドクロちゃん
021.stcm2 0x1cd20 「桜くん、すごかった！　桜くんがすごいのは
021.stcm2 0x1cd78 夜だけじゃないんだねっ！」
021.stcm2 0x1d038 「まて！　意味がわからない！　言ってること
021.stcm2 0x1d090 もだけど、なぜドクロちゃんが僕をほめる側に
021.stcm2 0x1d0e8 回ってるのか、そしてなぜマウントぽがァッ！」
021.stcm2 0x1d538 ガスン、ガスンと僕に叩きつけられるのは鉄拳。
021.stcm2 0x1d594 エスカリボルグに勝るとも劣らない威力です。
021.stcm2 0x1d624 静希ちゃん
021.stcm2 0x1d65c 「さ、桜くんっ！　……ドクロちゃん、だめ！」
021.stcm2 0x1d6c8 静希ちゃんの制止も、ドクロちゃんにはどこ吹
021.stcm2 0x1d764 きっとドクロちゃんは、みんなが僕を叩きなが
021.stcm2 0x1d7bc らほめるのを見て、自分もやってみたくなった
021.stcm2 0x1d814 のでしょう。
021.stcm2 0x1da98 ドクロちゃん
021.stcm2 0x1dad4 「桜くん、かっこいいーーー！」
021.stcm2 0x1db30 僕のかっこよさは現在形。ドクロちゃんの中で
021.stcm2 0x1db88 進行中なれば、ここで止まるよしもなしッ！
021.stcm2 0x1de58 「ドクロちゃん、このアングルごわ……ッ！
021.stcm2 0x1deb0 見えて……のあッ！？　名づけて、眼福地獄！！
021.stcm2 0x1df0c ……ぐはあッ！！」
021.stcm2 0x1e3a4 ドクロちゃん
021.stcm2 0x1e3e0 「これは、ボクのぶんッ！　これは、臓物丸の
021.stcm2 0x1e438 ぶんッ！　きゃはははははは！」
021.stcm2 0x1e4d4 ドクロちゃんの、楽しげな笑い声がこだまする
021.stcm2 0x1e52c 住宅街。……むしろ、僕の家の玄関先。
021.stcm2 0x1e590 臓物丸はなにが起こっているのか理解できてい
021.stcm2 0x1e5e8 ない瞳で、地面に倒れている僕を見つめていま
021.stcm2 0x1e6c4 僕はいつしか意識を放棄し……事件は、一応の
021.stcm2 0x1e71c 解決を見たのです。
021.stcm2 0x1e9b4 そして、それから３日が過ぎました。
021.stcm2 0x1ed6c 「そっか、それじゃあ倉木さん、喜んでたんだ」
021.stcm2 0x1eebc 静希ちゃん
021.stcm2 0x1eef4 「うん、すごく。今度、ドクロちゃんにお礼に
021.stcm2 0x1ef4c 行きたいって言ってたよ」
021.stcm2 0x1f088 ベノムちゃん
021.stcm2 0x1f0c4 「無事、臓物丸をお返しできてよかったであり
021.stcm2 0x1f218 ドクロちゃんが僕の部屋に立てこもったあと、
021.stcm2 0x1f270 臓物丸は静希ちゃんの家に預かってもらうこと
021.stcm2 0x1f2c8 になりました。
021.stcm2 0x1f314 その日から、僕とドクロちゃんは毎日学校帰り
021.stcm2 0x1f36c に静希ちゃんの家に行って、臓物丸と遊んでい
021.stcm2 0x1f3c4 ました。
021.stcm2 0x1f40c それは僕にとっては至福の時間です。そんなチャ
021.stcm2 0x1f468 ンスを作ってくれた臓物丸に、心から感謝しな
021.stcm2 0x1f4c0 くてはいけません。
021.stcm2 0x1f568 「まあ、一時はどうなるかと思ったけど……」
021.stcm2 0x1f758 ドクロちゃん
021.stcm2 0x1f794 「無事に済んでよかったね」
021.stcm2 0x1f844 「ドクロちゃんが引っかき回したんでしょ……」
021.stcm2 0x1f8b0 僕は頭に手を当て【あちゃー】のポーズをしま
021.stcm2 0x1f9a8 健康診断もあれから現在のところ、うやむやの
021.stcm2 0x1fa00 まま。結局はベノムちゃんが折れる形になって
021.stcm2 0x1fa58 しまっています。
021.stcm2 0x1faa8 ベノムちゃんは、ドクロちゃんと臓物丸を邪魔
021.stcm2 0x1fb00 したくないと、今もドクロちゃんを前に健康診
021.stcm2 0x1fb58 断の話をこれっぽっちも出しません。
021.stcm2 0x1fbb8 なので、この場にベノムちゃんがいますが、ド
021.stcm2 0x1fc10 クロちゃんも逃げないで、ここにいられるわけ
021.stcm2 0x1fe34 ベノムちゃん
021.stcm2 0x1fe70 「自分は任務でこの街にやって来たであります
021.stcm2 0x1fec8 が、臓物丸に出会えたのも、なにかの縁であり
021.stcm2 0x1ff20 ましょう。良い経験をさせていただきました」
021.stcm2 0x1ff88 ドクロちゃんの方を見たベノムちゃんは、ほほ
021.stcm2 0x1ffe0 えみながらそう言うだけでした。
021.stcm2 0x20094 「そう言ってもらえれば、助かるね」
021.stcm2 0x202e4 静希ちゃん
021.stcm2 0x2031c 「そうだね。倉木さんから預かってよかった」
021.stcm2 0x20384 静希ちゃんはとてもうれしそうでした。それに
021.stcm2 0x203dc つられて、僕もうれしさが込み上げてきます。
021.stcm2 0x2052c 静希ちゃん
021.stcm2 0x20564 「それじゃ、帰ろうかベノムちゃん」
021.stcm2 0x206ac ベノムちゃん
021.stcm2 0x206e8 「はい、そうでありますね。それでは、桜殿。
021.stcm2 0x20740 失礼いたします」
021.stcm2 0x207e8 「それじゃあ、またね」
021.stcm2 0x208f4 パタンとドアが閉まれば、一瞬の静けさ。僕は
021.stcm2 0x2094c 隣にいるドクロちゃんに話しかけます。
021.stcm2 0x20b68 「ドクロちゃん。また倉木さんのところへ、臓
021.stcm2 0x20bc0 物丸に会いに行こう。ここ最近、楽しかったも
021.stcm2 0x20d40 ドクロちゃん
021.stcm2 0x20d7c 「うん、臓物丸とたくさん遊べて、すっごい楽
021.stcm2 0x20dd4 しかった」
021.stcm2 0x20e1c ドクロちゃんもまた、うれしそうでした。
021.stcm2 0x20e80 臓物丸が倉木さんの家に帰ってしまった話を聞
021.stcm2 0x20ed8 けば、また落ち込んでしまうかもしれないとも
021.stcm2 0x20f30 思いましたが、心配のし過ぎだったようです。
021.stcm2 0x2109c ドクロちゃん
021.stcm2 0x210d8 「――でも、桜くんが邪魔したんだよね。
021.stcm2 0x2112c ボクが臓物丸を預かるはずだったのに……」
021.stcm2 0x21194 ゆらりと持ち上がるのは、無情の撲殺バット。
021.stcm2 0x2127c 「え、うそ！？　楽しかったね、で終わりじゃ
021.stcm2 0x212d4 ないの！？　ドクロちゃんの中で、二人を引き
021.stcm2 0x2132c 裂いたのは僕なの！？」
021.stcm2 0x21418 「なぜ！？　ホワイッ！？　……あ、あやまら
021.stcm2 0x21470 ないよ！？　僕はあやまらないからねッ！！」
021.stcm2 0x21530 「こ、今度ばかりは、なにも悪いことなんかし
021.stcm2 0x21588 てないんだからぁッ！」
021.stcm2 0x21768 「ちょ……！　ま、まってまって、よく考えて！
021.stcm2 0x217c4 ……ごめんなさいごめんなさい！　も、もうし
021.stcm2 0x2181c まどわっぎゅッ！」
021.stcm2 0x21c24 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
021.stcm2 0x21fd0 「ああつらい！　つらい！　もう……もう草壁
021.stcm2 0x22028 桜なんぞに……生まれはしませんよ！　……あ
021.stcm2 0x22080 ああ！」
021.stcm2 0x220c8 【ふっかつのじゅもん】により、なんとかこの
021.stcm2 0x22120 世へ帰還を果たした僕は、自身の生まれの不幸
021.stcm2 0x22178 を悲しむかのように叫びました。
021.stcm2 0x221d4 【ふっかつのじゅもん】は１文字間違えただけ
021.stcm2 0x2222c でも【ふっかつ】できないので、さあ大変。
021.stcm2 0x22294 頭をひっぱたかれた僕は、首をコキコキと動か
021.stcm2 0x222ec しながら自分の身体を確認しました。どうやら、
021.stcm2 0x22348 ちゃんと【ふっかつ】できたようです。
021.stcm2 0x22550 ドクロちゃん
021.stcm2 0x2258c 「顔面セーフだよね」
021.stcm2 0x22660 「今のは明らかにアウトだったでしょッ！？
021.stcm2 0x226b8 ドッジボールじゃないんだからね！」
021.stcm2 0x22718 くう、僕の道は苦難だらけだ！　……これは、
021.stcm2 0x22770 カミサマが僕を強い子に育てようとしていると
021.stcm2 0x227c8 いうことでしょうか？
021.stcm2 0x2281c これは期待されていると思っていいんですよね？
021.stcm2 0x22928 がちゃり
021.stcm2 0x229c8 「え……うわっ！？」
021.stcm2 0x22ac0 ドアが開いた音がしたかと思ったら、僕の腕が
021.stcm2 0x22b18 引っ張られ、玄関の外へ連れ出されてしまいま
021.stcm2 0x22d14 僕を引っ張ったのは、もちろんドクロちゃん。
021.stcm2 0x22d6c 僕は地面にしりもちをついてしまいました。
021.stcm2 0x22e2c 「もうっ……いきなりなんなの？　なにかする
021.stcm2 0x22e84 なら、する前に言ってよ」
021.stcm2 0x22fec ドクロちゃん
021.stcm2 0x23028 「ほら、桜くん。一緒に遊ぼうよっ」
021.stcm2 0x23088 ドクロちゃんはニコニコとしています。
021.stcm2 0x230ec それは臓物丸がやって来たときと、なにも変わ
021.stcm2 0x23144 らない笑顔でした。
021.stcm2 0x23194 ドクロちゃんの笑顔はやっぱりちょっとズルい
021.stcm2 0x231ec んです。ちょっとくらいのいたずらは、許して
021.stcm2 0x23244 あげたくなっちゃいますから。
021.stcm2 0x232f8 「しょうがないな、ドクロちゃんは……」
021.stcm2 0x2335c 僕はニコニコとしながら立ち上がります。
021.stcm2 0x233c0 臓物丸の代わりに、僕が遊んであげることにし
021.stcm2 0x23418 ましょう。
021.stcm2 0x23460 ズボンに付いたほこりを払って、ドクロちゃん
021.stcm2 0x234b8 と一緒に歩いていきます。
021.stcm2 0x2356c 見慣れた街も、少し楽しそうに見えました。
022.stcm2 0x164 第５話　開幕であります！
022.stcm2 0x3c4 一日の授業が終わり、晴れ渡る秋の空の下、僕
022.stcm2 0x41c は静希ちゃんと肩を並べて校内を歩いています。
022.stcm2 0x488 今日の【帰りのＳ・Ｈ・Ｒ（ショートホーム
022.stcm2 0x4e0 ルーム）】で、僕が【今日のやさしさ大臣】に
022.stcm2 0x538 推薦されたこともいつも通りです。
022.stcm2 0x598 【今日のやさしさ大臣】とは、その日の学園生
022.stcm2 0x5f0 活の中で誰かに優しくされた人が発表し、その
022.stcm2 0x648 人をクラス全体で讃える大人気コーナーです。
022.stcm2 0x6b0 やさしさ大臣に推薦されるたびに、僕を見つめ
022.stcm2 0x708 る静希ちゃんのむくな瞳は輝きを増し、僕はや
022.stcm2 0x760 さしさ大臣であることを誇りに思っています。
022.stcm2 0x7c8 そう言えば、ドクロちゃんはＳＨＲが終わると
022.stcm2 0x820 同時に図書室に行ってしまいました。
022.stcm2 0x880 おかげで僕はこうして静希ちゃんと２人きりの
022.stcm2 0x8d8 甘い放課後タイムを味わっているのです。
022.stcm2 0x93c これも静希ちゃんが部活に行くまでのささやか
022.stcm2 0x994 な時間ではありますが。
022.stcm2 0x9e8 放課後、こうして男の子と女の子が仲むつまじ
022.stcm2 0xa40 げに肩を並べて学校内を歩いていると……。
022.stcm2 0xaa8 もしかして僕たちって、見られていますか？
022.stcm2 0xb00 見えてしまっていますか？
022.stcm2 0xb58 ええ、もちろん、みんながうらやむような関係
022.stcm2 0xbb0 の仲に見られていますか？
022.stcm2 0xd68 そっと静希ちゃんを見つめると、僕を見つめる
022.stcm2 0xdc0 その柔らかい瞳に僕が映っています。
022.stcm2 0xe20 これは合図です！　静希ちゃんも周囲の視線を
022.stcm2 0xe78 感じて、僕からの一言を待っているに違いあり
022.stcm2 0xed0 ません。
022.stcm2 0xf18 そうです！　僕たちも、そろそろ本物の恋人同
022.stcm2 0xf70 士への階段をのぼるチャンスです！
022.stcm2 0xfd0 チャンスは自分でつくるもの。誰かがそう言っ
022.stcm2 0x1028 てました。もしかしたら僕かもしれません。
022.stcm2 0x1104 「し、静希ちゃん、あのさ、僕たちもそろそ
022.stcm2 0x12b0 静希ちゃん
022.stcm2 0x12e8 「うん、そうだね。そろそろ部活に行かなくっ
022.stcm2 0x1340 ちゃ。また明日、桜くん」
022.stcm2 0x13f0 「えっ？　う、うん、またね、静希ちゃん」
022.stcm2 0x14dc 笑顔で駆け去っていく静希ちゃんを見送りまし
022.stcm2 0x1534 た。静希ちゃんって、テレ屋さんなんだから。
022.stcm2 0x159c きっとこんな人目の多いところでの告白をテレ
022.stcm2 0x15f4 ていたに違いありません。
022.stcm2 0x164c 僕もすこし周りの空気に流されて焦っていたの
022.stcm2 0x16a4 でしょうか。今度からは周りの空気を読んで気
022.stcm2 0x16fc をつけなくてはなりません。
022.stcm2 0x1754 そう思いながら、僕も帰り道につこうとしたと
022.stcm2 0x17ac きでした。
022.stcm2 0x17f4 向こうから来るのはフワフワと浮かぶ金色の天
022.stcm2 0x184c 使のわっか。
022.stcm2 0x1888 あれは……ベノムちゃんです。
022.stcm2 0x1a9c 「どうしたのベノムちゃん？　学校になにか用
022.stcm2 0x1af4 事だった？」
022.stcm2 0x1c28 ベノムちゃん
022.stcm2 0x1c64 「あ……桜殿。自分は、その……」
022.stcm2 0x1cc4 放課後、学校内をフラフラと歩いているベノム
022.stcm2 0x1d1c ちゃん。
022.stcm2 0x1d64 こんな人通りの中にいたのでは、いつ
022.stcm2 0x1db4 ドクロちゃんと鉢合わせになるかわかりません。
022.stcm2 0x1e78 「ベノムちゃん、ちょっとこっちに来て」
022.stcm2 0x1edc 僕はベノムちゃんを誘うようにして校舎裏に移
022.stcm2 0x1f34 動することにしました。
022.stcm2 0x1f88 これは、残された時間内に自分の使命を全うし
022.stcm2 0x1fe0 ようとがんばる天使と、それに巻き込まれた草
022.stcm2 0x2038 壁桜が織りなす有終の美の物語――。
022.stcm2 0x2450 僕はベノムちゃんを連れて校舎の裏側に移動し
022.stcm2 0x24a8 ました。
022.stcm2 0x24f0 なんといっても、校内にはまだドクロちゃんが
022.stcm2 0x2548 います。２人が出会ったらなにが起きるかわか
022.stcm2 0x25a0 りません。
022.stcm2 0x25e8 それにベノムちゃんが持ち前の看護魂を発揮さ
022.stcm2 0x2640 せ、普通のけが人が重病人になってしまうのを
022.stcm2 0x2698 避けるためです。
022.stcm2 0x26e8 でも、ベノムちゃんがわざわざ学校に来るなん
022.stcm2 0x27e0 「ねえベノムちゃん、なにかあったの？　僕で
022.stcm2 0x2838 よかったら相談に乗るよ？」
022.stcm2 0x2b5c さっきからじっとうつむいていたベノムちゃん
022.stcm2 0x2bb4 が、おずおずと顔を上げます。
022.stcm2 0x2c38 ベノムちゃん
022.stcm2 0x2c74 「……桜殿。実はこのたび、自分はスーヴェ
022.stcm2 0x2ccc リージュに帰還することになったであります」
022.stcm2 0x2d5c ベノムちゃん
022.stcm2 0x2d98 「まず、この世界で協力していただいた桜殿と、
022.stcm2 0x2df4 お世話になっている静希殿に報告しようと……」
022.stcm2 0x2eb8 「そうなんだ。せっかく仲良くなれたのに残念
022.stcm2 0x2f10 だね。静希ちゃんは部活に行ってるけど……」
022.stcm2 0x2fd0 「でも、ドクロちゃんの健康診断はどうするの？
022.stcm2 0x302c それに点呼もまだでしょ？」
022.stcm2 0x30ec ベノムちゃん
022.stcm2 0x3128 「それについては……自分の意思だけではどう
022.stcm2 0x3180 にもならないであります。ドクロ殿が受けてく
022.stcm2 0x31d8 ださる気にならなければ……」
022.stcm2 0x328c 「うーん、もう少し一緒にいられれば、ドクロ
022.stcm2 0x32e4 ちゃんもわかってくれそうだと思うんだけど。
022.stcm2 0x333c もう少し残れないの？」
022.stcm2 0x33b8 ベノムちゃん
022.stcm2 0x33f4 「……これでも、帰還日程をギリギリまで延ば
022.stcm2 0x344c して頂いていたであります。もう、時間いっぱ
022.stcm2 0x34a4 いであります」
022.stcm2 0x3548 「そっかぁ……でも、ドクロちゃんの点呼と健
022.stcm2 0x35a0 康診断ができなかったら、ベノムちゃんが怒ら
022.stcm2 0x35f8 れるんじゃないの？」
022.stcm2 0x36b4 ベノムちゃん
022.stcm2 0x36f0 「確かに、つらいお仕置きが待っているであり
022.stcm2 0x3748 ます。しかし、問題はそれではありません」
022.stcm2 0x3818 ベノムちゃん
022.stcm2 0x3854 「お仕置きよりも……自分が使命を果たせなかっ
022.stcm2 0x38b0 たことの方が、残念であります……」
022.stcm2 0x3938 ベノムちゃん
022.stcm2 0x3974 「自分が力不足だったでありますが……桜殿、
022.stcm2 0x39cc 自分はこの仕事に向いていないのではないでしょ
022.stcm2 0x3a28 うか……？」
022.stcm2 0x3acc 「そ、そんなことないよ。ベノムちゃんは一生
022.stcm2 0x3b24 懸命にやってるし、それは僕だけじゃなくて、
022.stcm2 0x3b7c みんなが知ってることだよ」
022.stcm2 0x3bfc ベノムちゃん
022.stcm2 0x3c38 「ではなぜ、ドクロ殿は健康診断を受けてくれ
022.stcm2 0x3c90 ないのでありましょうか？」
022.stcm2 0x3d10 ベノムちゃん
022.stcm2 0x3d4c 「自分にはスーヴェリージュの資格がないのか
022.stcm2 0x3da4 もしれません……」
022.stcm2 0x3df4 そう言うと、ベノムちゃんは悲しげな瞳をいっ
022.stcm2 0x3e4c そうくもらせてしまいます。
022.stcm2 0x3ea4 使命を全うできなかったことが、ベノムちゃん
022.stcm2 0x3efc にスーヴェリージュの一員としての自信を失わ
022.stcm2 0x3f54 せかけています。
022.stcm2 0x3fa4 ……このままではいけません。あのアホ天使の
022.stcm2 0x3ffc ために、前途有望な天使が己の道を見失いかけ
022.stcm2 0x4054 ているのです。
022.stcm2 0x40f8 「ベノムちゃん、帰らなきゃならないのはいつ
022.stcm2 0x4150 なの？」
022.stcm2 0x4200 ベノムちゃん
022.stcm2 0x423c 「本来ならすぐにでも……ではありますが、
022.stcm2 0x4294 期限は明日いっぱいであります」
022.stcm2 0x4348 「そうか……本当に急だね。でも、ベノムちゃ
022.stcm2 0x43a0 ん、がんばろう！　まだ明日まで時間があるじゃ
022.stcm2 0x43fc ない、ね？」
022.stcm2 0x44b0 ベノムちゃん
022.stcm2 0x44ec 「桜殿……自分は……」
022.stcm2 0x4598 「ほら、涙を拭いて？　ベノムちゃんに涙は似
022.stcm2 0x45f0 合わないよ？　一緒にドクロちゃんをさがして、
022.stcm2 0x464c 説得しようよ」
022.stcm2 0x4884 ベノムちゃん
022.stcm2 0x48c0 「……はい！」
022.stcm2 0x490c そうと決まれば行動は素早い僕です。
022.stcm2 0x495c なにせ、やさしさ大臣ですから！
022.stcm2 0x49a8 困っている人は放っておけません。
022.stcm2 0x4c94 もちろん来たところは図書室です。
022.stcm2 0x4ce4 僕はベノムちゃんに隠れてもらって、１人で
022.stcm2 0x4d3c ドクロちゃんを説得することにしました。
022.stcm2 0x4e38 「ドクロちゃん、みっけ」
022.stcm2 0x5018 ドクロちゃん
022.stcm2 0x5054 「あ、桜くん。どうしたの？　桜くんもマヨ
022.stcm2 0x50ac ネーズの歴史を勉強しに来たの？」
022.stcm2 0x5164 「ドクロちゃんはそんな勉強をしていたの！？
022.stcm2 0x51bc ……それより、そろそろベノムちゃんの健康診
022.stcm2 0x5214 断を受けてあげようよ」
022.stcm2 0x5350 ドクロちゃん
022.stcm2 0x538c 「桜くんったらそんなにボクの身体のことを知
022.stcm2 0x53e4 りたいの……？　毎晩毎晩ボクの寝ている押し
022.stcm2 0x543c 入れを内緒でのぞき込んでるのに……？」
022.stcm2 0x54f8 「そんなコトしてないでしょ！　それに確かめ
022.stcm2 0x5550 たいのは僕じゃなくてベノムちゃんで、知りた
022.stcm2 0x55a8 いのは寝相とかじゃなくて健康状況です！」
022.stcm2 0x5610 いや、ていうかドクロちゃんの寝相の悪さなん
022.stcm2 0x5668 か、改めて知りたがるようなことじゃありませ
022.stcm2 0x5748 こんな具合で、どこでも寝てしまうような子だ
022.stcm2 0x57a0 ということも、すでに存じ上げておりますよッ！
022.stcm2 0x580c けれどドクロちゃんは、そんな僕の心の中など
022.stcm2 0x5864 お構いなしなのです。
022.stcm2 0x59c8 ドクロちゃん
022.stcm2 0x5a04 「そんな……なんでボクがそんなつらい目にあ
022.stcm2 0x5a5c わなくちゃならないの？」
022.stcm2 0x5b9c ドクロちゃん
022.stcm2 0x5bd8 「喉の奥をジッと見つめられたり、お腹をポン
022.stcm2 0x5c30 ポンされたり、変な金属をボクの……ボクの胸
022.stcm2 0x5c88 の辺りに押しつけたり……くっ」
022.stcm2 0x5d3c 「くっ、てなに切なそうな顔してるの？　どう
022.stcm2 0x5d94 してほほを赤く染めてるの？　まってよ、それ
022.stcm2 0x5dec は普通の健康診断でしょ？」
022.stcm2 0x5ea0 勇気を振り絞って、ドクロちゃんの背後に回り
022.stcm2 0x5ef8 こみます。
022.stcm2 0x5fa8 華麗なステップでドクロちゃんの脇をすり抜け
022.stcm2 0x6000 た僕が巻き起こすつむじ風。
022.stcm2 0x63a0 風に舞うドクロちゃんのスカートを横目に、
022.stcm2 0x63f8 ドクロちゃんを背後から羽交い締めに……って、
022.stcm2 0x6454 羽交い締めにした瞬間でした。
022.stcm2 0x6508 「さあ、ベノムちゃん今のうち……」
022.stcm2 0x67bc ぴぴんぴんぴん！！
022.stcm2 0x6834 なぜかドクロちゃんを羽交い締めにした瞬間、
022.stcm2 0x688c 勢い余ってドクロちゃんの胸元のボタンが弾け
022.stcm2 0x68e4 飛びます。
022.stcm2 0x692c こ、これは……！？
022.stcm2 0x696c ボタンが弾け飛んだシャツの隙間からは、ドク
022.stcm2 0x69c4 ロちゃんの、ド、ドクロちゃんの……。
022.stcm2 0x6aa8 僕の手は緩んで、思わず、魅惑の谷間に目がク
022.stcm2 0x6b00 ギヅケです……。
022.stcm2 0x6bf8 ドクロちゃん
022.stcm2 0x6c34 「……さ、桜くん……い、い、い、いゃやああ
022.stcm2 0x6c8c あああああ！！」
022.stcm2 0x7420 ズバン！
022.stcm2 0x7468 いつの間にか現れて振り下ろされたエスカリボ
022.stcm2 0x74c0 ルグ。ドクロちゃんは手馴れた感じで、僕を一
022.stcm2 0x7518 発ＫＯです。
022.stcm2 0x7790 ドクロちゃん
022.stcm2 0x77cc 「わわっ、桜くん、ゴメンなさいっ！
022.stcm2 0x781c ボクったらつい反射的にぃ〜〜」
022.stcm2 0x79ac ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
022.stcm2 0x7a84 「もう、学校では撲殺しないって約束してるで
022.stcm2 0x7adc しょ！　そんなことよりも、ドクロちゃんあの
022.stcm2 0x7c60 ドクロちゃん
022.stcm2 0x7c9c 「なぁに？　桜くん？　またボクの背後に立っ
022.stcm2 0x7cf4 てはぁはぁしたいの？」
022.stcm2 0x7dc8 「【はぁはぁ】は【はぁはぁ】でも、苦しくて
022.stcm2 0x7e20 【はぁはぁ】だよ！　そうじゃなくておとなし
022.stcm2 0x7e78 く健康診断を受けようよ！」
022.stcm2 0x7fb8 ドクロちゃん
022.stcm2 0x7ff4 「もう桜くんは最近いつもそのコトばっかり！！
022.stcm2 0x8050 なんでボクのイヤがるコトばかりするの！？
022.stcm2 0x80a8 ばかばか！　もうしらないんだからーっ！」
022.stcm2 0x8228 「あ、ちょっと、ドクロちゃん！　まってよ！」
022.stcm2 0x82d4 僕とベノムちゃんは、捨てゼリフを残して姿を
022.stcm2 0x832c くらますドクロちゃんを追いかけることにしま
022.stcm2 0x846c しかし、校舎から出たところでドクロちゃんを
022.stcm2 0x84c4 見失ってしまいます。
022.stcm2 0x8518 ベノムちゃんとは二手に分かれて後を追うこと
022.stcm2 0x8570 にしました。
022.stcm2 0x87b4 「ベノムちゃん、二手に分かれよう」
022.stcm2 0x88fc ベノムちゃん
022.stcm2 0x8938 「しかし、桜殿……ドクロ殿は嫌がっているの
022.stcm2 0x8990 ではないですか？」
022.stcm2 0x8a38 「ううん、嫌がってるかもしれないけど、ベノ
022.stcm2 0x8a90 ムちゃんが胸を張って帰れるかどうかの瀬戸際
022.stcm2 0x8ae8 でしょ？」
022.stcm2 0x8b88 「最後まで諦めないでがんばろう？」
022.stcm2 0x8ccc ベノムちゃん
022.stcm2 0x8d08 「桜殿……了解であります！」
022.stcm2 0x8dc0 どこをさがそうかな。
023.stcm2 0x28c 僕はもう一度、学校内をさがすことにしました。
023.stcm2 0x2e8 もしかしたら、どこかに隠れているのかもしれ
023.stcm2 0x340 ません。
023.stcm2 0x388 どこからさがそうかと廊下を歩いていると、向
023.stcm2 0x3e0 こうから来るのは部活に行ったはずの静希ちゃ
023.stcm2 0x438 んです。
023.stcm2 0x638 「あれ？　静希ちゃん、部活に行ったんじゃな
023.stcm2 0x690 いの？」
023.stcm2 0x7c0 静希ちゃん
023.stcm2 0x7f8 「今日は打ち合わせだけだったの。それより桜
023.stcm2 0x850 くんこそ帰ったんじゃなかったの？」
023.stcm2 0x908 「ちょっとあってね。それよりドクロちゃんを
023.stcm2 0x960 見なかった？」
023.stcm2 0xa94 静希ちゃん
023.stcm2 0xacc 「ううん、見なかったけど……なにかあった
023.stcm2 0xb68 静希ちゃんが心配そうな目で僕を見つめます。
023.stcm2 0xbd0 そう言えば、静希ちゃんはまだベノムちゃんが
023.stcm2 0xc28 帰る話を知りません。
023.stcm2 0xc7c 草壁桜、ひとりの男としてどう答えればいいで
023.stcm2 0xcd4 しょうか。
023.stcm2 0xd1c なんと答えますか？
023.stcm2 0xd68 １．ベノムちゃんが帰っちゃうんだ
023.stcm2 0xdc4 ２．ドクロちゃんに逃げられて
023.stcm2 0x11b8 「実は、さっきベノムちゃんが学校に来て、も
023.stcm2 0x1210 う未来に帰らなくちゃならないらしいんだ……」
023.stcm2 0x127c 僕はベノムちゃんが未来に帰らなくてはならな
023.stcm2 0x12d4 い話をしました。
023.stcm2 0x1324 そして、なんとしてもベノムちゃんに、ドクロ
023.stcm2 0x137c ちゃんの健康診断をさせてあげたいという決意
023.stcm2 0x1500 静希ちゃん
023.stcm2 0x1538 「そっか……残念。せっかく仲良くなれてきた
023.stcm2 0x1590 ところだったのに」
023.stcm2 0x15e0 そうです。僕なんかより静希ちゃんの方がベノ
023.stcm2 0x1638 ムちゃんと一緒にいる時間は長いのです。
023.stcm2 0x1710 「そういえば……静希ちゃん、ベノムちゃんと
023.stcm2 0x1768 一緒に暮らしてて大丈夫なの？」
023.stcm2 0x18d4 静希ちゃん
023.stcm2 0x190c 「実はね、私の方も、ようやくベノムちゃんの
023.stcm2 0x1964 あの壺と手に慣れてきたところだったの」
023.stcm2 0x1aac 静希ちゃん
023.stcm2 0x1ae4 「ベノムちゃん本人が気付いてないから、言い
023.stcm2 0x1b3c 出せないけどね。ちゃんと消毒していれば問題
023.stcm2 0x1b94 ないよ」
023.stcm2 0x1cc4 静希ちゃん
023.stcm2 0x1cfc 「でも……最近は、１日に入るお風呂の回数が
023.stcm2 0x1d54 増えちゃったかな」
023.stcm2 0x1f98 ……ぶふふぅっ！
023.stcm2 0x2010 静希ちゃんが何度もお風呂に入る姿を想像しよ
023.stcm2 0x2068 うとして、脳内が瞬間的にパンクしてしまいま
023.stcm2 0x24cc バカですいません！　……というか、もうバカ
023.stcm2 0x2524 でいいですっ！　もっと言って！！
023.stcm2 0x266c 静希ちゃん
023.stcm2 0x26a4 「あ、ねえ、桜くん、大丈夫？　頭から変な煙
023.stcm2 0x26fc とスパークが……」
023.stcm2 0x27e4 「あ……ごめんごめん。ちょっと調子悪くてさ」
023.stcm2 0x2960 静希ちゃん
023.stcm2 0x2998 「ねえ、桜くん。そんなに大変なら、私も協力
023.stcm2 0x29f0 する。一緒にドクロちゃんをさがそう？」
023.stcm2 0x2aac 「静希ちゃん……、うん、がんばろう！」
023.stcm2 0x2b10 この瞬間、僕と静希ちゃんが赤い糸でしっかり
023.stcm2 0x2b68 結びついたような気がしました。
023.stcm2 0x2bc4 そうです。１つの目的に向かって行う２人の共
023.stcm2 0x2c1c 同作業。それはまさに、恋人の領域です！
023.stcm2 0x2ee0 「ドクロちゃんに健康診断を受けさせようとし
023.stcm2 0x2f38 たんだけど、逃げられちゃって……」
023.stcm2 0x3080 静希ちゃん
023.stcm2 0x30b8 「ドクロちゃんの健康診断をここで？　もしか
023.stcm2 0x3110 してベノムちゃんも来てるの……？」
023.stcm2 0x31e4 「うん、実はね……」
023.stcm2 0x3320 静希ちゃんが心配そうな目で僕を見つめます。
023.stcm2 0x3378 こうなっては、隠しておくわけにはいかないよ
023.stcm2 0x33d0 うです。
023.stcm2 0x3418 僕はベノムちゃんが帰らなくてはならない話を
023.stcm2 0x3470 静希ちゃんにも伝えることにしました。
023.stcm2 0x35bc 静希ちゃん
023.stcm2 0x35f4 「そんな！？　ベノムちゃんが明日、帰っちゃ
023.stcm2 0x364c うの？　……私、ちょっと行ってくる！」
023.stcm2 0x3708 「うん。まだこの辺りでドクロちゃんをさがし
023.stcm2 0x3760 てると思うから、静希ちゃんも手伝ってあげて」
023.stcm2 0x38b4 静希ちゃん
023.stcm2 0x38ec 「うん、わかった」
023.stcm2 0x39c0 そう言うと、静希ちゃんはカモシカのようにそ
023.stcm2 0x3a18 の場からかけさっていきました。
023.stcm2 0x3cb8 「よし。こうなったらなにがなんでもドクロちゃ
023.stcm2 0x3d14 んに健康診断を受けさせないと！」
023.stcm2 0x3d74 自分を鼓舞するように高らかに宣言して、廊下
023.stcm2 0x3dcc の角を曲がった瞬間でした。
023.stcm2 0x4074 目の前にいきなり現れたのは、天使のわっかを
023.stcm2 0x40cc 持つドクロちゃん！
023.stcm2 0x411c 止まることも避けることもできない僕は、その
023.stcm2 0x4174 ままドクロちゃんに向かって、突っ込んでしま
023.stcm2 0x41cc いました。
023.stcm2 0x4454 どすん！
023.stcm2 0x44f4 「あ、ご、ごめん、ドクロちゃん！　ケガは？」
023.stcm2 0x45e4 ムニュッ
023.stcm2 0x462c ドクロちゃんをよけようとして差し出した僕の
023.stcm2 0x4684 両手が、なにかを押さえていたのです。
023.stcm2 0x46e8 こ、これは、もしや……！？
023.stcm2 0x4740 ドクロちゃんが焦点の合っていない目を、大き
023.stcm2 0x4798 く見開きます！
023.stcm2 0x49d4 ドクロちゃん
023.stcm2 0x4a10 「あ、あ、あ、あ…………
023.stcm2 0x4a58 いぃぃやぁぁぁぁあああああああ！！！！」
023.stcm2 0x4b80 瞬間的にドクロちゃんの手に現れた魔法のバッ
023.stcm2 0x4bd8 ト・エスカリボルグ。
023.stcm2 0x50cc 「ま、まって、まってよドクロちゃん！　この
023.stcm2 0x5124 国には不可抗力という言葉がごぉばぁっ！！」
023.stcm2 0x54e4 ズバン！
023.stcm2 0x552c 僕がすべてを言い終わる前に、エスカリボルグ
023.stcm2 0x5584 は僕の口封じを完了していました。
023.stcm2 0x5810 ドクロちゃん
023.stcm2 0x584c 「わわっ、桜くん、ゴメンなさいっ！
023.stcm2 0x589c ボクったらつい反射的にぃ〜〜」
023.stcm2 0x59fc ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
023.stcm2 0x5c9c 学校にはいないと判断した僕は、アルカディア
023.stcm2 0x5cf4 商店街に来てみました。
023.stcm2 0x5d48 寄り道が大好きなドクロちゃんは、どこかで
023.stcm2 0x5da0 フラフラしているかもしれません。
023.stcm2 0x5e00 そんな矢先、商店街の人並みの向こうから天使
023.stcm2 0x5e58 のわっかが近付いてきます。
023.stcm2 0x5eb0 さっそくドクロちゃんが……と思いましたが、
023.stcm2 0x5f08 それはベノムちゃんの天使のわっかでした。
023.stcm2 0x6128 「ベノムちゃんも、ここにさがしに来てたんだ
023.stcm2 0x6180 ね。どう？　ドクロちゃんは見つかった？」
023.stcm2 0x62d0 ベノムちゃん
023.stcm2 0x630c 「それが、この辺りにはいないようであります。
023.stcm2 0x6368 ここには来ていないのでしょうか？」
023.stcm2 0x6420 「うーん、僕もここに来ると思って来てみたん
023.stcm2 0x6478 だけど。それじゃあ、ドクロちゃんが大好きな
023.stcm2 0x64d0 お店の前で待ち伏せしよう」
023.stcm2 0x6584 今、この商店街でドクロちゃんの大好きな匂い
023.stcm2 0x65dc を漂わせているお店があります。
023.stcm2 0x6638 １日１０個限定の【これ、はじめてつくったん
023.stcm2 0x6690 だけど……コロッケ】を販売している街の精肉
023.stcm2 0x66e8 店【初恋】
023.stcm2 0x6730 ふんわりとした甘い香りのこしあんを包み込ん
023.stcm2 0x6788 だどらやきを販売している【和菓子のアビラウ
023.stcm2 0x67e0 ンケン】
023.stcm2 0x6828 どっちで待ち伏せしてみますか？
023.stcm2 0x6880 １．【初恋】
023.stcm2 0x68c8 ２．【アビラウンケン】
023.stcm2 0x6cdc 限定販売の【これはじめてつくったんだけど……
023.stcm2 0x6d38 コロッケ】が売っている【初恋】で待つことに
023.stcm2 0x6d90 しました。
023.stcm2 0x6dd8 そう、まるで初恋のあの人を待つかのように、
023.stcm2 0x6e30 甘ずっぱい思いを喉元までこみあげながら、物
023.stcm2 0x6e88 陰でドクロちゃんを待つことにしました。
023.stcm2 0x6eec 僕の隣では、片時も目を離さず【初恋】の店先
023.stcm2 0x6f44 をジッと見つめているベノムちゃんがいます。
023.stcm2 0x6fac ドクロちゃんを待つ緊張からか、心なしかほほ
023.stcm2 0x7004 が赤くなっているようです。
023.stcm2 0x720c ベノムちゃん
023.stcm2 0x7248 「……んふぅ……んー、初恋……でありますか」
023.stcm2 0x739c ビクウッ！
023.stcm2 0x73e4 溜息混じりに呟いたベノムちゃんの一言で、
023.stcm2 0x743c 僕の背筋がぴくりとしました。
023.stcm2 0x7498 だって、こんなにもかわいい女の子が（天使で
023.stcm2 0x74f0 すが）、ほほを染めながら悩ましげに【初恋】
023.stcm2 0x7548 なんて単語を発するんです。
023.stcm2 0x7688 ベノムちゃん
023.stcm2 0x76c4 「ところで、桜殿は【初恋】をよくご存じなの
023.stcm2 0x771c でありますか？」
023.stcm2 0x77ec 「は、は、はつこいぃ！？」
023.stcm2 0x7844 そ、そんな……どうして僕の初恋にベノムちゃ
023.stcm2 0x789c んが興味を……？
023.stcm2 0x78ec 僕のあわい小学校６年生の時の初恋を、今ここ
023.stcm2 0x7944 で告白しろというのですか！？
023.stcm2 0x79a0 きっとベノムちゃんにもなにかの理由があるに
023.stcm2 0x79f8 ちがいありません。
023.stcm2 0x7aa0 「初恋は……その……初めての恋と書きまして、
023.stcm2 0x7afc 僕の場合はベノムちゃんもよく知っている人で
023.stcm2 0x7b54 ……ああっ、もうこれ以上は言えません！」
023.stcm2 0x7cc0 ベノムちゃん
023.stcm2 0x7cfc 「……どうしたでありますか？　そこのお店の
023.stcm2 0x7d54 【初恋】なら自分は良く存じませんが……」
023.stcm2 0x7e3c 「ええっ！？　ちょっとまって？　初恋って、
023.stcm2 0x7e94 初めての恋じゃなくて、そこのお店のこと？」
023.stcm2 0x7fe4 ベノムちゃん
023.stcm2 0x8020 「もちろんそうでありますが……そうでありま
023.stcm2 0x8078 したか。無粋なことを聞いてしまったようです」
023.stcm2 0x81c8 ベノムちゃん
023.stcm2 0x8204 「……ふふっ、静希殿がうらやましいでありま
023.stcm2 0x82a0 そういって、ベノムちゃんは優しく微笑んだよ
023.stcm2 0x82f8 うな気がしました。
023.stcm2 0x83a4 そうしているうちに、【初恋】の前に
023.stcm2 0x83f4 ドクロちゃんの姿が現れたのです。
023.stcm2 0x8454 僕は、店先に飾られているコロッケによだれを
023.stcm2 0x84ac 垂らしながら見とれるドクロちゃんの背後につ
023.stcm2 0x8504 きました。
023.stcm2 0x8754 僕たちは、和菓子屋【アビラウンケン】を見張
023.stcm2 0x87ac ることにしました。
023.stcm2 0x87fc なにせドクロちゃんは大のどらやき好きです。
023.stcm2 0x8854 こしあんの匂いにつられて現れるかもしれませ
023.stcm2 0x88f0 しかし……、いくら待っても現れそうなけはい
023.stcm2 0x8948 はありません。
023.stcm2 0x89ec 「……なかなか来ないね」
023.stcm2 0x8bcc ベノムちゃん
023.stcm2 0x8c08 「しかし、このような場合、先に動いた方が負
023.stcm2 0x8c60 けであります。もう少し待ってみましょう」
023.stcm2 0x8d20 「もし近くにいるなら、僕に考えがあるから、
023.stcm2 0x8d78 ベノムちゃんはここに隠れてて」
023.stcm2 0x8e30 ドクロちゃんが近くにいるなら必ず現れるであ
023.stcm2 0x8e88 ろう必殺技の出番です！
023.stcm2 0x8ecc 僕はお店の前に出て叫びました。
023.stcm2 0x8f9c 「ええーーっ！？　こしあんほくほくマヨネー
023.stcm2 0x8ff4 ズどらやきが新発売だってーー！？」
023.stcm2 0x9200 ドクロちゃん
023.stcm2 0x923c 「ええ〜〜っ！？　ホントに！？　どこどこ？
023.stcm2 0x9294 ねえ桜くん、どこに売ってるの？」
023.stcm2 0x92f4 ほ、本当に来てしまいました。
023.stcm2 0x9340 残念だけど、そんなどらやきがあるわけないで
023.stcm2 0x9438 僕は、店先に飾られているどらやきによだれを
023.stcm2 0x9490 垂らしながら見とれるドクロちゃんの背後につ
023.stcm2 0x94e8 きます。
023.stcm2 0x9678 今度は、慎重にドクロちゃんの背後から羽交い
023.stcm2 0x96d0 締めにしなくてはなりません。
023.stcm2 0x972c シャツのボタンを弾かないように、濡れたトイ
023.stcm2 0x9784 レットペーパーを破かないような慎重さで、し
023.stcm2 0x97dc かも迅速にッ！！
023.stcm2 0x9b6c シュバッ！！
023.stcm2 0x9c38 「……くぅッ！　さあ、ベノムちゃん！　今の
023.stcm2 0x9c90 うちにドクロちゃんに健康診断を……！！」
023.stcm2 0x9de0 ドクロちゃん
023.stcm2 0x9e1c 「あれ？　桜くん？　きゃははっ！　なになに？
023.stcm2 0x9e78 背後から抱きつきブリッジごっこ？」
023.stcm2 0xa030 僕の背中に寄りかかるようにしてドクロちゃん
023.stcm2 0xa088 が手足をバタバタと振り回します。
023.stcm2 0xa140 「あ、ド、ドクロちゃん！　そんな暴れないで
023.stcm2 0xa508 ドクロちゃん
023.stcm2 0xa544 「きゃははは……んくっ！？」
023.stcm2 0xa810 ふにょん
023.stcm2 0xa858 暴れるドクロちゃんを押さえようとした瞬間、
023.stcm2 0xa8b0 僕の両手はなにか大きくて柔らかい物をつかん
023.stcm2 0xa908 でいたのです……。
023.stcm2 0xaba8 ドクロちゃん
023.stcm2 0xabe4 「あ、ああ……いぃぃゃやあああああ！！」
023.stcm2 0xafd8 「だから！　これはドクロちゃんが暴れるから
023.stcm2 0xb030 ぐぁあああうッ！」
023.stcm2 0xb3d8 背後だと思って油断していた僕のおなかに、
023.stcm2 0xb430 エスカリボルグが、一発。
023.stcm2 0xb6b4 ドクロちゃん
023.stcm2 0xb6f0 「きゃあ！　ごめんなさい！　ボクったら、つ
023.stcm2 0xb748 い反射的に……でも、いきなりなんだもん……
023.stcm2 0xb7a0 ボク、びっくりしちゃって……（ぽっ）」
023.stcm2 0xb85c 「ひ、ひどいよ、ドクロちゃん。反射的にでも
023.stcm2 0xb8b4 していいことと悪いことがあるでしょ……！」
023.stcm2 0xbb1c ベノムちゃん
023.stcm2 0xbb58 「さ、桜殿？　大丈夫でありますか？」
023.stcm2 0xbdc8 ドクロちゃん
023.stcm2 0xbe04 「ベノム、ちゃん……？　桜くん、もしかして
023.stcm2 0xbe5c ボクを健康診断に……？　ひどいよ……ボク……
023.stcm2 0xbeb8 桜くんのこと、信じてたのにっ！」
023.stcm2 0xc000 ドクロちゃん
023.stcm2 0xc03c 「もう！　桜くんなんて！！」
023.stcm2 0xc130 ドクロちゃんは、ダッシュで立ち去っていきま
023.stcm2 0xc240 「ま、まってドクロちゃん、せめて、復活の呪
023.stcm2 0xc298 文だけでも」
023.stcm2 0xc38c ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
023.stcm2 0xc62c 僕は学校を出てアバランチ公園に来てみました。
023.stcm2 0xc698 公園では、サバトちゃんがベンチに座りながら、
023.stcm2 0xc6f4 ハトの群を眺めています。
023.stcm2 0xc74c こうして眺めていると、サバトちゃんも普通の
023.stcm2 0xc7a4 子なのですが、その右手に持っているヒモはな
023.stcm2 0xc7fc んですか？
023.stcm2 0xc844 ヒモはハトの群のなかにあるザルを立てかけた
023.stcm2 0xc89c 木の棒に繋がっています。
023.stcm2 0xc8f4 ……なにをしようとしているのか、見なかった
023.stcm2 0xc94c ことにしてあげましょう。
023.stcm2 0xcb2c サバトちゃん
023.stcm2 0xcb68 「あ、桜くん。こんにちはですぅ」
023.stcm2 0xcbc8 ベンチに座っていたサバトちゃんが、立ち上がっ
023.stcm2 0xcc24 て歩み寄ってきました。
023.stcm2 0xccd0 「サバトちゃん、ここでドクロちゃんを見なかっ
023.stcm2 0xce58 サバトちゃん
023.stcm2 0xce94 「今日はドクロちゃんに会ってないですが、
023.stcm2 0xceec どうかしたですかぁ？」
023.stcm2 0xcf40 どうやらドクロちゃんはここには来ていないよ
023.stcm2 0xcf98 うです。
023.stcm2 0xd008 次のところをさがしに行こうとして、なにかが
023.stcm2 0xd060 僕の脳裏にひらめきました。
023.stcm2 0xd0b8 そうです。同じ天使であるサバトちゃんならば、
023.stcm2 0xd114 健康診断を受けることを説得してくれるかもし
023.stcm2 0xd16c れません。
023.stcm2 0xd20c 「実はね、急なんだけどベノムちゃんが帰っちゃ
023.stcm2 0xd268 うことになって、その前にドクロちゃんに健康
023.stcm2 0xd2c0 診断を受けてもらいたいんだ」
023.stcm2 0xd374 「だから、もしよかったらサバトちゃんから
023.stcm2 0xd3cc ドクロちゃんを説得して……」
023.stcm2 0xd538 サバトちゃん
023.stcm2 0xd574 「そ、そんな恐ろしいことサバトにはできない
023.stcm2 0xd5cc ですぅ！」
023.stcm2 0xd614 音を立ててサバトちゃんが後ずさります。
023.stcm2 0xd75c サバトちゃん
023.stcm2 0xd798 「それに桜くんはあの魔法のアイテムの恐ろし
023.stcm2 0xd7f0 さがわかってないですぅ！」
023.stcm2 0xd848 ……ちょっと待ってください。
023.stcm2 0xd894 たぶん、あの魔法アイテムの１番の被害者は僕
023.stcm2 0xd8ec だと思うのですが。
023.stcm2 0xd994 「でも、サバトちゃんはちゃんと健康診断を受
023.stcm2 0xd9ec けたでしょ？　今はなんともないはずでしょ？」
023.stcm2 0xdb40 サバトちゃん
023.stcm2 0xdb7c 「いやですぅ！　もうあのことは思い出したく
023.stcm2 0xdbd4 ないですぅ！」
023.stcm2 0xdc20 健康診断を受けてしばらく経ったにもかかわら
023.stcm2 0xdc78 ず、これだけの恐怖を植えつけるとは……、
023.stcm2 0xdce0 ポイズン蠱毒壺ミーミング、おそるべき魔法
023.stcm2 0xdd38 アイテムです。
023.stcm2 0xdd84 しかし、同じ天使の経験者から説得されれば、
023.stcm2 0xdddc ドクロちゃんの気も変わるかもしれないのです。
023.stcm2 0xde48 ここはなんとかサバトちゃんを説得しなければ
023.stcm2 0xdea0 なりません。
023.stcm2 0xdeec サバトちゃんも以前は僕の命を狙って来たはず
023.stcm2 0xdf44 ですが、その使命を果たせずに、ここでこうし
023.stcm2 0xdf9c て暮らしています。
023.stcm2 0xdfec 使命を全うできないベノムちゃんの心中を、
023.stcm2 0xe044 サバトちゃんならわかってあげられるかもし
023.stcm2 0xe09c れません。
023.stcm2 0xe0e4 それに……、サバトちゃんもザクロちゃんも、
023.stcm2 0xe13c つらくてもがんばって健康診断を受けたのです。
023.stcm2 0xe1a8 健康にも関わることですし、ドクロちゃんだけ
023.stcm2 0xe200 受けないと言うわけにはいかないと思います。
023.stcm2 0xe268 なんと言って説得しますか？
023.stcm2 0xe2bc １．サバトちゃんならわかってあげられる
023.stcm2 0xe31c ２．つらくても健康診断を受けてもらおう
023.stcm2 0xe718 「サバトちゃんなら、ベノムちゃんの気持ちが
023.stcm2 0xe770 わかってあげられると思うんだ」
023.stcm2 0xe8b4 サバトちゃん
023.stcm2 0xe8f0 「サバトがベノムちゃんの気持ちを、
023.stcm2 0xe940 ですかぁ？」
023.stcm2 0xe9e4 「うん、サバトちゃんにもルルティエの使命を
023.stcm2 0xea3c 果たせなかったときがあったよね？」
023.stcm2 0xeb84 サバトちゃん
023.stcm2 0xebc0 「そうですぅ、サバトは桜くんのお命を頂戴す
023.stcm2 0xec18 ることができなくて、帰るに帰れずに大変な目
023.stcm2 0xec70 にあったですぅ」
023.stcm2 0xeda8 サバトちゃん
023.stcm2 0xede4 「あのときは週１回届くはずの【ルルティエだ
023.stcm2 0xee3c より】も来なくなって、すごいつらいおもいを
023.stcm2 0xee94 したですぅ」
023.stcm2 0xeee0 ……今もその状況が続いているのでは？
023.stcm2 0xef34 という疑問を僕はかろうじてのみこんで押さえ
023.stcm2 0xef8c ました。
023.stcm2 0xf0bc サバトちゃん
023.stcm2 0xf0f8 「最初のおうちも川に流されてしまいましたぁ
023.stcm2 0xf150 ……ようやく雨風がしのげると思ったら、今は
023.stcm2 0xf1a8 ご飯が……（ぎゅるるるる）」
023.stcm2 0xf25c 「でね、ベノムちゃんもドクロちゃんの健康診
023.stcm2 0xf2b4 断をできないまま帰っちゃうんだ」
023.stcm2 0xf36c 「サバトちゃんとちがって未来には帰れるけど、
023.stcm2 0xf3c8 とってもつらいお仕置きが待ってるらしいし」
023.stcm2 0xf53c サバトちゃん
023.stcm2 0xf578 「……わかるですぅ。サバトもつらかったで
023.stcm2 0xf5d0 すぅ！　桜くん、サバトも協力するですぅ！」
023.stcm2 0xf690 「ホント？　ありがとう。サバトちゃんならきっ
023.stcm2 0xf6ec とわかってくれると思っていたよ」
023.stcm2 0xf830 サバトちゃん
023.stcm2 0xf86c 「そ、そんな……。桜くんは大切なお友だちで
023.stcm2 0xf8c4 すぅ。協力するのは当たり前じゃないですかぁ」
023.stcm2 0xf930 サバトちゃんが、今日１番の笑顔で僕に笑いか
023.stcm2 0xf988 けてくれました。
023.stcm2 0xfbc8 「サバトちゃんはがんばって健康診断を受けた
023.stcm2 0xfc20 んだよね？」
023.stcm2 0xfd54 サバトちゃん
023.stcm2 0xfd90 「そ、そうですぅ！　つらかったし、がんばっ
023.stcm2 0xfde8 たですぅ！」
023.stcm2 0xfe8c 「うん。サバトちゃんにできたんだもん、ドク
023.stcm2 0xfee4 ロちゃんだってがんばってもらわないといけな
023.stcm2 0xff3c いと思うんだ」
023.stcm2 0xffe0 「それに健康にも関わることだしね」
023.stcm2 0x10128 サバトちゃん
023.stcm2 0x10164 「そうでしたぁ、どんなにつらくても悲しく
023.stcm2 0x101bc ても健康診断は受けないとダメなんですぅ！
023.stcm2 0x10214 それが天使の義務なんですぅ！」
023.stcm2 0x10270 サバトちゃんが、なにやら力のこもった目で僕
023.stcm2 0x102c8 を見つめました。
023.stcm2 0x10400 サバトちゃん
023.stcm2 0x1043c 「桜くん、サバトもお手伝いするですぅ！」
023.stcm2 0x106a4 「でも、問題はドクロちゃんをどうやって説得
023.stcm2 0x106fc するかなんだけど……」
023.stcm2 0x10860 サバトちゃん
023.stcm2 0x1089c 「サバトにいい考えがあるですけどぉ、桜くん、
023.stcm2 0x108f8 なにかいいもの持ってませんかぁ？　ドクロちゃ
023.stcm2 0x10954 んが好きそうなものとかですぅ」
023.stcm2 0x10a08 「それなら、えーっと……偶然だけど、マヨ
023.stcm2 0x10a60 ネーズは持ってるけど」
023.stcm2 0x10ab4 給食に使うと言い張るドクロちゃんが、僕に持っ
023.stcm2 0x10b10 てこさせたマヨネーズです。
023.stcm2 0x10c50 サバトちゃん
023.stcm2 0x10c8c 「こうして地面にマヨネーズを置いて、その周
023.stcm2 0x10ce4 りをロープで囲って……」
023.stcm2 0x10e24 サバトちゃん
023.stcm2 0x10e60 「こっちのロープの端を持って、あとはドクロ
023.stcm2 0x10eb8 ちゃんがマヨネーズを拾いに来るのを待つだけ
023.stcm2 0x10f10 ですぅ」
023.stcm2 0x10f58 どうやら、マヨネーズをおとりにしたワナのよ
023.stcm2 0x10fb0 うです。
023.stcm2 0x11054 こんなコトに引っかかるドクロちゃんではない
023.stcm2 0x110ac と思いますが、見失ったドクロちゃんをおびき
023.stcm2 0x11104 寄せるには良いアイディアかもしれません！
023.stcm2 0x111c4 「ああっ！　マヨネーズのフタは外しておいた
023.stcm2 0x1121c 方がいいよね」
023.stcm2 0x11268 そういって、地面に置いてあるマヨネーズに走
023.stcm2 0x112c0 り寄ろうとしたときでした。
023.stcm2 0x1149c ドクロちゃん
023.stcm2 0x114d8 「（くんくん）ふぅあ〜〜〜、マヨネーズのい
023.stcm2 0x11530 いにおい〜〜」
023.stcm2 0x1157c フタを開ける間もなく、すでにマヨネーズのそ
023.stcm2 0x115d4 ばにドクロちゃんが現れています。
023.stcm2 0x11634 エサであるマヨネーズがすごいのか、それとも
023.stcm2 0x1168c ドクロちゃんがアホ天使なのか……。
023.stcm2 0x116ec ……ですが、これはチャンスなのです！
023.stcm2 0x11750 ドクロちゃんは、ワナに仕掛けたロープに完全
023.stcm2 0x117a8 に入っていません。あと、もう１歩なのです。
023.stcm2 0x11800 ……ここは、悩んでいるヒマはありません！
023.stcm2 0x11868 僕は、そっとドクロちゃんの背後に忍び寄りま
023.stcm2 0x11ae8 サバトちゃん
023.stcm2 0x11b24 「さ、桜くん！　あぶないですぅ！
023.stcm2 0x11b74 逃げ……ああっ！」
023.stcm2 0x11c20 サバトちゃんがなにかを叫んだ瞬間、ドクロちゃ
023.stcm2 0x11c7c んが振り向こうとしました。
023.stcm2 0x11cd4 も、もう、後戻りはできません！
023.stcm2 0x11d20 背後からドクロちゃんを羽交い締めにして、
023.stcm2 0x11d78 そのまま捕獲ワナの中に連れ込みます！
023.stcm2 0x11ddc そして僕は脱出し、ドクロちゃんだけが捕まる
023.stcm2 0x11e34 ……完璧な作戦です！
023.stcm2 0x11ef0 ざしゅっ！！
023.stcm2 0x12274 ドクロちゃん
023.stcm2 0x122b0 「あれ？　桜くん？　きゃははっ！
023.stcm2 0x12300 桜くんつかまえたっ！」
023.stcm2 0x123ac 「つかまえたじゃないでしょ！　僕がつかまえ
023.stcm2 0x12404 たんだからッ！！　そんなことよりも、サバト
023.stcm2 0x1245c ちゃん！　今すぐ捕獲ロープを！」
023.stcm2 0x12540 ビュルルルン！
023.stcm2 0x1258c 一瞬のうちに周りのヒモが、ドクロちゃんでは
023.stcm2 0x125e4 なく僕の体に巻き付き、自由を奪ってしまいま
023.stcm2 0x12884 「うぅあっ！　対ドクロちゃん用捕獲ワナがど
023.stcm2 0x128dc うして僕に！？　サバトちゃん、ロープはどう
023.stcm2 0x12934 したの？」
023.stcm2 0x12ac4 「ねえ、サバトちゃん！　返事をんぐぼぉぉぉ
023.stcm2 0x12b1c おお……くくぅ……ッ！！」
023.stcm2 0x12cd0 ロープがなぜか僕の首に絡まって息が……、
023.stcm2 0x12d28 苦し紛れに手をばたつかせ、手にあたるなにか
023.stcm2 0x12d80 を思い切り握りしめました。
023.stcm2 0x12e9c ふにょっ
023.stcm2 0x12ee4 こ、これは……もしや……。
023.stcm2 0x12f2c 僕は、なにか大きくて柔らかいものを力一杯、
023.stcm2 0x12f84 握っているのです。
023.stcm2 0x13244 ドクロちゃん
023.stcm2 0x13280 「……んきゅっ……さ、桜くん……！？」
023.stcm2 0x132e4 目を大きく見開いたドクロちゃんが、僕をジッ
023.stcm2 0x1333c と見つめています。
023.stcm2 0x1337c そして……。
023.stcm2 0x13598 ドクロちゃん
023.stcm2 0x135d4 「あ、あ、あ……いぃぃゃやあああああ！！」
023.stcm2 0x13adc 「だから、それはちがうって言っぶごぅあっ！」
023.stcm2 0x13ea0 バスン！
023.stcm2 0x13ee8 目に涙を溜めたドクロちゃんのひとひねりで、
023.stcm2 0x13f40 エスカリボルグはその殺傷力を余すところなく
023.stcm2 0x13f98 発揮しました。
023.stcm2 0x14210 ドクロちゃん
023.stcm2 0x1424c 「きゃあ！　ごめんなさい！　ボクったら、つ
023.stcm2 0x142a4 い反射的に……でも、いきなりなんだもん……
023.stcm2 0x142fc ボク、びっくりしちゃって……（ぽっ）」
023.stcm2 0x143f8 ドクロちゃんは、ダッシュで立ち去っていきま
023.stcm2 0x144ec 「ま、まってドクロちゃん、せめて、復活の
023.stcm2 0x14544 呪文だけでも」
023.stcm2 0x14638 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
023.stcm2 0x148d8 とりあえず、自宅に来てみました。
023.stcm2 0x14928 なにはなくとも、ここには戻ってくるだろうと
023.stcm2 0x14980 思ったからです。
023.stcm2 0x14c4c ザクロちゃん
023.stcm2 0x14c88 「おかえりなさいませ、桜さん。あら、おねえ
023.stcm2 0x14ce0 さまはご一緒じゃなかったのですか？」
023.stcm2 0x14d9c 「学校ではぐれちゃったんだけど、ドクロちゃ
023.stcm2 0x14df4 んはまだ帰ってきてないの？」
023.stcm2 0x14f38 ザクロちゃん
023.stcm2 0x14f74 「はい、まだ帰ってきていないようです」
023.stcm2 0x15030 「どこかで追い抜いちゃったのかなぁ？　それ
023.stcm2 0x15088 とも、どこかで寄り道でもしてるのかも……」
023.stcm2 0x151d8 ザクロちゃん
023.stcm2 0x15214 「いいえ、今日のおねえさまに限って、そのよ
023.stcm2 0x1526c うなことはないと思います。今日の夕ご飯は、
023.stcm2 0x152c4 エビマヨネーズ丼ですし」
023.stcm2 0x15374 「それは、おいしそうなのかちょっと考えちゃ
023.stcm2 0x153cc うけど、とにかくそれなら帰ってきそうだね。
023.stcm2 0x15424 ところで、ザクロちゃん、実は……」
023.stcm2 0x154ac 僕は、ベノムちゃんが帰らなくてはならない話
023.stcm2 0x15504 をザクロちゃんにしました。
023.stcm2 0x1555c そして、僕がベノムちゃんのために協力してい
023.stcm2 0x155b4 ることも。
023.stcm2 0x156e4 ザクロちゃん
023.stcm2 0x15720 「そうでしたか……明日、ベノムさんが帰られ
023.stcm2 0x15778 るのですか」
023.stcm2 0x1581c 「ザクロちゃんにこんなことをお願いするのは、
023.stcm2 0x15878 筋違いかもしれないけど……」
023.stcm2 0x158d4 なにをお願いしますか？
023.stcm2 0x15924 １．一緒に説得してほしい
023.stcm2 0x15978 ２．一緒につかまえてほしい
023.stcm2 0x15d68 「ザクロちゃん、一緒にドクロちゃんを説得し
023.stcm2 0x15dc0 てほしいんだ」
023.stcm2 0x15ef4 ザクロちゃん
023.stcm2 0x15f30 「おねえさまを説得、ですか？」
023.stcm2 0x15fe4 「うん、やっぱりベノムちゃんもお仕事だし、
023.stcm2 0x1603c ドクロちゃんも健康を見てもらった方がいいし」
023.stcm2 0x16190 ザクロちゃん
023.stcm2 0x161cc 「ええ、桜さんのおっしゃるとおりです」
023.stcm2 0x16288 「ザクロちゃんからもお願いしてほしいんだけ
023.stcm2 0x162e0 ど、頼めるかな？」
023.stcm2 0x16418 ザクロちゃん
023.stcm2 0x16454 「もちろんです。おねえさまひとりの我がまま
023.stcm2 0x164ac ならいいのですが、今の状況を見ると、ベノム
023.stcm2 0x16504 さんにもご迷惑がかかっているようです」
023.stcm2 0x16650 ザクロちゃん
023.stcm2 0x1668c 「こうなってきますと、お世話になっている桜
023.stcm2 0x166e4 さんやこちらに来ている天使全員の問題にもな
023.stcm2 0x1673c りかねません」
023.stcm2 0x16870 ザクロちゃん
023.stcm2 0x168ac 「わたくしでよろしければお手伝いいたします」
023.stcm2 0x16970 「……あ、ありがとう！　ザクロちゃん！」
023.stcm2 0x16bb8 「ザクロちゃん、一緒にドクロちゃんをつかま
023.stcm2 0x16c10 えてほしいんだ」
023.stcm2 0x16d48 ザクロちゃん
023.stcm2 0x16d84 「しかし、本当に嫌がっているおねえさまをつ
023.stcm2 0x16ddc かまえるのは、野生のライオンを素手でつかま
023.stcm2 0x16e34 えるようなもの……」
023.stcm2 0x16f70 ザクロちゃん
023.stcm2 0x16fac 「いいえ、ライオンがかわいく見えるときすら
023.stcm2 0x17004 あります……」
023.stcm2 0x17050 ザクロちゃんが、まゆ１つ動かさずに答えます。
023.stcm2 0x17114 「やっぱり……無理なのかなぁ」
023.stcm2 0x17280 ザクロちゃん
023.stcm2 0x172bc 「しかし、まったく無理というわけではありま
023.stcm2 0x17314 せん。無理強いはできませんが、説得すること
023.stcm2 0x1736c ならあるいは……」
023.stcm2 0x17414 「ザクロちゃん、一緒に説得してくれる？」
023.stcm2 0x17564 ザクロちゃん
023.stcm2 0x175a0 「はい、桜さんがその気であるならば、ご協力
023.stcm2 0x175f8 いたします。これは、天使全体の問題でもあり
023.stcm2 0x17650 ますし」
023.stcm2 0x178c8 バタン！
023.stcm2 0x17b1c ドクロちゃん
023.stcm2 0x17b58 「ザクロちゃんだめーーっ！　桜くんはダーク
023.stcm2 0x17bb0 桜くんになっちゃったんだからッ！」
023.stcm2 0x17c10 ドアを勢いよく開けて、ドクロちゃんが僕たち
023.stcm2 0x17c68 の前につめよってきます。
023.stcm2 0x17eb0 ザクロちゃん
023.stcm2 0x17eec 「おかえりなさいませ、おねえさま」
023.stcm2 0x18030 ドクロちゃん
023.stcm2 0x1806c 「ザクロちゃん、いい？　ダーク桜くんはボク
023.stcm2 0x180c4 を捕まえて脳にキラキラ光る金属の物体を埋め
023.stcm2 0x1811c 込んで、思い通りに操ろうとしてるんだよ！？」
023.stcm2 0x1829c 「そんなことしないよ！　ただの健康診断です！
023.stcm2 0x182f8 ちょっとザクロちゃん、おびえた目で僕を見な
023.stcm2 0x18350 いで！　信じないでよ！」
023.stcm2 0x1848c ドクロちゃん
023.stcm2 0x184c8 「うそ……そんなこと言ってボクが眠っちゃっ
023.stcm2 0x18520 たら……本当はなにをする気なの？」
023.stcm2 0x185d8 「だから、健康診断じゃ眠らないから！」
023.stcm2 0x18724 ザクロちゃん
023.stcm2 0x18760 「しかし、ベノムさんの診断の場合は、倒れた
023.stcm2 0x187b8 り気を失ったりするかもしれませんし……」
023.stcm2 0x18878 「ちょちょ……ちょ、ちょっと、ザクロちゃん
023.stcm2 0x188d0 なにも今ここでそんなことを……それに、ドク
023.stcm2 0x18928 ロちゃん、なんで目に涙を溜めてるの？」
023.stcm2 0x18a74 ドクロちゃん
023.stcm2 0x18ab0 「もう、桜くんったら……ダークに染まっちゃっ
023.stcm2 0x18b0c て……（ぽっ）」
023.stcm2 0x18bb4 「勝手にほほを赤くしないでよ！　僕はダーク
023.stcm2 0x18c0c でもないし、ただ健康診断は受けた方がいいん
023.stcm2 0x18c64 じゃないかって」
023.stcm2 0x18d0c 「ほら、ザクロちゃんも、なんとか言って……」
023.stcm2 0x18e30 ザクロちゃんに見せるように、ドクロちゃんを
023.stcm2 0x18e88 指さそうとした瞬間でした。
023.stcm2 0x190dc ぽにゅん！
023.stcm2 0x19124 指さしたはずの僕の指先が、なにか柔らかい
023.stcm2 0x1917c ものを押し上げます。
023.stcm2 0x191c0 こ、これはもしや……。
023.stcm2 0x19294 おそるおそる見上げる指先の上には、目を見開
023.stcm2 0x192ec いたドクロちゃんが顔を真っ赤にして僕を見つ
023.stcm2 0x19344 めていたのです……。
023.stcm2 0x193e8 ドクロちゃん
023.stcm2 0x19424 「んくっ！？　桜くん……ダークに染まっちゃっ
023.stcm2 0x19480 たからって、こんなこと……」
023.stcm2 0x196a4 そして、その背後からゆらりとトゲ付きバット
023.stcm2 0x19810 「まってよ！　今のは、事故！　事故だってば！
023.stcm2 0x1986c エスカリボルグを振り上ぎゃあぅあっ！！」
023.stcm2 0x19cf0 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
023.stcm2 0x19e68 第５話　中盤であります！
023.stcm2 0x19f98 ドクロちゃん
023.stcm2 0x19fd4 「桜くん！　桜くん！　桜くぅんっ！」
023.stcm2 0x1a038 遠くから聞こえる声で、意識がはっきりしてき
023.stcm2 0x1a090 ました。
023.stcm2 0x1a0d8 すがすがしい朝……とは、ほど遠い僕の目覚め
023.stcm2 0x1a590 今朝は、目が覚めると、ドクロちゃんがマウン
023.stcm2 0x1a5e8 トポジションで僕の首を絞めています。
023.stcm2 0x1a64c どうりで、息苦しくて目が覚めるわけです。
023.stcm2 0x1a6a4 でも、首を絞められるようなことしたっけ？
023.stcm2 0x1a9d0 ドクロちゃん
023.stcm2 0x1aa0c 「桜くん！　桜くん！　桜くぅんっ！」
023.stcm2 0x1ad04 「ちょちょっと、ドクロ、ちゃん……朝から、
023.stcm2 0x1ad5c ノドを絞めるのは、反則……ぐぅあっ」
023.stcm2 0x1ae7c ドクロちゃん
023.stcm2 0x1aeb8 「どうしよう！　ねえ、どうしよう！！」
023.stcm2 0x1b0ec 「どうしようって……僕の方こそ、どうしよう
023.stcm2 0x1b144 だよっ！　ぐうぅっ！」
023.stcm2 0x1b240 ドクロちゃん
023.stcm2 0x1b27c 「桜くん、どうしよう……エスカリボルグのト
023.stcm2 0x1b2d4 ゲが１つなくなっちゃったよぅ！」
023.stcm2 0x1b38c 「えっ……？」
023.stcm2 0x1b604 ザクロちゃん
023.stcm2 0x1b640 「桜さん！　おねえさま！　大丈夫ですか？」
023.stcm2 0x1b6a8 騒ぎを聞きつけたらしいザクロちゃんが、部屋
023.stcm2 0x1b700 に現れます。
023.stcm2 0x1b7a8 なんとかドクロちゃんを引き離した僕とザクロ
023.stcm2 0x1b800 ちゃんは、ドクロちゃんから事情を聞くことに
023.stcm2 0x1b858 しました。
023.stcm2 0x1ba4c ドクロちゃん
023.stcm2 0x1ba88 「朝につや出しオイルでキレイキレイをしよう
023.stcm2 0x1bae0 としたら、トゲが１カ所無くなってて……」
023.stcm2 0x1bba0 「トゲがなくなっちゃうとどうなるの？」
023.stcm2 0x1bdf4 ザクロちゃん
023.stcm2 0x1be30 「おそらく、魔法アイテムとしての威力が失わ
023.stcm2 0x1be88 れてしまいます。つまり、桜さんを復活させる
023.stcm2 0x1bee0 ことができなくなります」
023.stcm2 0x1bf90 「そ、それじゃあ、僕が撲殺されても元に戻れ
023.stcm2 0x1bfe8 ないってコト？」
023.stcm2 0x1c1e4 ドクロちゃん
023.stcm2 0x1c220 「うん、ごめんね桜くん。もう、桜くんを生き
023.stcm2 0x1c278 返らせることができなくて……ボク、ボク……
023.stcm2 0x1c2d0 んくっ」
023.stcm2 0x1c370 「ちょっ……まちなさいッ！　撲殺する前提で
023.stcm2 0x1c3c8 話しちゃダメだ！　まだ死んでないじゃん！
023.stcm2 0x1c420 ……今日から撲殺は禁止ですッ！」
023.stcm2 0x1c480 こんなに力無くしょげているドクロちゃんを見
023.stcm2 0x1c4d8 るのはいつ以来でしょう。
023.stcm2 0x1c530 もしかしたら、僕はこんなドクロちゃんを見た
023.stcm2 0x1c588 ことはないのかもしれません。
023.stcm2 0x1c5e4 ううん、こんなドクロちゃんは見たくないんで
023.stcm2 0x1c6d8 「ね、ドクロちゃん、欠けたトゲが見つかるま
023.stcm2 0x1c730 で、撲殺しないって約束できる？」
023.stcm2 0x1c89c ドクロちゃん
023.stcm2 0x1c8d8 「うん、桜くんのパンツに住所と名前が書いて
023.stcm2 0x1c930 あることは内緒にする」
023.stcm2 0x1c9dc 「そんなの書いてません！　書くのは外に泊ま
023.stcm2 0x1ca34 りに行くときだけです！」
023.stcm2 0x1cb0c 「そんなことより……さあ、ドクロちゃん、
023.stcm2 0x1cb64 立って？　カケラをさがしに行こう？」
023.stcm2 0x1ccb0 ドクロちゃん
023.stcm2 0x1ccec 「……桜くん、一緒にさがしてくれるの？」
023.stcm2 0x1cdac 「うん、だってドクロちゃんの大事なエスカリ
023.stcm2 0x1ce04 ボルグだもんね」
023.stcm2 0x1ce54 しょげているドクロちゃんを励ましつつ（今、
023.stcm2 0x1ceac 撲殺されると復活できませんから）、僕たちは、
023.stcm2 0x1cf08 必死で欠けたトゲをさがすことになりました。
023.stcm2 0x1d1c8 学校を休むわけにはいかないので、学校がはじ
023.stcm2 0x1d220 まるわずかな時間でエスカリボルグのカケラさ
023.stcm2 0x1d278 がしをすることになりました。
023.stcm2 0x1d2d4 これで見つからなければ、学校が終わってから
023.stcm2 0x1d32c もさがさなくてはなりません。
023.stcm2 0x1d388 だって、僕の命に関わる問題なんですよ！？
023.stcm2 0x1d3f0 どこからさがすか……、そんなことを考えてい
023.stcm2 0x1d448 ると、僕のメイセキな頭脳は豆電球に灯りを点
023.stcm2 0x1d4a0 けるかのようにひらめくのです。
023.stcm2 0x1d4fc そう……僕が撲殺されて復活できるのはエスカ
023.stcm2 0x1d554 リボルグの魔法のアイテムとしての力です。
023.stcm2 0x1d5bc つまり、エスカリボルグのトゲがなくなったの
023.stcm2 0x1d614 は、最後に僕が撲殺されたときよりも、あとの
023.stcm2 0x1d66c はずなのです。
023.stcm2 0x1d6b8 だって、トゲがなくなったあとに僕が撲殺され
023.stcm2 0x1d710 ていたら、今ごろ僕は……。
023.stcm2 0x1d850 僕は、ゾゾゾっと背中に寒気が走るのをおさえ
023.stcm2 0x1d8a8 ながら、ドクロちゃんに問いかけます。
023.stcm2 0x1d964 「ねえ、ドクロちゃん、昨日、エスカリボルグ
023.stcm2 0x1d9bc を使ったところって、どこだかわかる？」
023.stcm2 0x1dba8 ドクロちゃん
023.stcm2 0x1dbe4 「そんなのわかんないよ。だって、学校とここ
023.stcm2 0x1dc3c の間で、いっぱい使ったんだもん」
023.stcm2 0x1dd84 ドクロちゃん
023.stcm2 0x1ddc0 「じゃあ、桜くん！　ボク、あっちをさがしに
023.stcm2 0x1de18 行ってくるね！」
023.stcm2 0x1df30 「あっちって、ちょっとドクロちゃん！
023.stcm2 0x1df84 まってよ！　……って、行っちゃったよ」
023.stcm2 0x1dfe8 さて、僕の方もドクロちゃんを追いかけるとい
023.stcm2 0x1e040 うか、エスカリボルグのカケラをさがすことに
023.stcm2 0x1e098 しました。
023.stcm2 0x1e238 さて、どこでさがしますか。
024.stcm2 0x28c エスカリボルグのカケラをさがしに聖ゲルニカ
024.stcm2 0x2e4 学園に来てみました。
024.stcm2 0x338 僕の家以外にドクロちゃんが毎日通っていると
024.stcm2 0x390 ころだし、ここでならまちがいなくエスカリボ
024.stcm2 0x3e8 ルグを使っているはずです。
024.stcm2 0x440 とにかく学校内でドクロちゃんが行きそうなと
024.stcm2 0x498 ころをさがしてみることにします。
024.stcm2 0x4f8 校門から教室までの廊下……それらしいものは
024.stcm2 0x550 落ちていません。
024.stcm2 0x5a0 やはり、ドクロちゃんが落としそうなところと
024.stcm2 0x5f8 いったら、長くいた教室かもしれません。
024.stcm2 0x65c ですが……、そういえば、昨日の放課後は図書
024.stcm2 0x6b4 室にもいたはずです。
024.stcm2 0x708 どこへ行きますか？
024.stcm2 0x754 １．図書室に行ってみる
024.stcm2 0x7a4 ２．教室をさがしてみる
024.stcm2 0xbec 朝だというのに図書室のカギが開いていました。
024.stcm2 0xe20 おそるおそる中に入ってみると、そこにはなん
024.stcm2 0xe78 と静希ちゃんがいました。
024.stcm2 0xed0 図書室に入ってきたのが僕だとわかると、見上
024.stcm2 0xf28 げた静希ちゃんが優しく微笑みます。
024.stcm2 0xf88 ああ、朝から図書室で静希ちゃんとふたりっき
024.stcm2 0xfe0 りなんて、やっぱり僕たちは運命の糸で固く結
024.stcm2 0x1038 び合っているかのようです。
024.stcm2 0x10e8 「静希ちゃん、おはよう。こんなに朝早くから
024.stcm2 0x1140 どうしたの？」
024.stcm2 0x1274 静希ちゃん
024.stcm2 0x12ac 「あれ？　桜くん、おはよう。今日は図書室の
024.stcm2 0x1304 当番だから、朝のうちにちょっと片づけようと
024.stcm2 0x135c 思って。桜くんこそどうしたの？」
024.stcm2 0x13bc 静希ちゃんが優しげな瞳で、僕にささやきかけ
024.stcm2 0x1414 てきます。どうしたらいいでしょうか。
024.stcm2 0x1478 静希ちゃんに相談するべきでしょうか。
024.stcm2 0x14dc どうしますか？
024.stcm2 0x1524 １．相談する
024.stcm2 0x156c ２．相談しない
024.stcm2 0x196c やはり１人よりは２人。
024.stcm2 0x19b0 しかも、静希ちゃんは僕の運命の人……いいえ、
024.stcm2 0x1a0c それは現時点では言い過ぎかもしれません。
024.stcm2 0x1a74 それはともかく、静希ちゃんは僕が全てにおい
024.stcm2 0x1acc て信頼している女の子です。
024.stcm2 0x1b40 きっと、今の僕がどんなに危険な状況におかれ
024.stcm2 0x1b98 ているかをわかってくれるはずです。
024.stcm2 0x1c78 「実はドクロちゃんのエスカリボルグのトゲが
024.stcm2 0x1cd0 欠けちゃって、それをさがしているんだ」
024.stcm2 0x1d34 今朝の出来事を説明すると、静希ちゃんが厳し
024.stcm2 0x1d8c い顔で僕を見つめます。
024.stcm2 0x1e38 「……というわけで、昨日ドクロちゃんがいた
024.stcm2 0x1e90 ところに落ちてないかさがしているんだ」
024.stcm2 0x1fdc 静希ちゃん
024.stcm2 0x2014 「もしかしたら、この図書室に落ちてるかもし
024.stcm2 0x206c れないんだよね？　じゃあ、私も手伝う」
024.stcm2 0x2144 「静希ちゃん、ありがとう」
024.stcm2 0x22ac 静希ちゃん
024.stcm2 0x22e4 「ううん……、だって、桜くんが困ってるんだ
024.stcm2 0x233c もん。私にもなにか手伝わせて」
024.stcm2 0x2398 こうして、僕と静希ちゃんは図書室の中をさが
024.stcm2 0x23f0 すことになりました。
024.stcm2 0x24f0 僕は、両手を床につけてさがします。ですが、
024.stcm2 0x2548 それらしい物は見あたりません。
024.stcm2 0x25a4 しかし、そんなことよりも、今は静希ちゃんと
024.stcm2 0x25fc ふたりっきりで共同作業をしているコトに、僕
024.stcm2 0x2654 の胸は高鳴ります！
024.stcm2 0x282c 静希ちゃん
024.stcm2 0x2864 「桜くん、あった？」
024.stcm2 0x2910 「ううん、こっちには……」
024.stcm2 0x2a04 ザアッ！
024.stcm2 0x2a4c 静希ちゃんの声に顔を見上げた瞬間でした。
024.stcm2 0x2bd0 開け放たれた窓から一陣の風が図書室内に吹き
024.stcm2 0x2c28 込んできたのです。
024.stcm2 0x2e24 静希ちゃん
024.stcm2 0x2e5c 「きゃっ！？」
024.stcm2 0x2ea8 一瞬、頭の中が真っ白になり、体が硬直します。
024.stcm2 0x2f14 見てはいけないとわかっていながら体が動きま
024.stcm2 0x2fb0 それどころか、エスカリボルグでたたかれたわ
024.stcm2 0x3008 けでもないのに、あの撲殺されたときのような
024.stcm2 0x3060 鉄サビに似た匂いが鼻の中に広がります。
024.stcm2 0x31b8 「……ふぅあっ！」
024.stcm2 0x3474 静希ちゃん
024.stcm2 0x34ac 「きゃっ！　さ、桜くん、大丈夫！？」
024.stcm2 0x3568 「だ、だだだだいじょうぶ！　大丈夫です！」
024.stcm2 0x36b4 静希ちゃん
024.stcm2 0x36ec 「…………み、見えた？」
024.stcm2 0x379c 「う、ううん！　ううん！！　ぜ、ぜんぜん！
024.stcm2 0x37f4 ぜんぜんなんにも！」
024.stcm2 0x3930 静希ちゃん
024.stcm2 0x3968 「……う、うん」
024.stcm2 0x39b8 風がやみ、スカートの裾を押さえた静希ちゃん
024.stcm2 0x3a10 が、頬を染めたままその場にうつむきます。
024.stcm2 0x3a78 僕はというと、鼻血を我慢しながら首筋をトン
024.stcm2 0x3ad0 トンって……。
024.stcm2 0x3c6c 静希ちゃん
024.stcm2 0x3ca4 「……桜くん、大丈夫？　続き、しようか」
024.stcm2 0x3d68 頬を染めた静希ちゃんがクルリと振り向いて、
024.stcm2 0x3dc0 僕たちは再びカケラさがしをはじめました。
024.stcm2 0x3e28 僕たちはなにもなかったかのように、カケラさ
024.stcm2 0x3e80 がしを再開したのです。
024.stcm2 0x3ed4 ２人で図書室の床をさがし回り、僕はゴミ箱な
024.stcm2 0x3f2c どもさがしましたが、エスカリボルグのカケラ
024.stcm2 0x3f84 は見つかりません。
024.stcm2 0x3ffc リーンゴーン……
024.stcm2 0x404c そんなことをしているうちに、【朝のＨ・Ｒ
024.stcm2 0x40a4 （ホームルーム）】が始まる予鈴が鳴ってしま
024.stcm2 0x40fc いました。
024.stcm2 0x42fc 「そろそろ教室に戻らないと。静希ちゃん、
024.stcm2 0x4354 図書委員のお仕事を邪魔してごめんね」
024.stcm2 0x44a0 静希ちゃん
024.stcm2 0x44d8 「ううん、いいの。でも、それより……」
024.stcm2 0x4594 「どうしたの？」
024.stcm2 0x46cc 静希ちゃん
024.stcm2 0x4704 「もしかしたら、昨日、ドクロちゃんがエスカ
024.stcm2 0x475c リボルグを使った最後の場所って、ここじゃな
024.stcm2 0x47b4 いのかも」
024.stcm2 0x48e4 静希ちゃん
024.stcm2 0x491c 「床には落ちてなかったし、ゴミ箱にも捨てら
024.stcm2 0x4974 れていなかったし……あまり人も来ないから拾っ
024.stcm2 0x49d0 ていったとも考えにくいの」
024.stcm2 0x4a28 言われてみるとそのとおりです。
024.stcm2 0x4b68 静希ちゃん
024.stcm2 0x4ba0 「桜くん、教室に戻ろう？　放課後になったら
024.stcm2 0x4bf8 もう一度さがしてみない？」
024.stcm2 0x4d38 静希ちゃん
024.stcm2 0x4d70 「もしエスカリボルグが欠けちゃったとしても、
024.stcm2 0x4dcc それは学校だけとは限らないはずだし……」
024.stcm2 0x4e90 言われてみればそうです。
024.stcm2 0x4ed8 とにかく、僕と静希ちゃんは図書室にカギをか
024.stcm2 0x4f30 けて教室へと向かいました。
024.stcm2 0x5128 「ちょっと、昨日ここに来たときになくし物を
024.stcm2 0x5180 しちゃったみたいで」
024.stcm2 0x52bc 静希ちゃん
024.stcm2 0x52f4 「そう……なんだ。手伝おうか？」
024.stcm2 0x53ac 「ううん、僕ひとりで大丈夫。ごめんね、ちょっ
024.stcm2 0x5408 とさがさせて」
024.stcm2 0x5454 静希ちゃんをこの一件に巻き込むわけにはいき
024.stcm2 0x54ac ません。
024.stcm2 0x5550 それから図書室の中をさがしにかかりましたが、
024.stcm2 0x55ac それらしいものは落ちていません。
024.stcm2 0x560c カケラをさがしてウロウロしていると、静かな
024.stcm2 0x5664 図書室に朝の予鈴が鳴り響きました。
024.stcm2 0x56ec リーンゴーン……
024.stcm2 0x573c カケラは見つかりませんでしたが、タイムアッ
024.stcm2 0x5794 プです。続きは放課後にして、とりあえず静希
024.stcm2 0x57ec ちゃんと教室に戻ることにしました。
024.stcm2 0x5a2c 教室に行ってみると、ドクロちゃんが机で寝て
024.stcm2 0x5a84 いました……。
024.stcm2 0x5b50 「そっか……ドクロちゃんもいろんなところを
024.stcm2 0x5ba8 さがしてきて疲れてるんだね」
024.stcm2 0x5d84 「よう桜、ドクロちゃんを起こさなくていいの
024.stcm2 0x5e78 「ううん、今日は朝早くから大変だったから、
024.stcm2 0x5ed0 あとちょっとだけ寝かせてあげようかと思って」
024.stcm2 0x6044 「ふーん、朝練で荷物を置きに来たときから、
024.stcm2 0x609c ずっとねっぱなしだぜ？」
024.stcm2 0x6174 僕は大股でドクロちゃんのそばに近付くと、ド
024.stcm2 0x61cc クロちゃんのかわいらしい耳を引っ張ります。
024.stcm2 0x628c 「ちょっと、ドクロちゃん！？　こんなところ
024.stcm2 0x62e4 でなにやってんの！？　エスカリボルグのカケ
024.stcm2 0x633c ラをさがしてるんでしょ！？」
024.stcm2 0x63e8 ドクロちゃん
024.stcm2 0x6424 「ふにゅ〜ん……ああん……もう桜くんったら
024.stcm2 0x647c ……夜は甘えんぼさんなんだから」
024.stcm2 0x6534 「僕なんにもしてないし！　甘えんぼさんとか、
024.stcm2 0x6590 なにそれ！？　みんなの誤解を受けるようなこ
024.stcm2 0x65e8 と言わないでよ！」
024.stcm2 0x6638 「桜……おまえってやつは……（宮本）」
024.stcm2 0x669c 「男の人って……（南さん）」
024.stcm2 0x66f8 「ど、どういうことなんだ桜！
024.stcm2 0x6744 全員の前でちゃんと説明しろ」
024.stcm2 0x67a0 「ふーん、桜くんも１２歳以外に興味があった
024.stcm2 0x67f8 んだ（田辺さん）」
024.stcm2 0x6848 「桜……なんてうらやま……いや、なんてハレ
024.stcm2 0x68a0 ンチな！」
024.stcm2 0x6940 「ちょ、ちょっと、ドクロちゃん起きてよ！
024.stcm2 0x6998 起きてみんなに説明してよ！　ドクロちゃんっ
024.stcm2 0x69f0 てばぁ！」
024.stcm2 0x6abc んぎゅむっ！？
024.stcm2 0x6b48 僕はいま、ドクロちゃんを揺り起こそうとして、
024.stcm2 0x6ba4 大変な場所を触ってしまいました。
024.stcm2 0x6c04 それは、ドクロちゃんの最大にして最強の覚醒
024.stcm2 0x6c5c スイッチ……。
024.stcm2 0x6cd0 一瞬にして、ドクロちゃんの目が、焦点の合わ
024.stcm2 0x6d28 ないまま大きく見開かれます。
024.stcm2 0x6ee4 そして、脳髄反射のように背中からくりでる
024.stcm2 0x6f3c エスカリボルグ……いや、鋼鉄バット！
024.stcm2 0x7410 ドクロちゃん
024.stcm2 0x744c 「……ふぁあああ！？　さ、桜くん？　あ、あ、
024.stcm2 0x74a8 あああ、あああ……いぃやぁぁぁあああ！！」
024.stcm2 0x7868 ズバン！
024.stcm2 0x78b0 あ、あれ……？
024.stcm2 0x78ec 僕、生き返れないんじゃなかったっけ……？
024.stcm2 0x7ba8 ドクロちゃん
024.stcm2 0x7be4 「ああっ！　桜くん、桜くん！　桜くぅんっ！
024.stcm2 0x7c3c ボクったら反射的に！　ねえ、桜くぅん！」
024.stcm2 0x812c とりあえず教室をさがしてみましょう。
024.stcm2 0x81ac 教室に行ってみると、ドクロちゃんが机で寝て
024.stcm2 0x8204 いました……。
024.stcm2 0x82d0 「ちょっと、ドクロちゃん！？　こんなところ
024.stcm2 0x8328 でなにやってんの！？　エスカリボルグのカケ
024.stcm2 0x8380 ラをさがしてるんでしょ！？」
024.stcm2 0x842c ドクロちゃん
024.stcm2 0x8468 「ふにゅ〜ん……ああん……もう桜くんったら
024.stcm2 0x84c0 ……夜は甘えんぼさんなんだから」
024.stcm2 0x8578 「僕なんにもしてないし！　甘えんぼさんとか、
024.stcm2 0x85d4 なにそれ！？　みんなの誤解を受けるようなこ
024.stcm2 0x862c と言わないでよ！」
024.stcm2 0x867c 「桜……おまえってやつは……（宮本）」
024.stcm2 0x86e0 「男の人って……（南さん）」
024.stcm2 0x873c 「ど、どういうことなんだ桜！
024.stcm2 0x8788 全員の前でちゃんと説明しろ」
024.stcm2 0x87e4 「ふーん、桜くんも１２歳以外に興味があった
024.stcm2 0x883c んだ（田辺さん）」
024.stcm2 0x888c 「桜……なんてうらやま……いや、なんてハレ
024.stcm2 0x88e4 ンチな！」
024.stcm2 0x8984 「ちょ、ちょっと、なんでみんなこんな朝早く
024.stcm2 0x89dc から来てるの？」
024.stcm2 0x8a84 「ドクロちゃん起きてよ！　起きてみんなに説
024.stcm2 0x8adc 明してよ！　ドクロちゃんってばぁ！」
024.stcm2 0x8bc4 んぎゅむっ！？
024.stcm2 0x8c50 僕はいま、ドクロちゃんを揺り起こそうとして、
024.stcm2 0x8cac 大変な場所を触ってしまいました。
024.stcm2 0x8d0c それは、ドクロちゃんの最大にして最強の覚醒
024.stcm2 0x8d64 スイッチ……。
024.stcm2 0x8dd8 一瞬にして、ドクロちゃんの目が、焦点の合わ
024.stcm2 0x8e30 ないまま大きく見開かれます。
024.stcm2 0x8fec そして、反射のように、背中から取り出される
024.stcm2 0x9044 エスカリボルグ……いや、鋼鉄バット！
024.stcm2 0x9518 ドクロちゃん
024.stcm2 0x9554 「……ふぁあああ！？　さ、桜くん？　あ、あ、
024.stcm2 0x95b0 あああ、あああ……いぃやぁぁぁあああ！！」
024.stcm2 0x9970 ズバン！
024.stcm2 0x99b8 あ、あれ……？
024.stcm2 0x99f4 僕、生き返れないんじゃなかったっけ……？
024.stcm2 0x9cb0 ドクロちゃん
024.stcm2 0x9cec 「ああっ！　桜くん、桜くん！　桜くぅんっ！
024.stcm2 0x9d44 ボクったら反射的に！　ねえ、桜くぅん！」
024.stcm2 0xa290 僕は自分の家をさがすことにしました。
024.stcm2 0xa2e4 もしかしたらドクロちゃんの見落としもあるか
024.stcm2 0xa33c もしれません。
024.stcm2 0xa388 ドクロちゃんの姿はもうすでにありません。ど
024.stcm2 0xa3e0 うやら家以外の場所をさがしに行ったようです。
024.stcm2 0xa44c ドクロちゃん、ちゃんと学校に行けばいいんだ
024.stcm2 0xa4e8 そうそう、僕にもそれほど時間はありません。
024.stcm2 0xa540 学校に行くまでの短い時間ですが、エスカリボ
024.stcm2 0xa598 ルグのカケラさがしはじめました。
024.stcm2 0xa648 ……１階の居間には、それらしい物は落ちてい
024.stcm2 0xa6a0 ませんでした。
024.stcm2 0xa6ec ２階の僕の部屋はドクロちゃんがもうさがした
024.stcm2 0xa744 んだろうけど……。
024.stcm2 0xa794 そうこうしているうちに、もう学校に行かなく
024.stcm2 0xa7ec てはならない時間です。
024.stcm2 0xa840 どうしますか？
024.stcm2 0xa888 １．学校に行く
024.stcm2 0xa8d0 ２．このままさがす
024.stcm2 0xac54 でも、もう少し時間はあります。
024.stcm2 0xaca0 あきらめないでさがすことにしました。
024.stcm2 0xad04 そう言えば、さっきからザクロちゃんの姿を見
024.stcm2 0xad5c ていません。
024.stcm2 0xada8 もしかしたら、ドクロちゃんと一緒に外をさが
024.stcm2 0xae00 しに行っているのかも……。
024.stcm2 0xae58 どうしますか？
024.stcm2 0xaea0 １．ザクロちゃんをさがす
024.stcm2 0xaef4 ２．このままカケラをさがす
024.stcm2 0xb2a4 もう学校に行かなくてはならない時間ですが、
024.stcm2 0xb2fc ザクロちゃんにもう一度、家の中をさがすこと
024.stcm2 0xb354 を伝えた方がいいような気がしました。
024.stcm2 0xb45c 居間から台所を抜け、何げなく洗面所のドアを
024.stcm2 0xb4b4 開けたときでした。
024.stcm2 0xb578 「あ、ザクロちゃん、見っーけ……」
024.stcm2 0xb7dc そこには、上半身を露わにしたヴィーナスが驚
024.stcm2 0xb834 いた顔で僕を見上げています。
024.stcm2 0xb8d0 一瞬にして、ザクロちゃんの顔が硬直から叫び
024.stcm2 0xb928 に変わります。
024.stcm2 0xbaac ザクロちゃん
024.stcm2 0xbae8 「いゃぁぁぁぁぁぁああああああああん！！」
024.stcm2 0xbba8 「うぅあああああああ！！　あ、あ、だから！
024.stcm2 0xbc00 ザクロちゃん、これはっ！」
024.stcm2 0xc2c0 しかし、僕の主張は一瞬で中断されます。四方
024.stcm2 0xc318 からびっしょりと濡れたタオルが体に巻き付き、
024.stcm2 0xc374 視界が反転しました。
024.stcm2 0xc494 「ぐぉぉッ……おぉおッ！　うぅ……ッ！！
024.stcm2 0xc4ec ざ、ざうろひゃん！！」
024.stcm2 0xc650 ザクロちゃん
024.stcm2 0xc68c 「いやいや！　いゃぁぁぁあああああっ！！」
024.stcm2 0xc7dc メリメリと僕の体からイヤな音が響きます。そ
024.stcm2 0xc834 う、今僕の体を引きちぎらんばかりに締め付け
024.stcm2 0xc88c ているのは、
024.stcm2 0xc8d8 ザクロちゃんの魔法アイテムエッケルザクス、
024.stcm2 0xc930 別名【殺人ぬれタオル】。
024.stcm2 0xc988 体がきしみ、顔にべったりと張り付いたタオル
024.stcm2 0xc9e0 で息が苦しくなります。
024.stcm2 0xcac4 やがて目の前が真っ暗になっていきます。
024.stcm2 0xcb28 脳裏に、幾度と無く視界が真っ赤に染まって
024.stcm2 0xcb80 自分の体が四散する感覚を思い出しました。
024.stcm2 0xcbe8 人は死を直前に迎えると、人生を走馬燈のよう
024.stcm2 0xcc40 に思い出すと言いますが、まさにこのことでしょ
024.stcm2 0xcc9c うか……。
024.stcm2 0xcd80 ザクロちゃん
024.stcm2 0xcdbc 「あ……、もしかして、桜さん……ですか？
024.stcm2 0xce14 さ、桜さん？　桜さん！？」
024.stcm2 0xd09c ザクロちゃん
024.stcm2 0xd0d8 「ほ、本当に申しわけありませんでした。
024.stcm2 0xd12c 桜さんは、おねえさまと学校に向かわれたとば
024.stcm2 0xd184 かり思っていたものですから……」
024.stcm2 0xd2cc ザクロちゃん
024.stcm2 0xd308 「おねえさまからおうちの中でのカケラさがし
024.stcm2 0xd360 を頼まれていて、お風呂場をさがそうと……」
024.stcm2 0xd3c8 エッケルザクスから救出されて意識を取り戻し
024.stcm2 0xd420 た僕の目の前には、深々とうつむくザクロちゃ
024.stcm2 0xd478 んがいます。
024.stcm2 0xd51c 「そうだったんだ。僕こそごめんね。確かめず
024.stcm2 0xd574 にドアをいきなり開けちゃって」
024.stcm2 0xd6b8 ザクロちゃん
024.stcm2 0xd6f4 「そんなことはありません。ここは桜さんのお
024.stcm2 0xd74c うちですし、わたくしはここにお世話になって
024.stcm2 0xd7a4 いるだけです」
024.stcm2 0xd848 「ううん、女の子がいるうちだってことを忘れ
024.stcm2 0xd8a0 てた、僕が悪かったんだから」
024.stcm2 0xd9e4 ザクロちゃん
024.stcm2 0xda20 「桜さん……あの……」
024.stcm2 0xda74 ああ、この気づかい、奥ゆかしさ、どこかのア
024.stcm2 0xdacc ホ天使に爪のアカでも飲ませたい気分です。
024.stcm2 0xdb34 ザクロちゃんがなにかを言いたそうにしていま
024.stcm2 0xdb8c すが、これ以上、ザクロちゃんに謝られても困っ
024.stcm2 0xdbe8 てしまいます。
024.stcm2 0xdc34 ここは男らしい、いいえ、ザクロちゃんのおに
024.stcm2 0xdc8c いさんとしての振る舞いが必要でしょう。
024.stcm2 0xdd48 「ザクロちゃん、本当に気にしないで。
024.stcm2 0xdd9c 僕はザクロちゃんを本当の妹だと思って……」
024.stcm2 0xdeec ザクロちゃん
024.stcm2 0xdf28 「あの、もう学校が始まる時間では……？」
024.stcm2 0xe010 「うわあぁあああ！？　あ、ザクロちゃん！
024.stcm2 0xe068 続きは学校が終わってからで！」
024.stcm2 0xe1ac ザクロちゃん
024.stcm2 0xe1e8 「は、はい！　いってらっしゃいませ！」
024.stcm2 0xe400 とりあえず、このまま居間をさがすことにしま
024.stcm2 0xe49c 残された朝の時間はあまりありませんが、エス
024.stcm2 0xe4f4 カリボルグのかけらが有るのと無いのでは大違
024.stcm2 0xe54c いなのです。
024.stcm2 0xe598 僕が床をなめるようにさがしていると、ザクロ
024.stcm2 0xe5f0 ちゃんが入ってきました。
024.stcm2 0xe7d0 ザクロちゃん
024.stcm2 0xe80c 「桜さん、おはようございます。まだ学校に行
024.stcm2 0xe864 かれていなかったのですか？」
024.stcm2 0xe918 「うん、もう行かなくちゃならないけど、僕た
024.stcm2 0xe970 ちが学校に行っている間、もう一度、家の中を
024.stcm2 0xe9c8 ザクロちゃんに調べてほしくて」
024.stcm2 0xeb0c ザクロちゃん
024.stcm2 0xeb48 「はい、それは任せてください。それより……」
024.stcm2 0xebd0 言葉をつなぎながら、ザクロちゃんの顔がくも
024.stcm2 0xec28 りました。
024.stcm2 0xed80 ザクロちゃん
024.stcm2 0xedbc 「もし、魔法アイテムではないエスカリボルグ
024.stcm2 0xee14 を桜さんにふるってしまったら、もう……」
024.stcm2 0xeed4 「そ、それはないよ。ドクロちゃんだって見つ
024.stcm2 0xef2c かるまで撲殺しないって約束してくれたし」
024.stcm2 0xf0a4 ザクロちゃん
024.stcm2 0xf0e0 「エスカリボルグのカケラは、わたくしが責任
024.stcm2 0xf138 を持ってさがします。ですので、桜さんは学校
024.stcm2 0xf190 に行ってください」
024.stcm2 0xf238 「それじゃあ、学校が終わったらすぐに戻って
024.stcm2 0xf290 くるから！」
024.stcm2 0xf338 ザクロちゃんに諭されて、とりあえずは学校に
024.stcm2 0xf390 行くことにしました。
024.stcm2 0xf88c とりあえずアバランチ公園に来てみました。
024.stcm2 0xf8f4 しかし、この公園からエスカリボルグの小さな
024.stcm2 0xf94c カケラをさがすのは、大変な作業のような気が
024.stcm2 0xf9a4 してきました。
024.stcm2 0xf9f0 しかし、ちょうどいいことにこの公園にはドク
024.stcm2 0xfa48 ロちゃんと同じ天使であるサバトちゃんが住み
024.stcm2 0xfaa0 ついています。
024.stcm2 0xfaec 事情を説明してサバトちゃんにも手伝ってもら
024.stcm2 0xfb44 うという手があります。
024.stcm2 0xfb98 どうしますか？
024.stcm2 0xfbe0 １．協力してもらう
024.stcm2 0xfc2c ２．自力でなんとかする
024.stcm2 0xffdc サバトちゃんに協力してもらうことにしました。
024.stcm2 0x10048 同じ天使同士です。困っているときは助け合え
024.stcm2 0x100a0 るはずです。
024.stcm2 0x100ec サバトちゃんのダンボールハウスを訪ねること
024.stcm2 0x10144 にしました。
024.stcm2 0x10228 「サバトちゃん？　サバトちゃん、いたら返事
024.stcm2 0x10594 サバトちゃん
024.stcm2 0x105d0 「……スゥ……スゥ……スゥ……」
024.stcm2 0x10658 僕はダンボールハウスをのぞきこんだまま、
024.stcm2 0x106b0 その場で固まってしまいました。
024.stcm2 0x107d4 ぼ、僕も健全な中学生ですから、サバトちゃん
024.stcm2 0x1082c の無防備な胸元に目が　ク・ギ・ヅ・ケ　です。
024.stcm2 0x1092c ……ゴクリ。
024.stcm2 0x109f8 し、しかし、いつまでもこの光景を眺めている
024.stcm2 0x10a50 わけにはいきません。
024.stcm2 0x10a94 今の僕には命に関わる使命があるのです！
024.stcm2 0x10af8 サバトちゃんに協力をお願いするためにも、こ
024.stcm2 0x10b50 こはなにもなかったかのように後戻りをする必
024.stcm2 0x10ba8 要があります。
024.stcm2 0x10c44 ですが……脳内から体全体に向かって下した
024.stcm2 0x10c9c 撤退命令に、体が言うことをきいてくれませ
024.stcm2 0x10d60 サバトちゃん
024.stcm2 0x10d9c 「んんっ……ううぅん……」
024.stcm2 0x10e1c そうこうしているうちに、サバトちゃんが大き
024.stcm2 0x10e74 な寝返りをうちました。
024.stcm2 0x10ef0 まぶたがヒクヒクして、目を覚ましそうな勢い
024.stcm2 0x11088 （ううぅぅぅぅぅあああああああああ！！！）
024.stcm2 0x11240 ズザザザァァァアアーーーー！！
024.stcm2 0x112dc 僕は、間一髪でサバトちゃんが目を覚ます前に
024.stcm2 0x11334 背面飛び選手のようにエビ反りながら外に出る
024.stcm2 0x1138c ことに成功しました。
024.stcm2 0x113e0 その直後、眠そうな目をしたサバトちゃんが
024.stcm2 0x11438 顔を出してきたのです。
024.stcm2 0x1163c サバトちゃん
024.stcm2 0x11678 「……はぅ、どなたかいらっしゃったです
024.stcm2 0x116cc かぁ？」
024.stcm2 0x1176c 「お、おはよう、サバトちゃん」
024.stcm2 0x118b0 サバトちゃん
024.stcm2 0x118ec 「桜くんでしたかぁ。あのぉ、朝から砂まみれ
024.stcm2 0x11944 でどうしたんですかぁ？」
024.stcm2 0x119f4 「は、ははは……、サバトちゃんにちょっと
024.stcm2 0x11a4c お願いがあってね」
024.stcm2 0x11a9c 僕は砂まみれでひっくり返っている体勢から身
024.stcm2 0x11af4 を起こして、今朝の出来事をサバトちゃんに説
024.stcm2 0x11b4c 明しました。
024.stcm2 0x11c80 サバトちゃん
024.stcm2 0x11cbc 「……そうでしたかぁ。カケラをさがすとなる
024.stcm2 0x11d14 と大変ですぅ」
024.stcm2 0x11db8 「そうなんだ。それで、サバトちゃんにも協力
024.stcm2 0x11e10 してほしいんだけど」
024.stcm2 0x11f4c サバトちゃん
024.stcm2 0x11f88 「はい、それは大丈夫ですがぁ……それよりも、
024.stcm2 0x11fe4 ためしに撲殺されてみるというのはどうでしょ
024.stcm2 0x1203c うかぁ？」
024.stcm2 0x1216c サバトちゃん
024.stcm2 0x121a8 「もしかしたら魔法は失われていないかもしれ
024.stcm2 0x12200 ないですぅ。さがさなくてもいいかもしれない
024.stcm2 0x12258 じゃないですかぁ！」
024.stcm2 0x122ac なんと返事しますか？
024.stcm2 0x122fc １．それはいい考えだね！
024.stcm2 0x12350 ２．人のことだと思って！
024.stcm2 0x12780 「それはいい考えだね！　……って、サバトち
024.stcm2 0x127d8 ゃん！　僕が本当に死んじゃったらどうするの
024.stcm2 0x12830 さぁ！」
024.stcm2 0x12960 サバトちゃん
024.stcm2 0x1299c 「ふぇぇぇぇ！？　いい考えだと思ったんです
024.stcm2 0x129f4 がぁ、残念ですぅ」
024.stcm2 0x12a44 サバトちゃんもドクロちゃんとは違った意味で、
024.stcm2 0x12aa0 本当に考え無しです。
024.stcm2 0x12af4 まったく、天使というのはこういう人たちばか
024.stcm2 0x12b4c りなんでしょうか。
024.stcm2 0x12cac サバトちゃん
024.stcm2 0x12ce8 「桜くんが困っているなら、サバトもお手伝い
024.stcm2 0x12d40 するですぅ。ここの公園はサバトもさがすです
024.stcm2 0x12d98 からぁ」
024.stcm2 0x12e38 「うん、じゃあ、一緒にさがそうか」
024.stcm2 0x12f80 サバトちゃん
024.stcm2 0x12fbc 「あの……ところで桜くん、今日は学校に行か
024.stcm2 0x13014 なくてもいいんですかぁ？」
024.stcm2 0x131d4 「え……うわぁぁああ！！　もう学校が始まっ
024.stcm2 0x1322c ちゃう！　公園をさがすのを、サバトちゃんに
024.stcm2 0x13284 お願いしてもいいかな？」
024.stcm2 0x133c0 サバトちゃん
024.stcm2 0x133fc 「はい、公園はサバトがさがしておくですぅ。
024.stcm2 0x13454 まかせてくださいですぅ！」
024.stcm2 0x13504 「それじゃあ、学校が終わったらすぐに戻って
024.stcm2 0x1355c くるから！」
024.stcm2 0x13604 公園でのカケラさがしは、サバトちゃんにお願
024.stcm2 0x1365c いして、とりあえずは学校に行くことにしまし
024.stcm2 0x13898 「ひどいよサバトちゃん。人のことだと思って、
024.stcm2 0x138f4 そんな投げやりな提案を……」
024.stcm2 0x13a38 サバトちゃん
024.stcm2 0x13a74 「そ、そんなことないですぅ！　サバトだって
024.stcm2 0x13acc ちゃんと考えているですぅ！」
024.stcm2 0x13ba8 「とにかく、その方法は採用できません！」
024.stcm2 0x13c10 そんなことをしている間に、もう学校が始まっ
024.stcm2 0x13c68 てしまう時間です。
024.stcm2 0x13d10 「ああ、ごめん。僕、学校に行かなくちゃなら
024.stcm2 0x13d68 ないから、また放課後に！」
024.stcm2 0x13ea8 サバトちゃん
024.stcm2 0x13ee4 「あぁ、ちょっと、桜くん！　まってください
024.stcm2 0x13f3c ですぅ！」
024.stcm2 0x140ac 呼び止めようとするサバトちゃんの声を背中に
024.stcm2 0x14104 受けながら、僕は学校へと急ぎだしました。
024.stcm2 0x143e4 ……僕は、サバトちゃんに頼まないで自力でな
024.stcm2 0x1443c んとかすることにしました。
024.stcm2 0x14494 魔法アイテムの能力が無くなったことを、他の
024.stcm2 0x144ec 人に伝えていいものかどうか判断に困ったから
024.stcm2 0x14588 そして、ひとりでアバランチ公園の中をさがし
024.stcm2 0x145e0 てみましたが、そう簡単には見つかりませんで
024.stcm2 0x1467c もしかしたら、違う場所かも……。
024.stcm2 0x146dc そんなことを考えていると、もう学校が始まる
024.stcm2 0x14734 時間です。僕は、あわてて学校に向かうことに
024.stcm2 0x1478c しました。
024.stcm2 0x14a1c アルカディア商店街に来てみました。
024.stcm2 0x14a7c ここにあるかどうかはわかりませんが、今はと
024.stcm2 0x14ad4 にかくさがすしかありません。
024.stcm2 0x14b30 一刻も早くカケラをさがし出し、僕を復活させ
024.stcm2 0x14b88 ることができる力を取り戻してもらわなくては
024.stcm2 0x14be0 なりません。
024.stcm2 0x14c2c ですが、この大きな商店街から小さなカケラを
024.stcm2 0x14c84 さがし出すのは、とても大変なような気がしま
024.stcm2 0x14d20 ですが、学校が始まるまでの間、とにかくさが
024.stcm2 0x14d78 してみることにしました。
024.stcm2 0x14e20 しかし、小さなカケラは、そう簡単に見つかる
024.stcm2 0x14e78 ものではありません。
024.stcm2 0x14ecc そろそろ学校に行かなくてはならない時間になっ
024.stcm2 0x14f28 てしまいました。
024.stcm2 0x14f78 どうしますか？
024.stcm2 0x14fc0 １．学校に向かう
024.stcm2 0x1500c ２．このままさがす
024.stcm2 0x153b8 とりあえず、学校に向かうことにしました。
024.stcm2 0x156e8 でも、アルカディア商店街の中を学校に向かっ
024.stcm2 0x15740 て歩きながらカケラをさがすことにします。
024.stcm2 0x157d0 ベノムちゃん
024.stcm2 0x1580c 「……桜殿？　なにをしているでありますか？」
024.stcm2 0x15908 不意に声をかけられて顔を上げると、そこには
024.stcm2 0x15960 ベノムちゃんがいました。
024.stcm2 0x15a10 「ベノムちゃん、お、おはよう！」
024.stcm2 0x15bf8 ベノムちゃん
024.stcm2 0x15c34 「はい、おはようございます、桜殿。……とこ
024.stcm2 0x15c8c ろで、差し出がましいようでありますが、なに
024.stcm2 0x15ce4 か探しものでありますか？」
024.stcm2 0x161ac ベノムちゃんがさっきまでの僕と同じように
024.stcm2 0x16204 周囲をキョロキョロ見回しています。
024.stcm2 0x16264 どうしますか？
024.stcm2 0x162ac １．事情を話す
024.stcm2 0x162f4 ２．探しものだけを説明する
024.stcm2 0x166cc この際、さがす人数は多ければ多いほどいいに
024.stcm2 0x16724 決まっています。
024.stcm2 0x16774 僕は、今朝の出来事をベノムちゃんに説明し、
024.stcm2 0x167cc エスカリボルグのカケラさがしをお願いしまし
024.stcm2 0x16950 ベノムちゃん
024.stcm2 0x1698c 「なるほど……それは大変でありますな。魔法
024.stcm2 0x169e4 アイテムの威力がないと、桜殿の生死にかかわ
024.stcm2 0x16a3c るであります」
024.stcm2 0x16ae0 「うん、だから今日はできるだけドクロちゃん
024.stcm2 0x16b38 を刺激しないようにしながら、カケラさがしを
024.stcm2 0x16b90 しようと思ってたんだ」
024.stcm2 0x16cc8 ベノムちゃん
024.stcm2 0x16d04 「そうですか……では、微力ではありますが、
024.stcm2 0x16d5c 自分もお手伝いさせていただきます。今日まで
024.stcm2 0x16db4 お世話になった桜殿のためですから」
024.stcm2 0x16e14 今日まで……。
024.stcm2 0x16e60 ベノムちゃんの言葉で、僕はもう一つの出来事
024.stcm2 0x16eb8 を思い出しました。
024.stcm2 0x16f08 そうです、ベノムちゃんは今日未来に帰ってし
024.stcm2 0x16f60 まうのです。
024.stcm2 0x16fac その帰る前に、今日はなにがなんでもドクロちゃ
024.stcm2 0x17008 んに健康診断を受けさせなければならなかった
024.stcm2 0x17060 のです。
024.stcm2 0x170a8 カケラさがしと、ドクロちゃんさがし……。僕
024.stcm2 0x17100 はどっちを選べばいいと言うのでしょうか……。
024.stcm2 0x17254 ベノムちゃん
024.stcm2 0x17290 「……桜殿、カケラをさがしましょう！」
024.stcm2 0x172f4 僕の心の内を読みとったかのように、ベノムちゃ
024.stcm2 0x17350 んが僕を見て切り出しました。
024.stcm2 0x17404 「ベノムちゃん……いいの？　本当にいいの？」
024.stcm2 0x17558 ベノムちゃん
024.stcm2 0x17594 「……健康診断と点呼が無くても命に関わりま
024.stcm2 0x175ec せんが、カケラがないと桜殿が大変なことにな
024.stcm2 0x17644 るであります」
024.stcm2 0x176e8 「でもベノムちゃんが困るでしょ！？　怒られ
024.stcm2 0x17740 るのはベノムちゃんなんでしょ？」
024.stcm2 0x17888 ベノムちゃん
024.stcm2 0x178c4 「……今の自分がしなければならないのは、カ
024.stcm2 0x1791c ケラをさがすことのようであります」
024.stcm2 0x17a64 ベノムちゃん
024.stcm2 0x17aa0 「そして桜殿が今しなければならないのは……、
024.stcm2 0x17afc 学校に行くこと、のはず」
024.stcm2 0x17cbc 「うぅわ！？　もうそんな時間？」
024.stcm2 0x17e04 ベノムちゃん
024.stcm2 0x17e40 「桜殿が学校に行っている間は、自分が責任を
024.stcm2 0x17e98 もってさがしているであります。ですから、桜
024.stcm2 0x17ef0 殿には学校へ急いでいただきたい」
024.stcm2 0x17fa8 「……ありがとうベノムちゃん。それじゃあ、
024.stcm2 0x18000 学校が終わったら、僕もすぐに来るから！」
024.stcm2 0x180ec そう言って、僕はベノムちゃんと別れると学校
024.stcm2 0x18144 に向かって走り出しました。
024.stcm2 0x182e4 この際、さがす人数は多ければ多いほどいいに
024.stcm2 0x1833c 決まっています。
024.stcm2 0x1838c ですが、エスカリボルグが魔法の力を失ったこ
024.stcm2 0x183e4 とを話してもいいものでしょうか。
024.stcm2 0x18444 悩んだ結果、事情は説明せずにカケラさがしの
024.stcm2 0x1849c ことだけを話すことにしました。
024.stcm2 0x18550 「実は、鉄製のトゲをさがしてるんだ。落とし
024.stcm2 0x185a8 たのは学校と家の間だと思うんだけど……」
024.stcm2 0x186f8 ベノムちゃん
024.stcm2 0x18734 「……なるほど。それがないと、桜殿は大変困
024.stcm2 0x1878c るでありますな？　例えば、生死に関わるよう
024.stcm2 0x1882c ベノムちゃんが、僕の目をのぞき込むようにし
024.stcm2 0x18884 て聞いてきます。
024.stcm2 0x1892c 「そ、そうなんだ。それがないと、すごく困る
024.stcm2 0x18984 というか」
024.stcm2 0x18ab4 ベノムちゃん
024.stcm2 0x18af0 「ところで、桜殿。時間は大丈夫でありますか？
024.stcm2 0x18b4c 静希殿はもうすでに学校に向かわれてしまいま
024.stcm2 0x18ba4 したが……」
024.stcm2 0x18d58 「うぅわ！？　もうそんな時間？」
024.stcm2 0x18e9c ベノムちゃん
024.stcm2 0x18ed8 「桜殿が学校に行っている間は、自分が責任を
024.stcm2 0x18f30 持ってさがしているであります。ですから、桜
024.stcm2 0x18f88 殿には学校へ急いでいただきたい」
024.stcm2 0x19040 「……ありがとうベノムちゃん。それじゃあ、
024.stcm2 0x19098 学校が終わったら僕もすぐに来るから！」
024.stcm2 0x19158 そう言えば、なにか大事なことを忘れているよ
024.stcm2 0x191b0 うな気がしましたが、今はそれどころではあり
024.stcm2 0x19208 ません。
024.stcm2 0x19250 僕は学校に向かって走り出しました。
024.stcm2 0x19584 学校に行く時間は迫っていますが、このまま
024.stcm2 0x195dc エスカリボルグのカケラが見つからないのは、
024.stcm2 0x19634 非常に不安です。
024.stcm2 0x19684 もう少し、時間の許す限りカケラをさがしてみ
024.stcm2 0x196dc ることにしました。
024.stcm2 0x1972c そんなときです。ふと見上げた商店街の向こう
024.stcm2 0x19784 に見慣れた天使のわっかがフワフワと浮いてい
024.stcm2 0x197dc るじゃないですか……。
024.stcm2 0x199b4 ドクロちゃん
024.stcm2 0x199f0 「きゃははははっ、臓物丸、ほら、わんわん！」
024.stcm2 0x19a5c ええと、僕とドクロちゃんは、今、エスカリボ
024.stcm2 0x19ab4 ルグのカケラさがしをしているはずです。
024.stcm2 0x19b18 僕がこんなに必死にさがしているというのに、
024.stcm2 0x19b70 ドクロちゃんときたら、商店街の臓物丸相手に
024.stcm2 0x19bc8 楽しそうに遊んでいるではありませんか。
024.stcm2 0x19c2c とにかく、遊んでいる場合ではありません。
024.stcm2 0x19c94 どうしますか？
024.stcm2 0x19cdc １．ドクロちゃんに注意する
024.stcm2 0x19d30 ２．臓物丸を取り上げる
024.stcm2 0x1a138 「ちょっと、ドクロちゃん！　なにやってん
024.stcm2 0x1a2bc ドクロちゃん
024.stcm2 0x1a2f8 「あれー、桜くん、どうしたの？　こんなとこ
024.stcm2 0x1a350 ろで？」
024.stcm2 0x1a3f0 「ドクロちゃんこそ、なにをやってるんですか？
024.stcm2 0x1a44c 僕たちは、エスカリボルグのカケラさがしをし
024.stcm2 0x1a4a4 ているはずでしょ？」
024.stcm2 0x1a5e0 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1a61c 「……はぅ、そうでした。ボク、エスカリボル
024.stcm2 0x1a674 グのカケラをさがそうとして、臓物丸なら匂い
024.stcm2 0x1a6cc でさがせるかもと思って……ごめんなさい」
024.stcm2 0x1a734 すばらしいアイディアです！　そうです、犬の
024.stcm2 0x1a78c 嗅覚は人間よりも優れているはずです。
024.stcm2 0x1a7f0 警察犬などは匂いで、なくしものをさがしたり
024.stcm2 0x1a848 しているはずです。
024.stcm2 0x1a918 「ううん、ドクロちゃん、ごめんね。僕こそ、
024.stcm2 0x1a970 ドクロちゃんがそんなことまで考えていたなん
024.stcm2 0x1a9c8 てちっとも気が付かなくて」
024.stcm2 0x1aa78 「それで？　臓物丸は匂いをたどれるの？」
024.stcm2 0x1abc8 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1ac04 「ううん、今からするところでした！　さあ、
024.stcm2 0x1ac5c 臓物丸、コレの匂いをしっかりかいでごらん」
024.stcm2 0x1acc4 ドクロちゃんが臓物丸の目の前に、エスカリボ
024.stcm2 0x1ad1c ルグを差し出した瞬間でした。
024.stcm2 0x1ada0 ……おびえた表情の臓物丸が、丸めたシッポを
024.stcm2 0x1adf8 後ろ足の間に挟んで後ずさりしていきます。
024.stcm2 0x1ae60 どうしますか？
024.stcm2 0x1aea8 １．臓物丸に任せてみる
024.stcm2 0x1aef8 ２．ドクロちゃんを止める
024.stcm2 0x1b2a8 こうなっては、ワラにもすがりたいと言うので
024.stcm2 0x1b300 しょうか。臓物丸の嗅覚だけが頼りです。
024.stcm2 0x1b364 やがて、臓物丸はドクロちゃんの無言の圧力に
024.stcm2 0x1b3bc 負けたのか、ビクビクしながら差し出されたエ
024.stcm2 0x1b414 スカリボルグの匂いをかぎます。
024.stcm2 0x1b470 そして、クンクンと鼻を鳴らしながら地面を数
024.stcm2 0x1b4c8 回、まわったかと思うとヨロヨロと僕に向かっ
024.stcm2 0x1b520 て歩いて来るではありませんか。
024.stcm2 0x1b57c 臓物丸は僕の足元に来ると、ちょこんと座るよ
024.stcm2 0x1b5d4 うにして、僕を見上げています。
024.stcm2 0x1b718 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1b754 「臓物丸ぅ、それはカケラじゃなくて桜くんだ
024.stcm2 0x1b7ac よぉ？」
024.stcm2 0x1b7f4 僕がカケラを持っているのでしょうか？　服の
024.stcm2 0x1b84c ポケットからカバンの中までさがしましたが、
024.stcm2 0x1b8a4 それらしいものはありません。
024.stcm2 0x1b900 それでも、臓物丸はつぶらな瞳で僕をジッと見
024.stcm2 0x1b958 つめています。
024.stcm2 0x1ba18 「ああ、わかったーー！　臓物丸はエスカリボ
024.stcm2 0x1ba70 ルグに染みついた……僕の匂いを……かぎ取っ
024.stcm2 0x1bac8 たんだ……」
024.stcm2 0x1bb3c 自分で気がついて、かなりイヤな感じです……。
024.stcm2 0x1bba8 そうです。エスカリボルグには、ドクロちゃん
024.stcm2 0x1bc00 が僕を撲殺したときの匂いが染みついているに
024.stcm2 0x1bc58 違いありません……。
024.stcm2 0x1bdb8 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1bdf4 「そっかぁ！　臓物丸えらいぞぅ！」
024.stcm2 0x1bf64 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1bfa0 「じゃあ、今度は桜くんの体から１番桜くんら
024.stcm2 0x1bff8 しい匂いの場所……キングオブ桜くんの場所を
024.stcm2 0x1c050 さがし出して！」
024.stcm2 0x1c0f8 「ちょっとまってよ、なんなのさ、その【キン
024.stcm2 0x1c150 グオブ僕】って！　それって、１番撲殺されて
024.stcm2 0x1c1a8 いる場所のことでしょ？」
024.stcm2 0x1c280 「それよりも、探しものの続きは放課後にして、
024.stcm2 0x1c2dc もう学校に行かないと！」
024.stcm2 0x1c41c ドクロちゃん
024.stcm2 0x1c458 「ええぇーー！？　　学校に行ってるヒマなん
024.stcm2 0x1c4b0 かないよ！　はやくさがし出さないと……
024.stcm2 0x1c504 ボク……ボク……」
024.stcm2 0x1c5ac 「……今日の給食は、ワカメごはんのはずだけ
024.stcm2 0x1c730 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1c76c 「ほら桜くん、はやく学校に行くよ！　臓物丸、
024.stcm2 0x1c7c8 またねー！」
024.stcm2 0x1ca20 「ドクロちゃん、すとーーっぷ！　無理、無理
024.stcm2 0x1ca78 だよ、こんなの！　臓物丸だっておびえてるで
024.stcm2 0x1cad0 しょ！？」
024.stcm2 0x1cc00 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1cc3c 「そんなことないもん。臓物丸だって、やれば
024.stcm2 0x1cc94 できる子なんだから、ね〜〜？」
024.stcm2 0x1cdd4 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1ce10 「好き嫌いしていると、立派な警察犬になれな
024.stcm2 0x1ce68 いぞ？」
024.stcm2 0x1ceb0 ドクロちゃんが、おびえてシッポを丸めている
024.stcm2 0x1cf08 臓物丸ににこやかに話しかけます。
024.stcm2 0x1cf68 いや、どう見たって、臓物丸が警察犬になれる
024.stcm2 0x1cfc0 とは思えませんが、ドクロちゃんはかなり本気
024.stcm2 0x1d018 のようです。
024.stcm2 0x1d0bc 「もう、ドクロちゃんのことを怖がってるじゃ
024.stcm2 0x1d114 ないか！」
024.stcm2 0x1d15c 思わず、おびえる臓物丸ににじり寄るドクロちゃ
024.stcm2 0x1d1b8 んを背後から引き止めることにしました。
024.stcm2 0x1d4d0 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1d50c 「ボクは、臓物丸の未来と将来を思ってやって
024.stcm2 0x1d564 るんだもん！　だから桜くんは……ジャマしちゃ
024.stcm2 0x1d5c0 だめーーーっ！」
024.stcm2 0x1d7c0 「あ、ド、ドクロちゃん！　そんな暴れないで
024.stcm2 0x1d960 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1d99c 「ボクが臓物丸をりっぱに……んくっ！？」
024.stcm2 0x1dc58 ふにょん
024.stcm2 0x1dca0 暴れるドクロちゃんを押さえようとした瞬間、
024.stcm2 0x1dcf8 僕の両手はなにか大きくて柔らかい物をつかん
024.stcm2 0x1dd50 でいたのです……。
024.stcm2 0x1dff0 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1e02c 「あ、あ、あ……いぃぃゃやあああああ！！」
024.stcm2 0x1e568 「だから！　これはドクロちゃんが暴れるから
024.stcm2 0x1e5c0 ぐぁあああうッ！」
024.stcm2 0x1e888 ズバン！
024.stcm2 0x1eafc ドクロちゃん
024.stcm2 0x1eb38 「きゃあ！　ごめんなさい！　ボクったら、つ
024.stcm2 0x1eb90 い反射的に……でも、いきなりなんだもん……
024.stcm2 0x1ebe8 ボク、びっくりしちゃって……（ぽっ）」
024.stcm2 0x1f088 「ちょっと、ドクロちゃん！　遊んでる場合じゃ
024.stcm2 0x1f0e4 ないでしょ！」
024.stcm2 0x1f188 「僕だってこうして、学校に行く前にさがして
024.stcm2 0x1f1e0 るんだかね！」
024.stcm2 0x1f22c そう言って、おびえる臓物丸をドクロちゃんか
024.stcm2 0x1f284 ら取り上げようとしました。
024.stcm2 0x1f3c4 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1f400 「だめーっ！　臓物丸、逃げてぇ！」
024.stcm2 0x1f4b8 「ちょっと、ドクロちゃん！　僕が悪者みたい
024.stcm2 0x1f510 な言い方は変だよ！
024.stcm2 0x1f550 悪いのはドクロちゃんでしょ！？」
024.stcm2 0x1f8a0 ドクロちゃん
024.stcm2 0x1f8dc 「ちっがうよ！　ボクは臓物丸にエスカリボル
024.stcm2 0x1f934 グの匂いをさがしてもらおうと思って……って、
024.stcm2 0x1f990 桜くん！　はーなーしーてー！」
024.stcm2 0x1f9ec 僕はドクロちゃんの背後から、ドクロちゃんを
024.stcm2 0x1fa44 押さえつけます。
024.stcm2 0x1fb08 「臓物丸！　今のうちに逃げる……」
024.stcm2 0x1fdbc ふにょん
024.stcm2 0x1fe04 暴れるドクロちゃんを押さえようとした瞬間、
024.stcm2 0x1fe5c 僕の両手はなにか大きくて柔らかい物をつかん
024.stcm2 0x1feb4 でいたのです……。
024.stcm2 0x20154 ドクロちゃん
024.stcm2 0x20190 「あ、あ、あ……いぃぃゃやあああああ！！」
024.stcm2 0x206cc 「だから！　これはドクロちゃんが暴れるから
024.stcm2 0x20724 ぐぁあああうッ！」
024.stcm2 0x209ec 背後だと思って油断していた僕のお腹に、エス
024.stcm2 0x20a44 カリボルグの先端がめり込んでいます。
024.stcm2 0x20cd4 ドクロちゃん
024.stcm2 0x20d10 「きゃあ！　ごめんなさい！　ボクったら、つ
024.stcm2 0x20d68 い反射的に……でも、いきなりなんだもん……
024.stcm2 0x20dc0 ボク、びっくりしちゃって……（ぽっ）」
024.stcm2 0x2123c 第５話　後半に参りましょう
024.stcm2 0x21350 今日の【帰りのＳ・Ｈ・Ｒ】が終わると、ドク
024.stcm2 0x213a8 ロちゃんの姿はもうどこにもありませんでした。
024.stcm2 0x21414 どうやら、どこかにカケラをさがしに行ってし
024.stcm2 0x2146c まったようです。
024.stcm2 0x215e0 僕と静希ちゃんは、カケラさがしを再開するた
024.stcm2 0x21638 めに校門まで来ました。
024.stcm2 0x21814 静希ちゃん
024.stcm2 0x2184c 「桜くん、どこからさがそっか？　学校以外っ
024.stcm2 0x218a4 てけっこう広くて大変そうだけど……」
024.stcm2 0x21964 静希ちゃんが思案顔でつぶやいていると、
024.stcm2 0x219b8 校門の向こうからサバトちゃん、ザクロちゃん、
024.stcm2 0x21a14 ベノムちゃんがかけよってきます。
024.stcm2 0x21ae8 「……みんな、どうしたの？」
024.stcm2 0x21cf4 サバトちゃん
024.stcm2 0x21d30 「桜くん、事情は聞いたですぅ。アバランチ公
024.stcm2 0x21d88 園はサバトがさがしたですが、見つからなかっ
024.stcm2 0x21de0 たですぅ」
024.stcm2 0x2200c ザクロちゃん
024.stcm2 0x22048 「桜さん、事情は聞いています。おうちの中は
024.stcm2 0x220a0 わたくしがもうさがしてみましたが……残念な
024.stcm2 0x220f8 がら……」
024.stcm2 0x22324 ベノムちゃん
024.stcm2 0x22360 「桜殿、事情は聞いたであります。自分はアル
024.stcm2 0x223b8 カディア商店街をさがしたでありますが……力
024.stcm2 0x22410 及ばず、残念であります」
024.stcm2 0x22504 僕は、ザクロちゃんが待っている家に向かうつ
024.stcm2 0x2255c もりで教室を出ようとしました。
024.stcm2 0x22740 静希ちゃん
024.stcm2 0x22778 「桜くん、あの……ちょっといいかな？」
024.stcm2 0x227dc 呼び止められて振り向くと、心配そうな顔をし
024.stcm2 0x22834 た静希ちゃんが立っています。
024.stcm2 0x228e8 「静希ちゃん？　どうしたの？」
024.stcm2 0x22a2c 静希ちゃん
024.stcm2 0x22a64 「あのね、今日の桜くん、様子が変だったから、
024.stcm2 0x22ac0 ちょっと気になって……私でよかったら話して
024.stcm2 0x22b18 くれる？」
024.stcm2 0x22bb8 「静希ちゃん……！」
024.stcm2 0x22c0c 僕は思わず目頭が熱くなってきました。静希ちゃ
024.stcm2 0x22c68 んがこんなにも僕のことを見ていてくれたなん
024.stcm2 0x22d04 この出来事は、僕と静希ちゃんの恋仲ステージ
024.stcm2 0x22d5c がクラスアップした証拠にちがいありません！
024.stcm2 0x22dc4 僕ははやる気持ちを抑えながら静希ちゃんに、
024.stcm2 0x22e1c 朝の出来事を話しました。
024.stcm2 0x22e74 すると、静希ちゃんは、今日の部活を休んでま
024.stcm2 0x22ecc でカケラさがしに付き合ってくれるというので
024.stcm2 0x23068 僕と静希ちゃんが家に向かおうとしていると、
024.stcm2 0x230c0 校門の向こうからザクロちゃん、サバトちゃん、
024.stcm2 0x2311c ベノムちゃんがかけよってきます。
024.stcm2 0x231f0 「……ザクロちゃん、今から帰ろうと思ってた
024.stcm2 0x23248 ところだったんだけど、みんなどうしたの？」
024.stcm2 0x23460 ザクロちゃん
024.stcm2 0x2349c 「桜さん、おうちの中はわたくしがさがしてみ
024.stcm2 0x234f4 ましたが……残念ながら見つかりませんでした。
024.stcm2 0x23550 そこで、みなさんのご協力をお願いしたのです」
024.stcm2 0x237a0 サバトちゃん
024.stcm2 0x237dc 「桜くん、事情は聞いたですぅ。アバランチ公
024.stcm2 0x23834 園はサバトがさがしたですが、見つからなかっ
024.stcm2 0x2388c たですぅ」
024.stcm2 0x23ab8 ベノムちゃん
024.stcm2 0x23af4 「桜殿、事情は聞いたであります。自分はアル
024.stcm2 0x23b4c カディア商店街をさがしたでありますが……力
024.stcm2 0x23ba4 及ばず、残念であります」
024.stcm2 0x23c98 僕は、サバトちゃんが待っているアバランチ公
024.stcm2 0x23cf0 園に向かうつもりで教室を出ようとしました。
024.stcm2 0x23ee0 静希ちゃん
024.stcm2 0x23f18 「桜くん、あの……ちょっといいかな？」
024.stcm2 0x23f7c 呼び止められて振り向くと、心配そうな顔をし
024.stcm2 0x23fd4 た静希ちゃんが立っています。
024.stcm2 0x24088 「静希ちゃん？　どうしたの？」
024.stcm2 0x241cc 静希ちゃん
024.stcm2 0x24204 「あのね、今日の桜くん、様子が変だったから、
024.stcm2 0x24260 ちょっと気になって……。私でよかったら話し
024.stcm2 0x242b8 てくれる？」
024.stcm2 0x2435c 「静希ちゃん……！」
024.stcm2 0x243b0 僕は思わず目頭が熱くなってきました。静希ちゃ
024.stcm2 0x2440c んがこんなにも僕のことを見ていてくれたなん
024.stcm2 0x244a8 この出来事は、僕と静希ちゃんの恋仲ステージ
024.stcm2 0x24500 がクラスアップした証拠にちがいありません！
024.stcm2 0x24568 僕ははやる気持ちを抑えながら静希ちゃんに、
024.stcm2 0x245c0 朝の出来事を話しました。
024.stcm2 0x24618 すると、静希ちゃんは、今日の部活を休んでま
024.stcm2 0x24670 でカケラさがしに付き合ってくれるというので
024.stcm2 0x2480c 僕と静希ちゃんがアバランチ公園に向かおうと
024.stcm2 0x24864 していると、
024.stcm2 0x248b0 校門の向こうからサバトちゃん、ザクロちゃん、
024.stcm2 0x2490c ベノムちゃんがかけよってきます。
024.stcm2 0x249e0 「……サバトちゃん、今から行こうと思ってた
024.stcm2 0x24a38 ところだったんだけど、みんなどうしたの？」
024.stcm2 0x24c50 サバトちゃん
024.stcm2 0x24c8c 「桜くん、アバランチ公園はサバトがさがした
024.stcm2 0x24ce4 ですが、見つからなかったですぅ」
024.stcm2 0x24f28 ザクロちゃん
024.stcm2 0x24f64 「桜さん、事情は聞いています。おうちの中は
024.stcm2 0x24fbc わたくしがもうさがしてみましたが……残念な
024.stcm2 0x25014 がら……」
024.stcm2 0x25240 ベノムちゃん
024.stcm2 0x2527c 「桜殿、事情は聞いたであります。自分はアル
024.stcm2 0x252d4 カディア商店街をさがしたでありますが……力
024.stcm2 0x2532c 及ばず、残念であります」
024.stcm2 0x254b0 僕は、ベノムちゃんが待っているアルカディア
024.stcm2 0x25508 商店街に向かうつもりで教室を出ようとしまし
024.stcm2 0x2572c 静希ちゃん
024.stcm2 0x25764 「桜くん、あの……ちょっといいかな？」
024.stcm2 0x257c8 呼び止められて振り向くと、心配そうな顔をし
024.stcm2 0x25820 た静希ちゃんが立っています。
024.stcm2 0x258d4 「静希ちゃん？　どうしたの？」
024.stcm2 0x25a18 静希ちゃん
024.stcm2 0x25a50 「あのね、今日の桜くん、様子が変だったから、
024.stcm2 0x25aac ちょっと気になって……。私でよかったら話し
024.stcm2 0x25b04 てくれる？」
024.stcm2 0x25ba8 「静希ちゃん……！」
024.stcm2 0x25bfc 僕は思わず目頭が熱くなってきました。静希ちゃ
024.stcm2 0x25c58 んがこんなにも僕のことを見ていてくれたなん
024.stcm2 0x25cf4 この出来事は、僕と静希ちゃんの恋仲ステージ
024.stcm2 0x25d4c がクラスアップした証拠にちがいありません！
024.stcm2 0x25db4 僕ははやる気持ちを抑えながら静希ちゃんに、
024.stcm2 0x25e0c 朝の出来事を話しました。
024.stcm2 0x25e64 すると、静希ちゃんは、今日の部活を休んでま
024.stcm2 0x25ebc でカケラさがしに付き合ってくれるというので
024.stcm2 0x26058 僕と静希ちゃんがアルカディア商店街に向かお
024.stcm2 0x260b0 うとしていると、
024.stcm2 0x26100 校門の向こうからベノムちゃん、サバトちゃん、
024.stcm2 0x2615c ザクロちゃんがかけよってきます。
024.stcm2 0x26230 「……ベノムちゃん、今から行こうと思ってた
024.stcm2 0x26288 ところだったんだけど、みんなどうしたの？」
024.stcm2 0x264a0 ベノムちゃん
024.stcm2 0x264dc 「桜殿、自分はアルカディア商店街をさがした
024.stcm2 0x26534 でありますが……力及ばず、残念であります」
024.stcm2 0x26780 サバトちゃん
024.stcm2 0x267bc 「桜くん、事情は聞いたですぅ。アバランチ公
024.stcm2 0x26814 園はサバトがさがしたですが、見つからなかっ
024.stcm2 0x2686c たですぅ」
024.stcm2 0x26a98 ザクロちゃん
024.stcm2 0x26ad4 「桜さん、事情は聞いています。おうちの中は
024.stcm2 0x26b2c わたくしがもうさがしてみましたが……残念な
024.stcm2 0x26b84 がら……」
024.stcm2 0x26c68 僕は、学校から家へ帰り道でエスカリボルグの
024.stcm2 0x26cc0 カケラをさがすべく教室を出ようとしました。
024.stcm2 0x26eb0 静希ちゃん
024.stcm2 0x26ee8 「桜くん、あの……ちょっといいかな？」
024.stcm2 0x26f4c 呼び止められて振り向くと、心配そうな顔をし
024.stcm2 0x26fa4 た静希ちゃんが立っています。
024.stcm2 0x27058 「静希ちゃん？　どうしたの？」
024.stcm2 0x2719c 静希ちゃん
024.stcm2 0x271d4 「あのね、今日の桜くん、様子が変だったから、
024.stcm2 0x27230 ちょっと気になって……。私でよかったら話し
024.stcm2 0x27288 てくれる？」
024.stcm2 0x2732c 「静希ちゃん……！」
024.stcm2 0x27380 僕は思わず目頭が熱くなってきました。静希ちゃ
024.stcm2 0x273dc んがこんなにも僕のことを見ていてくれたなん
024.stcm2 0x27478 この出来事は、僕と静希ちゃんの恋仲ステージ
024.stcm2 0x274d0 がクラスアップした証拠にちがいありません！
024.stcm2 0x27538 僕ははやる気持ちを抑えながら静希ちゃんに、
024.stcm2 0x27590 朝の出来事を話しました。
024.stcm2 0x275e8 すると、静希ちゃんは、今日の部活を休んでま
024.stcm2 0x27640 でカケラさがしに付き合ってくれるというので
024.stcm2 0x277dc 僕と静希ちゃんが校門から出ようとしていると、
024.stcm2 0x27838 向こうからベノムちゃん、サバトちゃん、ザク
024.stcm2 0x27890 ロちゃんがかけよってきます。
024.stcm2 0x27960 「……あれ、みんなそろってどうしたの？」
024.stcm2 0x27b78 ザクロちゃん
024.stcm2 0x27bb4 「桜さん、事情はおねえさまから聞いています。
024.stcm2 0x27c10 おうちの中はわたくしがもうさがしてみました
024.stcm2 0x27c68 が……残念ながら……」
024.stcm2 0x27ea0 サバトちゃん
024.stcm2 0x27edc 「桜くん、事情は聞いたですぅ。アバランチ公
024.stcm2 0x27f34 園はサバトがさがしたですが、見つからなかっ
024.stcm2 0x27f8c たですぅ」
024.stcm2 0x281b8 ベノムちゃん
024.stcm2 0x281f4 「桜殿、事情は聞いたであります。自分はアル
024.stcm2 0x2824c カディア商店街をさがしたでありますが……力
024.stcm2 0x282a4 及ばず、残念であります」
024.stcm2 0x2850c ……今、僕はとても感動しています。
024.stcm2 0x2855c エスカリボルグのカケラさがしを、みんなもし
024.stcm2 0x285b4 ていてくれたなんて！
024.stcm2 0x28608 それに、これだけ要所をさがしてもらえたんで
024.stcm2 0x28660 すから、残りの場所は限られてくるにちがいあ
024.stcm2 0x286b8 りません。
024.stcm2 0x28758 「みんな……ありがとう！　ありがとう！」
024.stcm2 0x28948 「そうザンスッ！　ミィも一生懸命さがしたザ
024.stcm2 0x289a0 ンスよ〜」
024.stcm2 0x289e8 みんなの後ろに隠れるようにしていたザンスさ
024.stcm2 0x28a40 んが、得意げにうなずきながら現れます。
024.stcm2 0x28afc 「もしかして、ザンスさんもさがしてくれてい
024.stcm2 0x28b54 たんですか？」
024.stcm2 0x28d80 「もちろんザンス！　桜くんのピンチをほっと
024.stcm2 0x28dd8 けないザンスー！」
024.stcm2 0x28e28 僕は、このピンク色のモヒカン生物を誤解して
024.stcm2 0x28e80 いたようです。やはり腐っても天使です。
024.stcm2 0x28ed4 やるときはやる人なのかもしれません。
024.stcm2 0x29114 「桜くん、安心ずるザンス。全てミィが調べて
024.stcm2 0x2916c きたザンス！」
024.stcm2 0x293b4 「桜くんの机の引き出しの奥からお布団の下、
024.stcm2 0x2940c 辞典ケースの内側まで……すべて洗いざらい、
024.stcm2 0x29464 さがしてきたザンス！」
024.stcm2 0x29538 「……まってください、ザンスさん。それはな
024.stcm2 0x29590 にをさがしていたんですか？」
024.stcm2 0x296dc 「もちろん、エスカリボルグの欠けたトゲに決
024.stcm2 0x29734 まっているザンス！」
024.stcm2 0x29808 「ウソでしょ！　なにか違うものをさがしてた
024.stcm2 0x29860 んでしょう！？　そんなところにあるはずがな
024.stcm2 0x298b8 いですから！」
024.stcm2 0x299f4 「ほ、本当ザンス！　さがしていたのはトゲだっ
024.stcm2 0x29a50 たザンスが、出てきたのは桜くんの」
024.stcm2 0x29d40 「ほうぅぁぁあちゃッ！！！！」
024.stcm2 0x2a220 「ぎゃぁあっ！！」
024.stcm2 0x2a270 僕は無意識のうちに、モヒカンの首めがけてフ
024.stcm2 0x2a2c8 ライングクロスチョップをかましていました。
024.stcm2 0x2a538 「ひ、ひどいザンス、桜くん！　ミィを殺す気
024.stcm2 0x2a590 ザンスか？　ミィは話せと言われたから話そう
024.stcm2 0x2a5e8 としただけザンスよ！」
024.stcm2 0x2a694 「少しはだまっていてください！　人前で言っ
024.stcm2 0x2a6ec ていいことと悪いことがあるでしょう！」
024.stcm2 0x2a930 「しかし、桜くん！　ミィはそこでなにを見た
024.stcm2 0x2a988 のか、発見者としてユゥたちにもお知らせする
024.stcm2 0x2a9e0 義務が」
024.stcm2 0x2af3c 「ほわぁぁぁちゃっ！！」
024.stcm2 0x2b418 「ぐぅひぶっ！！」
024.stcm2 0x2b468 僕は、再びザンスの首めがけてフライングクロ
024.stcm2 0x2b4c0 スチョップをかましました。
024.stcm2 0x2b598 「だまれ！　このピンクモヒカン！　僕の部屋
024.stcm2 0x2b5f0 でなにを見た？　なにをしたんだ！？」
024.stcm2 0x2b834 「しょ、証拠なら、ミィのキャメラに全て撮っ
024.stcm2 0x2b88c てきたザンス」
024.stcm2 0x2bac4 僕はザンスさんの首からぶら下がるカメラをひっ
024.stcm2 0x2bb20 たくると、背面を開けてフィルムを引き出しま
024.stcm2 0x2bbe4 そして、カメラを思いっきり遠くに投げます。
024.stcm2 0x2be2c 「ノォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ！！！！
024.stcm2 0x2be7c ミィのキャメラがっ！！」
024.stcm2 0x2bfb4 「はぁはぁはぁはぁ……ええと、どこまで話し
024.stcm2 0x2c00c たんでしたっけ？」
024.stcm2 0x2c084 ピンク色の物体が視界から消えて、ようやく話
024.stcm2 0x2c0dc が戻りました。
024.stcm2 0x2c2f0 ザクロちゃん
024.stcm2 0x2c32c 「ところで桜さん、おねえさまはどうされまし
024.stcm2 0x2c384 たか？」
024.stcm2 0x2c424 「ドクロちゃんなら、どこかにさがしに行って
024.stcm2 0x2c47c るはずだけど」
024.stcm2 0x2c5b0 ザクロちゃん
024.stcm2 0x2c5ec 「そうですか……。では、わたくしたちも手分
024.stcm2 0x2c644 けをしてもう一度さがしましょう！」
024.stcm2 0x2c6a4 僕たちはザクロちゃんの一言で、再び熱い結束
024.stcm2 0x2c6fc で結びつきました。
024.stcm2 0x2c7a8 そうです！　僕たちはエスカリボルグのカケラ
024.stcm2 0x2c800 を必ず見つけるんだ、という気持ちが高まりま
024.stcm2 0x2c89c そして、ドクロちゃんが立ち寄りそうなとこ
024.stcm2 0x2c8f4 ろとエスカリボルグを使いそうなところをも
024.stcm2 0x2c94c う一度さがすことにしました。
024.stcm2 0x2cbc8 僕は、学校からグロリアス川に向かう通学路を
024.stcm2 0x2cc20 中心にさがすことにしました。
024.stcm2 0x2cc7c 昨日の帰りにドクロちゃんが通ったであろう道
024.stcm2 0x2ccd4 を歩きながら、路上を中心にさがします。
024.stcm2 0x2cd38 ザクロちゃんは、アルカディア商店街をもう
024.stcm2 0x2cd90 一度さがしてくれることになりました。
024.stcm2 0x2cdf4 今回は商店街だけではなく、自宅とを結ぶ路上
024.stcm2 0x2ce4c が中心です。
024.stcm2 0x2ce98 サバトちゃんは、学校敷地内の外をさがしてく
024.stcm2 0x2cef0 れることになりました。
024.stcm2 0x2cf44 校舎内は僕が昼間の内にさがしていたからです。
024.stcm2 0x2cfb0 そして、静希ちゃんとベノムちゃんはグロリア
024.stcm2 0x2d008 ス川を中心にさがしてくれることになりました。
024.stcm2 0x2d074 本来ならば、もう帰らなくてはならないベノム
024.stcm2 0x2d0cc ちゃんも（僕のために）カケラさがしをしてく
024.stcm2 0x2d124 れています。
024.stcm2 0x2d170 できることなら、ベノムちゃんが帰る前に見つ
024.stcm2 0x2d1c8 けたいものですが、その時間は、もうほとんど
024.stcm2 0x2d220 残されていません。
024.stcm2 0x2d270 僕が時間を惜しむかのように、路上をさがして
024.stcm2 0x2d2c8 いると……。
024.stcm2 0x2d4bc 「よお桜！　なにやってるんだ？　ドクロちゃ
024.stcm2 0x2d514 ん係がこんなところに１人でいていいのかよ」
024.stcm2 0x2d5c0 【モンスターが道に立ちふさがりました】
024.stcm2 0x2d6a4 「宮本ぉぉっ！　時と場合と空気を読めよ！
024.stcm2 0x2d6fc これが探しものしてるように見えないのか？」
024.stcm2 0x2d878 「ふーーん、本当になにか探しものしてるんだ
024.stcm2 0x2d8d0 な。今日はさ、野球部が休みだったんで、ヒマ
024.stcm2 0x2d928 つぶしにちょっと手伝ってやるよ」
024.stcm2 0x2d988 部活休みのヒマつぶしとは……。今の僕の探し
024.stcm2 0x2d9e0 ものは、ヒマつぶしなどではなく、まさに僕の
024.stcm2 0x2da38 命がかかっている探しものなのです。
024.stcm2 0x2da98 宮本ときたら、その重要性をわかって――。
024.stcm2 0x2db1c ……そこで、ふと気がつきました。
024.stcm2 0x2dba4 平日の普通の部活時間で、野球部が休みなんて
024.stcm2 0x2dbfc よほどのことがないとあり得ないんです。
024.stcm2 0x2dc60 もしかしたら、宮本は僕のために……？
024.stcm2 0x2ddb0 「それで、俺はどこで何をさがせばいいんだ？」
024.stcm2 0x2de74 「う、うん。それじゃあ、この交差点から向こ
024.stcm2 0x2decc う側を頼む。さがすのは……ドクロちゃんのエ
024.stcm2 0x2df24 スカリボルグのトゲだ」
024.stcm2 0x2df78 宮本が、小さく、だけど力強くうなずきます。
024.stcm2 0x2e038 「頼んだ！　合流場所はグロリアス川で！」
024.stcm2 0x2e188 「おう、まかしとけ！」
024.stcm2 0x2e25c そう言うと宮本は手をヒラヒラと振りながら、
024.stcm2 0x2e2b4 交差点の角を曲がって行きました。
024.stcm2 0x2e36c 「……宮本」
024.stcm2 0x2e3b8 僕は立ち去る友人の背中を見送りながら、なに
024.stcm2 0x2e410 か心の中に熱いものがこみあがりそうでした。
024.stcm2 0x2e4f8 「よーし、僕もがんばるぞぉ！」
024.stcm2 0x2e554 そして、再びカケラさがしをしようとしたとき
024.stcm2 0x2e5ac でした。
024.stcm2 0x2e628 「……桜くん、なにかさがしてるの？」
024.stcm2 0x2e974 声の方向を振り向くと、そこには南さんと田辺
024.stcm2 0x2e9cc さんがいます。
024.stcm2 0x2ea70 「な、なんで南さんと田辺さんの２人が、ここ
024.stcm2 0x2ebfc 「ちょっと、部活の買い物」
024.stcm2 0x2ecac 「そうなんだ、実は……」
024.stcm2 0x2edc0 田辺さん
024.stcm2 0x2edf8 「１２歳用の何か？」
024.stcm2 0x2eea4 「ちがうよ！　どうして僕がこんな路上で１２
024.stcm2 0x2eefc 歳用の何かをさがさなくちゃならないわけ！？」
024.stcm2 0x2f058 「じゃあ、何をさがしてるの？」
024.stcm2 0x2f10c 「ええと、実は、このくらいのとがった鉄のカ
024.stcm2 0x2f164 ケラをさがしてるんだ」
024.stcm2 0x2f1b8 僕が指で大体の大きさを示すと、田辺さんがむ
024.stcm2 0x2f210 ずかしそうな顔でジッと見つめます。
024.stcm2 0x2f32c 田辺さん
024.stcm2 0x2f364 「……それ、１２歳の子にどう使うわけ？」
024.stcm2 0x2f424 「だから、ちがうって言ってるのに！」
024.stcm2 0x2f488 そんな……ちょっとまってください。
024.stcm2 0x2f4d8 僕だってクラスメイトです。
024.stcm2 0x2f530 クラスメイトにこんな仕打ちはないんじゃない
024.stcm2 0x2f588 でしょうか。
024.stcm2 0x2f6c4 「わかった、協力する」
024.stcm2 0x2f7d0 田辺さん
024.stcm2 0x2f808 「しょうがないよねー。１２歳用品じゃないん
024.stcm2 0x2f860 だったら、手伝おっか」
024.stcm2 0x2f928 「だから、さっきから言ってるように、そんな
024.stcm2 0x2f980 んじゃないって……えっ？」
024.stcm2 0x2faf0 「……だから手伝う。どこをさがせばいいの？」
024.stcm2 0x2fbb4 「じゃ、じゃあ、そっちの道からぐるっとグロ
024.stcm2 0x2fc0c リアス川に向かって……」
024.stcm2 0x2fd20 田辺さん
024.stcm2 0x2fd58 「ふーん、わかった。じゃあ、あとでね！」
024.stcm2 0x2fe98 そう言うと、南さんと田辺さんは、スタスタと
024.stcm2 0x2fef0 僕の教えた道に向かって歩いていきます。
024.stcm2 0x2ff54 今、気が付いたら、２人とも買い物袋なんて持っ
024.stcm2 0x2ffb0 ていません。
024.stcm2 0x2fffc もしかして、南さんと田辺さん、僕の手伝いに
024.stcm2 0x30098 僕は、キツネにつままれたような気持ちになり
024.stcm2 0x300f0 ながら、カケラさがしを再開したのです――。
024.stcm2 0x30458 結局、僕はエスカリボルグのカケラを見つける
024.stcm2 0x304b0 ことができないまま、グロリアス川に到着して
024.stcm2 0x30508 しまいました。
024.stcm2 0x30554 グロリアス川の土手を越えると、もうみんなが
024.stcm2 0x305ac 先に到着しています。
024.stcm2 0x30788 ザクロちゃん
024.stcm2 0x307c4 「桜さん、見つかりましたか？」
024.stcm2 0x30878 「ううん、僕の方は見つからなかったけど、み
024.stcm2 0x308d0 んなの方は？」
024.stcm2 0x30b0c 静希ちゃん
024.stcm2 0x30b44 「あのね、私たちの方も見つからなかったの」
024.stcm2 0x30c94 ザクロちゃん
024.stcm2 0x30cd0 「桜さんのおうち、アバランチ公園、アルカディ
024.stcm2 0x30d2c ア商店街、学校……おねえさまが日常に行きそ
024.stcm2 0x30d84 うなところはすべてさがしましたが……」
024.stcm2 0x30ed0 静希ちゃん
024.stcm2 0x30f08 「やっぱり、小さい鉄のカケラでしょ？　もし
024.stcm2 0x30f60 かしたら、落ちてるんじゃなくてゴミと間違わ
024.stcm2 0x30fb8 れちゃったのかも……」
024.stcm2 0x3100c 僕が近付くと、ザクロちゃんと静希ちゃんが、
024.stcm2 0x31064 ちょっと落胆しているように答えます。
024.stcm2 0x310c8 それに静希ちゃんの言う可能性もあります。
024.stcm2 0x31130 もしかしたら、路上の見える部分ではなく、な
024.stcm2 0x31188 にかの隙間や陰に落ちてしまっている可能性も
024.stcm2 0x311e0 あるのです。
024.stcm2 0x312ac 「……ところで、ドクロちゃんは一緒じゃない
024.stcm2 0x314f4 ザクロちゃん
024.stcm2 0x31530 「はい、おねえさまもまだどこかをさがし中な
024.stcm2 0x31588 のか、姿が見えません」
024.stcm2 0x315dc ドクロちゃんを１人きりにするのは、かなり危
024.stcm2 0x31634 険……、いえ、本当に危険です。
024.stcm2 0x31690 ですが、ただの鋼鉄バットとなったエスカリボ
024.stcm2 0x316e8 ルグをそこら中で使われるのは、もっと危険な
024.stcm2 0x31740 のです。
024.stcm2 0x31788 特に、僕が。
024.stcm2 0x319b8 ベノムちゃん
024.stcm2 0x319f4 「心配であるなら、一度、桜殿のご自宅に戻っ
024.stcm2 0x31a4c てみてはいかがでしょうか？」
024.stcm2 0x31c98 サバトちゃん
024.stcm2 0x31cd4 「そうですぅ、もしかしたら、身近なところを
024.stcm2 0x31d2c 見落としているのかもしれないかもですよぉ」
024.stcm2 0x31d94 みんなの意見ももっともなような気がします。
024.stcm2 0x31dec 家に戻ろうかと、みんなに言おうとしたときで
024.stcm2 0x31f5c 河原の草むらの中に見え隠れする、ピンクのモ
024.stcm2 0x31fb4 ヒカン。
024.stcm2 0x31ffc よく目を凝らしてみると、林の中にはいつくば
024.stcm2 0x32054 るザンスの姿がありました。
024.stcm2 0x32228 みんながあきらめかけているときに、まだあき
024.stcm2 0x32280 らめていないとばかりに、黙々と林の中をほふ
024.stcm2 0x322d8 く前進で進んでいきます。
024.stcm2 0x32388 「ザンスさん、僕はあなたを疑っていました……
024.stcm2 0x323e4 見た目通りのひどい人だとばかり。でも、ちがっ
024.stcm2 0x32440 たんですね」
024.stcm2 0x32694 「しぃーーーーーっ！　桜くん！　声が大きい
024.stcm2 0x326ec ザンス！　それから、頭を低くするザンス！」
024.stcm2 0x327ac 「す、すいません！」
024.stcm2 0x329e0 「こっちザンス。もうすぐ見つかるはずザン
024.stcm2 0x32a7c ザンスが僕に手招きするように、ほふく前進の
024.stcm2 0x32ad4 まま先に進みます。
024.stcm2 0x32b7c 思わず僕も、ほふく前進のままザンスの後をつ
024.stcm2 0x32bd4 いていきます。
024.stcm2 0x32c78 「ザンスさん！　本当ですか！？　やっぱり、
024.stcm2 0x32cd0 どんなダメな人にもなにかの役に立つコトはあ
024.stcm2 0x32d28 るんですね！」
024.stcm2 0x32efc 「ひどいことをさらりと言うザンスね……そん
024.stcm2 0x32f54 なことを言っていると、教えないザンスよ？」
024.stcm2 0x33014 「いいからはやく教えてください！」
024.stcm2 0x330b4 僕は横でゆれているピンク色のモヒカンをぐいっ
024.stcm2 0x33110 と掴んで引っ張ります。
024.stcm2 0x33344 「い、いたいザンス！　桜くん！　暴力は反対
024.stcm2 0x3339c ザンス！　ほ、ほら、ここザンスよ」
024.stcm2 0x33454 ザンスの指さす方向に目を向けました。
024.stcm2 0x336e4 かしゃーっ！　かしゃーーっ！
024.stcm2 0x33740 隣からは、首からさげた大型一眼レフカメラを
024.stcm2 0x33798 幼稚園児に向けて、シャッターを切る音が響き
024.stcm2 0x339e0 「……ちょっと、ザンスさん？」
024.stcm2 0x33c1c 「桜くん、しぃーーーっ！！　ミィたちの存在
024.stcm2 0x33c74 が知られたら、彼女たちはあの天使のような微
024.stcm2 0x33ccc 笑みをかくしてしまうザンス！」
024.stcm2 0x33da8 「なに言ってるんだ、アンタはッ！　天使のよ
024.stcm2 0x33e00 うなって、仮にもアンタ天使だろうがッ！！
024.stcm2 0x33e58 いい大人がなにをやってるんだ！！」
024.stcm2 0x34098 「さ、桜くん！　幼いものを愛で、守るのは、
024.stcm2 0x340f0 大人の特権ザンス！」
024.stcm2 0x3419c 「くそぅ！　こう言えばああ言う！　なんてき
024.stcm2 0x341f4 たない大人なんだッ！　そういうモヒカンは僕
024.stcm2 0x34328 僕がザンスからカメラを取り上げ、遠くに投げ
024.stcm2 0x34380 ようとした瞬間でした。
024.stcm2 0x3469c 「桜くん！　それは、ミィの！！！！」
024.stcm2 0x34984 もつれるように転がった僕とザンスがなにかに
024.stcm2 0x349dc ぶつかった瞬間でした。
024.stcm2 0x34b5c ドスンッ！
024.stcm2 0x34e34 カシャーカシャーッ
024.stcm2 0x34e84 そして、僕は、ぶつかった衝撃で、両手に構え
024.stcm2 0x34edc ていたカメラのシャッターを押していました。
024.stcm2 0x34f44 ファインダーの中に見えるのは……、見覚えの
024.stcm2 0x34f9c あるシマシマ模様……です！！！！
024.stcm2 0x350e4 ――ゾクッ
024.stcm2 0x3512c その瞬間、背筋が凍るような重圧が襲いました。
024.stcm2 0x35188 身動きもできず、一瞬にして体中から汗がふき
024.stcm2 0x351e0 でます。
024.stcm2 0x35228 これは、まさか……！？
024.stcm2 0x3527c 隣のザンスを盗み見ると、僕と同じように大汗
024.stcm2 0x352d4 をかきながら金縛りにあっています。
024.stcm2 0x35334 そして、僕が予測できるなかで、最も恐れてい
024.stcm2 0x3538c る声が上から響きました。
024.stcm2 0x354b4 ドクロちゃん
024.stcm2 0x354f0 「……さ・く・ら・ク・ン？　ボクが……ボク
024.stcm2 0x35548 が、こんなに必死にさがしているのにぃ！」
024.stcm2 0x35828 ブゥオオン！！
024.stcm2 0x35874 僕のほほのそばを、エスカリボルグがうなりを
024.stcm2 0x358cc 立てて振り下ろされます！
024.stcm2 0x35a84 振り向いた先にいるのはエスカリボルグ……、
024.stcm2 0x35adc もとい鋼鉄バットを構えるドクロちゃん。
024.stcm2 0x35bc0 「ちょ、ちょっとまって！　ドクロちゃん！
024.stcm2 0x35c18 これは、コレはちがうんだッ！」
024.stcm2 0x35d5c ドクロちゃん
024.stcm2 0x35d98 「なにがちがうって言うの！？　ボクが一生懸
024.stcm2 0x35df0 命さがしている間、なにしてたって言うの？」
024.stcm2 0x35eb0 「ぼ、僕は、ザンスさんの小さい女の子の撮影
024.stcm2 0x35f08 を止めようとしてぇぇ！！」
024.stcm2 0x35f94 「そうだったザンスか……桜くんも、一緒に撮
024.stcm2 0x35fec りたかったザンスね？」
024.stcm2 0x360d8 「ちょっとアンタ！　なにを冷静にぃぃ！！」
024.stcm2 0x36228 ドクロちゃん
024.stcm2 0x36264 「いぃぃぃやぁぁぁあああああああ！！！！」
024.stcm2 0x366b0 ただの鋼鉄バットと化したエスカリボルグを振
024.stcm2 0x36708 り回すドクロちゃん。
024.stcm2 0x367b8 騒ぎを聞きつけたのか、ザクロちゃんたちが駆
024.stcm2 0x36810 けつけます。
024.stcm2 0x369e4 ザクロちゃん
024.stcm2 0x36a20 「桜さん、どうなさっ――おねえさまっ！」
024.stcm2 0x36c78 静希ちゃん
024.stcm2 0x36cb0 「きゃっ！　桜くんっ！」
024.stcm2 0x371a4 怒りで我を忘れたドクロちゃんが振り回す鋼鉄
024.stcm2 0x371fc バット。こんなもので撲殺されたら、僕はもう
024.stcm2 0x37254 生き返ることができません！
024.stcm2 0x372ac な、なにか……なにかないのかッ！？
024.stcm2 0x37494 ベノムちゃん
024.stcm2 0x374d0 「桜殿！　アレです！　アレでドクロ殿の気を
024.stcm2 0x37528 静めるでありますっ！」
024.stcm2 0x375d4 「アレって！？」
024.stcm2 0x37838 ベノムちゃんが指さす向こうは、グロリアス川
024.stcm2 0x37890 河川敷野球場。
024.stcm2 0x378dc ひらめきました！　これなら、行けます！
024.stcm2 0x37a3c 「よし！　ドクロちゃん、こっちだっ！」
024.stcm2 0x38408 ドクロちゃん
024.stcm2 0x38444 「きゃははっ、楽しかったね、桜くん！」
024.stcm2 0x384a8 なんとか我を取り戻したドクロちゃんを連れて、
024.stcm2 0x38504 僕たちは家に戻ることにしました。
024.stcm2 0x38564 ベノムちゃんが近くにいますが、さっきのバッ
024.stcm2 0x385bc ティングが楽しかったせいか、全く気にならな
024.stcm2 0x38614 い様子。
024.stcm2 0x386b4 「ふぅ」
024.stcm2 0x386fc 思わずため息が漏れてしまいます。
024.stcm2 0x38844 ドクロちゃん
024.stcm2 0x38880 「ねえねえ、桜くんは楽しくなかったの？」
024.stcm2 0x38940 「楽しいわけないでしょ！　僕そっくりの人形
024.stcm2 0x38998 を鋼鉄バットであんな遠くまで打ち飛ばしもごぉ
024.stcm2 0x389f4 んーん！！」
024.stcm2 0x38d5c 背後からサバトちゃんと静希ちゃんが、僕の口
024.stcm2 0x38db4 を押さえます。
024.stcm2 0x38e00 ２人の目線が、【逆らっちゃダメ！】と言って
024.stcm2 0x38e58 います。
024.stcm2 0x39110 「……う、うん、楽しかったね！　またやりに
024.stcm2 0x39168 来ようね」
024.stcm2 0x3920c なにかの拍子で鋼鉄バット……もとい、殺人バッ
024.stcm2 0x39268 トを振り回すドクロちゃんの扱いは、今や僕た
024.stcm2 0x392c0 ちの最重要課題となっていました……。
024.stcm2 0x39510 アルカディア商店街は、いつものようなにぎわ
024.stcm2 0x39568 いです。
024.stcm2 0x395b0 そんな中を、僕たちはドクロちゃんを先頭に練
024.stcm2 0x39608 り歩いていきます。
024.stcm2 0x397e0 ドクロちゃん
024.stcm2 0x3981c 「はぁ、運動したらボクお腹減っちゃった。
024.stcm2 0x39874 ねえ、桜くん、今日の夕ご飯はなぁに？」
024.stcm2 0x39930 「な、なんだろうね。きっと、ドクロちゃんの
024.stcm2 0x39988 大好きなおかずじゃないかな？」
024.stcm2 0x39ac8 ドクロちゃん
024.stcm2 0x39b04 「そっかぁ……（くんくん）あ、【初恋】のコ
024.stcm2 0x39b5c ロッケの匂いだよ！　コロッケおいしそう……」
024.stcm2 0x39c48 ドクロちゃんが言い当てた初恋のコロッケ。
024.stcm2 0x39cb0 それは、アルカディア商店街のお肉屋さん【初
024.stcm2 0x39d08 恋】で売っている、
024.stcm2 0x39d58 １日１０個限定の『これ、はじめてつくったん
024.stcm2 0x39db0 だけど……コロッケ』のことです。
024.stcm2 0x39e10 目を閉じて、小さなかわいらしい鼻をクンクン
024.stcm2 0x39e68 とさせているドクロちゃん。
024.stcm2 0x3a088 そのドクロちゃんをはさんで、僕とザクロちゃ
024.stcm2 0x3a0e0 んの目が合い、互いに小さくうなずき合いまし
024.stcm2 0x3a23c まさにそれはアイコンタクト。
024.stcm2 0x3a288 言葉を交わさずとも、互いの意思を通じ合わせ
024.stcm2 0x3a2e0 ることができる高等テクニック。
024.stcm2 0x3a33c ……今日の夕ご飯のおかずはコロッケに間違い
024.stcm2 0x3a394 ありません。
024.stcm2 0x3a4a4 そして、和菓子のアビラウンケンの前で立ち止
024.stcm2 0x3a4fc まったドクロちゃんは、目を輝かせて店内を見
024.stcm2 0x3a554 つめています。
024.stcm2 0x3a688 ドクロちゃん
024.stcm2 0x3a6c4 「ほらほら、桜くん！　もうすぐあたらしいど
024.stcm2 0x3a71c らやきが発売されるみたい！　こしあんとマヨ
024.stcm2 0x3a774 ネーズが奏でるハーモニーだって！」
024.stcm2 0x3a854 どこかで聞いたことがあるような商品ですが…
024.stcm2 0x3a8ac …いったい、どこだったでしょうか。
024.stcm2 0x3a90c それより、あんことマヨネーズなんて、考えた
024.stcm2 0x3a964 だけで恐ろしい組み合わせです。
024.stcm2 0x3a9dc あんことマヨネーズなんて、考えただけで恐ろ
024.stcm2 0x3aa34 しい組み合わせです。
024.stcm2 0x3aa88 でも、商品になるところをみると、本当は美味
024.stcm2 0x3aae0 しいのかもしれません。
024.stcm2 0x3ab34 いいえ、もしかしたら、一部のマヨネーズファ
024.stcm2 0x3ab8c ンのためのコレクターズアイテムではないでしょ
024.stcm2 0x3ae1c ベノムちゃん
024.stcm2 0x3ae58 「桜殿、本当にあんことマヨネーズの組み合わ
024.stcm2 0x3aeb0 せは美味しいのでありますか？」
024.stcm2 0x3af8c 「すごく難しい質問だよね……一部のコアなマ
024.stcm2 0x3afe4 ヨネーズファンのために商品になったって感じ
024.stcm2 0x3b03c で、味までは……」
024.stcm2 0x3b22c しっかりと断言できない僕を、ドクロちゃんが
024.stcm2 0x3b284 不審な目でジッと見つめています。
024.stcm2 0x3b364 「お、美味しいに決まってるよ！　すごく美味
024.stcm2 0x3b3bc しそうだね！　今度、お母さんに買ってきても
024.stcm2 0x3b414 らおうね」
024.stcm2 0x3b540 ドクロちゃん
024.stcm2 0x3b57c 「うんっ！　楽しみだね〜〜」
024.stcm2 0x3b634 僕の言葉に満足したのか、ドクロちゃんはニッ
024.stcm2 0x3b68c コニコ顔で店先から離れると、また歩き出しま
024.stcm2 0x3b780 「……ふぅ」
024.stcm2 0x3b7cc 先を歩くドクロちゃんの背中を見つめながら、
024.stcm2 0x3b824 どこからともなく、ため息がもれ出ます。
024.stcm2 0x3ba74 僕たちは、夕方に向けて人が増えはじめたアル
024.stcm2 0x3bacc カディア商店街を抜け、僕の家に向かって移動
024.stcm2 0x3bb24 しはじめました。
024.stcm2 0x3bbb4 空を仰ぐと、日も傾き、茜色が空を包み込んで
024.stcm2 0x3bc0c います。
024.stcm2 0x3bc94 どうやら、ドクロちゃんの機嫌もすっかり直っ
024.stcm2 0x3bcec てきたようです。
024.stcm2 0x3bd3c そろそろ、エスカリボルグのカケラさがしを再
024.stcm2 0x3bd94 開した方がいいのかもしれません。
024.stcm2 0x3bdf4 どうやって切り出そうかと思っているときでし
024.stcm2 0x3c088 ブーンブーンブーンブーン！
024.stcm2 0x3c268 ベノムちゃん
024.stcm2 0x3c2a4 「は、はい、ベノムであります！」
024.stcm2 0x3c304 なにかがうなる音と同時に、ベノムちゃんの声
024.stcm2 0x3c35c が上がりました。
024.stcm2 0x3c494 ベノムちゃん
024.stcm2 0x3c4d0 「それでは……あ、はい！　了解であります」
024.stcm2 0x3c590 「どうかしたの？」
024.stcm2 0x3c6f0 ベノムちゃん
024.stcm2 0x3c72c 「桜殿、お別れのときが来たようであります……
024.stcm2 0x3c788 スーヴェリージュから最後の帰還命令が届きま
024.stcm2 0x3c824 あ……、そうでした。エスカリボルグのカケラ
024.stcm2 0x3c87c さがしと、ドクロちゃんの暴走ですっかり忘れ
024.stcm2 0x3c8d4 ていました。
024.stcm2 0x3c920 ベノムちゃんは、今日、未来の国へ帰らなけれ
024.stcm2 0x3c978 ばならなかったのです。
024.stcm2 0x3ca24 「本当に帰らなくちゃならないの？」
024.stcm2 0x3cb68 ベノムちゃん
024.stcm2 0x3cba4 「はい、それが決まりでありますから」
024.stcm2 0x3cc08 ベノムちゃんが、無理につくったとわかる笑顔
024.stcm2 0x3cc60 で答えます。
024.stcm2 0x3ccac ですが、その笑顔も、一瞬の後に悲しそうな顔
024.stcm2 0x3cd04 に変わってしまいました。
024.stcm2 0x3ce44 ベノムちゃん
024.stcm2 0x3ce80 「自分は……、自分は、スーヴェリージュ失格
024.stcm2 0x3ced8 であります……」
024.stcm2 0x3cf28 任務を遂行できないまま、夕日に向かってうな
024.stcm2 0x3cf80 だれるベノムちゃん。
024.stcm2 0x3cfd4 きっと、いろんな思いが胸の中を駆けめぐって
024.stcm2 0x3d02c いるに違いありません。
024.stcm2 0x3d080 残された時間は、もう本当にありません。
024.stcm2 0x3d140 僕は、ようやく機嫌が直ったドクロちゃんに再
024.stcm2 0x3d198 び説得を試みようと考えました。
024.stcm2 0x3d1f4 もう、コレが最後のチャンスなのです。
024.stcm2 0x3d248 どうやって切り出したらよいものか……。
024.stcm2 0x3d428 誰に相談しますか？
024.stcm2 0x3d474 １．静希ちゃんに相談する
024.stcm2 0x3d4c8 ２．ザクロちゃんに相談する
024.stcm2 0x3d51c ３．サバトちゃんに相談する
024.stcm2 0x3d570 ４．ベノムちゃんに相談する
024.stcm2 0x3d5c4 ５．名探偵おうムルに相談する
025.stcm2 0x1c0 第５話　終幕であります！
025.stcm2 0x390 僕は静希ちゃんに相談することにしました。
025.stcm2 0x3f8 やはり、ここぞと言うときに心の頼りにするの
025.stcm2 0x450 は静希ちゃんしかいません。
025.stcm2 0x500 「静希ちゃん、ドクロちゃんに健康診断を受け
025.stcm2 0x558 てもらいたいんだけど、どうしたらいいかな？」
025.stcm2 0x6ac 静希ちゃん
025.stcm2 0x6e4 「ベノムちゃんの健康診断が怖いものじゃないっ
025.stcm2 0x740 てことを、知ってもらわないとだめだよね」
025.stcm2 0x890 静希ちゃん
025.stcm2 0x8c8 「触ったところを洗い流せば大丈夫ってコトを
025.stcm2 0x920 ちゃんと説明するとか、それから……誰かが、
025.stcm2 0x978 手本を見せてあげるのはどうかな？」
025.stcm2 0x9d8 なるほど、さすが静希ちゃんです！
025.stcm2 0xa94 どうしますか？
025.stcm2 0xadc １．洗い流すことを説明する
025.stcm2 0xb30 ２．自分が手本となる
025.stcm2 0x107c 「ねえ、ドクロちゃん。健康診断なんだけど……
025.stcm2 0x10d8 最後の最後になっちゃったけど受けてみない？」
025.stcm2 0x1248 ドクロちゃん
025.stcm2 0x1284 「……桜くん、こんな人前で……そんなにボク
025.stcm2 0x12dc のカラダを見たいの……？（ポッ）」
025.stcm2 0x13bc 「ちがうでしょ！　僕が診察するんじゃなくて、
025.stcm2 0x1418 ベノムちゃんに決まってるでしょ！」
025.stcm2 0x1478 ドクロちゃんがさっと後ずさって身構えます。
025.stcm2 0x15c8 ドクロちゃん
025.stcm2 0x1604 「それはイヤだって言ってるでしょ！」
025.stcm2 0x16e8 「ううん、ドクロちゃんがイヤなのは健康診断
025.stcm2 0x1740 じゃなくて、ベノムちゃんのミーミングなんだ
025.stcm2 0x1798 よね？」
025.stcm2 0x1838 「そんなの、後でちゃんと水で洗い流せば大丈
025.stcm2 0x1890 夫なんだから」
025.stcm2 0x19c4 ドクロちゃん
025.stcm2 0x1a00 「そんなの、やってみたことないから、わかん
025.stcm2 0x1a58 ないもん！」
025.stcm2 0x1aa4 そういってドクロちゃんが逃げ出そうとします。
025.stcm2 0x1b68 「ドクロちゃん、まって、まってよ！」
025.stcm2 0x1c7c 逃げ出そうとするドクロちゃんを捕まえようと
025.stcm2 0x1cd4 思わず手を伸ばしました。
025.stcm2 0x1de4 ズルンッ！
025.stcm2 0x1e2c 僕の手は、ドクロちゃんのスカートの布地を
025.stcm2 0x1e84 しっかりと握りしめて、引き下ろしていたの
025.stcm2 0x1edc です……。
025.stcm2 0x1f74 ドクロちゃん
025.stcm2 0x1fb0 「……んくっ！　さ、さ、桜くぅぅん！！
025.stcm2 0x2004 いぃぃやあああああああ！！！！！」
025.stcm2 0x2064 その瞬間、ドクロちゃんの手に現れたエスカリ
025.stcm2 0x20bc ボルグ……もとい、殺人バットが僕に向かって
025.stcm2 0x2114 放たれたのです。
025.stcm2 0x2638 「ま、まって、ドクロちゃん！　これには、そ
025.stcm2 0x2690 の……深くて大きなワケがぁぁぁぶぉッ！」
025.stcm2 0x2cb8 ドクロちゃん
025.stcm2 0x2cf4 「きゃあ！　ごめんなさい！　ボクったら、
025.stcm2 0x2d4c つい反射的に……でも、桜くんが悪いんだから
025.stcm2 0x2da4 ね！！（ぽっ）」
025.stcm2 0x2edc ドクロちゃん
025.stcm2 0x2f18 「……って、あああっ！　桜くん！　桜くん！
025.stcm2 0x2f70 桜くぅぅん！！」
025.stcm2 0x33d8 第５話　終幕であります！
025.stcm2 0x35a8 僕はザクロちゃんに相談することにしました。
025.stcm2 0x3610 やはり、もっともドクロちゃんの気持ちを理解
025.stcm2 0x3668 しているのは、妹であるザクロちゃんしかいま
025.stcm2 0x375c 「ザクロちゃん、ドクロちゃんに健康診断を受
025.stcm2 0x37b4 けてもらいたいんだけど、どうしたらいいか
025.stcm2 0x3938 ザクロちゃん
025.stcm2 0x3974 「おねえさまには、健康診断が怖いものではな
025.stcm2 0x39cc いということを、知っていただかないといけま
025.stcm2 0x3b50 ザクロちゃん
025.stcm2 0x3b8c 「確かに、ポイズン蠱毒壺ミーミングの力はす
025.stcm2 0x3be4 ごいのですが、ベノムさんが触ったところを洗
025.stcm2 0x3c3c い流せば大丈夫なのです」
025.stcm2 0x3d7c ザクロちゃん
025.stcm2 0x3db8 「そのことをきちんと説明するか、それから……
025.stcm2 0x3e14 触診が怖くないと言うことを、誰かが示す必要
025.stcm2 0x3e6c があるのでは……」
025.stcm2 0x3ebc なるほど、さすがザクロちゃんです！
025.stcm2 0x3f78 どうしますか？
025.stcm2 0x3fc0 １．洗い流すことを説明する
025.stcm2 0x4014 ２．自分が手本となる
025.stcm2 0x43dc 第５話　終幕であります！
025.stcm2 0x45ac 僕はサバトちゃんに相談することにしました。
025.stcm2 0x4604 やはり、ここは経験者の言葉が必要でしょう。
025.stcm2 0x46c4 「サバトちゃん、ドクロちゃんに健康診断を
025.stcm2 0x471c 受けてもらいたいんだけど、どうしたらいいか
025.stcm2 0x48a0 サバトちゃん
025.stcm2 0x48dc 「そんな恐ろしいことは無理に決まっているで
025.stcm2 0x4934 すぅ！　桜くんだって知っているはずですよぉ」
025.stcm2 0x49f8 「でも、サバトちゃんだって、ちゃんと健康診
025.stcm2 0x4a50 断をうけたでしょ？　ここは経験者からアドバ
025.stcm2 0x4aa8 イスを」
025.stcm2 0x4bd4 サバトちゃん
025.stcm2 0x4c10 「あれは……あれは、事故だったんですぅ！」
025.stcm2 0x4c78 なにかつらいことでも思い出すかのように、サ
025.stcm2 0x4cd0 バトちゃんの肩がヒクヒクとケイレンします。
025.stcm2 0x4e20 サバトちゃん
025.stcm2 0x4e5c 「……健康診断そのものが怖いものじゃないっ
025.stcm2 0x4eb4 てことを知ってもらうのが１番ですぅ」
025.stcm2 0x5000 サバトちゃん
025.stcm2 0x503c 「確かに、ポイズン蠱毒壺ミーミングで触られ
025.stcm2 0x5094 たところは、水で洗い流せば大丈夫ですけど
025.stcm2 0x521c サバトちゃん
025.stcm2 0x5258 「それをちゃんと説明するか……誰かが見本を
025.stcm2 0x52b0 見せるのが１番いいと思うですぅ……」
025.stcm2 0x5314 なるほど、さすが経験者サバトちゃんです！
025.stcm2 0x536c 言葉に重みがあります！
025.stcm2 0x541c どうしますか？
025.stcm2 0x5464 １．洗い流すことを説明する
025.stcm2 0x54b8 ２．自分が手本となる
025.stcm2 0x5880 第５話　終幕であります！
025.stcm2 0x58f0 僕はベノムちゃんに相談することにしました。
025.stcm2 0x5b10 「ベノムちゃん、嫌がる子に健康診断を受けて
025.stcm2 0x5b68 もらうときはどうするの？」
025.stcm2 0x5ca8 ベノムちゃん
025.stcm2 0x5ce4 「そうですな……押さえつけて抵抗できなくなっ
025.stcm2 0x5d40 たスキに無理やり診断するときもあれば……」
025.stcm2 0x5e00 「……もっと平和的な方法はないんですか？」
025.stcm2 0x5f50 ベノムちゃん
025.stcm2 0x5f8c 「ん……、ドクロ殿の場合、自分のことだけで
025.stcm2 0x5fe4 はなく、病院やお医者様も嫌っているのでしょ
025.stcm2 0x603c うか？」
025.stcm2 0x60dc 「たぶん、そうだと思うけど」
025.stcm2 0x6220 ベノムちゃん
025.stcm2 0x625c 「であるならば……ドクロ殿はなんらかの誤解
025.stcm2 0x62b4 を持っていると考えられるであります」
025.stcm2 0x6400 ベノムちゃん
025.stcm2 0x643c 「健康診断が怖いものではないということを、
025.stcm2 0x6494 誰かが見せてあげればあるいは……」
025.stcm2 0x64f4 なるほど……。たしかに、ベノムちゃんの言う
025.stcm2 0x654c ことにも一理あります。
025.stcm2 0x65a0 健康診断の例としては、サバトちゃんが見本と
025.stcm2 0x65f8 なってくれましたが（第１話参照）……、
025.stcm2 0x664c やはり、あれが問題でもあるようです。
025.stcm2 0x66b0 実際のところ、ベノムちゃんの魔法アイテム、
025.stcm2 0x6708 ポイズン蠱毒壺ミーミングの方が問題なのです。
025.stcm2 0x6774 ですが、こちらの方は、水で洗い流せば大丈夫
025.stcm2 0x67cc のハズです。
025.stcm2 0x6874 どうしますか？
025.stcm2 0x68bc １．洗い流すことを説明する
025.stcm2 0x6910 ２．自分が手本となる
025.stcm2 0x6cd8 第５話　終幕であります！
025.stcm2 0x6dbc 僕の頭の中に、ぷかぷかと【名探偵おうムル】
025.stcm2 0x6e14 が現れます。
025.stcm2 0x6e88 おうムル
025.stcm2 0x6ec0 『桜くん、困っているようだね。私からのアド
025.stcm2 0x6f18 バイスなんだが……』
025.stcm2 0x6f94 おうムル
025.stcm2 0x6fcc 『ドクロちゃんの場合、１番の問題はポイズン
025.stcm2 0x7024 蠱毒壺ミーミングのようだね』
025.stcm2 0x70a8 おうムル
025.stcm2 0x70e0 『だが、コレは洗い流せば大丈夫。このことを
025.stcm2 0x7138 ちゃんと説明すれば、ドクロちゃんだってわかっ
025.stcm2 0x7194 てくれるさ』
025.stcm2 0x7238 「でも、おうムル！　それが上手く説明できな
025.stcm2 0x7290 かったときは……どうすればいいの？」
025.stcm2 0x731c おうムル
025.stcm2 0x7354 『……説明できなかったとき？　そんな時、男
025.stcm2 0x73ac 子がとる道は１つだよ、桜くん』
025.stcm2 0x7460 「男子が……とる道？」
025.stcm2 0x74dc おうムル
025.stcm2 0x7514 『そう、おのれの体で証明することさ。賢明な
025.stcm2 0x756c 桜くんなら、もう、なにをすべきかわかってい
025.stcm2 0x75c4 ると思うがね……』
025.stcm2 0x766c 「うん……ありがとうおうムル！　僕、やって
025.stcm2 0x76c4 みるよ！」
025.stcm2 0x7768 どうしますか？
025.stcm2 0x77b0 １．洗い流すことを説明する
025.stcm2 0x7804 ２．自分が手本となる
025.stcm2 0x7cf4 僕は、自分が手本を示すことを決心しました。
025.stcm2 0x7f14 「大丈夫だよ、ドクロちゃん。ちっとも怖くな
025.stcm2 0x7f6c いし、痛くないんだから。ほら、僕も一緒に健
025.stcm2 0x7fc4 康診断を受けるから」
025.stcm2 0x8100 ドクロちゃん
025.stcm2 0x813c 「桜くん……？」
025.stcm2 0x81e8 きょとんとした顔で僕を見るドクロちゃんから、
025.stcm2 0x8244 ベノムちゃんに向き直ります。
025.stcm2 0x8458 「あの、ベノムちゃん。僕にも健康診断を受け
025.stcm2 0x84b0 させてもらえるかな？」
025.stcm2 0x85ec ベノムちゃん
025.stcm2 0x8628 「桜殿が？　……それは、問題ないであります
025.stcm2 0x871c 「じゃあ、僕から健康診断をお願いします」
025.stcm2 0x8784 男は黙って行動で示すのみです！
025.stcm2 0x87d0 胸元のボタンを外し、ベノムちゃんに胸を開き
025.stcm2 0x8954 ベノムちゃん
025.stcm2 0x8990 「で、では、診断するであります」
025.stcm2 0x8a84 ベノムちゃんが、僕の胸先におそるおそる手を
025.stcm2 0x8adc 伸ばしてきます。
025.stcm2 0x8b2c ああ、みんなが見てる前で、ベノムちゃんの指
025.stcm2 0x8b84 が僕の体に……っ！！
025.stcm2 0x8c34 ベノムちゃんの綺麗な指先が、僕の身体に触れ
025.stcm2 0x8c8c るかと思うと、なんとも言えない背徳的な気持
025.stcm2 0x8ce4 ちにすっかり僕の心も身体も興奮気味です！
025.stcm2 0x8d4c ああ、ベノムちゃん！
025.stcm2 0x8d90 僕を、僕をすみずみまで調べて、余すところ無
025.stcm2 0x8de8 く診断してぇッ！
025.stcm2 0x8e38 そして、そんな僕の気持ちに応えるかのように、
025.stcm2 0x8e94 ベノムちゃんの両手が僕の体にそっと触れまし
025.stcm2 0x8eec た。その瞬間です――。
025.stcm2 0x95b4 （ふぎゅるぅぅあぐッ、ぅぉああぎゅあッ！！）
025.stcm2 0x9620 寒気が全身をかけめぐり、一瞬のうちに、おう
025.stcm2 0x9678 吐感と腹痛、頭痛が僕の身体を襲います！
025.stcm2 0x97c4 こ、これが、ポイズン蠱毒壺ミーミングの本当
025.stcm2 0x981c の力……！！
025.stcm2 0x9868 僕がいだいていた淡い背徳感も、どこかに吹っ
025.stcm2 0x98c0 飛んでしまいます！！
025.stcm2 0x9c00 （あっ……あ、あ……あ、ああ……ああんっ！）
025.stcm2 0x9c6c 今にも倒れそうです。ですが、僕を見つめるド
025.stcm2 0x9cc4 クロちゃんの前で、弱気なところは見せられま
025.stcm2 0x9ee8 ベノムちゃん
025.stcm2 0x9f24 「……んん？　これは……」
025.stcm2 0xa1e8 僕の開いた胸にベノムちゃんは両手をしっかり
025.stcm2 0xa240 と付いて、今度は顔を寄せてきます。
025.stcm2 0xa2a0 ベノムちゃんの吐息が、僕の肌をくすぐりま
025.stcm2 0xa6fc 「ああ、あああっ！！　ベノムちゃん、それ以
025.stcm2 0xa754 上はぁぁぁあああ……！！」
025.stcm2 0xa7d4 ベノムちゃん
025.stcm2 0xa810 「桜殿……しばしの我慢をお願いします！」
025.stcm2 0xaa7c 「そんなっ！　これ以上、僕に、どう……いた、
025.stcm2 0xaad8 いたきもち……ぐ、ふぁあああっ！！」
025.stcm2 0xab3c ベノムちゃんがピッタリと耳を僕の胸に押しつ
025.stcm2 0xab94 けます！！
025.stcm2 0xabcc も、もう、限界です！！
025.stcm2 0xaf50 ベノムちゃん
025.stcm2 0xaf8c 「桜殿……桜殿の身体の中に、エスカリボルグ
025.stcm2 0xafe4 のカケラがあります！」
025.stcm2 0xb104 どうりで、見つからないはずです。
025.stcm2 0xb154 灯台もと暗し、とはまさにこのことでしょうか。
025.stcm2 0xb258 「はやく取り出そうよ……って、ど、どうやっ
025.stcm2 0xb2b0 て取り出せば……」
025.stcm2 0xb344 ベノムちゃん
025.stcm2 0xb380 「それに関しては、自分に任せてほしいであり
025.stcm2 0xb3d8 ます。この手を直接、桜殿の体の中に入れて……
025.stcm2 0xb434 あ、痛くないから大丈夫でありますよ？」
025.stcm2 0xb580 ぐりゅゅゅううるるるるっる〜〜〜！！！！
025.stcm2 0xb610 自分の身体の中から、この世のものとは思えな
025.stcm2 0xb668 いような音が響いてきます。
025.stcm2 0xbaac 「だ、だめっ！！　直接入れるのは……もうっ
025.stcm2 0xbb04 これ以上はぁぁぁっ！！」
025.stcm2 0xbb5c 身体の中にしみこんだポイズン蠱毒壺【ミーミ
025.stcm2 0xbbb4 ング】の力で、僕の身体が悲鳴を上げています！
025.stcm2 0xbcc4 僕が、ベノムちゃんの手から逃れようと後ずさ
025.stcm2 0xbd1c り、背後へ振り向いた瞬間でした。
025.stcm2 0xbe00 ふにょん
025.stcm2 0xbf14 「……ふにょん？」
025.stcm2 0xbfa4 振り向いた僕の顔は、柔らかいなにかに受け止
025.stcm2 0xbffc められていました。
025.stcm2 0xc03c 思わず、それを手にとって……。
025.stcm2 0xc390 ドクロちゃん
025.stcm2 0xc3cc 「はわわわわわわ…………
025.stcm2 0xc414 いいぃぃやああああああ！！！！」
025.stcm2 0xc534 言うやいなや、ドクロちゃんが殺人バットを振
025.stcm2 0xc58c り上げます。
025.stcm2 0xc630 「あ、まって、まってよ、ドクロちゃん！　事
025.stcm2 0xc688 故、事故でしょ！？　撲殺しないって約束した
025.stcm2 0xc6e0 じゃない！？」
025.stcm2 0xcbcc 「ドクロちゃん、撲殺禁止だってば！　どうし
025.stcm2 0xcc24 て？　ねえ、ドクロちゃぁうごぉぉぁあッ！！」
025.stcm2 0xcfe8 ズバン！
025.stcm2 0xd030 一瞬のうちに、その場に血煙が舞いました。
025.stcm2 0xd2c4 ドクロちゃん
025.stcm2 0xd300 「きゃあ！　ごめんなさい！　ボクったら、つ
025.stcm2 0xd358 い反射的に……でも、桜くんが悪いんだから
025.stcm2 0xd3b0 ね！！（ぽっ）」
025.stcm2 0xd45c そして、その血溜まりの中から現れたのは……。
025.stcm2 0xd508 黒光りする鋼鉄のトゲ。
025.stcm2 0xd54c そう、まさにエスカリボルグのトゲだったので
025.stcm2 0xd6ac ドクロちゃんが、鋼鉄のカケラをエスカリボル
025.stcm2 0xd704 グに装着すると、まばゆい光がエスカリボルグ
025.stcm2 0xd75c からあふれます！
025.stcm2 0xd7c8 そう、今、この瞬間。
025.stcm2 0xd80c エスカリボルグに、魔法アイテムとしての息吹
025.stcm2 0xd864 が戻ったのです！
025.stcm2 0xd928 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
025.stcm2 0xdb2c ドクロちゃん
025.stcm2 0xdb68 「桜くん、ありがとう！！
025.stcm2 0xdbb0 ボク……ボク、うれしいよぉ！！」
025.stcm2 0xdd88 ドクロちゃんが満面の笑みで、僕に抱きついて
025.stcm2 0xdde0 きます。
025.stcm2 0xde28 ああ、そうです！　これがドクロちゃんの本当
025.stcm2 0xde80 の姿なのです！
025.stcm2 0xdf24 「よかったね、ドクロちゃん」
025.stcm2 0xe068 ドクロちゃん
025.stcm2 0xe0a4 「うんっ！　これも、ぜーーんぶ、桜くんのお
025.stcm2 0xe0fc かげだよっ！」
025.stcm2 0xe2ec 「ちょ、ちょっと、ドクロちゃん、みんなが見
025.stcm2 0xe344 て……うぐ、ぐぉっ！　ど、どくろ、ちゃん……
025.stcm2 0xe3a0 力、入れすぎ……」
025.stcm2 0xe4d8 ドクロちゃん
025.stcm2 0xe514 「んふ？　どうしたの、桜くん？　もう、テレ
025.stcm2 0xe56c 屋さんなんだからっ！」
025.stcm2 0xe9f0 「うあッ！　おおぉッ！　ど、ど、どくろ、ちゃ
025.stcm2 0xea4c ん……背骨、せぼ、ねが……」
025.stcm2 0xf064 静希ちゃん
025.stcm2 0xf09c 「た、大変！　桜くんの耳から紫色の液体があ
025.stcm2 0xf0f4 ふれ出ててるよ。桜くん！　ねえ、桜くん！」
025.stcm2 0xf6b4 ベノムちゃん
025.stcm2 0xf6f0 「こ、これは、どうすれば……ううむ、この紫
025.stcm2 0xf748 色の液体……非常に興味深い現象であります
025.stcm2 0xfa48 ザクロちゃん
025.stcm2 0xfa84 「おねえさま、エスカリボルグが直ってよかっ
025.stcm2 0xfadc たですね」
025.stcm2 0xfd10 サバトちゃん
025.stcm2 0xfd4c 「ドクロちゃん、よかったですぅ！」
025.stcm2 0x10124 「うわ、きたねえぞ、よるな桜！」
025.stcm2 0x10370 「……桜くん、不潔」
025.stcm2 0x10570 田辺さん
025.stcm2 0x105a8 「わー、桜くんの顔色も変わっていってるね」
025.stcm2 0x109cc 「ド、ドクロちゃん……お願いだから、け、健
025.stcm2 0x10a24 康診断、受けてあげて……」
025.stcm2 0x10b60 ドクロちゃん
025.stcm2 0x10b9c 「桜くんが、どうしてもしたいって言うなら……
025.stcm2 0x10bf8 もう、エッチなんだから（くすくす）」
025.stcm2 0x10eb4 「だからっ、僕じゃなくて、うぉぼぉおっ！！」
025.stcm2 0x1103c そして、患部を水で洗い流すと毒は消えること
025.stcm2 0x11094 を聞いたドクロちゃんは、しぶしぶながら健康
025.stcm2 0x110ec 診断を受けることを承諾したのです。
025.stcm2 0x1149c ベノムちゃん
025.stcm2 0x114d8 「では……、三塚井ドクロ殿ッ！」
025.stcm2 0x11620 ドクロちゃん
025.stcm2 0x1165c 「はいっ！」
025.stcm2 0x11744 【カッ！！】という光があふれ、ドクロちゃん
025.stcm2 0x1179c の情報がスーヴェリージュに転送されました。
025.stcm2 0x11948 ベノムちゃん
025.stcm2 0x11984 「はい、これで点呼は終了です。では引き続き、
025.stcm2 0x119e0 健康診断を……」
025.stcm2 0x11c24 ドクロちゃん
025.stcm2 0x11c60 「……や、やっぱり、いぃやぁぁあああ！！
025.stcm2 0x11cb8 やめるぅぅうう！！！！」
025.stcm2 0x11d68 「ドクロちゃん！　ダメだよ！
025.stcm2 0x11db4 約束したでしょ！」
025.stcm2 0x12044 静希ちゃん
025.stcm2 0x1207c 「ドクロちゃん、すぐ終わるから！」
025.stcm2 0x122cc ザクロちゃん
025.stcm2 0x12308 「おねえさま！　すぐに済みますから、がんばっ
025.stcm2 0x12364 てください！」
025.stcm2 0x12594 サバトちゃん
025.stcm2 0x125d0 「ふふふふふ……ドクロちゃんもサバトが受け
025.stcm2 0x12628 た苦しみ……味わうがいいですぅ！！」
025.stcm2 0x129c4 ドクロちゃん
025.stcm2 0x12a00 「いぃぃやぁぁあああああああ！！！！」
025.stcm2 0x12e38 ベノムちゃんは、時間ぎりぎり一杯で全員の健
025.stcm2 0x12e90 康診断を終了し、未来へ帰ることになりました。
025.stcm2 0x13084 ベノムちゃん
025.stcm2 0x130c0 「では、皆様……たいへん長らくお世話になり
025.stcm2 0x13118 ました。もう、本当にお別れの時間であります」
025.stcm2 0x13374 静希ちゃん
025.stcm2 0x133ac 「ベノムちゃん……本当に帰っちゃうんだね？」
025.stcm2 0x13500 ベノムちゃん
025.stcm2 0x1353c 「静希殿には大変お世話になったであります。
025.stcm2 0x13594 こちらでの住まいもご厄介になってしまい、本
025.stcm2 0x135ec 当に感謝しているであります」
025.stcm2 0x1372c 静希ちゃん
025.stcm2 0x13764 「ううん、気にしないで。困ってるときはお互
025.stcm2 0x137bc いさまだもん。向こうに帰っても、元気でね」
025.stcm2 0x13908 ベノムちゃん
025.stcm2 0x13944 「はい、静希殿もお元気で」
025.stcm2 0x13b80 ザクロちゃん
025.stcm2 0x13bbc 「この度は、本当にお疲れさまでした。また次
025.stcm2 0x13c14 回にお世話になります」
025.stcm2 0x13e4c サバトちゃん
025.stcm2 0x13e88 「え、ええ？　次もベノムちゃんが担当天使な
025.stcm2 0x13ee0 のですかぁ？」
025.stcm2 0x14014 ベノムちゃん
025.stcm2 0x14050 「さぁ……それはわかりません。ですが、これ
025.stcm2 0x140a8 きりではない、と思うであります」
025.stcm2 0x142e8 ザクロちゃん
025.stcm2 0x14324 「はい、わたくしもそう思っております。では、
025.stcm2 0x14380 ベノムさん、お気をつけてお帰り下さい」
025.stcm2 0x145c8 サバトちゃん
025.stcm2 0x14604 「では、またなのですぅ！　今度は、気絶しな
025.stcm2 0x1465c いようにがんばるですぅ！」
025.stcm2 0x14798 ベノムちゃん
025.stcm2 0x147d4 「はい、皆様もお元気で」
025.stcm2 0x14a0c 「ベノムちゃん、次回はぜひともミィの健康診
025.stcm2 0x14a64 断をしてほしいザンス！」
025.stcm2 0x14ba4 ベノムちゃん
025.stcm2 0x14be0 「ご要望は本部に伝えておくであります。では、
025.stcm2 0x14c3c ザンス殿もお元気で」
025.stcm2 0x14c90 ベノムちゃんは、ピンク色の変態とも普通の人
025.stcm2 0x14ce8 のように接します。
025.stcm2 0x14df8 なんて人間のできている天使なのでしょう。
025.stcm2 0x14e50 いいえ、これがスーヴェリージュの一員として
025.stcm2 0x14ea8 のベノムちゃんの本当の姿なのでしょう。
025.stcm2 0x14f68 そして、ベノムちゃんは僕とドクロちゃんの前
025.stcm2 0x14fc0 に来ました。
025.stcm2 0x151bc ベノムちゃん
025.stcm2 0x151f8 「ドクロ殿……この度は、いろいろご迷惑をお
025.stcm2 0x15250 かけしまして、本当に申し訳なく思っておりま
025.stcm2 0x154dc ドクロちゃん
025.stcm2 0x15518 「ん、そう？　ねえ、桜くん。そうだったの？」
025.stcm2 0x15584 とぼけているわけではなく、本当に不思議そう
025.stcm2 0x155dc にドクロちゃんは僕を見つめます。
025.stcm2 0x1563c ドクロちゃんは、さっきの健康診断で大暴れし、
025.stcm2 0x15698 みんなで押さえつけてなんとか終わらすことが
025.stcm2 0x156f0 できたのです。
025.stcm2 0x1573c しかも、ポイズン蠱毒壺ミーミングの激痛を否
025.stcm2 0x15794 定するあまり、その間の記憶が、キレイさっぱ
025.stcm2 0x157ec り抜け落ちてしまっていたのです……。
025.stcm2 0x15938 ドクロちゃん
025.stcm2 0x15974 「気が付いたら、健康診断終わっちゃってたし、
025.stcm2 0x159d0 残念だったね！」
025.stcm2 0x15a20 いいえ、残念でもなんでもありません。
025.stcm2 0x15a74 もう２度とゴメンです。
025.stcm2 0x15bb0 ベノムちゃん
025.stcm2 0x15bec 「では……、また次回に」
025.stcm2 0x15d2c ドクロちゃん
025.stcm2 0x15d68 「うん！　また次の点呼か健康診断でね！」
025.stcm2 0x15f7c ベノムちゃん
025.stcm2 0x15fb8 「桜殿、本当にありがとうございました……こ
025.stcm2 0x16010 のご恩は忘れないであります」
025.stcm2 0x160c4 「ううん、僕じゃなくて、ベノムちゃん自身が
025.stcm2 0x1611c 自信を持って」
025.stcm2 0x16250 ベノムちゃん
025.stcm2 0x1628c 「自分が……でありますか？」
025.stcm2 0x16340 「うん、ベノムちゃんの最後まであきらめない
025.stcm2 0x16398 気持ち、そして、時間がないってときに僕を手
025.stcm2 0x163f0 伝ってくれたやさしさ……」
025.stcm2 0x164e0 「それらが、すべてこのドクロちゃんの健康診
025.stcm2 0x16538 断に結びついたと思うんだ」
025.stcm2 0x16674 ベノムちゃん
025.stcm2 0x166b0 「それを言うなら、ご自分の体をもってドクロ
025.stcm2 0x16708 殿を説得した、桜殿の方が立派であります」
025.stcm2 0x167c8 「そうかな？　ベノムちゃん……元気でね」
025.stcm2 0x16918 ベノムちゃん
025.stcm2 0x16954 「さくら、どの……」
025.stcm2 0x16bbc ぎゅむっ
025.stcm2 0x16da8 ベノムちゃんは僕に近づくと、僕をやさしく抱
025.stcm2 0x16e00 きしめ、けれどすぐに離れていきました。
025.stcm2 0x16e64 そして、僕に残されたのはベノムちゃんの一瞬
025.stcm2 0x16ebc の感触と、
025.stcm2 0x16f04 ……慣れすら覚えそうな、ミーミングの毒。
025.stcm2 0x1716c ベノムちゃん
025.stcm2 0x171a8 「桜殿、本当にありがとうございました。
025.stcm2 0x171fc 桜殿がいなければ、自分は、自分は……っ！」
025.stcm2 0x1728c ベノムちゃん
025.stcm2 0x172c8 「自分に自信がもてたであります……胸を張っ
025.stcm2 0x17320 て、スーヴェリージュの一員として帰ることが
025.stcm2 0x17378 できるであります」
025.stcm2 0x17420 「べ、べ、べのむ、ちゃん……」
025.stcm2 0x174a4 ベノムちゃん
025.stcm2 0x174e0 「桜殿も、末永く息災でお過ごしください！」
025.stcm2 0x175f0 ベノムちゃん
025.stcm2 0x1762c 「桜殿……では、今度こそお別れであります」
025.stcm2 0x176bc ベノムちゃん
025.stcm2 0x176f8 「皆様も、いついつまでも息災でありますよう
025.stcm2 0x178e0 そう言うと、ベノムちゃんの体が光に包まれま
025.stcm2 0x179bc やがて、ゆっくりとベノムちゃんの体が薄れ、
025.stcm2 0x17a14 光の束となっていきます。
025.stcm2 0x17aac 光は茜色に染まった空に向かって、駆け上がっ
025.stcm2 0x17b04 ていきました。
025.stcm2 0x17c14 高く、はるか、空高く――。
025.stcm2 0x17dfc ……あ、あれ？
025.stcm2 0x1829c その光が夕暮れの茜空に消え去った後、僕の
025.stcm2 0x182f4 意識もふらりと、消えかかっていきます。
025.stcm2 0x18548 静希ちゃん
025.stcm2 0x18580 「た、大変！　桜くんの顔が紫色に腫れ上がっ
025.stcm2 0x185d8 てるよ！」
025.stcm2 0x18810 ザクロちゃん
025.stcm2 0x1884c 「は、はやく桜さんを、お風呂場に！」
025.stcm2 0x18a94 サバトちゃん
025.stcm2 0x18ad0 「たいへんですぅ！　桜くんの耳から金色のネ
025.stcm2 0x18b28 バネバしたものがぁぁ！！」
025.stcm2 0x18dc0 ドクロちゃん
025.stcm2 0x18dfc 「いやぁあ！　桜くん！！　みんなのまえで、
025.stcm2 0x18e54 いやいやいや！　いやぁぁぁあああん！！」
025.stcm2 0x19180 ベノムちゃんは、時間ぎりぎり一杯で全員の健
025.stcm2 0x191d8 康診断を終了し、未来へ帰ることになりました。
025.stcm2 0x193cc ベノムちゃん
025.stcm2 0x19408 「では、皆様……たいへん長らくお世話になり
025.stcm2 0x19460 ました。もう、本当にお別れの時間であります」
025.stcm2 0x196bc 静希ちゃん
025.stcm2 0x196f4 「ベノムちゃん……本当に帰っちゃうんだね？」
025.stcm2 0x19848 ベノムちゃん
025.stcm2 0x19884 「静希殿には大変お世話になったであります。
025.stcm2 0x198dc こちらでの住まいもご厄介になってしまい、本
025.stcm2 0x19934 当に感謝しているであります」
025.stcm2 0x19a74 静希ちゃん
025.stcm2 0x19aac 「ううん、気にしないで。困ってるときはお互
025.stcm2 0x19b04 いさまだもん。向こうに帰っても、元気でね」
025.stcm2 0x19c50 ベノムちゃん
025.stcm2 0x19c8c 「はい、静希殿もお元気で」
025.stcm2 0x19ec8 ザクロちゃん
025.stcm2 0x19f04 「この度は、本当にお疲れさまでした。また次
025.stcm2 0x19f5c 回にお世話になります」
025.stcm2 0x1a194 サバトちゃん
025.stcm2 0x1a1d0 「え、ええ？　次もベノムちゃんが担当天使な
025.stcm2 0x1a228 のですかぁ？」
025.stcm2 0x1a35c ベノムちゃん
025.stcm2 0x1a398 「さぁ……それはわかりません。ですが、これ
025.stcm2 0x1a3f0 きりではない、と思うであります」
025.stcm2 0x1a630 ザクロちゃん
025.stcm2 0x1a66c 「はい、わたくしもそう思っております。では、
025.stcm2 0x1a6c8 ベノムさん、お気をつけてお帰り下さい」
025.stcm2 0x1a910 サバトちゃん
025.stcm2 0x1a94c 「では、またなのですぅ！　今度は、気絶しな
025.stcm2 0x1a9a4 いようにがんばるですぅ！」
025.stcm2 0x1aae0 ベノムちゃん
025.stcm2 0x1ab1c 「はい、皆様もお元気で」
025.stcm2 0x1ad54 「ベノムちゃん、次回はぜひともミィの健康診
025.stcm2 0x1adac 断をしてほしいザンス！」
025.stcm2 0x1aeec ベノムちゃん
025.stcm2 0x1af28 「ご要望は本部に伝えておくであります。では、
025.stcm2 0x1af84 ザンス殿もお元気で」
025.stcm2 0x1afd8 ベノムちゃんは、ピンク色の変態とも普通の人
025.stcm2 0x1b030 のように接します。
025.stcm2 0x1b140 なんて人間のできている天使なのでしょう。
025.stcm2 0x1b198 いいえ、これがスーヴェリージュの一員として
025.stcm2 0x1b1f0 のベノムちゃんの本当の姿なのでしょう。
025.stcm2 0x1b2b0 そして、ベノムちゃんは僕とドクロちゃんの前
025.stcm2 0x1b308 に来ました。
025.stcm2 0x1b504 ベノムちゃん
025.stcm2 0x1b540 「ドクロ殿……この度は、いろいろご迷惑をお
025.stcm2 0x1b598 かけしまして、本当に申し訳なく思っておりま
025.stcm2 0x1b824 ドクロちゃん
025.stcm2 0x1b860 「ん、そう？　ねえ、桜くん。そうだったの？」
025.stcm2 0x1b8cc とぼけているわけではなく、本当に不思議そう
025.stcm2 0x1b924 にドクロちゃんは僕を見つめます。
025.stcm2 0x1b984 ドクロちゃんは、さっきの健康診断で大暴れし、
025.stcm2 0x1b9e0 みんなで押さえつけてなんとか終わらすことが
025.stcm2 0x1ba38 できたのです。
025.stcm2 0x1ba84 しかも、ポイズン蠱毒壺ミーミングの激痛を否
025.stcm2 0x1badc 定するあまり、その間の記憶が、キレイさっぱ
025.stcm2 0x1bb34 り抜け落ちてしまっていたのです……。
025.stcm2 0x1bc80 ドクロちゃん
025.stcm2 0x1bcbc 「気が付いたら、健康診断終わっちゃってたし、
025.stcm2 0x1bd18 残念だったね！」
025.stcm2 0x1bd68 いいえ、残念でもなんでもありません。
025.stcm2 0x1bdbc もう２度とゴメンです。
025.stcm2 0x1bef8 ベノムちゃん
025.stcm2 0x1bf34 「では……、また次回に」
025.stcm2 0x1c074 ドクロちゃん
025.stcm2 0x1c0b0 「うん！　また次の点呼か健康診断でね！」
025.stcm2 0x1c39c ベノムちゃん
025.stcm2 0x1c3d8 「桜殿、本当にありがとうございました……こ
025.stcm2 0x1c430 のご恩は忘れないであります」
025.stcm2 0x1c534 ベノムちゃん
025.stcm2 0x1c570 「皆様も、いついつまでも息災でありますよう
025.stcm2 0x1c758 そう言うと、ベノムちゃんの体が光に包まれま
025.stcm2 0x1c834 やがて、ゆっくりとベノムちゃんの体が薄れ、
025.stcm2 0x1c88c 光の束となっていきます。
025.stcm2 0x1c964 光は茜色に染まった空に向かって、駆け上がっ
025.stcm2 0x1c9bc ていきました。
025.stcm2 0x1cacc 高く、はるか、空高く――。
026.stcm2 0x278 最終話　ドクロちゃん
026.stcm2 0x510 ドクロちゃん
026.stcm2 0x54c 「桜くん、最近元気ないね」
026.stcm2 0x5a4 学校が終わり、家に向かって２人で歩く途中、
026.stcm2 0x5fc 僕を驚かせたのはドクロちゃんが発した、そん
026.stcm2 0x654 な一言でした。
026.stcm2 0x6f8 「そう、見える？」
026.stcm2 0x748 僕はそう答えますが、なんとなく物足りなさを
026.stcm2 0x7a0 感じているのは事実でした。
026.stcm2 0x8bc ベノムちゃんが任務を終え、未来の世界に帰っ
026.stcm2 0x914 てしまってから数日。
026.stcm2 0x968 僕は、まるで学校の友だちが遠くに転校してし
026.stcm2 0x9c0 まったような寂しさを感じているのです。
026.stcm2 0xa24 静希ちゃんも、似たようなことを言っていまし
026.stcm2 0xa7c た。だって、静希ちゃんはベノムちゃんと一緒
026.stcm2 0xad4 に暮らしていたのですからなおさらです。
026.stcm2 0xd58 「ベノムちゃんがいる間、すごくにぎやかだっ
026.stcm2 0xdb0 たからね。ちょっと寂しいのかもしれないね」
026.stcm2 0xe18 けれど、僕は笑顔で答えました。ドクロちゃん
026.stcm2 0xe70 が僕の様子に気を配っていてくれたことが、な
026.stcm2 0xec8 んとなくうれしかったのです。
026.stcm2 0x1008 ドクロちゃん
026.stcm2 0x1044 「じゃあ、ボクが元気出させてあげるよ！」
026.stcm2 0x1104 「……いや、いいよ」
026.stcm2 0x1158 だってドクロちゃんのひらめきって、なんかイ
026.stcm2 0x11b0 ヤな予感しかしないですもん。
026.stcm2 0x13dc ドクロちゃん
026.stcm2 0x1418 「ご町内のみなさーん！！　草壁桜くんは、とっ
026.stcm2 0x1474 てもいい人です！！」
026.stcm2 0x1520 「……なにぃッ！？　な、なにやってんの、ド
026.stcm2 0x1578 クロちゃん！？」
026.stcm2 0x15c8 いきなり、ドクロちゃんが大音量で叫びはじめ
026.stcm2 0x1620 たのです。
026.stcm2 0x1668 ただ叫びだしただけなら構うことはないのです
026.stcm2 0x16c0 が、そこに僕の名前があるとあっては黙ってい
026.stcm2 0x1718 られません！
026.stcm2 0x1958 ドクロちゃん
026.stcm2 0x1994 「桜くんはー、ボクがお布団をはだけて眠って
026.stcm2 0x19ec いるとー、３０分くらいじろじろと眺めたあと
026.stcm2 0x1a44 にお布団を直してくれるんですっ！！」
026.stcm2 0x1b00 「やめて！　変なウワサ流さないで！　それ、
026.stcm2 0x1b58 僕が断ったことへの報復なのか、僕に元気を出
026.stcm2 0x1bb0 させる行為そのものなのか判断が微妙だよ！！」
026.stcm2 0x1d2c ドクロちゃん
026.stcm2 0x1d68 「やったあ、桜くんの元気が戻った！　もう安
026.stcm2 0x1dc0 心だねー」
026.stcm2 0x1e60 「元気づけの方だったんだ……！　っていうか、
026.stcm2 0x1ebc 全然安心じゃないよ！　僕は今の話が、人に聞
026.stcm2 0x1f14 かれてないか不安でいっぱいです！」
026.stcm2 0x1f74 やっぱり、ドクロちゃんのひらめきはロクなこ
026.stcm2 0x1fcc とじゃありませんでした。
026.stcm2 0x2224 ザクロちゃん
026.stcm2 0x2260 「桜さん……本当に、そのようなことを……？」
026.stcm2 0x234c 「わぁッ！？　ザ、ザクロちゃん！？」
026.stcm2 0x23b0 いきなり僕たちの後ろから現れたのは、ザクロ
026.stcm2 0x2408 ちゃんでした。
026.stcm2 0x24ac 「ザクロちゃん、どうしてここに……？」
026.stcm2 0x25f8 ザクロちゃん
026.stcm2 0x2634 「お買い物に行くところだったのですが、おね
026.stcm2 0x268c えさまの声が聞こえましたので来てみたのです」
026.stcm2 0x280c 「き、聞いていたの！？　今のはウソだよ！？
026.stcm2 0x2864 ドクロちゃんがウソついたんですからねッ！」
026.stcm2 0x2928 僕は必死でザクロちゃんに説明しました。だい
026.stcm2 0x2980 たい、寝乱れたドクロちゃんを３０分も見ませ
026.stcm2 0x29d8 んよ。いいとこ３分です。
026.stcm2 0x2be0 ザクロちゃん
026.stcm2 0x2c1c 「そうでしたか……よかったです」
026.stcm2 0x2c7c どうにかザクロちゃんは信じてくれたようです。
026.stcm2 0x2dec 「もうっ、ドクロちゃん、変なウソはやめてよ
026.stcm2 0x3010 ドクロちゃん
026.stcm2 0x304c 「だって、桜くんの元気がないとつまんないん
026.stcm2 0x30a4 だもん」
026.stcm2 0x30ec ドクロちゃんも、なかなかかわいいことを言っ
026.stcm2 0x3144 てくれるじゃないですか。
026.stcm2 0x3380 ザクロちゃん
026.stcm2 0x33bc 「桜さんの元気、ですか？」
026.stcm2 0x346c 「あ、うん。ベノムちゃんが帰っちゃって、少
026.stcm2 0x34c4 し寂しいなって話していたんだよ」
026.stcm2 0x360c ザクロちゃん
026.stcm2 0x3648 「なるほど、確かにベノムさんがいらっしゃっ
026.stcm2 0x36a0 てからは、にぎやかでしたからね」
026.stcm2 0x3758 「うん、いろいろやったよね」
026.stcm2 0x37b4 すべての思い出になぜか流血が伴っていること
026.stcm2 0x380c は置いておいて、密度の濃い時間を過ごしたも
026.stcm2 0x3864 のだと今さらながらに思います。
026.stcm2 0x38c0 ベノムちゃんの毒手を３回も受けましたし……。
026.stcm2 0x3a10 ザクロちゃん
026.stcm2 0x3a4c 「ベノムさんも言ってらっしゃいましたが、わ
026.stcm2 0x3aa4 たくしも桜さんには、とても感謝しています」
026.stcm2 0x3b64 「ザクロちゃんが、僕に？」
026.stcm2 0x3ca4 ザクロちゃん
026.stcm2 0x3ce0 「おねえさまが無事に健康診断を受けられたの
026.stcm2 0x3d38 は、桜さんのおかげですから」
026.stcm2 0x3d94 ザクロちゃんは、ドクロちゃんの方を見ながら
026.stcm2 0x3dec ほほえみました。
026.stcm2 0x402c ドクロちゃん
026.stcm2 0x4068 「うんっ、桜くんが余計なことをしてくれたお
026.stcm2 0x40c0 かげで、ボクも健康診断を受けられたよ！」
026.stcm2 0x4180 「余計なこと！？　ドクロちゃん、それ明らか
026.stcm2 0x41d8 に僕を恨んでるでしょ！！」
026.stcm2 0x4314 ドクロちゃん
026.stcm2 0x4350 「あははっ、ウソだよーっ。桜くんって、すぐ
026.stcm2 0x43a8 人を信じるんだから。本当、おひたしだよねー」
026.stcm2 0x446c 「おひたし？　……あ、お人好しか。びっくり
026.stcm2 0x44c4 したぁ。いや、それよりまたウソついたね！」
026.stcm2 0x452c 一瞬、僕をゆでてから、しょうゆでおいしくい
026.stcm2 0x4584 ただいてしまうドクロちゃんを想像してしまい
026.stcm2 0x45dc ました。
026.stcm2 0x470c ザクロちゃん
026.stcm2 0x4748 「それでは、わたくしはお買い物に戻ります。
026.stcm2 0x47a0 お気を付けてお帰りください」
026.stcm2 0x48e4 ドクロちゃん
026.stcm2 0x4920 「うん、いってらっしゃーい。はやく帰ってき
026.stcm2 0x4978 てねー」
026.stcm2 0x4a18 「ザクロちゃんも、気を付けてね」
026.stcm2 0x4afc ザクロちゃんは笑顔で頭を下げて、僕たちとは
026.stcm2 0x4b54 反対方向へ歩いて行きました。
026.stcm2 0x4c70 「じゃ、帰ろうかドクロちゃん」
026.stcm2 0x4db4 ドクロちゃん
026.stcm2 0x4df0 「……ふたりっきりになったからって、変なコ
026.stcm2 0x4e48 トしちゃだめだぞっ？」
026.stcm2 0x4ef4 「しないよ。ザクロちゃんに会うまで、ずっと
026.stcm2 0x4f4c ふたりっきりだったじゃん」
026.stcm2 0x501c ドクロちゃんの言葉を気にせず、僕は先に歩き
026.stcm2 0x5074 はじめました。すぐにドクロちゃんが追いつい
026.stcm2 0x50cc てきます。
026.stcm2 0x517c 僕は、思い出していました。
026.stcm2 0x51d4 ベノムちゃんが来てからのこと。ベノムちゃん
026.stcm2 0x522c が帰ってからのこと。
026.stcm2 0x5420 常に中心にいたのはドクロちゃんでした。今ま
026.stcm2 0x5478 でも、これからも。その天使の少女は、今も僕
026.stcm2 0x54d0 の隣でほほえんでいます。
026.stcm2 0x5528 ドクロちゃんは楽しそうに、語ります。
026.stcm2 0x5688 昨日までの出来事、今日の出来事、明日からの
026.stcm2 0x56e0 出来事。その全部に楽しいと言えるドクロちゃ
026.stcm2 0x5738 んは、とても幸せそうでした。
026.stcm2 0x5794 新しく友だちになった天使の少女は帰ってしまっ
026.stcm2 0x57f0 たけれど、もう会えなくなってしまったわけで
026.stcm2 0x5848 はありません。
026.stcm2 0x5894 僕はそんな想いを胸に、隣のドクロちゃんに話
026.stcm2 0x58ec しかけました。
026.stcm2 0x5990 「ベノムちゃん、また来年も来てくれるかな」
026.stcm2 0x5ae0 ドクロちゃん
026.stcm2 0x5b1c 「大丈夫、きっと来てくれるよ！」
026.stcm2 0x5b7c ドクロちゃんはたぶん、今年のザクロちゃんが
026.stcm2 0x5bd4 したように、来年の健康診断をパスする気です。
026.stcm2 0x5c30 だからこその余裕なのでしょう。
026.stcm2 0x5c8c けれど、僕にはもう１つの心配がありました。
026.stcm2 0x5d4c 「ベノムちゃんが来年も僕のところに来てくれ
026.stcm2 0x5da4 るってことは、来年もドクロちゃんは僕のとこ
026.stcm2 0x5dfc ろにいてくれるってことだよ？」
026.stcm2 0x5f80 ドクロちゃん
026.stcm2 0x5fbc 「うん！　ボクは桜くんと一緒だよ！」
026.stcm2 0x61d0 「うわっ……とっ！　ドクロちゃん、急に引っ
026.stcm2 0x6228 張ったらあぶないよ」
026.stcm2 0x62bc ドクロちゃんは僕の手を取って、走り出しまし
026.stcm2 0x6314 た。心配なんていらないと、これがずっと続く
026.stcm2 0x636c んだと伝えるかのように。
026.stcm2 0x63c4 笑顔を輝かせ、そしてドクロちゃんは僕に問う
026.stcm2 0x641c のです。
026.stcm2 0x6620 ドクロちゃん
026.stcm2 0x665c 「桜くんは、ボクと一緒にいてくれる？」
026.stcm2 0x6838 ドクロちゃんの言葉は、少なからず僕に驚きを
026.stcm2 0x6890 もたらしました。
026.stcm2 0x6924 考えてみたら、ドクロちゃんの方からそんなこ
026.stcm2 0x697c とを言われるのは、はじめてかもしれません。
026.stcm2 0x69e4 ですが、僕の答えは決まっていました。
026.stcm2 0x6aa0 「……もう、仕方がないなあドクロちゃんは。
026.stcm2 0x6af8 僕が一緒にいないと不安でしょうがないよ」
026.stcm2 0x6b60 僕が苦笑混じりにそう言うと、ドクロちゃんは
026.stcm2 0x6bb8 うれしそうでした。
026.stcm2 0x6c30 ドクロちゃん
026.stcm2 0x6c6c 「えへへへっ。それじゃあ、ボクと桜くんは、
026.stcm2 0x6cc4 これからも一緒だね」
026.stcm2 0x6f30 つないだ手から、ドクロちゃんの体温が伝わっ
026.stcm2 0x6f88 てきます。僕はとてもほほえましい気持ちで、
026.stcm2 0x6fe0 ドクロちゃんを見ていました。
026.stcm2 0x7260 ドクロちゃん
026.stcm2 0x729c 「……それで、一緒にご飯食べてー、一緒にお
026.stcm2 0x72f4 風呂に入ろうって桜くんが言い出してー」
026.stcm2 0x73d8 「――なにッ！？」
026.stcm2 0x7428 ドクロちゃんが急にもだえはじめました。横か
026.stcm2 0x7480 ら見ると、いろいろな意味で危険です！
026.stcm2 0x75cc ドクロちゃん
026.stcm2 0x7608 「一緒のお布団で寝ようよ、って桜くんが自分
026.stcm2 0x7660 のお布団を開いて……きゃああっ！　もう桜く
026.stcm2 0x76b8 ん、はや過ぎぃぃーーっ！！」
026.stcm2 0x7714 そして、ドクロちゃんが取り出したのは、ほほ
026.stcm2 0x776c えましくもなんともない、金属質な魔法のバッ
026.stcm2 0x7808 ……これがどうも、ドクロちゃんと一緒にいる
026.stcm2 0x7860 ということの代償のようです。
026.stcm2 0x7ca0 ドクロちゃんは、照れてもだえたまま、ぶんぶ
026.stcm2 0x7cf8 んとエスカリボルグを振り回し……。
026.stcm2 0x7db0 「そんなッ！？　これからも仲良くしよう、で
026.stcm2 0x7e08 終わりにしようよ！　僕がせっかくきれいにま
026.stcm2 0x7e60 とめにかかったと言うのに……！」
026.stcm2 0x7fb4 「ああ、もうッ！　止めてもムダだってことは
026.stcm2 0x800c わかってるから僕が言うよ！　……ドクロちゃ
026.stcm2 0x8064 ん、これからも仲良ぶあぁふァ――ッ！！」
026.stcm2 0x8150 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
027.stcm2 0x2d4 最終話　静希ちゃん
027.stcm2 0x540 放課後の時間が、川のように流れていきます。
027.stcm2 0x5a8 僕と静希ちゃんは学校の帰り、放課後の時間を
027.stcm2 0x600 土手で過ごしていました。
027.stcm2 0x6b0 「……それで、昨日の晩ご飯のときにおハシが
027.stcm2 0x708 転がったんだけど、それを見たドクロちゃんが
027.stcm2 0x760 大爆笑しちゃって大変だったんだよ」
027.stcm2 0x7c0 僕は昨日の情景を思い浮かべながら、熱を込め
027.stcm2 0x818 て静希ちゃんに話します。
027.stcm2 0x870 静希ちゃんはそれに相づちを打ちながら、僕の
027.stcm2 0x8c8 横をゆっくりとした足取りで歩いていました。
027.stcm2 0xa18 静希ちゃん
027.stcm2 0xa50 「ふうん、大変だったんだね。うちは、なにも
027.stcm2 0xaa8 なかったな」
027.stcm2 0xaf4 静希ちゃんが寂しさを宿したような瞳で、遠く
027.stcm2 0xb4c を見ました。その方向には、ベノムちゃんがい
027.stcm2 0xba4 る世界があるのでしょうか。
027.stcm2 0xc54 「……静希ちゃん、元気出して？」
027.stcm2 0xd9c 静希ちゃん
027.stcm2 0xdd4 「うん、ありがとう。寂しいけど、私は大丈夫
027.stcm2 0xe2c だから」
027.stcm2 0xe74 このとき、僕はどれだけ【僕がいるじゃない！】
027.stcm2 0xed0 って言いたかったことでしょう。
027.stcm2 0xf2c けれど、寂しさを感じていたのは僕も一緒だっ
027.stcm2 0xf84 たのです。そしてまた、その寂しさが１番大き
027.stcm2 0xfdc いのは静希ちゃんなのもわかっているのです。
027.stcm2 0x10e0 ベノムちゃんが任務を終え、この街から去って
027.stcm2 0x1138 いってから数日が過ぎました。
027.stcm2 0x1194 街が静かになってしまった気さえする寂しさの
027.stcm2 0x11ec 中で、しかし静かになったのは、静希ちゃんも
027.stcm2 0x1244 同様でした。
027.stcm2 0x1290 事情を知る僕から見ると、それはとても痛々し
027.stcm2 0x12e8 いものです。誰にも気付かれないようにしてい
027.stcm2 0x1340 るのが見えて、つらそうなのです。
027.stcm2 0x1598 「ベノムちゃんは、きっと元気でやってるよ。
027.stcm2 0x15f0 任務も果たせたんだし、今ごろ向こうでえらい
027.stcm2 0x1648 人とかにほめられてたりしてさ」
027.stcm2 0x1788 静希ちゃん
027.stcm2 0x17c0 「うん。ベノムちゃん、がんばったもんね」
027.stcm2 0x1880 「それに、また来てくれると思うよ。ドクロちゃ
027.stcm2 0x18dc んたちがこの街にいる限りは」
027.stcm2 0x1938 またいつか、点呼と健康診断のために、スーヴェ
027.stcm2 0x1994 リージュから天使がやってくることでしょう。
027.stcm2 0x19fc あとは、その天使がベノムちゃんであることを
027.stcm2 0x1a54 願うばかりです。
027.stcm2 0x1bb4 静希ちゃん
027.stcm2 0x1bec 「そうだね。きっと、来てくれるよね」
027.stcm2 0x1ca8 「またドクロちゃんを追いかけるのかな？」
027.stcm2 0x1d10 僕は、一連の騒動を思い出しながら、笑います。
027.stcm2 0x1e64 静希ちゃん
027.stcm2 0x1e9c 「ベノムちゃんに聞いたけど、健康診断は２年
027.stcm2 0x1ef4 に１回でもいいんだよね？　それなら、次はド
027.stcm2 0x1f4c クロちゃん、逃げないと思うな」
027.stcm2 0x2000 「なるほど……そう言えばそうだったね」
027.stcm2 0x2064 きっと、ドクロちゃんは次回の健康診断をパス
027.stcm2 0x20bc することでしょう。
027.stcm2 0x221c 静希ちゃん
027.stcm2 0x2254 「ねえ、桜くん。あのね……」
027.stcm2 0x2308 「なに？」
027.stcm2 0x2350 静希ちゃんは秋の風にも負けてしまいそうなほ
027.stcm2 0x23a8 ど、小さな声で話しはじめました。
027.stcm2 0x24f0 静希ちゃん
027.stcm2 0x2528 「笑わないで……聞いてくれるかな？」
027.stcm2 0x25e4 「うん。いいけど、どうしたの？」
027.stcm2 0x26a0 静希ちゃんは一瞬のタメを挟んでから、
027.stcm2 0x2814 静希ちゃん
027.stcm2 0x284c 「もし、私の手がベノムちゃんみたいに、毒に
027.stcm2 0x28a4 なっていたら……桜くんはどうする？」
027.stcm2 0x2908 真剣な表情と、やさしい声。
027.stcm2 0x2960 そんな静希ちゃんの話は、僕を驚かせるもので
027.stcm2 0x29b8 した。だって……。
027.stcm2 0x2a08 ――静希ちゃんの手が、毒手だったら。
027.stcm2 0x2a6c そんな仮定、考えたこともありませんでした。
027.stcm2 0x2ac4 けれど、相手が静希ちゃんであるなら、答えは
027.stcm2 0x2b1c すぐに出るのです。
027.stcm2 0x2bc4 「……手を、つなぐよ。誰もその毒を受けない
027.stcm2 0x2c1c ように、僕が手をつないでる」
027.stcm2 0x2d38 静希ちゃんは目を、ぱちくり。
027.stcm2 0x2ea0 静希ちゃん
027.stcm2 0x2ed8 「ふふふ……なあに、それ？」
027.stcm2 0x2f8c 「あー、笑わないでって言った静希ちゃんが、
027.stcm2 0x2fe4 僕の返事に笑ってるじゃん」
027.stcm2 0x3124 静希ちゃん
027.stcm2 0x315c 「ごめんね、ちょっと想像してない答えだった
027.stcm2 0x31b4 から。……でも、ちょっとうれしいな」
027.stcm2 0x3270 「そ、そうかな？」
027.stcm2 0x33a8 静希ちゃん
027.stcm2 0x33e0 「うん、でも……どうして、桜くんが手をつな
027.stcm2 0x3438 ぐの？　毒なんだよ？」
027.stcm2 0x348c それはもちろん、好きだからに決まってるじゃ
027.stcm2 0x34e4 ないですか！　手なんて、２４時間つないでい
027.stcm2 0x353c たいですよ！
027.stcm2 0x3588 ……ですが、僕の口はそれとは別のことを語り
027.stcm2 0x367c 「だって、静希ちゃんはベノムちゃんの毒手の
027.stcm2 0x36d4 ことを知ったとき【かわいそう】って言ってた
027.stcm2 0x3770 僕は、静希ちゃんの言葉を思い出していました。
027.stcm2 0x3a04 静希ちゃん
027.stcm2 0x3a3c 「ベノムちゃん、少しかわいそう……」
027.stcm2 0x3d04 「僕も静希ちゃんがそんなことになってたら、
027.stcm2 0x3d5c きっとかわいそうって感じると思うんだ」
027.stcm2 0x3e18 「触れた人を知らずに傷つけちゃうなんて、静
027.stcm2 0x3e70 希ちゃんにさせたくないから」
027.stcm2 0x3ecc 僕は静希ちゃんの目を見て、答えたのです。口
027.stcm2 0x3f24 は勝手に動いていました。つまり、それは本心
027.stcm2 0x3f7c なのです。
027.stcm2 0x3fc4 心にもないことなんて、どうやっても言えるは
027.stcm2 0x401c ずがないのですから。
027.stcm2 0x4180 静希ちゃん
027.stcm2 0x41b8 「桜くん……」
027.stcm2 0x4204 土手を風が流れ、その風に乗って静希ちゃんの
027.stcm2 0x425c 小さな声が聞こえました。
027.stcm2 0x42b4 僕と静希ちゃんの視線が重なります。無言のま
027.stcm2 0x430c ま、時間の流れが遅くなるのを感じました。
027.stcm2 0x4374 これは……なんていい雰囲気なのでしょうか。
027.stcm2 0x43dc 告白するとしたら、今しか……？
027.stcm2 0x4438 なんの準備もしてきていないのが悔やまれます
027.stcm2 0x4490 が、僕にこんな機会はそうそう訪れません。
027.stcm2 0x44f8 このチャンスをモノにできなくて、男と言えよ
027.stcm2 0x4550 うか！？　……いや言えまい！
027.stcm2 0x45ec 僕は立ち止まり、静希ちゃんに向き直ります。
027.stcm2 0x4644 僕が止まったのを見て、合わせるように静希ちゃ
027.stcm2 0x46a0 んも足を止めました。
027.stcm2 0x474c 「あの、さ。僕……静希ちゃんのコト……」
027.stcm2 0x47d0 想いを言葉に乗せてつむぐとき、空気を切り裂
027.stcm2 0x4828 くように、それは飛来しました。
027.stcm2 0x4ee8 ガリュンッ！
027.stcm2 0x4f5c 風切り音と混じって聞こえたのは、そんな破砕
027.stcm2 0x4fb4 音。その鋼鉄には、ヨウシャというものが決定
027.stcm2 0x500c 的に欠けていました。
027.stcm2 0x5060 僕の身体を跳ね飛ばし、エスカリボルグは土手
027.stcm2 0x50b8 に突き刺さりました。
027.stcm2 0x53a4 くるくると空中で回転する僕の身体は、まるで
027.stcm2 0x53fc 風車。僕に発電機が付いていれば、きっとたく
027.stcm2 0x5454 さん電気を生み出したことでしょう。
027.stcm2 0x54b4 なにが起きたのか、僕には理解する時間さえ与
027.stcm2 0x550c えられず、けれどこんなことをするのはドクロ
027.stcm2 0x5564 ちゃん以外にありえないのです……！
027.stcm2 0x55ec そして予想どおり、遠くから聞こえてくるのは、
027.stcm2 0x5648 くりくりヴォイス！
027.stcm2 0x58d0 ドクロちゃん
027.stcm2 0x590c 「桜くーん、ごめーん！　それとってーー！」
027.stcm2 0x5974 それとはなんでしょう？　エスカリボルグでしょ
027.stcm2 0x59d0 うか？　まずはどこに突っ込みましょう。
027.stcm2 0x5a34 僕がこの状態で取れるわけがないこと。
027.stcm2 0x5a98 僕が存命でもエスカリボルグは重過ぎて持てな
027.stcm2 0x5af0 いこと。
027.stcm2 0x5b38 ドクロちゃんが僕を跳ね飛ばしておきながら、
027.stcm2 0x5b90 まったく気付いてないこと。
027.stcm2 0x5dcc 静希ちゃん
027.stcm2 0x5e04 「ド、ドクロちゃん、桜くんが……！　はやく
027.stcm2 0x5e5c 戻してあげて！」
027.stcm2 0x5eac 静希ちゃんはドクロちゃんを呼びつけます。
027.stcm2 0x6104 ドクロちゃん
027.stcm2 0x6140 「え？　きゃっ！　桜くんが、風車っぽくクル
027.stcm2 0x6198 クル回りながら飛んじゃったみたいになって
027.stcm2 0x6234 ドクロちゃんはまるで、見ていたかのように具
027.stcm2 0x628c 体的です。
027.stcm2 0x6480 そして彼女は、土手に刺さったエスカリボルグ
027.stcm2 0x64d8 の元へ走り、それを引き抜きました。
027.stcm2 0x6658 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
027.stcm2 0x67b0 「……だが、まず言いたいのは、そもそもなん
027.stcm2 0x6808 でエスカリボルグがタイミングよく、僕に向かっ
027.stcm2 0x6864 て飛んでくるのかだッ！」
027.stcm2 0x68bc 僕は地面にヒザをついたまま、ドクロちゃんに
027.stcm2 0x6914 向かって怒声を上げました。
027.stcm2 0x6af4 ドクロちゃん
027.stcm2 0x6b30 「あのね、桜くんの姿が見えなかったから、ボ
027.stcm2 0x6b88 ク、さびしくてあれやってたの」
027.stcm2 0x6c3c 「あれ……？　あれって、なに？」
027.stcm2 0x6d84 ドクロちゃん
027.stcm2 0x6dc0 「棒を地面に立ててから手を離して、パタッて
027.stcm2 0x6e18 倒れた方向で、目的のものをさがすやつ。そし
027.stcm2 0x6e70 たら、桜くんが見つかったの！」
027.stcm2 0x6f24 「アンタ、投げたでしょッ！？　しかも、僕を
027.stcm2 0x6f7c 狙った気配さえするコントロールで！！」
027.stcm2 0x6fe0 狙いはドンピシャ。偶然で片づけられるもので
027.stcm2 0x7038 はありません。
027.stcm2 0x716c ドクロちゃん
027.stcm2 0x71a8 「それじゃあ、ボクは先に帰るね？　寄り道し
027.stcm2 0x7200 てたら、先生に怒らせるよー？」
027.stcm2 0x72b4 「怒られるんだよ！　ドクロちゃんが先生に命
027.stcm2 0x730c 令するのかよ！　ていうか、あんなことしてま
027.stcm2 0x7364 で僕をさがしといて、なんの用もないの！？」
027.stcm2 0x74b0 ドクロちゃん
027.stcm2 0x74ec 「静希ちゃん、ばいばーい！」
027.stcm2 0x7778 静希ちゃん
027.stcm2 0x77b0 「あ、うん。またね、ドクロちゃん」
027.stcm2 0x7920 ドクロちゃんは静希ちゃんに手を振りながら、
027.stcm2 0x7978 土手をさっさと歩いていってしまいました。
027.stcm2 0x7a3c 結局、せっかくの告白チャンスも台無しです。
027.stcm2 0x7a94 すべてドクロちゃんのせいです。もうちょっと
027.stcm2 0x7aec で、告白できたかもしれないのに……！
027.stcm2 0x7b50 まったく、ドクロちゃんは……親の顔が見てみ
027.stcm2 0x7ba8 たいです！
027.stcm2 0x7bf0 ……まてよ？　本当に見てみたいですよ？
027.stcm2 0x7cc8 「ああ、もう！　ベノムちゃんが帰っちゃって
027.stcm2 0x7d20 も迷惑ばっかりかけるんだから！」
027.stcm2 0x7d80 僕が、立ち上がることも忘れて怒りをあらわに
027.stcm2 0x7dd8 していると、
027.stcm2 0x8030 静希ちゃん
027.stcm2 0x8068 「桜くん。ほら……立って？」
027.stcm2 0x8184 僕に向かって差し出されるのは静希ちゃんの手。
027.stcm2 0x81e0 とてもやわらかそうで、それでいてあたたかそ
027.stcm2 0x827c 僕は、その手をつかむことをためらいました。
027.stcm2 0x8324 自分でもよくわからないのですが、触れたら静
027.stcm2 0x837c 希ちゃんの腕が壊れてしまうんじゃないか、な
027.stcm2 0x83d4 んて錯覚が浮かんできたからだと思います。
027.stcm2 0x843c 僕には静希ちゃんのその白い手が、それほどま
027.stcm2 0x8494 でに、はかない存在に見えたのです。
027.stcm2 0x869c 静希ちゃん
027.stcm2 0x86d4 「どうしたの？　私の手、毒じゃないよ？」
027.stcm2 0x873c 静希ちゃんは笑っています。
027.stcm2 0x87ec 「ふふ……そうだったね。でも、もし毒だった
027.stcm2 0x8844 としても、大丈夫だよ」
027.stcm2 0x8898 僕も笑いました。
027.stcm2 0x8c6c そして、僕が静希ちゃんの手を取って立ち上が
027.stcm2 0x8cc4 り、お互いに笑い合ってから、静希ちゃんは言
027.stcm2 0x8d1c いました。
027.stcm2 0x8e48 静希ちゃん
027.stcm2 0x8e80 「桜くん、頼りにしてるからね」
028.stcm2 0x1c0 最終話　サバトちゃん
028.stcm2 0x2f8 土手を歩く、学校帰りの僕。ゆっくりした足取
028.stcm2 0x350 りで地面を踏みしめて、晴れた空の下を歩いて
028.stcm2 0x3a8 いました。
028.stcm2 0x550 そして僕の横には、ツノが生えた天使の少女。
028.stcm2 0x5b8 そんな特殊な女の子を伴って歩いているのは、
028.stcm2 0x610 世界広しと言えど、僕くらいなのではないでしょ
028.stcm2 0x798 サバトちゃん
028.stcm2 0x7d4 「それにしても奇遇ですぅ」
028.stcm2 0x884 「うん。サバトちゃんは、なにしてたの？」
028.stcm2 0x8ec 僕は学校帰りに、のんびりと歩いているサバト
028.stcm2 0x944 ちゃんを見かけたので、声をかけてみたのです。
028.stcm2 0xa98 サバトちゃん
028.stcm2 0xad4 「サバトは、近くの山に食べられる草と、木の
028.stcm2 0xb2c 実を拾いに行っていた帰りなんですぅ」
028.stcm2 0xb90 普通の人がやっているなら、楽しそうな遊びだ
028.stcm2 0xbe8 と思うかもしれません。
028.stcm2 0xc3c 確かにどんぐりを拾ったり、秋の七草をさがし
028.stcm2 0xc94 て集めるのは、たまにやる分には楽しそうです。
028.stcm2 0xd00 けれどサバトちゃんの場合、そんな余裕のある
028.stcm2 0xd58 遊びではありません。あくまで、今日の食料の
028.stcm2 0xdb0 調達なのです。
028.stcm2 0xdfc サバトちゃんのクツについた泥を見ると、必死
028.stcm2 0xe54 さが伝わってきて、泣けてくるじゃないですか。
028.stcm2 0xfa4 サバトちゃん
028.stcm2 0xfe0 「今日は、いいお天気なんですぅ。雨が上がっ
028.stcm2 0x1038 たあとのこんな日は、草がたくさん伸びるんで
028.stcm2 0x1090 すよぅ」
028.stcm2 0x1130 「そ、そうなんだ……生活の知恵ってやつかな？
028.stcm2 0x118c あはははは……」
028.stcm2 0x12a0 僕はそんな話をしながら、健康診断のためにやっ
028.stcm2 0x12fc てきた天使の少女を思い出していました。
028.stcm2 0x1360 ベノムちゃんがすべての任務を終えて未来の世
028.stcm2 0x13b8 界に帰還してから、数日が過ぎています。
028.stcm2 0x141c ベノムちゃんにとっての雨は上がり、彼女は晴
028.stcm2 0x1474 れやかな表情で帰っていきました。
028.stcm2 0x14d4 今日は、なんとなくベノムちゃんが帰った、あ
028.stcm2 0x152c の日の天気に似ているのです。
028.stcm2 0x15b0 サバトちゃん
028.stcm2 0x15ec 「そう言えば、ベノムちゃんは、今ごろどうし
028.stcm2 0x1644 てるでしょうかぁ？」
028.stcm2 0x1698 サバトちゃんは空を見上げながら、そんなこと
028.stcm2 0x16f0 をつぶやきました。
028.stcm2 0x1798 「きっと、元気でやってるよ。任務はきちんと
028.stcm2 0x17f0 果たせたんだし」
028.stcm2 0x1840 僕は、口元に笑みを浮かべながら答えます。
028.stcm2 0x18a8 サバトちゃんも僕と同じコトを考えていたのが、
028.stcm2 0x1904 ちょっとうれしかったのです。
028.stcm2 0x1b58 「半分くらい忘れてたんだけどさ、サバトちゃ
028.stcm2 0x1bb0 んも、ベノムちゃんから逃げてたんだよね」
028.stcm2 0x1d00 サバトちゃん
028.stcm2 0x1d3c 「あ、恥ずかしいですぅ！　それは半分じゃな
028.stcm2 0x1d94 くて全部、忘れてくださいよぅ！」
028.stcm2 0x1e4c 「ごめんごめん。それもいい思い出かな、と思っ
028.stcm2 0x1fd4 サバトちゃん
028.stcm2 0x2010 「いい思い出は、そのあとですぅ」
028.stcm2 0x20c8 「そのあと？」
028.stcm2 0x21f8 サバトちゃん
028.stcm2 0x2234 「スポーツフェスティバルとか、プールとかに
028.stcm2 0x228c 行ったですぅ」
028.stcm2 0x2330 「ああ、そうだったね。ベノムちゃんが来てか
028.stcm2 0x2388 ら短い間に、いろいろやったもんね」
028.stcm2 0x23e8 僕は１つ１つの出来事を思い出してみます。楽
028.stcm2 0x2440 しいことがたくさんありました。
028.stcm2 0x2c2c ……苦しいこともたくさんありました。
028.stcm2 0x2c90 どうしましょう。気付いてしまったんですが、
028.stcm2 0x2ce8 僕って楽しい思い出に、必ずなにかしらの苦痛
028.stcm2 0x2d40 が伴っています。
028.stcm2 0x2d90 もっとこう胸がきゅんってなっちゃうような、
028.stcm2 0x2de8 甘い痛みとか、そんなのはないものでしょうか。
028.stcm2 0x3044 サバトちゃん
028.stcm2 0x3080 「桜くん、あの……」
028.stcm2 0x312c 「え、なに？」
028.stcm2 0x3178 僕が甘い恋のお話の想像に走ろうとしたとき、
028.stcm2 0x31d0 隣を歩くサバトちゃんから声がかかりました。
028.stcm2 0x3320 サバトちゃん
028.stcm2 0x335c 「サバトは、こっちなんですぅ……」
028.stcm2 0x3414 「あ、そっか。それじゃあまたね。サバトちゃ
028.stcm2 0x346c ん、がんばって」
028.stcm2 0x34d8 立ち止まり、手を振る僕にサバトちゃんは大き
028.stcm2 0x3530 な声で言いました。
028.stcm2 0x3690 サバトちゃん
028.stcm2 0x36cc 「あ、その！　……桜くん、サバトのおうちに
028.stcm2 0x3724 寄って行ってくださいですぅ！」
028.stcm2 0x3a68 そして連れられるまま、サバトちゃんのダンボー
028.stcm2 0x3ac4 ルハウスにやってきました。
028.stcm2 0x3b1c 家の中をひとしきり見せてもらったあと、僕た
028.stcm2 0x3b74 ちは外に出て、ティータイムと相成りました。
028.stcm2 0x3c70 サバトちゃん
028.stcm2 0x3cac 「はい、どうぞですぅ！」
028.stcm2 0x3d04 サバトちゃんは、うれしそうにお茶を差し出し
028.stcm2 0x3d5c てきます。
028.stcm2 0x3f3c 「う、うん、ありがとう。やっぱり、このお茶
028.stcm2 0x40dc サバトちゃん
028.stcm2 0x4118 「は、はいですぅ。サバトが、そこいらに生え
028.stcm2 0x4170 ている草からいれたお茶ですぅ」
028.stcm2 0x41cc 飲んだあと、おなかが心配になるお茶です。
028.stcm2 0x425c サバトちゃん
028.stcm2 0x4298 「あ、あと、お茶うけにさっき摘んできたばか
028.stcm2 0x42f0 りの食べられる草はいかがですかぁ？」
028.stcm2 0x43ec 「あ、ううん！　お構いなくお構いなく！　僕、
028.stcm2 0x4448 お昼ご飯食べちゃったし、サバトちゃんの食べ
028.stcm2 0x44a0 もの食べちゃったら悪いから！」
028.stcm2 0x4524 サバトちゃん
028.stcm2 0x4560 「桜くんは気にしなくていいんですぅ。いつも
028.stcm2 0x45b8 お世話になっているですからぁ」
028.stcm2 0x466c 「うん、本当に大丈夫！　エンリョじゃなくて、
028.stcm2 0x46c8 マジでいいです！」
028.stcm2 0x48e0 僕はそれをごまかすように、ぐいっと目の前に
028.stcm2 0x4938 あるお茶を一気に飲みました。
028.stcm2 0x4afc 「……うぷっ」
028.stcm2 0x4b48 こ、これは……想像以上の苦味の中に、ちょっ
028.stcm2 0x4ba0 とヤバそうな感じの臭みがなんとも言えず……
028.stcm2 0x4bf8 うっわ、また香ばしいなァッ、コレが！！
028.stcm2 0x4c5c これ、お茶って言うか、気付け薬ですよ！
028.stcm2 0x4cc0 僕は、一息に飲み干したことをこれまでの人生
028.stcm2 0x4d18 の中で、トップ５に入るくらいの強さで後悔し
028.stcm2 0x4d70 ました。
028.stcm2 0x4e4c そうです。これは苦味を味わうよりも、後悔を
028.stcm2 0x4ea4 味わうお茶なのです。
028.stcm2 0x4f90 「けほっ、けほっ、けほっ！　サ、サバトちゃ
028.stcm2 0x5098 サバトちゃん
028.stcm2 0x50d4 「おかわりですかぁ？」
028.stcm2 0x5180 「断じてイナッ！！　お願いしますから、それ
028.stcm2 0x51d8 だけは勘弁してください！」
028.stcm2 0x524c 口の中につばがあふれて、とてもすっぱいです。
028.stcm2 0x52a8 脂汗もかいてしまって……僕は、そこでベノム
028.stcm2 0x5300 ちゃんの毒手を思い出しました。
028.stcm2 0x5518 サバトちゃん
028.stcm2 0x5554 「このおうち、桜くんがはじめてのお客さんな
028.stcm2 0x55ac んですぅ。すっごく、うれしいんですぅ」
028.stcm2 0x5638 サバトちゃん
028.stcm2 0x5674 「で、でも、男の子と２人っきりになるのって、
028.stcm2 0x56d0 なんだか緊張するんですぅ」
028.stcm2 0x5780 「サ、サバトちゃん……？」
028.stcm2 0x57d8 お茶のえぐい味も消えない内に、急に男の子女
028.stcm2 0x5830 の子の関係を思い出し、僕はドキリとしました。
028.stcm2 0x588c そのドキドキが加速していき……。
028.stcm2 0x59a4 「桜くーーーーーん！　どこーーー！？」
028.stcm2 0x5a08 そのとき、なにかが聞こえました。
028.stcm2 0x5a90 ダンボールハウスの陰からそーっとのぞき見る
028.stcm2 0x5ae8 と、そこにはエスカリボルグを振り回して、茂
028.stcm2 0x5b40 みをかきわけるドクロちゃんの姿が！
028.stcm2 0x5ba0 ドクロちゃんが僕のことをさがしています！
028.stcm2 0x5bf8 心なしか不機嫌なように感じますが……僕は、
028.stcm2 0x5c50 なにかやらかしてしまったのでしょうか？
028.stcm2 0x5cb4 なんにしてもイヤな予感がするので、僕はこの
028.stcm2 0x5d0c ままサバトちゃんと隠れていることにして、
028.stcm2 0x5efc ドクロちゃん
028.stcm2 0x5f38 「出てこないとサバトちゃんのおうちを……」
028.stcm2 0x5fa0 大急ぎで飛び出すのですッ！
028.stcm2 0x6090 「はいはい！　ここ！　ここにいましゅぱッ！」
028.stcm2 0x6474 ダンボールハウスの向こう側に顔を出した瞬間
028.stcm2 0x64cc に視界が吹き飛ぶ感覚。……吹き飛んだのは、
028.stcm2 0x6524 しかし僕の方でした。
028.stcm2 0x6578 エスカリボルグで草の根をかき分けていたドク
028.stcm2 0x65d0 ロちゃんは、タイミング悪く顔を出した僕に痛
028.stcm2 0x6628 恨の一撃を命中させてしまうのです！
028.stcm2 0x68b4 ドクロちゃん
028.stcm2 0x68f0 「あっ！　桜くん、そんなところから顔を出す
028.stcm2 0x6948 から……！」
028.stcm2 0x6ab4 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
028.stcm2 0x6b34 僕は命を拾いました。
028.stcm2 0x6e0c 「ドクロちゃん……なんの用？　なんで僕をさ
028.stcm2 0x6e64 がしてたの？」
028.stcm2 0x6f98 ドクロちゃん
028.stcm2 0x6fd4 「昨日、桜くんが寝たあとに、ボクが桜くんの
028.stcm2 0x702c 枕もとで【明日は一緒に遊ぼうね】って言った
028.stcm2 0x7084 でしょッ！　約束守ってよ！」
028.stcm2 0x7138 「聞いてない！　ドクロちゃん、【僕が寝たあ
028.stcm2 0x7190 と】って思いっきり言ってるじゃん！　そんな
028.stcm2 0x71e8 一方的な約束知らないよ！」
028.stcm2 0x7328 ドクロちゃん
028.stcm2 0x7364 「もうっ、桜くん？　こんなところで、道草を
028.stcm2 0x73bc 食べて、おなか壊してもしらないよ？」
028.stcm2 0x7508 ドクロちゃんは僕のおでこをコツンとつつき、
028.stcm2 0x7560 ごまかし完了とばかり、その立派過ぎる胸を張
028.stcm2 0x75b8 ります。
028.stcm2 0x7658 「すごく的確な指摘だけど、まだ草は食べてな
028.stcm2 0x76b0 いから大丈夫！　……いや、ちがう！　問題は
028.stcm2 0x7708 そこじゃない！」
028.stcm2 0x7840 ドクロちゃん
028.stcm2 0x787c 「ほらっ！　桜くん、もう帰るよ！」
028.stcm2 0x79c4 ドクロちゃんが僕の手をつかみ、力いっぱい引っ
028.stcm2 0x7a20 張ります。僕の力ではドクロちゃんに抵抗する
028.stcm2 0x7a78 べくもありません。
028.stcm2 0x7c2c その手のやわらかさに酔いしれるヒマも与えら
028.stcm2 0x7c84 れずに、僕は連れ去られるようにしてアバラン
028.stcm2 0x7cdc チ公園を出て行こうとします。
028.stcm2 0x7e78 「ちょっとドクロちゃん、帰る！　帰るから、
028.stcm2 0x7ed0 引っ張らないで！」
028.stcm2 0x812c サバトちゃん
028.stcm2 0x8168 「あ、あの、桜くん……！」
028.stcm2 0x8218 「ご、ごめんねサバトちゃん、バタバタして……
028.stcm2 0x8274 お邪魔しました！」
028.stcm2 0x83d4 サバトちゃん
028.stcm2 0x8410 「ま、また来てくださいですぅ！　サバトは、
028.stcm2 0x8468 いつでもおまちしてるんですぅ！」
028.stcm2 0x8520 「う、うん。またねサバトちゃん！　また今度
028.stcm2 0x8578 ゆっくり……！」
028.stcm2 0x86ac サバトちゃん
028.stcm2 0x86e8 「はいですぅ！」
028.stcm2 0x8860 ベノムちゃんとはちがった再会の約束を交わし
028.stcm2 0x88b8 て、僕はアバランチ公園を後にします。
028.stcm2 0x891c お話の中で引き裂かれる男女みたいだな、と思っ
028.stcm2 0x8978 たけれど僕は黙っていることにしました。
028.stcm2 0x8a1c サバトちゃんに会いたいと思えば、いつでも会
028.stcm2 0x8a74 えるのですから。
029.stcm2 0x21c 最終話　ザクロちゃん
029.stcm2 0x4b4 ザクロちゃん
029.stcm2 0x4f0 「桜さん、今お帰りですか？」
029.stcm2 0x5a4 「あ、ザクロちゃん」
029.stcm2 0x5f8 学校帰り、土手を１人で歩いていた僕は買い物
029.stcm2 0x650 帰りのザクロちゃんに呼び止められました。
029.stcm2 0x6b8 そしてそのまま、ゆっくりとした足取りで土手
029.stcm2 0x710 を歩いていきます。
029.stcm2 0x760 僕は聖ゲルニカ学園のワインレッドの制服。ザ
029.stcm2 0x7b8 クロちゃんは真っ白な軍服に身を包んでいます。
029.stcm2 0x824 そんな僕たち２人は、周りから見たらどう見え
029.stcm2 0x87c るのでしょうか。
029.stcm2 0x8cc できれば、兄妹に見えてほしいところですが、
029.stcm2 0x924 それは無理な願いかもしれません。だって、ザ
029.stcm2 0x97c クロちゃんの方が背が高いんですもん。
029.stcm2 0xac8 ザクロちゃん
029.stcm2 0xb04 「桜さん、学校でおねえさまの様子はいかがで
029.stcm2 0xb5c すか？」
029.stcm2 0xbfc 「いつもと変わらず、元気がありすぎて困って
029.stcm2 0xc54 るよ。今日も体育の時間のあとに撲殺されたし」
029.stcm2 0xcc0 体育の授業を終えて、２年Ａ組の引き戸をがら
029.stcm2 0xd18 り。そこには着替え中のドクロちゃんの姿が。
029.stcm2 0xd80 あとはいつものパターンです。この場合の教訓
029.stcm2 0xdd8 は、体育のあとに教室に一番乗りしちゃいけな
029.stcm2 0xe30 いってことです。今後の参考にしましょう。
029.stcm2 0xf7c ザクロちゃん
029.stcm2 0xfb8 「そうでしたか。何事もないのでしたらよかっ
029.stcm2 0x1010 たです」
029.stcm2 0x1058 ザクロちゃんはにっこりです。
029.stcm2 0x1134 「撲殺されたって言ったじゃん！　全然何事も
029.stcm2 0x118c なくないですよ！？」
029.stcm2 0x12c8 ザクロちゃん
029.stcm2 0x1304 「あ……申し訳ありません。あまりに見慣れた
029.stcm2 0x135c 光景になってしまって、つい……」
029.stcm2 0x1414 「……う、真実が痛いッ！　……おのれ、ドク
029.stcm2 0x146c ロちゃんめ！　ザクロちゃんにまで変な印象を
029.stcm2 0x14c4 与えてぇッ！！」
029.stcm2 0x1790 サバトちゃん
029.stcm2 0x17cc 「あ、桜くんとザクロちゃんですぅ」
029.stcm2 0x182c 僕が怒りに打ち震えていると、そこに通りかかっ
029.stcm2 0x1888 たのは、サバトちゃんです。
029.stcm2 0x19c8 ザクロちゃん
029.stcm2 0x1a04 「こんにちは、サバトさん」
029.stcm2 0x1b44 サバトちゃん
029.stcm2 0x1b80 「はい、こんにちはですぅ。２人でどうしたん
029.stcm2 0x1bd8 ですかぁ？」
029.stcm2 0x1c7c 「僕は学校帰りで、ザクロちゃんは買い物帰り
029.stcm2 0x1cd4 なんだ。そこで会ったんだよ」
029.stcm2 0x1e18 サバトちゃん
029.stcm2 0x1e54 「はぁぁ……なんだか、お買い物帰りに一緒っ
029.stcm2 0x1eac て、うらやましいですぅ」
029.stcm2 0x1fec ザクロちゃん
029.stcm2 0x2028 「そ、そうでしょうか……？」
029.stcm2 0x2084 ザクロちゃんが照れたような表情で、こちらを
029.stcm2 0x20dc ちらりと見ます。
029.stcm2 0x2184 「サバトちゃんはなにをしてるの？」
029.stcm2 0x22cc サバトちゃん
029.stcm2 0x2308 「サバトは、山に食べものをさがしに行くとこ
029.stcm2 0x2360 ろだったんですぅ」
029.stcm2 0x2424 「や、山に……？」
029.stcm2 0x25cc サバトちゃんがドゥリンダルテを片手に、イノ
029.stcm2 0x2624 シシや熊を追いかける姿が、脳裏に浮かびます。
029.stcm2 0x2ad8 放たれる、青白いスパーク。茂みから飛び出し
029.stcm2 0x2b30 てくる猛獣の爪。それらがぶつかり合い……。
029.stcm2 0x2bb4 ……あ、サバトちゃんが勝ちました。
029.stcm2 0x2e54 サバトちゃん
029.stcm2 0x2e90 「今の季節は、木の実とかがたくさん落ちてる
029.stcm2 0x2ee8 ですよぅ」
029.stcm2 0x2f30 僕を正気に戻したのはサバトちゃんの声。
029.stcm2 0x2f94 森の中で、勝利のおたけびを上げるサバトちゃ
029.stcm2 0x2fec んは、ぽんっと煙に包まれて、きれいさっぱり
029.stcm2 0x3044 頭の中から消えました。
029.stcm2 0x30f0 「あ、そういうことなんだ（ほっ）」
029.stcm2 0x3150 サバトちゃんのサバイバルは、僕の想像とちょっ
029.stcm2 0x31ac とちがったものだったようです。……いえ、ち
029.stcm2 0x3204 がってくれてよかったのですが。
029.stcm2 0x344c ザクロちゃん
029.stcm2 0x3488 「がんばってくださいね、サバトさん」
029.stcm2 0x35d0 サバトちゃん
029.stcm2 0x360c 「がんばるですぅ！　今日もきっと大漁なんで
029.stcm2 0x3664 すよぅ！」
029.stcm2 0x3798 サバトちゃんは僕たちに手を振ると、意気込ん
029.stcm2 0x37f0 で歩いて行きました。
029.stcm2 0x3844 サバトちゃんの姿が見えなくなってから、うち
029.stcm2 0x389c で晩ご飯をごちそうしてあげれば済む話だった
029.stcm2 0x38f4 ような気がしましたが、気のせいでしょう。
029.stcm2 0x39b4 「サバトちゃん、元気だね」
029.stcm2 0x3af4 ザクロちゃん
029.stcm2 0x3b30 「はい。おねえさまもサバトさんも、ベノムさ
029.stcm2 0x3b88 んのおかげで、安心してこの街で暮らしていけ
029.stcm2 0x3be0 ますね」
029.stcm2 0x3c28 ベノムちゃんが、未来へと帰っていって数日。
029.stcm2 0x3c80 僕たちは今までどおりの生活を取り戻していま
029.stcm2 0x3d1c とても騒がしかった日々が過ぎ去り、また普通
029.stcm2 0x3d74 くらいに騒がしい日々がはじまるのです。
029.stcm2 0x3e30 「うん……ベノムちゃんも、元気でやってると
029.stcm2 0x3e88 いいね」
029.stcm2 0x3fb8 ザクロちゃん
029.stcm2 0x3ff4 「大丈夫ですよ。任務はきちんと終わらせるこ
029.stcm2 0x404c とができたのですから」
029.stcm2 0x40f8 「ドクロちゃんが逃げたりしなければ、あんな
029.stcm2 0x4150 に時間かからなかったのに……」
029.stcm2 0x42bc ザクロちゃん
029.stcm2 0x42f8 「……しかし、あれで良かったのかもしれませ
029.stcm2 0x43ec 「え？　ドクロちゃんが逃げたこと？」
029.stcm2 0x4450 ザクロちゃんはうなずきます。
029.stcm2 0x4594 ザクロちゃん
029.stcm2 0x45d0 「おねえさまを正当化するわけではありません
029.stcm2 0x4628 が、おねえさまが逃げなければ、ベノムさんは
029.stcm2 0x4680 来た日の内に帰還してしまわれたでしょう」
029.stcm2 0x4740 「そっか……。だからあんなに、一緒にいられ
029.stcm2 0x4798 たんだもんね」
029.stcm2 0x47e4 確かに、ドクロちゃんが逃げなければ、僕たち
029.stcm2 0x483c はベノムちゃんという友だちを得ることはでき
029.stcm2 0x4894 なかったでしょう。
029.stcm2 0x48e4 ……ドクロちゃんのせい、と言うべきなのか。
029.stcm2 0x493c ドクロちゃんのおかげ、と言うべきなのか。
029.stcm2 0x49a4 僕にはもう判断がつかなくなっていました。
029.stcm2 0x4af0 ザクロちゃん
029.stcm2 0x4b2c 「昨年のベノムさんは、あんなに楽しそうな笑
029.stcm2 0x4b84 顔を見せてはくださいませんでした。今回、わ
029.stcm2 0x4bdc たくしも内心、驚いていたのです」
029.stcm2 0x4d24 ザクロちゃん
029.stcm2 0x4d60 「ベノムさんにはご苦労もあったかと思います
029.stcm2 0x4db8 が、きっとそれ以上のものを得てお帰りになっ
029.stcm2 0x4e10 たことでしょう」
029.stcm2 0x4eb8 「そうだと、いいね」
029.stcm2 0x4f0c ベノムちゃんがスーヴェリージュでがんばって
029.stcm2 0x4f64 いる姿を想像しながら、僕はつぶやきました。
029.stcm2 0x50b4 ザクロちゃん
029.stcm2 0x50f0 「きっと、そうでしょう。桜さんががんばって
029.stcm2 0x5148 くださったのですから」
029.stcm2 0x519c これまで、本当に健康診断できるのかと不安で
029.stcm2 0x51f4 眠れない夜もありました。枕をぬらす日々さえ、
029.stcm2 0x5250 ナキにしもアラズ。
029.stcm2 0x52e0 ……まあ、健康診断がなくても僕は枕をぬらし
029.stcm2 0x5338 ますがねッ！
029.stcm2 0x5384 とにかく、今年の健康診断は終了したのです。
029.stcm2 0x53dc 健康診断は２年に１回でも構わないので、きっ
029.stcm2 0x5434 とドクロちゃんは来年をパスすることでしょう。
029.stcm2 0x54a0 僕は小さく笑いながら、
029.stcm2 0x5574 「そう言えば、来年はザクロちゃんが健康診断
029.stcm2 0x55cc を受けなくちゃいけないね」
029.stcm2 0x5708 ザクロちゃん
029.stcm2 0x5744 「桜さん……その話はしないでください」
029.stcm2 0x5a90 ゆっくりとした足取りで家に戻ると、
029.stcm2 0x5c78 ザクロちゃん
029.stcm2 0x5cb4 「ただいま帰りました」
029.stcm2 0x5ef8 ドクロちゃん
029.stcm2 0x5f34 「ザクロちゃんおかえりっ」
029.stcm2 0x5f8c 居間には、くつろぐドクロちゃんの姿がありま
029.stcm2 0x6080 「ああやっぱり、ドクロちゃん先に帰ってたん
029.stcm2 0x6204 ドクロちゃん
029.stcm2 0x6240 「うん、そうだけど、どうして２人ともニコニ
029.stcm2 0x6298 コしてるのっ？　なにかイイコトでもあった？」
029.stcm2 0x635c 「え？　そんなにニコニコしてるかな？」
029.stcm2 0x63c0 僕にそんなつもりはありませんでした。いたっ
029.stcm2 0x6418 て普通のつもりだったのですが、ドクロちゃん
029.stcm2 0x6470 の瞳には楽しそうに映ったのでしょうか。
029.stcm2 0x65b8 ザクロちゃん
029.stcm2 0x65f4 「楽しいお話をしながら帰ってきましたから」
029.stcm2 0x665c ザクロちゃんはほほえみを浮かべながら、答え
029.stcm2 0x66b4 ます。この表情を見れば、なるほどいいことで
029.stcm2 0x670c もあったのかと思うかもしれません。
029.stcm2 0x67e0 「そうだね。ようやく健康しぃん――ッ！！」
029.stcm2 0x6cac ……診断が終わったし、と言うことはできませ
029.stcm2 0x6d04 んでした。
029.stcm2 0x6d4c 一瞬のデキゴトです。花が散る瞬間、落下する
029.stcm2 0x6da4 花びらを両断するような正確さと鋭さで、エス
029.stcm2 0x6dfc カリボルグが振られました。
029.stcm2 0x6e54 ――それは居合の領域。雪解け水のように澄ん
029.stcm2 0x6eac だ一瞬に、リンと鳴る鈴のような一閃は放たれ
029.stcm2 0x6f04 たのです。
029.stcm2 0x6f4c 極限まで高められたドクロちゃんのバットー術
029.stcm2 0x6fa4 （バットスイングテクニック）により、僕は砕
029.stcm2 0x6ffc かれるというよりは、切り裂かれます。
029.stcm2 0x71b0 僕はそれ以上、ただの一言も発することなく、
029.stcm2 0x7208 そのまま、どさり。
029.stcm2 0x7408 ザクロちゃん
029.stcm2 0x7444 「桜さん！　ああ、こんなに……出してしまわ
029.stcm2 0x749c れて……」
029.stcm2 0x74e4 ザクロちゃんはとっても正直者です。
029.stcm2 0x7734 ドクロちゃん
029.stcm2 0x7770 「いっけなぁい！！　カラダが勝手に……！」
029.stcm2 0x77d8 ドクロちゃんは、刀をさやに収めるような動き
029.stcm2 0x7830 で、振りぬいたエスカリボルグを腰だめに構え
029.stcm2 0x7888 直しました。
029.stcm2 0x7a5c ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
029.stcm2 0x7cd0 エスカリボルグの表面が淡く光って、その光は
029.stcm2 0x7d28 あたかもエスカリボルグのさやのよう。
029.stcm2 0x7d8c ドクロちゃんが、もう一度えいやと振れば光は
029.stcm2 0x7de4 風となって僕の元に届きます。
029.stcm2 0x7e68 とってもぱっくり開いてしまった僕の傷口は、
029.stcm2 0x7ec0 あごを閉じるようにくっついたのです。
029.stcm2 0x8024 「……僕がなにを言いたいか、わかるよね？」
029.stcm2 0x8214 ドクロちゃん
029.stcm2 0x8250 「ごめんね……桜くんが【健康】って言うから
029.stcm2 0x82a8 ボク、無理やり健康診断を受けさせられるんだ
029.stcm2 0x8300 と思って」
029.stcm2 0x83a0 「ベノムちゃんは帰ったでしょッ！？　しかも
029.stcm2 0x83f8 アナタの目の前で！」
029.stcm2 0x844c ドクロちゃんに、健康診断の記憶がないことが
029.stcm2 0x84a4 アダになったとでも言うのでしょうか。
029.stcm2 0x85f0 ドクロちゃん
029.stcm2 0x862c 「フェイントかもしれないもん！　桜くんの、
029.stcm2 0x8684 テクニシャン！」
029.stcm2 0x872c 「……ドクロちゃん、僕はもうドクロちゃんと
029.stcm2 0x8784 会話することに疲れたよ。だって、ドクロちゃ
029.stcm2 0x87dc んと話してると、あぶないんだもん」
029.stcm2 0x8964 ドクロちゃん
029.stcm2 0x89a0 「そんなぁ……ボクは桜くんと死ぬほどお話し
029.stcm2 0x89f8 したいのに……」
029.stcm2 0x8aa0 「死ぬのは僕だろッ！？　なんだよ、致死性の
029.stcm2 0x8af8 会話って！！」
029.stcm2 0x8c2c ドクロちゃん
029.stcm2 0x8c68 「それじゃあ、ボクはお昼寝するねっ。桜くん
029.stcm2 0x8cc0 に付き合ってるとつかれちゃうから！」
029.stcm2 0x8d24 それはこっちのセリフです。本当に自分勝手な
029.stcm2 0x8d7c 子ですね。
029.stcm2 0x8e48 ドクロちゃんは走って居間を飛び出します。
029.stcm2 0x8ea0 部屋の外から、ドタドタと階段を駆け上がる音
029.stcm2 0x8ef8 が聞こえました。
029.stcm2 0x8fbc 「もう、ドクロちゃんは……！　あ、あれ？」
029.stcm2 0x937c 僕がドクロちゃんへの恨み言を口に出そうとし
029.stcm2 0x93d4 たとき、急に足元がふらつきました。
029.stcm2 0x9434 気が抜けた、というやつでしょうか。健康診断
029.stcm2 0x948c は終わったんだ、という意識が僕の中の疲れを
029.stcm2 0x94e4 表面化させたのかもしれません。
029.stcm2 0x9580 そして、浮遊感。めまいかな、とも思いました
029.stcm2 0x95d8 が、それは……。
029.stcm2 0x96e8 「ザクロ……ちゃん？」
029.stcm2 0x973c ザクロちゃんが僕の身体を支え、横にならせて
029.stcm2 0x9794 くれたのです。
029.stcm2 0x97e0 いつの間にか、僕はザクロちゃんのおひざの上
029.stcm2 0x9838 に頭を置いていました。
029.stcm2 0x9a34 ザクロちゃん
029.stcm2 0x9a70 「桜さん、大丈夫ですか？」
029.stcm2 0x9ac8 ザクロちゃんはとてもやさしくほほえみました。
029.stcm2 0x9b24 ドクロちゃんとはまたちがった天使のほほえみ
029.stcm2 0x9b7c に、僕の疲れも溶けていくよう。
029.stcm2 0x9d70 「あ、うん……」
029.stcm2 0x9dc0 僕はドキドキする心臓を、できれば手で直接押
029.stcm2 0x9e18 さえたいと思いました。
029.stcm2 0x9e6c それくらい、僕の心臓は暴れていたのです。
029.stcm2 0x9f40 ザクロちゃん
029.stcm2 0x9f7c 「近頃、いそがしい日が続きましたから。特に、
029.stcm2 0x9fd8 桜さんはずっと気を張ってらっしゃいました。
029.stcm2 0xa030 それで、緊張の糸が切れたのでしょう」
029.stcm2 0xa0ec 「うん……そうかもね」
029.stcm2 0xa140 僕はなんだか、眠くなってきました。ザクロちゃ
029.stcm2 0xa19c んのおひざは、とても気持ちよかったのです。
029.stcm2 0xa204 とろん、とした目でザクロちゃんの目を見ると、
029.stcm2 0xa260 ザクロちゃんは片目だけでうなずきます。
029.stcm2 0xa31c 「ごめんね。ちょっと、眠くなってきちゃった」
029.stcm2 0xa388 我ながら、命のともしびが消えそうなセリフだ
029.stcm2 0xa3e0 と思いましたが、そんなことを気にする前に、
029.stcm2 0xa438 僕は眠りへと落ちていきました。
029.stcm2 0xa494 そしてザクロちゃんは、子どもをあやすかのよ
029.stcm2 0xa4ec うに目を細め、僕にささやくように語るのです。
029.stcm2 0xa6e4 ザクロちゃん
029.stcm2 0xa720 「お疲れさまでした、桜さん。今はゆっくり、
029.stcm2 0xa778 おやすみください」
030.stcm2 0x330 最終話　ベノムちゃん
030.stcm2 0x440 静かな放課後。僕は静希ちゃんと２人で、土手
030.stcm2 0x498 を歩いています。
030.stcm2 0x4e8 僕の心と秋の空は、晴れたようなくもったよう
030.stcm2 0x540 な、あやふやな模様でした。
030.stcm2 0x5d8 空の雲は、天使のわっかのようにぷかぷかと浮
030.stcm2 0x630 いていて、健康診断をするためにやってきた天
030.stcm2 0x688 使の姿を思い起こさせます。
030.stcm2 0x6e0 静希ちゃんの心もそれは同じようで、最近は横
030.stcm2 0x738 顔がどこか寂しげな気がします。
030.stcm2 0x794 ベノムちゃんが未来の世界に帰ってしまってか
030.stcm2 0x7ec ら数日。僕たちはベノムちゃんがいなくなって
030.stcm2 0x844 しまった寂しさを、毎日感じていました。
030.stcm2 0xa48 それを最初に口に出したのは静希ちゃんでした。
030.stcm2 0xbc4 静希ちゃん
030.stcm2 0xbfc 「最近、ちょっと寂しいな」
030.stcm2 0xcac 「そうだね、なんだか物足りない感じがするね。
030.stcm2 0xd08 健康診断について悩んでたのが懐かしいよ」
030.stcm2 0xe58 静希ちゃん
030.stcm2 0xe90 「……大変だったけど、楽しかったよね」
030.stcm2 0xf4c 「うん。ベノムちゃん、向こうでも元気にやっ
030.stcm2 0xfa4 てるといいな」
030.stcm2 0xff0 ベノムちゃんの存在は、僕たちの中で思ってい
030.stcm2 0x1048 た以上に大きくなっていたようです。
030.stcm2 0x10a8 それはまあ、あの毒手を３回も受けたのは僕だ
030.stcm2 0x1100 けでしょうし、いろいろな意味で僕には思い出
030.stcm2 0x1158 深いです。
030.stcm2 0x1284 静希ちゃん
030.stcm2 0x12bc 「ベノムちゃんがうちに暮らして、ちょっとだ
030.stcm2 0x1314 け、桜くんの気持ちがわかった気がするんだ」
030.stcm2 0x13d4 「僕の気持ち？」
030.stcm2 0x150c 静希ちゃん
030.stcm2 0x1544 「桜くんは、ドクロちゃんとザクロちゃんの２
030.stcm2 0x159c 人と一緒に暮らしていて、どんな気持ちなのか
030.stcm2 0x15f4 な、ってずっと思ってたから」
030.stcm2 0x16a8 「意外と、悪くないものでしょ？」
030.stcm2 0x1708 僕は笑いながら言いました。ドクロちゃんとの
030.stcm2 0x1760 日々を思い出すと、自分がそう言ったことがお
030.stcm2 0x17b8 かしかったからです。
030.stcm2 0x18f0 静希ちゃん
030.stcm2 0x1928 「ふふふ……そうだね。さっきも言ったけど、
030.stcm2 0x1980 すごく楽しかった」
030.stcm2 0x1a28 「大変だけど？」
030.stcm2 0x1b60 静希ちゃん
030.stcm2 0x1b98 「そうそう」
030.stcm2 0x1be4 静希ちゃんは、やはり笑いながら答えました。
030.stcm2 0x1c3c そして、ささやくように言うのです。
030.stcm2 0x1dac 静希ちゃん
030.stcm2 0x1de4 「でも、ベノムちゃんと一緒に暮らしていて思っ
030.stcm2 0x1e40 たんだけど、もしかしてベノムちゃんって桜く
030.stcm2 0x1e98 んのこと……」
030.stcm2 0x2094 静希ちゃん
030.stcm2 0x20cc 「ううん……なんでもない」
030.stcm2 0x2124 僕は、帰りのこの時間がいつまでも続けばいい
030.stcm2 0x217c と思っていました。
030.stcm2 0x21cc のんびりと歩きながら、けれどどうあっても終
030.stcm2 0x2224 わりというものはやって来ます。
030.stcm2 0x2368 静希ちゃん
030.stcm2 0x23a0 「それじゃあ私、今日はちょっと寄るところが
030.stcm2 0x23f8 あるから。またね、桜くん」
030.stcm2 0x2450 静希ちゃんはそこで立ち止まりました。
030.stcm2 0x250c 「そうなんだ……うん、それじゃあまた明日」
030.stcm2 0x260c 僕は静希ちゃんに手を振り、土手を今度は１人
030.stcm2 0x2664 で歩きはじめました。
030.stcm2 0x27c4 川を流れる水のように、なにも考えずにぼーっ
030.stcm2 0x281c と歩いていると、前方に人影がありました。
030.stcm2 0x2884 人影は、まるでなにかをまっているかのように
030.stcm2 0x28dc 立ち止まっています。
030.stcm2 0x2930 僕が歩いていると、その人影の姿がはっきりと
030.stcm2 0x2988 見えてきました。
030.stcm2 0x29d8 にこりと笑って、僕の目の前に立つのは、
030.stcm2 0x2bc4 ベノムちゃん
030.stcm2 0x2c00 「……桜殿」
030.stcm2 0x2ca4 「べ、ベノムちゃん！？」
030.stcm2 0x2cfc それは、ベノムちゃんでした。任務をすべて完
030.stcm2 0x2d54 了し、帰還を果たしたはずの天使がどうして、
030.stcm2 0x2dac ここにいるのでしょうか。
030.stcm2 0x2ee8 ベノムちゃん
030.stcm2 0x2f24 「お久しぶりであります。と申しましても、わ
030.stcm2 0x2f7c ずか数日ばかりでありますが」
030.stcm2 0x3030 「ど、どうしたの！？　まだなにか任務が残っ
030.stcm2 0x3088 てたの！？」
030.stcm2 0x31bc ベノムちゃん
030.stcm2 0x31f8 「自分は、忘れものをしてしまったので戻って
030.stcm2 0x3250 きたであります」
030.stcm2 0x32f8 「あ、そうだったんだ。忘れものってなに？
030.stcm2 0x3350 さがしたりするなら、手伝うけど」
030.stcm2 0x33b0 僕はちょっとだけ心配になって尋ねます。しか
030.stcm2 0x3408 し、ベノムちゃんは笑顔を崩さずに答えます。
030.stcm2 0x3554 ベノムちゃん
030.stcm2 0x3590 「ふふ、ご心配は無用であります。もう、見つ
030.stcm2 0x35e8 かっておりますから」
030.stcm2 0x3694 「そっか、それならよかった。でも、またすぐ
030.stcm2 0x36ec 帰っちゃうの？」
030.stcm2 0x3824 ベノムちゃん
030.stcm2 0x3860 「はい、そうでありますね。済みましたら、す
030.stcm2 0x38b8 ぐにでも帰らなくてはなりません」
030.stcm2 0x3970 「残念だな……。でも会えてよかったよ。ベノ
030.stcm2 0x39c8 ムちゃんがいなくなっちゃって、ちょっと寂し
030.stcm2 0x3a20 いねって話してたから」
030.stcm2 0x3b34 ベノムちゃんは僕の言葉を聞いて、どこか感慨
030.stcm2 0x3b8c 深げな顔で、僕を見つめました。
030.stcm2 0x3be8 ドキッとさせられるほどやさしい目に、僕は吸
030.stcm2 0x3c40 い込まれそうな気分でした。
030.stcm2 0x3d80 ベノムちゃん
030.stcm2 0x3dbc 「それでは桜殿。少々、よろしいでしょうか」
030.stcm2 0x3e7c 「え？　なにが？」
030.stcm2 0x3ecc 不意にベノムちゃんが切り出してきました。
030.stcm2 0x401c ベノムちゃん
030.stcm2 0x4058 「桜殿は、そのまま。あの……動かないでいた
030.stcm2 0x40b0 だけると助かります」
030.stcm2 0x4184 ほほを赤く染めながら、ベノムちゃんは僕に近
030.stcm2 0x41dc づいてきます。突然のことに、僕の足は動いて
030.stcm2 0x4234 くれませんでした。
030.stcm2 0x42a0 これは、このパターンは……ッ！　毒手！？
030.stcm2 0x4364 僕が身を固くしていると、次の瞬間にやわらか
030.stcm2 0x43bc な感触がやってきました。
030.stcm2 0x46e4 「え……っ！？」
030.stcm2 0x4828 ほほに触れる感触は、とても不思議なものでし
030.stcm2 0x48c4 そこにはあたたかくてやわらかい、そんな感動
030.stcm2 0x491c がありました。けれどそれはドクロちゃんの特
030.stcm2 0x4974 に発達した部分とはまったく別種のものでした。
030.stcm2 0x49e0 ちょっと落ち着きましょう。僕がほっぺたに感
030.stcm2 0x4a38 じているものを特定しなくてはいけません。
030.stcm2 0x4c38 ベノムちゃんが近づいてきて【ちゅっ】と……。
030.stcm2 0x4ca4 ほっぺたに【ちゅっ】と……。
030.stcm2 0x4d00 く、くち……ッ！？
030.stcm2 0x4d90 気付いた瞬間に、頭の中では大フィーバー！
030.stcm2 0x4df8 夏の熱波に似た熱いものが駆け抜け、僕は足先
030.stcm2 0x4e50 から頭の中までが、ゆでられたように熱くなっ
030.stcm2 0x4ea8 ていきました。
030.stcm2 0x4ef4 ……なんていうかもう、いろいろ直撃です！
030.stcm2 0x4fb4 「べ、ベノムちゃん……？」
030.stcm2 0x51d4 僕は、とまどいながらベノムちゃんの名前を口
030.stcm2 0x522c にすると、ベノムちゃんがゆっくりと数歩引い
030.stcm2 0x5284 ていきました。
030.stcm2 0x52d0 ベノムちゃんの顔が見えます。……落ち着け、
030.stcm2 0x5328 クールだ、草壁桜。
030.stcm2 0x5460 ベノムちゃん
030.stcm2 0x549c 「し、失礼しました……その、勝手なことを」
030.stcm2 0x555c 「う、ううん。いいんだけど、どうして……？」
030.stcm2 0x56b0 ベノムちゃん
030.stcm2 0x56ec 「帰還のとき、みなさんがいらっしゃったので、
030.stcm2 0x5748 できなかったであります。それが心残りで、やっ
030.stcm2 0x57a4 て来てしまいました」
030.stcm2 0x57f8 ベノムちゃんも真っ赤になりながら、僕に説明
030.stcm2 0x5850 しました。それで、僕はひらめくのです。
030.stcm2 0x590c 「もしかして、忘れものって……」
030.stcm2 0x5a54 ベノムちゃん
030.stcm2 0x5a90 「はい。確かに、お届けいたしました」
030.stcm2 0x5af4 ベノムちゃんは満面の笑顔でそう言いました。
030.stcm2 0x5b4c 忘れものは、置き忘れたのではなく、届け忘れ
030.stcm2 0x5ba4 たのだと。
030.stcm2 0x5c44 「そう、なんだ……」
030.stcm2 0x5d7c ベノムちゃん
030.stcm2 0x5db8 「ふふふ……」
030.stcm2 0x5e04 僕たちはお互い笑い出しました。
030.stcm2 0x5e60 そして、ベノムちゃんは姿勢を正し、はきはき
030.stcm2 0x5eb8 とした口調で話しはじめます。
030.stcm2 0x5ffc ベノムちゃん
030.stcm2 0x6038 「桜殿。自分は今回の任務で、さまざまな経験
030.stcm2 0x6090 をさせていただきました。その中でも、桜殿に
030.stcm2 0x60e8 お会いできたことを、うれしく思います」
030.stcm2 0x61a4 「う……うん」
030.stcm2 0x62d8 ベノムちゃん
030.stcm2 0x6314 「任務であることを忘れてしまいそうになるほ
030.stcm2 0x636c ど、楽しかったであります」
030.stcm2 0x64ac ベノムちゃん
030.stcm2 0x64e8 「本当に、ありがとうございました。また、お
030.stcm2 0x6540 会いできることを楽しみにしております」
030.stcm2 0x65fc 「僕の方こそ、楽しかったよ。ベノムちゃんと
030.stcm2 0x6654 友だちになれたのもうれしかった。ありがとう、
030.stcm2 0x66b0 ベノムちゃん」
030.stcm2 0x67e0 ベノムちゃん
030.stcm2 0x681c 「光栄であります。……それでは」
030.stcm2 0x6914 満足そうにそう言って、ベノムちゃんは去って
030.stcm2 0x696c いくのでした。
030.stcm2 0x69b8 あとに残された僕は、ベノムちゃんの姿が見え
030.stcm2 0x6a10 なくなったあとも、呆然と立ち尽くしていまし
030.stcm2 0x6aac 僕は、ほほに手を当てます。そこはじんわりと
030.stcm2 0x6b04 した熱を持っているように感じられました。
030.stcm2 0x6b6c それは、ベノムちゃんと僕の思い出なのです。
030.stcm2 0x6c14 ……しばらく、顔は洗わずにいましょう！
030.stcm2 0x6c94 と、そんな決意を固めたときでした。
030.stcm2 0x6d50 「桜くん！　あぶない！」
030.stcm2 0x6e00 「え……ドクるぁぁごわぁ……ッ！！」
030.stcm2 0x7168 後ろから聞こえた声に振り返った瞬間、なにか
030.stcm2 0x71c0 固いモノが僕の脳天を直撃。
030.stcm2 0x7218 一瞬視界に入ったのはエスカリボルグを精一杯、
030.stcm2 0x7274 振り抜いたドクロちゃんです。
030.stcm2 0x7568 僕のカラダがトリプルアクセル。３回転半です。
030.stcm2 0x75c4 僕が最期に見たものは、素早く回転する風景で
030.stcm2 0x7660 そして僕は、そのまま顔を地面にこすりつける
030.stcm2 0x76b8 ように倒れたのです。
030.stcm2 0x79ac ドクロちゃん
030.stcm2 0x79e8 「まってて、今……！」
030.stcm2 0x7a3c ドクロちゃんは、エスカリボルグを大きく振り
030.stcm2 0x7a94 かぶると、まるでくわで畑を耕すかのように土
030.stcm2 0x7aec に向かってそれを振り下ろすのです。
030.stcm2 0x7c78 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
030.stcm2 0x7eec ドクロちゃんがエスカリボルグで耕した土手は、
030.stcm2 0x7f48 魔法の畑。そこから生えた植物が、やがてエス
030.stcm2 0x7fa0 カリボルグに似た形の果実を実らせます。
030.stcm2 0x8004 ドクロちゃんはその果実が実る様子を眺め、
030.stcm2 0x805c 【うん、今年もいい出来だ】とばかり、満足げ
030.stcm2 0x80b4 にうなずきました。
030.stcm2 0x8104 今年も豊作なそれは強い輝きと新鮮な果物特有
030.stcm2 0x815c のホウジュンな香りで僕を包み、若くして土手
030.stcm2 0x81b4 に散った僕の傷をいやしていきました。
030.stcm2 0x8218 そして僕は見事、復活を果たしたわけです。
030.stcm2 0x84e0 「いきなりなんなの！？　僕がなにか悪いこと
030.stcm2 0x8538 した！？」
030.stcm2 0x8668 ドクロちゃん
030.stcm2 0x86a4 「だって桜くんが、ベノムちゃんに触られてた
030.stcm2 0x86fc から……ボク、助けなきゃって思って……」
030.stcm2 0x87bc 「ベノムちゃんが毒を持ってるのは手だよ！
030.stcm2 0x8814 手で触れてた！？　ちゃんと見……いや、見な
030.stcm2 0x886c いでいい！　あんなシーン勝手に見ないで！」
030.stcm2 0x89bc ドクロちゃん
030.stcm2 0x89f8 「うん。それじゃあ、ボク静希ちゃんの家に行っ
030.stcm2 0x8a54 てくるね」
030.stcm2 0x8c6c 「まった！　なにする気！？」
030.stcm2 0x8cc8 僕はイヤな予感の任せるままに、ドクロちゃん
030.stcm2 0x8d20 の手をつかまえました。
030.stcm2 0x8e5c ドクロちゃん
030.stcm2 0x8e98 「桜くんがー、ベノムちゃんとー……」
030.stcm2 0x8f54 「ちょっ……お願い！　静希ちゃんにだけは！
030.stcm2 0x8fac お願いしますから話さないで！」
030.stcm2 0x9008 僕はどうにかしてドクロちゃんを引きとめ、一
030.stcm2 0x9060 息つきました。
030.stcm2 0x92fc 「まったくもう……いきなり撲殺されたかと思
030.stcm2 0x9354 えば……」
030.stcm2 0x939c そもそも、ベノムちゃんに触られたからといっ
030.stcm2 0x93f4 て、撲殺する必要なんかないのです。水で洗え
030.stcm2 0x944c ば、毒は消えるのですから。
030.stcm2 0x94c0 ……水で洗えば？
030.stcm2 0x9678 「……な、ない！？　あったかくない！」
030.stcm2 0x96dc 僕は、素早い動きで自分のほほを触りました。
030.stcm2 0x9734 そして、そこにはもうあのときの熱が、かけら
030.stcm2 0x978c も残ってないことに気付いたのです。
030.stcm2 0x97ec ベノムちゃんのぬくもり。ベノムちゃんの思い
030.stcm2 0x9844 出の感触は、エスカリボルグによって爆砕され
030.stcm2 0x989c てしまったのですから。
030.stcm2 0x9948 「ひどい……！　ひどすぎる！　洗わないって
030.stcm2 0x99a0 決意して、何秒で失ったんだ！　これはいくら
030.stcm2 0x99f8 なんでもあんまりだよぉっ！！」
030.stcm2 0x9a54 僕はドクロちゃんに詰め寄ります。
030.stcm2 0x9d54 「返して！　思い出を返して！！」
030.stcm2 0x9edc ドクロちゃん
030.stcm2 0x9f18 「……桜くんの胸の中にあるでしょッ！」
030.stcm2 0x9fd4 「逆ギレしないでよ！　もう、ドクロちゃん、
030.stcm2 0xa02c 今日という今日はそんなのにごまかされないん
030.stcm2 0xa084 だからね！！」
030.stcm2 0xa148 ベノムちゃんの面影を胸に、ドクロちゃんに抗
030.stcm2 0xa1a0 議する僕の声が、しばらく土手に響いていまし
030.stcm2 0xa2a4 スーヴェリージュの任務は、１年ごと。
030.stcm2 0xa308 ベノムちゃんは来年も、来てくれるでしょうか。
030.stcm2 0xa374 ドクロちゃんが逃げ回り、ベノムちゃんと一緒
030.stcm2 0xa3cc に追いかけたこの街で、
030.stcm2 0xa420 僕は――まっていようと思います。
031.stcm2 0x164 〜甘美なる１２歳の世界〜
031.stcm2 0x2a8 「……ん、朝？　うわ、もうこんな時間だよ！
031.stcm2 0x300 ドクロちゃん！　ドクロちゃんも起きてよ！」
031.stcm2 0x390 何事もなく、すごく平和的に目が覚めると、い
031.stcm2 0x3e8 つもよりちょっと遅い時間。
031.stcm2 0x4c0 僕は慌てて、ドクロちゃんを起こしに押し入れ
031.stcm2 0x518 に向かいます。
031.stcm2 0x630 ドンドンドン！！
031.stcm2 0x6d8 「……のぞきたいとか、ちょっと見られればラッ
031.stcm2 0x734 キーとか、そんな下心はまったくないんですが、
031.stcm2 0x790 ごめんなさいドクロちゃん！　開けます！」
031.stcm2 0x9e4 「……って、あれ？　ドクロちゃんいないし。
031.stcm2 0xa3c どこに行っちゃったんだろ？」
031.stcm2 0xa98 押し入れの中で眠っているだろうと思ったドク
031.stcm2 0xaf0 ロちゃんの姿がありません。
031.stcm2 0xbec 居間に下りてくると、ここにもドクロちゃんが
031.stcm2 0xc44 いません。
031.stcm2 0xc8c おかげと言ってはなんですが、いつもの騒がし
031.stcm2 0xce4 さがまったくなくていいんですけど、
031.stcm2 0xd9c 「うわわっ！　学校に行かないと！」
031.stcm2 0xdfc 慌てて学校に向かうことにしました。
031.stcm2 0x10a4 学校に行く道は、なんだかいつもと雰囲気が違
031.stcm2 0x10fc いました。
031.stcm2 0x1144 今日はなんだか、小さい子どもが多いように見
031.stcm2 0x119c えます。
031.stcm2 0x11e4 ……それも女の子限定なんですけど。
031.stcm2 0x1244 子どもが多いのはほほえましくていいのですが、
031.stcm2 0x12a0 でも、なにかが変です。
031.stcm2 0x12f4 よく見ると、そのほとんどがなんだか大人びた
031.stcm2 0x134c カッコをしています。
031.stcm2 0x13bc なにか、おかしい……そう思ったときでした。
031.stcm2 0x1458 「桜くん、おはよう」
031.stcm2 0x14ac 後ろからかけられた聞き慣れた声に、僕はホッ
031.stcm2 0x1504 として振り向きました。
031.stcm2 0x1738 「おはよう、南さん！　あのさ……ええっ！？」
031.stcm2 0x17d8 「……なに？　わたしの顔になにかついてる？」
031.stcm2 0x189c 「ええっと……、南さんの、妹さん？」
031.stcm2 0x1900 目の前にいるのは、南さんのように見える小さ
031.stcm2 0x1958 な女の子です。
031.stcm2 0x19a4 いえ、南さんのように見える……というより、
031.stcm2 0x19fc この口調、冷ややかな眼差し、どれをとっても
031.stcm2 0x1a54 南さんなんです。
031.stcm2 0x1aa4 でも……外見だけが小さな南さんなんです。
031.stcm2 0x1b40 「……なにが言いたいの？」
031.stcm2 0x1b98 なにが言いたいのと聞かれても、聞きたいこと
031.stcm2 0x1bf0 は山ほどあります！
031.stcm2 0x1c40 なんで？　どうして？
031.stcm2 0x1c84 どうして南さんの外見が【１２歳】なのッ！？
031.stcm2 0x1cec 【１２歳】とわかる僕も僕ですが、もうまちが
031.stcm2 0x1d44 いなくこの外見は【１２歳】なんですッ！
031.stcm2 0x1df8 「南さん、おはよう！」
031.stcm2 0x1e4c 嵐の中の小舟のようにゆれまくっていた僕の心
031.stcm2 0x1ea4 は、聞き慣れた声で我を取り戻しました。
031.stcm2 0x1f60 「田辺さん！　南さんが小さい子に……」
031.stcm2 0x21b4 田辺さん
031.stcm2 0x21ec 「ん？　小さい子がどうしたの？　あー、桜く
031.stcm2 0x2244 ん１２歳が大好きだもんね」
031.stcm2 0x229c そう言って、南さんの隣に現れた田辺さん。そ
031.stcm2 0x22f4 の姿を見た瞬間、今度こそ、僕の言葉は途切れ
031.stcm2 0x234c ました。
031.stcm2 0x2394 ……僕の目の前に現れたのは、やはりどこから
031.stcm2 0x23ec どう見ても【１２歳】の田辺さんです。
031.stcm2 0x2510 田辺さん
031.stcm2 0x2548 「桜くんが１２歳を好きなのはわかってるけど、
031.stcm2 0x25a4 そんなにジロジロ見ないでほしいな」
031.stcm2 0x2604 開いた口からなかなか言葉が出てきません。
031.stcm2 0x265c 田辺さんの妹さん……、のわけないのです。
031.stcm2 0x271c 「田辺さん……なの？」
031.stcm2 0x2770 おそるおそる訊く僕を、田辺さんが疑い深そう
031.stcm2 0x27c8 に見つめ、ヒソヒソと隣の南さんに話しかけま
031.stcm2 0x2864 田辺さん
031.stcm2 0x289c 「……桜くん、どうかしちゃったの？」
031.stcm2 0x2934 「……さあ？」
031.stcm2 0x2a18 「ちょっとまってよ！　２人とも本物の――」
031.stcm2 0x2cbc 「よう、桜！　朝から元気そうだな」
031.stcm2 0x2d1c 僕の目の前に現れたのは、いつもの見慣れた宮
031.stcm2 0x2d74 本です！
031.stcm2 0x2ea4 「南さんも田辺さんも、おっす。朝からなんの
031.stcm2 0x2efc 相談してるんだよ？」
031.stcm2 0x3090 「み、宮本ぉぉおお！！！　おい！　本物だよ
031.stcm2 0x30e8 な？　本物の宮本だよな？」
031.stcm2 0x3198 「背中にチャックとか髪の毛の中に６６６とか、
031.stcm2 0x31f4 首の裏にバーコードとか付いてないよな？」
031.stcm2 0x3348 「はあ？　なに言ってるんだ？」
031.stcm2 0x344c 「ここでクイズです、っていうか、質問するか
031.stcm2 0x34a4 ら答えろ！　僕が小学校の時に集めていたのは
031.stcm2 0x34fc なんのシールだ？」
031.stcm2 0x3638 「……ねばねば学園だろ？　ダブリばっかり引
031.stcm2 0x3690 き当てて、俺に泣きついてたじゃないか」
031.stcm2 0x3800 「……くそっ正解だ！　うれしいのかくやしい
031.stcm2 0x3858 のかよくわかんないけど、おまえを本物の宮本
031.stcm2 0x38b0 と認めようッ！」
031.stcm2 0x39ec 「おいおい、朝からどうしたんだよ？　まだ寝
031.stcm2 0x3a44 ぼけてるのか？」
031.stcm2 0x3aec 「寝ぼけて、変な夢を見ているかもしれないけ
031.stcm2 0x3b44 ど、今、目の前にいる南さんと田辺さんって、
031.stcm2 0x3b9c 本物の南さんと田辺さんなのか？」
031.stcm2 0x3ce8 「なに言ってんだ？　本物の南さんと田辺さん
031.stcm2 0x3d40 に決まってるだろ」
031.stcm2 0x3de8 「なーんだ、本物なんだ……って、そうじゃな
031.stcm2 0x3e40 いだろ！　なんで、南さんと田辺さんがこんな
031.stcm2 0x3e98 に小さいんだよ！？」
031.stcm2 0x3ff4 「おい、桜……どうしちまったんだ？　女の子
031.stcm2 0x404c が１２歳になったら年齢が止まるのが普通だ
031.stcm2 0x474c 「１２歳になったら年齢が止まる……？　それ
031.stcm2 0x47a4 が普通……？」
031.stcm2 0x48dc 「おいおい、朝から迷彩色のプルプルしたヤツ、
031.stcm2 0x4938 耳から出さないでくれよ？」
031.stcm2 0x4d04 「……おかしな桜くん」
031.stcm2 0x4d58 田辺さん
031.stcm2 0x4d90 「桜くんがおかしいのは前からだけどね」
031.stcm2 0x5030 「そりゃそうだって。そんなことより、突っ立っ
031.stcm2 0x508c てないで学校に行かないか？」
031.stcm2 0x5400 田辺さん
031.stcm2 0x5438 「そうだね、南さん、行こう」
031.stcm2 0x56d0 「おい、桜？　ぼーっとしてないで行こうぜ」
031.stcm2 0x5790 「あ……、ええっと……、ちょっと先に行って
031.stcm2 0x57e8 てくれる？」
031.stcm2 0x5920 「なんだよ？　どうかしたのか？」
031.stcm2 0x59d8 「ちょっと１人で考えごとっていうか、整理し
031.stcm2 0x5a30 たいことがあって……」
031.stcm2 0x5c70 「……そう？　学校、さぼらないでね」
031.stcm2 0x5d74 ３人が学校に向かって歩み出す姿を、僕はじっ
031.stcm2 0x5dcc と見送っていました。
031.stcm2 0x5e20 いつもの宮本の背中と、そして【１２歳】の南
031.stcm2 0x5e78 さんと田辺さんの背中を……。
031.stcm2 0x60c0 さっきの宮本の言葉が本当だとすると、ここは
031.stcm2 0x6118 女の子だけが【１２歳】で止まる世界……、
031.stcm2 0x6180 つまり、ドクロちゃんやサバトちゃんが言って
031.stcm2 0x61d8 いた、僕が未来で実現してしまうという世界の
031.stcm2 0x6230 ようです。
031.stcm2 0x6278 うわ……、すごい！　すごい世界だよ！
031.stcm2 0x62cc 女の子がみんな１２歳の姿なんて！
031.stcm2 0x632c ……って、僕はなにを喜んでいるのでしょうか。
031.stcm2 0x6388 喜んでいる場合ではありません。これは大問題
031.stcm2 0x6424 だって、ルルティエが僕の抹殺を保留したのは、
031.stcm2 0x6480 僕の将来が不確定になったからです。
031.stcm2 0x64e0 こんな世界が実現してしまったのなら……僕は
031.stcm2 0x6538 また狙われてしまうのではないでしょうか？
031.stcm2 0x65a0 それにしても、納得がいかないこともあります。
031.stcm2 0x660c ドクロちゃんたちの話によると、僕が【女の子
031.stcm2 0x6664 の姿を１２歳で止めてしまう（不老不死の）薬】
031.stcm2 0x66c0 を発明するのはもっと未来のはずなのです。
031.stcm2 0x6728 それが、もう既に発明されているなんて、どう
031.stcm2 0x6780 考えてもおかしいじゃないですか。
031.stcm2 0x67e0 ……これは夢、なのでしょうか？
031.stcm2 0x6a10 ばきっ！
031.stcm2 0x6a58 夢でない証拠に、ほら、自分の顔を殴っても、
031.stcm2 0x6ab0 周りには１２歳の女の子ばかりです。
031.stcm2 0x6b10 おかしい、おかしいです！
031.stcm2 0x6b58 僕はそんな薬を発明していませんし、まだ中学
031.stcm2 0x6bb0 生です。
031.stcm2 0x6bf8 でも、みんなは、どうしてその事を当然のよう
031.stcm2 0x6c50 に受け入れているの？
031.stcm2 0x6ca4 僕はドクロちゃんのおかげで、そんな薬は発明
031.stcm2 0x6cfc しないんじゃないの！？
031.stcm2 0x6d50 とにかく、誰か……、もっと事情をよく知って
031.stcm2 0x6da8 いそうな人から話を聞かなくてはなりません。
031.stcm2 0x6e10 その誰かをさがすために、僕はどこに行ったら
031.stcm2 0x6e68 いいでしょうか？
031.stcm2 0x7154 僕は、聖ゲルニカ学園に来てみました。学校な
031.stcm2 0x71ac ら誰かがいるし、なにかわかるかもしれません。
031.stcm2 0x7218 それというのも、僕としては気になる人物がひ
031.stcm2 0x7270 とりいるからです。
031.stcm2 0x72c0 気になります……非常に、気になります！
031.stcm2 0x74b4 そして学校の敷地に足を踏み入れると、目的の
031.stcm2 0x750c 人物をさがすように敷地内に目を配ります。
031.stcm2 0x75f4 しかし……覚悟していたとは言え、不思議な光
031.stcm2 0x764c 景です。
031.stcm2 0x7694 まわりの女の子がみんな【１２歳】なんですか
031.stcm2 0x7730 不思議な光景ですが、さっきの南さんたちの会
031.stcm2 0x7788 話が本当だとすると、コレが普通みたいなので
031.stcm2 0x7824 僕はもう一度、ほほをつねります。
031.stcm2 0x7874 夢、じゃないよね……？
031.stcm2 0x78c8 感慨にふける僕の背後から声をかけられました。
031.stcm2 0x795c 静希ちゃん
031.stcm2 0x7994 「桜くん、おはよう。今日もいい天気だね」
031.stcm2 0x7a54 「おはよう。そうだね、こんなにいい天気の日
031.stcm2 0x7aac は学校じゃなくて、お散歩とかして、して……
031.stcm2 0x7b04 って、うぁぁああ！？」
031.stcm2 0x7c4c 静希ちゃん
031.stcm2 0x7c84 「ど、どうしたの、桜くん？」
031.stcm2 0x7ce0 小首をやや傾けて僕に質問する１人の女の子。
031.stcm2 0x7d38 そう、見間違えるはずもありません、静希ちゃ
031.stcm2 0x7d90 んなのです。
031.stcm2 0x7ddc ……しかも【１２歳】の時の！
031.stcm2 0x80d8 ……ああ、今こうして見ても、なんてかわいら
031.stcm2 0x8130 しい……いえいえ、そうじゃありません！
031.stcm2 0x81bc 静希ちゃん
031.stcm2 0x81f4 「ふふっ、おかしな桜くん。私、どこか変？」
031.stcm2 0x82b4 「変って言うか、だって、静希ちゃんのその姿
031.stcm2 0x83bc 静希ちゃん
031.stcm2 0x83f4 「今日、どこか変かな？　いつもと変わらない
031.stcm2 0x844c と思うんだけど」
031.stcm2 0x84f4 「ねえ、静希ちゃん……変なこと聞くけど……
031.stcm2 0x854c 静希ちゃんも１２歳なの？」
031.stcm2 0x860c 静希ちゃん
031.stcm2 0x8644 「さ、桜くん……そんなこと直接聞くなんて、
031.stcm2 0x869c はずかしいよ……」
031.stcm2 0x86ec 静希ちゃんがほほを赤く染めて、目線をそらし
031.stcm2 0x87e0 「あ、ご、ごめんね！　ちょっと慣れていなく
031.stcm2 0x8838 て！　それよりも教えてほしいんだ。その……
031.stcm2 0x8890 なんで女の子は１２歳の姿なの？」
031.stcm2 0x8980 静希ちゃん
031.stcm2 0x89b8 「……どうしちゃったの？　今日は本当におか
031.stcm2 0x8a10 しな桜くん。女の子が１２歳の姿のままなんて
031.stcm2 0x8a68 普通のことでしょ？」
031.stcm2 0x8abc チビ静希ちゃんが僕のことを不思議そうに見つ
031.stcm2 0x8b14 めています。
031.stcm2 0x8b60 どうやら、間違っているのは僕だけ。
031.stcm2 0x8bb0 みんなにとっては、コレが普通のコトのような
031.stcm2 0x8c08 のです。
031.stcm2 0x8c50 僕は適当に相づちを打ちながら、頭をフル回転
031.stcm2 0x8ca8 させて考えます。
031.stcm2 0x8cf8 どうして、こんなコトになっているのか？
031.stcm2 0x8e2c ――仮定その１。
031.stcm2 0x8e7c 過去の世界……つまり、静希ちゃんや南さんた
031.stcm2 0x8ed4 ちが見た目１２歳なので、僕はタイムスリップ
031.stcm2 0x8f2c して２年前の世界に来てしまったのかも？
031.stcm2 0x8fbc ――却下！
031.stcm2 0x9044 さっき宮本に会ったじゃないかッ！
031.stcm2 0x90a4 ――仮定その２。
031.stcm2 0x90f4 知らず知らずのうちに、女の子が１２歳の姿の
031.stcm2 0x914c ままでいる薬を発明してしまったのかも？
031.stcm2 0x91dc ――却下！
031.stcm2 0x9224 だって僕はまだ中学生だし、発明するとしても、
031.stcm2 0x9280 もっと未来のハズッ！
031.stcm2 0x92d4 ――仮定その３。
031.stcm2 0x9324 もしかしてビックリドッキリテレビ？　静希ちゃ
031.stcm2 0x9380 んたちのそっくりさんかも？
031.stcm2 0x9404 ――却下！
031.stcm2 0x944c 僕が静希ちゃんを見誤るなんてありえません！
031.stcm2 0x94a4 目の前にいるのは、静希ちゃん！　間違いなく
031.stcm2 0x94fc 僕の記憶にある１２歳の静希ちゃん！
031.stcm2 0x955c 仮定その……。
031.stcm2 0x9654 静希ちゃん
031.stcm2 0x968c 「ど、どうしたの？　頭から変な煙が出てる
031.stcm2 0x9780 「あ、ご、ごめん！　ちょっと考えゴトしちゃっ
031.stcm2 0x98b0 静希ちゃん
031.stcm2 0x98e8 「それより桜くん、昨日の宿題やってきた？
031.stcm2 0x9940 ちょっとね、わからないところがあったから後
031.stcm2 0x9998 で教えてほしいんだけど……いいかな？」
031.stcm2 0x9a54 「……あ、ごめん。昨日の宿題はドクロちゃん
031.stcm2 0x9aac に邪魔されちゃってやってきてないんだ」
031.stcm2 0x9b38 静希ちゃん
031.stcm2 0x9b70 「そうなんだ、相変わらず大変なんだね。
031.stcm2 0x9bc4 ……そう言えば、今朝はドクロちゃんと一緒じゃ
031.stcm2 0x9c20 ないの？」
031.stcm2 0x9cc0 「それがね、朝から姿が見えなくて……」
031.stcm2 0x9d4c リーンゴーン……
031.stcm2 0x9dc4 静希ちゃん
031.stcm2 0x9dfc 「大変！　朝のホームルームがはじまっちゃう。
031.stcm2 0x9e58 ほら、はやく行こう！」
031.stcm2 0x9f50 教室に入って知ったのは、女の子の姿が１２歳
031.stcm2 0x9fa8 と言うことを、みんなは当然のように思ってい
031.stcm2 0xa000 ることです。
031.stcm2 0xa04c 僕も最初こそおどろき、かつ、慌てていました
031.stcm2 0xa0a4 が、授業がはじまるとコレが普通の世界のよう
031.stcm2 0xa0fc な気持ちになってきました。
031.stcm2 0xa154 うん……、慣れって怖いです。
031.stcm2 0xa1a0 それに、なんだかみんなかわいいし……って、
031.stcm2 0xa1f8 うわぁああッ！！
031.stcm2 0xa248 僕はいつまで正気を保っていられるのでしょう
031.stcm2 0xa2d4 正直なところ、全く自信がありません。
031.stcm2 0xa360 でも、気になることがあります。
031.stcm2 0xa3ac それは、朝からドクロちゃんの姿を見ていない
031.stcm2 0xa404 ということです。
031.stcm2 0xa454 ドクロちゃんは、こんな世界にならないように
031.stcm2 0xa4ac するために未来から来たはずなのに……。
031.stcm2 0xa510 ドクロちゃん、どうしちゃったんだろう……。
031.stcm2 0xa5e0 そして、とうとう【帰りのＳ・Ｈ・Ｒ】が終わっ
031.stcm2 0xa63c てもドクロちゃんは姿を現しませんでした。
031.stcm2 0xa6a4 ドクロちゃん。君は今このとき、どこでどうし
031.stcm2 0xa6fc ているの――？
031.stcm2 0xa9d0 僕は、アバランチ公園に来てみました。
031.stcm2 0xaa34 事情を知っていそうなドクロちゃんの行方がわ
031.stcm2 0xaa8c からない今、そこにはもう１人の天使がいるは
031.stcm2 0xaae4 ずだからです。
031.stcm2 0xab30 ……なにか、わかるかもしれません。
031.stcm2 0xab90 僕は、アバランチ公園に足を踏み入れると、一
031.stcm2 0xabe8 目散に木立を目指します。
031.stcm2 0xace4 いつもの見慣れたダンボールハウスが目に入っ
031.stcm2 0xad3c た瞬間、僕はホッと心をなで下ろしました。
031.stcm2 0xadfc 「……サバトちゃん、いる？」
031.stcm2 0xaec0 サバトちゃん
031.stcm2 0xaefc 「あ、おはようですぅ、桜くん」
031.stcm2 0xaf80 声とともに現れたのは、なんと、いつもより一
031.stcm2 0xafd8 回りも二回りもミニサイズになったサバトちゃ
031.stcm2 0xb2d4 「サ、サ、サバトちゃん……なの？」
031.stcm2 0xb39c サバトちゃん
031.stcm2 0xb3d8 「はいですぅ、サバトですけど、どうかしまし
031.stcm2 0xb430 たですかぁ？」
031.stcm2 0xb4d4 「だって、どうしてサバトちゃんまで小さい子
031.stcm2 0xb52c になってるの？　おかしいでしょ？」
031.stcm2 0xb5f4 サバトちゃん
031.stcm2 0xb630 「さ、桜くん、朝からどうしちゃったんです
031.stcm2 0xb688 かぁ？」
031.stcm2 0xb6f8 サバトちゃん
031.stcm2 0xb734 「天使が【１２歳】の姿をしているのは、別に
031.stcm2 0xb78c おかしくもなんともないですよぅ？」
031.stcm2 0xb7ec 小さなサバトちゃんが、ほほを膨らませて抗議
031.stcm2 0xb844 します。
031.stcm2 0xb8b4 いや、その姿がかわいらしいというかほほえま
031.stcm2 0xb90c しいというか……。
031.stcm2 0xb978 ハッ！　僕は今、なにを……！？
031.stcm2 0xb9fc 【１２歳】のサバトちゃんをかわいい、と思っ
031.stcm2 0xba54 ている僕がいます！
031.stcm2 0xbaa4 おかしくもなんともないんですが、なにかがダ
031.stcm2 0xbafc メな気がします！
031.stcm2 0xbba4 「あのさ、サバトちゃんは、僕の命を狙って未
031.stcm2 0xbbfc 来から来たんだったよね？」
031.stcm2 0xbc98 サバトちゃん
031.stcm2 0xbcd4 「た、確かに、最初の頃はそうだったですけどぉ
031.stcm2 0xbd30 ……今は、今はぁ……」
031.stcm2 0xbdac 小さなサバトちゃんの目に涙が溜まります。
031.stcm2 0xbe3c サバトちゃん
031.stcm2 0xbe78 「今は……んぐっ……ルルティエとも連絡が取
031.stcm2 0xbed0 れなくなって……ぐすっ、ううっ……帰れなく
031.stcm2 0xbf28 なってるだけですぅ……」
031.stcm2 0xbfd8 「あ、サバトちゃん……な、泣かないで！」
031.stcm2 0xc040 小さな女の子を泣かせてしまい、自分がとても
031.stcm2 0xc098 悪いことをしてしまった気分です。
031.stcm2 0xc0f8 ……でも、相手はサバトちゃんなのですよ！？
031.stcm2 0xc17c それよりも、問題はサバトちゃんのお話です。
031.stcm2 0xc1d4 僕の命を狙ってきたと言っていました。
031.stcm2 0xc2b8 「サバトちゃん、僕が命を狙われた理由を、も
031.stcm2 0xc310 う一度教えてもらえるかな？」
031.stcm2 0xc394 サバトちゃん
031.stcm2 0xc3d0 「ほぇ……？　お話ししませんでしたかぁ？
031.stcm2 0xc428 桜くんは未来で……女の人が大人の姿に成長す
031.stcm2 0xc480 る薬を発明するからですぅ」
031.stcm2 0xc4d8 なんてことでしょう！
031.stcm2 0xc51c 僕は、人類を正しいレールに歩ませるようなス
031.stcm2 0xc574 バラシイ発明をするんです！
031.stcm2 0xc5cc おめでとう、未来の僕！
031.stcm2 0xc610 大人の姿に成長する薬……、うん、いい響きで
031.stcm2 0xc6ec ……別に変でもなんでもないですよ？
031.stcm2 0xc73c 大人の姿にする薬、ですから。
031.stcm2 0xc798 それなのに、なにかこう……変なチクチクした
031.stcm2 0xc7f0 ものがノドに刺さっている感じがするのはどう
031.stcm2 0xc848 してでしょう。
031.stcm2 0xc8fc サバトちゃん
031.stcm2 0xc938 「そうですよぉ！　桜くんは、女の人の胸を
031.stcm2 0xc990 【大きな胸】にする薬を発明する途中で」
031.stcm2 0xca74 「のぉぉぉぉぉぉぉぉおおうううッ！！！！」
031.stcm2 0xcadc ダメだ！　ここの世界でも未来の僕は、どうし
031.stcm2 0xcb34 ても自分とは思えないッ！！
031.stcm2 0xcbb4 サバトちゃん
031.stcm2 0xcbf0 「それでサバトが桜くんのお命を頂戴しに来た
031.stcm2 0xcc48 んですけどぉ、ドクロちゃんに邪魔されて……」
031.stcm2 0xcd0c 「それだよ、サバトちゃん！　ドクロちゃんも
031.stcm2 0xcd64 来てるんでしょ？　ねえ、ドクロちゃんはどこ
031.stcm2 0xcdbc にいるの？」
031.stcm2 0xce08 それに、すごい気になるのですが……ドクロちゃ
031.stcm2 0xce64 んも【１２歳】の姿なのでしょうか？
031.stcm2 0xcf2c サバトちゃん
031.stcm2 0xcf68 「ほぇ？　今日はドクロちゃんに会ってないで
031.stcm2 0xcfc0 すけどぉ……」
031.stcm2 0xd034 サバトちゃんと話し込んでいるうちに、もう学
031.stcm2 0xd08c 校に行かなくてはならない時間です。
031.stcm2 0xd144 「じゃ、じゃあ、サバトちゃん、またね」
031.stcm2 0xd1d0 とりあえず、僕は学校に向かうことにしました。
031.stcm2 0xd2e0 学校に来てみて知ったのは、女の子の姿が１２
031.stcm2 0xd338 歳と言うことを、みんなは当然のように思って
031.stcm2 0xd390 いることです。
031.stcm2 0xd3dc 当然ながら、静希ちゃんも【１２歳】の姿です。
031.stcm2 0xd448 僕も最初こそおどろき、かつ、慌てていました
031.stcm2 0xd4a0 が、授業がはじまるとコレが普通の世界のよう
031.stcm2 0xd4f8 な気持ちになってきました。
031.stcm2 0xd550 うん……、慣れって怖いです。
031.stcm2 0xd59c それに、なんだかみんなかわいいし……って、
031.stcm2 0xd5f4 うわぁああッ！！
031.stcm2 0xd644 僕はいつまで正気を保っていられるのでしょう
031.stcm2 0xd69c か。正直なところ、まったく自信がありません。
031.stcm2 0xd730 でも、気になることがあります。
031.stcm2 0xd77c それは、朝からドクロちゃんの姿を見ていない
031.stcm2 0xd7d4 ということです。
031.stcm2 0xd824 ドクロちゃんは、こんな世界にならないように
031.stcm2 0xd87c するために未来から来たはずなのに……。
031.stcm2 0xd8e0 ドクロちゃん、どうしちゃったんだろう……。
031.stcm2 0xd9b0 そして、とうとう【帰りのＳ・Ｈ・Ｒ】が終わっ
031.stcm2 0xda0c てもドクロちゃんは姿を現しませんでした。
031.stcm2 0xda74 ドクロちゃん。君は今このとき、どこでどうし
031.stcm2 0xdacc ているの――？
031.stcm2 0xdda0 僕は、一度、自分の家に戻って来てみました。
031.stcm2 0xde08 ドクロちゃんがもしかしたら戻ってきているか
031.stcm2 0xde60 もしれないし、それにザクロちゃんもいるはず
031.stcm2 0xdeb8 なのです。
031.stcm2 0xdf00 ……どちらかにさえ会えれば、なにかわかるか
031.stcm2 0xdf58 もしれません。
031.stcm2 0xe048 僕は自宅の中に飛び込み、一目散に自分の部屋
031.stcm2 0xe0a0 を目指します。
031.stcm2 0xe144 「ドクロちゃん！　ドクロちゃんッ！」
031.stcm2 0xe1a8 呼べど叫べど返事はありません。
031.stcm2 0xe1f4 念のために一言声をかけてから押し入れを開け
031.stcm2 0xe24c ましたが、そこにもいません。
031.stcm2 0xe34c １階に下りて、居間に入ったときでした。
031.stcm2 0xe3d8 ザクロちゃん
031.stcm2 0xe414 「桜さん、学校に行ったのではなかったのです
031.stcm2 0xe524 「よかった！　今、ドクロちゃんをさがし
031.stcm2 0xe738 聞き慣れた声に思わず振り向きました……が、
031.stcm2 0xe790 ザクロちゃんの姿がありません。
031.stcm2 0xe8c4 「ザクロちゃん、どこ？　隠れてないで出てき
031.stcm2 0xe91c てよ？」
031.stcm2 0xe98c ザクロちゃん
031.stcm2 0xe9c8 「桜さん、どこを見ているんですか？　ここに
031.stcm2 0xea20 いますよ？」
031.stcm2 0xebf0 目線を下げた瞬間、そこには一目でザクロちゃ
031.stcm2 0xec48 んとわかる幼い女の子が僕を見上げていたので
031.stcm2 0xed64 「ザ……ザクロちゃん、なの？」
031.stcm2 0xee28 ザクロちゃん
031.stcm2 0xee64 「はい、そうですが……あの、なにか変でしょ
031.stcm2 0xeebc うか？」
031.stcm2 0xef5c 「変と言うより、その……、どうして、そんな
031.stcm2 0xefb4 姿に？」
031.stcm2 0xf024 ザクロちゃん
031.stcm2 0xf0ac ザクロちゃんが、かわいらしく小首を傾けます。
031.stcm2 0xf118 小さくなったとはいえ、その眼差し、仕草、そ
031.stcm2 0xf170 して雰囲気……、それら全てが、ザクロちゃん
031.stcm2 0xf1c8 であることを主張しています。
031.stcm2 0xf24c ザクロちゃん
031.stcm2 0xf288 「あの……わたくしに、なにかおかしな点があ
031.stcm2 0xf2e0 りましたら、遠慮なくおっしゃってください」
031.stcm2 0xf3a0 「ええっと……よくわからないんだけど、外の
031.stcm2 0xf3f8 女の子がみんな【１２歳】の姿なんだ……」
031.stcm2 0xf4b8 「それに、ザクロちゃんまでどうして【１２歳】
031.stcm2 0xf514 の姿なの！？　ねえ、どうしてなの？」
031.stcm2 0xf608 ザクロちゃん
031.stcm2 0xf644 「今日の桜さんは少し変ですね。女の子が【１
031.stcm2 0xf69c ２歳】の姿であることは、少しもおかしくあり
031.stcm2 0xf6f4 ませんし……」
031.stcm2 0xf768 ザクロちゃん
031.stcm2 0xf7a4 「天使であるわたくしたちが【１２歳】の姿で
031.stcm2 0xf7fc あることも、昔から決められたことです」
031.stcm2 0xf860 そう説明してくれるのは、いつものザクロちゃ
031.stcm2 0xf8b8 んの声と口調。
031.stcm2 0xf904 なにも変わっていないのですが、その小さな姿
031.stcm2 0xf95c で説明してくれる様は、ほほえましいものがあ
031.stcm2 0xf9b4 ります。
031.stcm2 0xf9fc なんというか、小さな子が一生懸命に背伸びを
031.stcm2 0xfa54 してがんばっているというか……。
031.stcm2 0xfab4 とにかくその姿が、文句なくかわいらしいと思
031.stcm2 0xfb0c えるのです。
031.stcm2 0xfb74 かわいい……って、あの、変な意味ではないで
031.stcm2 0xfc38 本当に妹みたいで、うん、そう年齢もそれなり
031.stcm2 0xfc90 で、こんな妹がいたらって……意味で、
031.stcm2 0xfd34 純粋にザクロちゃんがかわいいという意味であっ
031.stcm2 0xfd90 て、決して……決して、小さな子だからかわい
031.stcm2 0xfde8 いという意味でぇぇはぁぁああっ！！
031.stcm2 0xfed8 ザクロちゃん
031.stcm2 0xff14 「……あの、桜さん、大丈夫でしょうか？」
031.stcm2 0xffd4 「はぁはぁはぁ……ああ、ご、ごめん」
031.stcm2 0x100a0 ザクロちゃん
031.stcm2 0x100dc 「ふふっ、桜さん、もう学校に向かわれないと
031.stcm2 0x10134 大変なのではないですか？」
031.stcm2 0x1018c 時計を見ると、大変な時間です！
031.stcm2 0x101d8 僕はあわてて学校に向かうことにしました。
031.stcm2 0x104c8 僕は、アルカディア商店街に来てみました。も
031.stcm2 0x10520 ちろん、ドクロちゃんをさがすためです。
031.stcm2 0x10584 女の子がみんな【１２歳】で年齢が止まっちゃ
031.stcm2 0x105dc うなんて……、これは僕が未来ですることのハ
031.stcm2 0x10634 ズなんです！
031.stcm2 0x10680 それが、どうしてこんなコトになっているのか
031.stcm2 0x106d8 ……とにかくドクロちゃんを捕まえないことに
031.stcm2 0x10730 は、状況がわかりません。
031.stcm2 0x10788 商店街ならば、ドクロちゃんが朝早く学校に行
031.stcm2 0x107e0 く前から立ち寄っててもおかしくありません！
031.stcm2 0x10848 アルカディア商店街に到着すると、一目散にお
031.stcm2 0x108a0 肉屋【初恋】と和菓子屋【アビラウンケン】を
031.stcm2 0x108f8 目指しました。
031.stcm2 0x10944 お肉屋の【初恋】は、ドクロちゃんの大好きな
031.stcm2 0x1099c コロッケを売っているお店です。
031.stcm2 0x109f8 そして、和菓子屋【アビラウンケン】では、こ
031.stcm2 0x10a50 れもドクロちゃんが好きなどらやきを売ってい
031.stcm2 0x10aec しかし、この２店ともこんな朝早い時間では開
031.stcm2 0x10b44 店していません。
031.stcm2 0x10b94 ドクロちゃんお気に入りのスーパーも、まだ
031.stcm2 0x10bec シャッターが下りたままです。
031.stcm2 0x10c48 もしかしたら、来る時間が早かったかも……、
031.stcm2 0x10ca0 そんなことを考えはじめたときでした。
031.stcm2 0x10d48 ベノムちゃん
031.stcm2 0x10d84 「もしや……桜殿でありますか？」
031.stcm2 0x10e4c この声この口調……、もしや……！？
031.stcm2 0x10e9c 声がかけられた方を振り向きましたが、そこに
031.stcm2 0x10ef4 はあのベノムちゃんの姿はありません。
031.stcm2 0x110a8 キョロキョロしていると、再び声がかかります。
031.stcm2 0x1132c ベノムちゃん
031.stcm2 0x11368 「……桜殿？　どうかされたでありますか？」
031.stcm2 0x113f8 その声は、目の前の小さな女の子の口から発せ
031.stcm2 0x11450 られていました。
031.stcm2 0x114a0 そして、その子は……、服装こそ違えども、あ
031.stcm2 0x114f8 のベノムちゃんを一回りも二回りも小さくした
031.stcm2 0x11550 ような……。
031.stcm2 0x117d4 「もしかして、ベノムちゃんの妹さん……？」
031.stcm2 0x118c0 ベノムちゃん
031.stcm2 0x118fc 「ふふっ、桜殿……、ご冗談が過ぎるでありま
031.stcm2 0x11a18 「ベ、ベ、ベノムちゃんなの？」
031.stcm2 0x11adc ベノムちゃん
031.stcm2 0x11b18 「そうでありますが、なにか問題でも……、あ
031.stcm2 0x11b70 あ、ここにいる理由でありますな？」
031.stcm2 0x11bf8 ベノムちゃん
031.stcm2 0x11c34 「実は、スーヴェリージュの報告書に書いた、
031.stcm2 0x11c8c 【初恋】のコロッケと【アビラウンケン】のど
031.stcm2 0x11ce4 らやきのサンプルが必要になりまして」
031.stcm2 0x11db0 ベノムちゃん
031.stcm2 0x11dec 「ほんのちょっとだけ、こっちに戻ってきたで
031.stcm2 0x11e44 あります」
031.stcm2 0x11e8c 小さい体で、僕を見上げて説明するベノムちゃ
031.stcm2 0x11f1c この口調、まさしくベノムちゃんなのです。
031.stcm2 0x11f84 ですが、やはり問題なのですッ！
031.stcm2 0x12038 「問題はそれじゃなくて！　だって、どうして
031.stcm2 0x12090 ベノムちゃんまで小さい子になってるの！？」
031.stcm2 0x12160 ベノムちゃん
031.stcm2 0x1219c 「桜殿？　どうかしたでありますか？　天使が
031.stcm2 0x121f4 【１２歳】の姿をしているのは、別に問題ない
031.stcm2 0x1224c と思うでありますが……」
031.stcm2 0x122c0 ベノムちゃんがきょとんとした顔で、僕を見上
031.stcm2 0x12318 げています。
031.stcm2 0x1238c いつもは凛々しいベノムちゃんですが……、こ
031.stcm2 0x123e4 うやって小さくなり、僕を見上げる仕草が、と
031.stcm2 0x1243c ても保護欲を駆り立てて……。
031.stcm2 0x124b4 ……って、ぼ、僕は今、なにを……！？
031.stcm2 0x12540 【１２歳】のベノムちゃんをかわいい、と思っ
031.stcm2 0x12598 ている僕がいます！
031.stcm2 0x12628 おかしくもなんともないんですが、なにかがダ
031.stcm2 0x12680 メな気がします！
031.stcm2 0x12750 「ベノムちゃん、僕は……ダメな人間になって
031.stcm2 0x127a8 しまうかも……」
031.stcm2 0x12848 ベノムちゃん
031.stcm2 0x12884 「桜殿、大丈夫でありますか？　それより桜殿、
031.stcm2 0x128e0 学校というところには行かなくてもいいのであ
031.stcm2 0x12938 りますか？」
031.stcm2 0x12a68 あわててアーケードの中にある時計を見ると、
031.stcm2 0x12ac0 大変な時間です！
031.stcm2 0x12b00 僕はあわてて学校に向かうことにしました。
031.stcm2 0x12e0c そして、放課後になる頃、僕はすっかりこの世
031.stcm2 0x12e64 界に違和感を覚えなくなっていました。
031.stcm2 0x12ec8 だって、僕の周りの女の子たちはみんな１２歳
031.stcm2 0x12f20 の姿だし、みんなはそれが当たり前のように振
031.stcm2 0x12f78 る舞っているし……。
031.stcm2 0x12fcc なによりも、協調性が大事です。
031.stcm2 0x13028 しかし、僕が気になっているのは、朝から姿の
031.stcm2 0x13080 見えないドクロちゃんのことです。
031.stcm2 0x130e0 もしかして、みんなが１２歳ということは
031.stcm2 0x13134 ドクロちゃんも１２歳に！？
031.stcm2 0x1318c 僕の頭の中で、１２歳のドクロちゃんの姿が
031.stcm2 0x131e4 浮かびあがります。
031.stcm2 0x1329c なんだか、ものすごく幼いような気がします
031.stcm2 0x1333c ううん、今のドクロちゃんがちゃんと成長し
031.stcm2 0x13394 てきたと考えればこのくらいのハズ！
031.stcm2 0x135ac このくらい小さなドクロちゃんも、うん、
031.stcm2 0x13600 かわいいし……。
031.stcm2 0x13650 って、僕はなにを考えているんですか！
031.stcm2 0x13710 ブンブンと頭を振って、１２歳のドクロちゃん
031.stcm2 0x13768 を脳内から振り払います。
031.stcm2 0x137c0 そして、僕はドクロちゃんをさがすことにしま
031.stcm2 0x13a0c 「そうザンス！　ミィは一生桜くんについてい
031.stcm2 0x13a64 くザンスよーー！！」
031.stcm2 0x13df8 ガスッ！
031.stcm2 0x13e98 「って、いきなり目の前に現れて、抱きつこう
031.stcm2 0x13ef0 としないでくださいっ！」
031.stcm2 0x140cc 「さすが、桜くんはミィが見込んだだけの男ザ
031.stcm2 0x14124 ンス！」
031.stcm2 0x1434c 「まだ発見もしていない【１２歳で年齢を止め
031.stcm2 0x143a4 てしまう薬】をこの世界で実現させてしまった
031.stcm2 0x143fc ザンスよ！」
031.stcm2 0x14628 「ユゥは、男の中の男ザンス！」
031.stcm2 0x146dc 「ちょ、ちょっとまってください！　ザンスさ
031.stcm2 0x14734 ん、普通の世界を知ってるの？」
031.stcm2 0x14880 「……ミィにはなんのことかさっぱりわからな
031.stcm2 0x148d8 いザンス」
031.stcm2 0x14af4 「こら！　知ってることをすべて話せッ！　こ
031.stcm2 0x14b4c の変態ピアス天使！」
031.stcm2 0x14dec 「のぉぉおおおっ！！　桜くん！　ピアスは引っ
031.stcm2 0x14e48 張るものではないザンスーーッ！」
031.stcm2 0x15088 「わ、わかったザンス！　話すザンスよ。まっ
031.stcm2 0x150e0 たく……桜くんはすぐに暴力にうったえるザン
031.stcm2 0x15254 「いいから、さっさと話してください、この変
031.stcm2 0x152ac 態モヒカーン天使！」
031.stcm2 0x15508 「……実は、ミィとドクロちゃんが未来から戻っ
031.stcm2 0x15564 てきたらこんな世界になっていたザンス」
031.stcm2 0x15620 「……未来から、戻ってきたら？」
031.stcm2 0x15860 「そうザンス。エスカリボルグの調子を見ても
031.stcm2 0x158b8 らうために未来に修理に行っていたザンスよ。
031.stcm2 0x15910 聞いてなかったザンスか？」
031.stcm2 0x159c0 「全然、聞いてなかったけど……って、ドクロ
031.stcm2 0x15a18 ちゃんは！？　ドクロちゃんはどうしたの！？」
031.stcm2 0x15eb4 「のぉぉおお！！　く、苦しいザンス！　一緒
031.stcm2 0x15f0c に戻ってきたザンスよぉッ！！」
031.stcm2 0x160b4 僕はザンスの一言を聞いて、走り出していまし
031.stcm2 0x16150 どこかに……、どこかにいるハズなんです！
031.stcm2 0x161a8 【１２歳】じゃないドクロちゃんが！
031.stcm2 0x16208 学校を出てから、アルカディア商店街、アバラ
031.stcm2 0x16260 ンチ公園、自宅と一通りさがしましたがどこに
031.stcm2 0x162b8 もいません。
031.stcm2 0x163c4 そして、もうすぐ日が傾きかけるころに、僕は
031.stcm2 0x1641c グロリアス川の河原で、ようやくドクロちゃん
031.stcm2 0x16474 を見つけたのです。
031.stcm2 0x166a4 「……ドクロちゃん、みーっけ！　どうしてこ
031.stcm2 0x166fc んなところにいるの？　もう、さがしたんだか
031.stcm2 0x16880 ドクロちゃん
031.stcm2 0x168bc 「さ、桜くん……？　本物の桜くんなの！？」
031.stcm2 0x16a30 ドクロちゃん
031.stcm2 0x16a6c 「……それとも【１２歳】が大好きな桜くん？」
031.stcm2 0x16b30 「なにそれ？　ちがうよ全然ッ！」
031.stcm2 0x16ce8 ドクロちゃん
031.stcm2 0x16d24 「……本物の桜くんなら答えられるはず。女の
031.stcm2 0x16d7c 子が結婚できる年齢は？」
031.stcm2 0x16e48 「じゅ、じゅう……ろく歳に決まってるでしょ！
031.stcm2 0x16ea4 そんなの間違えるわけないでしょ！」
031.stcm2 0x1709c ドクロちゃん
031.stcm2 0x170d8 「わぁぁい！　本物の桜くんだッ！！」
031.stcm2 0x1713c ようやく見つけたドクロちゃんは、僕の知って
031.stcm2 0x17194 いるドクロちゃんでした。
031.stcm2 0x171dc なぜだか、心がじぃんと熱くなってきます。
031.stcm2 0x1729c 「それより、どうしてドクロちゃんはこんなと
031.stcm2 0x172f4 ころに逃げてきたの？」
031.stcm2 0x17348 僕の質問に、ドクロちゃんは元気無くうなだれ
031.stcm2 0x173a0 てしまいました。
031.stcm2 0x17500 ドクロちゃん
031.stcm2 0x1753c 「桜くん、ごめんなさい……未来から戻ってき
031.stcm2 0x17594 たらこんな世界になってて……」
031.stcm2 0x176d8 ドクロちゃん
031.stcm2 0x17714 「……桜くん、ボクがいないのをいいことに、
031.stcm2 0x1776c １２歳の薬を発明をしちゃったんだね……」
031.stcm2 0x17854 「ちっがうよ！　僕が発明したんじゃないって
031.stcm2 0x178ac ば！　それにほら、僕まだ中学生じゃん！？
031.stcm2 0x17904 そんな発明できるわけないっしょ！」
031.stcm2 0x17a4c ドクロちゃん
031.stcm2 0x17a88 「……ホントに？　桜くんが【１２歳】が大好
031.stcm2 0x17ae0 きで【発明】したんじゃないの？」
031.stcm2 0x17b98 「そんなわけないでしょ！　そもそも、僕は
031.stcm2 0x17bf0 【１２歳】なんか……」
031.stcm2 0x17d08 今朝からの出来事が脳裏によみがえっては消え
031.stcm2 0x17d60 ていきます。
031.stcm2 0x17dac 南さんも田辺さんも、【１２歳】と思うとなん
031.stcm2 0x17e04 だかいつもより……かわいかったような気がし
031.stcm2 0x17e5c ます……。
031.stcm2 0x17f64 それに、【１２歳】の静希ちゃんも……
031.stcm2 0x17fb8 小さくてかわいかったかも……。
031.stcm2 0x18094 それに、【１２歳】のサバトちゃんも……
031.stcm2 0x180e8 小さくてかわいかったかも……。
031.stcm2 0x181c4 それに、【１２歳】のザクロちゃんも……
031.stcm2 0x18218 小さくてかわいかったかも……。
031.stcm2 0x182f4 それに、【１２歳】のベノムちゃんも……
031.stcm2 0x18348 小さくてかわいかったかも……。
031.stcm2 0x18820 ガタガタガタッ　ドバババ〜〜〜
031.stcm2 0x18a2c ドクロちゃん
031.stcm2 0x18a68 「たいへん！　桜くんの目と鼻から、乳白色の
031.stcm2 0x18ac0 液があふれてるぅ！」
031.stcm2 0x18b6c 「ご、ごめんごめん。ちょっと１２歳のことを
031.stcm2 0x18bc4 考えてたら、首から上がゆるんじゃって」
031.stcm2 0x18d5c ドクロちゃん
031.stcm2 0x18d98 「桜くん……それは、もしかして伝説の１２歳
031.stcm2 0x18e8c 「なにそれ！？　１２歳病なんて聞いたことも
031.stcm2 0x18ee4 ないよ！」
031.stcm2 0x18f84 「そもそも１２歳病……って、意味がわかりそ
031.stcm2 0x18fdc うだけど、わかっちゃいけない感じがプンプン
031.stcm2 0x19034 するよ！」
031.stcm2 0x19164 ドクロちゃん
031.stcm2 0x191a0 「桜くんだめーーっ！！
031.stcm2 0x191e4 １２歳病は【１２歳】って言葉を思い浮かべた
031.stcm2 0x1923c だけで、どんどん重病になっちゃうんだから！」
031.stcm2 0x19300 「ち、ちがうよ！　１２歳のことなんか、これっ
031.stcm2 0x1935c ぽっちも考えてないったら！　だから１２歳病
031.stcm2 0x193b4 だなんて呼ばないでっ！！」
031.stcm2 0x194f4 ドクロちゃん
031.stcm2 0x19530 「ううん！　こうなったらボクが桜くんのこと
031.stcm2 0x19588 を鍛え直さなきゃ！　桜くんはなにも考えずに、
031.stcm2 0x195e4 ボクにドーンと任せてッ！」
031.stcm2 0x19694 「ドーンって、なにがドーンなのさ！　ドクロ
031.stcm2 0x196ec ちゃんに任せたら、おさまるものもおさまらな
031.stcm2 0x19744 いでしょっ！！」
031.stcm2 0x1987c ドクロちゃん
031.stcm2 0x198b8 「それは、ボクの胸にドーンって飛び込んでみ
031.stcm2 0x19910 てのドーンで」
031.stcm2 0x19b28 ドクロちゃん
031.stcm2 0x19b64 「桜くん、ボクは天使だよ？　迷える桜くんを
031.stcm2 0x19bbc 救うのもボクの仕事なんだからッ！！」
031.stcm2 0x19cb8 「じゃ、じゃあ……、ドーンじゃ問題ありそう
031.stcm2 0x19d10 だから……こんな感じで」
031.stcm2 0x1a0a8 ふにょっ
031.stcm2 0x1a1c0 ドクロちゃん
031.stcm2 0x1a1fc 「――んくっ！？　さ、桜くん、ドーンって、
031.stcm2 0x1a254 そんな……意味じゃ……なかったのに……
031.stcm2 0x1a2a8 いぃぃぃやぁぁああああああ！！！！」
031.stcm2 0x1a750 「だ、だって、ドクロちゃんが、胸にドーンっ
031.stcm2 0x1a7a8 て、自分で言ったんじゃないがごおぁぁっ！！」
031.stcm2 0x1ab70 ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
031.stcm2 0x1ade0 ドクロちゃん
031.stcm2 0x1ae1c 「桜くん、起きようよ〜〜！　もう帰る時間だ
031.stcm2 0x1b0d4 「……んあ？　あ、あれ？　ドクロちゃん？
031.stcm2 0x1b12c 僕、なんで教室に……？」
031.stcm2 0x1b184 目が覚めると、ここはグロリアス川の河原では
031.stcm2 0x1b1dc なく教室です。
031.stcm2 0x1b280 「あ、あれ！？　……１２歳病は？」
031.stcm2 0x1b3c4 ドクロちゃん
031.stcm2 0x1b400 「もう、桜くんったら、おねぼうさんなんだか
031.stcm2 0x1b49c 僕の目の前で、ドクロちゃんがクスクスと笑っ
031.stcm2 0x1b4f4 ています。
031.stcm2 0x1b53c ……さっきまでの出来事は、夢、だったのでしょ
031.stcm2 0x1b638 周りを見ると、いつもの【普通の中学２年生姿】
031.stcm2 0x1b694 の静希ちゃんや南さん、田辺さんがいます。
031.stcm2 0x1b880 静希ちゃん
031.stcm2 0x1b8b8 「桜くん、私、部活に行くから、またね」
031.stcm2 0x1b974 「う、うん。またね、静希ちゃん！」
031.stcm2 0x1ba30 思わずほほをつねってみましたが、痛いだけで、
031.stcm2 0x1ba8c 世界が変わるわけでもありません。
031.stcm2 0x1baec どうやら、あの出来事は本当に夢の中の出来事
031.stcm2 0x1bb44 だったみたいです。
031.stcm2 0x1bbec 「ふぅ……それにしても、変な夢見ちゃった
031.stcm2 0x1be10 ドクロちゃん
031.stcm2 0x1be4c 「ねえねえ桜くん……変な夢って……（ポッ）」
031.stcm2 0x1bf10 「ちょっと、ドクロちゃん！　変な夢を勝手に
031.stcm2 0x1bf68 つくりかえないでッ！」
031.stcm2 0x1c014 「それより……ほ、ほら。ドクロちゃん、はや
031.stcm2 0x1c06c く帰ろうよ！　今日のおやつは、ドクロちゃん
031.stcm2 0x1c0c4 が大好きなマヨネーズプリンでしょ？」
031.stcm2 0x1c210 ドクロちゃん
031.stcm2 0x1c24c 「はぅ？　そうでした。楽しみだね、桜くんが
031.stcm2 0x1c2a4 口から食べて、目と鼻から出すの」
031.stcm2 0x1c35c 「普通出さないよ、そんなところから！　それ
031.stcm2 0x1c3b4 に、楽しみにしているところがちがうでしょ！」
031.stcm2 0x1c504 ドクロちゃん
031.stcm2 0x1c540 「きゃはははっ！　ほら、桜くん！　はやく帰
031.stcm2 0x1c598 ろうよ〜〜！」
031.stcm2 0x1c640 うん、そうです。
031.stcm2 0x1c680 話が相変わらずかみ合ってないけど、これが僕
031.stcm2 0x1c6d8 とドクロちゃんがいる本当の世界。
031.stcm2 0x1c738 これが現実で、いつもの世界なんです。
031.stcm2 0x1c79c 僕をうながしながら教室を出ようとしたドクロ
031.stcm2 0x1c7f4 ちゃんが、にっこりと笑って振り向きました。
031.stcm2 0x1c9e4 ドクロちゃん
031.stcm2 0x1ca20 「みんな１２歳じゃなくて残念だったね、桜く
032.stcm2 0x810 田辺さん
032.stcm2 0x848 「あ、こんにちはー」
032.stcm2 0x98c 「こんにちは」
032.stcm2 0xa94 田辺さん
032.stcm2 0xacc 「ここにやって来たってことは、桜くんがいろ
032.stcm2 0xb24 んな女の子にちょっかい出してるってことね」
032.stcm2 0xc7c 「そうね。残念ながらそういうこと」
032.stcm2 0xd98 田辺さん
032.stcm2 0xdd0 「えっと、みんな桜くんに対する好感度ってい
032.stcm2 0xe28 うものがあるんだけど、それが一定以上に達し
032.stcm2 0xe80 てる人がいないとここに来ちゃうの」
032.stcm2 0xfd0 「その場合の好感度はそのお話で獲得した分だ
032.stcm2 0x1028 けでの計算ね。各話で独立して計算するの」
032.stcm2 0x1180 「結構条件が高めだから、ひいきにする女の子
032.stcm2 0x11d8 はしぼったほうがいいみたい」
032.stcm2 0x12f0 田辺さん
032.stcm2 0x1328 「さて、ここに来ちゃった場合にどんなことが
032.stcm2 0x1380 起きるかと言うと、このお話で獲得した好感度
032.stcm2 0x13d8 がすべてリセットされちゃうんだよ」
032.stcm2 0x1528 「でも、泣かないで？　ここで、誰かに少しだ
032.stcm2 0x1580 け好感度を割り振ることができるの」
032.stcm2 0x1698 田辺さん
032.stcm2 0x16d0 「そうそう。まったくの０になっちゃうわけじゃ
032.stcm2 0x172c ないから、まだ挽回のチャンスはあるよ」
032.stcm2 0x1880 「うん、だから反省して……」
032.stcm2 0x1998 田辺さん
032.stcm2 0x19d0 「ここには、もう来ない方がいいね」
032.stcm2 0x1b20 「寂しくなったらいつでも来ていいから」
032.stcm2 0x1c40 田辺さん
032.stcm2 0x1c78 「それじゃ、好感度割り振りの画面に移動する
032.stcm2 0x2380 「……また来たの？」
032.stcm2 0x2490 田辺さん
032.stcm2 0x24c8 「あれっ、ほんとだー。また来ちゃったんだー。
032.stcm2 0x2524 寂しくなったの？」
032.stcm2 0x2664 「確かに寂しくなったら来ていいって言ったけ
032.stcm2 0x27c0 田辺さん
032.stcm2 0x27f8 「まあ、私たちは別にいいけど」
032.stcm2 0x2944 「あんまりここに来ても仕方がないのに……
032.stcm2 0x299c なにが目的？」
032.stcm2 0x2aa4 田辺さん
032.stcm2 0x2adc 「目的……って、あれ？
032.stcm2 0x2b20 上手くいかなかっただけなんじゃあ……？」
032.stcm2 0x2c78 「……もしかして、桜くんみたいに
032.stcm2 0x2cc8 痛い目をみて喜ぶタイプ？」
032.stcm2 0x2ddc 田辺さん
032.stcm2 0x2e14 「なるほどー。それは仕方ないねー。
032.stcm2 0x2e64 それだったら納得」
032.stcm2 0x2fa4 「そういうこと」
032.stcm2 0x30b0 田辺さん
032.stcm2 0x30e8 「さて、好感度はリセットされちゃうけど、ま
032.stcm2 0x3140 た少しだけ割り振ることができるから、次は気
032.stcm2 0x3198 を付けてね」
032.stcm2 0x32d4 「痛い目をみて喜んでいるなら、また来るんじゃ
032.stcm2 0x3330 ない？」
032.stcm2 0x3430 田辺さん
032.stcm2 0x3468 「そのときはそのときでしょ」
032.stcm2 0x35b4 「そうね。……それじゃあ、がんばって」
032.stcm2 0x36d4 田辺さん
032.stcm2 0x370c 「それじゃあ、好感度割り振りの画面へ移動
032.stcm2 0x3764 するね」
032.stcm2 0x4088 田辺さん
032.stcm2 0x40c0 「あ、こんにちはー」
032.stcm2 0x4204 「こんにちは」
032.stcm2 0x430c 田辺さん
032.stcm2 0x4344 「ここにやって来たってことは、桜くんがいろ
032.stcm2 0x439c んな女の子にちょっかい出してるってことね」
032.stcm2 0x44f4 「そうね。残念ながらそういうこと」
032.stcm2 0x4610 田辺さん
032.stcm2 0x4648 「えっと、みんな桜くんに対する好感度ってい
032.stcm2 0x46a0 うものがあるんだけど、それが一定以上に達し
032.stcm2 0x46f8 てる人がいないとここに来ちゃうの」
032.stcm2 0x4848 「その場合の好感度はそのお話で獲得した分
032.stcm2 0x48a0 だけでの計算ね。各話で独立して計算するの」
032.stcm2 0x49f8 「結構条件が高めだから、ひいきにする女の子
032.stcm2 0x4a50 はしぼったほうがいいみたい」
032.stcm2 0x4b68 田辺さん
032.stcm2 0x4ba0 「さて、ここに来ちゃった場合にどんなことが
032.stcm2 0x4bf8 起きるかと言うと、このお話で獲得した好感度
032.stcm2 0x4c50 がすべてリセットされちゃうんだよ」
032.stcm2 0x4da0 「でも、泣かないで？　ここで、誰かに
032.stcm2 0x4df4 少しだけ好感度を割り振ることができるの」
032.stcm2 0x4f14 田辺さん
032.stcm2 0x4f4c 「あんまりそれをアテにされても困るけど、まっ
032.stcm2 0x4fa8 たくの０になってしまうわけじゃないから安心
032.stcm2 0x5000 してね」
032.stcm2 0x5138 「でも、泣いても笑っても第５話は終わってし
032.stcm2 0x5190 まったし、結果は半分決まってるんでしょう？」
032.stcm2 0x52b8 田辺さん
032.stcm2 0x52f0 「うん。ここだけの話、５話のあとにもお話は
032.stcm2 0x5348 まだ用意されているんだけど、好感度の条件を
032.stcm2 0x53a0 満たしていないと、そこに進めないの」
032.stcm2 0x54f4 「そこに進めるかどうかはもう決定してしまっ
032.stcm2 0x554c ているから、好感度割り振りが終わったあとで
032.stcm2 0x55a4 実際に見て確認して」
032.stcm2 0x56b4 田辺さん
032.stcm2 0x56ec 「もし進めるなら、この好感度割り振りで進む
032.stcm2 0x5744 道が変わるかも知れないから気を付けてね」
032.stcm2 0x589c 「それじゃあ、好感度割り振りの画面に
032.stcm2 0x58f0 移動するから」
032.stcm2 0x5ff8 「……また来たの？」
032.stcm2 0x6108 田辺さん
032.stcm2 0x6140 「あれっ、ほんとだー。また来ちゃったんだー。
032.stcm2 0x619c 寂しくなったの？」
032.stcm2 0x62dc 「確かに寂しくなったら来ていいって言った
032.stcm2 0x6334 けど……」
032.stcm2 0x6438 田辺さん
032.stcm2 0x6470 「まあ、私たちは別にいいけど」
032.stcm2 0x65bc 「あんまりここに来ても仕方がないのに……
032.stcm2 0x6614 なにが目的？」
032.stcm2 0x671c 田辺さん
032.stcm2 0x6754 「目的……って、あれ？
032.stcm2 0x6798 上手くいかなかっただけなんじゃあ……？」
032.stcm2 0x68f0 「……もしかして、桜くんみたいに痛い目を
032.stcm2 0x6948 みて喜ぶタイプ？」
032.stcm2 0x6a54 田辺さん
032.stcm2 0x6a8c 「なるほどー。それは仕方ないねー。それだっ
032.stcm2 0x6ae4 たら納得」
032.stcm2 0x6c1c 「そういうこと」
032.stcm2 0x6d28 田辺さん
032.stcm2 0x6d60 「さて、好感度はリセットされちゃうけど、ま
032.stcm2 0x6db8 た少しだけ割り振ることができるから、あんま
032.stcm2 0x6e10 り落ち込まないでね」
032.stcm2 0x6f54 「落ち込むの？　喜んでるんじゃない？」
032.stcm2 0x6fb8 田辺さん
032.stcm2 0x6ff0 「まあ、それもありかもね」
032.stcm2 0x7138 「じゃあ、本題お願い」
032.stcm2 0x7248 田辺さん
032.stcm2 0x7280 「うん。ここだけの話、５話のあとにもお話は
032.stcm2 0x72d8 まだ用意されているんだけど、好感度の条件を
032.stcm2 0x7330 満たしていないと、そこに進めないの」
032.stcm2 0x7484 「そこに進めるかどうかはもう決定してしまっ
032.stcm2 0x74dc ているから、好感度割り振りが終わったあとで
032.stcm2 0x7534 実際に見て確認して」
032.stcm2 0x7644 田辺さん
032.stcm2 0x767c 「もし進めるなら、この好感度割り振りで進む
032.stcm2 0x76d4 道が変わるかも知れないから気を付けてね」
032.stcm2 0x782c 「それじゃあ、好感度割り振りの画面に移動
032.stcm2 0x7884 するから」
033.stcm2 0x460 サバトちゃん
033.stcm2 0x49c 「ついに健康診断大作戦がはじまるんですぅ！」
033.stcm2 0x5ec サバトちゃん
033.stcm2 0x628 「い、一番手をお願いされてしまいましたぁ、
033.stcm2 0x680 サバトと申しますぅ」
033.stcm2 0x7bc サバトちゃん
033.stcm2 0x7f8 「こんな重要なところをやらせてもらえる
033.stcm2 0x84c なんて感激で、精一杯がんばるですぅ」
033.stcm2 0x998 サバトちゃん
033.stcm2 0x9d4 「今回、サバトたちの健康診断をするために、
033.stcm2 0xa2c 未来からやってくる天使、ベノムちゃんには恐
033.stcm2 0xa84 ろしい秘密があるんですぅ！」
033.stcm2 0xbc8 サバトちゃん
033.stcm2 0xc04 「ベノムちゃんの魔法のアイテム……とっても
033.stcm2 0xc5c 気になるんですよぅ！」
033.stcm2 0xd98 サバトちゃん
033.stcm2 0xdd4 「天使が増えたら桜くんの周りは大騒ぎですぅ！
033.stcm2 0xe30 でも、サバトもその一員なので複雑ですぅ」
033.stcm2 0xf80 サバトちゃん
033.stcm2 0xfbc 「ベノムちゃんの能力を知り、サバトと
033.stcm2 0x1010 ドクロちゃんが取った行動とは……！？」
033.stcm2 0x115c サバトちゃん
033.stcm2 0x1198 「続きは、見てのお楽しみなんですぅ。サバト
033.stcm2 0x11f0 も、もうちょっと言いたいんですがぁ……」
033.stcm2 0x1364 サバトちゃん
033.stcm2 0x13a0 「それじゃあ次回、【死ぬことと見つけたりだ
033.stcm2 0x13f8 よ！　ドクロちゃん！】に、ぴぴるぴるぴるぴ
033.stcm2 0x1450 ぴるぴー♪」
033.stcm2 0x15a0 サバトちゃん
033.stcm2 0x15dc 「１回、言ってみたかったんですぅ！」
033.stcm2 0x1b30 ザクロちゃん
033.stcm2 0x1b6c 「こんにちは。第２話の予告を任されました、
033.stcm2 0x1bc4 ザクロでございます」
033.stcm2 0x1d00 ザクロちゃん
033.stcm2 0x1d3c 「次回の内容をかいつまんでご説明するように、
033.stcm2 0x1d98 と申しつかっておりますので、どうぞお付き合
033.stcm2 0x1df0 いください」
033.stcm2 0x1f24 ザクロちゃん
033.stcm2 0x1f60 「さて、サバトさんの健康診断を終えたベノム
033.stcm2 0x1fb8 さんの、次なる診断目標は、もちろん三塚井ド
033.stcm2 0x2010 クロ……おねえさまです」
033.stcm2 0x2150 ザクロちゃん
033.stcm2 0x218c 「そして、時を同じくして聖ゲルニカ学園で開
033.stcm2 0x21e4 催される、スポーツフェスティバル。そのとき、
033.stcm2 0x2240 ゲルニカ学園に現れたベノムさんの真意とは？」
033.stcm2 0x2394 ザクロちゃん
033.stcm2 0x23d0 「スポーツフェスティバルで、おねえさまは楽
033.stcm2 0x2428 しさ余って、パワー１００倍。そして、それを
033.stcm2 0x2480 止めるべく走り回るのは、やはり桜さん」
033.stcm2 0x25cc ザクロちゃん
033.stcm2 0x2608 「そんな中、わたくしはひとつの決意を胸に、
033.stcm2 0x2660 おねえさまにそれを告げるのです」
033.stcm2 0x27a8 ザクロちゃん
033.stcm2 0x27e4 「次回、【美しきは姉妹の絆だよ！　ドクロちゃ
033.stcm2 0x2840 ん！】に……お、おねえさま、ほ、本当にこち
033.stcm2 0x2898 らを読むのですか？」
033.stcm2 0x2914 ドクロちゃん
033.stcm2 0x2950 「（もちろん！　ほら、がんばって……）」
033.stcm2 0x2ac4 ザクロちゃん
033.stcm2 0x2b00 「は……はい！　ええと、次回、【美しきは姉
033.stcm2 0x2b58 妹の絆だよ！　ドクロちゃん！】に……ぴぴる
033.stcm2 0x2bb0 ぴるぴるぴぴるぴー♪」
033.stcm2 0x2d08 ザクロちゃん
033.stcm2 0x2d44 「じ、次回もよろしくお願いします」
033.stcm2 0x3294 静希ちゃん
033.stcm2 0x32cc 「こんにちは、水上静希です。
033.stcm2 0x3318 よろしくお願いします」
033.stcm2 0x3454 静希ちゃん
033.stcm2 0x348c 「私もこんなところに呼んでもらえるとは思っ
033.stcm2 0x34e4 てなかったから、なんの準備もしてないんだけ
033.stcm2 0x366c 静希ちゃん
033.stcm2 0x36a4 「はじまりはそう、ベノムちゃんから
033.stcm2 0x36f4 相談を受けたことでした」
033.stcm2 0x3834 静希ちゃん
033.stcm2 0x386c 「思うように進まないドクロちゃんの健康診断。
033.stcm2 0x38c8 ベノムちゃんから相談を受けた私が言った一言
033.stcm2 0x3920 で、プールに行くことが決まりました」
033.stcm2 0x3a6c 静希ちゃん
033.stcm2 0x3aa4 「ドクロちゃんと一緒にプール。桜くんはイヤ
033.stcm2 0x3afc な予感を振り払って、ベノムちゃんに協力しま
033.stcm2 0x3c80 静希ちゃん
033.stcm2 0x3cb8 「プールで遊ぶドクロちゃんと、影で動く作戦。
033.stcm2 0x3d14 果たして、私と桜くんの作戦は上手くいくので
033.stcm2 0x3d6c しょうか？」
033.stcm2 0x3ea0 静希ちゃん
033.stcm2 0x3ed8 「そして、動き出すベノムちゃん。目的から外
033.stcm2 0x3f30 れてしまったその行動に、桜くんが立ち上がり
033.stcm2 0x3f88 ました」
033.stcm2 0x40b8 静希ちゃん
033.stcm2 0x40f0 「桜くん決死の行動の結末は……？
033.stcm2 0x4140 そして、桜くんのその姿にベノムちゃんは……」
033.stcm2 0x42b8 静希ちゃん
033.stcm2 0x42f0 「次回、【彼女が彼に決めた理由だよ！　ドク
033.stcm2 0x4348 ロちゃん！】に、ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪」
033.stcm2 0x44b8 静希ちゃん
033.stcm2 0x44f0 「……これちょっと、楽しいかも」
033.stcm2 0x4a44 ドクロちゃん
033.stcm2 0x4a80 「今度はボクの番だよっ！
033.stcm2 0x4ac8 やっぱ、ボクがいないとダメなんだからっ」
033.stcm2 0x4c18 ドクロちゃん
033.stcm2 0x4c54 「次のお話はー、ボクが臓物丸と一緒に遊ぶの。
033.stcm2 0x4cb0 でも、桜くんは邪魔してばっかり」
033.stcm2 0x4df8 ドクロちゃん
033.stcm2 0x4e34 「だからボクは、桜くんをほっといて遊びにいっ
033.stcm2 0x4e90 ちゃうんだよ！」
033.stcm2 0x4fc8 ドクロちゃん
033.stcm2 0x5004 「そしたらー、大人気ない桜くんは、みんなに
033.stcm2 0x505c 【助けてー！】って言って、ボクを追いかけて
033.stcm2 0x50b4 くるの。もしかして、ストーキング？」
033.stcm2 0x5200 ドクロちゃん
033.stcm2 0x523c 「そんな情けない桜くんだけど、ボクは見捨て
033.stcm2 0x5294 ないよっ。……だって、毎晩一緒の部屋で寝て
033.stcm2 0x52ec るんだもん」
033.stcm2 0x541c ドクロちゃん
033.stcm2 0x5458 「それで、おうちに帰ってきて、めでたし
033.stcm2 0x54ac めでたしなの！」
033.stcm2 0x560c ドクロちゃん
033.stcm2 0x5648 「次回、【時にはのどかに散歩だよ！　ドクロ
033.stcm2 0x56a0 ちゃん！】に、ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪」
033.stcm2 0x574c ザクロちゃん
033.stcm2 0x5788 「おねえさま……」
033.stcm2 0x5800 サバトちゃん
033.stcm2 0x583c 「えっと……今のって、次のお話の説明なん
033.stcm2 0x5894 ですかぁ？」
033.stcm2 0x5908 静希ちゃん
033.stcm2 0x5940 「そうみたいだけど……ちょっと、
033.stcm2 0x5990 わかりにくいね」
033.stcm2 0x5a08 ベノムちゃん
033.stcm2 0x5a44 「まあ、こういうこともあるでありますよ」
033.stcm2 0x5fa0 ベノムちゃん
033.stcm2 0x5fdc 「お招きいただきまして、ありがとうございま
033.stcm2 0x6034 す！　ベノムであります！」
033.stcm2 0x6174 ベノムちゃん
033.stcm2 0x61b0 「このたび、自分がここをお任せいただいたで
033.stcm2 0x6208 あります！」
033.stcm2 0x633c ベノムちゃん
033.stcm2 0x6378 「長らく、桜殿の街に滞在させていただきまし
033.stcm2 0x63d0 たが、ついに自分にスーヴェリージュから帰還
033.stcm2 0x6428 命令が届くであります」
033.stcm2 0x6564 ベノムちゃん
033.stcm2 0x65a0 「ドクロ殿の健康診断が、いまだ完了しない状
033.stcm2 0x65f8 態での帰還命令に、自分は悔しくもあり、悲し
033.stcm2 0x6650 くもありました」
033.stcm2 0x6788 ベノムちゃん
033.stcm2 0x67c4 「けれど、桜殿はまだあきらめていなかったの
033.stcm2 0x681c であります」
033.stcm2 0x6950 ベノムちゃん
033.stcm2 0x698c 「桜殿のご助力で、最後の機会とばかり健康診
033.stcm2 0x69e4 断に挑むのでありますが、その中で、重大な事
033.stcm2 0x6a3c 件が発生するであります」
033.stcm2 0x6b7c ベノムちゃん
033.stcm2 0x6bb8 「ドクロ殿が桜殿を撲殺したら、復活できない！
033.stcm2 0x6c14 そんな前代未聞の事態を前に、桜殿はドクロ殿
033.stcm2 0x6c6c に撲殺禁止令を出すのでありますが……」
033.stcm2 0x6db8 ベノムちゃん
033.stcm2 0x6df4 「事態の解決に総力を結集しながらも、時は過
033.stcm2 0x6e4c ぎ、自分に最後の帰還命令が届くのでありまし
033.stcm2 0x6ff4 ベノムちゃん
033.stcm2 0x7030 「次回、【有終の美だよ！　ドクロちゃん！】
033.stcm2 0x7088 に、ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪　であります」
033.stcm2 0x71f8 ベノムちゃん
033.stcm2 0x7234 「む、ドクロ殿はこれでいつも桜殿を……
033.stcm2 0x7288 便利であります」
034.stcm2 0x188 僕とドクロちゃんとザクロちゃんが住む家。
034.stcm2 0x2a0 サバトちゃんが住み着いた近所の公園。
034.stcm2 0x3dc なにかと便利な駅前のアーケード商店街。
034.stcm2 0x4f0 僕とドクロちゃんと静希ちゃんが通う学校。
034.stcm2 0x650 僕とドクロちゃんとザクロちゃんが住む家。
034.stcm2 0x768 サバトちゃんが住み着いた近所の公園。
034.stcm2 0x87c なにかと便利な駅前のアーケード商店街。
034.stcm2 0x990 僕とドクロちゃんと静希ちゃんが通う学校。
034.stcm2 0xac8 僕とドクロちゃんとザクロちゃんが住む家。
034.stcm2 0xc08 サバトちゃんが住み着いた近所の公園。
034.stcm2 0xd1c なにかと便利な駅前のアーケード商店街。
034.stcm2 0xe30 僕とドクロちゃんと静希ちゃんが通う学校。
034.stcm2 0xf68 僕とドクロちゃんとザクロちゃんが住む家。
034.stcm2 0x1080 サバトちゃんが住み着いた近所の公園。
034.stcm2 0x11bc なにかと便利な駅前のアーケード商店街。
034.stcm2 0x12d0 僕とドクロちゃんと静希ちゃんが通う学校。
034.stcm2 0x1444 僕とドクロちゃんとザクロちゃんが住む家。
034.stcm2 0x155c サバトちゃんが住み着いた近所の公園。
034.stcm2 0x1670 なにかと便利な駅前のアーケード商店街。
034.stcm2 0x1784 僕とドクロちゃんと静希ちゃんが通う学校。
034.stcm2 0x18f8 僕とドクロちゃんとザクロちゃんが住む家。
034.stcm2 0x1a10 サバトちゃんが住み着いた近所の公園。
034.stcm2 0x1b24 なにかと便利な駅前のアーケード商店街。
034.stcm2 0x1c38 僕とドクロちゃんと静希ちゃんが通う学校。
034.stcm2 0x1dac 僕とドクロちゃんとザクロちゃんが住む家。
034.stcm2 0x1ec4 サバトちゃんが住み着いた近所の公園。
034.stcm2 0x1fd8 なにかと便利な駅前のアーケード商店街。
034.stcm2 0x20ec 僕とドクロちゃんと静希ちゃんが通う学校。
